2017年9月定例会 神部伸也議員の一般質問

 
質問項目 (クリックするとジャンプします)
1、子育て支援について
  医療費助成事業の拡大
  就学援助の改善
2、生活保護について
  小田原ジャンパー事件の検証
  野洲市の取り組みに学ぶ
  自動車保有について
3、「我が事・丸ごと地域共生社会」について

「議会報告」トップへ      市議団トップへ
 
 質問  答弁
1、子育て支援について

≪神部伸也≫
経済支援の拡充について、これまで求めてきましたが確認したいと思います。

(1)医療費助成制度拡大を
 
まず、医療費助成です。盛岡市では、入院で小学校卒業まで、通院は就学前までとなっていたものを、平成28年度から、通院も小学校卒業まで拡大し、大変喜ばれています。8月からは滝沢市でも小学校卒業まで医療費助成を拡大し、これで県内すべての自治体で小学校卒業までが対象となりました。
 さらに、一関市では、現在の中学校卒業までから、来年度、高校卒業までに拡大する意向を表明しました。岩手日報(8月19日)の報道で、勝部市長は「(無料化は)財政的に厳しいが、市民の子育て世代の経済的負担の軽減などから有効な施策で、18年度からの実施に向けて取り組みたい」と答えたとのことです。このように、それぞれの自治体が努力し、制度を前進させていることについて、市長はどのように感じているでしょうか。ご所見をお伺いします。

 盛岡市では、今年の4月から入院・通院とも小学校卒業まで医療費助成の対象となりましたが、中学校卒業までの拡大については、小学生医療費助成の実績を見極めてから判断するとしていました。県の現物給付が始まったのは、平成28年8月からということもあり、8月を起点に今年の7月までの1年の実績をみて判断することとしていますが、見通しはどのようになっているでしょうか。

 谷藤市長は、医療費助成の拡大の必要性を認め、中学校卒業までの拡大を公約に掲げています。市長のご決断についてお聞きしたいと思います。いかがでしょうか。

 先に述べたように滝沢市が小学校卒業まで拡大となりましたので、県内すべての市町村で小学校卒業まで医療費助成を行うという、まさに足並みがそろいました。現物給付について、日本共産党岩手県議団による県保健福祉部長への申し入れでは「事業主体である市町村と協議検討していきたい」と答えているとのことです。ついては、盛岡市が先頭に立って、現物給付化を小学校卒業まで拡大するよう求めるものですが、いかがでしょうか。

 合わせて、現在の医療費助成制度は、県の制度に市町村が上乗せして実施していますが、県の制度は、入院は小学校卒業まで、通院は就学前までとなっています。通院についても小学校卒業まで拡大するよう求めるべきと思いますがいかがでしょうか。

(2)就学援助について

 次に、準要保護児童生徒への新入学学用品費についてです。先の6月議会で鈴木礼子議員が質問しましたが、豊岡教育部長は「これまでは入学後に支給しておりましたが、検討した結果、先に中学校の新入学学用品費を入学前に支給することとし、早期実現に向けて取り組んでいるところ」と答えました。現在の準備状況についてお知らせ下さい。
 
 次に、中学校のクラブ活動費への援助についてです。豊岡部長は「先行自治体の事例などを参考にしながら引き続き検討してまいりたい」と後ろ向きの答弁でした。財源が必要なのは当然ですが、生徒にまでお金の心配をさせるような市政では本当に情けないと思います。子どもの夢を応援する盛岡市であって欲しいものです。この点についての検討状況はどのようになっていますか。お伺いします。
《谷藤市長》 県内の自治体の医療費助成制度の前進の状況についてでありますが、本市をはじめ、県内自治体では、子育て支援施策を優先事項として取り組んでいるものと認識しており、急速な少子高齢化・人口減少に直面する県内において、安心して子どもを産み・育てることができる環境を整える施策の一つである子ども医療費助成制度の対象者拡大は、将来的な地域の経済成長や社会の新たな活力につながるものと存じております
したがいまして、当該医療費助成制度については、自治体間の財政事情等による格差を是正し、どこに住んでいてもすべての国民が安心して子どもを生み育てられる環境の実現が重要であり、我が国の人口減少社会への対策として、本来国が統一的に行うべきものであると認識しておりますことから、国の責任において制度化することを全国市長会や中核市市長会を通じて、要望を行っており、引き続き、他自治体とも連携を図りながら要望を行ってまいります。

