2017年6月定例会 鈴木礼子議員の一般質問

 
質問項目 (クリックするとジャンプします)
子どもの貧困問題と対策について
 ▼実態調査を生かし「盛岡モデル」の施策を ▼母親の就労支援
 ▼経済的支援
  子ども医療費助成
  就学援助
  学童クラブ利用料への支援
 
 ▼相談支援の拡充
 ▼子どもの居場所。ネットワーク

公共交通空白地域への対策について
松園ゾーンバスについて

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 質問  答弁
≪鈴木礼子≫
1 子どもの貧困問題について
 はじめに

 OECDの発表による日本の相対的貧困率の発表が契機となって、子どもの貧困が大きな社会問題になりました。改善と根絶を求める関係者の運動や国民の世論に押され、国は、H26(2014)年に子どもの貧困対策法、同年8月に子どもの貧困対策に関する大綱を閣議決定しました。

 しかし、「対策法」「大綱」の制定は一歩前進ではあるものの、内容的には子どもの貧困の改善にむけた目標値が明示されず、国の姿勢の本気度を疑わざるを得ないものでした。
 その後、政府が発表した子どもの貧困率が、16・3%に増加し、6人に1人の子どもが貧困状態にある深刻な状態になりました。
 更に、一人当たりの可処分所得の中央値もH8年(1997)の297万円をピークに徐々に下がり、H24年(2012)には244万円になり、貧困線は149万円から122万円に低下しています。(厚生労働省「平成26年国民生活基礎調査の概況」より)

 一般的に貧困線が低下すると貧困率も低下する可能性が大きいはずなのに逆に貧困率が増加しています。つまり収入の少ない家族のもとで暮らす子どもが増え、貧困の度合いが深刻化していることの証明といえるでしょう。
OECDによる衝撃的な報告から13年が経過しましたが、対策が遅々として進まず逆に深刻さを増している背景には、労働法制改悪のもとで非正規雇用が増大し、いわゆる働いても貧困から抜け出すことができないワーキングプアの増加と社会保障の連続改悪などが進み、生活を支える土台の収入が大きく崩れてきたことが貧困問題の最大の要因と認識しています。

 子どもの貧困は親の責任とか、貧困から抜け出すのは子ども自身の努力と責任などとの自己責任論を乗り越え、本気の貧困対策が求められていると思いますが、市長のご所見をお聞かせください。

 私ども日本共産党は「子どもの貧困問題を考えるシンポジウム」を5月21日に開催し、会場あふれる280人の方に参加をいただきました。

 岩手県立大学社会福祉学部齋藤昭彦准教授による「盛岡市のひとり親世帯の子どもの実態調査から見える母子世帯の生活困窮」と題しての講演では、母子世帯の深刻な生活実態について報告されました。
斎藤氏は、80年ころから子どもの貧困はあったが、ようやく対策が言われる状況になってきたとし、相談体制の確立、生活保護との連携、官民あわせての連携が求められていること。対策の具体化のためには行政職員の質をいかに高めるのか問われており、専門職(社会福祉職)など中核となる人材の確保をと訴えました。

 また、子どもの貧困問題は、憲法25条をはじめ13条の幸福追求権、26条の教育の機会均等の具体化であると話されました。
 
 シンポジウムでは小野寺けい子小児科医師が歯科検診を通して、貧困が子どもの健康をむしばんでいる実態について。NPOインクルいわての花坂圭一事務局長は、子ども食堂開設の実践を紹介し、食事の提供だけではなく、交流、居場所、問題解決の場となっていること。子どもの貧困問題は喫緊の課題ではあるが、少子化で子どもの数が減少しているからこそ、子どもたちへの支援が将来の社会保障を支えることになると話されました。

 児童養護施設みちのくみどり学園赤坂美代子副園長は、児童養護施設の8割が被虐待児で愛着形成障がいなど深刻な問題を抱えていることを紹介し、保護者も多くは虐待を受けた児童であり、貧困の連鎖を解明し断ち切る社会であってほしいと話しました。
 
