2017年3月定例会 鈴木礼子議員の一般質問

 
質問項目 (クリックするとジャンプします)
農業政策について
  自給率向上を~学校・病院給食
  戦略プロジェクト・親元就農支援
コメの生産調整
農地中間管理事業について
空き家対策
  空き家再生補助金制度について
  適正管理
  発生抑制
  ワンストップ対応  
  若者定住への活用
愛宕山老人福祉センターと公民館複合化に ついて
 入浴施設の機能維持を
 公民館への影響
スポーツクライミング施設について

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 質問  答弁
≪鈴木礼子≫ 最初に農業政策について伺います。昨年は、安倍政権が強引にすすめたTPPの推進や財界主導の農業・農協への攻撃に対して、国民の食料自給率への危惧や暮らしに大打撃になると、各地でTPP阻止の運動が大きく広がりました。 

 TPPは、貧困と格差を拡げてきた「新自由主義」の弊害を一層ひどくすると、日本だけではなく世界各地での批判が広がり、アメリカではそうした動きとも相まってトランプ大統領が離脱を宣言したものの、安倍政権はTPPの発効が絶望的になっているもとで、TPPの承認と関連法の採決を強行しました。
 
 この結果は、無意味なだけではなく、日米の2国間協議では、TPPの水準が最低基準となって更なる譲歩をせまられる条件をつくりだすことになり、極めて危険で愚かなやり方と言わざるを得ません。
 
 地域経済にとっても衰退を招くようなTPPを進める道ではなく、農林業の生産拡大を図り、関連する食品加工、関連企業、サービス、製造業などの活性化につながる地域経済への波及効果と地域経済の更なる再生・振興につながる方向こそが求められているのではないでしょうか。
 今日の農業破壊政策は、食料自給率をカロリーベースで39%に落ち込ませ、国民の食料を外国に委ねる深刻な事態となっています。喫緊の課題は、当面、自給率を50%台に回復することを最優先の課題に位置づけ、農業政策の転換をはじめ農業再生に向けた政策に抜本的に切り替えることではないでしょうか。

 市としても自給率向上への数値目標をしっかりと定め、地産地消等をはじめとした地域経済循環型の施策の展開を求めるものですが、市長のご所見をお聞かせください。 

 少なくとも市内学校給食や病院、ホテル、飲食店等への地場産品の活用を拡げ、地元の農産物や資源を生かした農産加工や販売などへの支援強化。米飯給食は当面週4回をめざすなどの対策を求めるものですが、現状と対策について伺います。














 あわせて、市立病院(病院給食)における地場産米及び地場産品の活用について実態をお知らせください。
















戦略プロジェクトの29年度の内容

 1月27日に開催された盛岡市農政フォーラム2017に参加する機会を得ました。フオーラムは、「農業の魅力~女性の輝ける場所」と題して玉山地区の山藤農園の山本早苗さんの講演と4人の農業者によるパネルトークが行われました。

 山本さんは、サラリーマン家庭に育ち企業の営業マンとして働き、農業とは縁のない生活から、結婚を機に農業に従事した経験と農業の魅力と意欲を語りました。山本さんを含めた4人の農業者によるパネルトークでは、IT業界から転身してトマト栽培に意欲を燃やす青年農業者の体験をはじめ、限界集落で生活できることを証明したい。農業生産で利益を上げたい、家族経営協定で農業経営がより安定したことやグリーンツーリズムと観光とのマッチングで展望を切り開いている実践など熱く語られ、農業への期待が大きく拡がる内容でもありました。

 青年農業者や新規に就農を希望する人たちが「農業はやりがいはあるが収入が伴わない」というマイナス面を克服し、自立可能な支援策が急務となっているのではないでしょうか。

新規就農者・親元就農者への支援内容

 29年度予算には、『「食」と「農」・「ものづくり」応援プロジェクト』があらたに戦略プログラムに加えられ、過日の定例記者会見でも、市長は、農業振興について都市型農業への発展や意欲のある新規就農者への支援施策をすすめると述べておられましたが大いに期待したいと思います。