 次に、本市における医療費助成の中学生までの拡大については、本市の年間医療費等の試算に基づき、事業を確実に継続して実施できるか精査の上、早期の実現を目指してまいりたいと存じております

《伊勢谷市民部長》
 小学生の医療費助成の1年間の実績見通しについてでありますが、現在、平成28年8月から29年6月までの医療費が確定しており、一月当たりの平均は約1千4百万円でありましたことから、医療費給付額は、年間で1億7千万円を見込んでおります
中学生医療費は、その対象者が小学生の約半数と想定されますことから、現時点では約8千5百円となり、審査手数料などの経費を含め、約1億1千万円の見込みとなっておりますが、今後7月診療分の対象経費を確認の上、引き続き精査を行ってまいります

 次に、現物給付化の件への要請についてでありますが、現物給付化は、子育て世代の負担軽減を図る上で、有効な施策であると認識しておりますが、県と県内自治体が統一して実施する必要がありますことから、岩手県市長会を通じて、県に対し、要望を行っているところであり、今後も機会を捉えて要望してまいります

 次に、県の医療費助成を小学生の通院まで求めることについてでありますが、これが実施されることにより、市町村間の格差の是正につながりますことから、これまでも県市長会を通じて、県へ要望を行ってきたところであり、引き続き、県内市町村と連携を図りながら要望を行ってまいります


《教育部長答弁》

 中学校の新入学用品費の入学前支給についてでありますが、このことにつきましては、現在、年度内の支給を目指して準備を進めているところであります





 次に、中学校のクラブ活動費への援助についてでありますが、準要保護児童生徒に対する追加3費目の支給については、段階的な導入を図ることとしており、中学校のクラブ活動費につきましては、先行自治体の事例や、市内中学校の実態調査を行いながら、支給に向けた検討を行っているところであります
2、生活保護について

(1)小田原ジャンパー事件と検証結果について

≪神部伸也≫今年の初め、小田原市の生活保護担当職員が、ローマ字表記で「ほごなめんな」と英語で「私たちは追いかけ、不正を罰する」と書かれたジャンバーを10年にもわたって着用し、生活保護世帯を家庭訪問していた問題が発覚しました。日常的に「なめんな」とか「不正を罰する」という態度で接し、いかにも生活保護を受けている人がすべて不正受給者であるかのように見なすことは決して許されるものではありません。それは、生活困窮に陥る可能性は誰しもが持っており、その時に必要な支援を受けられる最後のセーフティーネットが生活保護であり、憲法25条に明記された権利です。同時に、不正受給者はごく限られており、ほとんどの方は、真面目に生活しているからです。
 小田原市の加藤市長は、お詫びのコメントで、「市職員のジャンバー等の着用は、いのちと暮らしを守るべき市職員として不適切であり許されない。また、すべての保護受給者を不正受給の可能性があるかのような認識を持たれるものであり、生活保護を利用する権利を抑制することにつながるという当たり前の感覚が欠如していた」と、事件の本質を指摘し、「小田原市全体が『いのちを大切にする小田原市』であることをしっかり外部に発信していく。強力なモメンタム(契機)にしていかなければならない」と決意を述べたそうです。この事件について、谷藤市長は、どのようにお感じになられたでしょうか、ご所見をお伺いします。

 本事件を受けて小田原市では「生活保護行政のあり方検討会」を設置し、委員には、元生活保護受給者、元ケースワーカーなどを起用し、格差問題で研究している大学教授などを座長に報告書をまとめました。この報告書では「生活保護受給者」を「利用者」と呼びました。行政文書では初ではないかとのことです。この点から見ても生活保護を受ける方に対する見方・姿勢が大きく変化していると感じました。そして、この事件・報告書は、小田原市の反省と改善だけにとどまるのもではなく、他の自治体にとっても学ぶべき点が多く含まれていると思います。ぜひ、盛岡市の生活保護行政を再点検し、より向上させていく上でも研究する必要があると思いますが、いかがでしょうか。ご所見をお伺いいたします。