 最後に、高橋千鶴子党衆院議員が、国会での子どもの貧困問題解決について超党派で取り組んでいることなどを紹介し、フロアからの質問に答えて、安倍首相が教育無償化を改憲の理由にしていることについて、憲法を変えなくても予算措置と法律で無償化は実現できると話しました。
 
 会場からは、「子ども食堂」「無料学習塾」等の実践報告があり、行政のきめ細かな支援を求める要望が出されるなど、どもの貧困の実態と課題が凝縮されたシンポジウムになったのではと思っています。
 
 あらためてご協力いただいた関係者・各位に対し心からの感謝を申し上げます

「盛岡市のひとり親世帯の子どもの生活実態調査」について~盛岡モデルとなる対策を

 県立大学地域政策研センター地域協働研究と協働で行われた「盛岡市のひとり親世帯の子どもの生活実態調査」(以下「実態調査」)は、母親の就労の状況や経済状況、病院受診をためらった経験の有無や必要な食糧を購入できなかった経験の有無、必要な支援について等々、多岐にわたる多面的な視点から実態に迫る意欲的な調査となっており敬意を表したいと思います。
市長は「実態調査」結果及び成果について、母子世帯の置かれている実態などどのような感想を持たれたのでしょうか。お伺いします。

 ひとり親世帯の相対的貧困率は54・6%で、ひとり親世帯でくらす子どもの2人に一人が貧困家庭にあるという深刻な実態の中、対象を母子世帯に絞って実施されたこれらの結果は、今後の子どもの貧困対策に生かされることとを期待するものです。
特に、市の要保護・準要保護児童生徒及び被災児童生徒の就学援助受給者数が、2542人、援助率11・36%(H27年度)で、子どもの貧困は、ふたり親世帯でも父子世帯であっても、祖父母とくらす子ども等々さまざまな状況にある子どもの貧困対策であると認識しています。具体的にはどのような対策をどのような目標で、いつまでにやられるのかお知らせください。
先にも述べたように、国が改善の数値目標を明示しなかったなかで、市としての確固たる姿勢が求められているのではないでしょうか。「実態調査」の成果を市政に反映させ、思い切った予算措置も行いながら盛岡モデルとなるような支援施策の策定を求めますが、市長の決意をお聞かせください。





「実態態調査」結果から見える母子世帯への喫緊の対策について

(1) 就労支援について
「実態調査」は、就労率91・6%で、特に就学前の子どものいる若い母親の就労率が89・8%と高い傾向で、うち正規就労率が42・8%です。ただし、児童扶養手当全部支給の方の正規就労率は18・5%と極めて低くなっています。
 正規就労といっても児童扶養手当の支給を受けての生活実態であり、経済的には厳しい状況には変わりはありません。
 就学前の子どもを育てる若い母親は「資格取得支援」のニーズが高く、スキルアップを図り、生活の安定を切実に願っていることが読み取れる一方、国の支援施策メニューを実際に活用している方は極めて少ないことです。利用が進まない要因をどのように把握されているのでしょうか。
スキルアップを希望する方が支援施策にたどりつくまでには、生活や子育てなどのきめこまかな支援がなければ利用したくともできないのが実態かと思います。希望者が利用できる十分な配慮と対応が求められていますが、現状と対応についてお知らせください

(2) 経済的支援の拡充について
 党市議団は、子育てにかかる経済的負担軽減について議会度に要望・提言してきましたが、「実態調査」結果からは喫緊の課題として解決が求められているのではないでしょうか。

 ①  医療費助成について
病院の受診に関する結果は、受診した方がよかったのにしなかったと答えた方が約5人に1人(23・2%)で、その理由として医療費の支払いが困難と答えた方が3人に1人(33・8%)という結果です。医療費保険未加入で支払い困難との回答を加えると34・2%となり、母子世帯の困窮の一端を示しているものと深刻に受け止めています。
今年度4月1日現在の県内自治体の医療費助成事業は、33自治体のうち対象年齢を小学生までとしているのは少数派となり、中学生以上が25自治体に上っています。当市としても対象年齢の拡充と合わせて小学生についても現物給付への切り替えが急がれますが、いかがでしょうか。





