2016年8月定例会 鈴木努議員の一般質問

 
質問項目 (クリックするとジャンプします)
消防力の整備について
  消防職員充足率達成への方針
  消防車両の更新について



 
介護について
 国の制度改定案への見解
 補足給付削減の影響と対応
 介護事業所の休廃止
 総合事業(要支援者等への事業)

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 質問  答弁
≪鈴木努≫消防について伺います。
 消防庁では、市町村の市街地や建築配置、人口の集積状況などを勘案した「消防力整備指針」策定し、それぞれの市町村に必要な人員、設備などの消防力の数値を定め、地域の実情に合わせた消防体制の整備を求めています。当市における消防署所に配置する消防職員の充足率については、先の6月議会の中で、庄子春治議員の質問に対して、消防防災監は、「消防ポンプ自動車や救急自動車などの車両41台に対する警防隊員をはじめ、予防業務を推進する予防要員等の全体の充足率は67%となっております」と答えておりますが、これまでの議会の中でも消防職員の充足率は全国平均を下回り、東北の県庁所在地の中でもその低さが指摘されてきましたが、充足率については改善が図られてきたのでしょうか、
この5年間における充足率の推移と今後拡充に向けた取り組みについてお知らせください。


 車両の更新についてお伺いします。当市においては、消防ポンプ自動車、はしご自動車、化学消防車、大型水槽車については、車齢15年、救急自動車については、車齢10年または、走行距離10万キロと、更新基準ではなくあくまで目安として更新が行われているとのことでありますが、これらの目安とされている基準にてらして車齢、そして走行距離を経過している車両の台数はどのくらいになっているのか、どの署所にその車両が現在配備されているのか、それぞれの車両の更新を今後のどのように行っていくのかお知らせください。また更新の遅れている車両については、これまで業務の中で支障は出なかったものでしょうか、お伺いします。
今後については、これら消防職員や消防車両の充足率の具体的な目標を設定し、年次計画を立てていくなど充足率100%達成に向けた取り組みが必要と考えますがいかがでしょうか、お伺いします。

≪谷藤市長≫鈴木努議員のご質問にお答え申し上げます。

 初めに、消防職員や消防車両の充足率の100%達成に向けた取組についてでありますが、増加する救急需要に対応するため、平成25年度に上田出張所に高規格救急自動車を新たに配備し、また、本年6月には、山岸出張所を開設し、消防ポンプ自動車を配備したところであり、これらの車両に配置する警防要員や予防要員など、平成18年度から本年度まで、計画的に30名の増員を図ってきたところであります。
今後の取組といたしましては、財政状況や現在ある消防車両の更新も勘案しながら、計画的に車両の配備や消防職員の増員を図り、消防力の充実強化に努めてまいりたいと存じます。

≪吉田消防防災監≫
過去5年間の消防職員の充足率の推移と、今後の拡充に向けた取組みについてでありますが、平成24年度は1名増員67%、25年度は4名増員し67%、26年度は3名増員し67%、27年度は3名増員し68%、28年度は3名増員し67%と推移しており、今後も充足率の拡充に向けて計画的に職員の増員に努めてまいりたいと存じます。

 次に、更新基準にてらした車齢、走行距離を経過している車両の台数についてでありますが、今年度更新する盛岡中央消防署のはしご自動車及び松園出張所の高規格救急自動車を除き、消防ポンプ自動車5台、屈折はしご自動車1台、救助工作車1台及び高規格救急自動車2台が基準を経過しているところであります。
次に、車齢、走行距離を経過している車両の配置署所についてでありますが、消防ポンプ自動車は盛岡西消防署、上田出張所、松園出張所、仙北出張所、太田分駐所、屈折はしご自動車は盛岡中央消防署、救助工作車は盛岡西消防署、高規格救急自動車は盛岡中央消防署と盛岡西消防署に配置しております。
次に、車両の更新を今後どのように行うのかについてでありますが、車両の状態や財政状況等を勘案しながら計画的に更新を進め、消防力の充実強化に努めてまいりたいと存じます。
次に、更新の遅れている車両の業務の中での支障についてでありますが、法定点検に加え、毎日の点検を実施しており、不具合が発生した場合の予備軍も配備しておりますので、支障はないものであります。


