2018年9月定例会 庄子春治議員の一般質問

 
質問項目 (クリックするとジャンプします)
1、市長の政治姿勢~憲法観について
 9条改憲について
 13条否定の国会議員発言LGBT支援
2、市長の政治姿勢~民営化への見解
 水道事業の民営化
 「官から民へ」の見直しを
3、ごみ処理広域化~2か所の候補地の問題点
 盛岡インター付近
 都南工業団地付近
4、子育て支援について
 放課後等デイサービス
 見前小児童センター整備
 中学生部活、全国大会出場への支援

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 質問  答弁
≪庄子春治≫
 市長の政治姿勢について伺います

 憲法観について、二つの側面から伺います。

 その一つは憲法9条についてです。
安倍首相は、8月12日の講演で「自民党として憲法改正案を次の国会に提出できるように取りまとめを加速すべき」と表明しました。
9月4日、5日の新聞のインタビューに答えて、改憲の発議をしないのは「サボタージュ」「責任放棄」だなどとも発言しています。9月3日の自衛隊幹部の会合では「自衛隊員が強い誇りを持って任務を全うできる環境を整える」と憲法9条に自衛隊を書き込むという持論を前提に宣言しました。
公務員の憲法遵守義務を逸脱し、憲法9条を攻撃し、9条改憲へ前のめりになっていることを自ら示すものではないでしょうか。谷藤市長の見解を伺います。

今年は「平成」最後の年です。明治、大正、昭和と続いた戦争が、このまま推移すれば「平成」では、それがないことになります。
 8月15日の戦没者追悼式で、退位を来年4月末に控え、天皇として迎えた最後の終戦の日の「お言葉」に「戦後の長きにわたる平和な歳月に思いを致しつつ」との新しい表現が盛り込まれたことが話題となっています。過去の戦争に対する「深い反省」という言葉が続いています。
 一方安倍首相の式辞には過去の戦争への「反省」も「謝罪」もないのです。過去の戦争への反省のない首相が旗を振って憲法9条を変えようとしていることの危険は深刻です。「平成」の次の時代にまた戦争の歴史が書き加わることになっていいのかが問われているのではいでしょうか。

8月に放送されたNHKの番組は、戦争の『惨禍』を多面的に伝えました。
「戦慄の記録 インパール」「ノモンハン 責任なき戦い」は、無謀な戦争で無駄に命を奪われた軍人・軍属の悲劇と戦争指導者の無責任さを告発。
民間船7340隻が沈没し、死者6万643人が犠牲となった悲劇を伝えた「船乗りたちの戦争」、12万人超の戦争孤児がなめた辛酸を伝えた「『駅の子』の闘い~語り始めた戦争孤児」、さらに 「祖父が見た戦場~ルソン島の戦い~20万人の最期~」「届かなかった手紙 時をこえた郵便配達」。それぞれ、戦争がいかに不条理なものか、そしてその結果がどれほどの不幸を人々に強いるのか。より深く人々の心に届くものでした。
市長は、これらのドキュメンタリー番組をご覧になられたでしょうか。もしご覧になられたとしたらどのようなご感想をおもちになったかお聞かせください。
「戦後の長きにわたる平和な歳月」は、この戦争の惨禍への反省に立ってつくられた日本国憲法の恒久平和主義と、その具体化である憲法9条によるものではないでしょうか。
この憲法9条は、変えるのではなく、守り生かすべきではないでしょうか。市長の見解を伺います。
【市長答弁】
 庄子春治議員のご質問にお答え申し上げます。
 はじめに、安倍首相の憲法9条改正に向けた一連の発言についてでありますが、これらの発言は、自民党総裁選への立候補に向けて、自らの考え方を示したものであると認識しており、公務員の憲法遵守義務を逸脱するとまでは言えないのではないかと存じております。
 次に、ご質問にありました戦争に関するドキュメンタリー番組につきましては、全てを見た訳ではありませんが、当市におきましては、憲法の基本原理である恒久平和の実現に向けて「非核平和都市宣言」を行っているところであり、今後も、引き続き、戦争の悲惨さと平和の尊さについて、各種事業を通じて市民の皆様に訴えてまいりたいと存じます。
 次に、憲法9条は守り生かすべきではないかについての見解でありますが、憲法9条は現行憲法の平和主義の原則を具体的に表したものであり、我が国がこれまで国際社会の中で平和国家としての信頼や実績を築くことに大きく貢献してきたものと存じておりますことから、平和主義の理念がしっかりと堅持されるべきであると存じております。
 


