2017年9月定例会 議案に対する会派の討論

 
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 2017年9月議会 議案に対する日本共産党盛岡市議団の討論を紹介します。
9月議会会派の討論
平成29年度9月市議会 日本共産党盛岡市議団の討論

今議会に提案された議案、認定案件に対する日本共産党盛岡市議団の意見を述べます。

 まず、議案については議案第70号盛岡市立幼稚園保育料条例の一部を改正する条例について反対し、他の議案には賛成します。
 公立幼稚園における施設型給付額については、公立施設としての意義、役割、公私間のバランス等を考慮し、最終的には設置者である市町村が定めることとしています。大幅な保育料の値上げになる今回の措置についてどのような考慮がなされたのか納得できる説明がなく反対します。

議案第68号平成29年度盛岡市一般会計補正予算第2号について次の意見を述べます。
歳入において今年度も、土木費国庫補助金の国の確定によって大幅な減額が余儀なくされましたが、地域の住民要望に基づく事業推進に特段の努力を図るとともに、当初予算の算定段階でより精査していただくよう求めます。

歳出では、上大ヶ生地域の飲用井戸等の整備に対する補助が計上されたことは評価します。引き続き対象となる全世帯に対する支援が早急に、行われるよう求めます。

仙北学童保育クラブの施設改修費が計上されています。市内には老朽化により耐震化や改修が必要とされる施設もあることから各学童施設の実態調査を行い、改修が必要な施設への対応を急ぐよう求めます。
あわせて、放課後児童対策については、市内小学生の居場所に関する追跡調査で、「一人若しくはきょうだいと自宅で」過ごす3067人、そのうち「一人でいる」児童が、1,787人という実態が明らかになっており、市の子ども子育て支援事業計画における放課後児童対策の計画を、その実態に応たものに早急に見直しを図るよう求めます。
来年度から、都南地域のし尿処理については盛岡地区衛生処理組合で処理することとなります。その際に、業者は車両の美装化が求められており、見積りで数百万円かかると言われています。「組合補助で280円までに拡大する」「料金体系も旧盛岡市に段階的に合わせるので業者の収入増える」とのことでしたが、それでも美装化の負担は、業者にとって重いものとなります。経営圧迫とならないよう、さらに業者の要望も聞いて進めるよう求めます。

議案第75号「財産の取得について」は、新産業等用地の整備のため、道明地区の用地を取得しようというものです。今後においては、相続・査定・代替地の要望など課題があるとのことですが、できるだけ早期に解決し、平成32年度からの用地売却というスケジュールが遅れることのないよう取り組んで頂きたい。合わせて、市内にあるライフサイエンス分野で世界的な先端技術を持った企業を核としながら、盛岡の特色ある工業団地・企業集積を図るよう、今後さらに力を入れて支援するよう求めます。

次に、認定案件については、14件のうち、認定1号及び第7号に反対します。

 認定第1号 平成28年度盛岡市一般会計歳入歳出決算については、反対の理由は次の通りです。
盛岡市が先頭に立って進めるごみ処理広域化は中止し見直すべきだということです。28年度まで2カ年かけて行った建設候補地検討委員会には、総額2000万円もかけました。その過程の中で、候補地から外された、下飯岡地域が、「外す」と決定した根拠について8首長の協議会においてまともな検討もなく、簡単に覆され、候補地に追加されたことは、何のための検討委員会だったのかということが問われるものです。
市が行ってきた、候補地住民説明会では現クリーンセンターの説明会において、実質的な説明に入れなかったことは、市が地域住民と結んだ「覚書」を事実上ないがしろにして「広域化」を進めてきたことの矛盾があらわになったものです。
今議会の質疑で、市は、「国の交付金の要綱に『広域化』の条件はない」ことを認め「国の交付要綱においては現6施設においても交付金の対象になる」ことを認めつつ、「県の指針=広域化に合致していることが条件」だなどと言い訳しましたが、もともと県の広域化という計画自体が問題であるとともに、県の当事者自身、撤回する会の住民との交渉の中で、広域化が交付金の条件ではないことを事実上認めています。市が広域化の最大の根拠の一つとしてきた「広域化しなければ国の交付金は出ない」という説明は、事実上破たんしました。
さらに、住民説明会での市の説明のなかで「大型化しても有害物質の総量を減らせる」とした根拠については、何ら科学的な根拠を説明することができませんでした。また、収集運搬車について、「現在の267台が270台に、3台増えるだけ」という説明も、比較する前提条件が全く違う、ごまかしの説明であったことも明らかになったのです。
ほかの自治体の議会では、広域化の是非を問う質問に対して、盛岡で引き受けることで現在の施設周辺の問題が解消することを根拠に広域化を推進する趣旨の答弁が行われたということです。ここには、「迷惑施設」のごみ処理場を他の自治体に移してひと安心という本音が出ているのではないでしょうか。
ごみ処理広域化は、見直しすべきであってこのまま強行することには反対です。

