2016年6月定例会 鈴木礼子議員の一般質問

 
質問項目 (クリックするとジャンプします)
ごみ処理広域化計画について
 ▼住民団体からの要請書の取り扱い
 ▼「覚書」をどのように遵守するか
 ▼検討委員会を非公開とした理由は
 ▼3カ所に絞り込む手順・評価基準は
 
 
大人の引きこもり対策について
 ▼「ひきこもり」への認識と支援のありかた
 ▼秋田県藤里町の取り組みに学ぶ
 ▼地域福祉コーディネーターの体制強化
 ▼ワンステップ相談窓口の設置・実態調査を
松園ゾーンバスの改善について

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 質問  答弁
1、 ごみ処理広域化計画について

住民団体の市長要請の取り扱い

≪鈴木礼子≫  党市議団は、2014年8月に県央ブロックごみ処理広域化基本構想(案)が示されてから毎議会、広域化計画の問題点を指摘してきました。
1カ所集約が ①もっとも安上がりとした極めて恣意的なコスト論について ②広域化では環境への負荷が軽減されるとしたが、1カ所に集中される近隣住民への環境への負荷、健康への影響は甚大であること ③広域化が3Rの推進でごみ減量が促進されるとしたごまかし ④現クリーンセンター建設時に地域住民と交わした「覚書」との矛盾など徹底追及してきました。
 
 更に、基本構想の方針には一言もなかった少子高齢化による連携市町の人口減少を広域化の理由付けにし、「基本構想案」が示されてからわずか5か月で決定するなど市民無視の乱暴なやり方で強引に計画が進められています。
 当初、県が示した広域化計画は、ダイオキシン対策として大型化を求めるものでしたが、ダイオキシン対策はすでに削減目標をクリアーしており、県の広域化計画そのものがすでに時代遅れとなっているのに、です。 

 唯一最大の根拠とした「コスト論」では、1か所に集約しなければ国の交付金(80億円)は対象外とし、施設整備費についても施設整備の実績値を根拠にしたとして大型化の方が70億円もコスト安となるとしたこと、運搬経費は施設分散よりも1カ所集約が軽減できるとするなど明らかに先に1カ所集約ありきの試算内容となっています。
全国的には、平成25年度のごみ焼却施設規模は、100t未満の施設が1199施設中612施設で半分以上の51%を占め、300t以上の施設は192施で16%程です。ちなみに500トン以上の施設はわずか69施設で6%程度です。
 また、平成26年度の交付金内示状況(実績)では、事業主体が単独市町村もあれば100tを下回る施設もあり、交付対象は広域化や施設規模を条件として限定されたものではありません。すでに県北ブロックでは広域化しなくとも交付金は使えるという回答を厚労省から得て、広域化を前提とした一部事務組合から構成団体が脱退し、28年4月に事実上解散になっているのではありませんか。
最大の問題は、1カ所集約が最も有利とする条件がすべて現在の市クリーンセンターでの建て替えを条件としていることです。クリーンセンター以外の場所ではコスト比較が全く別ものになってしまうような、クリーンセンターの建て替えが前提でなければ成り立たない極めて恣意的なコスト試算構造になっていることも指摘してきました。

 環境への負荷では、市議団の追求で、クリーンセンターの排ガス濃度について初めて重量換算による試算を明らかにしました。結果は、稼働後15年間で窒素、塩化水素、煤塵などの有害物の排出量は1000t、ダイオキシン0・049グラム(0・1グラムオーダー)というもので、いくら排出基準が守られているからといっても総量で見ると影響は計り知れないということが具体的に明らかになりました。近年は、PM2・5という新しい問題も提起されています。
 日量500tを焼却処理する1カ所集約化は、クリーンセンターの2・5倍強の有害物質の排出を免れないということにもなり、一極集中される周辺住民への環境・健康への負荷は計り知れません。
 