 報告書では、本事件の検証と合わせて、生活保護の現場レベル、市役所全体レベル、市民生活全体レベルで問題点を整理しています。そのうちの、生活保護現場レベルについて伺いたいと思います。
 報告書では、「『援助を必要とする側の視点』が軽視され、生活困窮者に対する『支援者としての意識』が弱かった」と総括したうえで、「生活保護利用者の声に耳を傾け、その業務が対人支援であることを再認識できるようにすること、支援の専門性を高めることが必要である」と述べています。
 生活相談で生活保護利用者の方から、「嫌な思いをさせられた」という話を様々な場面で聞きます。ケースワーカーは、保護費をはじめ、保護の様々な給付決定権を背景にしながら、利用者を援助します。いわば、「生活保護のケースワーカーに自分たちの生活は握られている」と感じても不思議ではないのです。
 報告書でも、「保護利用者から見れば『生活保護ケースワーカーは絶対権力者』」と指摘しています。このように、ケースワーカーと利用者間には、「力関係」が働くことを認識し、「指示に従わない保護利用者の側に問題がる」ということではなく、制度は制度として原則的に運用しなければならないのは当然かもしれませんが、「援助を必要とする側の視点」に立って、制度を最大限運用して、支援していくという姿勢が必要だと思いますが、いかがでしょうか。さらに、そのためには、ケースワーカーの配置期間や研修会の充実など、より専門性の確保が求められるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 検討会で、加藤市長は、「生活保護が必要な方々が増え続ける状況の中、その背景や温床となっている格差社会、分断社会、貧困化にどう対処していくのか」という問題提起を行いました。生活保護はもちろん一般市民向けの施策を充実させること、生活困窮者の早期発見と必要な支援に結び付ける取り組み、盛岡市でも様々実施していますが、さらに充実させることが必要ではないでしょうか。
 
(2)野洲市の取り組みに学んで

 そしてこの間、庄子春治議員が提起してきた滋賀県野洲市の「債権管理条例」、さらには「くらし支えあい条例」、今年の7月にわが会派で視察しお話をお聞きしてまいりましたが、滞納を市民からの生活状況のシグナルと受け止め、「ようこそ滞納いただきました」とまで言って、市民生活の再建を応援支援するこの取り組みは、盛岡市でも真剣に検討すべきであります。「いのちを大切にする“盛岡市”」へ向かってさらに前へと進んで頂きたいと思いますが、ご所見をお伺いいたします。

(3)自動車の保有について

 現在、生活保護利用者の自動車の保有は、生計を立てる上で必要な場合、公共交通機関が著しく困難な地域で通勤用として使用する場合、障がいのある方が通勤や公共交通機関が著しく困難な地域で通院や通学に必要な場合で、しかも、自動車の処分価値が小さく、維持費を捻出できることができるというのが強権で、極めて限定的となっています。この問題は、昨年の12月議会で伊勢志穂議員が質問していますが、村上保健福祉部長は、「平成28年10月末現在で、勤務先や親族等の車を借用する場合を除いて保有を認めている世帯は17世帯、処分を保留している世帯は5世帯と」答えました。現在どのように変化しているか、出来れば保有要件の内訳と処分がある場合はその理由をお知らせ下さい。

 また、村上部長は、「生活用品としての自動車保有については、国からの通知により現段階では保有が認められておらないところ」と答えています。自動車保有についての大阪地裁判決があります。大阪府枚方市に住む身体障害者手帳3級の方が、車を処分しないことを理由に生活保護を打ち切られました。大阪府へ審査請求などする中で、福祉事務所は生活保護の再申請を認め、「遊興での使用」は認められないが、通院や買い物など日常生活での使用を認めることになりました。保護廃止処分は違法と提訴し、3年余のたたかいの中で2013年4月19日に、大阪地裁での勝訴判決が確定したとのことです。私はこの判決が自動車保有に関する国の通知の変更を示す内容であると認識しますが、市としてはどのように受け止めますか。ご所見をお伺いします。

