質問 |
答弁 |
1、 市長の政治姿勢について
臨時国会では、外国人労働者の使い捨てをひどくする出入国管理法改定、浜を企業の食い物にする漁業法改定、民営化で安全・安心な水道事業を危険にさらす水道法改定の採決が、どの法案もまともな審議なく強行されました。
それを含め最近の安倍政権の暴走・迷走ぶりには目に余るものがあると言わざるを得ません。地方自治、盛岡市政にも関係するいくつかの問題について伺います。
(1)消費税増税と、増税に伴う経済対策について
安倍政権は、来年の10月消費税の10%への増税を実施にむけて、増税に伴う景気悪化のための「経済対策」だとして、プレミアム商品券をはじめ経済対策の名でばらまきをしようとしています。
政府が、あれやこれやの対策を打たなければならないということ自体、消費税増税が経済を悪化させることを自認しているからではないか。一時的な「経済対策」でばらまいても、消費増税による景気低迷が解決しないことは、前回の5%から8%へ増税して以降、個人消費が今日まで低迷してきたことを見れば一目瞭然です。
消費税増税が、盛岡市民のくらしと地域経済にどのような影響を及ぼすとお考えか。以下、市長の御所見を伺います。
①市民生活への影響です。消費税増税によって、盛岡市民の負担増はいかほどと見込まれますか。5%から8%への増税の結果、年間でどの程度の負担増となったのか。10%への増税ではどう見込まれるのか。市民一人当たり、一世帯当たりでどうか。お示しください。
②地域経済への影響です。盛岡市の消費動向は、8%増税以来どのように推移しているか。10%への増税でどう見込まれるか。お示しください。
消費税は、最終的に事業者が払います。他の税と違って「赤字」でも消費税は払わなければならないものです。盛岡市において、市民税の法人税割を払っている法人の割合はどの程度でしょう。全体の数、法人税割を支払っている法人数とその割合をお示しください。
今回、複数税率を導入し、「インボイス」制が導入されます。事業者が仕入れにかかる消費税を控除しようとするとき、インボイス~送り状・伝票~がなければならない。そのインボイスを出すことができるのは、消費税課税事業者だけ、という制度ですから、非課税事業者も課税業者にならざるを得ない、事務も煩雑になる・・というものです。中小・零細企業をいじめるものです。盛岡市内の、消費税非課税業者はどの程度あるのか、その影響はどうか。お示しください。
③盛岡市財政との関係です。9月議会の決算審査で、消費税に伴う、市財政の入りと出、つまり、地方消費税交付金と地方交付税の相殺による歳入と、市が消費者として負担した消費税の額を比較したところ、概算で約10億円以上の市財政にマイナス効果となったことが明らかになりました。これが10%になったらどう見込まれるか。また、市立病院の「損税」も1億2千万円ほどということでしたが、これは10%になればどうなりますか。お示しください。
市民生活と、地域経済に重大な影響を及ぼす消費税増税の影響を、期間限定の小手先の「経済対策」で克服できるとお考えですか。市長の御所見を伺います。
キッパリ中止を!
