2017年12月定例会 神部伸也議員の一般質問

 
質問項目 (クリックするとジャンプします)
1、日米共同訓練について
 市民への周知
 北への軍事的挑発にならないか
 オスプレイ飛行反対を
2、国保・後期高齢者医療保険について
 国保の広域化、保険税について
 低所得者への医療費助成事業
 後期高齢者医療保険料、ペナルティ
3、農業問題について
 直接支払制度の廃止について
 生産調整廃止に伴う市の対応
 特色ある産地育成
 種子法廃止
 TPP 日欧EPA 日米FTAについて 

「議会報告」トップへ      市議団トップへ
 
 神部伸也議員の質問  答弁
1、日米共同訓練について

 はじめに、日米共同訓練について質問します。
今年の4月に発表された、「平成29年度陸上自衛隊主要演習等の年度広報」によれば、米海兵隊と東北方面隊による日米共同訓練「フォレストライト02」が今年度の第4四半期、つまり平成30年1~3月中に実施予定となっております。例年、訓練期間は2週間程度となっているようですが、自治体に対する情報提供はどのようになっているでしょうか。また、市民に対する周知はどのように行うのでしょうか。


今回の訓練は、「国内における米海兵隊との実動訓練」となっています。米海兵隊は、日本防衛を目的としておらず、主な任務は海外遠征であり「殴り込み部隊」とも言われていますが、現在、北朝鮮問題で大変緊迫した状況にある下で、軍事的挑発にならないか危惧をしています。市はどのように受け止めていますか。ご所見をお伺いいたします。

 この訓練による県民・市民にとっての一番の具体的な危険は、米軍機の飛行と墜落の問題です。今回の訓練には、オスプレイの訓練移転と関連する内容も含まれています。つまり、オスプレイが岩手県・盛岡市の上空を飛行するようなことになれば、墜落事故による生命の危険にさらされることになります。

 オスプレイの危険性は、この間も指摘してきましたが、墜落事故を繰り返してきたことに加え、2012年10月に沖縄の米軍普天間基地に配備されてから5年が経過したもとで、より墜落の危険性が高まっているということです。オスプレイが配備された当時の“クラスA”の重大事故率は「1.93」で、輸送ヘリコプターの事故率「1.5~2程度」と同程度でしたが、5年が経過した2017年では事故率「3.27」と1.7倍にもなっています。この「事故率」とは、10万飛行時間当たりのクラスA事故の件数を指し、クラスAの重大事故とは、200万ドル(約2億2200万円)以上、もしくは死亡や全身不随に至る傷害などを引き起こす事故を指します。時間の経過とともに安定して、事故率が低下していくというのが航空機の一般常識だそうですが、「5年間使い続けていて事故率が2倍近くに上がった飛行機など聞いたことがない」というのが航空評論家の意見です。この1年でも、オスプレイは3件の墜落事故、①昨年12月13日に空中給油に失敗して名護市安部(あぶ)の浅瀬に墜落・大破し、5人が負傷、②今年の8月5日には、オーストラリアで墜落し、乗組員3人が死亡、③今年の9月29日にシリアで墜落し2人が負傷―という、いずれもクラスAの重大事故を引き起こしています。昨年12月と今年の8月は普天間基地所属のもので、9月は普天間配備と同型のMV22オスプレイです。

 このように墜落事故を繰り返しているオスプレイは飛行しないようきっぱりと求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
《総務部長答弁》 日米共同訓練の情報提供の状況と、市民に対する周知についてでありますが、平成29年4月21日に防衛省から今年度の訓練予定が公表されておりますが、個々の訓練計画の概要については、決まり次第、関係自治体等に情報提供するとされております
訓練の開催地及び日程等について陸上自衛隊東北方面や岩手県に問い合わせましたが、いずれも現時点では情報を把握しておらず、公表できるものはないとのことでありました
市といたしましては、今後、防衛省から訓練について情報提供があった場合には、ホームページ等を通じて、速やかに市民の皆様にお知らせしてまいります