市が進める保育園の全園民営化が、緊急課題である「待機児児童解消」の大きな障害にあっていることも明らかになりました。共働き世帯が7割を超し、0~2才児の保育利用率が46・6%となっている中、市の28年4月1日時の0才児の認定児童数1436人に対して量の見込みが819人で、かい離状況が175%という事態です。特に盛南、都南地区での待機児が顕著でありこれらへの対策が急がれています。都南・盛南地区で0才児保育が未実施となっている公立保育所は、急ぎ施設を整備・拡充し受け入れを行うことを求めます。公立保育園でのゼロ歳児受け入れとそのための施設整備について、民営化のためにできないとする姿勢を改め、民営化そのものの見直しを強く求めるものです。

消費税増税、ふるさと納税制度など、国の政策が盛岡市財政に大きなマイナス効果となっていることも問題です。平成28年度の地方消費税交付金は前年度比で8・6%、4億9千484万の減収となったほか、この税制改革による法人市民税減税、基準財政収入額への影響で差引 歳入で 4285万9千円のマイナス 一般会計における市が負担した消費税は20億2,594万円となっており、消費増が地方財政に寄与せず、逆にマイナスになっていることが決算上あきらかになりました。消費税増税はキッパリ中止すべきです。
ふるさと納税では、市も時流にのって28年度途中から各種返礼品の贈呈を始め、寄付金収入増を狙いましたが、結果はどうであったか。28年中の寄付金1億204万2千円に対して、28年中の盛岡市民が盛岡市及び他自治体に行った寄付金に伴う29年度の市税の控除額は1億4716万7千円で、歳入で4511万5千円のマイナス、推進事業の歳出で5,494万9,755円となっている。この制度の実質的な収支では約1億円も赤字となっています。金持ち、高額納税者ほど、この制度による節税効果が高いということも含めて、問題点が明らかとなりました。地方財政対策としても矛盾のあるこの制度は、税金の控除制度の抜本的見直しを含めて、故郷やほかの自治体を応援するための、もともとの制度に立ち返るよう市としても国に求めるべきです。
マイナンバー制度導入のため、28年度まで合計4億9895万円かけ、そのうち市の一般財源は1億5千204万円となっています。一方、鳴り物入りで宣伝している個人番号カードの発行は、8月末時点で人口比9・7%にとどまり、この一年でわずか0・5ポイントの増加にとどまったのです。個人番号通知カードもいまだ1362通が届けられずに市に残っている状況であり、個人情報漏えいのリスクを抱え、圧倒的な住民にとって、メリットのないこの制度に莫大な予算を投じることの問題が浮き彫りです。この制度は中止すべきです。

