2016年3月定例会 鈴木礼子議員の一般質問

 
質問項目 (クリックするとジャンプします)
放課後児童クラブについて
 ▼新事業への市長の決意
 ▼施設基準の達成への見通し
 ▼余裕教室の活用
 ▼不来方クラブへの支援
 ▼待機児童の解消
 ▼支援員の待遇改善
成年後見人制度について
ごみ減量対策について
 ▼減量目標引き下げはなぜか
 ▼目標未達成の理由は
 ▼事業系ごみの削減対策
 ▼紙製容器包装の改修の改善
 ▼生ごみ処理について
再生エネルギーの利活用について
 ▼原発ゼロ・再生エネルギー促進への基本  認識
 ▼新年度の事業内容
 ▼姫神ウインドパーク事業について

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 質問  答弁
≪鈴木礼子≫ 日本共産党の鈴木礼子です。
 最初に放課後児童クラブについて伺います。

 過日、私は、岩手県学童保育連絡協議会が開催した学習会で、「子ども・子育て支援新制度における放課後児童クラブ関係の最新動向について」のテーマで厚労省雇用均等・児童家庭局総務課少子化総合対策室室長補佐竹中氏の講演をお聞きしてきました。
竹中氏は、児童福祉法改正により市町村の責任と事業促進のための役割について「児童福祉法」の立場から詳しく説明しました。

 市町村の役割については、保育所と同様に必要な情報の収集及び提供、相談及び助言、利用のあっせんまたは調整、要請が課せられ、従来の民間任せから市の責任で担う方向に大きく改善されたこと(児童福祉法第21条の11)。また、公有財産の貸しつけを(学校施設の徹底活用)積極的に行い事業の促進について(児童福祉法第56条の7の2項)述べ、5年の計画期間内に成熟した制度にしていくために関係者、行政、議員が一体となって対応してほしいとの厚労省の並々ならぬ決意が語られました。
 児童福祉法改正及び子ども・子育て支援新制度における放課後児童クラブの位置づけと事業促進への市の責任と市長の決意についてあらためてご所見をお伺いします。

 市は「盛岡市放課後児童健全育成事業の設備及び運営の基準を定める条例」を制定し、専用区画の面積を児童一人当たりにつきおおむね1・65㎡に、児童の集団の規模をおおむね40人以下と定め、既設のクラブについては「当分の間」適用除外としましたが、5年の計画期間内に最低基準を最低限クリヤすることが最大の課題と認識しています。
 27年度は、市として初めて放課後児童クラブの施設・整備への助成が行われ、法人等が運営するクラブには国の整備費の活用を、父母会運営には市単独による補助がそれぞれ行われたことは評価するものです。
 27年度に改善された施設、引き続き設置基準に満たない施設の実態と現時点での放課後児童クラブ数、利用児童数、待機児童数についてお知らせください。

 26年度の調査では設置基準に満たない施設は、利用児童数で集団の規模を超えている施設が4クラブ、活動スペースで基準に満たない施設が7クラブということで、これら施設の多くは父母会運営によるものです。
 これらのクラブからは、施設修繕費の助成、学校の余裕教室の活用、施設増築への助成、公設による施設の確保などの要望が寄せられていますが、経過措置期間内に設置基準を満たすための手立てはどのように検討されていますか。

 市長あいさつは、放課後児童クラブの新規運営の支援について述べられておりますが、28年度の具体的な内容についてお知らください。
 緑が丘学童保育クラブは、4月から第2学童クラブの開所を予定し、民家を借入して開所の準備を進めていると聞いています。
 児童福祉施設として消防法、建築基準法上の規制がありますが、施設の借入と整備にかかる経費についてはどのような配慮がされるのかお知らせ下さい。国の整備事業の活用が可能なのかどうか、どのような検討がされていますか。
上田学童保育クラブ第2クラブ開設の経験がどのように生かされるのか、対応についてお知らせください。

 放課後児童クラブの設置促進については、先にも述べたように学校余裕教室の活用では市町村が積極的に関与し事業を促進させることになり、学校施設を使用する上での障害はほとんど取り除かれ、施設整備(リフォーム)への助成もかなり配慮されたものとなっています。市教委とはどのような話し合いがもたれているのか。あわせて、新制度における余裕教室の徹底活用について教育長はどのような認識をお持ちなのか、ご所見をお聞かせくだい。

 










 また、改善を急がなければならない施設の一つに、杜陵小学校区に設置されている「こずかた学童クラブ」があります。昭和56年の建築基準改正以前の施設で耐震強度に不安を抱えながら68人の児童の受け入れをしています。
 実態についてはどのように把握されていますか。また、改善の方向性についてはどのように検討されていますか。優先的に学校施設の活用が求められている情勢でもあり、杜陵小学校の余裕教室等の活用ができないのか、この点はいかがですか。