「覚書」をどう守る

 ≪鈴木礼子≫ クリーンセンター稼働時に地元住民と交わした「覚書」の背景には、将来的に環境・健康への影響を危惧したことが最大の理由でもあったのです。

 しかし、広域化推進にあたっては「覚書」については全くその存在すらなかったかの如く反故にし、用地選考が着々と進められています。

 また、広域化でごみ減量が進むのかという点では、3Rの推進を掲げ、8市町の一番高い水準に合わせるとしたものの2転3転。実は8市町の参加自治体まかせという、「循環型社会形成推進計画」は後回しで大型処理施設整備のみが先行し、ごみ処理の本質でもあるごみ減量・資源化の推進は全く顧慮されていない(希薄)ことです。
 
 県北ブロックの広域化計画がとん挫した理由には、広域化と交付金は無関係であるということと同時に住民参加のごみ減量を阻害するとの意見があったことも申し添えておきます。
 広域化は、住民みずからのごみへの関心、取り組みへの意欲を奪い、結果的にごみの減量、資源化を後景に追いやることであります。
 あらためて広域化計画の撤回を求めるものです。

 5月24日、第5回県央ブロックごみ処理施設整備候補地検討委員会(以下「検討委員会」)が開催されて私も傍聴しました。27年度で示された466カ所の候補地を主要道路から1キロメートル離れているカ所、埋蔵文化財のあるカ所、東側山間部等を除き221カ所に絞りこんだ結果が報告されました。
 驚いたことには、今回の検討委員会でもクリーンセンター建設時に周辺住民と交わした「覚書」についての説明がなかったばかりか、4月21日に「ごみ広域化計画の撤回を求める会」(以下「撤回を求める会」)が、2159筆の署名を添えて「広域化計画の撤回」と「覚書の遵守」を求めて市長に要望したことについても一言の報告もなかったことです。

 「撤回する会」が市長に要請した項目は、「覚書」遵守の立場から建設用地選定の対象地域から現クリーンセンター地域を除外することを求めていたもので、市民への責任を担う市として当然これらについて検討委員会に報告、対応すべきものではありませんか。
報告しない、できない理由は何ですか。住民無視も甚だしいのではありませんか。
 4月21日の市長への要請時に同席していた伊藤部長は、「覚書」について、今後、検討委員会には機会を見て知らせると答えています。そして再三再四「覚書」は遵守すると発言していますが、具体的にはどのように地元との約束を守るのか伺います。

 「覚書」の立場からは、1カ所集約の広域化計画はあってはならないはずのものであり、それを基本構想は分散型を選択していないからと時期が来たら説明するというのでは本末転倒のすり替えの議論ではありませんか。

 「覚書」は、現クリーンセンター建設にあたり、ごみの減量と環境負荷の低減を図る趣旨から「計画を立案する際には、分散立地を原則とし、複数の立地を行うよう努めるものとする」と定めています。基本構想はこの「覚書」の趣旨と矛盾するものと盛岡市クリーンセンター公害防止協議会住民側委員一同として意見表明をしていることも申し添えておきます。

検討委員会の「非公開」理由・評価基準について 

 ≪鈴木礼子≫ 検討委員会は、今後、6月開催の「検討委員会」ではさらに50カ所程度に、7月では第一次整備候補地として10~12カ所に、8月では第二次整備候補地として5~6カ所に絞り込み、9月に現地調査を行い、10月には検討委員会としての最終候補地3カ所を決定するということです。
 また、50カ所程度への絞り込みを協議する次回(第6回)検討委員会からは非公開とすることしましたが非公開とした理由についてあらためてお知らせください。
検討過程は非公開としても市民には、いつの時点で候補地の公表をするのでしょうか。
 221カ所の対象地域が最終的に3カ所にまで絞り込まれるまでの手順及び評価項目、判断基準等についてあらためてご説明いただきたい。
 評価項目の重要要素の一つに候補地選定の合意形成いわゆる住民合意はどのような評価でいつの時点で、だれが、どのように行うのでしょうか。
 判断の基準が地元住民の理解を得ている◎、理解をおおむね得ている○、理解を得ていない△で、評価点が二重丸は5点、○は3点、△は1点とし、その他に重要要素6項目では×3点、基本項目2項目×2点、参考要素6項目×1点を点数化し判断するとのことです。「理解を得ている」「おおむね得ている」「理解を得ていない」とする具体的な判断基準をお知らせください。