とりわけ、地方では自動車は生活に欠かせない足です。生活者の視点に立って、運用でもう少し柔軟に対応ができないものでしょうか。できないのであれば、地方の実情を国に訴えて制度の改善を図るよう求めていただきたいと思いますが、ご所見をお伺いいたします。

《谷藤市長》 次に、小田原市の生活保護担当職員が、不適切な表記をしたジャンパーを着用して家庭訪問等の業務を行っていた問題についてでありますが、この行為は、生活保護を利用する人々の気持ちを傷つけ、市民との信頼関係を損ねるものであり、また、生活保護受給者であることが周辺住民に知られることや、生活保護制度の利用の権利を抑制する可能性もあるなど、極めて不適切な行為と存じます
生活保護制度は、憲法第25条の、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とした理念に基づいたものであり、市民のいのちと暮らしを守る制度であるということを認識し、取り組まなければならないものと存じます

















《村上保健福祉部長》 小田原市の事件について、当市でも研究してはどうかについてでありますが、小田原市の「生活保護行政のあり方検討会報告書」には、「ひらかれた生活保護行政に向けた改善策」がまとめらており、当市にとりましても大変参考になる内容であり、研修で活用するなどして、ケースワーカーの資質向上に活かして参りたいと存じます

 次に、生活保護制度の運用にあたっては、支援していくという姿勢が必要であり、そのためには、ケースワーカーの専門性の確保が求められるのではないかについてでありますが、生活保護の業務を行うにあたっては、援助を必要とする側の立場に立って制度運用することをケースワークの基本ととらえ、支援を行っているところであります
また、専門性の確保につきましては、異動してきた職員については、県主催の初任者研修への参加のほか、生活保護や関連する業務に係る課内研修を行っておりますし、中堅職員については、県主催の自立支援ケース事例研修に参加しております。また。全職員を対象として、法テラスやハローワークなどの専門機関を講師とした研修を行っております。

 今回の事件を、自分たちの仕事を見つめ直す機会と捉え、専門性を高めるとともに、自立支援の取組の充実に努めて参りたいと存じます



























 次に、野洲市の取組を参考に、生活再建の支援を検討するべきではないかについてでありますが、市におきましては、生活困窮者への支援の窓口として「くらしの相談支援室」を設けており、多重債務での生活保護の相談申請があった場合には消費生活センターにつなげており、また、納税相談等が必要な方に対しては、担当課と連携して支援しておりますが、野洲市のワンストップの取組は参考になるものと存じており、研究してまいりたいと存じます。





 次に、自動車保有の世帯数についてでありますが、平成29年8月末現在で、自動車の保有を認めている世帯は14世帯で、処分を保留している世帯は3世帯となっております
 また、保有要件の内訳は、事業用が3世帯、通勤用が6世帯、障がい者用が4世帯、通院用が1世帯となっております
 処分を指導した事例といたしましたは、病気により就労の再開が困難となり、通勤用の自動車を処分した事例がございます




次に、大阪地裁の判決への所見についてでありますが、原告の通院について、自動車の保有を認めた事例で、公共交通機関の利用が可能かどうかが争点になったものと存じており、市といたしましては、自動車保有の審査に当たっては通院や日常生活の状況等を的確に把握し、適切に判断してまいりたいと存じます。









 次に、自動車保有に対する市の対応についてでありますが、生活用品としての自動車保有については、国からの通知により、認められていないところでありますが、岩手県立大学と市で実施した「盛岡市ひとり親世帯の子どもの生活実態に関するアンケート調査」において、自動車を継続して使いたいために、生活保護を受けていない状況が明らかになったことを踏まえ、自動車保有の課題につきましては、国及び県に対しまして、生活保護法施行事務監査の機会に訴えてまいりたいと存じます
3、地域協働のまちづくりについて

