2018年3月定例会 最終日の当初予算等への会派の討論

 
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 2018年3月議会 当初予算等、最終日の日本共産党盛岡市議団の討論を紹介します。
2018年3月議会討論

日本共産党盛岡市議団を代表して意見を述べます。
初めに、反対する議案について意見を述べます。議案第1号平成30年度盛岡市一般会計予算については、総額で1106億4千万円で9年連続で1000億円を超える予算となっております。
30年度の予算編成にあたっては、従来の「施策ごとの枠配分」「部内の調整」による予算要望などの方式から「総合査定方式」を採用し、市民サービスに必要な予算について査定の上確保するという方式を取ったことは評価できるものです。その中で、子育て支援では子どもの医療費助成を中学生まで拡大し、新たに、子ども家庭総合支援拠点事業、産婦検診と産後ケアなどに取り組むことを評価いたします。
また、食と農・ものづくり支援でも、引き続き独自の就農支援事業に取り組み、物づくり人材育成事業など新たな事業に取り組むほか、IターンUターン事業への新たな挑戦などにも、期待が持てるもので評価いたします。

しかしながら、私たちは次の点には反対です。
その1つは、県央ブロックごみ・し尿処理広域化推進事業におけるごみ処理広域化です。平成29年度中としてきた、候補地一本化が先送りとなりましたが、そもそも、なぜ現クリーンセンター付近で2回目の説明会に入れないだけでなく一度目の説明会が一部地域でしかできなかったのか、そもそも、新しい施設整備の際は計画段階から住民合意で、新施設は「分散型で」という覚書違反がその原因ではないですか。であれば、覚書の原点にこそ立ち返るべきであって、それを無視して広域化の事務を進めるということ自体問題です。
さらに、今議会の質疑でも盛岡市の現クリーンセンターの稼働可能性について検討もせず、「葛巻町の施設が平成40年度までだ」という理由で、それに合わせて新施設建設という計画がはたして、市の公共施設長寿命化という方針や、環境省自体の焼却施設の長寿命化という方針に合致しているのかという疑問にも答えがありませんでした。また、広域協議会が既に発注した「地域計画」策定業務委託では、分別収集の方式を盛岡市の例に合わせることを基本にしていますが、「生ごみの分別はやらないことが前提か」との質問には「盛岡市の例とは、旧盛岡地区、都南地区、玉山地区も含めた盛岡市」などと、3地区で違う分別方式を無視するような、まさに支離滅裂な答弁をしたのです。広域化そのものは、「覚書」違反という経過から見ても、現広域化計画が持つ「コスト削減どころか壮大な無駄遣い」という懸念、分別収集の後退の懸念、ごみ行政が住民から遠ざけられることによるごみ減量への後退の懸念、焼却施設の大規模化による、環境負荷の一カ所集中という問題点はますます深まるものであり、広域化は中止・見直しをするべきです。
第2に、保育所の全園民営化についてです。待機児童解消は喫緊の課題であり、その中心はゼロ歳児対策です。市の計画は基本的に「定員の弾力化」で、その補助金会を拡充したことは評価できるものですが、民間事業者の努力に頼る姿勢では不十分です。「民営化」方針の前提となった「公立には補助金が出ない」ということを根拠とし、かたくななまでに市が自ら対策を取ることに消極的となっています。このことが原因となって、同じく「民営化」を進めながらも緊急対策として施設整備をする花巻市で導入する、国の補助金についても、盛岡市は念頭になかったことも明らかになりました。
市自身の保育事業への姿勢は、昨年12月にいったん導入予定として、各保育園に周知した「保育士宿舎借り上げ事業」について今年2月になって突然「中止」の通知を出したことにも表れています。先に指摘した新しい「総合査定方式」の予算編成方針の下では、担当部の制度設計がきちんとしていれば実施可能だったのではないか。そのことによって民間保育園にも大きな不信感を抱かせたのではないか。民間保育園で実施している「休日保育」についても、「もう手一杯だ。公立保育園からもたくさん来ている。なぜ公立で実施しないのか」という声を寄せられています。
 盛岡市の「全園民営化」の方針が、待機児童解消、保育の充実のネックにさえなっているのではないかということです。保育園の全園民営化は一旦凍結し、見直すよう求めます。
ゼロ歳児受け入れ拡大のために、公立保育園での対応を図るべきであり、保育士確保のための「宿舎借り上げ事業」は早急に予算化して実施するよう強くもとまめす。

