2016年8月定例会 会派の討論

 
「議会報告」トップへ      市議団トップへ
 2016年8月議会最終日に行った日本共産党盛岡市議団の討論を紹介します。討論は庄子春治議員が行いました。
 平成28年度8月市議会 日本共産党盛岡市議団の討論

 討論に先立って、8月30日に本県を襲った台風10号によって、岩泉町をはじめ県内各地で甚大な被害を受けました。犠牲になられた方々に哀悼の意を表し、被災された皆さんにお見舞いを申し上げます。一日も早い復旧へ、国・県等の全力を挙げた対策を求めるとともに、盛岡市としても最大限の支援をするようお願いします。今回の台風10号の災害をはじめ、今年4月の熊本大地震、北海道では、連続して台風が3回も上陸するなど全国各地で甚大な災害が発生していることから、改めてそれぞれの災害発生からの教訓を明らかにし、市当局も我々議会・そして市民も災害への備えを強化するよう呼びかけます。

議会に提案された議案、認定案件に対する日本共産党盛岡市議団の意見を述べます。

 まず、議案については議案第93号に反対し、他の議案には賛成します。
議案第93号平成28年度盛岡市一般会計補正予算第3号については、マイナンバー制度導入にかかる事務の予算が計上されています。マイナンバー制度は、個人情報の漏えいのリスクに加え、システムのトラブル等が相次いでいます。盛岡市で、個人番号通知カードは、8月1日現在2175枚が個人に届けられずに残ったまま。個人番号カードは全国で1月以降システムの不具合で交付が滞る状態で、盛岡でも交付率が76.8%にとどまっています。こうした事態のなか、カード作成を担う地方公共団体情報システム機構は、システムを開発した富士通などに損害賠償を求める方針を固めるという事態になっているのです。個人情報カードの発行については、盛岡で人口比9.2%にとどまり、全国で2年後までに人口比で7割に普及するという目標もおぼつかないものです。こうした欠陥システムに、巨額の費用を投入し、今回の補正分を含めて、市の事業費が総額で5億4,697万6千円、その内市の一般財源で1億6,034万6千円と地方自治体にも負担を強いるものとなっています。制度は一旦運用を停止し、この制度の必要性を含めて再検討すべきであり、反対します。

 一般会計補正予算に計上された他の項目については、次の意見を申し述べます。
空き家等適正管理事業の予算が計上され、職員体制が強化されます。昨年5月から空き家特措法が完全実施となり、治安・防災上の問題が懸念される特定空き家に対しては、撤去・修繕を勧告・命令でき強制撤去も可能となりました。市内の特定空き家113件に対しては個人の財産権等を配慮しつつも危険除去のための「即時執行」が可能となるよう速やかな対応を求めます。
同時に、空き家の背景として高齢化が大きな要因となっており、相続予定者への周知をはじめ解体等の支援や中古住宅購入への助成など積極的な発生抑制策を検討するよう求めます。
子ども未来基金事業が、600万円の事業予算でいよいよ初年度の募集が始まります。この事業の趣旨の周知をはかり目的に沿って、市民による多様な事業を応援できようにしてください。

 認定案件についてです。認定案件14件のうち、認定1号、6号、7号、12号及び13号に反対し、他の認定案件には賛成します。

 認定第1号 平成27年度盛岡市一般会計歳入歳出決算については、次の理由から認定に反対します。
第1に、消費税増税及び社会保障改悪による市民生活および市財政への影響が色濃く反映されていることです。社会保障の改悪では、介護保険料の大幅な値上げに対して抑制措置を取ることなくすすめ、3年にわたる生活保護削減で、とりわけ子育て世代に最も厳しい保護費削減をし、改悪前と比較して27年度は総額5億1760万円も削減されています。
消費税増税による市財政への影響を見ると、歳入では、地方消費税交付金の増額が21億1,490万円あるものの、それに伴う地方交付税の減額や、法人市民税の減収などの影響を差し引くと基準財政収入額の増による地方交付税の減額が12億7,963万円で、実質増額は8億3,534万円でした。また、税制改革による法人市民税の減収が4億8千88万6千円で、それに伴う基準財政収入額の減による地方交付税の増額3億66万5千円を相殺してマイナス1億2千22万2千円。合わせて歳入増は7億1,511万9千円にとどまりました。
歳出では市が負担した消費税増税分は8億4,067万6千円で、差し引き1億2,555万7千円の歳出超過となりました。消費税増税が、市民生活だけでなく市財政へもマイナス効果となったことが明らかになりました。社会保障の一層の削減、消費税増税は中止をすべきです。