もう一つが、「個人の尊重」をうたった憲法13条を真っ向から否定する議論についてです。
 自民党の杉田水脈衆議院議員が月刊誌に「LGBTのカップルのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子どもをつくらない、つまり『生産性がない』のです。」と寄稿しました。
 憲法第13条は、「すべて国民は、個人として尊重される」と規定しています。この「個人の尊重」こそが、日本国憲法の「基本的人権の尊重」「国民主権」「恒久平和主義」の大元の原理です。
 水田議員の発言は、LGBTを攻撃し、性的志向による差別を助長する発言であり、「生産性」で人間の価値を判断し、憲法が定める自己決定権、個人の尊厳を否定するものです。
憲法13条を否定する暴言だと言わなければならず、国会議員の発言として「個人の見解」では済まされないのではないでしょうか。
日本政府は2008年6月、「性的志向と性自認に基づく差別を撤廃する措置を求める国連人権理事会勧告」を受け入れています。にもかかわらず、菅官房長官は「国会議員の発言に政府としてコメントしない」と不問に付し、自民党は、のちに「注意」をしたとのことですが、幹事長が「いろんな人生観もある」と擁護しました。これも異常なことです。
こうした発言は、性的マイノリティにとどまりません。「生産性」によって国民を差別するものであり、人間の能力に優劣をつける「優生思想」に連なる考えではないでしょうか。
市長は、杉田衆議院議員の発言と、政府、自民党の一連のコメントなどについてどのようなご見解をお持ちでしょうか。

 私は、昨年の3月議会の代表質問において、LGBTと言われるいわゆる性的少数者の方々の人権尊重と市の支援策について質問しました。市長は、「先進事例の調査・研究を行っている」「具体的な支援策を進めるに当たっては、性的少数者の人権に対する市民の皆さんのご理解が不可欠」だ、とし、「啓発事業と並行しながら、本市にふさわしい支援の形を検討してまいりたい」と答えていますが、どのように検討され、どのように支援策を具体化されようとしているのか伺います。
【市長答弁】次に、杉田衆議院議員のJGBTに関する発言及び政府、自民党の一連のコメントへの見解についてでありますが、同議員の発言は、人権が尊重され、性的な多様性を受容する社会の実現が求められる中、国会議員として配慮を欠いた発言であったと遺憾に存じております。また、自民党においては、去る8月1日にホームページを通じて、同議員の発言に関して、「問題への理解不足と関係者への配慮を欠いた表現があり、十分に注意するよう指導した」とのコメントを掲載し、また、安倍首相も、8月2日に記者団に対して、同議員の対応は不適切であったとの認識を示したところであり、憲法13条掲げる個人の尊厳につきましては、最大の尊重がなされるべきものと存じております。

 次に、性的少数者の方々への市の支援策についてでありますが、これまで、性的少数者の人権尊重につきましては、市民の皆様の理解促進に向けて一層の啓発を進めるため、「盛岡市男女共同参画推進懇談会」や「もりおか女性センター」の利用者などから意見を伺いながら、LGBTに関する講座を実施するとともに、関連団体への活動場所の提供や市民団体支援事業による活動支援などを行ってきたところであります。
 また、平成30年3月には、LGBTの特集を掲載した「男女共同参画情報紙“あの・なはん”」の全戸配布を行い、意識啓発の強化に努めたところであります。
 今後におきましても、あらゆる場面において多様性を尊重し、誰もが性別に関わりなく、一人ひとりの個性と能力を十分に発揮できる持続可能な社会の実現に向け、平成31年度に「第2次盛岡市男女共同参画推進計画」の見直しを予定しておりますことから、引き続き、性的少数者などの人権尊重も含めた、多様性の相互理解につながる環境整備に努めてまいりたいと存じます。
 次に、水道事業の「民営化」について伺います。先の延長国会で水道事業の広域化と民間参入の促進を図る水道法改正案が継続審査になりました。公共サービス市場化の流れが、いのちの水にまで及んだかということです。
法改正案は水道法の目的を「基盤強化」の名のもとに、民営化・広域化を自治体に押し付けるものです。
果たしてこの水道法改正案は自治体と市民にどれだけのメリットがあるのでしょうか。もともと水は命の源であり住民福祉のおおもとの一つです。「産業化」によって「商品」とし、民間の儲けの対象にしていいのかがそもそもの議論にあるのではないでしょうか。法改正案の内容を見ると、コンセッション方式の導入で、施設は自治体所有のまま、もうけは民間に、リスクは自治体と住民がおうという構図です。広域化については、国が基本方針を策定し、県がそれに沿って計画を立て、上からトップダウンで進めることになるのです。
 世界では、サッチャー政権の下で水道の完全民営化されたイギリスをはじめ「再公営化」が世界の流れになっています。
谷藤市長は、この水道法改正案とそれに示された、広域化と民営化についてどのような見解をお持ちでしょうか。



