2018年3月定例会 鈴木礼子議員の一般質問

 
質問項目 (クリックするとジャンプします)
1 子ども子育て支援事業計画の見直しについて
 待機児童解消への現状
 0才児対策・・花巻市の事例に学べ
 保育士確保対策
  宿舎借り上げ事業をなぜ見送ったか
 放課後の子どもの居場所づくり
 子どもの貧困対策
2、木質バイオマス利用推進アクションプラン
3、人口減少、高齢化社会に向かう地域交通政策に ついて

「議会報告」トップへ      市議団トップへ
 
        鈴木礼子議員の質問             答 弁
盛岡市子ども子育て支援事業計画の見直しについて

 「待機児童解消」現状、30年度の入園見込み

 平成30年度から32年度までの総合計画実施計画において示された3つの戦略プロジェクトの一つに「みんなが支える子ども・子育て安心プロジェクト」が位置付けられました。

 市長は挨拶で「子は社会の宝であり、将来の本市のまちづくりの担い手でもあるとし、全力を挙げて、子ども・子育てを支援してまいります」と述べられましたが、子育て支援施策が市政の重要課題と位置付けられ重点的に取り組まれることを歓迎したいと思います。

 市は27年から5か年計画でスタートした「子ども・子育て支援事業計画」は、全ての子どもを対象とした支援を通して「子どもの最善の利益」の実現を掲げ、喫緊の課題である待機児童の解消、放課後児童クラブへの支援、妊娠・出産から子育てまでの切れ目のない支援、地域での子育て支援などを総合的計画的に進めるとしました。

 この間、子育て世代包括支援センターの設置、乳児家庭全戸訪問、医療費助成制度の対象年齢の拡充、特に新年度からは中学生まで対象を拡げるなど、育児不安の解消や経済的な負担軽減でも前進していることに敬意を表したいと思います。

 しかし、最も切実な待機児童対策については目標とした29年度内の解消にはほど遠い実態となりました。

 市長は挨拶で、29年4月1日時点で待機児童を0にしたと述べられましたが、同時期の空き待ち児童、いわゆる隠れ待機児童は266人という深刻な実態であり、0にしたと胸を張る事態ではなかったわけです。
 30年度の入園の見通しはどうでしょうか。

0歳児対策、花巻市の例に学べ

 このたびの国の指針を受けての中間見直しにあたり、28年4月1日時の保育の量の見込みでは、特に、かい離の大きい0歳児(3号認定)では、計画値819人に対して実績値(支給認定者数)が1456人となっており、かい離状況(率)が177・78%、いわゆる倍率が178%にも及ぶということす。
 ちなみに1・2歳時で109・87%、3歳以上児で110・10%です。

 本市の女性就業率が、34年度末には80%に達するとの見通しですが、これらを想定するならば、もともと極端に少ない0歳時保育の受け皿の具体化がせまられているのではないでしょうか。

 しかし、示された「見直し計画」は、31年度には年間を通じて待機児童の解消をめざすとしましたが、0才児保育では、保育施設等で73人の増、地域型保育施設60人の増、企業主導型保育施設26人増で新たに増える定数は159人のみです。

 実績値1340人に対して不足する440人については、定員の弾力化で解消するということです。果たしてこの計画で解消できると確信をもって言えるのでしょうか。440人もの定員の弾力化とは一体どのように進めるつもりでしょうか。

 現状で、最低基準を守り民間保育園で弾力化を進める計画が果たして可能なのかどうか。可能とする根拠は何か、お示しください。

 花巻市は、地域の核となる施設を残しつつ公立保育園の民営化を進めており27年度からすでに3園の委託化が行われています。待機児童対策では、当市と同様に民間保育園を中心に解消に向けて定員拡大を図ってきました。

 しかし、委託化では受託法人がなかなか見つからないことや、29年4月時で90人もの未満児が待機児童となる中で、待機児童解消は民間だけではなく公立での施設整備も必要と判断し、30年4月開所予定で民間による小規模保育所2施設、公立1施設を整備しています。
なぜ、公立での施設整備なのかという点では、短期間でも開設しやすく公立でも国の補助が活用できることなどから小規模保育事業として実施したということです。

