2016年8月定例会 鈴木礼子議員の一般質問

 
質問項目 (クリックするとジャンプします)
学校給食について
  実態調査の結果と今後の対応
  建設費・運営費について 
松園ゾーンバスの改善について

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 質問  答弁
学校給食について①~実態調査結果と今後の対策

≪鈴木礼子≫ 先般、盛岡市立学校給食単独調理場実態調査の結果が示されました。
単独調理場の実態調査が行われるに至った経過を振り返ってみますと、平成24年11月発表の「盛岡市立小中学校学校給食基本方針」(以下「基本方針」)が、単独調理場を段階的に共同調理場に移行するとしたことが、関係者、市民、保護者、そして議会からも懸念・不安の声が多数寄せられたことです。
 小学校保護者からは「共同調理場になった場合の食育体制についての疑問」「食育を効果的に実施するためには自校方式を守ってほしい」「震災時、学校に調理場があって助かった」等の意見、小学校長からは「給食センターは是とするが食物アレルギー対応、栄養職員による食に関する指導回数の減少等が懸念される」「食育の面からいえば、給食をつくる人の顔が見える自校方式がやはり望ましい」等の意見が出されました。
 また、その後実施されたパブリックコメントでも8割が共同調理場には反対との意見が示される中で、翌年の平成25年12月に一部見直し修正された「基本方針」が示されたのがこの間の経過であったと思います。
見直し修正された「基本方針」は ①施設の整備は5年毎の実施計画を策定する ②共同調理場を中心とした供給体制を構築し施設の整備を行うが、単独調理場の改築についても敷地内で建設が可能か否か十分検証するとして、平成27~31年度を計画年度とする第1次実施計画が示されました。
第一次実施計画は ①都南給食センターの移転整備事業 ②単独調理場の整備、集約化の検討 ③未実施中学校ランチボックス給食の具体化を掲げ、単独調理場については第三者による調査・評価を行うとし、このたび単独調理場の調査結果となったものです。

⑴  調査結果について

 株式会社中西製作所による実態調査結果報告は、ドライシステム導入済みの4校(杜陵・中野、繋、城北小)を除く24校について、現状で学校給食衛生管理基準に適合しドライシステム化が可能な施設は1校のみで、残り23校は増設が必要な施設21校、別用地で新築を必要とする施設が2校との結果です。それぞれの学校名と具体的な内容をお知らせ下さい。

 また、各学校共通の問題点として、施設の経年劣化、ウエット運営による床面の劣化、給排水、ガス蒸気等の各主配管が露出し不衛生であること等々、子どもたちの安全・安心が求められる学校給食がこのような劣悪な環境のもとで日々作業が行われていることへの驚きと、同時に緑が丘小学校で発生した157発生以来これまで大きな事故もなく給食を提供している関係職員の並々ならぬ努力に改めて感謝するものです。

 また、総括的には、各学校の調理場は築20~30年経過し学校給食衛生管理基準への対応は現状では困難であること。耐震性を考慮すると部分的な増築や改修ではなく、学校ごとに安心・安全なプランニングによる新築の給食施設がより良いとの判断を下すというものです。
つまり、学校敷地内での増設が可能か否かという点では少なくとも別用地を確保して新築をするとした2校を除く22校は可能という結論がでたものと判断しますが、教育長は、これらの調査結果についてどのような感想をお持ちなのか、伺います。

 旧市内の単独調理場の老朽化問題は学校給食検討会でも指摘されてきましたが、学校給食も例にもれず委託可能業務と位置付けられて以降、民間にできることは民間への掛け声の中で10年間にも及ぶ検討が行われ続け、結果、ドライシステム化の遅れとともに単独調理場の大部分が、本来、安心・安全でなければならないはずの施設が非常に危険な状況に立ち至っているということではありませんか。これ以上先延ばしにはできない、一日も早い対策が求められているのではないでしょうか、いかがですか。

⑵ 今後の対応について

 「基本方針」は、新築または改築する調理場の整備方針について、ドライシステムへの対応、学校給食衛生管理基準への適合、食物アレルギーへの対応とともに、学校敷地内で支障なく建設することが可能である場合とし、建設費及びその後の運営にかかる経費が過大なものにならないように行うとしました。

 市教委は、このたびの調査結果を受けて ①今回の調査項目以外の検討 ②校舎の大規模改造工事などの施設整備計画との調整 ③単独調理場の集約化等、改築以外の手法との比較検討 ④単独調理場の整備及び運営手法を検討し整備計画(実施計画)の策定を進めるとしています。
 調査項目以外の検討とは何か。また、校舎の大規模改造工事などの施設整備計画との調整についてとは。更に、単独調理場の集約化など改築以外の手法との比較検討を行うとは何を意図しているのでしょうか。今回の調査では、21校については増設を含む改築は可能という判断が出ているのに合点がいかないのですが、具体的にお示しください。