 ② 就学援助の拡充について
ようやく国も動き出し、新年度児童生徒学用品費(入学準備金)については、年度をまたがず入学する年度の開始前に支給が可能となりました。市教委の速やかな対応を求めると同時に、3品目のうち未支給となっているクラブ活動費(29600円)についても、急ぎ支給を開始すべきですが、対応についてお示しください。















 ③ 放課後児童クラブ保育料の軽減について
子どもの放課後の過ごし方では、自宅が66・6%、次いで友人宅19・5%、児童センターは15・4%、学童クラブが11・5%で、誰と過ごすかでは友達が55・6%と高く、次いでひとりが32・4%です。
これらは、自宅や友人宅で友達とあるいはひとりで過ごす子どもの様子がうかがわれます。放課後の居場所を最も必要とするひとり親世帯の子どもたちが、経済的な理由で学童保育クラブの利用もままならず孤立傾向にあることを明らかにしているのではないでしょうか。
ひとり親世帯等の放課後児童クラブの保育料の軽減支援を急ぐべきですが、いかがですか。

(3)相談支援の拡充について
 以外だったのは、市役所などの公的な機関への相談が役所への申請・手続き程度にしか認知されていないということです。
 子育て支援センター、保健センター、子育て世代包括支援センター、母子福祉担当相談員などがの周知徹底への工夫が急がれます。同時に、生活に困まっている方の多くは相談したくとも時間的余裕がないということも配慮しなければなりません。
 庄子春治議員が3月定例議会で福岡県が設置した子ども支援オフィス事業について紹介しましたが、当市でも自立支援相談事業の体制を拡充し、子どもの貧困支援の窓口の併設など相談体制の強化を求めました。
 特に、就労支援や経済的支援では行政の果たす役割は大きく、各機関との連携・強化し、支援を必要としている方の情報を共有し待ちの姿勢から積極的な支援ができる体制づくりをすすめてほしいと思いますが、いかがでしょうか。
 また、子どものしつけや発達では50%を超える方が保育園・幼稚園の先生を相談先としているとの調査結果です。
 保育所は、専門知識のある保育士、看護師、栄養士などそろっており親の就労保障と同時に子どもの貧困の防波堤としての機能強化について検討すべきと思いますが、いかがでしょうか。
当然、詰め込み保育や保育士の過重労働、待機児童の解消は言うまでもありません。待機児童の実態と解消の見通しについてあわせてお知らせください。


(4)生活保護制度について
 厚労省の推計でも、本来、生活保護を受けられるはずの7割から8割の母子世帯が、わずかな就労所得と児童扶養手当等で生活保護以下の暮らしをしている実態が明らかになっています。
「実態調査」からは、生活保護受給では、現在受けていると過去に受けたことがあるを合わせても10%ほどで、受けない最大の理由が車の保有をあげています。
母子世帯にとって子育てなど生活全般にわたり車は必需品であり、車を手放すことは生活そのものが回らなくなることで、当初から生活保護受給は選択肢にはなく、なかには、無理をして健康を損ない最悪の事態になってから生活保護にたどりつくという深刻なケースもあります。
これらの問題をどのように解決するのか、母子世帯(申請者)の生活実態をよく勘案し、ケースによっては車の保有を認めることも必要ですが、実態と対応についてお知らせください。

(5)子どもの居場所づくりとネットワークづくり
 「実態調査」からは、無料の学習支援の希望が8割強で、圧倒的に高い数値を示しています。理由として経済的な理由で「塾や習い事」が難しいことや親が生活に追われて子どもの学習に目が行き届かないことなどをあげています。
この間、生活困窮者自立支援事業による学習支援事業やNPO法人、ボランティアなどによる学習塾などが開設されその努力は多としますが、これらはようやく緒に就いたばかりで設置数の不足が課題です。
今後、子どもの居場所づくりとして無料学習塾や子ども食堂などの支援活動の拡がりに期待しますが、行政の関わり方が重要になっているのではないでしょうか。
名古屋市では、27年度から、「ひとり親家庭の居場所づくりモデル事業」をスタートさせ、夏休み中に限定して夕方5時から9時までの居場所を委託・運営しており、今後、検証を行いつつ拡充をめざすということです。