≪神部伸也≫今年の5月26日に、いわゆる「地域包括ケア強化法案」が、参議院で可決、成立しました。これは、32本もの法律を一括した法案であるにもかかわらず、衆議院の審議時間はたったの22時間、参議院ではそれをさらに下回る16時間で審議が打ち切られ、審議が十分に尽くされないままに可決・成立させられてしまいました。この中には、安倍政権が掲げる「『我が事・丸ごと』地域共生社会」に向けて、地域住民等の助け合いを制度化し、高齢、障がい、子どもなどの福祉サービスを包括化する内容が規定されています。障がい児・障がい者と高齢者が同時に利用できる「共生型サービス」の創設や、社会福祉法に、地域住民等が世帯等の抱える生活課題を把握し、関係機関との連携で解決するよう留意することを規定するとともに、市町村は、地域住民等の参加促進、包括的支援体制の整備等を行うことを規定する・・ことなどです。

 昨年7月の第1回「我が事・丸ごと地域共生社会実現本部」の会議後に、当時の塩崎厚生労働大臣は、地域共生社会実現の狙いについて、「新しい福祉の哲学の転換をめざしていく」と発言したそうであります。この言葉は、何を意味するのでしょうか?戦前の「恤救規則」を思い起こさせるとの指摘もあります。「恤救」(じゅっきゅう)とは、「哀れみ、助ける」という意味で、この規則は、1874年(明治7年)にできたものです。前文には、「貧困な人たちを哀れんで救うのは地域住民相互の助け合いによるべきだが、誰にも助けを求められないような深刻な貧困者は、国が助けます」という内容とのことです。つまり、「もう公的な資源に費やすお金がないので、全部地域の皆さんでやって下さい」ということになりはしないかとの指摘です。政府・厚労省は、「地域共生社会の実現」あるいは「福祉サービスを必要とする人たちが孤立しないよう、地域住民が支援する」という聞こえのいい謳い文句ですが、公的な社会保障費の削減路線をおし進め、国や自治体が地域福祉から手を引き、地域住民の「自助・公助」に役割を押し付けることにはならないでしょうか。

 障がい者と高齢者への支援を同一事業所で行う「共生型サービス」の創設についても、施設基準・人員基準が低い方に合わせられて、サービスの質が低下するのでないかとの懸念の声もあります。
この「我が事・丸ごと地域共生社会」について、市はどのように受け止めているのか、この取り組みによって描かれているビジョンはどういった社会か、そして、福祉に対する公的責任の後退は絶対にないと言えるのか、これらの点についてのご所見をお伺いします。

  盛岡市は、国のモデル事業である「多機関の協働による包括的支援体制構築モデル事業」の指定を受けて、平成28年度から29年度にかけて「主体的に地域内の生活課題を把握して解決を目指す体制づくり」と「世帯全体の課題を丸ごと受け止める総合的な相談体制の構築」(「福祉もりおか」2017年7月15日号より)を社会福祉協議会へ事業委託し進めています。分野では、地域福祉、高齢分野、障がい分野、子ども分野、生活困窮者支援分野、ひとり親家庭支援分野、職能団体、共生の場づくり、若者・まちづくり支援、医療分野と幅広く、それぞれの機関に相談支援包括化推進員が配置されています。現在の相談支援包括化推進員の配置状況(人数)を改めてお示し下さいますとともに、その役割についてお知らせ下さい。
 現在、地域組織である自治会・町内会がこのモデル事業に関わる動きが見られませんが、今回のこのモデル事業では、専門機関のネットワーク体制の構築を図るということで理解していいのか、そもそも何を目的に取り組むのか、改めてお知らせ願います。「主体的に地域内の生活課題を把握し」とありますが、この「地域内」はどういった括りでしょうか?福祉推進会単位のエリアと考えていいのか、お知らせ下さい。「体制づくり」については、その中核を担う機関はあるのでしょうか、社会福祉協議会が中心機関と考えていいのか、その場合、市はどのような役割を果たしていくのか、お知らせ下さい。また、来年度以降はどのようになるのかお知らせ下さい。

 さらには今年度(平成29年度)、「地域力強化推進モデル事業」の採択も受けて、社会福祉協議会に委託されて実施されています。モデル地区として、「みたけ地区」と「杜陵地区」が選ばれて、福祉推進会という単位の中で、取り組みが行われることとなっています。これらの地域が選定された理由をお聞かせ下さい。