 第2の理由は、市の財政運営です。私たちは、自治体の決算で評価されるべきは、単なる黒字・赤字ではなく、その財政が、自治体の本来の使命である住民の福祉の増進にどのように生かされたのかにあると指摘してきました。その視点で見ると、27年度決算にも問題があります。27年度決算では、実質収支が約16億9千万円の黒字となり財政調整基金を含む積立金も128億59百万円まで積み増ししました。
一方、子どもの医療費助成制度、就学援助制度への費目の拡大などは先送りされ、老朽学校校舎の修繕では、25年度策定の教育委員会の計画、6校17棟に対して、当初予算背2校4棟にとどまり、入札算などを活用して増やしたものの決算で5校7棟にとどまりました。こうした財政運営を改めるべきです。

第3の理由は、盛岡市が事務局となって主導して進めている3市5町のゴミ処理を盛岡市一か所で焼却処理する広域化を進めることには反対です。
今回策定された基本構想は、まず現クリーンセンター建設の際に周辺住民と結んだ「覚書」に違反しています。また、最大の根拠となった「コスト」論についても、「広域でなければ国の交付金が出ない」という、すでに破たんした論拠に固執したものです。最大の問題は広域で取り組むごみ処理の基本計画なしに、ます焼却処理施設の建設をめざすということで、資源循環推進基本法や、各種リサイクル法にもとづく取り組みの方針は棚にあげて、燃やすことだけ広域化するというもので、欠陥構想と指摘せざるを得ません。

