2018年12月定例会 鈴木努議員の一般質問

 
質問項目 (クリックするとジャンプします)
1、保育について
(1)保育の 「無償化」について
  基本的な見解
   具体的な課題
   給食費
   認可外施設、その他の施設
  市財政効果と活用
(2)園長会の要望事項について
2、国民健康保険事業について
 高すぎる国保税現状への認識、市の水準は
 協会けんぽ並みへ、国の負担増を
 均等割~子どもの均等割り軽減を
 基金活用の保険税引き下げを

3、障がい児通学支援の実施を

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 質問  答弁
1、保育についてお伺いします

≪「無償化」に対する基本的な見解≫

 来年度10月から保育・幼児無償化が実施される予定となっています。この無償化については、国、自治体側との話し合いが行われ、その中でも様々な問題や意見が出されています。以下、この無償化におけるいくつかの点について質問します。

 1つは、財源を消費税にしているという点です。消費税を現在の8%から10%に引き上げると約5兆円の税収となります。元々はそのうち5分の1を社会保障の充実に使い残りは財政再建に使うとしていましたが、それを無償化、子育て支援、介護人材の確保などと財政再建に概ね半分ずつ使うとして、無償化を実現するとしています。そもそも2012年6月の3党合意によって、消費税の引き上げで社会保障の充実に必要な財源を確保すると決められました。新制度によって新たに必要となる財源も消費税率の引き上げに求めるということになりました。これを基本とすると無償化をはじめ保育の充実するための新たな財源を確保していくには、消費税の引き上げをしなくてはなりません。消費税の引き上げを避けようとすると、保育充実のための予算が確保できない問題が生じます。税には、他にも法人税や所得税、相続税など消費税以外の税金もたくさんありますが、社会保障の財源と消費税をリンクさせたところに大きな問題があります。

 2つ目には、無償化の恩恵が所得が高いほど、大きくなるという点です。国が定める利用者負担額でみると、世帯年収が1200万円の場合は年額で121万2000円、これが無料となります。年収の70%を消費する場合、2%の増税で16万8000円の負担増となります。差し引き104万4000円の負担減です。同様に世帯年収が800万円の場合には、年間保育料が69万6000円で56万8000円の負担減、年収の80%を消費する場合、12万8000円の負担増で、差し引き56万8000円の負担減。世帯年収が400万円の場合には、無料になる年間保育料は32万4000円で、年収の90%を消費する場合7万2000円の負担増で、差し引き25万2000円の負担減となります。保育料は応能負担となっていますが、それを無償化することによって所得が高いほど恩恵が大きくなるという問題です。

 3つ目には、認可外保育の無償化を行うと、認可外保育施設の固定化が進み保育環境の全般的な改善が遅れるのではないかという点です
 無償化を歓迎する声がある一方で、課題や問題も多くあると思いますが、今回の保育無償化における市長のお考えと、この間、中核市市長会等でも無償化に係る提言等国に対し、意見を上げてきたと思いますが、自治体としての課題についてどのような意見を上げてきたのかお知らせください。
《藤澤子ども未来部長答弁》
 幼児教育・保育の無償化についてでありますが、議員ご指摘のとおり、消費税を財源に充てることや、認可外保育施設における保育環境の改善等の問題はありますが、子育て世代の経済的な負担軽減を図ることが、重要な少子化対策の1つであると期待しているところであります。

 次に、課題に対しての意見についてでありますが、無償化に係る財源については、地方消費税の増収分を充てることなく、国の責任におい全額を国費で確保すること、
 認可外保育施設等の無償化については、指導監督基準を満たした施設に限定すべきであり、「5年間の経過措置」を設けることについては再検討することなど、全国市長会を通じて、要望しているところであります。