 あらためて、戦略プログラムに位置付けられた29年度の取り組みについてお知らせください。この間、Uターンによる新規就農者や青年就農給付金の支給者も増加していますが、28年度の見通しはいかがですか。また、党市議団がかねてより要望していた親元就農給付金が29年度予算化されましたが、具体の内容と見通しについてお知らせください
≪谷藤市長≫鈴木礼子議員のご質問にお答え申し上げます。
 はじめに、本市として食料自給率を定めることについてでありますが、地域食料自給率を試算する場合は、実際にその地域に住む一人ひとりの食事量やカロリー等を計測しその地域ごとに算出することとされており、一般的には難しいものとされておりますが、本市といたしましては、食料自給率は、食料の安定供給を確保する上で、有効な指標であると考えておりますことから、他都市の事例なども調査し、研究してまいりたいと存じます。

 また、地域経済循環型施策の展開や地元農産物等の資源を生かした支援強化につきましては、戦略プロジェクトの新規事業である「食と農のバリューアップ推進事業」におきまして、「所得の向上と夢のある農業の実現」に向けた戦略を策定の上、1次産業と2次産業、3次産業の連携を強化し、盛岡産の農畜産物のブランド力向上と販路拡大、6次産業化の支援、食の魅力発信などに取り組むこととしており、その中で積極的に推進してまいりたいと存じます。















 

≪豊岡教育部長≫ 学校給食における地場産品の活用拡大についてでありますが、平成26年度の市立小・中学の給食における県産食材活用割合は47.1%となっており、パンの原材料の小麦につきましては、28年から100%県産品に切り替わっております。また、各給食センターでは、地元生産者と連携を図り、地場産品の計画的な生産と、消費を進めているところであり、今後も、地場産品の活用拡大に努めてまいりたいと存じます。
次に、米飯給食の現状と対策についてでありますが、平成25年1月に策定いたしました、盛岡市第二次食育推進計画では、「週あたり米飯給食回数3.5回を維持する」ことを目標としておりますが、27年度は平均で週3.9回と、目標を上回っているところであります。
学校給食においては、米飯と共にパンや麺類等を取り入れることも重要でありますので、米飯給食につきましては、今後も、現状の回数を維持するよう取り組んでまいりたいと存じます。

≪小笠原市立病院事務局長≫ 病院給食における地場産及び地場産品の活用の実態についてでありますが、平成26年の利用実態調査によりますと、年間の使用量に占める県内産の割合は、米が99%、野菜類が32%、果物が11%、畜産物・水産物が8%などとなっており、全体では22%ほどでございます。
病院給食で使用する食材の特性としては、鮮度や安全性はもちろんでございますが。1食当たりの単価が厚生労働省告示により定められており、食材価格を重視せざるを得ない背景がございます。
生鮮野菜などは、価格変動が多きことや、季節によって生産していない品目もありますので、病院給食の食材選択におきましては、地場産のものに限定することは難しい状況にございますが、地場産の農産物は、鮮度が高く、食味も良好のため喫食率の向上が期待できますので、今後とも可能な限り地場産品を使用するよう努めて参りたいと存じます。

 ≪長澤農林部長≫戦略プロジェクトに位置付けられた平成29年度の農業分野の取組についてでありますが、新たに「食と農の連携推進室」を設置し、「所得の向上と夢のある農業の実現」に向けた戦略を策定の上、1次産業と2次産業、3次産業の連携を強化し盛岡産の農畜産物のブランド力向上と販路拡大、6次産業化の支援、食の魅力発信などを実施する「食と農のバリューアップ推進事業」などに、戦略的に取り組むこととしております。

 














 次に、28年度に市が対応した、新規就農者数と青年就農給付金の受給者数の見通しについてでありますが、新規就農者数と青年就農給付金の受給者数と青年就農給付金の受給者数の見通しについてでありますが、新規就農者については3経営体、青年就農給付金については15経営体を見込んでおります。