≪鈴木努≫次に介護についてお伺いします。

 介護保険制度の新たな制度改定に向けた議論が、厚生労働省の審議会で本格的に始まりました。今回は、「要介護1.2」の人が使う訪問介護のうちの掃除や調理などの生活援助や要介護2以下の人の福祉用具貸与の「保険外し」や負担増などが焦点となっています。安倍政権は昨年から、「要支援1.2」の生活援助などを公的保険の対象から除外する改悪を始めたばかりです。利用する高齢者や家族らに次から次に苦難と負担を強いることは、国民の暮らしの実態をあまりにも無視したやり方ではないでしょうか。
 介護保険制度の見直しはほぼ3年に1度行われ、次の改定は2018年度から予定されています。厚労省が7月20日の審議会に提出した資料では、要介護2以下の「軽度者」のサービスの保険給付の対象を縮小することや、負担増を求める方向を打ち出しています。
 具体的には、要介護1.2の訪問介護のなかの掃除、調理、買い物などの「生活援助」です。社会保障費削減を求める財務省や経団連など財界は、生活援助を「中重度者に重点化」することや、「原則自己負担」を迫っています。生活援助を保険給付から外すことを正当化するため「知識、技術をそれほど有しない者でもできる」(厚労省資料)という議論が持ち出されますが、乱暴な意見です。介護認定を経てケアプランに盛り込む生活援助は、単なる調理や掃除ではありません。室内の散らかり状況から高齢者の体調を判断したり、好みの変化から認知症の症状を把握したり、ヘルパーの専門性が求められているものです。保険から外され、専門でない人の支援になれば、高齢者の微妙な変化を見逃す恐れが出てきます。早期対応の遅れは、高齢者の重症化をすすめる結果にしかなりません。
 また、要介護2以下の人の福祉用具のレンタルを「原則自己負担」にする動きも重大です。軽度者の生活の自立にとって、つえ、手すり、車いすなどは不可欠の支えとなるものです。転倒予防など安全な日常生活を送ることを可能にするとともに、外出を支援するなど、高齢者の重症化を防ぐうえで福祉用具は大きな役割をはたしています。家族など介護する側の負担を減らすためにも必要です。利用料負担増でレンタルが続けられなくなれば、福祉用具で成り立っていた生活が崩れ、本人はもちろん介護する側も打撃です。家族が利用者から目が離せないような状況になれば、仕事などできません。これほど「介護離職ゼロ」に逆行するやり方はありません。
「自己責任・自助」を国民に求める安倍政権の介護改悪は多くの弊害を生んでおり、全国では、特別養護老人ホームの入所を原則要介護3以上に厳格化したため、申し込むことすらできない「介護難民」が生まれています。介護保険を「使わせない」というやり方は、家族を疲弊させ、高齢者を重症化させ、介護保険財政を膨張させる悪循環しかもたらしません。国民が安心できる介護保険制度にしていくべきですが、いかがでしょうか。審議会における市長のご所見をお伺いします。またこれ以上サービスの切り捨てが行われないよう、国に対して求めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか、お伺いします。

≪谷藤市長≫ 介護保険制度の新たな制度改定に向けた議論が始まった厚生労働省の審議会に対する所見についてでありますが、国では、「介護保険制度の持続可能性の確保」に取り組むことが重要と捉え、社会保障審議会において議論が進められているものと存じております。
審議会では、全国市長会介護保険対策特別委員会委員長である大西秀人 高松市長から、「要介護の状況が悪くなったり、要介護者が増えたりすることのないように、慎重に扱っていただきたい。」と意見を述べたところであり、多様な意見を踏まえた丁寧で慎重な検討が行われる必要があるものと存じております。
次に、サービスの切り捨てが行われないよう国に求めることについてでありますが、全国市長会から国に対して、次期制度改正に当たっては、「軽度者に対する生活援助事業への移行を含めて検討するに当たっては、都市自治体の負担等を勘案し、慎重に検討すること」と提言したところであります。
市といたしましては、適切な介護保険制度の構築につきまして、機会を捉えて引き続き国に要望してまいりたいと存じます

補足給付削減の影響と対応

≪鈴木努≫ 特別養護老人ホームなどの介護保険の施設に入所している低所得高齢者の一部で、8月1日から食費と部屋代の負担が増えました。これは、低所得者に対して負担軽減を行う「補足給付」の収入算定が強化され、新たに遺族年金と生涯年金が収入に加えられるためです。 「補足給付」は、2005年、それまで保険給付だった食費・居住費を全額自己負担にしたとき、低所得者を排除しないよう設けられたもので、住民税非課税の入所者に対して、3段階の負担限度額を設けている軽減措置です。遺族、障害年金と合わせて年間収入が80万円を超えると老人保健施設などの従来型個室の場合、食費・居住費負担が最大で月2万7千円から6万円へと最大で3万3千円も増えることになります。全国では、この見直しにより、15万人以上に影響が試算されておりましたが、当市では、どれくらいの人に影響が出たのでしょうかお伺いします。またこの負担増により、施設の入所を断念するようなことがあってはならないわけでありますが、この「補足給付」の見直しに対して、当市では何か対応がなされたものでしょうか、お伺いします。