 当市としても、子ども未来基金を活用し子ども食堂などへの支援を行っていますが、より門戸を拡げ開設を予定している方、すでに開設し活動している方に財政的な支援をはじめきめ細かな支援を行いつつ拡充に向け、実態に見合う対策を求めますが、いかがですか。
また、市民団体やNPO法人などの地域での活動を全市的に把握し、つなぐためのネットワークづくりが求められていますが、どのような検討がされていますか。おしらせください。
≪谷藤市長≫ 
鈴木礼子議員のご質問にお答え申し上げます
はじめに、子どもの貧困対策についての所見でありますが、貧困は、学習の機会の喪失や社会とのつながりの希薄化など、子どもたちの生活や成長に様々な影響を及ぼすものであり、子どもの将来が、生まれ育った環境によって左右され、閉ざされることのないよう、その生育環境を整備することは、市の喫緊の課題であるものと認識しております。
また、対策を講じるに当たっては、現在の困窮を解消するための経済的支援や保護者の就労支援のみならず、貧困の連鎖を防ぐための学習支援をはじめとした教育的支援、孤立化を防ぎ社会とのつながりを維持するための居場所づくりなど、総合的な視点で施策を展開することが求められるとともに、国・県都の連携や民間の企業・団体との協働など、社会全体で取り組む必要があるものと存じます。














































































次に、「盛岡市ひとり親世帯の子どもの生活実態に関する調査」に対する感想でありますが、本調査では、夕方6時以降の夜間勤務を行っている母親が57.6%に及んでいることや、放課後にひとりで過ごす小学生が32.4%いるなど、母子世帯の母と子どもの厳しい生活実態や生活意識などが、母子世帯の母と子どもの厳しい生活実態や生活意識などが明らかにされ、これまで十分に把握されてこなかった子どもの貧困に繋がる要因と課題が確認できたものと存じております。
次に、調査研究結果を踏まえた、支援施策の策定についてでありますが、現在、調査研究に携わった専門家と庁内関係部署の職員との意見交換を行ったところであり、今後、子どもの貧困対策に係る庁内連携組織を立ち上げ、具体の施策の検討を進めるとともに、盛岡市子ども・子育て会議をはじめ関係機関から意見をいただきながら、速やかに有効な対策を講じてまいりたいと存じます。
本市には、子どもの居場所づくりや学習支援の面で実績のあるNPO法人があるほか、盛岡市子ども未来基金を活用して、困窮世帯への食糧支援や子育て世代への効果的な情報発信を行おうとする団体などがありますことから、こうした民間団体等と連携を図りながら、未来を担う全ての子ども達が、夢と希望をもって成長していけるよう、社会全体で子どもの成長を支える取組を推進してまいりたいと存じます。

≪志賀子ども未来部長≫ 子どもの貧困対策の具体的な内容についてでありますが、調査結果からは、母親の就労支援や子どもの学習支援、家計管理の相談窓口などに対する希望があることが確認されたほか、調査研究に携わった専門家からは、相談体制の充実、庁内連携による支援の充実などについて、提言を受けております。
これらを踏まえ、平成29年8月には、児童扶養手当現況届の受付会場に、子どもの教育費や母親の資格取得の相談窓口を新たに設けるほか、子どもの貧困対策に係る庁内連携組織を立ち上げ、具体の施策の検討を進めるとともに、盛岡市子ども・子育て会議をはじめ関係機関から意見をいただきながら、速やかに有効な対策を講じてまいりたいと存じます