≪「無償化」 具体的な課題について≫

その他、現時点で無償化に係るいくつかの点について質問します。

 1つは、給食費に関してです。
 政府は、保育・幼稚園の無償化をめぐって、給食費については、現行の負担方法を見直し、無償化の対象としない方針を固めました。現行のままで保育料を無償化すると給食費の負担について保育所と幼稚園に格差が生じるためですが、有識者会議の中では、幼児教育、保育関係者から「給食は教育・幼児教育の一環。どの施設でも給食費は無償化するべき」との意見が出されています。無償化といいながら負担が増える世帯も出かねない見直しとなっていますが、この点については当市ではどのようにお考えでしょうか、給食費も含め完全無償化にしていく必要があると思いますが、いかがでしょうかお伺いします。

 また今回の無償化では、認可外保育も対象となっていますが、認可外保育所における実態の把握や当該施設に対する指導監督、更なる保育の質の向上について市としても取り組まなければいけない点もあると思いますが、認可外保育所における安全確保や保育の質の向上に向けた対応についてどのようにお考えかお知らせください。また認可外保育施設以外に病児・病後児保育施設など他の施設についてどうなるものでしょうか。他に無償化が実施される予定の施設はあるものかお示しください。















≪市財政への効果と活用≫
 現在の保育料は、政府が保育料の上限額を決め、それを上限として、市町村が実際に徴収する保育料を決めています。上限額が高いために市町村が決める保育料は概ね、上限額よりも低くする場合が多くなっています。今回3歳児以上の保育料が無料となりますが、予算的に政府が保障するのは政府が定める上限額となっていることから、これまで市町村独自に行ってきた保育料の軽減は不要となります。
 これらの財源については、引き続き、保育士の確保や保育環境の改善など子育て支援の財源として使えると思いますが、いかがでしょうか。幼児無償化によって生み出される財源について当市ではどの程度見込んでいるのか、またその使い道についてどのような検討がなされているのか、お知らせください。
 《藤澤子ども未来部長答弁》食費についてでありますが、給食費が無償化の対象から除かれ、自己負担が原則とされたことにより、3歳以上の一部は、給食費の負担額が現在の保育料を上回り、結果的に、新たな費用負担が発生する世帯もあると思われますが、このことは、幼稚園と保育園の取扱いを統一し、公平性を持たせたことによるものと認識しております。
 次に、給食費も含めた保育料の完全無償化についてでありますが、子育て世代の負担を更に軽減することになるものと存じますが、国におきましては、保護者から実費徴収している通園送迎費や食材費などの経費は、無償化の対象から除くということを基本としており、また、保育所ごとに金額が違うことから、無償化に当たりましては、不公平感が生じないような制度設計が必要であると存じております。



 認可外保育施設における安全確保や保育の質の向上に向けた対応でありますが、開設の事前相談等の際には、施設の状況や保育士の雇用状況など、必要な指導や助言を行っております。
 また、開設後も現地確認を行い、保育環境が適正かどうか、指導や助言を行うとともに、指導監督基準を満たすよう年1回の立入調査を実施し、安全確保や保育の質の向上に取り組んでいるところであります。
 無償化の対象となる認可外保育施設は、指導監督基準を満たしていない場合でも5年間の経過措置を設けることとしておりますが、市といたしましては、適正な保育環境の改善は必要と存じますので、今後におきましても、開設相談や現地確認の際は、より細やかに指導・助言してまいりたいと存じます。
 次に、病児・病後保育事業についてでありますが、保育の必要性が認定され、保育施設等を利用していない場合に限りますが、利用料が無償化の対象となるものであります。
 また、同様に保育の必要性が認定され、保育施設を利用していない場合に、一時預かり事業やファミリー・サポート・センター事業などを利用した場合の利用料が無償化の対象となるものとなっております。