「規制改革」路線の見直しを
 公的サービスの縮小と「民営化」路線は、新自由主義の規制改革路線と相まって「行政改革」の手法とされて推進されてきました。この「規制改革」路線が何をもたらしてきたか。
 一言でいえば異常な貧富の差の拡大です。2017年度の法人企業統計で、大企業の内部留保が16年度より22・4兆円増えて425・8兆円となった一方、従業員の賃金は16年度に比べ5万4000円の減額となりました。ここに典型的に現れています。法人税減税をはじめとしたアベノミクス(安倍政権の経済政策)による優遇政策によって、大企業は利益を拡大し続けている一方、労働者の非正規化が進み、働く人、国民には先が見えず、貧困の拡大が進んでいるのです。
この「規制改革」路線の見直しが求められているのではないか、市長の御所見を伺います。









「官から民へ」の見直しを
 谷藤市政においても、誕生当初から「官から民へ」のキーワードに「行政改革」を進めてきましたが、その弊害も顕在化してきているのではないでしょうか。
 民間委託可能事業の候補に「学校給食」を掲げ、学校給食に「できるだけお金をかけない」とする姿勢が、中学校給食において最終的に選択性弁当方式を選択させたのではないか。




 





 保育園全園民営化の根拠は「民営化によって生み出される財源を子育て支援に」というものでしたが、結局、保育士に係る人件費の削減そのものだったのであって、今日の保育士不足につながった考え方ではなかったか。











 指定管理制度では、そこにおいて働く人の待遇がどうなっているか。市の出資する外郭団体では、そこに働く人の8割以上が「非正規」のままで、官制ワーキングプアを生み出しているのではないか。
 これらについての反省と見直しが必要ではないかと思うのですがいかがですか。

【市長答弁】次に、水道法の改正案に対する見解についてでありますが、水道法の一部を改正する法律案においては、水道の基盤強化を図ることを目的に、国・都道府県・市町村の責務の明確化、広域連携や官民連携の推進などが盛り込まれているところであります。
 このうち、官民連携の推進については、今後ますます進む人口減少に伴う水需要の減少、水道施設の老朽化、深刻化する人材不足等に対し、各事業体の実情に合わせた施策の幅を広げるものと存じております。
 一方、水道事業は市民生活に直結する極めて重要なライフラインであり、水道水の持続的な安定供給は必要不可欠でありますことから、当市におきましては、現在の経営状況等を踏まえると、直営による事業推進を基本に、今後とも、安全で安心な上水道の供給を目指してまいりたいと存じます。
 また、広域連携の推進につきましては、今後、減少が予測される水需要を踏まえると、より一層の効率的で効果的な事業運営が必要となっており、その対策の一つと存じているところであります。
 市においては、現在、県が中心となり、八幡平市、滝沢市、雫石町、岩手町、矢巾町の盛岡広域6市町で、今後の方向性を検討しているところでありますが、他都市事例や課題等も踏まえながら、事務の共同化など幅広い視点を持ちつつ検討する必要があるものと存じます。

 次に、「規制改革」路線の見直しについての所見についてでありますが、規制改革により、これまで、保育所への民間参入や、電力の小売自由化などをはじめとした規制緩和がなされ、多様な主体による、今日の保育ニーズに対応した魅力あるサービスの提供が可能になったほか、競争原理の導入により、電気料金が下がるなど、市民サービスの質の向上や、自由化による経済活動の活性化など、成果を上げ得たものと存じております。
 一方、規制改革の流れの中で、労働市場の規制緩和・自由化が、契約社員や非正規労働者の増加の一因となり、いわゆるワーキングプアが増加したとの指摘や、一定規模以上の店舗の出店についての規制緩和が、中心市街地の衰退を招いたなどの指摘があるものと存じております。
 安倍首相は、6月4日に開催された「第34回規制改革推進会議」において、「規制改革こそ、アベノミクスのメインエンジンである。」と述べ、規制改革に全力で取り組む姿勢を示しておりますが、規制改革は、社会の様々な面で、サービスや利便性の向上、効率化、イノベーションが図られる一方で、国民生活への様々な影響が懸念されますことから、安倍政権には、規制改革に伴う痛みにも十分配慮するとともに、多様な国民の声に耳を傾けていただきたいものと存じております。