以上反対の理由を述べました。認定第一号については反対の理由以外に次の意見を述べます。

●玉山で計画されている道の駅の事業について、28年度に実施した基本計画策定業務委託が「未完」となった要因が、森林法上の制約や、国の採択基準における駐車場の確保などで、必要面積が現在取得済みの2倍をこえる面積が必要であることが判明したことが要因でありました。また、総合計画に盛り込まれている事業費見積もりも大幅に増額となる見込みであることも明らかとなりました。事業に着手するにあたって担当部署の準備不足であったことは否めません。反省の上に立って早急な方向性を見出すよう求めます。
●職員の時間外勤務については、一定の改善があるとはいえ、月237時間の残業があるという実態であり、過労死ラインと言われる月80時間を超える時間外労働が、延べで500人を超える実態の改善を求めます。
●「盛岡市公共施設保有化・長寿命化計中期計画及び実施計画」については、将来的な財政問題とともにその施設が果たしてきた役割を十分考慮して進め、市民の声をしっかりと反映し、計画の見直しをするよう求めます。
●市が全額出資する団体で、市の指定管理業務に従事する職員の85.7%が非正規雇用という実態は、ほとんど改善が見られていない状況です。しかも、5年以上非正規のまま従事している職員が全体の23.9%に及んでいることも問題です。早急な改善のためにしっかり取り組んでいただくよう求めます。
●東日本大震災津波被害者への医療費・介護保険利用料の減免制度については、震災から6年半が経過した中で被災者の命と暮らしを守る制度となっています。来年以降も引き続き制度が継続されるよう求めます。
●子どもの医療費給付事業では、早期に中学校までの医療費助成の拡大を図るよう求めます。また現物給付化を小学校卒業まで早急に実施できるよう求めます。
●選択制給食について、今年度ランチボックス給食を実施予定としていた北稜中学校は、調理業者の確保が困難なことから、現在未実施の状況となっています。市では、市内業者のなり手がいないとして、市外の業者も視野に入れ新規事業者を確保していくとのことでありましたが、そもそも選択制給食は、それぞれの生徒がバラバラの給食を食べることから食育の役割を果たせないものであり、喫食率が全体で32.3%となっている状況からして公費負担の公平性に問題があるものです。さらに市内で事業者が見つからないのであれば、全員喫食の給食に向けた計画に今こそ見直しを図るべきです。
●子育て応援プラザの民間エリアに5月開設予定のママスクウエアとネクストキャビネットイワテが事業展開を先延ばしされている実態が明らかになりました。市としても家賃収入が入らないことは大きな問題です。子どもを見ながらの短時間勤務、保育といっても狭い場所での託児にならざるを得ない環境など、市がメリットとした女性の活躍の場の促進、保育需要の低減とはほど遠いことが実証されたのではありませんか。事業の見直しを図るべきです。
●1か月わずか14~5万円で親子3人が暮らす母子世帯の方が、生活保護を受けてようやく人らしく生活できたと言いました。車の保有が認められない中で無理をして働き健康を損ない生保にたどり着いた方に対して、留保した車の保有と就労への指導が人権を無視する対応なってはいないでしょうか。 相談者の立場に立った親身な対応を求めます。
●地域循環型生ごみ処理推進事業で、現在、中野地区、仙北西地区、北厨川地区をモデル地域にして大型生ごみ処理機による資源化の事業を行っているが、中野地区は施設の老朽化により今年度で中止となるとのことです。今後、別の地域でモデル事業を行うとのことですが、市内全域で生ごみの資源化を図るための具体的な検討を強めるよう求めます。
●旧清掃工場跡地整備事業については、旧三ツ割及び旧門清掃工場は用途廃止となってから19年が経過しており、ダイオキシンをはじめとした有害物質の周辺地域への影響が懸念されます。今後、さらにスピード感を持って、解体に向けた具体的な取り組みを進めて頂きたい。
●米の直接支払い交付金が、平成30年度から廃止されようとしています。平成28年度で約1億7千万円の交付となっており、1農家当り平均で約6万9千円の減収で、大規模農家ほど影響が大きいものです。国に対して新たな支援策を求めるのは当然ですが、盛岡市としても、「食と農」・ものづくり戦略プロジェクトと謳っている点からも、市として独自の支援策を検討するよう求めます。

認定第7号 平成28年度盛岡市後期高齢者医療費特別会計歳入歳出決算については、高齢者を年齢で区別する差別医療であり、反対いたします。
また、保険料の普通徴収者の滞納者に対して発行している短期保険証が、前年比で3・5倍の147人とペナルティを拡大しています。当市の国保の発行基準と同様に普通徴収者の生活状況をしっかりと把握し丁寧な対応になるよう改善を求めます。

  認定第5号 平成28年度盛岡市国民健康保険費特別会計決算では、低所得者に対する医療費助成事業での運用見直しによって、助成の実績が27年度の5件から、28年度の22件と大幅に増加したことを評価します。引き続き、対象の拡大を含め制度の改善に取り組むよう求めます。28年度決算を踏まえ、国保財政の基金が11億7400万円と医療給付費総額の6%にまで積み増しされています。この財源を活用して、来年度からの国保制度の県への移行に伴って、国保税の増税を避けるとともに国保税の引き下げを行うことを求めます。

 認定第6号 平成28年度盛岡市介護保険費特別会計歳入歳出決算については、市が第6期介護保険事業計画の中で予定していた施設整備のうち、介護報酬引き下げによる影響が大きい居宅系施設の整備が今期計画中には間に合わない状況となっています。この問題解消のため国に対しては介護報酬の引き上げを求めるとともに、深刻となっている介護職員の確保については、保育士確保事業のように奨学金の返還支援制度を創設するなど介護職員確保に向けた市独自の支援制度を検討するよう求めます。

 認定第12号 平成28年度盛岡市水道事業会計決算については、引き続き経営の努力が行われ、決算状況は評価します。平成28年度における包括外部監査の指摘事項において、求められたメーカー談合に伴う損害賠償請求を行って、和解に至ったことは機敏な対応として評価します。指摘された「合理性を欠いた指名競争入札」「合理性を欠いた随意契約」などの契約などの改善などについては早急に検討していただきたいと思いますが、広域化やPFIの導入検討などは、市の水道事業の現状及び水道事業のきわめて高い公共性から、慎重に対応するよう求めます。

請願2件については賛成します。