質問 |
答弁 |
1、生活保護について
≪神部伸也≫昨年の9月議会で、私は生活保護行政における小田原市のジャンパー事件をとりあげ、その中で、小田原市の「生活保護行政のあり方検討会報告書」について、「これは小田原市の反省と改善だけにとどまるものではない。他の自治体にとっても学ぶべき点が多く含まれている」と述べ、盛岡市としても研究し活かすよう求めました。
これに村上保健福祉部長は、「当市としても大変参考になる内容であり、研修で活用するなどして、ケースワークの資質向上に生かしたい」と答えました。また、部長は「今回の事件を、自分たちの仕事を見つめ直す機会と捉え、専門性を高めるとともに、自立支援の取組の充実に努めて参りたい」とも述べられました。この1年間、どのように取り組まれてこられたのかお知らせ下さい。
さて、今回改めて、生活保護問題対策全国会議が出版した「『生活保護なめんな』ジャンパー事件から考える」という本を手に取り、勉強させていただきました。そこから具体的な改善点を提起したいと思います。
まず、ホームページについて。小田原市のホームページでは、「生活保護」と検索すると2クリック程で生活保護の内容が記載されたページへたどり着きます。最初に目に付くのは「生活にお困りの方はご相談ください」という文章です。そして、生活保護制度について、冒頭に、「国が『健康で文化的な最低限度の生活』を保障する日本国憲法第25条や生活保護法で定められた制度」ということがハッキリと書かれています。さらには、「制度について、わかりやすくまとめたしおりを作成しておりますので、下記の『保護のしおり』をご覧ください」とPDFが張り付けられています。最後に、「ご不明な点がなどがあれば、下記担当課までお問い合わせ下さい」と書かれて、代表電話ではなくて、担当課直通の電話番号の記載とメールフォームへのリンクが貼られています。
盛岡市でも2クリックで目的のページへたどり着けますが、「生活保護」と「生活保護制度」と分かれており、またそれぞれが制度の説明が中心という印象で、小田原市のように「生活にお困りの方はご相談ください」と一言あるかないかだけでもずいぶん印象が違うように感じます。まずは、窓口に相談に来ていただくことを目的に、また気軽に相談に行きやすいように改善する必要があると思いますが、いかがでしょうか。
盛岡市のHPで、「生活保護制度」の中で、「生活保護制度の概要 対象者および要件」の中で、「自分が持っている資産、能力など全てを活用したうえでもなお生活に困窮している人が対象です。したがって、各種社会保障制度による支援、不動産などの資産の活用、稼働能力などの活用が前提になります」とありますが、資産をすべて処分しなければならないような説明であり、これは間違いではないでしょうか。保有が認められるものもあります。誤解から制度の利用を断念することのないよう、正確に明示すべきではないですか。
扶養義務についても、「扶養義務者による扶養は生活保護に優先して行われるものとされています」とありますが、これでは、どんな事情があれ「親族に紹介するぞ」と言わんばかりのもので、断念する方も生まれるような書き方です。小田原市では、「保護のしおり」に「援助可能な親族がいることによって、保護の利用ができないということにはなりません」「DVや虐待など、特別の事情がある場合には、親族への照会を見合わせることもある」と明記しています。安心して相談できるように書き改めるべきと思いますが、いかがでしょうか。
ホームページで詳細な説明は難しいと思います。住民が安心して生活の相談の電話をしてみよう、窓口に行ってみようと思えるような親しみやすい内容に改善を図るよう求めますが、いかがでしょうか。
次に、「しおり」についてです。小田原市では、「生活保護のしおり」(正確には「保護のしおり」)についても改善してきました。まずは、すべての漢字にルビを振ったこと、そして、職員手作りのイラストを入れ、分かりやすく、親しみやすいものにしたことです。もちろんカラー刷りです。手に取って読んでみようと思えるような「しおり」となっていると私は感じました。盛岡市としても小田原市の「保護のしおり」を参考にし、利用者側・読み手側の立場に立って「しおり」の改善を求めますが、いかがですか。
そして、ホームページの改善でも指摘しましたが、盛岡市の「しおり」でも、生活保護が憲法上の権利であることが全く書かれていません。きちんと記載すべきです。
さらに、「生活保護とは」の次に「生活保護を受ける前に」とあり、①資産の活用、②能力の活用、③他の法律や制度の活用、④扶養義務者からの援助や協力について記載し、その上で、「あらゆる努力をしてもなお生活に困る場合に初めて、その足りない分を生活保護で援助することになります」と書かれています。生活に困っているからこそ窓口に相談に来ているのであり、制度とはいえ、いきなりそのようなことを言われると「生活保護はできるだけ受けないで下さい」という印象を与えるものとなっているのではないですか。