消費税は、所得の低い人により重い税で、最悪の不公平税制です。導入以来349兆円の収入の約8割280兆円が、この間行われた法人税減税の穴埋めにされてきたのです。この間社会保障は次々と改悪され負担は増すばかり。市長は市民のくらしと地域経済、盛岡市財政を守る立場に立って消費税増税はキッパリと中止すべきだと声を上げていただきたいがいかがですか。
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《沼田商工観光部長答弁》
消費税増税による市民の消費税負担増についてでありますが、5%から8%への増税につきましては、消費税の増収分から推計しますと、市民1人当たりの年間負担増額は約116,000円であったと見込まれます。
また、10%への増税につきましては、国の試算によりますと、市民1人当たりの年間負担増額は、約27,000円、1世帯当たりの年間負担増額は約62,000円と見込まれます。
《古舘市長公室長答弁》
消費税8%への増税以来の消費動向の推移についてでありますが、平成26年の5月から6月にかけて、岩手経済研究所が実施した、消費税率引き上げの県内経済への影響についてのアンケート調査によりますと、個人部門において「消費税率の引き上げを実感した」という回答は、全体の8割を超え、その中で、主に日常の買い物時における負担感の増加を指摘する意見が多くあったところであります。
そして、消費税率引き上げ後の購買意欲や行動が変わった人が半数を超え、その多くが「衝動買いをしない」との回答であり、今後の消費姿勢については3割が「消費を減らし節約する」と回答しております。
また、総務省が実施した家計調査の結果から、盛岡市における二人以上世帯の消費支出額の推移を見ますと、平成26年4月に消費税率が5%から8%に引き上げられた後、8月までの間、前年同月を下回る状況が続いております。
次に、消費税が10%へ増税された場合の見込みについてですが、前回の消費税が8%へ増税された時と同様に消費の落込みが想定されるところです。
増税幅が前回よりも小さいこと、並びに食料品などを対象とした軽減税率も導入されると見込まれることもありますが、消費への影響は相当程度あるのではないかと存じております。
《藤澤財政部長答弁》 市内事業者の赤字法人の状況
市内の法人数と法人市民税法人税制の課税事業所及び割合についてでありますが、平成29年度では、法人市民税の対象事業所数は8,536事業所なっており、そのうち法人税制の課税事業所数は3,391事業所で、対象事業所数に占める割合は39.7%となっております。
《沼田商工観光部長答弁》 インボイス制度の影響
盛岡市内の消費税非課税事業者についてでありますが、仙台国税局では、市町村別の非課税事業者数を公表しておりませんので、盛岡税務署管内の状況となりますが、
同署管内の消費税課税事業者は9,658事業者で、平成28年の経済センサスによりますと同署管内の事業者数は13,357事業者となっておりますことから、残りの3,699事業者が非課税業者に相当するものと存じております。
次に、平成35年10月から導入される複数税率に対応した「適格請求書等保存方式」いわゆるインボイス制度による影響についてでありますが、消費者にとりましては、特に大きな影響はないものと認識しておりますが、事業者にとりましては、複数税率に対応するためのレジや受発注システムの改修等に加えて、請求書等の管理の負担が増えるなどの影響があるものと存じております。また、課税売上高が1,000万円以下の免税事業者が、仕入税額控除の際に必要となる適格請求書(インボイス)を発行するためには、適格請求書発行事業者の登録を受ける必要があり、新たに負担が生ずるものではありますが、複数税率への対応を適切に行うためには、必要な制度であると存じております。
しかしながら、免税事業者等から仕入れを行った事業者が、インボイス制度の導入後3年間は仕入税額相当額の80%を、その後の3年間は同じく仕入相当額の50%を、仕入税額として控除できる経過措置も設けられていることから、この間に免税事業者は、適格請求書を発行する準備ができることになるものと存じております。
《藤澤財政部長答弁》
消費税10%時の市財政への効果についてでありますが、29年度決算をベースにした試算では、地方消費税交付金は約72億1千万円となり、そのうち普通交付税の基準税制収入額への算入額が、約62億700万円となりますので、歳入では差額の、約10億円の増が見込まれるところですが、一方、歳出における消費税の負担は、約25億6千万円となりますので、歳入と歳出の差し引きとしては、8%の時には10億円程度の歳出超過であったものが、10%では約15億6千万円の歳出超過となり、差が開くものと見込まれます。
《佐藤市立病院事務局長答弁》