《市長答弁》 日米共同訓練が北朝鮮に対する軍事的挑発にならないかについてでありますが、米海兵隊との共同訓練は、国内においてこれまでも行われているところであり、今年度実施されている訓練についても、防衛省から公表されておりますとおり、日米の相互運用性の向上及び嘉手納をはじめとする米軍飛行機の騒音軽減を目的として実施される訓練であると存じております

 次に、オスプレイが飛行しないように求めることについてでありますが、現時点では、訓練の実施やオスプレイの飛行について情報はありませんが、相次ぐ事故の報道の懸念は高まっているものと認識しておりますことから、今後も国の責任において、米軍に対して、万全の安全対策を講じるよう求めていくことが必要であると存じております

2、国民健康保険及び後期高齢者医療制度について

 この項のはじめに、国民健康保険の広域化について質問します。

 国民健康保険事業は、これまで各市町村で運営されていたものが、来年の4月からは各都道府県単位に切り替わり、それに伴い、各都道府県が「標準保険料率」を示し、市町村はこれを参考に保険税額を決定します。私は今年の6月議会でも質問しましたが、5月に示された岩手県の試算では、県平均で1人当たりの年間税額は2015年度比で約6千円増、5.56%の増額というもので、同じく盛岡市では、15年度比9,699円増、8.99%増という大変ショッキングな試算結果でした。(9月にも試算が示された)

  しかし今回、11月17日に公表された試算では、一転して多くの自治体で「減額」というもので、県平均で1人当たりの年間税額は2016年度比で-5,912円の9万2,135円、6.03%の減額、同じく盛岡市では16年度比-1,365円の9万6,525円、1.39%の減額となるようです。「増額」となるのは矢巾町、大船渡市、釜石市、花巻市、遠野市5自治体のみという結果でした。このことについて要因等も含めて、ご所見をお伺いいたします。

 また、最終的な額については年明けの1月に示されるとお聞きをしていますが、今後どのような展開が想定されていますか。また、市として最終的にどのような結果になると予想しているのか、お考えがあればお聞かせ下さい。
さらに新聞報道によると、激変緩和策として約2億7千万円の国費を活用し、「増額」となる5自治体については16年度と同水準に抑えられるとのことで、激変緩和期間は2023年度まで6年間を想定しているとのことです。また、別の新聞報道では、岩手県は、保険料負担が2016年度と比較して一定割合を超えて増加する市町村に対しては、16年度と同水準となるよう激変緩和措置を講じるということでした。そうしますと、確認ですが、当面6年間は、盛岡市でも16年度の保険税は上回ることはないと理解してよろしいでしょうか。また、激変緩和期間後についてはどうなるのでしょうか。お伺いします。







 この国民健康保険の「都道府県化」は、いわば都道府県を“司令塔”にして、保険税の負担増と給付削減を推進させるのが狙いです。国の意向に沿って、大阪府や滋賀県、和歌山県、広島県が「保険料水準の統一」への動きを進めていますが、市町村間の差を強引に統一すれば負担増につながり、実際に佐賀県では市町村長から懸念が続出し、「10年程度で一本化する」としていた案を、「期限は定めない」と修正せざるを得ませんでした。岩手県は面積も広く、自治体それぞれに所得の違いや医療機関の差があるので、こういった強引な保険税統一はすべきでないと考えますが、いかがでしょうか。お伺いいたします。

 国民健康保険税の根本問題は、保険税があまりにも高すぎるということです。これまでも何度も指摘してきましたが、国保財政における国庫負担割合が5割から2割台にまで減らされてきたことが大きな要因です。国に対し国庫負担の増額を求めること、そして、盛岡市の努力により国保会計は黒字となり評価できる部分でもありますが、儲ければいいというものでもありません。基金等も活用すれば引き下げが可能なのではないでしょうか。今こそ、負担の限界を超えている国保税の引き下げをするよう求めますがいかがでしょうか。

