質問 |
答弁 |
≪鈴木努≫ 初めに災害対応について伺います。
西日本豪雨で死者が出た14府県40市町の災害犠牲者を減らすため必要なことについての朝日新聞のアンケートでは、住民の避難への意識を変えてもらう必要があるとの回答が9割にのぼっています。
住民が避難をためらう要因を複数回答で聞くと、9割の36市町の首長が「自分は大丈夫」などとする危機感の欠如を選び、災害などの非常事態を過小評価する「正常性バイアス」と呼ばれる心理により、判断に迷うケースが多くあること。次に多かったのが「避難情報の意味を十分に理解していない」との回答でした。
また行政側の課題として、避難情報の発表基準・マニュアルの見直しや気象庁による気象警報、国や都道府県による洪水予報など多様な情報について15市町の首長が「整理の検討が必要」と回答しています。
このようなことを踏まえ9市長が「避難情報が正確に伝わるため仕組みづくり」を検討することを今後の対策としてあげています。
全国で災害が多発している中で、西日本豪雨でも避難について住民が判断に迷うケースが多かったとのことでありますが、当市では、避難情報などが正確に住民に伝えるための方策としてどのような取り組みがなされてきたのか、また全国で多発する災害を教訓とした今後の取り組みついてお知らせください。
防災井戸の整備についてお伺いします。地域の方から、「地震災害の際、いつも問題となるのが生活用水ことだが、盛岡市でも避難所へ井戸を設置して対応してはどうか」との声を頂きました。災害が発生すると、何よりも急がれるのが電気、ガス、水道等のライフラインの確保・復旧です。特にも水の確保については、地震発生から約2週間断水が続いた熊本地震や大阪北部地震の際にも大きな問題となっていました。
災害時における水の確保のために熊本市では、昨年「防災井戸」の整備を進め、すでにある井戸を「防災井戸」として使えるよう、所有者との協定締結を進め、地元銀行と協力し、新たに井戸の整備を進めたとのことです。
また兵庫県伊丹市でも平成27年度から災害時に避難所となる小学校に、災害用井戸の整備を進め、すべての小学校に井戸を完備し、平常時は、職員が校庭の水やりなどに使用し、防災を学ぶ授業や地域の防災訓練などでも活用し、災害時に備えるとのことです。
過去の大規模地震で設けられた全国の避難所では、水不足からトイレの衛生環境が悪化し、なるべくトイレに行く回数を減らそうと体調を崩すケースも生まれましたが、そのようなことを防ぐために、また、平常時には防災教育としても使える「防災井戸」について当市でも避難場所などへの設置について検討してくべきと思いますがいかがでしょうか、お伺いします。
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【市長答弁】
鈴木努議員のご質問にお答え申し上げます。
はじめに、非難情報などが正確に市民に伝わるための方策についてでありますが、非難情報等は、緊急速報メール、防災行政無線、緊急告知防災ラジオ、岩手モバイルメール、Lアラートによる報道機関の放送及び市ホームページのほか、広報車による呼び掛け等、複数の手段により、住民の皆様にお知らせしているところであり、新たな防災マップにおきましても、情報学習面に、避難情報の意味や情報伝達の手段について盛り込んだところであります。
次に、全国で多発する災害を教訓とした今後の取組についてでありますが、災害への対応は、市の的確な対応はもちろんのことでありますが、何よりも自分の身は自分で守るための準備が重要であると認識しており、日頃から、各家庭における非常食等の備蓄や、自宅や職場、学校などの災害リスクの確認など、状況に応じた安全確保の行動に向けた備えを進める必要があるものと存じております。
また、この度の西日本豪雨におきましては、避難勧告等の対象者に比べ、実際の避難者が少なかったことが、被害拡大の一因と指摘されていることから、適時・適切な避難行動のためには、市民の皆様に、市が発令した避難情報の意味や伝達手段を十分にご理解いただくことが重要であり、地域における防災マップを活用した説明会や訓練、防災講座等の機会を捉え、周知徹底を図るとともに、安全・安心なまちづくりに向け、市の災害対応力のさらなる強化に取り組んでまいりたいと存じます。
【総務部長答弁】
防災井戸の避難場所などへの設置についてでありますが、断水時における避難所への給水につきましては、基本的に給水車により行うこととしておりますが、全国で発生した大規模地震において、生活用水の確保が課題になっていることを踏まえ、多くの避難者が避難する学校においては、井戸の活用は有効であるものと存じております。
しかしながら、各学校への設置には多額の費用が見込まれますほか、今般、主要河川の洪水浸水想定区域が見直され、被害想定が拡大していることを踏まえ、備蓄用品や避難所掲示板などの整備を優先して進めているところであり、防災井戸の設置につきましては、避難所の施設設備全体の中で検討してまいりたいと存じております。
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≪鈴木努≫
