2018年9月定例会 最終日の会派の討論

 
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 2018年9月議会 最終日の日本共産党盛岡市議団の討論を紹介します。
平成30年度9月議会 日本共産党盛岡市議団の討論

 今議会に提案された議案、認定案件に対する意見を述べます。

初めに、認定案件を除く議案については、議案第94号 盛岡市通所サービス手数料の一部を改正する条例については反対し、他の議案には賛成します。
議案第94号については、今年の8月から一定所得以上の介護保険利用料が3割負担へ引き上げられたことに伴い、市独自で行っている盛岡市通所サービス利用料を引き上げる内容となっています。私たちは、介護保険の利用料の3割負担の導入についても「本来受けるべきサービスの利用抑制を招く恐れがある」からと利用料の負担増に反対をしてきました。今回の条例改正はその介護保険利用料の負担増に合わせた改正となっていることから本議案に反対します。

次に、議案第89号 平成30年度盛岡市一般会計補正予算(第2号)について、意見を述べます。
私立児童福祉施設整備助成事業については、待機児童が多い盛南、都南地区において、新たに保育施設が整備されることになります。さらに待機児童緊急プロジェクトの中で緊急かつ暫定的な対応ではありますが、今後2年間で150人の未満児の定員確保が実施されることを歓迎し期待するものです。また、私ども党市議団が3月議会で実施を求めていた、保育士確保事業としての宿舎借り上げ支援事業についても、地元保育士の人材流出を防ぎ、地元定着を図る事業として期待すると同時に、直ちにこの事業が予算化されたことを高く評価いたします。
阪北部地震災害を受けて、学校及び市の公共施設における建築基準法に適合しないブロック塀の撤去等の予算が計上されました。工事を急ぐとともに、市施設だけだなく、民間施設等における法不適合ブロック塀等のへ対策が図られるよう対応を求めます。

飯岡農業構造改善センター他5施設複合化事業について、基本構想の見直しを図ることとしています。市民の声を取り入れ、関係課等の調整の結果、見直しをするとのことですが、今後複合化が予定されている施設についても、「盛岡市公共施設保有化・長寿命化計画」を最優先とせず、まずは、市民の声がしっかりと反映されるような形で事業を進めていただきたい。

老人福祉施設整備助成事業では、国の交付金を活用し、既存小規模福祉施設におけるスプリンクラーの設置が行われます。今回設置が予定されている施設以外にもスプリンクラーの設置を進めるとともに、今回活用された交付金が防災関係にも使えることから耐震化が必要な施設への活用も同時に進めるよう求めます。
今年度も土木費国庫補助金の国の確定によって各個別事業費の増減補正が行われていますが、多くの事業で「減額」が行われた一方、当初予算の14.3倍の予算規模に補正された事業、同じく4.1倍の予算規模に補正された事業が生まれるなど、いびつな補正になったと言わざるを得ません。国の交付金制度については地方自治体の自主性がより生かされるよう改善を求めるとともに、その活用にあたって当初予算の段階でより精査していただくよう求めます。

議案99号友好都市の提携については、石川啄木終焉の地・文京区と友好都市提携をするというものです。この際、石川啄木についての盛岡市としての評価を誤解のなように確立し、函館市など啄木ゆかりの他都市との交流を更に深めるよう求めます。

 次に認定案件について、認定1号、認定6号、認定7号に反対します。

認定1号 平成29年度盛岡市一般会計歳入歳出決算については、
反対理由の第1に、県央ブロックごみ・し尿処理広域化推進事業については、住民の声を無視したごみ処理広域化は中止し、計画の白紙撤回をするよう求めるものです。
 29年度に施設建設候補地を4カ所に絞って「住民説明会」を行いましたが、対象住民を「半径500m」に限ったやり方で、住民理解・住民合意にほど遠いやり方でした。
説明会の結果さらに事実上2か所に絞ったとのことですが、盛岡インター付近については、上厨川土地区画整理事業の頓挫の後始末として、市の都市整備部も入って「ごみ焼却施設を核とした街づくり」を決議して進めてきましたが、昨年10月に提出された地域住民からの「反対」の要請書は決して「一部の反対」で済まされてはならないものです。
都南工業団地周辺についても、地域からの説明会の要請も先送りにされ、ようやく2か所で説明会が開かれたものの、その1か所は、ごみ処理場の建設候補地を2か所に絞ったことを公表してからです。住民の意見を聞かないうちにこの地域を候補地として残したことについても「住民合意」を無視した対応となっています。
また新施設建設への国の交付金を得るための「資源循環計画地域計画」についても、広域化後の計画はなく、交付金目当ての計画に過ぎないことも明らかとなりました。本来のごみ減量・分別資源化計画の上で前提となる8市町の収集方式の違いをどのように統一するかの検討を抜きにしたままの「地域計画」であり、大型化先にありきという問題も一層浮き彫りになったのです。ごみ処理広域化は撤回・見直しを求めます。
第2に、保育園の全園民営化についてです。待機児童緊急プロジェクトとして、盛南、都南地域を始め、新たに保育園の施設整備がなされることは、評価するものの、31年度を目標年度とした未満児の待機児童ゼロをめざす計画は、定員の弾力化が中心となっています。今後、保育の無償化の実施により、保育需要が高まることが予想される中で、民営化のために公立保育園での0歳児の受け入れが出来ないという姿勢を改め、公立保育園で0歳児の受け入れのための施設の整備を実施することを求めるとともに、民営化自体の見直しを求めます。
合わせて、市の「官から民へ」の方針のもとで、「民営化」路線の問題点も明らかになってきました。市職員の「非正規」の比率が年々増し、市の外郭団体における指定管理業務に従事する職員のうち、非正規職員の比率は今年4月時点で84.8%となっており、いわゆる「官制ワーキングプア」を増やす結果になっているほか、市営住宅など入居者へのサービス低下を招いている状況も生まれています。こうした民営化路線を見直すよう求めます。