 厚労省は2018年度の国民健康保険税の課税限度額を年4万円引き上げ、医療費分で現行の73万円から77万円にする方針を固めたそうです。現在、盛岡市で課税限度額に達するのは年収でいくらの世帯が対象となりますか。お知らせ下さい。社会保険審議会医療保険部会でも「これ以上の上限額の引き上げは限界に達している」との慎重意見も出たそうです。厚労省は19年度以降も上限額の引き上げを検討しているそうです。応能負担は当然ですが、高額所得とは言えない中間層にまで重い負担増を押し付けるのはいかがかと思いますが、ご所見をお伺いいたします。

 次に、低所得者への医療費助成事業についてお伺いします。この制度は平成25年4月からスタートしたもので、国民健康保険に加入する生活保護基準以下の低所得者世帯平成に対して医療費の自己負担分を助成する事業ですが、当初は年に数件の利用に留まっていましたが、平成28年10月から、①助成回数が年2回から4回へ拡大、②申請は領収書のみ確認で可能になるなど、申請が簡素化され、③申請から1カ月以内に支払いがされる、という改善がされました。改めて、利用実績の推移(平成25年度~28年度)と平成29年度途中の実績と見通しについてお知らせ下さい。また、制度改善によって利用が拡大していると伺っておりますが、国保世帯の所得状況から見れば、制度の対象となるのは数千世帯と見込まれており、現在の生活保護基準以下から生活保護基準の1.2倍~1.3倍への拡大をすべきではないでしょうか。ご所見をお伺いいたします。

次に、後期高齢者医療制度についてお聞きします。
11月末に財務省の諮問機関である財政制度等審議会(会長は日本経団連の榊原会長)が建議をまとめ、「高齢化」などを口実に、75歳以上の方が加入する後期高齢者医療の窓口負担を現行1割から2割に引き上げるべきと求めました。しかし、こんなことがやられれば、深刻な受診抑制が引き起こされ、健康破壊を招くことになるのではないでしょうか。そして、重症化すればさらに国民全体の医療費負担も増えることになるのではないでしょうか。75歳以上の高齢者の医療費2割負担は絶対やめるべきと国に強く求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。

 もう1点は、この間も党市議団として繰り返し求めてきた短期保険証の発行の問題です。国民健康保険では、盛岡市は、資格証明書・短期保険証ともに極力発行を抑えて受診の機会を保障しています。しかし、後期高齢者医療制度では、資格証明書はゼロだが短期保険証は3ケタに上っていると聞いています。国保、後期高齢者医療制度それぞれの資格証明書・短期保険証の発行状況をお知らせ下さい。後期高齢者医療制度は、広域連合ということで難しい面はあると思いますが、県庁所在都市として、医療の機会を奪うようなやり方はやめるよう、盛岡市の国保のように発行体制を見直すように頑張って頂きたいと思いますが、取り組み状況・働きかけはどのようになっているでしょうか。お伺いいたします。
《市民部長答弁》 岩手県の保険税額試算結果についてでありますが、4月に行われた最初の試算には含まれていなかった、約1.500億円の新たな公費拡充分が反映されたこと等により、多くの市町村におきましては、事業費納付金及び標準保険料率が減となる一方で、所得や医療費の水準の高い一部市町村におきましては、増となったものと認識しております
11月の仮算定に用いられた市町村向け公費等の実績は、現在よりも被保険者数が多かった平成28年度のものであり、被保険者数の減少が進んでいる現在の状況を考慮しますと、30年度の実態を必ずしも表わしていないものと認識しております

 次に、30年1月に岩手県から示される本市の保険税額の最終的な結果についてでありますが、この確定算定値には、11月の仮算定値には未反映であった約100億円の公費拡充分が反映されることとなりますが、事業費納付金の算定基礎となる医療費や公費投入額の係数が不確定であることから、現時点での予測は難しいものと認識しております