保育士の確保についてお伺いします。2019年10月から政府は、3歳以上の保育料無償化を実施しようとしています。無償化されれば、高すぎる保育料のために保育園の入園をあきらめていた人たちにも道を開き、「保育を必要とするすべての子どもが保育を受けられる権利」への大きな前進となるものです。
厚生労働省が発表している待機児童は全国で約5万5千人といわれている中で、保育の無償化により、保育需要が増え、このままではさらに待機児童が増えることが予想されます。保育需要にこたえるために施設整備と保育士不足の解消について当市としても引き続き力を入れていかなければいけない課題だと思っています。
当市における施設整備については、「待機児童対策緊急プロジェクト」が策定され、その中で、1.小規模保育所を新設し、民間の遊休物件等を活用して定員19名の小規模園を6か所から7か所、市都市公園の敷地を活用し、30人定員の保育園を1園整備する計画として、今年度は、2か所を整備することとしています。これらの施設整備を着実に進めていくためにも保育士の確保が必要となりますが、見通しはどのようになっているのでしょうか。お伺いします。
これまで、政府は、保育士の確保のために経験を積んだ保育士の処遇改善加算等の策を講じてきましたが、昨年度の調査でも私立保育所の保育士の平均賃金は、全職種平均と比べて10万円以上低い状況にとどまっています。そして、保育士の配置基準についても保育園の実態とはかけ離れた基準となっていることも問題となっています。配置基準は、例えば、「0歳児は3人の子に保育士1人以上を配置」等、子どもの発達に必要な水準を確保するために国が定めているもので、自治体から保育所に給付される費用もこの配置基準を踏まえて、子ども1人当たりに必要な保育費用(公定価格)が算出されて決まっていく仕組みとなっています。
しかし、現在の配置基準は、全国の認可保育所が加入している「全国保育協議会」の実態調査によれば、1施設の平均の子どもの人数が96人であるのに対し、職員数が平均で19人となっており、国基準の2倍近い職員の配置で保育が運営されている状況となっています。これら低賃金や国の配置基準の欠陥が一因となり、保育士不足に拍車をかけています。政府の調査でも、保育士の勤続年数は、全職種の12年となっている中で、保育士の勤続年数は、平均で約7年となっています。保育士のみなさんが働き続けられる、現場の実態に見合った配置基準となるよう見直しが必要と思いますが、いかがでしょうか、市長のご所見をお伺いします。
過日、教育福祉常任委員会で、「明石市のこども総合支援の取り組み」と「保育士確保」について視察をしてきました。明石市では「すべての子どもたちをまちのみんなで子ども目線で本気で応援」という基本理念のもと、保育料の第2子以降の完全無料化、保育所整備で毎年度1000人の受け入れ増、離婚前後の子ども支援や児童扶養手当の毎月支給など様々な施策を実施しながら子育て支援に取り組み、人口減少から一転してここ5年間は毎年人口が増え、交流人口も4割増、出生率・出生数の回復、個人市民税も6億円増等、大きな成果を上げており、特にも人口増の特徴として、子育てをしている世代の転入が増えているとのことでした。
また、保育士確保についても新卒保育士等への採用一時金の支給や潜在保育士への採用一時金、市内の保育園に保育士として採用されると、採用後6年経過まで毎年20万円、7年経過すると30万円の一時金が支給され、市内で働く保育士の子については、優先的に市内の保育所へ入所できるような措置がとられるなど、保育士確保のために様々な施策が実施されておりました。当市においては、保育士確保のために宿舎借り上げの事業を新たに実施しようとしておりますが、保育料の無償化の実施などさらに保育需要が高まることが予想される中で、明石市のようにさらに保育士確保に向けた施策の展開が必要と考えますが、いかがでしょうか、今後の取り組みについて市長のお考えをお聞かせください。
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【子ども未来部長答弁】
保育士の確保の見通しについてでありますが、本市におきましては、保育士確保対策として、平成29年度から「奨学金返還支援制度」に取り組み、一定の成果を上げてきたところであり、加えて、新たに「保育士宿舎借上げ支援事業」に取り組むことにより、更なる保育士確保対策の充実を図ることにしておりますので、「待機児童対策緊急プロジェクト」において施設整備を進めるに当たっても十分に対応できるものと存じております。
【市長答弁】
次に、保育士の配置基準についてでありますが、本市においては、「盛岡市児童福祉施設の設備及び運営の基準を定める条例」において、保育所は、乳幼児が一日の生活時間の大半を過ごす場所であることを前提として、安全な保育環境の確保などを踏まえ、子どもの年齢区分ごとに、配置が必要な保育士の人数を定め、もって保育の質の確保を図っているところであります。
現場の実態を踏まえ、随時見直すことは必要とは存じますが、他自治体との比較において、今直ちに見直しが必要であるとは存じておらないところです。さはさりながら、今後とも現場の実態を見極めるとともに、関係者の意見等を聞きながら、適切に対応してまいりたいと存じます。