小田原市では、生活保護利用までの流れの説明の中で、①相談→②申請→③調査→④利用開始となっており、その流れに沿って説明しています。すなわち、③のところで説明をしているのです。まずは、相談しやすい環境をつくることが必要です。改善を求めますが、ご所見をお伺いします。また、資産の活用、扶養義務者からの援助について、ホームページのところで指摘したように「しおり」も改善すべきと思いますが、いかがでしょうか。
自動車の保有について、条件により認められることをきちんと書くべきです。高校生のアルバイト収入について、高校の費用や塾代、入学金などに充てるのであれば、収入として認定しないことについても、しっかりと明記すべきです。いかがでしょうか。
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【保健福祉部長答弁】小田原市の例を参考にしてどのように取り組んできたかについてでありますが、平成29年10月に、ケースワーカーや面接相談員など、生活保護業務を担当する職員全員を対象に、小田原市の報告書を教材として研修会を開催し、小田原市で発生した事案にかかる反省点や改善点を共有し、その後も、関係機関や市の関係課の担当者を講師に招くなどして、医療や介護制度など自立支援に向けた研修を実施しており、また、新任職員を中心とした生活保護制度全般の研修を行うなど、研修体制を強化し、職員の資質向上を図ったところであります。
【市長答弁】生活保護制度に関する市のホームページについてでありますが、これまで、市では、簡潔で分かりやすい内容を基本に、ホームページを掲載してきたところでありますが、見る側が安心してホームページの内容を読み進められ、かつ、必要とする箇所が分かりやすくなるよう見直してまいりたいと存じます。
また、ホームページへのファイル添付を利用して、資産や扶養の取り扱いを丁寧に説明するなど、内容につきましても、改善してまいりたいと存じます。
いずれにいたしましても、生活保護制度は、最後のセーフティーネットとして、生活全般を支援する制度であるものと認識しており、生活に困った方が、安心して窓口に来て相談できることが重要であると存じているところであります。
次に、「保護のしおり」についてでありますが、小田原市の「保護のしおり」は、「相談」から「申請・調査」の流れが、一目で分かる構成となっているなど工夫されており、読み手の立場に立った内容となっていることから、本市といたしましても、参考にさせていただきたいと存じております。
また、資産の活用につきましては、保有できる条件を分かりやすく説明するなど、「保護のしおり」を見直してまいりたいと存じますし、自動車の保有や高校生のアルバイト収入につきましても、条件などの記述を加えてまいりたいと存じます。
さらに、「ホームページ」と「保護のしおり」それぞれに、国が「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する憲法第25条や生活保護法で定められた制度であることを明記し、より安心して相談いただけるよう、環境を整えてまいりたいと存じます。
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2、ワクチン接種助成について
インフルエンザ予防接種の対象と補助金額の拡大
病院では、インフルエンザ予防接種の案内が貼り出され、これから流行シーズンに入ってまいります。
さて、厚生労働省のホームページ掲載の「新型インフルエンザに関するQ&A」を見ると、「Q10 通常の季節性インフルエンザでは、感染者数と死亡者数がどのくらいですか」という問いがあります。少し長いですが、答えを引用させていただきます。「例年のインフルエンザの感染者数は、国内で推定約1000万人いると言われています。国内の2000年以降の死因別死亡者数では、年間でインフルエンザによる死亡数は214(2001年)~1818(2005年)人です。また、直接的及び間接的にインフルエンザの流行によって生じた死亡を推計する超過死亡概念というものがあり、この推計によりインフルエンザによる年間死亡者数は、世界で約25~50万人、日本で約1万人と推計されています」と答えています。これは、現在でも同じような状況であると言われています。インフルエンザは、感染力が非常に強く症状の重い呼吸器の病気で、肺炎・急性中耳炎・脳症等の合併症をおこして重症化する場合もあり、特に小児の場合は、まれに急性脳症となり、後遺症が残り、最悪の場合は死に至るということで、決して軽く見てはならないということです。そういう意味でも、インフルエンザ予防接種は任意接種となっていますが、子どもの命を守る上で必要な事だと思いますが、市長のご所見をお伺いします。また、インフルエンザについて、前段私が述べたことも含め、市として子どもを持つ保護者へどのように周知をしているか、就学前、小中高生それぞれの段階でどのように行っているのかお知らせ下さい。インフルエンザの予防接種を受ける方を増やすための取り組みはどのように行っていますか。合わせてお知らせ下さい。