市民の意見をいつ・どのように聞くのか

 ≪鈴木礼子≫ 3か所から1カ所への最終絞り込みは推進協議会が決定するということですが、どのような評価と判断で行われるのか。市民が意見を述べる機会があるのか否か。伺います




≪伊藤環境部長≫
 「ごみ処理広域化計画の撤回を求める会」から市長に要請のあった内容を県央ブロックごみ処理施設整備候補地検討委員会に報告しなかったことについてですが、平成28年5月に実施した第5回整備候補地検討委員会までは、法規制や道路要件など客観的な条件により調査対象地の除外を行うなど、機械的な調査対象地選定作業であることから、これまでは、特定の地名を挙げての選定とはなっていないところであります。

 今後、6月下旬開催予定の第6回整備候補地検討委員会からは、調査対象地から整備候補地の検討段階となり、具体的な地名を挙げて選定作業を行う予定となっていることから、現クリーンセンターの「覚書」や広域化の撤回を求める会の「要請書」等についても現クリーンセンター周辺に関わる事項として、整備候補地検討委員会へ説明することとしており、同委員会において内容や取扱等についても検討されることになるものであります。
















































 次に、「覚書の遵守」として、どのように地元との約束を守るのかについてですが、覚書の中で、更新施設の立地場所に関わらず、クリーンセンターの関係住民との協議を行うこととなっており、これまで関係住民の代表の方々と相談を行ってきました。今後、整備候補地検討委員会での検討過程において、クリーンセンター周辺の地域が残っている場合には、覚書の趣旨に基づき、松園及び上米内地域を対象として、今年夏ごろをめどに住民説明会を実施したいと考えております。


























































 次に、第6回整備候補地検討委員会から非公開とした理由についてですが、同検討委員会では、調査対象地から整備候補地への絞込みの検討を行うことから、具体的な地名等を挙げて協議を行うこととしています。
具体的な地名等を含めて公開で議論することは、検討委員会において率直な意見の交換が損なわれるおそれがあること、また、検討段階で多くの地名等が公開されることにより、市民等の間に不要な混乱を生じさせるおそれがあることなど、市情報公開条例に規定する「不開示情報」に該当することから非公開としたものであります。
なお、会議資料については、整備候補地検討委員会終了後に、固有名詞、特定の地名等を伏せた形で公開することとしております。
 また、具体的な整備候補地の公開については、整備候補地検討委員会の中でも議論されますが、現時点では、候補地が3箇所程度になり報告書が作成された時点での公開を予定しております。

 次に、3箇所まで絞り込むまでの手順、評価項目及び判断基準についてですが、第6回整備候補地検討委員会において調査対象地数十箇所を選定することとしており、その後、平成28年7月実施予定の第7回整備候補地検討委員会では7種類の評価項目と3段階の判断基準により整備候補地10から12箇所程度を、8月実施予定の第8回整備候補地検討委員会では15種類の評価項目と3段階の判断基準により整備候補地5から6箇所程度を選定し、9月には整備候補地検討委員会の委員による現地調査等を行ったうえで、最終的に10月頃をめどに整備候補地3箇所程度を選定する予定となっております。

 また、候補地選定の住民合意の評価についてですが、候補地選定における地元住民の合意形成を確認するための判断基準の詳細については、これからも検討を行ってまいりますが、他の自治体の事例を参考にするなど、整備候補地検討委員会において議論してまいりたいと考えております。

 次に、3箇所から1箇所への絞込みはどのような評価と判断で行われるかについてですが、候補地3箇所程度が選定された後で、候補地の地元住民に対して、住民説明会を複数回実施し、地元住民の意見を聞きながら、県央ブロックごみ・し尿処理広域化推進協議会において、最終的に1箇所を選定することになりますが、整備候補地検討委員会で検討している評価項目等を参考に総合的に判断することになるものと考えております。
また、市民が意見を述べる機会についてですが、随時、検討委員会の結果についてホームページへ掲載するほか、ごみに関する懇談会や広報の掲載等の機会を捉えて情報提供しながら、意見を伺ってまいりたいと存じます。
大人のひきこもりとその支援の対策について