 以前、コンビニエンスストアがあった物件を暫定的に3年間借り受け、家賃、改修経費、備品等で3000万円の経費を見込んでおり、3年で待機児童が解消されない場合は継続することも検討しているとのことです。

 既存の公立保育施設を未満児保育用に増改修するよりも民間施設の借り受けが経費的には低予算で済むこと。そして、既存施設(公立保育所)は、小規模保育所からの3才以上児の受け皿として改築を予定しているとのことでした。

 私は、先の9月定例議会で公立保育所での0歳時保育の拡充について質問しましたが、志賀子ども未来部長は、公立保育所は民営化を進めているから新たな設置による受け入れは難しいとの答弁でした。

 市長は、花巻市の対応についてはどのような認識をお持ちでしょうか。

 0歳時保育のかい離率が177%という緊急事態の中で、「子は社会の宝であり、将来の本市のまちづくりの担い手でもあるとし、全力を挙げて、子ども・子育てを支援してまいります」との市長の力強い言葉どおりに、市としても、440人もの0歳時の待機児童を定員の弾力化といって民間保育園に押しつけるだけではなく、花巻市の例にもあるように実効ある対策を求めるものですが、市長のご所見をお聞かせください。

 待機児童児対策としての保育士の確保策について

 喫緊の課題となっている保育士の確保策では、市としても奨学金の返済補助を行うなど支援施策は評価するものです。

 過日、民間保育施設長さんから伺いましたが、3歳と0歳の兄弟の入所の申し込みがあったが、どうしても保育士の確保ができず3歳児だけの受け入れになった。お母さんは毎朝2人を連れて登園し、上の子を保育園に託し0歳の赤ちゃんは職場に連れていっての出勤となったというのです。子どもをおんぶし保育園を後にするお母さんを見送るのがつらいと語っていました。

 保育現場では、園も保護者も大変厳しい現実の中で待機児童問題と対峙しているのではないでしょうか。待機を余儀なくされる親の思い、待機させざるを得ない施設側の思いをぜひ共有していただき対策を強化していただきたいと思いますが、市長の所見をお聞かせください。

宿舎借り上げ事業、なぜ見送ったか

 厚生労働省は、待機児童解消加速化プランに基づき保育士確保を強力に進めており、その一つに保育士の宿舎の借上げを支援する事業を位置づけています。月額上限82000円で、国が事業費の2分の1、市と事業者が4分の1ずつ負担するもので、保育士の処遇改善の一環としても歓迎されています。

 過日の全員協議会でも発言しましたが、教育福祉正副常任委員長への説明では「改訂版子ども・子育て支援事業計画」には、若い保育士の処遇改善策のひとつに宿舎借上げ事業に取り組むと明記されていました。
なぜか全員協議会資料では削除されていたのですが、何の説明もなく前言を翻すような対応に不審を持ちますが理由について説明を求めます。

 市は、昨年12月20日に、保育士宿舎借上げ支援事業について、30年度実施検討をしているとして園長会に説明を行っています。市の事業の具体的な内容について予算規模、市負担額も含めてお知らせください。園によってはこの事業を前提として職員採用を行った施設もあると聞いていますが、実態はどのように把握されていますか。
しかし、今年の2月1日付で子育てあんしん課長名で、各園施設長あてに必要な財源の調整ができなかった旨の事業の見送りについての事務連絡が入り、文書には「すでに事業の活用を検討され、新規採用の保育士の宿舎について調整中となっている施設もあると存じます。ご迷惑をおかけする結果となりまことに申し訳ありません」との内容が記されていました。

 施設側には詳細不明のまま一切の説明もないとのことですが、行政への不審や信頼関係を削ぐような事態を招いているのではありませんか。あまりにも唐突であり不親切な対応ではないでしょうか。

 予算化できなかった主な要因は何だったのか。担当課として真剣に事業実現にむけて取り組んだのかどうか、なぜ唐突に事業が未実施になったのか、経過について説明を願います。