さて、盛岡市では、インフルエンザ予防接種の助成制度が、平成15年度から3歳~5歳児を対象に1回1,000円・2回までの補助でスタートし、平成22年度には0歳~就学前までに対象が拡大され、さらに平成28年度からは小学校6年生までに拡大されてきました。この間の努力には敬意を表します。しかし、岩手県内では、多くの自治体がさらに先をいく支援を行っているのです。普代村と野田村が全村民を対象に全額補助を行い、田野畑村は1歳以上の全住民に一部補助を行っています。高校生までを対象にしているのは9自治体、中学生までは13自治体となっています。これら合わせて25自治体で中学生以上を対象に補助を行っています。また、補助金額については、自治体それぞれで異なりひとくくりにはできませんが、1回当り1,000円というのは低い水準となっています。こうした実態をどのように受け止めますか。「子育て応援のまち」というのであれば、現在の助成水準にとどまるのではなく、さらに前進させなければならないのではないでしょうか。少なくとも県内平均水準までには達して頂きたいと思いますが、対象拡大と補助金額の増額についてどのように考えているか、ご所見をお伺いします。
「おたふくかぜ」「ロタウイルス」ワクチンの助成
「流行性耳下腺炎いわゆる「おたふくかぜ」は、保育園や幼稚園など集団生活を開始したばかりの子どもに多く見られ、時には難聴になり、また成人してからの感染は不妊の原因になることもあると言われています。そのため、予防接種を含めた感染予防策を徹底することが重要となっています。日本耳鼻咽喉科学会の調査では、2015年、2016年の2年間で、少なくとも336人が「おたふくかぜ」の合併症による「ムンプス難聴」と診断されたと発表しました。「おたふくかぜ」の予防接種が任意接種であるため、近年の接種率が3割ほどに落ち込み、流行につながったとしています。
さて、最近、子どもたちの定期予防接種のために病院へ行きました。そこに、「おたふくかぜワクチン任意予防接種」の接種費用助成のお知らせの紙が貼ってありました。よく見てみますと、「矢巾町・紫波町 助成額4,000円 当院自己負担額1,500円」、「八幡平市 助成額3,000円 当院自己負担額2,500円」とあり、盛岡市はありませんでした。盛岡市の病院にもかかわらずです。私は、非常に残念と同時に情けなく感じました。
現在、国で定期接種に向けて議論がされており、盛岡市は動向を注視するという姿勢をとっています。しかし、現に、周辺自治体でこのように予防接種助成を行っているわけですから、定期接種化待ちにならず、また親任せにならず、「国でやらないのなら市で補助を行って子どもたちを守る」という意気込みを見せて頂きたいと思います。調べましたら、岩手県内では、遠野市、一関市、八幡平市、葛巻町、紫波町、矢巾町、金ヶ崎町、平泉町、山田町、田野畑村の10市町村で助成を行っています。多くが3,000円~4,000円の助成です。「ワクチンで防げる病気はワクチンで防ぐ」という立場で是非取り組んで頂きたいと思いますが、いかがでしょうか。
合わせて「ロタウイルス」についてですが、「ロタウイルス
は感染力が非常に強く、わずかな数のウイルスでも感染することから、手洗い・うがいなど充分な注意を払っても感染してしまうことがあるとのことです。そのため、ほぼすべての子どもが5歳になるまでに一度はロタウイルスに感染するともいわれています。また、様々な型があり、何度も感染することもあるとのことです。「ロタウイルス」では、まれに脳炎と呼ばれる神経の後遺症が残ったりすることもあり、「おたふくかぜ」と同様に予防接種が重要となります。予防接種ワクチンは2回のものと3回のものがありますが、どちらも3万円近くかかり大変な負担となります。岩手県内では、大船渡市、遠野市、陸前高田市、葛巻町、住田町の5自治体にとどまっていますが、無料、あるいはほぼ無料になるような形で子育て支援を行っています。盛岡市でも定期接種化待ちではなく、助成を実施すべきです。いかがでしょうか。 |
【市長答弁】次に、インフルエンザ予防接種についてでありますが、ワクチン接種を行うことは、症状の重症化を抑えるとともに、高齢者においては、肺炎などの合併症併発による死亡に至る危険性が抑えられますし、子どもにおいては、集団生活を送る中での、感染拡大の抑制効果や、子育て世代の負担軽減が期待できるものと認識しております。