 無償化によって生み出される財源についてでありますが、無償化の施策に必要な財源に係る国、県、市の負担割合については、調整段階ではありますが、市が独自で行ってきた保育料の軽減分を含め、生み出される財源は、有効に活用できるよう検討してまいりたいと存じます。
 次に、生み出される財源の見込みについてでありますが、9月に、市が独自に行った保育料の軽減額を無償化の導入前と後で試算したところ、年間で約5億4千万円ほどになりますが、現時点で、無償化の施策の負担割合などの制度設計や必要な事務費など、詳細について不明な点が多いことから、生み出される財源については、まだ見込めていないところであります。
 次に、無償化によって生み出される財源の使い道についてでありますが、本市におきましては、「みんなが支える子ども・子育て安心プロジェクト」を総合計画の戦略プロジェクトに位置づけており、これまでも重点的な予算配分に努めているところでありますが、今後におきましても、若い世代や子育て世代が希望を持って子どもを生み育て、盛岡に住み続けたいと思っていただけるように、施策の充実に努めてまいりたいと存じます
 この項の最後に過日行われた教育福祉常任委員会で行われた園長会との懇談で出された意見と市の対応についてお伺いします。当日の意見交換会では、「すべての子どもが将来に希望をもつことのできるまち盛岡」というテーマで保育士確保の問題や施設職員の感染症予防対策等保育所を取り巻く様々な課題について意見交換がなされました。その中で、「保育士確保対策として国が様々なメニューが提示されており、実施の要望をしているがほとんど実施されていない」との声でした。当市では、今年度から宿舎借り上げ支援制度が開始されましたが、そのほかにも多くのメニューが提示されています。保育補助者雇上事業など保育士の仕事の負担軽減のための事業など実施に向け検討いただきたいものもありますが、なぜほとんどのメニューが実施されない状況となっているのか。懇談会の場では、県との関係もあるとのお話でしたが、市では県に対しての働きかけなどは行っていないものでしょうか、お伺いします。 《藤澤子ども未来部長答弁》 国の保育士確保対策のメニューが実施されていない理由についてでありますが、市においては、保育士確保の取組について、盛岡市保育所協議会から意見を伺いながら、検討を進めてきたところであり、まずは、新規雇用につながる「保育士宿舎借上げ支援事業」の要望を受け、取組を始めたところでありますが、他の事業については、具体的な要望が挙がらなかったところであります。
 今後におきましても、保育人材の確保について、保育所協議会からご意見を伺うとともに、国の保育士確保対策のメニューなど、他都市の取組を研究し、有効な取組を検討してまいりたいと存じます。
 また、県が実施主体となることで保育士確保の有効な事業になると考えられる場合は、実施について県への働きかけを行ってまいりたいと存じます。


 
 国民健康保険についてお伺いします。

≪高すぎる国保税への認識と市の水準≫
 
今高すぎる国保税が制度の構造的な危機となり、医療保険制度としての持続性を揺るがしています。全国では、保険税を払えず滞納している世帯は289万人となっており、全加入世帯の15%を超える状況となっています。全日本民医連の調査では、無保険になり、生活の困窮などで医療機関の受診が遅れたため死亡した事例が、昨年1年間で63人にのぼるという深刻な事態も生まれています。
高すぎる国保税が住民の暮らしを苦しめているだけでなく、国民健康保険制度の根幹を揺るがしています。全国知事会、全国市長会、全国町村会などの地方団体は、加入者の所得が低い国民健康保険が他の医療保険より保険料が高く、負担が限界になっていることを「構造的な問題」であると指摘し、制度を維持可能とするためには、被用者保険との格差を縮小するような抜本的な財政強化が必要だと主張しています。日本医師会などの医療関係者も制度を守るうえで低所得者の保険税を引き下げ保険証の取り上げをやめるよう求めています。

 政府の試算では、中小企業の労働者が加入する協会けんぽの労働者が加入する協会けんぽの1.3倍、大企業の労働者が加入する組合健保の1.7倍という水準です。当市の国民健康保険税と協会けんぽの岩手県支部保険料の個人の負担の比較では、例えば、4人世帯で年収が400万円(就労者1人、子どもが2人)で夫婦とも40歳未満の場合、国保税の年額が40万円であるのに対し、協会けんぽは、20万736円で、国保税は約倍の負担となっています。