 せめて、国が予算化した事業については、市事業として早期に実現すべきではありませんか。ましてや「事業計画」から削除するという対応は全く理解できません。納得いく説明を求めます。
《子ども未来部長答弁》
 平成30年度の入園の見通しについてでありますが、29年度に比べて保育所定員は増えており、また、新規に入所を希望する児童は若干少なくなっておりますので、4月1日時点の待機児童ゼロに加えて、空き待ち児童を減らすことができるよう、現在、入所調整を行っているところであります

 次に、定員の弾力化を進める計画についてでありますが、30年度以降、1,2歳児の量の見込みが、施設整備による定員拡大の確保策に収まる見込みとなっておりますので、弾力化のために任用した1,2歳児担当の保育士を0歳児担当に配置換えしながら、0歳児の弾力化を進めてまいります。また、年度末にかけて待機児童が増加することから、年間を通じて定員の弾力化に積極的に取り組む保育所等に対し支援を強化し、計画どおり待機児童の解消を図ってまいりたいと存じます。





















《市長答弁》 待機児童解消のための花巻市の対応についてでありますが、公立の小規模保育所を整備し保育の受け皿を増やすことは、低年齢児の待機児童解消につながるものと認識しております

 次に、0歳児の待機児童解消のための実効ある対策についてでありますが、本市におきましては、民間事業者の施設整備を支援することで、低年齢児中心に定員拡大を進めておりますが、公立保育所においても、兄弟入所等0歳児の受入れの希望がある場合は、定員の組み替え等により、保育の受け皿の拡大を目指してまいります。また、定員の弾力化についても、私立保育所のみならず、公立保育所でも引き続き積極的に取り組んでまいりたいと存じます
































































《市長答弁》
 保育士確保対策についてでありますが、保育所の確保は、待機児童解消に向けて重要な対策であると認識しており、奨学金の返還補助や潜在保育士の保育体験に続く、新たな効果策について、保育関係者と協議し、早急に対策を講じてまいりたいと存じます。


 












《子ども未来部長答弁》

「保育士宿舎借上げ支援事業」についてでありますが、この事業につきましては、保育士確保対策の一環として、保育関係者から実施に向けての御意見がありましたので、10月に各園の意向を調査するとともに、12月の園長会において、国の示す制度内容をご説明し、本事業に対するご意見を伺い、本市に適した制度となるよう検討を進めてまいりました。また、事業費といたしましては、対象範囲や家賃の上限額の設定により、2千万円から5千万円ほどと試算したところであります。
検討の中で、仮に対象を新採用保育士に限定した場合、対象にならない2年目以降の保育士との処遇に差が生じることや、すでに個人で借りていたアパートは、法人への名義変更が必要となり、事務手続きや手数料等の負担が発生すること、市域を超えて複数の園を経営している場合は、勤務地により処遇に差が生じるため、近隣自治体とも連携して取り組むべきとの意見をいただき、そのような課題等を解決するためには、さらに時間をかけて、保育関係者や近隣自治体との意見交換をしていくことが不可欠であると判断し、平成30年度の予算措置を見送るとともに、「盛岡市子ども・子育て支援事業計画」への記載につきましても、見合わせたものであります
保育所関係者に対しましては、採用予定者に対する各園の手続き等に支障が生じないよう、事業の実施を見送ることとした2月1日に、直ちに各園に通知するとともに、2月の園長会におきましても、課題と検討経過等についてご説明したところでありますが、議員ご指摘のとおりの状況に至りましたことは、大変重く受け止めております
保育士を確保し、待機児童を解消するためには、保育関係者との連携協力が必要でありますことから、今回の反省を踏まえ、今後も引き続き、保育関係者の信頼関係を保ちながら、意見交換を行い、「保育士宿舎借上げ支援事業」のみならず、その他の国の事業などの検討も進め、保育現場の実情に合わせた、保育士確保につながる施策の早期実施を目指してまいりたいと存じます
 放課後の子どもの居場所づくりについて