【教育部長答弁】
 中学校給食に選択制方式を採用したことについてでありますが、給食自由選択方式については、「弁当持参を希望する生徒、あるいは食物アレルギー等による食事制限のある生徒への配慮を重要視しながら、生徒自らが食生活や健康の状況を判断し選択するといった自己管理能力の育成にも着目し、学校給食と家庭からの弁当持参とを生徒自らが選択できる「給食自由選択方式」とすることが望ましい」という、有識者や学校関係者等により構成された「中学校給食検討委員会」からの報告に基づき、実施したものであります。
 なお、給食自由選択方式については、現在の事業者以外に受託事業者がいないこと等の課題がありますことから、今後の中学校給食の在り方について、全員喫食による方式も含め、改めて検討を進めているところであります。

【子ども未来部長答弁】 保育所民営化についてでありますが、民政化によって生み出された財源を活かし、保育所の新設等による定員増や保育環境の改善、子育て支援センター事業や病児保育事業などの保育サービスの向上、在家庭児童の育児支援や就学児童の支援策の拡充など、子育てに関する施策全体の充実を図ってきたところであります。
 議員ご指摘のとおり、民営化による定員増や多様な保育サービスへの対応により、新たに保育士が必要になりましたが、今日の保育士の不足は、女性の社会進出などによる保育需要の高まりを受け、全国的に保育の定員拡大の取組が加速化したことで、更に多くの保育士が必要になっていることが主な要因ではないかと認識しているところであります。

【財政部長答弁】
 指定管理者制度における雇用環境の実態と見直しについてでありますが、外郭団体の指定管理施設における被雇用者につきましては、平成30年4月1日において、正職員の割合が15.2パーセント、非正規職員の割合が84.8パーセントと、29年4月に比べ、非正規職員の割合は0.4ポイントの増加と、ほぼ横ばいの状況となっております。
 指定管理施設におきましては、被雇用者の処遇も含め、より良い管理運営の質を確保することが、施設利用に係る市民サービスの向上につながるものであり、そのためには最低賃金が守られるだけではなく、労働契約法等に基づく安定した雇用環境が確保されることが必要であると認識しております。
 したがいまして、引き続き、管理運営のモニタリングや、指定管理者と本市による連絡会議等により雇用環境の実態把握に努めるとともに、指定管理者が自由な裁量で、人件費をはじめ必要と認める経費に振り向けることができる「一般管理費」の指定管理料への計上や、良好な管理運営の実績を有する指定管理者が「指定期間の延長」を受けることにより、施設の被雇用者が長期的に就労できる環境づくりに取り組んでまいります。
 今後におきましては、雇用状況や経済状況に対応した雇用環境を創出する方策について、他都市の事例等も調査しながら、被雇用者それぞれの状況や希望に応じた安定的で良好な雇用環境を確保できるよう努めてまいりたいと存じます。
 次に、市長の政治姿勢にも関わってごみ処理広域化に関する焼却施設建設用地選定について伺います。
4か所の候補地のうち、盛岡インター付近と都南工業団地付近の2か所に絞った、その根拠を改めてお示しください。

 盛岡インター付近について伺います。
市長は過日行われた地域の懇談会の席上、上厨川地区について「有力な候補地だ」と述べられたとのことですが、事実でしょうか。何を根拠にそのような発言をされたのか伺います。

 この地域は組合施行の「上厨川地区土地区画整理事業」の認可を市が取り消したところです。その弱みに付け込んで市主導でこの土地を候補地にしたのではないですか。
 昨年7月に開かれた土地区画整理事業の地権者説明会の席上、市が提案して「ごみ焼却施設の誘致を核とする土地利用」を提案して「了承」を取りつけ、その土地利用の計画については、組合~清算法人とは切り離して、賛成する人たちと協議して進めるということが確認をされているのはないですか。ここには既に、市としてはこの場所に誘致するという意思が示されていたのではないですか。
 ならば、この間のその他の候補地での説明会はなんだったのか。アリバイ作りだったのではないかという疑問さえ出てくるのです。
しかも、昨年10月にはこの地域への建設に反対する要望書が市に提出されています。それを無視してきたのはなぜですか。「一部の反対」であって考慮に入れなくてもよいということですか。

 しかし、この要望書を「一部の反対」と片付けていいのかということです。昨年8月に、二つの町内会長の連名で市に、ごみ処理場の誘致含む要望書が提出されていますが、その一つの町内会の圧倒的多数の住民がこの反対要請書に署名しているのではないですか。こうした事態を受け要望書に署名した、その町内会の当時の会長さんは辞任されているということですが、それは事実ですか。個人として様々なご意見があってしかるべきですし、陳情する権利もあります。