 国民の4人に1人が加入し、国民皆保険制度の柱を担うべき国民健康保険制度が他の医療保険制度に比べて、重い負担を強いる制度となっています。高すぎる国保税の問題を解決することは、住民の暮らしと健康を守るためにも制度の持続可能性にとっても重要な課題であると考えますが、現在の国民健康保険制度に対する市長の認識についてお伺いします。また当市における現在の国保の加入世帯の所得に対する国保税の負担割合はどの程度となっているものでしょうか、お示しください。

≪協会けんぽ並みに引き下げへ国の負担増を≫

 国保税が協会けんぽ等の被用者保険と比べて著しく高くなる大きな要因となっているのが国民健康保険にしかない「均等割」、「平等割」という保険料算定です。

 他の保険料は、収入に保険料率をかけて計算するだけで、家族の人数が保険料に影響することはありませんが、国保税は所得に保険料率をかける「所得割」、固定資産税の額に応じてかかる「資産割」の他に世帯の数に応じてかかる「均等割」、各世帯に定額で係る「平等割」を合算して算定されます。この仕組みが、低所得世帯や家族が多い世帯を重い負担にしている最大の要因となっています。

 この構造的な問題を解決するには、公費を投入する必要があります。全国知事会、全国市長会、全国町村会は、国保の定額国庫の増額を政府に要望し続けており、2014年には公費を1兆円投入して、協会けんぽ並みの負担率にすることを求めています。

 そもそも国民健康保険制度がスタートした当初、政府は、国民健康保険の被保険者に低所得者が多いことや保険料の事業種負担がないことなどの理由から、相当額を国庫が負担する必要があると認めていましたが、1984年の法改定で定率国庫負担を削減したのを皮切りに国庫負担を抑制し続けてきました。

 国保加入者の構成もかつては、7割が「農林水産業」と「自営業」でしたが、今では、43%が「無職」、34%が非正規雇用などの「被用者」で合わせて8割近くとなっています。国保加入者の貧困化・高齢化が進む中、国保税の高騰が止まらなくなっています。この事態を打開するためにも全国知事会等が要望している「1兆円の国庫負担増」を実現させ、国保税の負担を「協会けんぽ」並みにしていく必要があるとおもいますが、いかがでしょうか、また、引き続き国庫負担の増額について国への働きかけを強く行っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか、お伺いします。

≪「均等割」~子どもの~軽減を≫

 全国では、今独自に「均等割」の軽減を行っている自治体が増えてきています。仙台市は、今年の4月から子どもの「均等割」を3割減額しました。また旭川市では、18歳未満の子どもの均等割りの軽減を行っています。そもそもこの「均等割」は、人の頭数に応じて課税する人頭税であり、この人頭税は古代に作られた制度で、人類史上最も過酷な税制とされています。それが現代の公的医療保険制度に残されていること自体、時代錯誤の仕組みだと思いますが、この「均等割」についてどのようにお考えでしょうか、お伺いいします。また子育て支援に逆行するこの制度の軽減について、子育て施策を重点とする当市としても軽減を行っている他都市の例に倣い軽減措置を実施していく必要があると思いますが、いかがでしょうか。お伺いします。





≪基金活用による国保税引き下げを≫

 今年の4月からこれまで市町村ごとに分かれていた国保の財政を都道府県に集約する「国保の都道府県化」がスタートしました。この最大の狙いは、市町村がこれまで一般会計から国保会計に繰り入れて行っている自治体独自の軽減策をやめさせ、その分を保険税にきk転嫁することと、差し押さえなどの収納対策強化や病院統廃合などによる医療費削減なども推進するとしています。都道府県のこうした取り組みを国が採点し、成績の良い自治体に予算を重点配分する「保険者努力支援制度」も導入されました。