≪志賀子ども未来部長≫次に、国の資格取得支援施策メニューの利用が進まない要因についてでありますが、国の制度を利用して、市では、看護師、保育士などの資格取得のため専門教育を受ける際に給付金を支給する「母子家庭等高等職業訓練促進給付金等支給事業」と、適職に就くために必要と認められる講座を受講した際に支給する「母子家庭等自立支援教育訓練給付金支給事業」を行っております。
「母子家庭等高等職業訓練促進給付金等支給事業」につきましては、訓練期間が長期間でありますことから、経済的負担が大きいことや、子育てとの両立が難しいこと、「母子家庭等自立支援教育訓練給付金支給事業」におきましては、支給限度額や支給割合が低いことなどにより、利用が進まないものと認識しております。国の制度改正により、平成29年度の利用者は若干増えましたが、まだ利用者は少ない状況でありますことから、母親が資格取得するための訓練を受ける場合、経済面、生活面の双方からの支援が必要であるものと存じます。
次に、資格取得支援利用希望者への配慮と対応についてでありますが、児童扶養手当現況届受付会場に母親の就労支援や資格取得の相談窓口を新設し、母子父子自立支援員やハローワークなどと連携し、経済面、生活面を支援するサービスについてお知らせしながら相談に応じるとともに、既に事業を利用している方から要望などを伺いながら、施策につなげてまいりたいと存じます。


≪伊勢谷市民部長≫ 医療費助成について、対象年齢の拡充と小学生への現物給付の導入を急ぐべきではないかについてでありますが、対象年齢拡充につきましては、子育て支援施策として極めて有効な施策であると認識しておりますが、継続的に多額の財源を必要といたしますことから、対象年齢の拡大の早期実現に向けて、所要財源の確保に努めてまいりたいと存じます。
小学校医療費の現物給付の導入につきましては、子育て世代の方々の負担軽減を図る上で、極めて有効な施策する必要がありますことから、引き続き、県内市長村と連携を図りながら、県に要請してまいります。
なお、国民健康保険療養費等国庫負担金の減額、いわゆるペナルティの廃止につきましては、国に対して全国市長会などを通じて要望を行い、平成30年度から未就学児のペナルティは廃止の方針となりましたが、全面的な廃止についても、引き続き要望を行ってまいります。

≪豊岡教育部長≫新入学学用品費の入学前支給についてでありますが、要保護児童については、平成29年度から、小学校入学前に自治体が支給した新入学学用品費も。国庫補助の対象となる制度改正が行われましたが、当市では、要保護児童については、生活保護制度により、以前から、入学前に入学準備金が支給されているところであります。
市教育委員会では、準要保護児童生徒の新入学学用品費については、これまでは、入学後に支給しておりましたが、検討した結果、先に、中学校の新入学学用品費を入学前に支給することとし、早期実現に向けて取り組んでいるところであります。
小学校につきましては、中学校の実施後、できるだけ早い時期に実施できるよう検討してまいりたいと存じます。
次に、中学校のクラブ活動費活動費への援助についてでありますが、準要保護児童生徒に対する追加3費目の支給については、段階的な導入を図ることとしており、中学校の生徒会費及びPTA会費については、平成28年度から支給を開始しているところでありますが、クラブ活動費につきましては、先行自治体の事例などを参考にしながら、引き続き検討してまいりたいと存じます。

≪志賀子ども未来部長≫次に、放課後児童クラブ保育料の軽減支援についてでありますが、保育所保育料は、市が所得の課税状況に応じ軽減しているのに対し、放課後児童クラブの保育料は、クラブが独自に定めており、平成28年度は22クラブがひとり親家庭を対象に軽減しております。
このことから、各クラブへ公平な軽減支援を実施するために、クラブの関係者から意見を聴くとともに、他都市の実施状況を参考に、検討してまいりたいと存じます。




≪志賀子ども未来部長≫次に、積極的な支援ができる体制づくりについてでありますが、平成29年度は、子ども未来部を設置し、子ども・子育て支援、青少年の健全育成及び母子保健関係の部署を1カ所に集約し、総合的な相談体制を整えたところでありますが、その中での相談内容を検証するとともに、関係機関と情報共有し、連携を図りながら、相談支援の更なる拡充に努めてまいりたいと存じます。
 
