質問 |
答弁 |
≪鈴木努≫ 免許返納についてお伺いします。全国各地で高齢ドライバーによる事故が相次いでいます。10月27日には、横浜市で集団登校中の小学生の列に87歳の高齢ドライバーが運転するトラックが突っ込み、小学1年生の男児が死亡。11月12日、東京立川市の病院で83歳の女性が運転していた車が暴走し、歩道を歩いていた30代の男女二人が死亡するという事故がありました。
全国では、75歳以上のドライバーによる死亡事故は、2014年には471件となっており10年前の04年以降毎年400件を超えている状況にあります。また死亡事故の割合が04年には6.2%だったものが14年には12.9%にのぼっています。
このような中で来春3月に施行される改正道路交通法では、75歳以上のドライバーが交通違反した場合には認知症の検査が義務付けられることになり、臨時検査で前回の検査結果よりも認知機能が低下していた場合には、臨時講習を受ける必要が生じます。また、認知症の恐れがあるとされれば、医師の診察を受けることも義務化され、認知症と診断されれば、免許取り消しか停止となり、臨時検査や診察を受けない場合は免許の取り消しとなり、対策が強化されることになっています。
対策の強化と同時に高齢ドライバーの方に対しては、この間、運転免許証の自主返納制度が実施されています。これは、1998年から全国で始まった制度であり、全体ではその数が、2012年には10万人を突破し、2014年には20万人を超え2015年には、28万5514人となっています。そのうち94.6%が65歳以上の高齢者となっています。
これまで全国の各自治体では、運転経歴証明書の発行手数料の補助や免許の返納をした人に対する公共交通の割引等、様々な独自の施策が行われ、返納者の数は増えているものの、免許を保有している高齢者1710万人のうち、返納者数は65万人にとどまっています。
当市においては、免許を自主返納された方に対して、MORIO-Jポイントを付与する独自の制度を実施しており、自主返納を促す取り組みが行われているところでありますが、高齢ドライバー、特にも75歳以上の高齢ドライバーの死亡事故の割合が増加している中において、MORIO-Jカードを所有していない方や車に代わる交通手段の確保のための施策も考えていくべきと思いますが、いかがでしょうか。富山市で実施している支援事業は、65歳以上の方で免許を自主返納した人に対して、市が契約しているタクシー会社の乗車料、富山ライトレールのICカードの購入や入金、コミュニティーバスの購入費用の助成など約2万円分を支援券として補助しています。当市でもこのような様々なメニューを設けて高齢者の免許返納を促す取り組みを実施していただきたいと思いますが、いかがでしょうか、お伺いします。合わせて、
MORIO-Jポイントが付与される市の支援事業の申請状況はどのくらいになっているのかお知らせください。
|
≪谷藤市長≫ 鈴木努議員の御質問にお答え申し上げます。
はじめに、高齢ドライバーが免許を自主返納した場合MORIO-Jカードを使用しない方や車に代わる交通手段の確保のための施策をどのように考えているかについてですが、高齢者の運転免許証の返納につきましては、家庭や仕事、通院などの諸事情により自動車の運転を必要とする場合もあることから、基本的には本人や家庭の「事故を起こさない」「事故に遭わない」という配慮の下に判断がなされるものと考えております。
しかしながら、交通事故総数に対する高齢運転者の事故の割合は増加傾向にあり、運転免許証を自主返納した方の代替の交通手段の確保につきましては、現在行っている事業以外にどのような施策が最も有効か、他都市の事例を参考にしながら引き続き検討する必要があるものと存じております。
次に、富山市のようにバスやタクシーなど複数の公共交通機関で利用することが可能な助成制度を設けて、免許の自主返納を促す取組についてでありますが、本市におきましては、免許の自主返納者に限らず、70歳以上の方を対象に、「まちなか・おでかけパス」または、「玉山地域列車でおでかけきっぷ」を購入する際、費用の一部を市が負担する、高齢者の公共交通の利用促進等を目的とした取組を行っており、こうした既存の助成制度の活用も含めて、富山市の取組も参考にしながら、検討してまいりたいと存じます。
次に、MORIO―Jポイントが付与される支援事業の申請状況についてでありますが、事業を始めた本年8月から11月までの4か月間での申請件数は45件であり、今後、更なる制度の周知に努めてまいりたいと存じます。