 次に放課後児童クラブの待機児童の解消について
計画年間の5年間で、26年度実績比で545人の利用児童数を増やす計画になっています。単純に試算しても13~14施設の増加がなければ達成できない数字ですが、具体的にはどのように対応するのか。28年度の見通しはどうでしょうか。
また、すでに設置基準を超えているクラブは入所を制限し、新1年生が入所できない施設もでていると聞いていますが実態と対応についてお示しください。












 次に支援員の処遇改善について
27年度は、放課後児童クラブ支援員の労働環境、処遇改善が大きく前進し、2人体制とともに賃金改善施策が大きく前進しました。しかし、施設によっては一部運営費にも充当できるのではないかとの議論があり、支援員として心の痛む場面も多々あった(処遇改善費の使途で傷つかない支援員はいないとの声あり)とも聞いています。
このたび、竹中氏は、支援員の処遇改善について小1の壁の打破に向けて保育所との開所時間の解消を図ること。福祉職場全体が大幅な賃金格差がある中でこれらを改善する施策の一環であること。いずれは放課後児童クラブ運営指針に基づき保育所に近い勤務体制をめざしており、賃金改善のみが対象であることを強調しました。
あらためて各クラブに対し、処遇改善費の使途について徹底すべきとではないのか。どのような対応をされていますか。
≪谷藤市長≫ 鈴木礼子議員のご質問にお答え申し上げます。
はじめに、放課後児童クラブの位置づけと市の責任についてでありますが、近年、家族形態の変化により核家族やと共働き家庭が増加する中で、放課後等の児童を支える安心・安全な居場所として、放課後児童クラブが担う役割は大変重要になっております。
市といたしましても、クラブの関係者と丁寧に意見交換しながら、児童の健全な育成のため、利用の促進に努め、社会全体で子ども・子育てを支えるまちづくりを、共に進めてまいりたいと存じます。
次に、平成28年度の具体的な内容についてでありますが、27年度中に整備された新たなクラブが、3クラブ開設されることから、全38クラブに対し、事業委託を行う予定としておりますし、27年度からの放課後児童支援員等に対する処遇改善等事業も継続して行うこととしております。
また、基準に合致しないクラブ等に対しまして、どのような支援が必要か、クラブの関係者からお話を伺い、計画期間内である31年度まで基準に合致できるよう計画的に支援してまいりたいと存じます。




≪熊谷保健福祉部長≫放課後児童クラブについてでありますが、設備基準を満たしていないクラブのうち、平成27年度は1クラブが、新たに使用できる部屋を借用し、また、28年4月からは1クラブが、増築してクラブを分割することで改善され、基準を満たす予定となっており、その結果、1人当たりの設備基準を満たしていないクラブは、5クラブとなるものであります。また、集団の規模については、27年度に改善されたクラブは無く4クラブが基準を満たしておらないところであります。
次に、放課後児童クラブの状況についてでありますが、平成28年2月末現在で、35クラブで、利用児童数は1千326人、待機児童数は、国の調査基準である平成27年5月1日辞典で47人となっております。
次に、経過措置期間に設置基準を満たすための手立てについてでありますが、基準に合致していないクラブの関係者からどのような支援が必要か話を伺い、基準に合致できるよう計画的に支援してまいりたいと存じます。

 次に、緑が丘学童保育クラブに対する支援についてでありますが、第2学童クラブの建物の借入に係る経費につきましては、国の「放課後児童クラブ運営支援事業」にあります。「賃借料補助」を利用して、支援してまいりたいと存じますし、必要な設備の整備、修繕については、どのような支援ができるか、クラブの関係者と協議し、検討してまいりたいと存じます。
 
 次に、上田学童保育クラブにおける経験がどう生かされるかについてでありますが、施設整備にあたりましては、クラブが希望することとしで支援できることの調整に時間を要したことを踏まえ、各々の担当者の連絡を密にし、速やかに協議の場を持ち、国の制度を一緒に研究するなど、収支を含め、計画的に進めてまいりたいと存じます。









≪千葉教育長≫
 ご質問にお答えいたします。
新制度における余裕教室の徹底活用についてでありますが、学校施設については、「盛岡市公共施設保有最適化・長寿命化中期計画」及び「同実施計画」と整合を図りながら、大規模改造の実施に併せて、児童センター等との複合化の取組を進めることとしており、児童が、放課後を安全。安心に過ごすことのできる居場所を確保することは、必要なことであり、余裕教室の活用は、有効な手段であると存じております。
なお、複合化に当たっては、運営主体、管理方法及び費用負担のあり方など、課題を整理しながら検討する必要があると存じております。

≪熊谷保健福祉部長≫次に、学校の余裕教室の活用についてでありますが、教育委員会とは、放課後児童クラブや児童館・児童センターが学校に入った場合に想定される課題等について話し合うなどしており、今後は、個々の小学校について、課題を整理しながら、協議してまいりたいと存じます。