 こうした政府のやり方を一緒になって推進していくのか、住民をまもるのか、当市の役割も問われています。
厚生労働省は、「都道府県化」実施後も「一般会計からの繰り入れは自治体の判断でできる」「生活困窮者への自治体独自の軽減は問題ない」との認識を示しています。住民を守る立場に立ち、一般会計からの繰り入れや基金の取り崩しによる国保税の引き下げについて実施できないものでしょうか、お伺いします。また今年度の国保会計の基金の積み立ての見通しはどうなっているでしょうか、お知らせください。
《谷藤市長答弁》 国民健康保険の負担に対する認識についてでありますが、国保制度は、急速な高齢化の進展や低所得世帯が多いこと等、構造的な問題が近年顕著になってきたところであります。
 国保の負担につきましては、被保険者の方々の所得水準の幅が広いことから、特に低所得者層への一定の配慮がなされておりますが、他の保険制度に比べ、所得に占める負担割合が高い状況になっているものと認識しております。

《伊勢谷市民部長答弁》
 本市における現在の国保加入世帯の所得に対する税負担の割合についてでありますが、平成30年1月時点での集計になりますが、一世帯あたり平均で課税額は14万2,642円となっております。一世帯あたりの平均所得額は、30年度の当初賦課時点で、154万3,711円となっておりますことから、所得に占める割合は、約9.2%となっており、全国平均より低い水準となっております。

























《谷藤市長答弁》
 国保負担割合を協会けんぽ並みにすることについてでありますが、国保への国庫負担を増額することは、他の医療保険制度との負担の均衡を図る上でも、一定の効果があるものと存じております。
 次に、国庫負担の増額についての国への働きかけについてでありますが、国保制度は、我が国の国民皆保険制度の最後の砦として、基盤的役割を果たしており、今般の都道府県化において、国が毎年3,400億円の公費を投じることになりましたことは、全国市長会等を通じて、国保財政の基盤強化について、長年にわたり行ってまいりました要望活動の成果と存じており、国保制度が将来にわたって安定的で持続可能なものとなるよう、引き続き要望してまいりたいと存じます。



























《伊勢谷市民部長答弁》
 「均等割」についてでありますが、協会けんぽ等の保険料は、一般に所得に応じて徴収されますが、国保の場合、住民相互の支え合いで運営するため平等に負担を負うことや、職業が多岐にわたるため負担能力の測定が困難であることから、受ける利益に応じた均等割の考え方が導入されたものとされております。税負担の公平性や持続可能な制度とする観点から、一定の受益者負担は必要であると認識しておりますが、均等割及び平等割の軽減制度における所得要件の緩和等、低所得世帯に対する措置が拡充されるよう、引き続き全国市長会等を通じて要望してまいりたいと存じます。
 次に、子どもの均等割の軽減措置についてでありますが、少子化対策の観点からは、市民全体を対象とした市独自の様々な取り組みを進めており、国保制度における子どもの均等割につきましても、医療保険制度間の公平性を確保し、子育て世代の負担軽減を図るため、国による財源措置を含めた軽減制度を創設するよう東北市長会や全国市長会を通じて要請しておりますことから、引き続き、国に対し要望してまいります。

 一般会計からの繰入や基金の取り崩しによる国保税の引き下げについてでありますが、国保を取り巻く環境は今後も厳しさを増すことが想定されておりますことから、市民が安心して医療が受けられる機会を確保するため、医療費適正化対策の強化や交付金等保険税以外の財源の積極的な確保に取り組むほか、積み増しを行ってまいりました国民健康保険事業財政調整基金を活用すること等により、現状の保険税率を少しでも長く維持できるよう努めてまいります。
 次に30年度末の国民健康保険事業財政調整基金の残高についてでありますが、現時点における見込は、18億8,749万2千円となるものでございます。
 障がい児の通学支援についてお伺いします。

