2017年3月定例会 追加議案(3月補正等)への会派の討論

 
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 2017年3月議会に提案された当初予算に対する日本共産党盛岡市議団の討論を紹介します。
 日本共産党盛岡市議団を代表して意見を述べます。

 初めに、反対する議案について意見を述べます。

 議案第1号平成29年度盛岡市一般会計予算については、総額で1,076億6千万円で8年連続で1000億円を超える予算となっております。
 29年度においては、引き続き、子育て応援を市の戦略プロジェクトとして位置づけ、新たに子ども未来部を設置し、日本共産党盛岡市議団が提案していた、保育士確保のための奨学金返還支援制度の創設や、児童センターに対する児童厚生員配置基準を拡充し4館に併せて5名の配置増を図るほか、子ども未来基金事業費の増額、子どもの貧困対策として、28年度に実施したひとり親世帯の子どもの生活実態に関する調査結果に基づく施策の検討など、子育てしやすい環境整備のために予算が計上されていることは評価します。

 また、新しく「『食と農』・『ものづくり』応援プロジェクト」を戦略プロジェクトに位置付け、農業振興への具体策を打ち出したことを評価するとともに、新しい産業等用地整備への着手についても、若者の働く場の確保につながるものとして期待いたします。

しかしながら、私たちは次の点には反対です

 その一つは、県央ブロックごみ・し尿処理広域化推進事業におけるごみ処理広域化です。
 それは、この間明らかにしてきた、
①本来のごみ減量・分別資源化計画の上で前提となる8市町の収集方式の違いをどのように統一するかの検討を抜きにした、大型化先にありきであり、広域化が減量・資源化に逆行すること
②ごみ処理の大型化は、いかに環境基準をクリアしたとしても、焼却量の絶対量の増加によって、有害物質の排出総量が増え周辺の環境への負荷を増大させること
③大型化・広域化が「一カ所集約以外に国の交付金が出ない」という、岩手県北ブロックの解散で既に破たんした議論に固執したコスト論を前提にしていることなど、この間明らかにした問題が解決していません。

 さらに、今議会で明らかになったことは、盛岡紫波環境施設組合の焼却施設が36億5千万の経費をかけて長寿命化工事を予定していますが、41年度からは広域化が予定されていることから、この焼却炉は、多額の費用をかけながら広域化により、わずか10年足らずで閉炉にしなければなりません。使える施設を廃止し、その後も起債の償還が続くという、関係市町にとっては、2重の負担になるという計画が進められようとしているのです。
ふり返ってみれば、平成24年度の広域化推進協議会がまとめた「広域化骨子案」では当面3施設(盛岡・紫波地区環境施設組合、雫石・滝沢環境組合、盛岡クリーンセンター)の長寿命化を進めながら最終的に1カ所にゆるやかに集約するというものでした。そしてその根拠に、コスト・環境・住民合意、その他の要素で一カ所集約との比較検討がされた結果でした。それが、25年度に基本構想策定作業をコンサルタントに委託したら、3カ所の長寿命化から6か所の延命化により「1カ所集約」に変更されたのです。そのことが今回の2重投資ともいえる無駄遣いにつながったのではないでしょうか。広域化計画は撤回するべきです。

 第2に、保育所の全園民営化についてです。市子ども子育て支援計画における29年度目標は、年間を通して待機児童をゼロにするとしましたが4月の入所申込みはすでに計画を超える事態となっています。計画の見直しはもとより喫緊の課題として公立保育園での未満児保育の定員増をはかり待機児童解消を本気で取り組むことを求めます。待機児童解消のあしかせとなっている公立保育園全園民営化方針は見直すべきあり反対です。保育士確保策としては、奨学金返済補助事業に加え、待機児童解消のために保育の弾力化方針を積極的に受け入れ、定数を超える児童を受け入ている民間保育園に対して保育士確保のための支援策を強化するよう求めます。

 議案第6号 平成29年度盛岡市介護保険費特別会計予算については、平成29年度から要支援認定者の訪問介護と通所介護が予防給付から外され、総合事業に移行することになります。この事業の中で現行相当の訪問型サービスと通所型サービスについては、月額包括報酬から利用者の利用回数に応じた単価払いになります。今回の報酬の見直しによって事業所の減収となることから、訪問介護の利用時間についても複数の事業所でサービス時間の短縮を検討するなど利用者のサービス低下につながりかねないものとなっています。
 平成27年度の介護報酬の大幅な引き下げにより事業所の経営は大変厳しい状況となっている中でさらなる報酬の引き下げは、事業所や利用者にとってもマイナスであり、本議案に反対します。

 議案第7号平成29年度盛岡市後期高齢者医療費特別会計予算については、そもそも、75歳以上の高齢者を年齢で差別するというこの制度自体廃止すべきであり反対です。合わせて29年4月からは、低所得者に対する保険料軽減措置について5割軽減から2割軽減に、元被扶養者の均等割の軽減が現行の軽減措置を3年間で廃止する初年度として、9割軽減から7割軽減にされ、盛岡市でも7000人以上の方に、合わせて約4,500万円の負担増をもたらすほか、8月からは住民税の課税者に対して高額療養費制度の見直しによる負担増が行われます。高齢者への負担増押し付けに反対する立場から、本予算に反対します。

 議案第17号、職員の定数条例については、総枠で54人の削減が行われます。保育所および、クリーンセンター業務の民間委託化についてはその見直しを求めます。職員の時間外労働の縮減などの一定の努力はありながらも、なお、過労死ラインを超える時間外労働が行われている現状からも、職員適正配置計画による削減を見直すべきであり、本案には反対します。