 しかし、それが町内会を代表する意見かどうかは別ではないでしょうか。昨年の要望書は、こうした経緯の下にあったのです。それを無視することは「住民合意」という市の姿勢そのものがごまかしであったということではないですか。ご見解を伺います。
 この地域は、組合施行の土地区画整理事業が破たんし、組合の認可を市が取り消したところです。それには「認可した市の責任も問われるのではないですか。平成7年度から、組合準備会と協議をしてきた市は、この計画の実現性に疑問を持ち、9年間も協議を続けた結果平成16年度の都市計画審議会では「開発の実現性が担保された場合に市街化区域に編入する位置特定保留地区の位置づけ」を解除しているのです。つまり、開発の実現債が担保されていないと判断していた。それが、平成17年度になって、事業認可をした。ところが事業認可の1年もたたないうちに、有力な融資元が撤退し、資金繰りが破たんし、事実上この事業自体の破たんが明白になったのです。事業認可をした市長としてどのような総括をしているのでしょうか。
その責任を脇において、ごみ処理場でまちづくりだと主導するこの姿勢はいかがなものかと思いますが、市長の御所見を伺います。

 都南工業団地周辺についてです。この地域は「賛成も反対もない地域だから」候補地に残したということですが、この地区では、地域からの説明会の要請が先送りされてきていたのです。その後、2か所で説明会が行われたようですが、そのうち一カ所は「2か所に絞った」ことを公表してからのことです。
住民の意見も聞かないうちに「2か所に」絞ったというのはどこにその根拠があったのか。これも「住民合意」はまやかしだったのかとの疑問をぬぐえません。もしや、既に都市整備部主導で盛岡インター付近が本命となっているから、手代森地区には真剣に説明する必要性がないとでも考えていたのでしょうか。伺います。

【環境部長答弁】
 県央ブロックごみ処理広域化に係るごみ焼却施設の整備候補地を盛岡インター付近と都南工業団地付近の2箇所の絞った根拠についてでありますが、平成29年度から開催してきた整備候補地4か所におけるこれまでの説明会開催状況を踏まえますと、「盛岡南インターチェンジ付近」及び「盛岡市クリーンセンター敷地」につきましては、地域住民や関係者からの施設整備に反対する御意見が寄せられていることや、覚書に基づく協議の状況などから、住民説明会、懇談会等を開催することが難しいと判断したものであります。
 一方、「盛岡インターチェンジ付近」において、地域住民の団体から施設整備に反対する要望書が提出されておりますが、「都南工業団地付近」及び「盛岡インターチェンジ付近」いずれの候補地とも、地域から説明会や協議等の要望があるほか、施設整備や地域振興、まちづくり等についての意見が寄せられており、今後も継続して説明会や協議等を実施していく必要があると判断したことから、整備予定地選定に向けて、地域住民や関係者との協議を「優先的に継続実施する候補地」としたものであります。
 次に、上厨川土地区画整理事業が破たんした弱みに付け込んで盛岡インター付近を候補地にしたのではないか、についてでありますが、当該候補地は、土地区画整理事業の経緯とは別に、外部委員で構成する「県央ブロックごみ処理施設整備候補地検討委員会」において、法的規制や災害の影響、アクセスの容易性など客観的な条件による評価や、現地調査を経て、「県央ブロックごみ・し尿処理広域化推進協議会」において整備候補地のひとつとして決定されたものであります。
 次に、その他の候補地での説明会についてでありますが、4か所の整備候補地は、基盤整備や収集運搬に係る経済性に優れ、余熱利用の可能性の高い場所として選定され、いずれもごみ処理施設の整備に適した立地条件でありますことから、施設の整備や地域振興、まちづくり等について地域住民に理解を深めていただけるよう同じ内容での説明を行ってきたものであります。
 次に、反対要望書の考慮についてでありますが、反対理由の中には、臭気に対する不安があることや、収集車両による交通渋滞など、施設の設置に伴う影響が心配であることなどが挙げられております。
 環境への負荷の低減が図られた最新の技術を採用した施設の特徴などを説明することにより、不安・心配を解消していただけるのではないかと考えておりましたが、これまでの説明が十分でなかった面があることも踏まえ、丁寧な説明を行ってまいりたいと存じております。
 次に、ごみ処理施設の誘致を含む要望書を提出した町内会の会長の辞任についてでありますが、任期を残して途中で交代されたと伺っております。
 次に、反対要望書を無視することは「住民合意」をという市の姿勢のごまかしではないか、についてでありますが、土淵地区の代表者の方々と、「土淵地区の均衡あるまちづくり」の進め方について、現在、協議を進めているところですが、反対要望を提出された方々を含め、より多くの住民の方々に御理解を頂けるよう、努めてまいりたいと存じます。
 次に、都南工業団地、手代森地区での説明会についてでありますが、住民説明会の対象については、平成15年の岩手県の通知をもとに、整備候補地周辺500メートルに住居がある町内会の「堀越自治公民館」を対象地域としてきたほか、対象範囲拡大の要望があれば対応することとして説明会を開催してきましたが、範囲が明確ではなかったものと存じております。
 「都南工業団地付近」につきましては、周辺の町内会からの要望を受けて、「堀越自治公民館」周辺の「田の沢」、「沢目」、「新山」の各町内会を対象とする説明会を開催したところでありますが、「新山自治会」の説明会は、全員協議会後の開催となり、参加された住民の方からも御指摘を頂き、配慮が足りなかったものと存じており、「盛岡インターチェンジ付近」と同様に、地域の皆様に御理解を深めていただけるよう、継続して住民説明会、懇談会等を開催し、丁寧な対応に努めてまいります。

