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盛岡市議会2016年6月定例会は、6月9日から28日まで開かれました。
6月定例会では、市議団5人全員が質問に立ち、安倍政権の暴走による市民生活への影響を明らかにするとともに、公約実現の立場で論戦に臨みました。
◎議案への賛否について
▼マイナンバーの利用拡大には反対・・・提出された議案のうち、「盛岡市個人番号の利用等に関する条例の一部を改正する条例について」は、いわゆるマイナンバーに、「障害者関係」、「生活保護関係」、「障害児福祉手当・特別障害者手当又は福祉手当の支給」、「中国残留邦人等支援給付等」、「外国人生活保護等」の5項目の情報を追加するもので、
莫大な費用や手間をかけて、わざわざ国民のプライバシーを重大な危険にさらすマイナンバーは中止すべきであり、少なくともこれ以上の情報の拡大はすべきではないと指摘し反対しました。
他の議案には賛成しました
▼国保税最高限度額引き上げの財源で低所得者対策をさらに・・議案第88号では、市税条例を一部改正する専決処分の承認が求められました。今回の条例改正では、国民健康保険税の医療給付費及び後期高齢者支援金等課税額に係る課税限度額をそれぞれ2万円引き上げます。その対象世帯は761世帯、2,770万円の引き上げとなり、一方で、5割軽減と2割軽減の対象が拡大され、その世帯の合計が315世帯で、650万円の軽減となります。
限度額の引き上げ分をさらに活用し、軽減対象を拡大する制度の拡充を図ることを求めました。
また、6月議会に提出された、「若者も高齢者も安心できる年金制度の実現を求める請願」「保育士等の処遇改善、認可保育所増設のための緊急対応を求める意見書の提出を求める請願」が採択され、それぞれ意見書が可決されました。
◎党市議団が一般質問等で取り上げた論戦の主な内容は次の通りです
▼沖縄米軍属による女性殺人・強姦致死事件への怒り共有を!・・盛岡市の友好都市であるうるま市の20歳の女性が犠牲になった事件。うるま市民の悲しみと怒りを共有し、「基地の整理縮小・位地協定見直し」をえうるうるま市議会の決議に連帯を、と訴えました。市長は、「強い憤りと深い悲しみを感じている。米政府には引き続き再発防止に厳しく取り組んでいただきたい」と地位協定見直しについての見解はさけました。
▼PKO部隊への「駆けつけ警護」・・青森部隊には県出身者57人・・11月に南スーダンのPKOに派遣されるとされている自衛隊青森部隊。岩手県出身者は57人、うち盛岡市出身者は8人ということでした。東北の若者を、戦後初めて「海外で殺し殺される」現場に立たせる安保法制の施行、PKO部隊への駆けつけ警護の任務付与は中止するべきだと訴えました。市長は、「いかなる活動においても自衛隊員の安全の確保は政府の責任だ・・」との答えでした。
▼アベノミクスは盛岡に恩恵なし・・・アベノミクスによって、盛岡市・盛岡市民に恩恵はあったか、との庄子議員の質問に対して、県内で大型小売店販売額が、2013年の1396億6千9百万円から、2015年の1381億8千6百万円に、14億8千3百万円減少したこと、日本世論調査会の調査で「収入が増えた実感がない」が85%、東北は91%で全国平均より高い・・ことなどをあげ「市民の多くはアベノミクスの市内経済への効果を実感していないのではないか」(市長)。という答えでした。
▼社会保障費削減の影響深刻・・安倍内閣による社会保障費削減の影響について神部伸也議員が質問。市長は「介護報酬の引き下げや介護保険サービスの負担割合の引き上げなどによる市民生活への影響も見られた」と答えました。生活保護では、右表のとおりの影響がったほか、「介護」では、サービス利用料が2割負担になったことによって、サービス利用が1割以上減った方が23%になり、27年7月の調査で、介護報酬の引き下げによって、収入が減少したと回答のあった介護事業所は82%となっていると答えた。