 28年・29年度に行った「児童の放課後の居場所調査結果」は、非常に厳しい実態が明らかされたのではないでしょうか。少子化の中で児童数が減少しているのに支援を必要とする児童が増加しており、保育施設と同様に共働きが常態化する中で放課後の支援施策が遅々として進まない実態を如実に示したものと受け止めています。
 深刻なのは、自宅で子どもだけで居るのが全児童の23・6%の3414人ということで約4人に一人で、うち、一人で自宅にいると思われる子どもは12・8%の1787人で、8人に一人ということになります。
特に、深刻なのは1年~3年までの低学年です。402人の子どもが放課後一人で自宅にいるという結果であり、この状況は増え続けることが予想されます。(女性の就業率が80%になる)

 放課後、子どもだけで自宅で過さなければならない理由についてはどのように把握されているのでしょうか。
 就学前は、保育所等で親の勤務時間に見合う安全な場所で生活できていたのが、小学校入学と同時に預け先がない、学童保育クラブの保育料の負担が困難。あるいは児童センターなどのお迎えの時間が勤務時間と合わず利用できなない等々、一人で自宅で親の帰りを待つことになっているのではないでしょうか。

 このたびの中間見直しが正直に言って、これらの調査結果を反映し課題解決になるのか甚だ疑問です。

 党市議団は、27年度の子ども子育て支援制度スタート以降、実施主体が市町村であると明記されたことや設置のための最低基準の設定など放課後児童対策が大きく発展した中で、放課後に居場所が必要な全ての児童を視野に入れた対策に取り組むべきと指摘してきました。

 この指摘に対して、このたびの中間見直しは、待機児がでる学区へは放課後児童クラブの整備をすすめ、空き待ち児童には近隣クラブの空き状況の情報を提供し早期の待機児童を解消するということで、従来の対応の枠を出るものではなく、具体的な内容が見当たりません。
「居場所調査結果」が、放課後児童対策の必要量にどのように反映されたのか(必要量の見直しは)。
 8人に1人の児童が、放課後一人で過ごし、うち、最も放課後の支援が必要な低学年402人の児童が自宅でひとりで放課後を過ごしている実態にこそ緊急に支援の手立てが図られるべきではないのか。

 経済的に放課後児童クラブ保育料の負担が困難世帯への軽減施策、市郊外に位置する児童センターではお迎え時間が間に合わず最初から利用を諦めているのではありませんか。実態と対策について合わせてお答えください。
 
 北松園児童センターでの開設時間延長の要求は氷山の一角として受け止め、利用者の要望が少ないなどと改善策を先送りするようなことでは困ります。時間延長については30年度より実施見込みと理解してよろしいのか伺います。
 また、「改訂版事業計画」は、地区に必要とされる居場所を検討し、計画的に整備を推進するとしていますが、具体的な対応についてお示しください。
《子ども未来部長答弁》放課後に子どもだけで自宅で過ごしている理由についてでありますが、「児童の放課後の居場所の調査」では、調査項目としておらず、把握しておりませんが、今後、学校区ごとの必要な放課後の居場所を検討していく中で、把握してまいりたいと存じます

 次に、調査結果による放課後児童対策の必要量についてでありますが、平成30年度中に「児童の放課後の居場所調査」を基に、放課後の子どもの居場所づくりの方針を定めることとしており、その中で、放課後児童対策の必要量を把握し、方針に反映させてまいりたいと存じます

次に、自宅にひとりで放課後を過ごす低学年の児童の実態と対策についてでありますが、低学年の児童が支障なく、安心して過ごせる環境づくりは、喫緊の課題であると認識しておりますので、早急にひとりで過ごす理由等を把握しながら、対策を講じてまいりたいと存じます

 次に、児童センターの開設時間の延長についてでありますが、要望があった施設の保護者会の方や関係者からご意見をお聴きしたところであり、特に冬期間の延長の希望がありましたことから、期間限定の施行の実施も含め、検討してまいりたいと存じます

次に、放課後児童対策の具体的な対応についてでありますが、児童センターが未設置であったり放課後児童クラブが不足している等、地区ごとに課題が異なりますことから、今後、実態や必要とされる居場所を、計画的に整備してまいりたいと存じます