《市長答弁》 国民健康保険税の激変緩和措置についてでありますが、平成30年度の激変緩和措置は、28年度の保険税と比較して一定割合を超えて増加する市町村に対して行われることとなります
当該市町村に配分される激変緩和措置額は、年度毎に被保険者が減少することによる、一人あたりの保険税額の増分等を除いたものとなることから、28年度の保険税水準が6年間続くものではなく、各市町村において、毎年額保険率の変動についての検討が必要となるものであります
 本市においても、被保険者数が減少する一方、一人当たりの医療費は増加傾向にありますことから、本来であれば保険税率の引上げが見込まれる状況ではありますが、市民が安心して医療を受けられる機会を守ることが特に重要であると強く認識しておりますので、30年1月に示される、市が負担する事業費納付等を十分精査の上、保険税率を決定してまいりたいと存じます

《市民部長答弁》 激変緩和期間後の対応についてでありますが、岩手県国民健康保険運営方針では、激変緩和措置については、平成30年度から35年度までの6年間を基本とし、3年ごとの運営方針の見直しの中で再検討することとしております

《市長答弁》 次に、保険税の統一についてでありますが、岩手県と市町村が協議の上、策定した国民健康保険運営方針においては、市町村ごとに財政基盤が異なることから、保険税は各市町村が設定することを基本とし、地域の事業を踏まえた上で、将来的に統一を目指すとしており、統一の期限は定めていないものであります
当面は、市町村ごとの設定を維持することとし、統一時期についても、市町村の意見を十分に反映させた上で、慎重に判断する必要があるものと存じております




《市民部長答弁》
 保険税の引き下げについてでありますが、団塊の世代の後期高齢者医療制度への移行等により被保険者数の急激な減少傾向が続く中、一人当たりの医療費の増大に歯止めがかからない等、保険税率を上げなければならない状況が想定されますので、本市における適正な保険税率については、引き続き精査する必要があるものと存じております

 次に、医療費分の課税限度額に達する対象世帯についてでありますが、本市では、単身世帯の場合、年間の所得額で622万円以上の方が課税限度額に達するものであります
次に、中間層への負担増についてでありますが、厚生労働省では「高所得層は負担増となるが、中間所得層には配慮した保険料設定が可能になる」としており、課税限度額に達しない方々には、今回の引き上げは、影響を及ぼさないものと認識しております







 低所得者への医療費助成事業における利用実績の推移と見通しについてでありますが、平成25年度が8件で14万4,140円、26年度が8件で11万2,220円、27年度が5件で4万4,420円、28年度は年度途中に助成回数の増や手続きの簡素化を行った影響もあり19件で59万3,770円となっております
29年度は11月末現在、21件で113万1,890円となっており、年間では大幅な増が見込まれるところであります

 対象基準の拡大についてでありますが、まずは、現行制度での利用者の拡大を図ることが肝要と考えており、28年度から実施した助成回数の増などの改善点を含め、制度のさらなる周知に努めてまいります

 


 75歳以上の後期高齢者医療費の自己負担引き上げについてでありますが、この建議は、窓口負担の世代間の公平性や後期高齢者医療制度の被保険者数が急増する中で、制度の持続可能性を確保することを求めたものと認識しており、引き続き、国の動向を注視してまいりたいと存じます。

 次に、国保及び後期高齢者医療制度の資格証明書と短期被保険者証の発行状況についてでありますが、29年11月1日現在で、本市の国保の資格証明書は6件、短期被保険者証は4件となっております
また、後期高齢者医療制度では、全県で資格証明書は0件、短期被保険者証は370件となっており、そのうち本市分の短期被保険者証は87件となっております

次に、後期高齢者医療広域連合への働きかけについてでありますが、資格証明書は、厚生労働省保険局長通知により、原則交付しないこととされております
また、短期被保険者証については、広域連合を構成する市町村の国保での対応が異なることから、制度に沿った県内統一的な対応を行っているところですが、機会をとらえて、本市国保と同様の対応ができないか、引き続き協議を行ってまいります
3、農業問題について
次に、農業問題についてお伺いいたします。