▼大災害時、憲法に「緊急事態条項」は必要か・・熊本地震直後、菅官房長官が「憲法に緊急事態条項が必要」の発言がありました。東日本大震災時の教訓から言っても生死を分けたのは災害への備えと学習ではなかったか。日本国憲法に緊急事態条項が持ち込まれなかったのは、明治憲法下の反省からで、政府による一方的な人権規制を極力防止する考えからだと指摘し、市長の見解を質問。市長は「主権者である国民の幅広い徹底した議論の必要」と答え自らの見解は避けました
▼災害への備え① 公共施設の耐震化を・・・熊本地震の災害から、公共施設の耐震化について、庄子議員が質問。「盛岡市耐震改修促進計画」の対象となっている市有建築物(一定の面積以上)の耐震化は、学校は96%。市営住宅は84%、市立病院および庁舎と社会福祉施設は100%、体育施設は67%,公民館等は92%で、平成32年度までに100%の耐震化を図る(学校は28年度完了)」と答え、「その対象以外の公共施設は126施設で、耐震診断実施された施設は保育園ほか7施設で、そのほかの119施設は耐震診断が未実施であり、公民館・集合施設が14施設、高齢者福祉施設が8施設、児童福祉施設が4施設、幼稚園・保育園が4施設、その他89施設」「『盛岡市公共施設保有最適化・長寿命化中期計画』と調整を図りながら検討がなされる」と答えました。庄子議員は「その中には、子どもたちや高齢者など市民が日常的に使う施設もある。早急な対策が必要」と指摘し、検討を求めました。
▼災害への備え② 消防力の強化・・・消防力の強化について、国の基準に対する充足率はどうかと質問。市は、「盛岡市の消防署所に配置する消防職員については、消防ポンプ自動車や救急自動車などの車両41台に対して、全体の充足率は67%、消防車両については、はしご自動車、化学消防ポンプ自動車、救急自動車及び救助工作車が各1台不足しており、充足率は91%となっている。」「広域8市町の消防職員の充足率は69%、消防車両では、10台が不足し、充足率は90%となっている」「今後、財政状況や現在ある消防自動車などの更新も勘案しながら、消防力の充実強化に努めてまいりたい」と答えました。
▼災害への備え③ 洪水対策・・・洪水対策として、北上川堤防強化工事の見通し、東見前大堰排水樋管とポンプ設置の見通しとともに、洪水ハザードマップの作成について庄子議員が質問。見前地区の堤防強化工事については、平成28年度から着手し、引き続き、進捗を図っていく予定。大堰の排水樋管については、今年度から2カ年で国交省に受託工事を進めていただきポンプ設置は、市の施行で平成29年度から2カ年で進める予定だと答えました。
水害のハザードマップの作成については、国及び県が進めている浸水想定区域の見直しの結果公表の後、市のハザードマップを作成する予定で、新潟県三条市が作成している「逃げ時マップ」など、他市の取組も参考としながら、作成してまいりたい」と答えました。
▼子育て支援① 保育の「弾力化」でなく保育士の待遇改善へ「保育士確保」の補助金削減の見直しを!・・・・厚労省が昨年12月、保育士等確保対策の「緊急的な対応方針」として、「規制の弾力化」による「臨時的な受け入れ強化の推進」を打ち出しました。児童が少数となる時間帯に1名は保育士資格を有しない者の配置ができるようし、国家資格である保育士資格がなくても資格者と「みなす」ことができるようにするなどです。
鈴木努議員は、このことについて「保育士の処遇改善に逆行するだけでなく保育の質の低下にもつながりかねない。市で条例化することは問題だ」「配置要件の弾力化ではなく、職員確保のための待遇改善こそ必要」と質問。保健福祉部長は、「子どもの健やかな育ちには、質の高い保育の提供が重要と認識としており、(弾力化は)適切に判断したい」と答え、「保育士の待遇改善については、保育園の関係者などから声を聴き、保育士の人材確保や働きやすい職場環境の構築に取り組んでまいりたい」と答えました。鈴木努議員は、28年度予算で削減した保育士確保の補助金を元に戻すよう求めました。
▼子育て支援② 放課後児童対策の強化を・・・庄子議員の質問で市内小学校の児童の放課後の過ごし方が明らかになりました(右表)。