 子どもの貧困対策について

学校をプラットホームに

 準要保護の児童生徒に対する「入学準備金」が年度内に支給されることになり、保護者及び関係者の皆さんから歓迎されています。

 子どもの将来が生まれ育った環境で左右されることのない社会を基本理念とした「盛岡市子どもの未来応援プラン(盛岡市子どもの貧困対策実行計画)」のもと、全庁一丸となっての取り組みに期待するものですが、教育長あいさつでは一言も触れられなかったことは残念です。
「子どもの貧困に関する大綱(26年8月策定)」では、「『学校』をプラットフォームとした総合的な子どもの貧困対策の推進と教育費負担の軽減を図る」とし、具体的な支援としては、①学校教育による学力保障 ②学校を窓口とした福祉関連機関との連携で貧困家庭の子どもたちへの早期の段階で生活支援や福祉制度につなげていくためのスクールソーシャルワーカーの配置と活用が明記されました。

 教育長は、学校をプラットフォームとする子どもの貧困対策(支援)についてはどのような認識をお持ちでしょうか。また、貧困対策やスクールソーシャルワーカーの活用など学校現場での認知度がかなり低いのではと危惧しますが、この点ではどのような対応(対策)を行っているのか。伺います。

 岩手県は、今年度(29年度)、スクールソーシャルワーカー配置事業に取り組んでいますが、事業の概要及び学校現場での取り組みとその効果についてお知らせください。
 


子ども家庭総合支援センターとの連携

 子どもの貧困対策法(2013年6月)成立から5年が経過し、ようやく当市としても30年度から「子ども未来応援プラン」による子どもの貧困対策が進むことになりました。
 30年度は新規事業として、子ども家庭総合支援事業、子ども食堂ネットワーク化などがスタートしますが、学校との連携についてどのような検討がされていますか。居場所活動や子ども食堂、学習支援を行う団体とスクールソーシャルワーカーとの連携が必要になっているのではないでしょうか。ご所見をお聞かせください。
 《教育長答弁》 学校をプラットフォームとする子どもの貧困対策についてでありますが、学校を子どもの貧困対策のプラットフォームと位置付けることは、子どもたちが将来、社会的・経済的に自立するためにも重要な施策であると存じますので、学校として、学力保障や福祉関係との連携などに取り組んでまいりたいと存じます

 次に、貧困対策やスクールソーシャルワーカーの活用についてでありますが、スクールソーシャルワーカー配置事業は、県が平成20年度から実施しているものであり、各学校スクールソーシャルワーカーの役割や有効性について説明し、周知を図っているところであります。その結果、盛岡市においては、実施当初は、対応件数8件と活用が少なかったものの、その後、スクールソーシャルワーカーの有効性が広く認知され、28年度の対応件数は106件と活用が広がっているところであります

 次に、県のスクールソーシャルワーカー配置事業の概要、及び学校現場での取組と効果についてでありますが、県では、配置事業開始当初の10名から、順次その配置数を増やし、29年度は、本市の4名を含めて、県全体で19名のスクールソーシャルワーカーを配置しております
学校現場での取組としましては、本市においては、対応が必要なケースが多い中学校7校に、週に一日の割合で派遣しており、学校での相談や家庭訪問を通して、福祉や医療などの関係機関と連携し、解決に向けた支援を行っております。他の学校からの要請にも、可能な限り対応しているところです

 効果としましては、不登校状態であった生徒の、家庭の経済環境を安定させたことにより、再登校につながった例や、対人関係に不安を抱えた生徒を、保護者の理解を得ながら、医療機関の受診・治療へとつなぎ、別室登校から教室復帰を果たした例などが報告されており、スクールソーシャルワーカー配置の効果と捉えております

《子ども未来部長答弁》 子ども家庭総合支援センター事業などと学校との連携についてでありますが、子ども家庭総合支援センターは、貧困や虐待などに対応するため、訪問等による継続的な相談・支援を行うとともに、ケース検討会議などにより学校にも積極的に出向き、様々な情報提供や相談を行うこととしており、必要な世帯に早期に支援が届くよう、学校との連携強化を図ってまいりたいと存じます