米の直接支払い交付金の廃止について

 安倍政権は、政府による米生産数量目標の配分の廃止と米直接支払い交付金の廃止を打ち出しており、農家に2018年度以降の米作りへ大きな不安をもたらしています。米直接支払い交付金は、生産調整に参加する農家に対して、発足当初は10アール当り1万5千円でしたが、現在は7,500円に半減されており、それでも農家の所得を下支えするものとなっていました。9月議会での髙橋和夫議員の質問に対して、市は1農家当り平均で約6万9,000円と答弁されていますが、私も生産者団体の方にお話を聞いてきましたが、「この直接支払い交付金で何とか生産費を超える状況となっている。廃止となれば農家の収入は生産費を下回り、赤字経営だ」とのことです。大規模農家になればなるほど打撃が大きいわけですが、盛岡市は市内の実態をどのように把握されているでしょうか。(法人名は伏せて、面積と金額だけ示して頂ければいいと思います。)

 生産者団体の方から、「直接支払い交付金の額に届かないにしても、せめて種もみ代や肥料代の補助などがあれば助かる」というお話もいただいてきました。市として何か独自の支援策は講じられないものでしょうか。この点に関して、9月議会での髙橋和夫議員の質疑の際に、市は、「農家の方々が意欲を持って働くことができるよう所得の安定対策を講じなければならない。需要に応じた米生産と効果的な水田活用を図るために取り組みについて検討している」と答弁されています。もう少し踏み込んでお示しいただけないでしょうか。

 また、生産調整についても廃止となりますが、どうやら来年も生産量は現状維持のようだとのお話をお聞きしました。各都道府県段階で指標を出して市町村や各集落、個人営農で調整を行うとのことですが、地域で努力しても他地域で生産拡大が行われれば、米余りで暴落が起きかねない状況になると思いますが、この点について盛岡市としてはどのように対応していくお考えかお知らせ下さい。
 
特色ある産地の育成について
 全国では、産地交付金を活用して特色ある農産地づくりが取り組まれているとのことです。例えば、青森県津軽地方の農業再生協議会では、ブロッコリーで10アール当たり1,500円を交付して産地化を図っているそうです。また秋田県鹿角市では、そばで50アールを集積したところに10アール当たり1万6千円の交付をして同じく産地化を図っているとのことです。山形県川西町でも大豆、そばで10アール当り6,000円を交付しているそうです。盛岡市では、こうした特色ある産地づくりについてはどのように取り組んでいるでしょうか。






種子法廃止について
 農業の土台となる種子を守る「種子法」が来年の4月1日に廃止されることが決まりました。

 「種子法」は戦後の食糧増産を目的に1952年につくられました。この法律のもとで、都道府県はそれぞれの気象や土壌条件に合わせた稲や麦、大豆の奨励品種を決めて、その種子を増やし、農家に安定的に安価な種子として供給してきました。国はそのために農業試験場などに財政支援をしてきました。国内で生産される米の種子は100%自給です。種子はもっとも基礎的な農業生産資材であり、大切な遺伝資源です。しかし、「種子法」の廃止でどうなるでしょうか。世界の種子を取り扱うバイオ企業、例えば、モンサント社やデュポン社など大手8社が世界の商品種子市場の7割以上を占めると言われていますが、そうしたところに日本の種子市場も支配されてしまうのではないでしょうか。民間企業の種子価格は、都道府県の開発品種の5~10倍の価格と言われていますが、公共の品種がなくなれば、採算が合わず撤退する農家も生まれるのではないでしょうか。また、消費者にとっても遺伝子組み換え作物など安全面で懸念されます。
 廃止が決まった後も、農水省が各地で開いた説明会で「現場が混乱する」「種を確保できるのか」などの声が相次いだそうです。種子の役割は重要であり、その開発・生産、普及などに公的機関のかかわりが引き続き求められるのではないでしょうか。
 このことについて、市としてはどのように受け止めているでしょうか。