 この10年間に及ぶ検討で得た最大の収穫は、「盛岡市の学校給食をよくする会(代表比屋根哲岩手大教授)」が、平成25年12月に現行の自校単独調理場方式の継続を求めて約1万8千筆の署名簿を提出したことなど単独調理場による学校給食を守り発展させてほしいという市民の声が多数であるということではないでしょうか。
今後、予定される検討については、何よりも単独調理場の継続を中心に据えた対応を図るべきで、振り出しに戻るようなことがあってはならないと思います。この点について明確にしていただきたいと思いますが、いかがですか
≪千葉教育長≫ご質問にお答えいたします。
今回の学校給食単独調理場実態調査結果に対する感想についてでありますが、本調査は、単独調理場が「学校給食衛生管理基準」への適合や食物アレルギーへの対応を踏まえた上で、現在の調理場面積の中で改修等が可能かどうか、不可能な場合はどのような改築案が考えられるのかを調査したものであります。
調査の結果、24校全ての調理場が、改修ではなく建て替えが望ましいこと、24校のうち1校は、現在の調理場面積でドライ化が導入可能なこと、21校は、敷地内で増築を必要とすること、2校は、別用地で新築を必要とすること、建築費、調理機器等設備費及び既存施設の解体費だけで約55億4千万円の経費が見込まれることなどが、報告されたものであります
この調査結果は、今後の調理場の在り方を検討し判断する上で、基礎となる資料であると存じます。
今後は、報告された内容を精査するとともに、児童生徒数の推移なども踏まえ、将来の施設の維持管理や運営についても、併せて検討し、総合的に判断していかなければならないと考えたところであります。
以上、私からお答えいたしました。

≪教育部長≫実態調査結果報告における学校名と具体的な内容についてでありますが、現在の調理場面積でドライ化が可能とされたのは、月が丘小学校、別用地で新築する必要があるとされたのは、仙北小学校と土淵小・中学校の2校で、それ以外の21校については、現在の調理場面積から拡大が必要であるとしており、全体で現在よりも約1.3倍の面積が必要な調査結果となっております。
 業者提案の増築案には、アレルギー対応の施設設備の設置、作業区分ごとの部屋分け、トイレの位置修正などが含まれております。

 次に、単独調理場の老朽化問題への一日も早い対策についてでありますが、市教育委員会では、現在の単独調理場の施設状況を改善する必要があるとの認識から、平成25年度に「盛岡市立小中学校給食基本方針」を27年度に「第一次学校給食施設整備実施計画」を策定し、取り組んでいるところであります。
なお、必要な修繕が生じた場合は、給食の提供に支障がないよう、その都度対応しているところであります。

 次に、調査項目以外の検討についてでありますが、検討項目としては、建築基準法等の法令の適合性や「盛岡市公共施設保有の最適化と長寿命化のための基本方針」との整合性の確認、増築の場合の調理場と校庭の距離や駐車場削減などの、現在の学校敷地利用との調整、改築する場合に、調理場が使用できない期間の給食提供の対応方法などを、想定しております。
次に、校舎の大規模改造工事等の施設整備計画との調整についてでありますが、調整項目としては、校舎工事と調理場工事における工事内容のすり合わせや、建築基準法などの基準適合性の確認、配膳車を上階へ移送するため必要となるエレベーターの設置の可否などを想定しております。

 次に、単独調理場の集約化など、改築以外の手法との比較検討を行う意図についてでありますが、業者から提案された単独調理場の改築案について検証を行い、それに基づき、全てを集約化する方法、一部を集約化し一部を改築する方法など、どのような方法が適切であるか、判断するために検討するものであります。
次に、単独調理場の継続を中心に据えた対応についてでありますが、「盛岡市立小中学校給食基本方針」において、調理場の施設整備については「新たな調理場の整備による施設の集約化や既存調理場の改築等を進める」と示しておりますので、この方針に沿って対応してまいりたいと存じます。


建設費及び運営費について

≪鈴木礼子≫調査結果報告は、食数を約10、100食として想定し、改築前の調理場面積5200㎡を1・31倍の6809㎡(1609㎡増)に増設。概算工事費については24カ所総額で55億4千万円を想定しています。これらの試算根拠についても合わせてお知らせください。
 10校分6000食を予定している盛岡学校給食センターは、概算ではありますが事業費を約31億円としています。これらと比較して単独調理場の事業費が過大とは言難いのではないでしょうか、いかがですか。
 
 今後、学校給食の管理・運営手法についても検討課題となりますが、北海道帯広市教育委員会は(『新たな学校給食調理基本計画(H24年1月)』)、学校給食の調理業務は献立作成や食材調達は市が責任をもって行うべきものであること。食材や調理方法についても栄養士と調理員が十分な意思疎通が重要であることなど他の一般的な業務と比べて特殊性を有しており、調理業務においてはコスト削減、民間ノウハウの活用による市民サービスの向上などの一般的な民間委託のメリットは限定的なものであること。
調理業務に要する経費は、効率的な職員配置に再編することにより、直営でも委託した場合の経費と同水準になるとし、学校給食に携わる職員が知恵を出し合いながらぬくもりと魅力のある学校給食づくりをすすめるためとして直営による運営を決定しています。
学校給食は「食育」推進の重要なかなめとして 「人を育てる」教育活動の一環であることが明確化されましたが、教育は単に効率・効果のみでは推しはかれないということは、実践者でもある教育長が最も深く理解しているはずです。
運営手法については、各地の先進地に学びつつ真剣に真摯に検討していただきたいと思いますが、今後どのような検討が行われるのか。お示しください。