 次に、居場所活動や子ども食堂、学習支援を行う団体とスクールソーシャルワーカーとの連携についてでありますが、スクールソーシャルワーカーは、教育と福祉の両面に関して専門的な知識を有しており、子どもを、学校以外の社会資源につなげる役割も担っておりますことから、議員ご指摘のとおり、関係機関や団体との連携を密にすることは、様々な環境に置かれている子どもに、多くの機会と健やかな成長をもたらすうえで、極めて重要なものであると認識しております

 本市では、平成29年度に、子ども未来基金を活用して、冬期休業中に困窮世帯に対して食糧の支援を行う事業の際、当該団体及び学校、スクールソーシャルワーカーなどとの連携の下で取り組んだところであり、今後におきましても、学校や関係機関とさらなる連携を深め、子どもの貧困対策に取り組んでまいりたいと存じます
 木質バイオマス利用推進アクションプランについて
 
 地球温暖化対策と林業振興、循環型社会の形成を目的に木質バイオマス利用促進アクションプランが策定されました。この間、庁内で立ち上げたワーキンググループによる提言をもとに、木質バイオマスの利用促進に向けた取り組みが具体化されたことに敬意を表するものです。
 
 私ども 党市議団は、東日本大震災とこれにともなう世界に類を見ない東京電力福島原発事故によりエネルギー政策の転換が求められており、エネルギーの地産地消をすすめ地域経済の活性化につなげることが急務であるとして、

 26年9月議会に「盛岡市再生可能エネルギーの利用等の促進に関する条例」を提案しました。

 再生エネルギーは地域の重要な資源であること。その利活用が地域経済の循環に貢献できることを謳った基本条例ですが、残念ながら賛成少数で採択には至りませんでした。これらの経過からも市バイオマス利活用アクションプランは大いに期待したいと思います。

 木質バイオマスエネルギーの利活用は、言うまでもなく森林造成、林業の振興を促し、雇用の創出が期待されます。つまり、紫波町で実践している地域循環型の経済のしくみづくりの意義は大きいものがあります。 
「アクションプラン」は、地産地消の推進では、木質バイオマス燃料の利用量管理指標のみが示されていますが、これだけでは不十分ではないでしょうか。バイオマスエネルギーの利活用が、地域に仕事をつくりだし、地域での経済の循環をいかに実現させるのかが問われていますが、この点ではどのような検討がされたのか伺います。
 《環境部長答弁》 バイオマスエネルギーの利活用による地域経済の循環実現の検討についてでありますが、平成26年6月に設置した関係課によるワーキンググループにおいて、先進都市の情報収集や紫波エネルギーステーションの視察により調査したところ、岡山県真庭市においては周辺地域の林業・木材産業の集積地として既に事業実施の基盤があったことや、紫波町においては大規模な地域開発とあわせて木質バイオマスの活用をしていることなど、現在の盛岡市が目指すには、関係者を含めた仕組みづくりに時間を要し、採算性などの課題があることから、計画期間を5年とした本プランでは、現実的な管理指標としたものであります

 資源・エネルギーの地産地消を図るには、木質燃料の適正な供給と燃料製造業者の育成、地域での木質バイオマスエネルギー利用の拡大が必要であると考えており、目標を達成するための施策を展開することとしたものであります

 具体的には、市産材供給体制の整備としての森林経営計画策定取組の支援や補助制度の周知、未利用材利用の検討とあいての収集・搬出モデルの構築や木の駅プロジェクト導入の検討、燃料製造業者の育成、地域での木質バイオマスエネルギー利用の拡大としての熱電併給設備の導入検討であります

 今後につきましても。地球温暖化対策と林業振興を目的とした本プランを実施することにより、地域経済の循環について調査・研究促進及び資源・エネルギーの地産地消の推進に努めてまいりたいと存じます

人口減少、高齢社会に立ち向かう地域交通政策について
 
 過日、「松園ゾーンバスを考える会」が市交通政策課、岩手県交通とゾーンバス運行改善で意見交換を行いました。交換会では、利用者から寄せられたゾーンバスの日中の便が減らされたことによる通院や買い物への不便さが一部改善される見通しとなり、関係者の皆さんの努力に感謝するものです。
 