庄子議員は、この実態を踏まえて、市の「子ども子育て支援事業計画」における放課後児童対策の計画の見直しを求めました。
市保健福祉部長は、「放課後に居場所が必要な全ての児童を視野に入れた対策に取り組む必要がある。児童数が増えている地域や、待機児童が発生している地域の受け皿を増やすために、新たなクラブの開設を積極的に働き掛けるほか、新規のクラブの事業開始の相談に対しましても、早期開設に向けて、応じてまいりたい」と答えました。
▼子育て支援③ 「空き待ち児童」の解消を!・・・今年の4月1日「待機児童」の解消が図られた一方、特定の保育園への入所を希望するいわゆる「空き待ち児童」の問題があります。鈴木努議員は、この解消に向けた取り組みを質問。市は、「『保育所の空きを待っている児童』は、平成28年4月1日時点で、298人」「空き待ち児童は、0歳から2歳児の低年齢児が多いことから、私立幼稚園に対する認定こども園への移行の働きかけや、地域型保育事業へ取り組む事業者に対しまして、積極的に相談に応じてまいりたい」などと答えました。
▼子育て支援④ 児童センター職員配置基準の見直し・・児童センターの児童厚生員配置基準は、児童数によって「加配」があるものの、基本的に「2人」です。一方、児童健全育成事業では、40人一単位で育成支援員2名の配置が基準です。平成27年度の平日の平均で津志田児童センターでは121名の利用に対して児童厚生員3人、見前児童センターでは100.6名の利用にたいして2人の配置にとどまっています。庄子議員は、「児童40人で一単位、2名配置」という児童健全育成事業の趣旨にのっとり、児童センターの配置基準を見直すよう求めました。市は、「他の中核市の実態を調査している。調査結果を参考に検討したい」と答えました。
▼子育て支援⑤ 就学援助・・神部伸也議員は、「就学援助の支給を、小中学校入学時に間に合うよう前倒し支給することについて、3月議会で検討すると答えたが、その見通しはどうか」と質問。日光市で2015年1月から始めた「入学準備金貸付制度」を参考に、来年の入学時期には、どの親もお金の心配なく子どもの新入学を喜べるよう改善を、と質問しました。
教育長は「就学援助の前倒し実施については、支給方法や課題を整理しながら、引き続き調査研究してまいりたい」「(日光市の事例については」盛岡市にはひとり親世帯への貸付制度があるのでそれで対応できる」などと答えました。
▼大人の引きこもり対策・・・鈴木礼子議員は、大人の引きこもり対策について、市の基本的な考えを問い、具体的な取り組みとして、実態の調査、ワンストップの相談窓口の設置、地域福祉コーディネーター増員の必要性を指摘し、質問しました。谷藤市長は「平成25年に実施された山形県子育て推進部の調査によると、ひきこもりに該当する人のうち、40代以上が47%という結果が出ており、青少年対策としてだけでなく、社会的孤立者の施策として捉える必要がある」と答え、実態調査については「本人や家族が公にすることを避けるなど難しい」が「県や関係自治体と連携して実施することが、より有効な調査になる」窓口の設置については「個人ごとにその背景に違いがあり、それぞれの事情に合わせた支援をコーディネートする必要があり、市社協や地域包括支援センターなどの関係機関のネットワークを強化しながら、分野横断的な支援体制で、ひきこもり対策の充実に取り組む」と答えました。
コーディネータの増員については、「平成36年度までに市全体で20名の配置を目標と掲げた」「財源確保の機会を逃さず人員確保に努めてまいりたい」と答えました。
▼学校教育① 35人学級について・・・ 県が今年度から中学校2年生に「35人学級」を導入しました。このことについて神部伸也議員が、県の取り組みへの評価とともに、市で実施していない学校の実態について質問。教育長は、「(県の取り組みは)国の基準(小1年)を上回っており、より教育の向上を図る取組だ」としながら「盛岡市で対象校であるが、実施していないのは、小学校3年生は対象校8校のうち2校、4年生は対象校7校のうち5校、中学生1年生は対象校9校のうち3校、2年生は対象校9校のうち6校が未実施となっている」「配置された教員を活用して、児童生徒の学習の習熟度や興味・関心に応じた指導を行う方がより教育効果を上げることができる」、中学校では、「そのままの学級数の方が生徒の縦割活動を充実させることができる」「卒業となる3年生でのクラス替えを避ける」などが学校の判断であり、「教育委員会では学校の判断を尊重している」などと答えました。