 また、29年度に実施予定の親元就農給付金についてでありますが、当該給付金は、国が実施している青年就農給付金に該当しない者を対象とした制度であり、要件といたしましては、市内に住所を有し、親元に就農する55歳以下の者を対象に、年間1人当たり60万円、支給年数を2年間とし、2名分の予算を計上しているところであります。
次に、30年産米からの生産調整の廃止による影響と対策についてでありますが、生産調整の協力金である米の直接支払交付金の廃止や作付過剰による米価下落などの影響が懸念されますことから、その対策として、岩手県農業再生協議会では、国が示す生産数量目標に変わるものとして、市町村別の米の生産数量の目安を提示することとしております。
市といたしましては、米価の安定や稲作農家の経営維持、米の安定供給につながるような実効ある対応策を検討するとともに、需給安定の仕組みづくりを国が責任を持って行い、米を主体とする農家が再生産に向けて展望が描けるよう、引き続き、岩手県市長会などを通じて国に要望してまいりたいと存じます。

≪鈴木礼子≫次に米の生産調整の廃止について伺います。

 後継者対策や担い手対策など取り組みを強化している矢先に30年産米から担い手の意欲を削ぐ生産調整数量配分いわゆる減反の廃止と農家経営を支えてきた戸別所得補償制度の廃止が迫っています。稲作農家にとって甚大な影響が予想されますが、影響と対策についてお知らせください。

 米価はこの10年間で4割近くも下落し、規模拡大に取り組んできた大規模農家や集落営農組織が大きな打撃を受けています。国の責任で米の安定供給と再生産可能な米価を保障することは当然ですが、市としても生産調整を止めるのではなく、麦・大豆、飼料作物等の転作条件を有利にし、安定した販路を確保するなど県や農協など関係団体とも協力し対策を講じるべきと思いますが、かがですか。
 ≪長澤農林部長≫
≪鈴木礼子≫次に農地中間管理事業についてです。
 国がTPP導入を前提として、農業の競争力強化を図るため、担い手に農地を集め規模拡大を図るとした農地中間管理事業は、35年までの10年間に担い手の農地利用が全農地の8割を占めることを目標にしましたが、計画どおりに進んでいないのが実態ではないでしょうか。市の集積の実態と進まない要因についてどのように把握されていますか。お知らせください。

農家の皆さんからは
①中間管理機構に貸し付けるときに耕作者は自分で見つけなければならない。機構は耕作者を探してくれない。
② 機構は、条件の悪い農地は借りないのではないか、耕作放棄地を増やす結果になるのではないか。
③ 農地の借り受け手のメリットが感じられない。10アール当たり1万円とあるが、貸し手に比べて受け手のメリットが少ないのではないのか。
④ 農地中間管理機構の貸付期間は10年だが、10年後に農地中管理機構は機能しているのかなどの意見が寄せられていますが、見解をお聞かせ下さい。
≪長澤農林部長≫次に、本市における農地中間管理事業の集積の実態についてでありますが、28年3月末現在で、農地中間管理機構が担い手に貸し付けた農地は、65経営体、471ヘクタール、その他の貸借等を含め、担い手に集積された農地は2,232ヘクタールとなっており、自然体の農地面積7,053ヘクタールに対して31.6パーセントの集積率となっております。
農地集積が進まない要因といたしましては、本市では、「農地の所有者が貸し付けに踏み切れない」、「地域において農地を貸し出す方向で話し合いが進んでいない」などの要因のほか、特に中山間地域においては、高齢化により担い手が不足していることや、小さな圃場が点在していることなどが挙げられており、これらのことから農地集積が思うように進んでいないところであります。
次に、「農地中間管理機構が耕作者を探してくれない」また、「機構は、条件の悪い農地は借りないのではないか」に対する見解についてでありますが、市といたしましても、農家の方々からそのような声があることは聞いておりますことから、今後、農地中間管理事業が円滑に進むよう、機構とも意見交換してまいります。
次に、「農地の受け手のメリットが少ないのではないか」についてでありますが、このような声があることも承知しておりますので、東北農政局長との意見交換会などの機会を捉え、国に要望してまいりたいと存じます。
次に、「10年後に農地中間管理機構は機能しているのか」についてでありますが、機構では借り受けた農地について、10年間の「農地中間管理権」を有しており、今後におきましても責任を持って事業を継続する必要があるものと存じております。
いずれにいたしましても、国や機構に農業者の声をお伝えしながら、農地中間管理者が効果的に実施され、農地集積が円滑に進むよう取り組んでまいりたいと存じます。
 ≪鈴木礼子≫次に空き家対策について伺います。