 次に、保育所の機能強化についてでありますが、保育所は、児童の送り迎えの際に、担任保育士等と毎日顔を合わせ、保護者が相談しやすい環境にありますことから、保護者と保育士等が子どものしつけや発達の悩みを共有し、解決していくことは、子どもの健全な成長だけではなく、保護者にとりましても、親としての成長につながることと存じております。
このことから、一人一人の生活環境に寄り添いながら対応できるよう、保育士等の専門知識の向上を目指し、保育関係団体と連携し、研修の充実を図ってまいりたいと存じます。
次に、待機児童の実態についてでありますが、平成29年4月1日時点では、ゼロとなっておりますが、国の定義に当てはまらない「特定の保育所の空きを待っている児童」などは、266人となっております
また、待機児童の解消については、29年度中に見直しを予定しております「盛岡市子ども・子育て支援事業計画」において、今後の量の見込みを適切に把握し、計画的な定員拡大を図り、早期に年間を通じた待機児童の解消を目指してまいります。


≪村上保健福祉部長≫生活保護を受給している母子世帯の自動車の保有状況についてでありますが、平成29年4月末現在で、生活保護を受給している母子世帯は231世帯で、そのうち自動車の保有を認めている世帯が2世帯、生活保護から自立することが期待できるとして、自動車の処分の指導を保留している世帯が1世帯となっております。
生活保護受給者の生活用品としての自動車保有については、国からの通知により、現段階では認められておらないところであります。
なお、国では、現在、生活扶助基準の改正に向け検証を行っており、子どもの貧困対策の観点から、子どものいる世帯への扶助・加算について取り上げると伺っておりますことから、引き続き、動向を注視してまいりたいと存じます。


≪志賀子ども未来部長≫
子どもの居場所づくりへの対策についてでありますが、無料の学習支援や子ども食堂など、子どもの居場所づくり事業は、子どもたちが安心して過ごせる居場所としての役割を持つとともに、学校や家庭以外の大人との関係性や社会性を育む活動として大変意義があるものと認識しております。市では、子ども未来基金を活用した市民活動団体等の補助として、平成29年度においても引き続き「子どもの居場所づくり事業」を重点的取組項目に位置付けており、常設の子ども食堂を実施する団体の企画提案を採択し、支援を行うこととしたところであります。

 次に、地域での活動をつなぐためのネットワークづくりについてですが、現在、子ども食堂への取組を先駆的に行っております団体が中心となって、5月に情報がより多くの団体に広がり、継続されるよう、市といたしましても、今後の情報交換会に積極的に参加し、関係する団体との連携を深めてまいりたいと存じます。
≪鈴木礼子≫
2 公共交通空白地域への対策について

 昨年、高齢者対策特別委員会が宇都宮市の「地域内交通」の取組みを視察しました。「地域内交通」とは、公共交通の空白地域で乗合タクシーなどを活用し、商業施設、医療機関などの日常生活に必要な移動手段とするほか路線バスへの接続も行い、
交通弱者への対応と公共交通の利便性をより高める取り組みです。
 
 特徴的な点は、域住民が運営主体となり行政、事業者と連携し事業をすすめていることです。市は、事業の説明の開催、運行計画での支援、関係機関の協議などの支援を行い、運行は交通事業者に委託しています。
運営費は、市が運行総経費の3の2を補助し、残り3分の1は運賃収入と商業施設や医療機関などから「支援金」を募っています。今年度の市の予算額は1億円で補助額は7000万円とのことです。当然、自主運営ということで黒字がでた場合は地元に還元され、逆に赤字の場合は地域が負担します。

 地区ごとに料金、運行車両、便数などそれぞれ特色があり、ジャンボタクシーを利用している地区では、1日7便の運行で料金を150円に設定し、デマンド方式でタクシー利用を採用している地区では、1日10便で料金を300円に設定するなど地区の状況に合わせ取り組んでいます。

 宇都宮市をはじめとして、全国的に公共交通の空白地域や交通弱者対策として様々な取り組みが展開されていますが、地域が主体となる宇都宮市の対応は大変刺激的な内容でもありました。
 市長は、これらの事業についてどのような認識をおもちでしょうか。