 議案第5号、平成30年度盛岡市国民健康保険費特別会計予算については、国保税の引き上げをしなかったことは評価しますが、国保制度の広域化に反対する立場から反対します。今年の4月から運営主体が盛岡市から岩手県へ移り「広域化」されます。国保税率の決定や賦課・徴収は引き続き盛岡市の仕事ですが、国保財政は岩手県が一括管理します。新しい制度の下で、都道府県は各市町村に「納付金」を割り当て、市町村が住民から集めた保険税を都道府県に納付する形で国保財政が賄われることになります。都道府県は、「納付金」の額を提示する際、市町村ごとの医療費給付の水準、標準的な収納率、標準保険料率などの指標を提示します。こうした仕組みの導入により、給付費の水準が高い自治体、収納率が低い自治体、一般会計からの公費の独自繰り入れで保険料を引き下げている自治体を浮き立たせ、都道府県から市町村に、給付費抑制、収納率向上、繰り入れ解消を指導させる・・これが新制度導入の狙いなのです。高すぎる国保税問題を解決するどころか、さらなる負担と徴収強化を推進する制度であること、将来的には統一保険料を目指すことになり、さらなる国保税の引き上げとならざるを得ないものとなっていることから、国保の広域化には反対です。

以上の立場から、合わせて、議案第19号盛岡市市税条例の一部を改正する条例について」、及び議案第22号「盛岡市国民健康保険事業財政調整基金条例の一部を改正する条例について」に反対します。

議案第6号 平成30年度盛岡市介護保険費特別会計予算については、4月から始まる第7期介護保険事業計画で介護給付準備基金を取り崩し、保険料の月額基準額を据え置いたことは評価いたします。しかし、この計画は昨年国会で成立した地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法の一部改正が反映されています。一定以上の所得のある人は3割負担となり、本来受けるべきサービスの利用抑制を招く恐れがあります。さらに「自立支援」に軸足を置くとして、「財政的インセンティブ」が設けられますが、これは、介護認定の厳格化や介護保険からの「卒業」の強要等、介護給付費の抑制を各自治体で競わせるもので、利用者のサービス切り捨てにつながる危険があり、反対します。
また平成29年度から本格実施となった総合事業では、報酬単価の見直しによって半数以上の事業所で減収となっており、35の事業所が事業の継続を断念する事態となっています。同時に始まった「地域の支えあい事業」もわずか3件の実績となっていることから、制度全体の抜本的見直しを行うよう求めます。

議案第7号平成30年度盛岡市後期高齢者医療費特別会計予算については、そもそも、75歳以上の高齢者を年齢で差別するというこの制度自体廃止すべきであり反対です。

次に、
議案第16号「盛岡市個人番号の利用等に関する条例の一部を改正する条例について」、
議案第20号「盛岡市手数料条例の一部を改正する条例について」、
議案第26号「盛岡市印鑑条例の一部を改正する条例について」は、マイナンバー制度そのものは廃止すべきだという立場から反対します。
マイナンバー制度は、国民の税と社会保障の情報を一元的に管理し、社会保障を、自分で納めた税や保険料に相当する“対価”を受け取る「自己責任」の仕組みに大変質させようというもので、財界が求めてきたものです。この制度により、国の財政負担を減らし、大企業の税や保険料負担を減らそうというのが狙いです。
国民一人ひとりに生涯変わらない番号をつけ、他分野の個人情報を紐づけで利用することは重大問題です。本来、個人に関する情報は、本人以外にむやみに知られることのないようにすべきものであり、憲法によって保障された“人権”の一つです。これまでの「住基ネット」とは比較にならない大量の個人情報を蓄積し、一つの番号で紐づけするのがマイナンバーです。公務・民間に関わらず、多様な主体がこの番号を取り扱い、活用することになります。他人に自分の情報の何を知らせ、何を知らせないかコントロールできる「自己情報コントロール権」が著しく侵害されることになります。2015年10月の制度スタートから、マイナンバーの利用拡大がされてきました。しかし、この間、例えば、労働者の給与から住民税を徴収するため市区町村が事業所に送る「特別徴収税額決定通知書」が、誤送付などにより情報漏えいする事態となり、少なくとも101自治に上るとも言われており、総務省は、これまでの方針を転換し、当面マイナンバーの記載をしないこととしました。
このように国民のプライバシーを危険にさらすマイナンバー制度は中止・廃止すべきです。また、マイナンバーへ移行させるために、これまでの「住基カード」を使えなくするもの住民サービスの後退であり問題です。マイナンバー制度そのものは廃止すべきです。