市立病院の損税への影響についてでありますが、平成29年度決算額1億2,087万5,627円をベースに試算いたしますと、消費税率が10%になった場合の損税は、約1億5千4百万円になるものと見込んでおり、この差額約3千3百万円が新たな経費増となります。消費税率の引上げは平成31年10月の予定でありますことから、平成31年度の場合は半年分で約1千7百万円の負担増となることが見込まれます。
《谷藤市長答弁》
消費税増税の影響を「経済対策」で克服できると考えるのか、についてでありますが、国では、消費税率の引き上げに伴い、消費の落ち込みの緩和策として、キャッシュレス決済における5%分のポイント還元や、低所得者や子育て世代向けのプレミアム付きの商品券の発行、軽減税率制度の実施などとともに、国土強靭化のための公共事業なども予定されているところであります。
平成26年度4月の8%への消費税率引き上げ時にも、経済政策パッケージを示し、取り組んでおりますが、税率の引き上げ前の駆け込み需要と、その反動による消費の冷え込みがありましたので、このことを踏まえ、今回は、引上げ前後の消費を平準化するための十分な支援策を講ずるなど、経済の回復基調が持続するよう臨時・特別の措置を講ずるとしており、その経済対策に期待しているところであります。
次に、消費税増税は中止すべきではないかについてでありますが、消費税の引き上げは、国民の負担が増すものと存じておりますが、国や地方財政において、将来にわたり持続可能で安定的な社会保障制度の財源確保を目的としており、市民生活においても子供、子育て、医療、介護、年金の福祉施策の充実につながりますことから、消費税の引き上げは必要なものと存じております。
いずれ、本市といたしましても、国の経済対策の動きを注視するとともに、市民生活を守るためにも、消費への影響に目を配りながら、必要な対応に努めてまいりたいと存じております。 |
(2)安倍政権が水道民営化法を強行したことには怒りさえおぼえます。
水道は国民の「命」に直接関わる最も重要なインフラです。命の源であり人間生活になくてはならない水事業はもっとも公共的なものです。これを営利を目的とする民間企業に運営させたらどうなるか。世界では水道料金の高騰によって貧困層が大打撃を受ける事態が進み、あまりにも問題が大きいと、再公営化の流れにあるということです。世界の、水道民営化先進事例について、御所見を伺います。
民営化により、生じる可能性のある地域差の問題や、水道に関する技術の継承がされなくなるのではないかという懸念、地震などの災害時の対応についての責任の所在や、水源地の環境保全など地球環境への配慮がおざなりになるのではないかといった疑問なども指摘されている。こういう疑問についての認識と、政府の対応についての見解を伺います。
9月議会での私の質問への答弁は、「直営による事業推進を基本に、今後とも安全で安心な上水道の供給を目指してまいりたい」という答えでしたが、改めて、今回の水道民営化について御所見を伺いたい。
報道では、民営化は「老朽化したインフラ整備に官民の力を結集」などという論調も見られます。このことについては、盛岡市はどう対応する見通しなのか、も合わせて伺います。
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《古山上下水道事業管理者答弁》
水道の民営化の先進事例についてでありますが、民営化は海外の都市で導入されておりますが、パリ市やベルリン市などにおいては、水道料金の高騰や水質悪化によるサービス低下等により、再び公営化されており、運営方式等に課題があったものと存じております。
次に、水道事業の民営化により生じる課題と政府の対応についてでありますが、海外の民営化による運営事例からは、料金の高騰や適切な維持管理等についての課題があったものと存じているほか、今回の法改正に対しては、技術の継承や災害時の対応等についても報道されていると存じております。
一方、国の対応としては、今回の法改正における官民連携は、海外で見られるような水道事業を完全に民営化するのではなく、施設の所有権を地方公共団体が所有したまま施設の運営権を民間業者に設定する方式であり、地方公共団体における監視・監督や、国の許可や立ち入り検査等により、海外での課題に対応していると伺っております。
次に、水道法の改正に対する所見でありますが、水道事業が抱える課題は、財務状況、人口や組織の規模、施設の配置や更新の状況など事業体毎に多様な状況であると存じております。
このような状況に対して、今回の法改正による官民連携につきましては、水道事業の基盤強化を図るための方策の一つと存じており、各事業体において適切な運営方法が選択されていくものと存じております。
次に、本市における対応の見通しについてでありますが、本市におきましては、現在の経営状況を踏まえると、直営による事業推進を基本に、今後とも安全で安心な上水道の供給を目指してまいりたいと存じます。