24校の単独調理場の改修がいつまでに完了するのかが問われていますが、今後の実施計画の対応についてお知らせください。

≪教育部長≫ 次に、概算工事費55億4千万円の試算根拠についてでありますが、この金額は、建築費、調理機器等の設備費及び既存施設の解体費により構成されておりますが、建築費と解体費は、他市町村の単独調理場整備の実績から、一定規模の調理場ごとに1㎡当たりの平均単価を算出し、これを市のそれぞれの学校に当てはめて算出されております。また、調理器等の設備については、各調理場で必要な設備をリスト化し、定価の7割で積算されております。
次に、単独調理場の事業費についてでありますが、今回の積算の内訳は、建築費、調理器等の設備費及び既存施設の解体費のみであり、これに対して(仮称)盛岡学校給食センターの整備事業費31億円には、単独調理場の事業費に計上されていない、用地取得費、調査費及び設計費が含まれておりますことから、単純な比較は、できかねるものと存じます。
次に、運営手法についてでありますが、「盛岡市立小中学校学校給食基本方針」に「民間委託や直営方式など様々な運営方法について検証し、最も効率的かつ合理的な手法を選定する」と示しておりますので、この方針に沿って対応してまいりたいと存じます。


≪鈴木礼子≫松園ゾーンバス支線バス運行の改善について伺います。

 この問題は先の6月議会でも取り上げたところですが、7月28日、松園地域のバス利用者の皆さんが218筆の署名添えて支線バス運行の一日も早い見直しを求める要請を行いました。
利用者からは「今まで生活や通院に利用していた路線が平日の日中や土・日・休日の運行がなくなり生活手段を奪われた」「大げさに聞こえるかもしれないがバス路線の見直しは命にかかわる問題」などと切実な実態が訴えられました。
今回の見直しがあまりにも突然で唐突に行われたこともあり、県交通の対応への批判とともに、冬に入る前には何とか改善してほしいというものです。
現在、県交通はアンケート調査を実施し、これらの結果をもとに路線の改善を予定しているとしていますが、具体的にはいつ頃をめどにしているのか。また、アンケートの結果及び対応策については、事前に利用者への説明会を開催するなど親切丁寧な対応が求められているのではないでしょうか。
その際、市としても単に県交通にお願いするだけではなく積極的にかかわっていただきたいと思いますが、この点ではいかがでしょうか。
松園団地のゾーンバス運行は、市の交通政策の一環として導入されたもので当時は喧々諤々の議論があり、それでも将来的に便利になるということに期待を寄せてスタートしたと記憶しています。
高齢化という状況の変化の中で生活の足としてのゾーンバスのあり方について改めて検証する時期に来ているのではないでしょうか。県交通への丸投げではなく、市としての責任ある対策を求めるものですが、ご所見をお聞かせください。

≪谷藤市長≫ 鈴木礼子議員の御質問にお答え申し上げます。
 松園地区ゾーンバス運行の改善についてでありますが、平成28年4月の改正は、「朝・夕と日中で運行路線が異なり、わかりづらい」などといった利用者の声があったほか、バス事業者においては、運転手不足に対応した運行を図る必要があったことから、乗降調査データを踏まえ、見直しを行ったものでありますが、実施後、利用者から新たなご意見が、市やバス事業者に寄せられたことから、松園地区の全世帯を対象としたアンケート調査を実施しているものであります。
これを受けた改善につきましては、回収後、集計及び分析を行い、短期的に対応が可能なものと、中長期的な検討が必要なものに分類し、短期的に対応が可能なものについては年内をめどに実施したいとバス事業者から伺っております。

 また、アンケート結果等の周知につきましては、松園地区全世帯を対象としたチラシの配布等により行うほか、中長期的に検討が必要な改善については、利用者との意見交換等も検討することであります。
また、運行改善に対する市の関わりにつきましては、これまでも利用者の声に基づき、バス事業者と幾度も協議を重ねながら改善を進めてきたところでありますが、今回の対応につきましても、利用者に対し、親切な対応となるようバス事業者に強く働きかけてまいりたいと存じます。
次に、高齢化に対応した検証についてでありますが、松園地区ゾーンバスシステムは、平成13年の導入後、高齢化等の地域の状況の変化を踏まえ、バス事業者と協議しながら、直通バスの増便や、フリー降車システムの導入などの改善を実施してきたところであり、今後におきましても、利用者の方々の状況を踏まえつつ、持続性のあるバス運行システムとなるよう、改善に向け取り組んでまいりたいと存じます。