|
≪鈴木努≫次に奨学金制度についてお伺いします。
日本の大学の学費は、2014年度で初年度納入金が、国立で83万円、私立文系で約115万円、理系で150万円にのぼっています。児童のいる世帯の所得が1996年と比べ2013年には約100万円減少しているにも関わらず、大学の初年度納付金は10万円増えている状況にあります。
親からの援助だけでは足りず、学費や生活費を賄うために、いまや学生の2.6人に1人にあたる約140万人が、将来の借金となる奨学金を利用しています。奨学金をアルバイトで賄うためにバイト漬けになり、学業に支障が出ている学生も生まれ、経済的理由から進学を断念する高校生、大学等を中退する学生も増えています。
高い学費と「教育ローン」化した奨学金が、進学をあきらめるか、バイト漬け・借金漬けで進学をあきらめるかという選択を若者に押し付け、「教育を受けること」が、若者のあいだに貧困と格差を広げるという本末転倒な事態が起きています。
実際に、文部科学省の調査をみても「経済的な困難」で大学・短大・高専を中退した人の割合は、中退者全体のうち、2007年には14%だったものが、2012年には20.4%と急増し、中退した理由のトップになっています。また約7割の大学等が、この5年間に「経済的支援に関する学生から相談件数が増加している」と答えています。そして家計の負担も高校入学から大学卒業までの教育費は、子ども一人当たりで約1445万円(自宅外通学)かかり、家計に占める授業料等の在学費用の割合は、平均で約2割となっており、年収200万円から400万円の世帯では、約4割に上っており、日本政策金融公庫の調査によると、低所得世帯では、教育費を捻出するために節約するものとして、「食費」が49.6%、「外食費」64.3%、「衣類の購入費」が61.5%となっており、子どもの教育費を捻出するために移植を切り詰めた生活を送っている姿が浮かび上がっています。
世界の中でもこのように高い学費で給付型の奨学金がない国は珍しくなっています。
世界では、高等教育を重視し大学進学率が上がる傾向にある中で、学費無償化を維持したり、例えば学費を徴収したとしても給付型奨学金とセットで学生を支援するというのが政治の姿勢として当たり前となっています。 スウェーデンなどの北欧諸国では、学費無償を続け、ドイツでは、2005年からいったん授業料の徴収を始めたものの、学生らの反対運動や抗議デモが広がり、2014年に再び無償となっています。イギリスでは、1998年に授業料を導入して以降、2回にわたって学費が大幅に引き上げられ、急激な学費の値上げに反対運動が続く中で、2004年にいったん廃止された給付型奨学金が復活し、授業料などの支払いなどを卒業後に年収に応じて支払う「負担軽減策」が導入されています。アメリカでは、公立の大学でも授業料が年々高くなっていますが、かなりの規模の給付型の奨学金や経済的理由による学費免除制度を受けています。
これまで日本と同じように学費が高く、給付型の奨学金もなかった韓国とチリでは、学費の負担軽減を求める運動が盛り上がる中で、選挙で政治が変わり、学費の負担軽減策が進んでいます。韓国では、2008年に低所得層に限って給付制奨学金が導入されています。「授業料半額」を公約に掲げた大統領が誕生したことで、給付型の奨学金を受給する学生も3割にまで拡充されているとのことです。またチリでは、国立大学の授業料無償化を公約に掲げた元大統領が2014年に大統領に復帰したことにより、2015年には私立大学も含めて貧困層の学生から段階的に無償化し、2020年に全学生を対象に無償化する法律を成立させています。
こうした中で高い学費にもかかわらず給付型の奨学金制度がないのは、先進国(OECD加盟国)の中では、日本だけになり、大学進学率も先進国で平均以下という後進国となっています。
学費と奨学金をめぐる問題は、子どもの貧困問題と結んで、その解決を求める世論が大きく広がり、給付金の奨学金制度を求める声が日に日に高まっている状況にあります。こうした中、政府は、ようやく重い腰を上げ、給付型奨学金制度の創設に向けた検討チームを設置を7月に設置し、「給付型奨学金を来年度予算編成で実現」するとしています。まだ制度の創設に向けた具体的内容や詳細については明らかにされていませんが、現段階の報道では、「給付規模は7万5千人程度」との報道がありますが、事実であれば、極めて限定的で全学生の2%強の規模にしかならないものです。