「ひきこもり」への認識と支援のありかた

≪鈴木礼子≫ 「ひきこもり」とひとことで言ってもさまざまな状態がありますが、今回は、自分の部屋から一歩も外に出ることができない状態ということではなく、コンビニなどへの外出はできるが人と関わる社会参加がなかなかできない状態が続いている、いわゆる「社会的ひきこもり」について伺います。
 内閣府が平成22年に行った「引きこもり」に関する実態調査では、ひきこもったきっかけは不登校が11%に対して「職場になじめなかった」と答えた人が23・7%、就職活動と答えた人が20・3%とあるように、大人になってからひきこもるパターンも多いことが分かっています。
 ひきこもりは、若者のものととらえがちですが実際に寄せられる相談では、10年以上ひきこもっている30代・40代の方、すでに親は年金暮らしだったり、親の介護問題が重なり二重の困難をかかえるケースなど、相談の内容も年代も大きく変化してきています。
 寄せられた相談では「職場になじめずプレッシャーで精神的に追い詰められ、会社の前でドアを開けて職場に入ることができなくなった」「仕事が見つからず行くところがないので、最初は2、3日から始まりずるずるとひきこもってしまった」などきっかけも精神状態もさまざまです。
 労災認定の中には、過酷な長時間労働やパワーハラスメントで使い捨てにされた若者や行き場をなくしてひきこもってしまったという事例も見受けられます。
 このようにひきこもりの背景には、不安定雇用の増大で雇用形態が大きく様変わりしたことやいわゆるブラック企業での違法な働かせかたが社会問題になる中で若い世代が置かれている状況の変化など社会のあり方に起因する問題でもあると認識しています。
社会的なひきこもりについての市長のご所見をお聞かせください。また、ひきこもり当事者の実態などどのように把握されていますか、伺います。
 先ほど紹介した内閣府の調査では、ひきこもっていても「いつか自分の夢を実現したい」と思う人が6割に達しており仕事につきたい、働きたいという意欲が非情に高い結果を示しています。
このことは、「ひきこもり」に対して負のイメージが少なくない状況下で、今後の支援活動(施策)に大きな希望と可能性を示唆するもので、今後、どのような支援を行うのか行政や社会の役割が重要になっているのではないでしょうか。

秋田県藤里町の取り組みに学ぶ

 ひきこもっていた人たちに次々と社会参加してもらうことに成功し、テレビでも放映された全国の注目を集めている秋田県藤里町の取り組みについて紹介します。
藤里町は、駅も国道もコンビニもない人口3500人、高齢化率が4割を超えている小さな町ですが、町の社会福祉協議会が中心になりひきこもりの人たちへの支援を始めて5年になります。

 地域で孤立している人たちを訪問して情報提供し、きめ細やかな伴奏型の就労で支援を行う「藤里方式」は、113人いたひきこもりの方が現在では25人までに減り、実に8割の方がひきこもり状態から脱しています。
まず、町の社協が中心になり実態調査を行い、ひきこもりの人が少しでも社会参加できるように「こみっとバンク」を立ち上げて、そこへの参加登録を募り、段階的にそれぞれの得意分野で能力を生かして働き、地域のために役立ててもらう取り組みを行っています。
高齢化が進む町の福祉施設の清掃、地域の農家や事業主から請け負った仕事、みこしの担ぎ手など地域貢献活動が中心ですが、職員の支援を受けながら仕事をし工賃を受け取る仕組みです。その他にハローワークへの同行などの支援事業(働く意欲がでてきたタイミングで少し背中を押す役割)を行っています。

 藤里方式の特徴は、ひきこもりの人を高齢化が進む藤里町の若い力と捉え、地域を支える人として挑戦できる場を提供しているという点です。
医療でもカウンセリングでもなく福祉の立場からの支援で、引きこもりがまちおこしの担い手として活躍できるシステムを構築し、実現できたという点で多くの示唆を与える実践と受け止めております。