 党市議団は、これまでも公共交通空白地域の交通手段の確保では、実態を示しながら要望をしてきましたが、なかなか進展が見られないというのが実感です。どのような検討をされてきたのでしょうか。また、当市の公共交通空白地域は可住面積の何割を占めているのでしょうか。地域的には高齢化、過疎化がすすみ日常の移動手段に事欠き難儀をしている方々が増えているのではないでしょうか。実態についてはどのように把握されていますか。
 
 市は、これまで地域型交通システム整備事業を推進し、公共交通空白地域の解消や既存交通との連携をはかり公共交通網の構築をめざすとして取り組んできたと理解していますが、実績及び課題、今後の対応などお知らせください。
 また、29、30年度の2か年計画で地域公共交通網形成計画の策定を予定していますが、この計画との整合性についてお知らせください。新しく策定する計画の目的、内容、住民参加の有無などどのような検討をされていますか。伺います。

≪谷藤市長≫次に、地域が主体となって運営する交通施策についてでありますが、市においては、これまで空白地域を増加させないとの視点で、郊外部のバス路線について地域の方々と相談を重ね、その維持に取り組むとともに、路線がない地域にあっては無料の患者輸送バスの運行やスクールバスへの混乗などの施策により移動手段の確保に取り組んできたところであります
その中において、利用者数に見合った効率的な運行や利用者確保も課題の一つと捉えているところであり、地域が主体となった運行の検討は、これらの課題に対して地域全体で取り組んでいただく切欠にもなるものとも存じます
市におきましては、平成29年度から、地域公共交通網形成計画について、居住や医療・福祉・公共交通を含めた都市全体を見渡したマスタープランとなる立地適正化計画と連携しながら、策定に取り組んでおり、その中で、地域主体の交通運営についても、これまでの施策の検証と併せ、検討してまいりたいと存じます。

≪古山建設部長≫ 公共交通空白地域の交通手段の確保に対するこれまでの取組についてでありますが、これまで、空白地域を増加させないよう、バス路線維持の取組やスクールバス等への一般住民の混乗等により交通手段の確保に努めてまいりました

 また、郊外部における交通手段について、他都市における様々な導入事例の情報収集を行ってまいりましたが、運行主体の確保や効率的な運行等が課題と捉えているところであります。このため、平成29年度から取り組んでおり、居住や医療・福祉等と連携した検討を進める地域公共交通網形成計画の中で、本市への導入の可能性について検討してまいりたいと存じております。
次に、盛岡市における公共交通空白地域の可住地に対する割合についてでありますが、可住地を都市計画基礎調査で定義する「宅地、田、畑、山林、原野、牧野の合計」とし、公共交通空白地域を国の調査において定義されている「バス停から半径500メートル以上または鉄道駅から半径1キロメートル以上離れた地域」として算定すると。全市域面積約8万8,000ヘクタールのうち、可住地面積は約8万2,000ヘクタールで、それに対して、公共交通空白地域は、約7万2,000ヘクタールであり、その割合は約88パーセントとなっております。
一方、この中には、市街地調整区域や急峻な山林等も含まれておりますことから、世帯数で算出すると、平成27年度国勢調査における市域内の全域内の全世帯数12万9,718世帯のうち、空白地域内の世帯数は約4,500世帯、約3パーセントとなっております
次に、高齢化、過疎化等による移動手段確保が困難な実態把握についてでありますが、平成21年度に当時の玉山区を対象に行った調査では、患者輸送バス利用者に対する「外出観光に不便を感じるか」との問いに対し、「不便を感じない」が7割を占め、その理由としては「患者輸送バスがあるから」が主な内容となっているほか、一般住民に対する「便利に移動ができているか」との問いに対し、60代以下では「できている」が過半数を占め「おおむねできている」が加えると大半が満足している状況となっておりましたが、その後、高齢化等により自家用車の運転が困難な方も増加していることも考えられることから、地域公共交通網形成計画の検討の中で、状況を把握してまいりたいと存じます。