空き家再生補助制度について 

空き家対策については、この間、多くの議員が対策の強化を求め、提案・質問を行ってきましたが、このたび、29年度予算で市単独事業として空き家再生補助事業150万円が予算化されました。
 もっと早くに実施してほしかったとは思いますが、空き家の利活用促進にむけて一歩前進と評価したいと思います。空き家再生補助金の具体的な内容とその効果についてお示しください。

適正管理について

 市の空き家等対策計画は、平成27年度から31年度までの5年間を計画期間とし、良好な生活環境の保全及び安全で安心して暮らせる社会の実現に資することを目的として ①空き家の適正管理 ②有効活用 ③国の助成制度の活用について、を基本方針とし、28年3月に策定されました。まだ年度途中ではありますが28年度の取り組みと効果・課題についてお知らせください。
 特に、空き家問題が解決した件数、空き家バンクへの新規登録件数とバンクに登録された空き家の利活用についてそれぞれの数値目標に照らして、28年度の見通しはどうでしょうか。お知らせください。

 また、適正管理に向けた市民啓発について、特定空き家の問題解決として専門的な対応とスピード感をもって対応するとし、年度途中で予算化された臨時職員2名の配置による効果についてはどうでしょうか。伺います。































発生抑制への取り組み


 私は、昨年8月議会の議案質疑で北上市の取り組みを紹介させていただきましたが、北上市の空き家対策の特徴は即時執行と発生抑制を重点にしていることです。
発生抑制では、相談窓口体制に重きを置き、不動産、法務、解体や売買、賃貸契約へ誘導する民間の「専門相談」と空き家バンクや支援策などを総合的に扱う市の「行政相談」を設置し、空き家所有者や利活用希望者の要望や疑問を「専門相談」「行政相談」につなげる役割を担う初期相談サポーターを配置するなどきめ細かな対応をしています。
 また、特措法で「おおむね1年以上使用がない」としている空き家の定義を「期間にかかわらず現に使用がない状態」と規定し、損壊の恐れやスズメバチの巣の除去など市民に危険が及ぶ場合、所有者への勧告や命令なしに市が最少現度で対処できる即時執行を可能にしていると聞きます。

 当市にとっても得るところが大きいのではないでしょうか。市長は、北上市の空き家対策についてどのようなご所見をお持ちでしょうか。

ワンストップでの対応

 当市の取り組みについては、内容が良く見えないとの声も寄せられていますが、ワンストップで対応できる行政の部署がないということもひとつの要因のとなっているのではないでしょうか。

 適正管理は市民部くらしの安全課で、有効活用は都市整備部都市計画課という2本立ての対応は市民にとってはわかりづらく、ワンストップ化が急がれますが、この点はどのように検討されていますか。また、市民への啓発についではどのような対応をされていますか。


若い世代の定住への活用

 
 利活用にあたっては、街づくりの一環として若い世帯の定住促進への特別の手立てを講じるべきと思いますが、この点ではどのような検討をされていますか。また、サロン等の公共施設として活用する場合の支援施策についてはどのような検討がされていますか。
 
 この項の最後に、国の支援・助成事業の活用について国の動向も合わせてお知らせください。
 ≪都市整備部長≫ 空き家再生補助金の内容と効果についてでありますが、定住促進と利活用の促進を図るための支援施策として、空き家等バンクに登録され、成約となった物件の改修等への助成制度を社会実験として導入するものであります。制度の要綱は、今後策定することとしておりますが、20万円以上のリフォーム工事を対象とし、補助金額は対象工事費の2分の1で20万円を上限とし、子育て世帯や高齢者世帯等の場合には10万円の上乗せをすることを想定しております。効果につきましては、空き家等バンクへの登録件数及び成約件数が増加することにより、空き家の利活用が推進されることを期待しております。