 議案第20号盛岡市市税条例の一部を改正する条例については、消費税増税を前提にした税制改革によって一連の法人税減税を推進してきた上に立って、法人市民税の税率を引き下げるものです。消費税増税によって、最終消費者である国民に負担増を押し付け、あわせて行ってきた法人税減税にその財源を奪われてきましたが、今回の条例によってさらに地方の自主財源が減らされることになるものです。
消費税に伴う盛岡市の一般財源への影響は、平成29年度の一般会計予算において、歳入では、地方消費税交付金の歳入及び、それに伴う地方交付税の基準財政収入算入による減収を差し引き実質8億3千8百万円の増額となるものの、歳出総額に占める消費税相当額は20億5600万円となっており、地方財政にも大きな穴をあけるものになっています。こうした税制改革に反対する立場から、本案に反対します。

 議案第26号盛岡市保育所条例の一部を改正する条例については、永井保育園を民営化し盛岡市社会福祉事業団に移管するものでありますが、そのこと自体には反対をしませんが、全園民営化はやめるべきとの立場から本議案に反対します。

その他、今議会で論点となったことについて意見を述べます。

 いわゆる「ふるさと納税」制度については、税制上「ふるさと納税」による寄付金が、自治体間の地方税の奪い合いになっているという問題、自分のふるさとや応援したい自治体への寄付という本来の趣旨を大きく外れた「返礼品」目当ての制度となっていることなど、そのひずみの是正を求めること。合わせて、現在の盛岡市の元気応援寄付金制度の運営委託先については、寄付金の約2割が大阪の大企業にもっていかれるという現在の状況を見直し、地元に最大限還元されるよう求めます。

子どもの貧困対策については、今回の「盛岡市ひとり親世帯の子どもの生活実態に関する調査結果」と研究成果に基づいて、今後の具体的な計画と取り組みを進め、調査結果に示された困難を解決する取り組みとなるよう求めます。
また、私たちが求めてきた「経済的負担の軽減」の取り組みでは、平成29年度予算においては不十分でした。子どもの医療費の無料化を中学校卒業まで早期に拡大すること、保育所や学童保育などの保育料の軽減策を強化すること、就学援助制度の「クラブ活動費」を追加するとともに「生徒会費」「PTA会費」を含めて小学生にも拡大すること、新入学準備金については、入学前に支給することを、求めます。

保育士の待遇改善について、全産業の女性労働者と保育士の賃金格差4万円の解消は国基準上の職員の概ね3分の一程度の保育士にしか適用にならず、満額支給の決め方、分配の仕方によっては職員間に差別感が持ち込まれかねない。引き続き全体の底上げになるよう改善を求めます。

35人学級が中学校では3年生へと全学年に拡大されます。児童生徒の悩みやトラブルに対応する上でも、発言の機会がふえるなど学習を豊かにする上でも、重要な教育条件となっています。さらに、小学校5~6年にも拡大するよう県に求めていただきたい。
学校司書配置については、少なくとも国の財政措置通り2校に1人配置できるよう引き続き努力を求めます。学校施設の非構造部材の耐震化は、できるだけ前倒しで実施するよう求めます。

 施設整備の最適化計画により浴場設備を備えたA型の愛宕山老人福祉センターが、平成32年度を目途に中央公民館との複合施設への機能移転計画が示されました。
愛宕山老人福祉センターは、年間延べ利用者数23,350人で、無料で入浴でき交流できる施設として、多くの方が利用しています。
複合化は、家庭風呂が常態化しているのでB型の老人福祉センターに機能移転するということですが、高齢者の貧困化や高齢者世帯の増加で家族間のセーフティネットが弱まっているもとでA型の老人福祉センターの必要性がより高まっています。
最適化計画が一方的に住民サービスを打ち切ることのないよう施設の確保及びそれに代わるサービスの提供を求めます。

平成29~38年度を計画年度とする次期「ごみ処理基本計画」は、事業系ごみの減量への施策は多とするものの、中間年までに減量目標が未達成の場合は、家庭ごみの有料化を検討するとしています。ごみ減量の基本は行政と市民の協力・協働で分別を徹底することであり有料化は行わないよう求めます。

「食」と「農」応援プロジェクトで、農業振興については都市型農業への発展や、「6次産業化」支援、親元就農支援、短角牛の子牛導入支援制度など具体的な施策に踏み込んだことを評価します。引き続き市として自給率向上への数値目標を定め、地産地消など地域経済循環型の農業振興に尽力するよう求めます。

上大ケ生地域の方が安心して水道が利用できるように、地質調査などを行い玉山地域で実施されている飲用井戸等整備補助事業を上大ケ生でも早期に実施できるよう努力するよう求めます。

生出地域エコタウン事業に調査費が計上されましたが、この地域に隣接する滝沢市に産業廃棄物施設の建設計画があり、この企業は、これまで平成27年1月以来、平成29年2月までに、6回も公正取引委員会の立ち入り検査を受けている企業であり、平成28年8月には産業廃棄物の適正処理及び清掃に関する法律に違反する行為を行っていることも判明している。この地域には旧玉山住民の8割に供給する上水道水源もあり、盛岡市として市民の安全安心を確保するため十分な対応するよう求めます。

国道4号渋民バイパスに計画されている道の駅の建設にあたっては、既存の用地では不十分と考えることから、あらたに用地取得が求められていることも含めて対応すること。

就業改善センターやユートランド姫神など公共施設の再編にあたっては、利用者や地域住民の声を十分に聞き取り対応するよう求めます。

議案第5号 平成29年度盛岡市国民健康保険費特別会計予算については、28年度までの剰余金を活用し保険税の引き下げを求めます。低所得者への一部負担金助成制度については平成28年度で手続きの簡素化等の改善が図られたもののなお、対象が限られています。対象の拡大とともに、実質的な現物給付化が図られるよう改善を求めます。
以上です。