 次に、市の地域型交通システム整備事業についてでありますが、この事業は、公共交通の利用が不便な地域において、スクールバスへの一般住民の混乗やバス路線維持のための住民との話し合い等を行うことにより移動手段の確保を図ろうとするものであり、具体的な実績といたしましては、スクールバスへの一般住民の混乗は、根田茂、砂子沢地区や大葛、銭掛地区で実施したほか、バス路線維持につきましては、好摩直通線において、国庫補助路線としての要件を満たすよう、地域住民との相談内容を踏まえて運行内容の見直しを行うなど、移動手段の確保を図ってまいりました
また、梁川地区ではダム建設に伴う既存バス路線の切り替えへの対応を行ったところであり、さらに、山岸地区においては、山賀橋架け替えと街路整備に伴い、バス路線の新設をバス事業者に働きかけ、実施されたところであります

 課題といたしましては、バス路線の維持に際し、地域の方々が乗車により路線を維持するという気運を高めることが不可欠と捉えており、今後におきても、地域住民との懇談会等を通じてバス利用への意欲の高揚を図ってまいりたいと存じます。

 なお、地域型交通システム整備事業と地域公共交通網形成計画との整合性につきましては、これまで当該事業において取り組んできた施策についても、地域公共交通網形成計画の全体的な施策検討の中で検証を行うことにより整合を図ってまいることとしております。

 次に、地域公共交通網形成計画についてでありますが、目的といたしましては、「地域公共交通の現状、問題点、課題の整理を踏まえて、公共交通ネットワーク全体を一体的に形づくり、持続させる」ことであり、内容につきましては、まちづくりと一体となった公共交通の再編や本市の課題の一つである中山間地域等における移動手段について検討を行ってまいることとしております。住民参加につきましては、聞き取り調査や、アンケートによる意向調査などを検討してまいりたいと存じます。
≪鈴木礼子≫
3 松園ゾーンバスについて

「もりおか交通戦略・松園地区の戦略の狙い」によれば、松園地区はオムニバスタウン計画により、ゾーンバスシステムを導入し利用が増加した地区であること。今後の方向として、ゾーンバスシステムの機能を強化し、更なる利用促進を図る。急速な高齢化による需要変化に対応した誰もが移動しやすい交通システムに改善し、暮らしやすい地区をめざすとしています。
 ゾーンバスシステムによる利用促進効果が得られた唯一の地区と認め、今後の改善に向けた課題も明確にされたものと理解しましたが、いつまでにどのように実施に移されるのでしょうか。


 「松園ゾーンバスを考える会」が、4月に2度目の要望を行いました。要望項目は、支線バスの運行が極端に縮小されたために昼時間帯の地区内移動が困難になり、早期の改善を求めるもので、高齢化への配慮を急ぎ求めるものでした。
「会」の皆さんが自主的に行ったアンケートから得た切実な利用者の声・要望ですが、運転手不足を理由に先伸ばしにはできない課題ではないでしょうか。
早期の改善を求めるものですが、具体的な対応についてお示しください。
≪建設部長≫ 次に、松園ゾーンバスの改善についてでありますが、平成15年のゾーンバスシステム導入以来、地域の方々のご意見を踏まえ、直通バスの見直し等についてバス事業者と協議し、取り組んできたところであります
また、平成21年度に策定の進捗につきましては、基幹バスについては、梨木町上米内線の整備により運行定時性を向上させることとしており、現在、同路線の平成30年度の完成に向け取り組んでいるところであり、整備後において松園地区と中央通間のバス優先ルート強化策について検討してまいりたいと存じております。
また、支線バスの改善については、施策として位置付けたフリー降車の導入や、日中の直通バスの増便を図ったほか、支線バスの整理による空バス対策等に取り組んできたところであります。

 次に「松園ゾーンバスを考える会」からの要望への対応についてでありますが、要望内容に対する検討状況についてバス事業者に伺ったところ、現在の人員体制で増便等に関する要望に対応するためには、地域内の他路線との調整等が必要になるため、あらためて地域の方々と意見交換を行いながら検討したいとのことでございました
市といたしましては、地域の方々のご要望にできる限りの対応がいただけるよう、引き続き、バス事業者と相談してまいりたいと存じます。