 次に、平成28年度の取り組みと効果・課題についてでありますが、空き家等バンク制度についてのホームページでの周知やマッチングの推進、空き家の実態調査とあわせた所有者等への登録呼びかけ等に取り組み、相談件数の増加など一定の成果を上げているものと考えております。課題といたしましては、所有者へのアンケート調査において、「今後利用する予定がある」や「他人への譲渡や貸出に抵抗がある」など、空き家等バンクへの登録に消極的な回答が多く、また、これまでは助成制度もないことから、空き家等バンクの登録の推進が図られていないことと考えております。

 次に、利活用の数値目標に対する見通しについてでありますが、平成28年度の目標値に対する平成29年1月31日現在の実績値は、「空き家等バンクへの新規登録件数」についてが目標値15件に対して、4件、また、「空き家バンクに登録された空き家等の利活用件数」についてが目標値3件に対して、1件、にとどまっており、目標値の達成は難しいものと考えております。

≪細川市民部長答弁≫ 次に、盛岡市空き家等対策計画のうち、空き家の適正管理についての28年度の取組と効果・課題についてでありますが、「特定空き家等への対処」につきましては、「問題があるとして報告された空き家等の内、問題の解決に至った件数」についての平成28年度中の目標値30件に対して、現時点で13件にとどまっております。

 しかしながら、関係法令の施行や空き家等対策計画の策定前と比較し、実効性の伴った対応が可能となったことから、今後、課題を分析し、スピード感を持って問題の解決を図るよう取り組んでまいりたいと存じます。
また、計画のうち、国の助成制度の活用につきましては、現時点で国が実施している助成制度の活用には、市町村にも多額の義務負担が生じることから、28年度は実施を見送ったところでありますが、今後、費用対効果を見極めながら、引き続き、制度の活用を検討することとしております。

 次に、28年度の途中で予算化された臨時職員2名の配置による効果については、配置前は年度内に完了する見込みが立たなかった「問題のある空き地・空き家」952件の現地確認作業のほか、所有者に対して指導等を行った案件についての経過観察。データベースの入力作業などが円滑に進み、ほぼ年度内にこれらの作業が完了する見通しとなったものでございます。

≪谷藤市長≫ 次に空き家の発生抑制と即時執行に重点をおいた北上市の空き家対策についてでありますが、現状において本市と異なる点は、専門家による相談体制と、今後予定されている初期相談サポーター制度であります。

 本市におきましては、北上市同様、平成29年度から専門家による相談会の開催を予定しておりますし、今後も他都市のさまざまな例を参考にしながら、さらなる施策の充実に努めてまいりたいと存じます。














 次に、対応部署のワンストップ化についてでありますが、関係法令の施行や空き家等対策計画に定められた施策の推進により、本市の空き家等対策計画は着実に成果を挙げているものと存じており、現段階では、組織の統合等は予定しておりませんが、ご提言を踏まえまして、今後も市民の皆様の期待に応えられるよう、随時必要な改善を図ってまいります。

 次に、市民の啓発につきましては、空き家等対策計画に基づき、各種チラシの配布や不動産鑑定士を講師とした講演会をしており、空き家問題に関心を持っていただくとともに、空き家を流通ルートに乗せる意識付けにつながったものと存じております。

≪都市整備部長≫次に、若い世帯の定住促進への支援施策についてでありますが、盛岡市まち・ひと・しごと創生総合戦略においても、「安心して子どもを産み育てられる環境整備」の戦略の計画事業の中に「空き家バンク制度の普及」を位置付け、子育て世代の住み替えによる住環境の改善を図ることとしているところであり、前述のとおり平成29年度に導入予定の空き家再生補助金において、子育て世代等への補助の上乗せを考えているところでございます。また、サロン等の、公共施設として活用する場合の支援施策につきましては、「盛岡市空き家等対策計画」に、地域の公民館・集会所、地域交流サロン、子育て支援施設など公共的施設等としての活用の推進を位置付けており、今後、関係部署と情報を共有しながら、市の施策方針や地域等からの活用要望等を踏まえて検討してまいりたいと考えております。