≪村上保健福祉部長≫ 補足給付の見直しによる影響についてでありますが、今回の見直しでは、遺族年金等の非課税年金を一定額受給されている方を対象に、食費や居住費の負担軽減措置の利用者負担段階について、第2段階から第3段階に変更になるものでありますが、市では、平成28年8月1日現在、603人の方が対象となっております。
次に、補足給付の見直しへの対応についてでありますが、今回の見直しは、介護保険施設等を利用する方と自宅で暮らす方等との公平性を高めるために行われたものと存じておりますことから、負担限度額認定の申請の手続きを前もって対象となる方に案内する際や、負担限度額認定証の交付の際に、制度をご理解いただけるよう、丁寧な説明に努めているところであります。

介護事業所の休廃止
 
≪鈴木努≫
 介護事業所の倒産が昨年2015年過去最多を更新しました。東京商工リサーチの調査によると、「老人福祉・介護事業所」の倒産が、2015年1月から11月までで66件に達し、介護保険制度が始まった2000年以降では、過去最悪だったとのことです。
 全体の企業倒産がバブル景気時並の低水準で維持するなか、介護事業所の倒産は、前年同期比34・6%増でとなっています。倒産の内訳は、施設系のデイサービスセンターを含む「通所・短期入所介護事業」が26件で前年同期の2倍となり、「訪問介護事業」も26件と前年同期より18・1%増えています。
 東京商工リサーチは、「2014年4月の介護報酬改定では、定員10人以下の小規模デイサービスの基本報酬の下げ幅が大きく、その影響が懸念されていた。また、従業員5人未満が42件と増加をみせ、小規模事業者の倒産が全体の6割を占めた」と分析しています。当市においては、昨年4月から9月までに休止となった事業所が5か所、休止期間の延長が1か所、廃止届のあった事業所は6か所とのことでありましたが、現在の状況についてお知らせください。また事業所の休廃止の原因として介護職員の人材不足が大きな要因となっていますが、その対策について当市ではどのように取り組んでいるのか、お伺いします。

≪村上保健福祉部長≫ 次に、介護事業所の休廃止の現在の状況についてでありますが、平成27年度に休止届のあった事業所は17箇所となっておりますし、廃止届のあった事業所は28箇所となっており、このうち、事業内容の見直しにとどまったものを除きますと、実際に廃止となった事業所は19箇所となっております。
また、28年4月から7月までに休止届のあった事業所は7箇所となっておりますし、廃止届のあった事業所は6箇所となっており、このうち、実際に廃止となった事業所は5箇所となっております。
休廃止の理由といたしましては、従事職員の不足によるとの届けが多い状況となっております。
次に、介護職員の人材不足の対策についてでありますが、市では、新人介護職員の早期離職防止及び定着促進に向けた支援として、平成27年11月に、新人介護職員の指導者を養成するため、介護サービス事業所の管理者や中堅職員等を対象に、新人職員を支える組織体制の理解醸成及びその手段となる技術の習得を内容とした研修会を開催したところ概ね好評であり、28年度におきましても、引き続き実施してまいりたいと存じます。
また、国では、介護従事者の負担の軽減を図るため、介護施設における入所者の見守りや介助者のパワーアシストなどを行う介護ロボットの導入支援を進めているところであり、市としても、この事業を活用して働きやすい職場環境の促進を図り、介護従事者の確保につなげてまいりたいと考えているところであります。

≪鈴木努≫ 最後に総合事業についてお伺いします。「医療・介護総合法」にもとづき、介護保険の要支援1・2の訪問介護と通所介護を保険から外し、市町村が実施する「新総合事業」へ移行することになっています。全国では、すでにこの「新総合事業」に移行している自治体もありますが、当市においては、来年から本格実施となり、現在その実施に向けての準備が進められていると伺っています。