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次に、来年度、2019年度予算編成にあたってどのような基本姿勢で臨まれるのか伺います。2019年度を通して、その執行に責任を持つという立場での予算編成となるのでしょうか。これまでをふり返りますと、市長選挙のある年の予算規模は、それまでの最高額を更新してきましたが、2019年度の予算規模はどの程度として考えているのか伺います。
重点プロジェクトについては、継続なのか、変更があるのか、現時点でのお考えをお聞かせ下さい。新規事業として検討しているものはあるのか、検討しているとすればどのような事業について検討しているのか伺います。
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《谷藤市長答弁》
平成31年度の予算編成についてでありますが、先ずは、国や県の動向をはじめ、本市を取り巻く状況を十分認識し、財源確保に最大限の努力を傾注しつつ、限られた財源の効果的、効率的な活用に配慮してまいります。
その上で、戦略プロジェクト事業への予算配分を優先するなど、総合計画の各種施策を推進する事業経費の重点化を図りながらも市民生活に必要なサービス水準を確保するとともに、市民生活に影響の大きい福祉施策など、必要な事業に支障がないよう、市政を進めていかなければならないものと存じておりますことから、年間総合予算として編成してまいります。
次に、31年度予算の規模についてでありますが、11月末時点で試算した31年度の収支見通しにおいて、一般財源の不足が見込まれることなどを踏まえ、基金の活用など、必要な財源調整の検討を行いながら、予算編成作業にあたっているところであり、現時点では、予算規模は定まっていないところであります。
次に、31年度の重点プロジェクトについてでありますが、戦略プロジェクトは、概ね3年を目処に重点的に取り組むこととしており、それぞれのプロジェクトにおいて、取り組むべき課題がありますことから、継続してまいりたいと存じております。
「食と農・ものづくり応援プロジェクト」においては、盛岡産農畜産物の販路拡大が課題であることから、新たな取組として、海外展開を視野に、海外への魅力発信に資する事業のほか、成長が見込まれるものづくり産業の集積を更に推進する必要があるものと存じておりますことから、新産業等用地の整備などの事業を検討しております。
「みんなが支える子ども・子育て安心プロジェクト」においては、年間を通じた待機児童の解消が喫緊の課題でありますことから、新たな取組として、保育所等の定員増加や保育士確保に資する事業を検討しております。
「2020(ニイゼロニイゼロ)あつまる・つながるまちプロジェクト」においては、ホストタウンの取組や、「いわて盛岡シティマラソン」の実施に向けた、新たな取組を検討しております。
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2、改正市場法に対する市の対応について
通常国会で成立した市場法改正は、①中央卸売市場開設を「認可」から「認定」制にし、民間に開放する、②これまでの卸売市場が果たしてきた、公共的で公正な流通制度を支えてきた各種の規制を、「受託拒否の禁止」と「差別的取扱い禁止」は残されたものの、第三者販売と直荷引きの原則禁止、商物一致の原則適用などは、法律事項から除外し、「必要に応じて開設者が設定」するとされ、大幅に規制を緩和したことが主な内容です。
市長は6月議会での私の質問への答弁で、「これまで卸売市場が果たしてきた公共的な役割が後退しないか、懸念がある」としつつ、今後の方向として「秋には、法改正に伴う政省令や『卸売市場に関する基本方針』が公表される」「業務規定の改正も必要となることから場内関係者や市場運営協議会などの意見をよく伺いながら、適切に対応する」「中央卸売市場の役割や機能を維持・強化していく方向性を共有しながら対応してまいりたい」と答えました
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そこで伺います。
①秋に示された、国の省令、『基本方針』の概要を簡潔にお示しください。
②今後、業務規程の改定に向かって、どう取り組むのか、伺います。
③その基本として、市長が6月議会でお答えになった「中央卸売市場の役割や機能を維持・強化していく方向性を共有する」とは、具体的にどのようなことでしょうか。
④維持・強化すべき機能の第一に念頭に置かなければならないのは、「公正な価格形成機能」を中心とした、卸売市場の公共的役割の維持ではないでしょうか。