 次に、国の支援・助成事業の活用についてでありますが、平成29年度から国土交通省において、全国版空き家・空き地バンクの構築に取り組むほか、民間賃貸住宅や空き家を活用した子育て世帯や高齢者世帯などに向けた住宅の登録制度や、その住宅改修や家賃対策に係る支援制度の創設等に取り組むと伺っておりますので、今後、国が示す具体の制度等について、情報収集を行いながら、関係部署とともに当該制度との連携について検討を行ってまいりたいと考えております。
 ≪鈴木礼子≫次に中央公民館大規模改修と愛宕山老人福祉センター機能移転について伺います。

 29年度は「盛岡市公共施設保有最適化・長寿命化中期計画」の実施計画が2年目を迎え、29年度事業のひとつに中央公民館・愛宕山老人福祉センター複合化・大規模改修事業が予算化されました。
 
愛宕山老人福祉センター・・入浴機能なくすな

 予定では、28年度3月に基本構想の策定、29年度4月には実施設計の委託、30・31年度大規模改修工事、32年度に中央公民館に愛宕山老人福祉センター機能を移転する計画となっていますが、あらためて本事業の基本構想(事業内容)についてお知らせください。(大規模改修の内容、愛宕山老人福祉センターが公民館施設のどの部分に整備されるのか。センターの規模、整備内容など含めて)

 愛宕山老人福祉センターは、市内に2か所ある浴場設備を備えたA型の老人福祉センターで、機能回復訓練室などを含め延床面積613・97㎡(186坪)です。
平成27年度の延べ利用者数23、350人、うち、お風呂の利用者数は、火・水・土曜日の週3回、年間146日の利用で7、251人。機能回復訓練として好評のヘルストロン利用者数は10、488人。バスの送迎は年間250日運行で5、540人となっており、市内全域から利用されている施設となっています。

 2月3日、14日の両日、愛宕山老人福祉センター利用者に対して機能移転についての説明が行われましたが、中央公民館への移転にあたっては、機能回復訓練室、浴場の廃止、送迎バスは更新をせず廃止するとのことです。参加者からはA型の老人福祉センターがなぜB型への移行なのか、お風呂が利用できなくなることへの不便さを訴える声が圧倒的に多かったものです。

 市長は、利用者の声をどのように受け止めておられるのでしょうか。

 担当課からは、老人福祉センター開設当初は家庭風呂が少なかったが、今は家庭風呂が普及し役割は終えている旨の回答だったようですが、今日の高齢者の置かれている実態は家庭風呂が普及したからと割り切れるほど単純な状況ではないと思います。

 市の27年度の生活保護受給者のうち65歳以上の高齢者世帯が46、2%を占め年々増加傾向にありますが、このことは貧困を防ぐ機能が弱体化していることです。また、市の平均世帯人員は、全国平均よりも低い平成27年度で2・29人となっていますが、このことは家族間のセーフティネットが非常に弱くなっていることを示しているものと思われます。述べたように、高齢者の貧困が深刻化する中で、支援策の一つとしてA型の老人福祉センターが貴重な役割を果たしているのではないでしょうか。

 無料で入浴できる施設があるということは何よりもありがたいことであり、集うことで交流も広がり、生きがいにもつながっているのではないでしょうか。
これらの方の生きがい(幸せ)を、財政が厳しいから、将来的に人口が減るからとの理由で断ち切っていいのかどうか、問われていると思いますが、いかがですか。ご所見をお聞かせください。

複合施設となる公民館への影響について

 次に、複合施設として受け入れる中央公民館についてです。
 先ごろ、東日本大震災の地道な復興支援活動に対し「第3回エルトゥールル号からの恩返し 日本復興の光大賞」に、盛岡市の「3・11絵本プロジェクトいわて」が特別賞受賞に輝きました。同プロジェクトには中央公民館も大きく関わってきた経緯もあり大変喜ばしく敬意を表したいと思います。

 さて、中央公民館は、上田公民館、西部公民館、河南公民館の区公民館4館の核をなす施設であり、社会教育活動の拠点施設として、予算的に厳しい中で多彩な学級・講座の開催をはじめ利用登録団体が65団体にのぼる等、自主的なサークル活動も含めて、27年度実績で年間利用者は約17万人を数えています。