【市長答弁】
 上厨川地区が有力な候補地だと述べたことについてでありますが、平成30年5月22日に開催した「土淵地区まちづくり懇談会」において、地域の皆様から、ごみ焼却施設の整備を含む「土淵地区の均衡あるまちづくり」についての要望を頂いたことから、地域振興やまちづくりなどについて、地域の皆様とさらに話し合いを継続していく必要があると判断したところであり、また、「盛岡インターチェンジ付近」については、排出重心に近く収集運搬の経済性に優れており、敷地も平坦で大規模な工事を必要としないことを理由に、候補地として選定されたものであることを踏まえ、「有力な候補地のひとつ」と、申し上げたものであります。
 次に、組合施行の上厨川地区土地区画整理事業の総括についてでありますが、事業認可に際しましては、土地区画整理法の規定に基づき適正に審査の上、認可したものでありますが、事業認可後に融資証明をした金融機関が撤退したことや、事業の最大の財源となる保留地の造成が進まない等、組合にとって不利な条件が重なった結果、事業継続が困難となったものと存じております。平成28年10月に組合からの「事業収束のお願い」を受けて、あらためて組合の事業等に関する検査を行った結果、土地区画整理法及び組合定款違反が認められ、平成29年2月に認可取消に至ったものであります。
 その後、同年4月に認可取消に伴う地権者説明会を行った際、地権者から上厨川地区の今後の土地利用等について継続して相談したいとの要望を受けたところでありますが、同年5月に、上厨川地区周辺が、ごみ処理場候補地4箇所のひとつに選定されたことから、あらためて同年7月に地権者説明会を開催し、ごみ処理施設の概要についても説明したものであります。この際、地権者から、「ごみ処理場を誘致することにより現状課題解決や地域振興策につなげていくべき」との声が出されたことから、引き続き、地権者や地域の方々と協働して、まちづくりについて考えていくこととしているところであります。



次に、子育て支援に関していくつか伺います。

 市の重点プロジェクトに位置付けられ、医療費助成事業では今年度から中学生まで拡大されましたが、県内では既に33自治体中19自治体で、助成対象が高校生も対象になっている状況から見れば、盛岡市は一環として県内で後ろからついていっているという状況です。神部議員が取り上げた、予防接種もしかり。就学援助への3費目追加にしても、あれこれの理由をつけて先送りしていると言わざるを得ません。重点にふさわしく、対応していただきたい。