次に、保育士確保に向けた施策の展開についてでありますが、喫緊の課題となっている待機児童解消に向けて、定員の拡大と保育士の確保の両輪で、スピード感を持って取り組むことが重要であると存じておりますので、平成29年度から取り組みました「奨学金返還支援制度」に加えて、9月補正で御審議いただく「保育士宿舎借上げ支援事業」の取組により、保育士の経済的支援と働きやすい環境を整備することとしたものであります。
今後におきましては、保育料の無償化の実施による保育需要の高まりにより、更なる待機児童解消策が必要となることも考えられますことから、先進事例等を参考にしながら、取り組んでまいりたいと存じます。
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≪鈴木努≫保育士職員の産休等代替職員の確保についてお伺いします。ある保育所の職員の方から、「職員の産休が5人となり、そのための代替職員がようやく1人採用されたが、その職員が今度妊娠してしまい、産休を取ることになってしまった。その後の職員確保の見通しについても目途が立っていない。なんとかしてほしい」とのことで代替職員の確保についての相談を受けました。代替職員の確保については、他の保育所でも苦労しているお話をお聞きしますが、当市全体の保育所における代替職員の確保の状況についてお知らせいただきたいと思います。
現在当市では、代替職員の確保事業について「産休等代替職員助成事業」が実施されておりますが、それでもなお「職員がなかなかあつまらない」との声がありますが、現在の助成事業の以外にも職員が確保できるような対策を検討する必要があると思いますが、いかがでしょうか、お伺いします。
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【子ども未来部長答弁】
次に、産休等代替職員の確保の状況についてでありますが、平成29年度の産休や病休の代替職員の雇用状況について、市内の私立保育園等78施設にお聞きしたところ、回答があった73施設では産休や病休の職員が69人、そのうち代替職員を確保できたのは45人と伺っておりますが、職員を確保できなかった場合は、臨時職員の雇用形態を短時間からフルタイムに変えるなどで対応したと伺っております。
次に、代替職員の確保対策についてでありますが、現在は、主にハローワークへ求人募集したり、就労経験があった知人に依頼するなどして、保育士を確保していると伺っておりますが、見つかるまでに時間を要する場合があるとお聞きしておりますので、代替職員の確保の支援策について、潜在保育士の登録や紹介を行っている「岩手県保育士・保育所支援センター」や保育関係者と意見交換しながら、検討してまいりたいと存じます。
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≪鈴木努≫次に学校のエアコンの設置についてお伺いします。全国で記録的な猛暑の中、学校の授業や行事の最中に熱中症で倒れる子どもたちが相次ぎ、学校の暑さ対策が大きな問題となっています。
埼玉県加須市では、公立の幼稚園や小中学校の教室にエアコンがないことから、最高気温が35度以上で最低気温が28度以上と猛烈な暑さが予想される日は、すべての幼稚園と小・中学校を臨時休校にする措置をとるような事態もうまれています。
文部科学省の調査では、2017年4月1日現在で、公立小・中学校の普通教室のエアコンの設置率は、約5割程度となっています。設置率は上がっているものの、都道府県間での
格差は大きなものとなっています。全国の設置率は、2014年の32.8%から2017年には、49.6%に増加し、都道府県別にみてみると、設置率が高い順に東京都が99.9%、香川県は97.7%、福井県が86.5%となっています。一方で低い設置率では、愛媛県で5.9%、長野県で3.7%、関東圏等より比較的気温の低い北海道、北東北では設置率が極端に低く、岩手県では、1.1%となっています。
クーラーの設置には、政府の「学校施設環境改善交付金」制度があり、30年度予算で287億円が確保されています。交付金は、各市区町村が都道府県を通じて申請し、文科省が額を決定する仕組みで、補助率は、原則約3割となっています。
しかし、この交付金は、「教育環境の改善促進」が目的となっており、クーラーの設置以外にも校舎の耐震化なども含まれるため、東日本大震災以降、当市も含め耐震化を優先し、クーラーの設置がなかなか進まない状況となっていました。このような中で、当市では、保健室へのエアコンを優先して設置していく取り組みがなされてきましたが、現在の設置状況はどうなっているのでしょうか、お伺いします。またすべての保健室への設置となるのはいつごろになるのでしょうか、お知らせください。
保健室のように普通教室以外のエアコンの設置について、ご検討いただきい場所があります。
それは、自校方式で給食を提供している調理室へのエアコンの設置です。旧市内の小学校の調理室へのエアコンの設置については、現状では、繋小学校のみと伺っています。
