2016年6月定例会 議案に対する会派の討論

 
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 2016年6月議会 議案に対する日本共産党盛岡市議団の討論を神部伸也議員が行いました。
日本共産党盛岡市議団を代表して意見を述べます。

今定例会に上程された議案のうち、議案第73号には反対し、その他の議案には意見を付して賛成します。

議案第73号「盛岡市個人番号の利用等に関する条例の一部を改正する条例について」は、いわゆるマイナンバーに、「障害者関係」、「生活保護関係」、「障害児福祉手当・特別障害者手当又は福祉手当の支給」、「中国残留邦人等支援給付等」、「外国人生活保護等」の5項目の情報を追加するものです。市は、転居で申請する際に、所得の確認などで証明書を取ってもらう手間が省けるなどサービス利用につながると述べましたが、それ以上にリスクの方が大きいのではないでしょうか。
マイナンバーは、税、社会保障、災害の三分野での利用からはじまり、官民のさまざまな分野に利用拡大していくことが狙われています。マイナンバーには、避けられない4つのリスクがあります。一つは、100%情報漏えいを防ぐ完全なシステムの構築は不可能なこと、二つ目は、意図的に情報を盗み売る人間がいること、三つめは、一度漏れた情報は流通・売買され取り返しがつかないこと、四つ目は、情報は集積されるほど利用価値が高まり攻撃されやすくなることです。
莫大な費用や手間をかけて、わざわざ国民のプライバシーを重大な危険にさらすマイナンバーは中止すべきです。少なくともこれ以上の情報の拡大はすべきではありません。以上の立場から、本議案に反対します。

その他の議案については、次の意見を付して賛成します。

議案第72号「平成28年度盛岡市一般会計補正予算(第2号)」では、保育所待機児童の解消に向けて「私立児童福祉施設整備助成事業」予算が計上されました。
盛岡市の待機児童は、今年の4月1日時点でゼロとなりましたが、そのことについては努力に感謝するものです。同時に、隠れ待機児童が298人にものぼっており、未満児保育の絶対数不足と保育士不足が表裏一体のものとして、緊急に対策が求められています。

 平成27年に岩手県が実施した調査では、当市の4月1日時点の保育士が欠員している保育所は20園で、欠員数は32人に上っています。国は、待機児童解消のための緊急対策として保育士の配置基準緩和を打ち出しましたが、保育の「質」確保にも、保育士の待遇改善推進にも逆行するものです。市は、国の緊急対策に準じた「条例改正」はやめるべきであり、急がれるべきは待機児童解消に積極的に取り組む民間保育園に対して保育所定員弾力化事業等の支援拡充を図ることや保育士不足に拍車をかけるような公立保育園民営化は一時ストップして待機児童解消に積極的に取り組むべきです。

子ども子育て支援制度に関して。今議会の質問で、小学校に就学している児童の、放課後の生活状況が明らかになりました。5月1日現在、全児童数1万4,506人中、留守家庭児童数は7,628人と52.6%を占め、そのうち、一人若しくはきょうだいと自宅で過ごしている児童は3,372人と44%に上り、健全育成事業の児童館、学童クラブで過ごしているのは、3,335人43.7%という状況が明らかになりました。
すべての児童に健全な育成を保障する立場からみれば、盛岡市子ども子育て支援事業計画は、全ての放課後児童を視野に入れた計画になっていないのではないでしょうか。
盛岡市の放課後児童健全育成事業については、全ての留守家庭児童に公平な環境を保障するという立場で充実・見直しを行うよう求めます。

 今回の熊本地震は、我が国における地震災害、特にも直下型地震のリスクの大きさを再認識させるものでした。本市においても、地域防災計画の被害想定から、熊本地震のような被害が市域において発生し得るという認識と教訓に立って防災・減災の取組を進める必要があります。盛岡市の公共施設中、「市耐震改修促進計画」において対象面積に達していない、119施設が震診断未実施だということが明らかになりましたが、これらの施設については、早急に耐震対策を計画的に取り組むよう求めます。

 議案第88号「専決処分につき承認を求めることについて(盛岡市市税条例の一部を改正する条例)」は、国民健康保険税の医療給付費及び後期高齢者支援金等課税額に係る課税限度額をそれぞれ2万円引き上げ、低所得者に対する保険税軽減の対象世帯を拡大する内容となっています。今回の改正により、課税限度額の引き上げ対象世帯が761世帯、2,770万円の引き上げとなり、一方で、5割軽減と2割軽減の対象世帯の合計が315世帯で、650万円の軽減となります。
限度額の引き上げ分からすれば、軽減対象を拡大するなどさらなる制度の拡充を図ることができたのではないでしょうか。市独自に制度の拡充を図ることと同時に、国に対して、さらなる軽減制度の拡充を図るよう求めていただきたい。

 請願については、すべて賛成します。以上です。