11月16日に開かれた、岩手農民大学2018年度 食と農と地域の未来を見つめるシンポジウムでは、北大教授の方の基調講演の後、出荷者、仲卸、小売り、消費者の方々のパネルディスカッションが行われ、貴重なご意見をうかがうことができました。
出荷者の、JA新いわての営農経済部の方は、青果物の出荷先は、市場出荷が90%であり、「卸売市場と農協の共販は車の両輪で進んできた。これまでの市場法は理にかなっている。品質・物量によって、仲卸が振り分けし、さばいてくれる。すべて、出したものは拒否されずに価格をつけてもらえる。代金決済も早くて安全だ。他では1か月先、2カ月先ということもある」とのべ、市場が公共性を保ち適正な価格形成機能を発揮してほしい。それができない市場は価値がない。生産者は決して「高い」価格を求めているわけではなく生活してゆける、安定した価格が求められている」と市場の公共的な役割の維持を求めました。
小売りの立場から、盛岡市中央卸売市場・盛岡青果商業協同組合理事長さんが、第三者販売に対しては、「禁止」してほしい。「商物一致原則」については、価格形成等の不透明性が懸念される。と指摘し、中小の立場からいえば、盛岡の市場ができて、売買参加者のバッチはピーク時の500者から現在は70者を切る状態だ。我々が生き残っていくためにも市場がなければならない。市場間競争といわれても、我々中小では、市場間では競争ができない。盛岡の市場を使い、ともに歩んでいかなければならない、と語られました。
出荷者側も、小売店側も、市場の公共性の維持こそ生きる道だということを述べられたと理解しました。市はどのようにこれを位置づけようとしているのか、伺います。
⑤シンポジウムでは、「第三者販売」についてどう位置付けるのか、重要なポイントだと理解しました。市場内の仲卸や売買参加者以外の第三者販売が、これまでの区域規制を取り払って野放しになったらどうなるか。大手量販店の買いたたきが起こる。シンポでは、鹿児島県の卸売業者の調査で、量販店の特売に協力させられると、損失の回復までに一か月以上かかる。その損失は、マクロ的に見れば小売りの価格に転嫁されるのではないかという報告がありました。一店舗に協力すれば他の量販店からも求められることになる。という危惧も指摘されたのです。「差別的取扱い禁止」の原則も、第三者販売の全面的な解禁となれば事実上空洞化されるのではないか、という懸念の声です。
さらに、今日の卸売市場には、卸売業者、仲卸売業者が必置となっている。仲卸売が、卸売が集荷した品物の価格を評価し、買い出し人に分荷するという役割を担い、公正な価格形成と、敏速な商品の流通を保障する重要な役割を発揮している、その仲卸の営業が、第三者販売によって脅かされる、という指摘もありました。この指摘も含め、第三者販売の位置づけについて、その重要性に対する認識と、どのような方向で進めようとしているのか、お聞かせください。
⑥今日の食品流通における市場の新たな可能性
シンポジウムの基調講演では、今日の食品流通の現状分析についても、貴重な話をお聞きしました。
一つは、市場外流通が増えているというものの、例えば、国産野菜の消費は、家計消費が5割、加工・業務用が5割で、家庭消費のほとんどが市場系列となっているほか、加工業務用のうち、外食産業向けは、小売業者からの仕入れとなっており、その小売業者はその7割を市場から仕入れているということ。マクロデータからも卸売市場の有効性が示されていることです。
もう一つ興味深い内容は、近年利用が増加しているEコマースの青果物販売においても、その商品の調達チャンネルは多段階になっており、そこに、卸売市場もかかわる可能性があるという指摘でした。
こうしたことも含めて、市場の公共性の確保とともに、「市場間競争」が喧伝される中、新しい可能性に挑戦する取り組みも必要だと感じてきました。
このことについても御所見を伺います。
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《小原中央卸売市場長答弁》
卸売市場法の改正に伴う農林水産省令の概要についてでありますが、中央卸売市場の認定における施設規模の基準、認定申請の手続き方法及び中央卸売市場の卸売業者の遵守事項等について示されております。卸売市場に関する基本方針では、業務の運営に関する基本的な事項として、卸売市場の位置付け及び卸売市場におけるその他の取引ルールの設定等、施設に関する基本的な事項として、卸売市場の施設整備の在り方等について示されております。また、その他の重要事項として、災害時等の対応や食文化の維持及び発信等について示されております。