ある市内の小学校の調理室の状況についてお話を伺った際に、「窯で煮炊きをするので室内が高温になると同時に湿度もすごく高くなる」「外から害虫が入らないよう原則窓は締め切った状態で調理をするが、あまりにも暑い時は、網戸にして対応するが衛生面で心配な面がある」等の声が出されました。安全な労働環境の確保や衛生面の問題からも調理室へのエアコンを設置するべきと思いますが、いかがでしょうか、お伺いします。
全国的に、教室への徐々にエアコンの設置が進んでいるものの、都道府県で設置率の格差が生まれている状況の中で、政府は、全国各地で記録的な猛暑となった今年の7月に「児童・生徒の安全、健康を守るための猛暑対策は喫緊の課題。学校へのクーラー設置を支援してく必要がある」との見解を示し、来年夏までにすべての公立小中学校にクーラーを設置するため、予算措置を図る方針を固めました。秋の臨時国会への平成30年度補正予算案を提出することが想定されており、その中では、予算の増額に加え、交付金の在り方についても見直しがなされるとのことであります。
県内でも今年の8月にエアコンの設置を求め、岩手県高等学校PTA連合会会長と県PTA連合会会長が「県内の学校にエアコン設置を求める要望書」を県に提出するなどエアコンの設置を求める声が出ている中で、この補正予算が可決された場合には、早期に市内の全小、中学校へのエアコンの整備を進めるよう対応をとっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか、お伺いします。
文部科学省は、学校の教室の「望ましい温度」の基準を54年ぶりに見直し、1964年の通知以来「10度以上、30度以下」としていたものを、「17度以上、28度以下」へと変更しました。このようになった背景には、熱中症対策の必要性が高まったことや、家庭にエアコンがあるのが普通になったことなどから、冬の最低温度を上げ、夏の最高温度を下げることにしたとのことです。
この見直しに照らして、今年は、市内における小中学校において適正温度を超える日はどの程度あったものでしょうか、またこれまで教育委員会では、学校の室内温度についてどのように把握をされてきたものでしょうか、お伺いします。
これまで暑さ対策として各教室における扇風機の設置が進められてきましたが、すべての小、中学校への設置はいつ頃になるものでしょうか、これまでの設置状況も含め、お知らせください。
過日の高校生議会、市立高校の生徒が参加し、高校生のみなさんとお話する機会がありましたが、その中で、「市立高校にもエアコンを設置してほしい」との声がありました。今回国の補正予算では、エアコンの設置についてはその対象が小、中学校となっていますが、市独自に市立高校へエアコンの設置を検討するべきと思いますが、いかがでしょうか。良好な教育環境の場を確保していくのも市として果たすべき役割だと思いますので、前向きにご検討いただきたいと思いますが、いかがでしょうか、お伺いします。
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【教育部長答弁】 優先して取り組んでいる保健室へのエアコン設置の状況等についてでありますが、小学校は、42校中13校、中学校は、23校中4校に設置しており、できるだけ早期に、全ての小中学校への設置を、完了できるよう努めてまいりたいと存じます。
次に、調理室へのエアコンの設置についてでありますが、議員御指摘のとおり、エアコンの設置は、良好な労働環境を確保する上で必要であると認識しておりますので、様々な課題がありますが、設置について検討してまいりたいと存じます。
次に、国の補正予算が可決された場合の小中学校へのエアコン整備についてでありますが、小中学校へのエアコンの整備については、国の補正予算の状況を注視してまいりますが、まずは、現在、設置を進めております、教室への扇風機と保健室へのエアコンの、早期の設置に努めてまいりたいと存じます。
次に、市内小中学校の教室における適正温度についてでありますが、各学校では、教室に温度計を設置して室温を把握し、窓を開けて風通しを良くしたり、カーテンなどを使用して日差しを遮るなど、暑さ対策に努めておりますが、市教育委員会では、各学校から教室の温度についての報告は、求めておらないところであります。
次に、小中学校における扇風機の設置についてでありますが、平成30年8月末現在、小学校は、596教室中342教室、中学校は、266教室中、115教室に設置しておりますが、できるだけ早期に、すべての教室に設置できるよう、取り組んでまいりたいと存じます。
次に、市立高校へのエアコンの設置についてでありますが、市立高校では、情報処理室や視聴覚室など特別教室の一部にエアコンを設置しておりますが、普通教室には設置していないところであります。
現在、熱中症対策として、水分補給や授業中の服装の工夫、気温が高い日の活動の制限などを行っているところであり、まずは、普通教室への扇風機と保健室へのエアコンの設置に、取り組んでまいりたいと存じます。
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