次に、子どもを持つ保護者へどのように周知しているかについてでありますが、子ども向けの取組みは特に行っておらないところであり、市ホームページや広報、医療機関のポスター掲示を通じて、インフルエンザに係る注意喚起及びインフルエンザ予防接種補助の実施について、周知を図っているところであります。
次に、予防接種を受ける方を増やすための取組についてでありますが、今後、学校や保育園等、施設を通じた周知にも取り組んでまいりたいと存じます。
【保健福祉部長答弁】インフルエンザ予防接種についてでありますが、対象拡大と補助金額の増額につきましては、財源の確保が課題となりますが、インフルエンザの流行により、毎年多くの学校で学級閉鎖などの休業措置が行われている実態もありますことから、感染拡大の防止が優先されるものと存じており、まずは対象拡大についての検討が必要と考えております。
次に、おたふくかぜワクチン及びロタウイルスワクチン予防接種への助成についてでありますが、現在、当該ワクチンは国において定期接種化の検討が進められているところであります。
おたふくかぜワクチンにつきましては、より高い安全性が期待できる新たなワクチンの開発が進められているとのことであり、また、ロタウイルスワクチンにつきましては、副反応や費用対効果についての検討が続けられておりますことから、本市といたしましては、引き続き国の動向を注視してまいりたいと存じます
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3、学校施設整備計画について
先の3月議会で、小中学校の施設整備計画について質問したところ、6つの学校で事業化ができなかったことが示されました。平成31年度の計画については、「平成30年度に事業化されなかった6事業を含めて検討する」としていますが、当然事業化されなかった学校施設が最優先で整備されるものと思いますが、どのように検討しているのかお示し下さい。本来であれば平成30年度から実施計画期間に入る予定だった北陵中学校では、工事等に配慮して部活動の縮小を図ったが、何の説明もなく後から延期の旨が伝えられたと伺いました。事前に分かっていれば、部活動の縮小も延期できたわけで、そうした点でも配慮が足りなかったことが非常に残念です。また、学校側にも大きな迷惑をかけることになったと思います。財源の関係で計画が遅れるのは仕方ないとしても、学校側に対しては早急に伝えるよう改善を求めます。ご所見をお伺いします。
小中学校のトイレ改修事業について、おおむね3カ年で整備する方針が示されています。平成30年度は、本宮小、月が丘小、松園小、中野小で改修工事が行われる計画です。今後、平成31年度、32年度に整備する予定の学校名についてお知らせ下さい。
また、6月議会の後藤百合子議員の質問に、「国庫補助が認められた場合は前倒しをして進めたい」とのご答弁でしたが、その可能性についてはどうでしょうか。お伺いします。
大規模改修が予定されている学校については、大規模改修の時にあわせて実施されるものと認識しておりますが、それでは3年以上も我慢しなければならなくなるのではないでしょうか。そうした学校については、何か対策を考えているのかお示し下さい。
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【教育部長答弁】 平成30年度に事業化されなかった学校施設の整備検討状況についてでありますが、30年度に事業化されなかった6校については、30年3月に策定された盛岡市公共施設保有最適化・長寿命化実施計画において31年度に位置付けられたことから、31年度の予算化に努めてまいりたいと存じます。
次に、計画延期に当たっての学校への説明についての所見でありますが、今回の計画の延期について、学校への説明が遅れたことにより部活動に影響を与えたことから、今後は、計画の変更などについて、速やかに学校に説明するようにしてまいりたいと存じます。
次に、小中学校トイレ改修事業の31年度及び32年度の整備予定についてでありますが、本宮小、月が丘小、松園小及び中野小は、大規模改修の計画を一部前倒しして、30年度から3カ年にわたりトイレの改修を実施することとしております。また、前倒し以外の大規模改修としては、31年度に仁王小、大新小及び城西中の校舎、32年度に見前小の校舎、青山小と、城南小、見前小、城東中、大宮中の屋内運動場のトイレの改修工事に着手する計画としております。
次に、国庫補助が認められ前倒し実施する可能性についてでありますが、現在、大規模改修の計画を前倒し死して整備を進めている4小学校の工事が完了した後の実施を検討してまいりたいと存じます。
次に、整備が3年以上先となる学校への対策についてでありますが、国庫補助が認められた場合は、盛岡市公共施設保有最適化・長寿命化中期計画との整合を図りながら、前倒して実施できるよう努めてまいりたいと存じます。 |