政府の進める貿易交渉について(TPP、日欧EPA、日米FTA)
 安倍政権は、TPPをアベノミクスの主要な柱に位置づけて、国内で多くの反対の声があがる下で参加を強行し、秘密交渉で譲歩を重ねて妥結し、国会批准と国内関連法を強行採決してきました。しかし、TPPを主導してきたアメリカが、トランプ大統領の誕生のもとで離脱をしましたが、それでも安倍政権は、アメリカに復帰を働きかけ、一方で、アメリカを除く11カ国でTPP11を主導して進めています。さらには、日欧EPAも妥結し、日米FTAに突き進もうとしています。TPPは、国境を越えて儲けを追及する多国籍企業を後押しするために、各国の関税を撤廃し、非関税障壁を取り除き、国内の規制を撤廃・緩和することを目指すものです。これによって、国内産業や地域経済、国民生活が破壊されかねず、国内各地でも、そして、世界各国でも根強い反対運動が起きているのです。アメリカがTPPから離脱したといっても本質は変わりません。日欧EPAは、TPPよりも影響が大きいと言われています。TPPは断念し、新しい協定の批准もやめて、経済主権に立った公正・平等な経済ルールを確立することこそ必要ではないでしょうか。改めて、こうした動きに対するご所見をお伺いいたします。
《農林部長答弁》 米の直接支払交付金の市内農家の実態についてでありますが、平成28年度の当該交付金の対象農家数は2,477戸、1農家当たりの平均面積が0.9ヘクタールであり、市内で一番、生産面積の大きい経営体では、768ヘクタール、交付金額は5,761万円、二番目は、面積が96ヘクタール、金額は718万円、三番目は、面積が30ヘクタール、金額は226万円となっており、大規模農家ほど影響があるものと存じております
また、市独自の支援策についてでありますが、転作を奨励し、水田を有効に活用した振興作物の生産の定着と拡大を図るため、水田営農特別対策事業費補助金拡充を検討しているところであります

 次に、米の生産調整の廃止に伴う市の対応についてでありますが、岩手県農業再生協議会では、国の生産数量目標に代わり、生産数量の「目安」を地域協議会ごとに設定することとしており、盛岡市農業再生協議会におきましても、農業者に生産数量の「目安」を示すこととしております。「目安」には強制力がないものの、過剰な作付けや米価の下落に一定の効果があるものと考えており、取組の趣旨を丁寧に農業者に周知してまいりたいと存じます






















《市長答弁》 農畜産物の特色ある産地の育成についてでありますが、私が会長を務める盛岡市農業再生協議会として、きゅうり、トマト、ねぎ、ズッキーニなどを振興作物として位置づけ、これらの産地育成に取り組んでいるところです
支援策として、これらの作物に転作した場合には、10アール当たり3万円の産地交付金を交付しているほか、前年より作付けを拡大した場合には、拡大した面積に対し、10アール当たり2万円を加えて助成しております
特に、トマトにつきましては、新規就農者が大規模ハウスを整備し、専業で取り組んでいる事例が複数出てきております
今後におきましては、地域の特性を活かし、安定した農業経営につながるよう、消費者や実需者のニーズに的確に対応した優れた作物を提供できる、特色ある産地の育成に取り組んでまいりたいと存じます

《農林部長答弁》 種子法の廃止について、市はどのように受け止めているのか、についてでありますが、この法律の廃止に当たりましては、これまでの都道府県の種子開発。供給体制を生かしつつ、「農業競争力強化支援法案」に都道府県の役割を位置づけ、種子の品質を種苗法と農産物検査で担保することとしていることから、種子の安定供給につきましては、十分対応できるものと存じますが、議員ご指摘のようなことも懸念されますことから、今後の国や県の動向を注視してまいりたいと存じます





















 TPPや日欧EPA、日米FTAについてでありますが、7月には日欧EPAが、11米国を除く11カ国によりTPPの大筋合意に至っているところであります
本市といたしましては、国内農業の持続的発展と長期的な安定を図るため、TPPについては、協定発効いかんに関わらず、予算を確保した上で、「総合的なTPP等関連施策大綱」に基づく施策を着実することや、日欧EPA及び日米ETAの交渉等においては、国際競争力の強化等に万全の措置を講じることについて、全国市長会等を通じて国に要望しておりますが、今後におきましても、要望活動を継続するとともに、国や県の動向を注視してまいりたいと存じます