私ども日本共産党では、少なくとも「月3万円を70万人」への給付型奨学金制度の創設し、さらに拡充することを提案しています。70万人は全学生の25%にあたり、奨学金を利用する学生の半数をカバーすることになります。そのくらいの規模で創設し、充実を図っていくことにこそ学生の願いにこたえる道と思います。ぜひとも奨学金制度の充実について国に対し、強く働きかけていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。お伺いします。
奨学金返還支援制度
この奨学金の制度に関連し、若者の定住促進のための施策として奨学金の返還支援制度を実施する自治体が全国で広がっています。岩手県でも「いわて産業人材奨学金返還支援制度」を創設すると伺っています。この制度は、県内のものづくり企業など技術力・開発力の向上などを担う人材を確保し、地域産業の高度化、持続的な発展を推進することを目的として、8年以上岩手県内の事業所に就業し、県内に居住を予定する大学、大学院及び高専在学生、すでに大学などを卒業し県外に在住する35歳未満のUIターン希望者を対象に実施予定となっています。
保育士に対する返還支援制度
奨学金返還に苦しむ人の支援として期待する事業でありますが、このような取り組みついて、私は、先の6月議会の時に花巻市の「ふるさと保育士確保補助金制度」を紹介し、市としても保育士の確保・若者の定住促進のための奨学金の返還支援制度の創設を求めたところでありますが、どのような検討がされているのでしょうか。
この間、奨学金の返還をしている保育士の方から、「月9000円の奨学金を30年かけて返済しなくてはいけない」「入職6年目でも給料が入職した時とほとんど変わらないので奨学金の返済が大変」等奨学金の返還についてのお話を伺う機会がありましたが、子育て支援に力を入れている盛岡市として、保育士の確保・定着のためにぜひとも返還支援制度の実施をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか、お伺いします。 |
≪谷藤市長≫ 次に、奨学金制度の充実について、国に対し働きかけることについてでありますが、このことにつきましては、これまでも、国に対して、全国市長会などを通じて、意欲と能力のある学生が、経済的理由により大学等への進学を断念することがないよう、給付型奨学金の創設や奨学金の返還免除など、奨学金制度のさらなる充実について、要望しておりますが、今後も、機会を捉えて、国に働きかけてまいりたいと存じます。
≪公室長答弁≫ 奨学金の返還支援制度創設の検討状況についてでありますが、奨学金をめぐる国の動向や岩手県における検討状況、他都市の取組事例などについて情報収集を行っているところでありますが、全国市長会においては、平成28年11月17日に首都圏の若者の就職支援策として、奨学金返還免除制度の拡充などについて、関係省庁等へ要望を行っているところであり、奨学金制度の創設に向けて国・県などの動きが活発しております。
このような状況を踏まえて、市においては、関係部署において、奨学金借入れの実態を把握するとともに、奨学金の返還支援に係る必要性について検討しているところであり、今後においても引き続き、国や県、他都市の動向を注視しながら、調査、研究してまいりたいと存じます。
≪保健福祉部長答弁≫ 奨学金の返還支援制度についてでありますが、県内の保育士養成校からは、奨学金を利用している学生が多く在籍しており、奨学金の返済支援策が保育士の確保策に有効ではないかと伺いましたことから、市内の保育園に、平成28年4月以降に採用された保育士56名を対象として、奨学金の状況について調査したところ、23名が奨学金を返済中で、返済額は月額4千円から2万7千円という回答をいただいたところであります。
また、保育園関係者からは、新卒者等、まだ経験年数が少ない保育士にとって、奨学金の返済は、経済的な負担であることや、奨学金の返済のために保育士を辞め、給与の高い事務職などに転職したという事例を伺っております。
このことから、待機児童の解消のための保育士の確保に取り組んでおります市にとりまして、奨学金の返還に係る支援は、有効なものと認識しており、現在、返還支援制度について検討しているところであります。 |