議案第17号、職員の定数条例については、総枠で12人の削減が行われます。保育所の民営化についてはその見直しを求めます。職員の時間外労働の縮減などの一定の努力はあることは認められますが、平成29年度で、月の時間外労働の最高時間が222時間、182時間と過労死ラインを超えており、80時間超が124人、100時間超が43人となお、過労死ラインを超える時間外労働が行われている現状です。その下で、現在の平成28年度から32年度までで128人もの人員削減を行う職員適正配置計画は見直すべきであり、本案には反対します。

議案第18号、盛岡市職員の退職手当に関する条例等の条例改改正については、国家公務員の退職手当削減に準じたものですが、国が基準とした民間事業における退職手当の水準及び、国家公務員の退職手当と比較しても、盛岡市職員の退職手当は低い額となっており、国に準じて引き下げる根拠はありません。よって本条例改正には反対します。

議案第30号盛岡市保育所条例の一部を改正する条例については、上田保育園を民営化して廃止しようとするものですが、全園民営化はやめるべきとの立場から本議案に反対します。

その他、今議会で論点となったことについて意見を述べます。

東日本大震災から7年が経過しましたが、被災者の方々の生活と生業の復興は道半ばということで、市が引き続き復興支援センターをはじめ被災者支援を継続することを評価します。その中で、「みなし仮設」に入居していて、30年度中に期限が終了する49世帯の方々に対しては、県とともにより丁寧な支援を行うよう求めます。

指定管理団体における雇用改善に努力するよう求めます。盛岡市の出資法人等外郭団体において、5年を超える「臨時職員」の「無期雇用」への転換が図られるよう、市として責任をもって対応するよう求めます。

公共施設の適正配置計画における統廃合計画については、地域や住民の声に基づいて柔軟に見直しを行うこと。都南地区の2つの体育館の統合計画は、「人口減少時代」を理由にしながら、人口増となっている都南地区の現状からみても、また、市民が身近に使える体育施設を閉鎖することにつながることからも、見直しを図るよう求めます。

子どもの貧困対策については、就学援助の対象費目、とりわけクラブ活動費への拡大を早急に実施するよう求めます。その一環として子どもの居場所づくり、子ども食堂、学習支援などに取り組む団体と学校との連携を図る上でも、ソーシャルワーカーの役割は重要であり、小学校にも配置するよう求めます。
学校給食は、子どもの貧困対策という点でも重要です。喫食率3割程度の「選択制ランチボックス」方式を、「完全給食」だという市の解釈は一般には通用しないものです。これを改め、全員対象の完全給食に改めるよう求めます。

木質バイオマスアクションプランを策定したことは一歩前進として評価するものです。盛岡市の多くの森林が伐期を迎えているという現状からも、このアクションプランに盛岡市の林業振興への目標と計画も含めて具体化し、充実させるよう求めます。

国が平成30年度、生活保護費を平均5%削減することとしておりますが、現時点で盛岡市の保護世帯中約77%の世帯が保護費削減されると試算されている現状です。生活保護世帯の生活を圧迫する、削減を見直すよう国に求めてください。
国保世帯のうち、総所得ゼロなど、「7割軽減世帯」が1万3千世帯にも及んでおり、所得水準から見れば、そのほとんど生活保護基準を下回っています。日本の生活保護の捕捉率が2~3割にとどまっているといわれる現状は盛岡市でも同様であることが示されています。生活保護は国民の権利であることを徹底して、市民に周知し、事務にあたるよう求めます。

盛岡駅西口駐車場をはじめ、市営3駐車場の収支状況は、大幅な黒字が継続しており、料金の引き下げを検討するよう求めます。

「地域公共交通形成計画」策定にあたっては、人口減少、高齢化社会を見据え住民参加のもと交通弱者対策を図ること。

空き家対策については、特定空き家対策と利活用部門の窓口を一本化して対応するよう求めます。

食と農・ものづくり応援が重点プロジェクトに位置付けられたものの、農林予算が全体の2・7%にとどまっています。重点にふさわしく、さらに予算の拡充を求めます。

市立図書館の整備については、利用者・関係者の意見を十分踏まえて検討するよう求めます。

好摩就業構造改善センターの設計にあたっては、地元住民の声が十運反映されたものとなるよう努力してください。