第3に、教育費についてです。学校への予算配分が低く抑えられていることも問題です。老朽プールの改修が行われず夏のプール使用ができない学校が生まれています。
また、児童・生徒個人が使用する教材費とは別に年額2000円から2500円の学年購入費として印刷消耗品、コピー用紙等が保護者負担となっていますが、増額すべきは各学校への消耗品費の配当予算の増額であり保護者負担は止めるべきです。

認定第6号 平成29年度盛岡市介護保険費歳入歳出決算について
平成28年度の厚生労働省調査では、普通徴収による介護保険料の滞納による資産の差し押さえ件数が過去最多になったとのことです。
市の実態は、普通徴収者10303人中滞納者が1355人で、滞納期間が1年を超えた場合はサービス費用を一旦全額負担させ、後日、介護保険から支給する償還払い該当者が12人、原則1割の利用料を3割に引き上げられた方が35人の計47人ということです。
普通徴収者は無年金者や年金額が年額万18万円以下で、高齢者の3人に2人が住民税非課税世帯という実態からは、保険料基準月額6174円の負担は生活を圧迫しています。
法に基づき処分したということですが、急ぐべきはこれらの方へのフォローや必要な手立てであり、滞納者をつくらない実効ある減免制度の確立という立場から反対します。
平成29年度から本格実施となった「総合事業」については、昨年市が実施した各事業所の調査の中で、報酬単価の見直しによって、54%の事業が「減収」となったと回答し、大手の介護事業所を始め、35事業所が事業から撤退する事態となっており、報酬単価の見直しによって事業の存続が危ぶまれる状況となっていることから本案に反対し、事業が続けれる報酬単価への見直しを求めます。さらに総合事業の中で新たに始まった「地域の支えあい事業」についても、モデル事業とはいえ29年度の利用人数がわずか3人となっています。今後全市的に事業の展開をしていくとのことですが、なぜこのような結果となったのか、これまでのモデル事業の実績を踏まえ、制度がはたして妥当ものなのか検証をするべきです。

認定第7号平成29年度盛岡市後期高齢者医療費特別会計歳入歳出決算については、制度そのものが、75才という年齢で区切った医療保険制度に強制加入させられ、それまで被扶養者として保険料負担のない人からも保険料を徴収するという、まさに年齢で差別する制度であり反対ですが、制度そのものがさらに改悪され高齢者に負担増が押し付けられています。被扶養者だった方に対する均等割軽減特例措置の見直しで1681人の方に、1268万円の負担増が、所得割軽減措置の見直しで、3916人の方に2518万2千円の保険料負担増が押し付けられました。
そして、多くが「生活困窮」が原因となっている普通徴収者の滞納者に対して、短期保険証を発行しています。盛岡市の国保制度と違った対応となっています。この面でも、年齢で差別する制度となっており、本認定に反対します。

 以上の理由から認定第1号、認定第6号、認定第7号に反対します。その他反対理由以外に次の意見を述べます。
 
●市税の滞納処分において、「差し押さえ禁止財産」への差し押さえが行われていることが明らかとなりました。市は、「本人の同意の上で差し押さえている」とのことでありましたが、原則通り「差し押さえ禁止財産」の差し押さえはやめるべきです。

●消費税増税、ふるさと納税制度など、国の政策が盛岡市財政に大きなマイナス効果となっています。平成29年度決算では、地方消費税交付金の交付額と、そのことに伴う地方交付税の減額を差し引いた実質的な交付金の額は9億6856万4千であったのに対し、一般会計で負担した消費税は20億4666万2千円で、差引10億7809万8千円のマイナスとなっています。 
消費税が地方財政を圧迫しており、消費税増税は中止すべきだと表明するよう求めます。
ふるさと納税制度については、平成29年中の寄付金が8825万円だったのに対し、盛岡市民が盛岡市及び他自治体に行った寄付金に伴う市税の控除額が1億7951万円となっており、歳入で9125万円のマイナスとなっています。さらに寄付金の実に49%の4165万円が「委託費」として大阪に本社のある会社に支払われています。なんのための寄付金なのか根本から問われている制度であり、抜本的な見直しを国に求めるとともに、委託業者についても地元業者に移すよう求めます。