 愛宕山老人福祉センターの機能移転に伴うメリット・デメリットについてどのように分析され対処されているのでしょうか、伺います。

 複合施設への移行について利用者からは、施設的には手狭な中で従来の機能、スペースが確保できるのか、今でも不足している駐車場スペースがさらに手狭になることへの懸念や新たな駐車スペースの確保、工事期間中の貨室中止による影響と対策を求める声が寄せられています。これらへの対応についてお知らせください。
言うまでもなく、長寿命化計画、いわゆる公共施設の再編・再配置は、自治体の財政悪化、公共施設の老朽化、増大する維持管理費への対策と日本創生会議のいわゆる増田レポートによる人口減少社会の到来をみこした「選択と集中」の考え方のもとで進められています。

 財政計画と人口減少の見通しに基づいた再編計画は、総量抑制(延床面積の削減)に重点が置かれ、財政削減を前提とした統廃合、複合化、減築、転用となっており、サービスを受ける側の住民にとっては、なぜ統廃合の対象になったのか、なぜサービスが打ち切られるのか等々直ちに受け入れられる状況とは言い難いのではないでしょうか。

 長寿命化計画については、庄子議員が昨年8議会で公共施設が市民生活に果たしている役割への十分な配慮と市民への利便の確保などを述べつつ、場合によっては計画の見直しも必要性ではないのかと問題提起をしました。

 市長は、「施設保有の最適化」に向けた個別具体的な検討は、地元や市民の意見・要望を伺いながら利用率の向上やサービスの充実を図っていく旨の答弁だったと思います。
 愛宕山老人福祉センター機能移転については、利用者の要望を尊重し見直しが必要ではないのか。最低でも浴室の確保及びそれに代わるサービスの提供を求めるものですが、いかがですか。
 ≪谷藤市長≫次に、愛宕山老人福祉センターの利用者の声をどのように受け止めているのか、についてでありますが、老人福祉センターの公民館施設への機能移転は、市として初めての取組であり、利用者の皆様には、とまどいや不安など、ご心配をおかけしているところであります。
市といたしましては、限られた財源を効果的に活用しながら、将来世代に大きな負担を強いることなく、持続可能な市民サービスの提供を図るため、「盛岡市公共施設保有最適化・長寿命化中期計画」を策定したところであり、ご理解をいただけるよう丁寧に説明するなど、センターと公民館の利用者の声をよく聴きながら、大規模改修後の中央公民館と併設の老人福祉センターが利用者により良い施設になるよう取り組んでまいりたいと存じます。

≪村上保健福祉部長≫ 愛宕山老人福祉センターが中央公民館のどの部分に整備されるのかについてでありますが、現在、中央公民館1階の創作展示室、第1企画展示室として使われている所を中心に、400平方メートル弱を想定し、検討しているところであります。
また、老人福祉センターの機能として、相談室や教養娯楽室、介護予防教室を行うスペースのほか、ヘルストロン・コーナーを設けることとしております。
次に、無料で入浴できる施設がなくなることについてでありますが、利用者の声として、健康増進や交流の場などの効果があるものと存じておりますが、市全体の公共施設保有の最適化を進める中での今回の取組と存じております。

 次に、見直しが必要ではないか、についてでありますが、今後もセンターの機能移転について、利用されている方に丁寧に説明し、ご理解いただけるよう努めてまいりたいと存じます。

 また、浴室の効果に代わるサービスについては、移転後のセンターにおいて、筋力アップや軽体操を行う介護予防教室を実施してまいりたいと存じております。




























≪豊岡教育部長≫
次に、中央公民館施設整備事業の基本構想についてでありますが、中央公民館施設整備事業は、「盛岡市公共施設保有最適化・長寿命化中期計画」に基づき、中央公民館に愛宕山老人福祉センターを受け入れた上、大規模改修を行うものであり、平成29年度に実施設計を、30年度及び31年度に工事を実施し、工事期間中は、施設の利用を休止する予定であります。
大規模改修の概要は、建築物の外部及び内部、建具、設備機器類の交換等により施設の機能の向上を図るほか、トイレの洋式化や照明器具の更新、カーペットの張替え、エレベーター冷暖房等の設備の更新を行うものであります。