次に、業務規定の改定に向け、どのように取り組むのかについてでありますが、平成30年10月に場内関係者による卸売市場法改正対応検討委員会を設置したほか、11月には農林水産省職員を講師に招き、改正卸売市場法の説明会を実施したところです。今後は、当該検討委員会や取引委員会を開催するほか、関係者へのヒアリングなどを実施し、それぞれの業界の意見を聴きながら、必要な調整を行い、平成31年3月を目標に、意見の集約と業務規定改正の方向性を取りまとめたいと考えております。その後、業務規定改正案を策定し、パブリックコメントや農林水産省の事前審査等諸手続きを経たうえで、31年12月市議会定例会への議案提出を目指してまいりたいと存じます。
次に、「中央卸売市場の役割や機能を維持・強化していく方向性を共有する」とは、具体的にどのようなことか、についてでありますが、法改正に対応していくに当たっては、公正な取引の確保と、集荷・分荷機能、価格形成機能、代金決済機能など、卸売市場としての役割・機能の維持・強化等が重要と考えますことから、場内関係者との協議の前提として開設者から説明し、市場全体で確認・共有しながら、検討を進めていくこととしたものであります。
次に、卸売市場の公共的役割の維持をどのように位置付けようとしているのか、についてでありますが、「卸売市場に関する基本方針」の「卸売市場の位置付け」の中で、生鮮食料品の公正な取引の場として、価格形成などの卸売市場の機能を果たすことにより、安定的に生鮮食料品を供給するという高い公共性を果たすことが期待されているとあり、そのように認識しているところでありますが、市としてこれをどのように位置付けていくかにつきましては、今後検討してまいりたいと存じます。
次に、第三者販売に関する指摘について、どのようにとらえているのか、についてでありますが、不当な買いたたきや「差別的取扱い禁止の原則」の空洞化への懸念につきましては、食料等の流通の合理化及び取引の適正化に関する法律に基づく、農林水産大臣に対する情報提供や卸売業者に対する指導監督等を通じ、公正な取引の確保を図る必要があると存じます。また、仲卸業者の営業が第三者販売によって脅かされるという指摘につきましては、その目利き機能が十分発揮できなくなることや、思うような品揃えができなくなるという点で、一般的にはそのような懸念があるものと存じます。
次に、第三者販売の位置付けについての重要性の認識と進め方についてでありますが、卸売業者にとりましては、販路拡大の有効な手段の一つであると認識しておりますが、一方では、仲卸業者や売買参加者にとりましては、仕入れが困難になるのではないかという懸念もありますことから、関係者の意見を十分に聴くとともに、他市場の動向にも注視しながら、調整を図ってまいりたいと存じます。
次に、新しい可能性に挑戦する取組への必要性についての所見でありますが、「市場活性化ビジョン2017」の基本戦略「集荷・販売力の強化」の中の「実需者ニーズへの対応」におきまして、インターネット販売などの取組の先進事例を参考に、新たな販路拡大の研究を進めることとしており、引き続き、市場一丸となって取り組んでまいりたいと存じます。
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3、次に市民の立場に立った市行政の在り方について、最近私がかかわった2つの事例を基に伺います。
その一つは、市営住宅の入居に関することです。
私は、市営住宅の住み替えに関して、盛岡市が「公募によらない」住み替えを認める対象を「車いす常用者」に限っている取り扱いを見直すよう求めて、11月9日に市長と建設部長宛に要望書を提出し、21日に建設部長から回答がありました。
要望内容は、市営住宅条例第5条の(7)で、「既存入居者又は同居者が加齢,病気等によって日常生活に身体の機能上の制限を受ける者となった」という事情があれば「市長は・・公募を行わないで市営住宅に入居させることができる」との定めに対して、その対象を「車いす常用者」に限定している規定の見直しを求めたものです。
盛岡市の取り扱いは、車いす常用者以外の方は下肢に障害があっても公募によらない住み替えは認めず、定期募集への応募を認める。というものでした。この取り扱いによって、現に下肢・上肢に障害があって1級の障害手帳をお持ちの方が、車いす常用ではないことから、公募によらない住み替えが認められず、10年間にわたって、20回近く定期募集に応募したが落選し、不自由な体で階段の上り下りを余儀なくされ、心が折れるような状況に追いやられていたのです。
今回、東北各県庁所在都市の取り扱いを調査したところ驚きました。他市では「公募によらずに住み替えを認める対象として、仙台市において「下肢4級以上の障害」を規定しているほか、青森市、秋田市、山形市、福島市においては、障害級別の規定は特に設けず、「医師の診断」を基本に個別に判断するという取扱いとなっていました。「車いす常用」如何で線を引いている事例は、盛岡市以外にはありませんでした。
このことを紹介し、取り扱いを見直すよう求めた私の要望に対して今回、建設部長から、「階段昇降に支障のある方は、取扱要領を早急に定め、公募によらず低層階へ住み替えていただくこととします」との回答がありました。