●マイナンバー制度導入のため、多額の経費を投入している一方、鳴り物入りで宣伝している個人番号カードの発行は、12パーセント台にとどまっています。
個人情報漏えいのリスクを抱え、一部の情報関連企業の利益優先のこの制度はやめるべきです。
 
●生活保護制度について、市民の方が相談しやすいよう、HPやしおりについて全面的に改善を図っていくことのことであり、評価するものです。また学習支援事業については、新たに4か所で事業が始められましたが、住民に対する周知が不十分だったと思われます。新たに事業を始める際には、地域に対する周知を徹底するよう求めます。

●インフルエンザ予防接種の補助額と対象の拡大、おたふく風邪、ロタウィルスの予防接種への補助を行うよう求めます。

●就学援助へのクラブ活動費の支給、小学生への3費目の拡大を行うよう求めます

●未設置学区への児童センター整備計画を早急に実施するよう求めます。
 
●障がい児の通学支援について、枚方市等他都市の事業を参考としながら、当市でも早期に実施するよう求めます。
  
●大阪北部地震、西日本豪雨、台風21号災害、北海道胆振東部地震と、大きな災害が相次いで日本列島を襲っています。被災された方々にお見舞いを申し上げるとともに一日も早い復興をお祈りいたします。災害対策については、改めて公共施設の耐震化を促進するよう求めます。豪雨・台風などの災害に対しては、「タイムライン」の手法による対応が、市当局にはもちろん、地域住民にもその徹底が求められています。今般全世帯に配布された「防災マップ」は、作成・配布は、スタートです。このマップを文字通り住民の力にするため、地地域での学習会・説明会などで徹底するよう求めます。

●学校給食費の無償化は、全国的に約2割の市町村が何らかの助成を実施しており、全ての子どもを対象にした学校給食費の現物給付化が急がれています。
 市は、生活保護や就学援助制度で支援しているといいますが、市が実施した「ひとり親世帯の子どもの生活実態調査」では、生活保護の受給経験があるとしたのは調査世帯の1割という結果です。給食滞納の世帯も含め、経済的な困難を抱える世帯が必ずしも就学援助や生活保護を利用しているとは言い難い実態ではないでしょうか。
 子どもの医療費の現物給付化とともに、少子化対策としても、子どもの食のセーフティネットとしての学校給食費の無償化いわゆる現物給付化を求めます。

●給食費の集金については、公会計への移行が検討されており、すでに八幡平市、滝沢市、紫波町、岩手町は公会計処理に移行していると聞きます。市内小中学校13校では、未だに保護者が地区毎に集金して学校に納める地区集金をしていますが、滞納防止のために行われているとしたら見過しできない問題です。危機管理の面からも地区集金は廃止すべきです。

●中学校の部活動については、中学校の部活動の他に父母会練習があることによって、生徒が休日をとれない状況となっています。生徒がきちんと休日がとれるよう部活動の在り方について見直しを求めるとともに、本来任意加入である中学校の部活動については、実際は強制加入となっていることから、今後策定が予定されている「中学校の部活の適正ガイドライン」には、任意加入であるということをしっかりと明記するよう求めます。
 
●市営駐車場3駐車場については、29年度決算において使用料収入が2億1911万9545円に対して、管理費用が1億4159万8687円と、差引7千万円余りの大幅な黒字となっていることから、、駐車場料金の値下げや職員の待遇改善を行うよう求めます。

●市営住宅の管理について、指定管理者任せにせず適正な管理に市が責任を持って当たること。
市営住宅の空き室は放置せず入居促進に努めること。浴槽のない住宅への設置促進を図ること。家賃減免制度については、県営住宅の例に倣って改善すること。

認定第5号 平成29年度盛岡市国民健康保険費特別会計歳入歳出決算については、基金と剰余金を合わせると約24億円となっています。この財源を活用し、国保税の引き下げを求めます。また低所得者の医療費助成制度での運用見直しにより、助成実績が35件となり、制度が始まった平成25年度に比べ大幅に増えています。対象者への周知を徹底するとともに、制度の更なる拡充を

 認定第12号 平成29年度盛岡市水道事業会計決算については、引き続き経営の努力が行われ、決算状況は評価します。水は市民生活の源です。利潤追求の道具にする「民営化」は行わないよう求めます。

 認定第14号 平成29年度盛岡市病院事業会計決算については、1639万849円の当年度純損失となりましたが、単年度の経常利益を427万2258円を計上しており、収支均衡へあと一歩という経営改善の努力は評価できるものです。医師確保、患者に喜ばれる医療、働く人が働きやすい環境づくり等、一層の経営改善に努力するよう求めます。
同時に、29年度盛岡市立病院が負担した、消費税の損税は1億2087万5627円に上っております。消費税が、病院経営を圧迫している現状です。消費税増税はこの面からも中止すべきです。
 
請願については、賛成します。