放課後等デイサービスについて伺います。
障がいを持つ児童に対する支援は憲法13条の個人として尊重されるという基本で実施すべきです。
この度、障がい児の支援事業を行っている方々から、障がいを持つ子どもさんの保護者の持つ様々な悩みや要望をお聞きする機会を得ました。
そこには、障がいをお持つ子どもさんの数ほどの障がいの種類があること、具体的な声としては「肢体不自由児メインの放課後デイがほしい」「医療ケアの必要な子どもが通うことができる事業所が少ないのではないか
など、障がいの種類に応じたきめ細かな支援が必要だという声、「盛岡北部は南部の手厚さに比べて事業所が少ないのではないか
という地域差、「同じ事業所に月~金ずっと見てもらいたい」「春夏冬休み期間、土日曜、祝日も預けられる日が増えてほしい」と、サービスの総量拡大を望む声、「日中のサービスには満足しているが、ショートステイ(お泊り先)がほしい」という声など、利用できる施設が増えるということは助かる」など、その障がいの種類や程度、その子の成長過程に応じて悩みがあることを知らせられました。
市は、こうした障がい児の保護者の悩みや要望についてどのように把握されていますか。それに応える施策についてどのような対策をお持ちでしょうか伺います。
放課後等デイサービスについては、市の計画ではどのようになっているでしょうか。計画と現状について伺います。
現在、障がいの手帳等を持つお子さんの、放課後の過ごし方について実態を把握されているでしょうか。
北部に足りないという声、肢体不自由児中心の放課後デイが必要だという声ですが、現状をどう把握していますか。課題と対応をお聞かせください。
医療ケアの必要な子どもが通う事業所は、現在市内にどれだけあるのでしょうか、今後の計画はいかがでしょうか。
送迎に関して伺います。現在の福祉サービスでは学校から事業所への送迎はメニューにありますが、自宅から学校に通うための支援の制度がないことは大きな課題だとお聞きしました。
学校統合などの際には、スクールバスが準備されます。また、遠距離を通学する児童生徒には「遠距離通学」の支援があるのではないでしょうか。障害を持つお子さんの通学を支援する制度は急務になっていると思います。市としての御所見を伺います。

放課後等デイサービスでは4月の報酬改定で、障害の重い子どもを受け入れる割合に応じて事業所の報酬が二つに区分されました。6月議会の鈴木礼子議員の質問に対して市は「6月中旬から調査を行うこととしていることから、影響が見えてくるのは、その後になる
と答えています。
調査の結果どのような影響があったのでしょうか。全国的には、8割超える事業所において報酬が下がり、厚労省が7月26日、事務連絡「放課後等デイサービスの運用改善に向けた取組」を都道府県などに出し、書面のみで判定した児童や、事業者から再判定の求めがあった児童に対して、再判定の積極的な実施を求めるという事態まで生まれています。
盛岡市においてはどのような状況であったのか伺います。
 