 朝日新聞の調査では、昨年4月から制度変更にいち早く取り組んだ78自治体・広域連合では、住民主体の介護サービスに着手できたのは、約3割にあたる26にとどまっており、多くは、取り組みが遅れ、その理由に「住民理解が浸透してない」「住民リーダーがいない」などの理由があげられております。こういう中で、北海道の長沼町では「地域活動の後継者不足が深刻な地域もある」とのことから住民主体のサービスを実施しない自治体も出ております。

 先行している自治体の事例等を見ましても住民主体のサービスの実施については、担い手や質の問題など様々な問題を抱えており、実施が難しいものと思いますが当市では住民中心のサービスについて実施をしていくのか、それとも実施をしないのか、どのようにお考えでしょうか、お伺いします。

 介護事業者が行う事業については、介護事業者に支払う報酬についての裁量が各自治体に委ねられることになっていますが、「効率化は必要だが、事業所がつぶれては困る」とのことから少なくない自治体で報酬を変えないで実施をしている自治体があるとのことでありますが、当市でも事業所に対する報酬については、介護保険制度の水準を維持した形で事業の実施が行われるものでしょうか、お伺いします。

 来年度の制度移行に向けた準備については、先の3月議会の中で、神部伸也議員の質問に対して、「介護予防の訪問介護及び通所介護の地域支援事業への移行に当たりましては、サービスを必要とする要支援者の方に、現行の介護予防の訪問介護及び通所介護に相当するサービスに移行していただくことを基本とし、これにNPO、民間事業者、ボランティア等によるサービスを付加した制度も含めて検討しているところであり、モデル事業の取組結果を検証しながら、地域の皆様や事業者などの関係者と意見交換を行い、利用者や事業者に混乱が生じない制度を構築してまいりたいと存じます。また、今後の準備状況等についてでありますが、28年度において、モデル事業の継続と検証、関係団体との協議を経て、当該事業の制度を構築してまいりたいと考えており、できるだけ早い時期に、サービス事業者に対する説明会を開催するとともに、市の広報やホームページで広く市民に制度を周知するほか、利用者にはパンフレット等を作成の上、認定の更新時に個別に説明を行うなど、丁寧な周知等に努めてまいりたいと存じます」と答弁されておりますが、サービス事業所への説明はいつ頃を予定しているのか、また住民に対する制度の周知についてはいつぐらいになるものなのかお知らせください。
 ≪谷藤市長≫ 介護予防・日常生活支援総合事業における住民主体のサービスについてでありますが、市では、サービスを必要とする要支援者の方に、現行の介護予防の訪問介護及び通所介護に相当するサービスに移行していただくことを基本に、平成29年度から実施します介護予防・日常生活支援総合事業の検討をすすめているところであります。

 また、介護人材が不足する中で、専門職以外の生活支援の担い手を確保するとともに、利用できるサービスの選択肢を広げることも必要でありますことから、住民主体のサービスに関しても、並行して検討を行っているところであります
 
 住民主体のサービスにつきましては、地域包括ケアシステム構築推進事業のモデル地区であります青山地区及び見前地区において実施した高齢者の生活支援ニーズ調査によりますと、介護保険の対象外となる、庭の手入れや電球交換などのニーズがありますことから、現在、市内全域をカバーするものとはなりませんが、盛岡市老人クラブ連合会と、生活支援の担い手として、何らかの活動ができないか協議・検討しているところであります。
 市といたしましては、これらの事業を通じ、高齢者が住み慣れた地域で自分らしく暮らすことができるよう取り組んでまいりたいと存じます。

≪村上保健福祉部長≫
 次に、介護予防・日常生活支援総合事業における介護事業者への報酬の設定についてでありますが、介護予防・日常生活支援総合事業のサービス単価につきましては、厚生労働省令により、国が定める現行の単価を上限とし、市町村において個別の額を定める旨が示されておりますことから、サービスの提供に影響が出ることのないようサービス事業者の声が聞くなどして、報酬額の検討を進めることとしております。

 次に、サービス事業者への説明及び市民への周知はいつ頃かについてでありますが、サービス事業者に関しましては、現在、介護予防・日常生活支援総合事業のサービス提供についての意向調査を行う準備を進めているところであり、年内を目処に、説明の機会を設けることとしております。

 また、市民への周知につきましては、年明けに、市の広報やホームページを活用して行うほか、利用者にはパンフレット等を作成の上、認定の更新時に個別に説明を行ってまいりたいと存じております
いずれにいたしましても、利用者や事業者に混乱が生じないように丁寧な周知に努めてまいりたいと存じます。