どのような取り扱い要領となったのか。その内容と、これまでと具体的にどう変わったのかお示しください。
私は今回のことを通じていくつか思いました。
これまでの対応が、障がい者に対する市の対応として果たして適切と言えたのか、ということです。公平な対応だ、抽選に落ちたのだから仕方がない、という対応で、結果として市の対応は障がい者の切実な願いに背を向けた障がい者の人権を顧みない対応だったとのではないかという思いです
紹介した事例は、2017年の1月の岩手日報紙上で紹介されています。その前2016年6月議会では櫻裕子議員が実情を訴えて質問しています。
議会での一般質問、新聞報道からなぜこんなに時間がかかったのか。
そこには、市民の切実な声に耳を傾けて、何とかしようという姿勢に欠けていたのではないかというのが率直な思いです。
この間の経過、何を根拠にそのような対応をしてきたのか、それへの反省はないのか、お聞かせください。
市には、今回のこのことだけにとどまらず、市民の願いに対する対応について教訓にしていただきたいものですがいかがでしょうか。
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《南幅建設部長答弁》
市営住宅の住替えの取扱い要領についてでありますが、取扱い要領は、住替えの対象となる方、住替え先の住戸、その他手続き等について定めた要領としており、階段室型住宅に入居している方で階段昇降に支障をきたしている方は、公募によらず、同一団地または同一地域内の団地の低層階へ住替えできることとしたものであります。
取扱の具体的な変更点は、公募によらない住替えを認める対象者の範囲を、これまで車いす常用者としていたものを、車いす常用者以外であっても、加齢、病気等によって現に階段昇降に著しく支障をきたしている方に拡大したものであります。
次に、これまでの経過についてでありますが、障がい等により階段昇降に支障のある方は公募に応募できるとする住替えの取扱いは、平成7年から行っておりました。平成9年に、市営住宅条例に公募の例外規定が追加されましたが、民間住宅等から市営住宅への入居を希望される高齢者等の応募への対応も考慮する必要がありましたことから、平成7年の公募の取扱いを継続し、平成9年の公募によらない例外規定の対象者は車いす常用者とすることとしたものであります。
市営住宅にお住いの高齢者世帯が増加している中で、落選により住替えがなかなかできない状況や平成28年度の市議会での一般質問等を踏まえ、市営住宅入居者の住替えの取扱いの見直しを検討することとし、平成29年度に、福祉団体や有識者等からなる盛岡市住宅対策審議会で、市営住宅での高齢者居住の問題を提起したところです。審議会では、住替えに寛容な意見があったことから、課題解決の方策を検討して参ったところであります。
審議2回目となる平成30年11月住宅対策審議会での意見や、議員をはじめとする要望、これまでの議会での議員意見、他都市の状況を踏まえ、住替えや高齢者・身障者の入居募集などについて取扱いを変更することとしたものであります。
落選により多数回の応募を余儀なくされている方があることには非常に苦慮しており、この間、ご不便をおかけしていたことについて心苦しく思っているところでございます。
市営住宅には住宅セーフティネットとしての役割がありますことから、市民の願いに対しましては、真摯に耳を傾け、速やかに対応できるよう臨んでまいりたいと存じます。 |
もう一つは、税務行政についてです。
不適切な差押ではないか
私のところに、市民の方からメールが届きました。
この度、盛岡市役所納税課から酷い対応をされて困っているというものです。
何が起きたのか。11月26日、盛岡市から市税滞納による私の所有する自動車の登録差押えを受けた通知が来た。ということです。
この方は、2010年12月に開業した飲食店が、震災などの影響で開店休業状態を余儀なくされ、税金の支払いが困難になり市役所には滞納分の支払いを分納で対応していただいていたかたです。今年の四月以降について市に連絡をしたところ、担当者が変わり、その方から納付書を送りますが債務確認書を同封するので、そちらに印を押して返信下さいと言われた。それで問題ないのですか?と聞いたら今まで通りで大丈夫ですと言われ、滞りなく分納してきた。今回突然の差押え通知が来たので電話したところ、債務確認書はあるが確約書を交わしていないから法律に則って差押えた、と言われた。
4月に「今迄通りで大丈夫。問題ないと」と言われていたのに、「相談に来なかった、確約書も交わさなかったからあなたが悪い」と言われた。