 【保健福祉部長答弁】 放課後等デイサービスについてでありますが、障がいを持つ子どもの保護者の悩みや要望の把握につきましては、窓口や電話で相談を受けているほか、複数の保護者会から要望をいただいたり、直接お話を伺ったりしているほか、盛岡市自立支援協議会等で当事者団体の方からお話を伺うなどしております。また、盛岡市基幹相談支援センターでも相談を受けており、相談内容につきましては、市の障がい福祉課が報告を受けているものです。
 次に、それに応える施策についてでありますが、放課後等デイサービスを利用する子どもや保護者の立場に立って行われる計画相談支援の場で、要望をお聞きしながら、障がい福祉サービスや地域生活支援事業を組み込んだ計画づくりを行っているところであります。
 次に、放課後等デイサービスにかかる計画と現状についてでありますが、盛岡市障がい福祉実施計画において、平成29年7月の利用実績356人を基準として、過去3か年の平均から、毎年47人利用者が増えると見込んだところであります。なお、30年6月の利用者実績は423人となっております。
 次に、障がいの手帳等を持つ子どもの放課後の過ごし方について実態を把握しているかについてでありますが、29年度末時点で身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の18歳未満保持者は794人であり、一方、手帳を持たない子どもも一部含みますが、放課後等デイサービス利用者は423人であることから、およそ半数の子どもは放課後等デイサービスを利用しているものと捉えているところであります。また、このことにつきましては、計画相談に基づき、市としてサービスの支給決定をする際に把握しているところであります。
 次に、放課後等デイサービス事業所の配置につきましては、市の北部に11事業所、南部に24事業所と、南部に多い状況となっております。
 次に、肢体不自由児中心の放課後等デイサービスについてでありますが、現在4か所あり、定員の合計は35人の受け入れとなっております。求められる対応といたしましては、個々の抱える課題に合わせた支援が必要なことから、保護者と事業所の間で十分な意思の疎通が図られる必要があるものと存じております。
 次に、医療的ケアに対応した事業所の数と今後の計画についてでありますが、対応可能な事業所は、29年度、30年度に1か所ずつ増えて、現在は市内に3か所となっております。今後につきましては、事業に関心のある団体等に働きかけるなどしてまいりたいと存じます。
 次に、障がい児の通学支援についてでありますが、福祉サービス事業所では、放課後、事業所に通う複数の子どもを学校に迎えに行き、事業所に連れてくることや、サービス終了後に自宅に送り届けることは行っておりますが、通学時の支援につきましては、朝の限られた時間の中で、個々の課題に合わせた支援が求められることから、対応は難しいものと存じております。
 次に、放課後デイサービスの報酬改定の影響についてでありますが、これまで、調査対象の市内34、市外15の事業所のうち、19事業所について、利用している子どもにかかる聞き取り調査を終えたところであり、引き続き調査を続けているところであります。事業所運営の影響につきましては、事業所において、市町村の調査結果を踏まえた障害区分の確認後に見えてくるものであり、報酬算定につきましては、11月以降になるものと見込んでいるところであります。
 次に、再判定の求めがあった場合についてでありますが、現在は、書面のみでの判定を行った児童がいないことから、再判定の求めはありませんが、今後、障害区分の確定後に、事業所から再判定を求められた際には、随時対応してまいりたいと存じます。
 次に、児童センターの整備につて伺います。未整備センターの整備をすると言いながら、市は公共施設の最適化を優先し、必要な施設整備にブレーキをかけているのではないですか。
 私は、見前小学校区への児童センター整備について、その緊急性について何度も訴えてきました。見前南小学校と見前小学校の児童が利用している見前児童センターは、200人を超える登録児童となって過密状況となっていること、見前小学校の児童が通う児童センター及び子どもの家ともに、学校から1㎞以上離れ、通行上の問題なども指摘しつつ、また、見前小学校敷地の中にある未利用地の有効活用などの提案もして早期整備を求めてきましたが、「公共施設の最適化」計画が優先されて遅々として進まない現状にあるのです。
 公共施設の最適化を錦の御旗にして、子どもたちや保護者の求めている切実な要望に背を向けるというやり方は改め、公共施設の最適化と切り離して整備をしていただきたいがいかがですか伺います。
 【子ども未来部長答弁】 次に、児童センターの整備についてでありますが、既存施設については、「盛岡市公共施設保有最適化・長寿命化実施計画」に基づき進めており、飯岡地区においては、地域拠点施設への児童センター機能の集約化の手法について、児童の安全等の確保のため、農業構造改善センターへの増築から飯岡小学校隣接地への新設に変更し、年次計画通り進めるものであります。
 また、未設置地区への児童センターにつきましては、平成30年度中に策定予定の「放課後の子どもの居場所づくりの方針」の中に位置づけ、計画的に整備してまいりたいと存じますが、特にも見前小学校区への児童センターにつきましては、「盛岡市公共施設保有最適化・長寿命化中期計画」における具体の方向性に基づき、現在、複合化の可能性を検証しておりますので、その結果を踏まえ、子どもたちや保護者、地域の期待に応えるべく、早急に今後の進め方の方針を決定してまいりたいと存じます
  就学援助です昨年も指摘しました。今年も、全国レベルで活躍する選手を持った中学生の保護者からの相談がありました。全国大会出場めざして、合宿があり、その費用負担が出せない。またそのための用具の購入も大変だというものでした。就学援助を利用している家庭でした。

 昨年もこの場で指摘しましたが、何らかの支援策はないかと思うものです。全国レベルで活躍できる選手が家庭の経済的理由でその場が失われることのないように、何らかの支援策がないものか、市長にお考えいただきたいのですがいかがでしょうか。
就学援助に「クラブ活動費」を追加してほしいと訴えてきました。教育長はどのようにお考えですか。来年度からぜひ実施してほしいのですがいかがでしょうか。

 【市長答弁】 次に、全国レベルで活躍する選手の支援策についての見解でありますが、本市といたしましては、学校の部活動における全国中学校体育大会の出場については、盛岡市中学校体育連盟を通じた補助金により支援しており、その他全国大会に出場する場合については、盛岡市体育協会の全国大会盛岡市代表選手激励費により支援している状況であります。
 加えて、現在、生徒のクラブ活動費に係る支援など、就学援助世帯の経済的負担の軽減を図るよう、具体の検討を進めているところでありますが、その他必要な支援についても検討してまいりたいと存じます。

【教育長答弁】
 クラブ活動費の支給についてでありますが、追加3費目につきましては、段階的に導入することとし、これまで、生徒会費及びPTA会費の支給を行ってきたところであります。次の段階としては、保護者の負担が大きい、中学校のクラブ活動費の支給に取り組まなければならないものと存じているところであります。
 現在、平成30年度の市内中学校における各クラブの活動費の実態調査等の結果をもとに、支給基準を検討するなど、クラブ活動費を早期に支給できるよう取り組んでいるところであります。