 私どもの会派では、過日放課後等デイサービス事業に取り組んでいる団体の方々と懇談を行い、そこで当市では障害児に対する通学の支援がなく、保護者が大変苦労しているとの訴えがありました。この間の議会の中でもこの通学支援について取り上げてきましたが、再度この問題について質問いたします。

 私どもの会派では、先月、通学支援を実施している枚方市を視察してきました。枚方市では、障害者総合支援法に基づく地域生活支援事業の中の、移動支援事業に位置づけ、「移動支援」とは別建てで「通学支援」に特化した事業を2012年10月から実施しています。

 総合支援法によるサービス体系は、「自立支援給付」と「地域支援事業」が柱となっており、「自立支援給付」はどこの自治体でも同じメニューが提供される一方で、「地域生活支援事業」は、実施主体が市町村となっており、市が取り組むべきサービスは、理解促進研修や啓発、相談支援などが示されていますが、取り組むべき内容は地域の実情に応じて運用する制度となっており、自治体によってサービスのメニューや利用料などを決め運用されています。枚方市では、その「地域支援事業」の中に通学支援を取り入れています。

 枚方市がこの通学支援事業を実施しようとした背景については、平成18年の障害者自立支援法が導入されるまでは、支援費制度で国が移動支援などを提供していましたが、通年利用ができない制度であり、通学は通年で継続的に利用する必要があることから移動支援の対象とはなっていませんでした。

 障害者自立支援法が導入された平成18年から各市の状況により、運用が可能となり、障害をもつ子どもの保護者からも送迎についての相談も寄せられ、困っている方が誰でも利用できる制度が必要だということで通学支援事業が始められました。

 そこには、福祉と教育の分野での線引きが難しいという課題もあり、福祉サイドからすれば、通学支援は学校制度の中の問題ではないかという考えと、一方で教育の側からは「門から中が学校教育」という考えがあり、通学支援が宙に浮いた状態となっていましたが、それでは、根本的な問題の解決にならないからとそこを穴埋めする制度が必要とのことで開始された制度で、まさに、困っている方、住民の立場に立って制度が実施されたものだと感じたものです。このような姿勢は、通学支援に限らず他の分野での同様のことが言えると思いますが、当市でも枚方市のように困った方や住民の方にいかに応えていくか、その姿勢は大切であると思いますが、市長のお考えをお聞かせください。

 また今回の通学支援についても総合支援法の地域生活支援事業の移動支援に位置付けられていることから当市でも実施可能な事業であり、盛岡市の地域の実情にあった制度の創設について早急に検討していくべきと思いますが、いかがでしょうか。
《谷藤市長答弁》
 困っている住民の声にいかに答えていくかについてでありますが、障がい福祉の分野におきましても、盛岡市身体障害者協議会、盛岡市手をつなぐ育成会及び盛岡市精神保健福祉連絡会など、多くの障がい者関係団体と市が直接意見交換できる場を設けておりますほか、「岩手県重症心身障害児・者を守る会」など、障がいを持つ方の家族会からも提言をいただくなど、貴重な御意見を頂戴し、施策の参考とさせていただいているところであり、現在の相談支援体制の強化等に結び付けてまいったところであります。
 今後におきましても、様々な分野の声に耳を傾け、盛岡市総合計画において基本目標に掲げております「人がいきいきと暮らすまちづくり」の実現にむけて、市政に反映させてまいりたいと存じます。

《村上保健福祉部長答弁》
 障がい児の通学支援についてでありますが、地域生活支援事業を活用して、既に実施している自治体の取組事例の紹介もされておりますし、状況をお聞きしたところからは、取組の成果が上がっている旨の回答をいただいたところであります。
 
 事業の検討にあたりましては、先ずは、どれくらいのニーズがあるのか把握する必要がありますことから、現状を良く知る放課後等デイサービスの事業者から話をお聞きし、盛岡市自立支援協議会などの御意見も伺いながら、利用者のニーズ調査や、通学支援事業を始めるとした場合の事業者の参入意欲の調査など検討してまいりたいと存じます。