 地域福祉コーディネーターとこれを補佐する「地域づくり推進員」が配置され、「住民が主体的に地域課題を把握して解決を試みる体制づくり」を支援したり、相談、助言及び情報提供を行ったり、「必要に応じて支援機関につなぐことのできる体制を構築する」としています。現在までの取り組み状況についてお知らせ下さい。合わせて、今後の具体的なスケジュールと取り組み内容についてお知らせ下さい。このモデル事業は単年度で終了でしょうか?「住民が主体的に地域課題を把握して解決を試みる体制づくり」といっても、簡単にできるものではないと思います。地域でも少し議論しましたが、「正直よくわからない部分があるが、悪いことではないので協力していきましょう」という感じでした。「主体に」と言ってもこれも難しい感じがします。この部分での中心はどこが担うのでしょうか。福祉推進会となるのでしょうか?様々な行事に地域福祉コーディネーターの方が参加されるようでありますが、地域への説明と理解は進んでいるでしょうか?やるのであれば、地域にきちんと理解されるような取り組みがもっと必要なのではないかと思いますが、いかがでしょうか。今年度の取り組みでは何を成果目標に行っているのか、来年度(平成30年度)以降はどうなるでしょうか。お伺いします。
《村上保健福祉部長》
 「我が事・丸ごと地域共生社会」をどのように受け止めているかについてでありますが、制度・分野ごとの「縦割り」や「支え手」「受け手」という関係を超えて、地域住民や、社会福祉活動・ボランティア・NPO活動に取り組んでいる人及び団体が集まり、人と人、あるいは、人と様々な福祉サービスが、世代や分野を超えてつながることであり、このことは、盛岡市地域福祉計画の基本理念である「共に支え合い誰もが安心して暮らせる地域社会の実現」に通じるものであると捉えております
次に、福祉に対する公的責任の後退についてでありますが、国から示された今回のシステムは、公的支援を必要とする方に、いち早く気付き、支援の手を伸ばす体制の整備を目指すものと認識しております

 次に、相談支援包括化推進員についてでありますが、市社会福祉協議会に専任として1名、他に兼任として17名を配置し、複合的・複雑化したニーズを的確に捉え、様々な相談支援機関と連携しながら、必要な支援をコーディネートすることを担っていただくこととしております。そして、その活動の中で相談支援包括ネットワークの構築を目指してまいりたいと存じます

 また、地域の括りについてでありますが、相談支援包括化推進員は、市社会福祉協議会の専任以外は、普段は市内の障がい者、高齢化、子どもなどの各専門分野の相談支援機関に所属して活動しておられる方であり、市内全域が対象と考えておりますが、この事業は市社会福祉協議会に委託して実施しておりますが、ネットワークの中核として、市と市社会福祉協議会が一緒になって取り組んでいくものであります
また、今後につきましては、地域福祉の推進にとって重要な取組と認識しておりますことから、継続して実施してまいりたいと存じます















 次に、「地域力強化推進モデル事業」についてでありますが。モデル地区とした2地区は、平成27年度に日常生活支援ニーズ調査と地区内にある事業所を対象にした社会資源開発等調査を行っており、作成した社会資源マップなど、調査結果の活用が期待できることとから協力を依頼したものであります。

 これまでの取組状況といたしましては、市社会福祉協議会に設置している地域づくり推進員が、地区内の地域課題について抽出を行っているところであり、地域福祉活動に対する関心の向上、地域福祉活動に参加するきっかけづくりに向けた取組を進めているところであります




 次に、地域課題を把握し、解決を試みるのは、どこが担うのかについてでありますが、住民自らが課題解決の中心になり、それをボランティアや地区福祉協議会、地域に根ざした活動を行うNPO等が支援する体制を目指しているところであります。また、地域からの理解を得るための取組といたしましては、各モデル地区の状況を報告する勉強会的な場を設けてまいりたいと存じております
平成29年度は、モデル地区での取組について、具体的に向けた道筋をつけるところまで進め、平成30年度以降は、モデル地区の取組を更に進めるとともに、その成果を踏まえて、対象地区を広げてまいりたいと存じます