 これらの実践を通し体験者は「自分の役割があったのでその場にいることができた」「人の役に立てたという喜びを少しずつ積み重ねていったらそれに合わせ周りとのつながりが持てるようになった」と語っています。
市長は、藤里町の実践についてどのような認識をお持ちでしょうか。

地域福祉コーディネーターの体制強化について

 市は、27年度に盛岡市社会福祉協議会にコミュニティーソーシャルワーカー(以下「地域福祉コーディネーター」)2名の配置を予算化しました。昨年度は、引きこもり、不登校、社会的孤立などの相談などもよせられ、厳しい体制の中で大人のひきこもり当事者への情報提供や支援活動なども展開しているとお聞きします。

 地域福祉コーディネーターは、分野横断的に個別相談に応じ、制度をつなぎあわせながら課題解決を行い、更に制度で対応できない支援については地域の資源を活用しながら仕組みを作りだしていく担い手と伺っております。

 制度のみでは対応がむずかしい相談が増加する中で引きこもり支援もその一つですが、地域福祉コーディネーターの活躍は大いに期待されています。
市の計画では、27年から36年まで毎年2名ずつ、最終年度には20名の配置を予定していますが、残念なことに今年度の配置はありませんでした。なぜで配置できなかったのでしょうか。

 藤里町の実践からもひきこもりへの支援は、孤立させないために本人が外出できるような支援や参加できる場、居場所の提供、必要とされるときに対応できる相談体制、地域資源の活用などが求められ、地域福祉コーディネーターが十分に機能を発揮できる体制が急がれているのではないでしょうか。


実態調査・ワンストップ相談窓口の設置を

 ひきこもりへの支援の必要性、支援のあり方について市長のお考えをお聞かせください。同時に、家族からの相談などワンストップで対応する相談窓口の設置、市としてひきこもりの実態調査についても実施すべきではないでしょうか。

≪谷藤市長≫ 社会的なひきこもりについての所見でありますが、平成22年に内閣府が行った「若者の意識に関する調査」において、引きこもりになったきっかけは不登校よりも大人になってからの原因によるところが多いという結果が示されており、また、社会的ひきこもりの傾向として、「著しい長期化」や「高齢者であるがゆえの自力での社会参加を果たすことの困難さ」が挙げられております。
本来、社会を牽引していく世代が引きこもることは、まちの活力の低下につながることから非常に憂慮すべき事態と捉えております。

 これまで、市としては青少年対策として39歳までの若年無業者への就労対策を中心に支援を行ってまいりましたが、ひきこもりの高齢化が課題とされ、平成25年に実施された山形県子育て推進部の調査によると、ひきこもりに該当する人のうち、40代以上が47%という結果が出ており、青少年対策としてだけでなく、社会的孤立者の施策として捉える必要があると認識しております。

 



























 次に、秋田県藤里町の取組への認識についてでありますが、この取組は、藤里町社会福祉協議会が実施主体となり、日頃の活動を通して構築した、福祉関係者や住民から対象者の情報を寄せてもらえるネットワークを活用するとともに、ひきこもり者宅への訪問活動を繰り返し行いながら、様々な課題に一緒に向き合う過程で、ひきこもり当事者との信頼関係を構築し社会参加に結びつける「こみっと事業」を作り上げたものと伺っており、引きこもり者宅に訪問しながらの相談支援、居場所づくり・活動の場づくりの支援は、当市といたしましても参考になる事例と認識しているところであります。
一方で、ひきこもり者宅への訪問活動に至るまでの十分な準備と、訪問活動から社会参加まで寄り添うマンパワーの確保と育成が重要になるものと存じているところであります。

 次に、ひきこもりへの支援の必要性についてでありますが、当市におきましても、平成27年度から盛岡市社会福祉協議会に配置されております地域福祉コーディネーターによる相談・支援活動の報告から、問題を抱えた人や世帯が、自ら助けを求めにくい、あるいは周囲が気付きにくい状態で、福祉的な支援を必要としている「ひきこもりに関連する事案」が少なからずあるものと存じており、「ひきこもりへの支援」は重要な課題と存じているところであります。