 さて、近年、高齢化が進行する中で都市圏、地方都市のニュータウンや中心市街地での空洞化が進み「生活難民」「交通弱者」「買い物難民」などの言葉に象徴される深刻な状況が拡がっていますが、当市の実態についてはどのように把握されているのでしょうか。
これらの背景には、公共交通が不便になったり、運賃が高かったり、高齢化でマイカーが運転できなくなるなど移動の制約が大きく横たわっています。

 人口減少は避けられませんが、誰もが生き生きと住み続けられるまちづくり・地域づくりのために交通のあり方が問われているのではないでしょうか。
さて、市は29・30年度の2カ年で「地域公共交通網形成計画」(以下「計画」)策定に取り組んでいますが、30年度は計画策定にあたっての委託費が予算化されています。

 「計画」の目的と内容については地域公共交通の持続やまちづくりとしての公共交通のあり方について、特に課題となっている中山間地域等の移動手段について検討するとしましたが、29年度の取り組みと内容についてお示しください。

 「計画」の策定が、住み慣れた地域でずっと住み続けられる政策となるための十分な検討がなされているとは思いますが、委託が、コンサルタント任せで国の支援を受けるためだけの計画だけであってはなりません。計画策定にあたっての市の基本方針をお示しください。

 また、冒頭述べたゾーンバス改善での意見交換の貴重な経験からも言えることですが、交通政策は、本来、「草の根」からの幅広い住民参加のもとで意見交換が行われてこそ内容的に豊かなものになるのではないでしょうか。
住民参加による計画づくりについてはどのような検討をされていますか。

 人口減少、高齢化社会に立ち向かう地域交通政策として、少なくとも買い物、通院等の移動を保障し、公共交通を利用できない人たちのための移動手段の確保と、同時にこれらの課題解決のためにも日常的に住民の意見が反映される体制の確立が求められていると思いますが、市長のご所見をお聞かせください。
 《建設部長答弁》 「買い物難民」などの本市の実態についてでありますが、これまでの実態調査やまちづくり懇談会等での市民意見を踏まえると、松園地区の一部や、猪去・太田地区、乙部地区等において、高齢者の買い物等に課題があるものと存じております。また、これらの地区においては、バス運行等についての意見も寄せられていることから、日常の移動手段の確保についても課題があるものと存じております

 次に、平成29年度の地域公共交通網形成計画の取組内容についてでありますが、地域別の視点で公共交通等の現状・問題点の整理を行ったほか、課題となっているバス路線が無い中山間地域等の実態把握のため、患者輸送バスに職員が乗り込み、利用者を対象として日常の外出動向について聞きとり調査を実施したところであります。平成30年度においては、30年2月に開催した地域公共交通会議で出された意見や実態調査結果を踏まえ、あらためて、課題の整理を行うほか、市民意見の把握を行いながら、施策の検討等を行うこととしております。
また、計画策定にあたっての基本方針につきましては、市民の意見を反映させ、誰もが利用しやすく持続可能な交通網の構築を目指すこととしております

《市長答弁》 地域公共交通網形成計画策定における住民参加についてでありますが、計画策定においては、「地域公共交通会議」を設置し、住民の代表として、町内会連合会や老人クラブ連合会、身体障害者協議会など5つの市民団体の方々に参加していただき、関係期間や公共交通事業者等とともに審議いただいておりますが、更に素案作成時からも住民意見を反映できるよう、意見把握の手法も含めて検討することとしております

 また、日常的住民意見が反映される体制についてでありますが、利用者である住民のニーズを的確に捉えることは大切であると存じておりますことから、地域公共交通会議等を通して住民意見をいただくことはもちろんですが、施策の検討時や評価時において、直接、利用者等から意見をいただく新たな体制等についても検討を行うこととし、地域交通政策に広く住民意見を反映させながら、誰もが生き生きと住み続けられるまちづくりに向け、利用しやすい交通環境の構築に努めてまいりたいと存じます