担当者から、言われた通りにした結果が差押えだ。滞納している自分が悪いのは承知している。しかし、何とかしたい一心で分納を相談し滞りなく分納を続けてきたのに、このように騙すようなやり方で差押えされた事に憤りを感じずにはいらない。差押えされた車は仕入れなどで広範囲の移動に利用していたので、車を差押えされた今、仕事にも影響が出ている。という内容でした。
このことについて市の担当課から伺ったところ、「分納しているのは過去の滞納分であって、現年課税分の滞納があって、その滞納処分として差押をしたのであって滞納分を分納していることとは別だ」ということでした。
いかに過去の滞納分を約束通り分納していようがそれは考慮に入れなくてもいいという認識のようです。
盛岡市には滞納処分執行停止要綱が定められています。地方税法のその規定の運用の基準を定めたものです。その心は、滞納処分と言えども、生活や生業を壊してまではやらないということがあったのではないですか。
要綱には「滞納処分をすることによってその生活を著しく窮迫させるおそれがある」場合の特例基準として、「滞納額全額を納付することは現在の生活状況から困難であると認められ,滞納者に納税に対する誠意が見られ,かつ納税意欲があると認められるときは,納付可能額を一括または分割納付させ,滞納額の一部を執行停止し,新規滞納を発生させないようにする」という規定もあります。この方の場合納税に対する誠意は見られなかったのか、納税意欲があると認められなかったのでしょうか。
要綱からいってもこの突然の差押は行き過ぎではなかったかと思いますがいかがですか。
この方の場合は、差押する前に十分話し合いを行うチャンスもあったのではないですか。
しかも、自動車の登録の差押で、どれだけの換金効果を見ていましたか。登録差押についても、利用したい場合は許可申請を出せとも言われたということですが、誤った説明ではなかったですか。
別なやり方があったのではないかと思うものです。
盛岡市は、このような事例は普通のこととしてやっているのでしょうか。
野洲市の条例に学べ
もしそうだとするなら、改めていただきたいのです。
私どもは、滋賀県野洲市の「債権管理条例」と「生活支援条例」を紹介してきました。「税の滞納をはじめとした市の債権は、市民の公共の福祉のための貴重な財源です。その改修のために市民生活を壊してまでは行いません。生活再建を支援し、そのことを通じて税金を支払っていただくよう支援します」というコンセプトの条例です。
盛岡市も、これに学んでいただきたい。
私どもは、小田原市を視察してきました。生活保護行政におけるジャンパー事件の検証を行い、改善の方向性を打ち出しました。
その検証報告書の中の一節を紹介します。
「市民目線で見れば、『おかしい』と思えることが全庁的に起きていないか。自分たちは市民を支えるためにサービスしているかについて、改めて検証していく必要がある」
「なぜ、地方自治体が存在するか。それは、人々が生きるため暮らすためのニーズを満たし、現在の、そして未来の不安から人々を解き放つためである。なぜ、行政は市民と向き合うか。それはできないことを説明するためではなく、・・・・地域に生きる人間と人間のほころびをなくし、喜びと悲しみを分かち合うプラットホームをつくる為である」 このような姿勢であってほしいものです。
以上、この場からの質問とします。
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《藤澤財政部長答弁》
市税滞納による自動車の差押さえについてでありますが、これまで、市税の納付相談においては、納税意欲の向上に結びつけるべく、納税者に寄り添った相談を行って来たところであります。
しかしながら、今回の案件につきましては、納税者の方と、複数回にわたる納付相談を行ってきた中で、年度間の課税額の増加に応じた分割納付の説明などが不十分であったことから、結果として、今後の生活に不安感を抱かせるとともに、市に対する信頼を失いかねないことになったものと深く反省しているところでございます。なお、その後の納付相談におきまして、自動車の差押えや使用許可を含め、納税者の方のご理解を得て、分割納付を行っていただいているところでございます。
今後における納税者の方への姿勢についてでありますが、滞納整理を進めるにあたりましては、法令や「盛岡市滞納処分執行停止に関する要綱」に基づき、税の公平性を担保しながら、納税者の方への説明を丁寧に行うことにより、納税への意欲を高めていただくことが大切であると認識しております。今後におきましては、野洲市など他都市の事例などを参考とし、新たに「納税者対応マニュアル」を定め、職員の対応を統一するとともに、「納付相談対応事例集」を作成し、職員のスキルアップを図りながら、納税者の方に信頼いただけるよう、組織を挙げて、適切で質の高い納付相談に取り組んでまいります。
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