▼学校教育② ことば教室の現状と対策・・・髙橋和夫議員は、市内の各小学校でことばの教室に通う(支援が必要な)対象児童の実態と、教室の開設状況を聞き、指導教員が足りているかと質問。教育長は「市内各小学校のことばの教室の対象児童数は、平成28年度は、小学校29校に113名おり、ことばの教室は小学校6校に9教室を設置しており、各教室に1名ずつ計9名の教諭を配置し、充足している状況だが、さらに、対象児童一人一人に応じた、よりきめ細かな指導を行うためには、配置教員を増やすことが望まれますので、今後も県教育委員会に働きかけてまいりたい」と答えました。また就学前の対策については「保護者の不安に対応できるように、各学校の特別支援教育コーディネーターや教育委員会担当者が、様々な相談に対応している。ことばについての専門的な対応が必要な幼児については、幼児ことばの教室を市内小学校に2教室設置して、幼児についての相談に加え、正しい発音ができるように指導し、就学前に改善を図ったり、また、ことばの教室の指導も継続して受けられるように、保護者との相談を進めている」と答えました。
▼福島原発事故による放射能汚染牧草の現状は・・髙橋和夫議員は、東電福島第一原発事故による汚染牧草の処理の現状について質問。一時保管している汚染牧草を覆うシートの破損などの現状を指摘し、適切な管理を求めました。市長は「汚染牧草は現在、市営山谷川目牧野に一時保管している。議員の指摘の通り時間の経過とともにシートが破損している状況を確認し修復をした。今後も適切に管理する。玉山区の汚染牧草の処分については、岩手玉山環境組合で今月(6月)から試験焼却を開始し平成29年9月までに終了する予定。盛岡地区の汚染牧草の処理については、今後焼却処理に向けて協議をしていきたい」と答えました。
▼ごみ処理広域化計画の見直しを・・・鈴木礼子議員は、市が進めるごみ処理広域化計画について、その問題点を具体的に指摘しつつ、①住民団体(撤回を求める会)の市長への要請文の取り扱い(検討委員会への報告と検討) ②地域住民との「覚書」の遵守方策 ③検討委員会の非公開の理由と ④3カ所に絞り込む判断基準と、住民の意見の反映方法 などについて質問しました。伊藤環境部長は、①具体的な地名を挙げて選定作業を行うことになる第6回検討委員会から、「覚書」や広域化の撤回を求める会の「要請書」等について、説明し検討される。②候補地検討委員会での検討過程において、クリーンセンター周辺の地域が残っている場合には、覚書の趣旨に基づき、松園及び上米内地域を対象として、今年夏ごろをめどに住民説明会を実施したい ③第6回整備候補地検討委員会から非公開とした理由については、具体的な地名等を挙げて協議を行うこととで、率直な意見の交換が損なわれるたり、市民等の間に不要な混乱を生じさせるおそれがあることなど、市情報公開条例に規定する「不開示情報」に該当することから非公開とした ④第6回検討委員会で数十箇所に、第7回検討委員会では7種類の評価項目と3段階の判断基準によって10から12箇所程度に、8月実施予定の第8回整備候補地検討委員会では15種類の評価項目と3段階の判断基準により整備候補地5から6箇所程度を選定し、9月には整備候補地検討委員会の委員による現地調査等を行ったうえで、最終的に10月頃をめどに整備候補地3箇所程度を選定する予定となっている。候補地3箇所程度が選定された後で、候補地の地元住民に対して、住民説明会を複数回実施し、地元住民の意見を聞く、などと答えました。 |
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