以上反対の理由を述べました。認定第一号について反対の理由以外に次の意見を述べます。

●今回、明らかになった臨時給付金の過誤支給については、平成26年度とともに、27年度決算の中にも含まれており、市民に返還を求め、国に返還することが必要になるものです。早急にその額を明らかにし対応していただくよう求めます。今回の過誤支給がなぜ発生したのか、充分な検証を踏まえ再発防止に努めてください。
●27年度中の今年1月に職員が逮捕される事件が発生し、市が職員に対して再発防止を呼び掛けたにもかかわらず、その4カ月後に同様の事件を起こしてこのたび逮捕される事件が発生したことは許されないことで、市民の信頼を裏切るものです。1月の事件の教訓がどう生かされたのかと、疑問に思わざるを得ません。これらの事件以外でも、近年さまざまな事件が発生しており、あらためて職員の綱紀保持に努められるよう求めます。
●職員体制について、27年度の市長部局の時間外労働の実態を見ますと、平成26年度に比べ、時間外勤務が全体で13%増加し、一月あたりの時間外勤務が過労死ラインといわれる月80時間を大幅に超える職員が大幅に増えています。臨時給付金を担当する課が全体の中でも特に時間外勤務が多いということも、全く影響していないとは言えないのではないでしょうか。職員の定数自体を抜本的に見直し時間外勤務を減らすような手立てをとるべきです。
●平成27年度に市が策定した「盛岡市公共施設保有化・長寿命化計中期計画及び実施計画」については、将来的な財政問題とともにその施設が果たしてきた役割を十分考慮して進め、市民の声をしっかりと反映し、場合によっては計画の見直しをするよう求めます。
●指定管理者制度の第三者評価では施設運営に関する貴重な意見について担当部としても十分考慮に入るよう求めます。27年度中に、市の施設を指定管理している全額市が出資する公社に対して人権侵害ともいえる解雇事件で市が調査と是正指導にあたるという異常な事態が発生しました。こうした事態を教訓にして、指定管理団体内部のコンプライアンス遵守、働く人の労働条件などについてもしっかり評価・指導する体制をとるよう求めます。
●東日本大震災津波被害者への医療費・介護保険利用の減免制度については、震災から5年5か月が経過した中で被災者の命と暮らしを守る制度となっています。来年以降も引き続き制度が継続されるよう求めます。
●災害対策については、消防力の一層の強化を求めます。同時に、国による浸水区域の見直し作業に伴って遅れている、市の新しいハザードマップの作成について急がれるよう求めます。
●災害対策では、耐震診断未定の119の公共施設について早急に耐震化の対策計画を策定して取り組むよう求めます。
●子どもの医療費給付事業では、早期に中学校までの医療費助成の拡大を図るよう求めます。今県内ではほとんどの自治体が小学校卒業まで医療費助成制度を拡大している中で、現物給付化を小学校卒業まで実施できるよう求めます。
●放課後児童の健全育成事業の対象である留守家庭児童数は、5月1日現在で小学校に就学している児童数が1万4,506人で、その内自宅で過ごす児童が3,372人となっており、児童センターや学童保育クラブ等の放課後健全育成事業の受け皿が不足している状況にあります。放課後児童対策の計画を当市の実態に見合った計画へ見直しをするとともに、児童センターの職員配置基準を見直し早急に対応するようよう求めます。
●市内の認可保育所で保育士の確保が年々厳しくなっている現状を踏まえ、市単独事業の待機児童解消強化事業が保育現場の実情を反映した保育士確保策となるよう改善を行うよう求めます。
●小中学校の図書館担当職員に係る平成27年度の基準財政需要額は、約3,260万円、小中学校66校・33人分となっています。一般財源とはいえ、平成27年度の配置は16校・8人と大きく乖離しています。平成28年度当初でも1名増にとどまっています。学校図書館法の主旨からいっても努力が足りません。教育委員会の努力とともに、財政当局に対しても、もっと配慮した予算化をするよう求めます。
●玉山村との合併から10年が経過し、平成28年3月31日をもって玉山区はなくなりました。合併時に計画された新市建設計画が大きく遅れており、玉山地域住民との信頼関係を維持するために速やかな新市建設計画の完成を求めます。

認定第6号 平成27年度盛岡市介護保険費特別会計歳入歳出決算については、介護保険料が月額基準額で6,174円、17.7%もの大幅な引き上げがなされ、さらに特別養護老人ホーム等の施設入所が原則要介護3以上となり、年収280万円以上の利用料が1割から2割に引き上げられる等、サービスの切り捨てや負担増が行われました。保険料の大幅な値上げが高齢者の暮らしを直撃し、さらに介護の必要な人のサービスが切り捨てられている状況となっていることから本認定に反対し、市としても保険料軽減のために対策をとるよう求めます。

認定第7号 平成27年度盛岡市後期高齢者特別会計歳入歳出決算については、高齢者を年齢で区別する差別医療であり、反対いたします。また短期保険証の発行については、6月1日時点で42名となっていますが、当市の国保の発行基準と同様に普通徴収者の生活状況をしっかりと把握し丁寧な対応になるよう改善を求めます。

認定第12号平成27年度盛岡市水道事業会計決算、及び認定第13号平成27年度盛岡市下水道事業会計決算については、その経営状況の改善については評価いたしますが、消費税の増税分が料金に転嫁されたことから認定に反対します。

 認定第5号平成27年度盛岡市国民健康保険費特別会計歳入歳出決算については、一部負担金の助成事業については、その対象人数が当市で約3000人となっている中で利用者がなかなか増えない状況にあります。制度については見直しを行うとのことでありますので、改めて制度の対象となる方や医療機関も含めて周知の徹底を行いながら制度の活用が図られるように努力をしていただくよう求めます。