 次に、愛宕山老人福祉センターの機能移転に伴うメリット・デメリットについてでありますが、メリットといたしましては、中央公民館を利用している高齢者にとっては、老人福祉センターを利用しやすくなるほか、老人福祉センターを利用者にとっても、公民館の講座などの情報を得やすくなることなど、両施設の利用者の増加につながるものと期待しているところであります。
 デメリットといたしましては、施設の利用者が増えることにより、駐車場が手狭になるという懸念が生じることや、老人福祉センターの受入れにより、利用できる公民館の施設が減少することが挙げられます。

 次に、従来の機能、スペースは確保できるのか、についてでありますが、老人福祉センターは、1階の創作展示会及び第1企画展示室に配置する予定であり、それ以外の部屋は確保されていることから、サークル活動などの利用者には、支障がないものと存じておりますが、展示室の開催などの希望があった場合は、第2企画展示室や大会議室などの利用で対応してまいりたいと考えております。
次に、駐車場についてでありますが、敷地及び施設の面積は、現状と変わらないことから、愛宕山老人福祉センターの受入れにより、駐車場が手狭になることが想定されますので、公共交通機関の利用を促すほか、大規模改修後の駐車場の利用状況を確認しながら、対応について検討してまいりたいと存じます。

 次に、工事期間中の貸室中止による影響と対策についてでありますが、工事期間中は、車両の出入りや建設資材、建設機材が置かれること、工事による騒音、振動、停電、断水等のリスクが想定されることから、利用者の安全を考え、全館休館する予定であります。
休館中の利用団体の活動場所については、他の公民館や施設を利用できるよう、各施設及び利用団体と連絡調整を図り、情報提供するなどして、各団体が活動場所を確保できるよう、支援してまいりたいと存じます。
 ≪鈴木礼子≫次にクライミング施設整備の拡充についてです。

 3月3日の2月定例県議会で、施設整備のための補正予算が採択されたことで私の質問の主旨がかなえられたところではありますが、質問通告のとおり質問しますのでよろしくお願いします。
高齢化が進む松園団地にとって久々の明るいニュースがかけめぐっています。松園中学校2年生伊藤ふたばさんの快挙が団地住民の気持ちを明るくさせています。
松園中学校通学路には、2016年アジアユース選手権(テヘラン)リードボルダリング優勝、世界ユース選手権(広州)ボルダリング準優勝の看板が掲げられ、ふたばさんの快挙を紹介しています。その後、最年少でのジャパンカップ優勝を果たし、今や時の人になっていることを、松園住民だけではなく盛岡市民がこぞって勇気をいただき、快挙を喜んでいるのではないでしょうか。

 3年後の東京オリンピックでは、あらたにスポーツクライミングが競技種目となり期待が広がっています。
市長は、先の松園地区新年交賀会で伊藤ふたばさんの快挙にふれ、ボルダリング、リード壁の施設拡充と世界に通じる選手を育てる環境整備について熱く語り、非常に前向きな発言をされました。その後、県営運動公園への整備を要請したとの新聞報道を目にしましたが、ぜひ実現していただきたいと思いますが、手ごたえについてお伺いして質問を終わります。
  ≪谷藤市長≫次に、スポーツクライミング施設整備についてでありますが、現在、岩手県営運動公園内にリード壁(へき)及びボルダリング施設が備えられておりますが、東京2020(にせんにじゅう)オリンピックの追加競技となりましたスポーツクライミングは、リード、ボルダリング及びスピードの3種目の総合得点で争われますことから、スピード壁(へき)の整備が課題となっております。
盛岡広域首長懇談会では、盛岡広域スポーツコミッションにおいて、オリンピック選手育成事業であるエイト・オリンピアンズ・プロジェクトなどに取り組むことを決定しておりますが、特に追加種目となりましたスポーツクライミングは、希望郷いわて国体でも本県選手が活躍した種目であり、オリンピック選手輩出の可能性が高いことから、去る1月27日に、岩手県山岳協会とともに、県に対しスピード壁(へき)の整備について要望したところであります。
県におきましては、要望を受け、2月補正予算にスピード壁(へき)の整備費用を計上していただいたところであり、県の迅速な対応に大変感謝しており、一日も早く完成することを期待しております。