 次に、ひきこもりへの支援のあり方についてでありますが、藤里町の成果も踏まえますと、個別訪問による適切なニーズ把握や必要とする支援のコーディネート、地域住民の理解に基づいた地域での見守りや支援などが求められており、支援を必要とする人が適切かつ確実に福祉サービスを受けるための地域福祉コーディネーターの配置が有効な手段の一つであると認識しているところであります。

 

≪保健福祉部長答弁≫次に、地域福祉コーディネーターの増員についてでありますが、地域福祉コーディネーターは、盛岡市社会福祉協議会の専任職員に限らず、高齢者福祉。障がい者福祉などの各分野において、個別相談を受けながら、分野横断的な支援のコーディネーターを行うほか、既存の制度で対応しきれない問題について、社会資源を活用しながら、新たな仕組みづくりを担う存在として位置付け、平成36年度までに市全体で20名の配置を目標と掲げたところであります。
現在、国が平成28年度に実施するモデル事業であります「多機関の協働による包括支援体制構築事業」について、厚生労働省と協議を進めており、採択になれば、この事業の中で、地域福祉コーディネーターと同様の機能を持つ相談支援推進員1名の配置が可能となるものであります。
今後とも、国の動向を注視し、財源確保の機会を逃さず人員確保に努めてまいりたいと存じます。
次に、地域福祉コーディネーターが十分に機能を発揮できる体制が急がれているのではないかについてでありますが、高齢者、障がい者、子ども・子育て支援などの分野ごとに設置されている相談支援機関のほか、雇用や教育分野などの関係機関等との連携強化のほか、福祉課題に対する地域住民の理解と協力が不可欠でありますことから、先ずは地域福祉コーディネーターの活動や役割について広く周知に努めるとともに、福祉的な支援を必要としている人や世帯の情報共有に力を入れてまいりたいと存じます。

 







≪谷藤市長≫次に、市としてのひきこもりの実態調査についてでありますが、計画的な施策の推進、個別のケースに対するきめ細かな対応のために実態調査は有効な手段であると認識しておりますが、本人や家族が公にすることを避け、潜在化している例も多いことから、実態調査は難しい側面もございます。
さらには、本市の特徴を把握するという意味では、県や関係自治体と連携して実施することが、より有効な調査になるものと存じますので、その手法も含めまして、今後研究してまいりたいと存じます。

 次に、家族からの相談などにワンストップで対応する相談窓口の設置についてでありますが、ひきこもりの状態に至るまでには、個人ごとにその背景に違いがあり、それぞれの事情に合わせた支援をコーディネートする必要がありますことから、ひきこもり状態にある方々への配慮を念頭に置き、盛岡市社会福祉協議会や地域包括支援センターなどの関係機関のネットワークを強化しながら、分野横断的な支援体制を構築し、ひきこもり対策の充実に取り組んでまいりたいと存じます。

≪細川市民部長≫ 次に、ひきこもり当事者の実態などの把握についてでありますが、ひきこもり者の人数につきましては、市としては把握しておりませんが、平成22年に内閣府で実施した「若者の意識に関する調査」結果によりますと39歳までの引きこもり者は、人口の1.8パーセントとされておりますので、仮に盛岡市の人口に換算しますと、概ね1,600人程度となります。また、40歳以上のひきこもり者の把握についても具体的に把握できる資料はございませんが、平成25年に山形県子育て推進部が実施した「困難を有する若者に関するアンケート調査」によると、社会生活に参加する上で困難を有する者のうち40歳以上が47パーセントという出現率が報告されており、相当数の方がいると認識しております。