≪鈴木努≫バスセンターの当面の対応についてお伺いします。盛岡バスセンターが老朽化のため9月30日をもって、閉鎖され、現在解体工事が進められている状況にあります。市では、今後の計画について、新バスターミナルを整備するとともに「地域のにぎわいを生む複合施設」の建設を2020年を目途に進めていくこととしています。 その間は、隣接する駐車場がバスの発着所となります。
バスの仮設乗降所が整備された中で、大きな混乱もなく市民の方に利用されているとのことでありますが、周辺の施設や店舗において、市民の方から「ナナック前の歩道が混雑して自転車で通行している人とぶつかりそうになる」「バスセンター閉鎖後ナナック前のコンビニのトイレが混雑するようになった」等の声が寄せられていますが、バスセンター閉鎖後市民から市に対し現在の状況について苦情あるいは改善要望等寄せられているものでしょうか。またそれらの声に対して市ではどのように対応していくものでしょうか、お伺いします。 |
≪建設部長答弁≫ バスセンター閉鎖後の市民からの苦情、改善要望とその対応についてでありますが、市への意見や苦情は、直接は寄せられていない状況でありますが、10月と11月に行ったバス誘導員などへの聞き取り調査によりますと、バス仮設乗降所内に視覚障がい者の方のための誘導用ブロックや自動販売機の設置要望が寄せられており、これらの設置について検討しております。
また、議員からご指摘のありました「ななっく前」の歩道の混雑対応につきましては、あらためて現地調査を行いながら、自転車を降りて通行いただくなどの看板設置等の対策を検討してまいります。
同様に、トイレにつきましては、当初は仮設トイレを設置し利用していただいておりましたが、バス仮設乗降所内に新たに水洗トイレを整備し、12月1日から供用開始したところでありますので、今後とも市民の声を広く聴き、改善に努めてまいりたいと存じます。 |
≪鈴木努≫次に施設の安全対策ついてお伺いします。今年の7月、神奈川県相模原市の障がい者施設に刃物を持った男が侵入し19人が犠牲となる事件が起きました。戦後まれにみる事件に福祉関係者に大きな衝撃を与えました。この事件をめぐり、厚生労働省は有識者による検証チームを設置し再発防止に向けた議論が進められてきたところであり、10月11日に成立した国の28年度第2次補正予算では、障がい者施設や高齢者施設に非常用の通報装置や防犯カメラの設置など整備に係る予算が組まれており、同様に保育園等にも防犯対策の予算が組まれています。
本年9月に各施設や保育園などに防犯と災害対策に係る通知が出されておりますが、その通知には、施設面における安全確保として、「警報装置・防犯監視システム・防犯カメラ・警備室などにつながる防犯ブザー職員が常時携帯する防犯ベル等の導入」や「玄関、サッシ等に補助錠を取り付ける等の対象物の強化」などが記載されておりますが、今回の国の補正予算を活用し各施設や保育園等への防犯対策の強化に取り組むべきではなかったのでしょうか、他の自治体の状況を見ましても多くの自治体で防犯に関わる予算が12月の議会に組まれておりますが、当市ではこの国の補正予算の活用についてどのように検討がされたものでしょうか、また各施設や保育園などには防犯対策に関する調査等は実施されてきたものでしょうかお伺いします。 |
≪保育福祉部長答弁≫ 各施設や保育園等への防犯対策の強化の取組に対する国の補正予算の活用についてでありますが、障害者支援施設と高齢者施設については、平成28年10月末に市内の施設に対し、事業の内容を通知し、要望があった施設の防犯内容などを協議の上、障害者支援施設で5施設分、高齢者施設で7施設分について、国と協議しているところであります。
また、幼稚園型認定こども園については、平成28年11月に直接意向を確認し、1施設分について、国と協議を進めているところでありますし、保育所に対する取組につきましては、事故予防の観点からになりますが、国の平成27年度補正予算の繰越し分を活用する形で、28年度中に、ビデオカメラを31園に設置することとしております。
次に、各施設や保育園等に対する防犯対策に関する調査等についてでありますが、市では、社会福祉施設の指導監査において、監査項目である「非常・防火対策」の中で、「不審者対応の訓練を行っているか」を確認しておりますし、特に入所施設については、夜間の施錠時間や警備体制なども聴き取りしながら確認し、必要に応じて指導しているところであります。 |