 当事者の実態についてですが、全体的な把握はしておりませんが、県立大学とNPO法人もりおかユースポート「ひきこもり等支援室“ゆきわり”」との地域共同研究において、平成27年に「盛岡地域におけるひきこもりに関する調査」を行っており、内閣府の調査では、ひきこもりのきっかけとなった要因について、健康上の理由や就業をめぐる問題が上位となっているものの、本市においては、「不登校」や「人間不信」が上位を占めるというものや、平均ひきこもり期間が長いなどの特徴が明らかになっています。
また、同法人が盛岡広域圏内の支援機関に対して平成27年度に行った調査によると、相談人数が10人以内であったところが9機関、20人以内が5機関、20人以上が4機関とのことであり、今後、これらの機関の利用の周知に努めることにより、より多くのひきこもり者の支援につなげてまいりたいと存じます。


3、松園地区ゾーンバスの運行変更について

早急な改善を求めるが、具体的な対応策について示せ
・今後の課題として、地域住民に親しまれる運行内容や低床バス導入など、市の財政支援を含めた積極的な対策が問われているのではないか


≪鈴木礼子≫
松園地区のゾーンバスの運行が4月4日から変更され、平成23年10月の大幅ルート変更以来4年半ぶりの変更となりました。
 変更後3ケ月になろうとしていますが、松園地域の方からは少なくない意見、要望が出されています。
主なものを紹介すると ①改正前に現状説明や利用者の声が届く機会がほしかった。急な変更で戸惑っている ②松園1丁目から第二松園病院に通院しているが朝の左り回り線がなくなり歩いて通院しているうちに心臓病が悪化し入院した。今のバスは元気な人のためのバスで弱者のためのものではない ③岩手山通りのコースが平日の昼、日祝日の運行が全くなくなり高齢者は利用できない ④松園中学校前、東県営アパート前はゆぴあす線とCコースだけで1時間に1本あるのみでバスの本数が極端に減り不便になった等々たくさんの意見が私のところにも寄せられています。
岩手県交通は、路線の変更にあたって、夕と日中のコースの集約化。基幹・支線バスの乗継待ち時間の短縮化を上げ、11路線あった支線バスを7路線に集約化する。直通バスを増便するとしましたが、朝夕利用する通勤者には便利になった一方、日中利用する方には非常に利用しづらい内容になったのではないでしょうか。
ゾーンバス運行については、平成20年2月改定時の住民説明会で賛否両論の意見が出され、市内で唯一成功しているゾーンバス継続とより利用しやすいものにと熱心な話し合いがもたれ今日に至っています。
当時より高齢化が進み、団地内の通院や買い物にも「足」の確保が難しく買い物難民とならざるを得ない実態も進行しており、地域を循環する支線バスの充実を求める声が大きく、今回の運行変更は地域の実態とかけ離れた対応だったのではないでしょうか。また、変更にあたって住民への説明が極めて不十分だったことも指摘するものです。
早急な改善策を求めるものですが、具体的な対応策についてお示しください。
空バスを運行し無駄ではないのかとの批判もありますが、今後の課題として支線バスの利便性向上と同時に例えば市内循環バス「でんでんむし」のような、地域住民に親しみがもたれる運行内容と低床小型バスの活用を図るなど財政支援も含めて市の積極的な対策が問われているのではありませんか。
≪古山建設部長≫ 松園ゾーンバスの運行変更についてでありますが、平成28年4月の改正は、24年10月実施の改正において、朝・夕と日中で運行路線が異なったことから、「わかりづらい。」などといった声が、利用者から寄せられたため、これらに応えるよう、バス事業者において検討を行ってきたものであり、支線バス路線の集約に伴い、増便となる区間がある一方、減便となる区間も生じたものであります。
一方、今回の改正に伴い、利用者から新たなご要望等がバス事業者や市に寄せられておりますことから、今年度において、バス事業者が主体となり、松園地区の全世帯を対象としたアンケートを実施する予定であり、この結果を踏まえながら、更なる見直し等をバス事業者において検討することとしております。
次に、支線バスの利便性向上に対する市の対応についてでありますが、今後とも、市単独の補助制度を含めた支援策の活用による低床バスの導入促進や、利用者の声に基づく運行の見直し等について、バス事業者と相談しながら、更なる利便性向上に向けて努力してまいりたいと存じます。