 次に、こずかた学童クラブの実態についてでありますが、利用児童数が基準を超えており、施設の老朽化も著しいものと存じております。またクラブからは、「当面は、現在の施設での実施を予定しているが、修繕の対応が課題である」、「現在の付近に市で設置してほしい」、「施設の整備について補助してほしい」との要望を受けているところであり、杜陵小学校への移転も含め、どのような方法が望ましいか、検討してまいりたいと存じます。



 次に、どのようにして放課後児童クラブの利用児童数を増やしていくのかについてでありますが、利用児童の増加が見込まれる地区につきましては、各クラブと協議の上、クラブの分割や施設の拡張、新設等により、受入枠の拡大を図ってまいりたいと存じます。
なお、平成28年度の見通しでありますが、新設が1クラブ、分割が2クラブありますことから、105人分の利用児童数が増える見込みとなっております。
次に、設置基準を超えるため入所を制限するクラブの実態とその対応についてでありますが、市内クラブに問い合わせたところ、28年4月からの新1年生の受け入れについて、7クラブから、すでにお断わりした児童がいると聞いております。
市といたしましては、各クラブの募集状況を定期的に把握し、保護者から問い合わせがあった場合は、余裕があるクラブを紹介するなど情報の提供に努めてまいりますほか、新たに放課後児童クラブの事業開始の相談がある場合は、利用児童が多い地域を紹介するなど、対応してまいりたいと存じます。

 次に、各クラブの処遇改善費の使途についてでありますが、対象が職員の処遇改善のみがとなっておりますことから、クラブから提出される関係書類を基に使途について確認するなど、徹底してまいりたいと存じます。


≪鈴木礼子≫ 次に成年後見制度について伺います。
 成年後見制度は、認知症や知的障がい者、精神障がい者など判断能力が十分でない人が日常の生活を営む上で、財産・預貯金の管理や日常生活での様々な契約などで不利益を被ることのないよう支援する制度として平成12年4月施行されました。
高齢化の進行で一人暮らしや認知症の方の増加傾向や障がい者の方も本人及び家族の高齢化に伴い後見人を必要とする方が多くなっていますが、これらの方たちへの権利擁護の一環として成年後見制度の役割は一層重要性を増し充実が急がれます。
一方、制度を必要としている家族や関係者からは、制度の周知徹底の遅れや市の対応が他市に比べて大幅に遅れていることを指摘する声です。
市民への周知と対応が遅れている理由として ①他市に比べて市長が申し立人となる法定後見制度の利用件数が極端に少ない ②申し立てに当たって経済的に困窮している方への財政支援が少ない ③弁護士、司法書士、行政書士などの専門職による後見人だけでは対応が追いつかない状況下で、市民後見人の養成が求められているのに市としての対応が見えないとの厳しい声です。
これら市民の要望に急ぎ答え対策を講じるべきと思いますが、いかがですか。
≪熊谷保健福祉部長≫ 
次に、成年後見の市長申立ての件数についてでありますが、市では、市長申立ての件数が少ない要因として、制度の周知不足が要因の一つであると捉え、平成27年7月に、制度の概要や手続方法等を市のホームページに掲載したほか、ラジオでの周知、地域包括支援センターにリーフレットの再配置等を行い、周知を図っていりところであります。
また、27年度に、介護高齢福祉課の課内室だった高齢者支援室を長寿社会課に見直し、組織体制の強化を図ったところであり、その結果、高齢者と障がい者を合わせた市長申立ての件数は、25年度は5件、26年度は4件だったものが、27年度は2月末日現在で6件、年度内には、更に3件の申し立てを予定しており、合計9件となる見込みとなっております。
今後におきましても、盛岡市社会福祉協議会や地域包括支援センターなどの関係機関との連携を深め、市長申立て事務の促進に努めてまいります。
次に、成年後見の申立てに当たっての財政支援についてでありますが、本人や親族等が申し立てる場合の費用については、助成していないところでありますが、市長申立てに係る費用及び後見人報酬については、盛岡家庭裁判所の審判や被後見人の申請に基づき、助成しているところであり、今後におきましても、必要な支援を継続してまいりたいと存じます。
次に、市民後見人養成の対応についてでありますが、平成26年度から制度の周知・啓発を目的とした市民後見人入門講座を開催し、26年度は48人、27年度は20人の方は終了したところであり、28年度には、厚生労働省が市民後見人養成の基本カリキュラムとしている50単位の講座を実施し、市民後見人の育成を進め、制度の利用促進に取り組んでまいりたいと存じます。
成年後見制度は、高齢者が増加する中で、認知症や知的障がいなどにより、判断能力が十分でない高齢者等の支援に欠かせない制度であると存じておりますことから、市社会福祉協会や地域包括センターなどの関係機関との連携を深め、更なる制度の充実に取り組んでまいりたいと存じます。
≪鈴木礼子≫次にごみ減量について伺います。

 27年度第3回盛岡市廃棄物対策審議会で、28年度の一般廃棄物処理実施計画が審議されました。新聞報道では28年度の実施目標を引き下げたとのことですが、具体的な内容についてお示しください。また、審議会ではどのような意見が出されたのでしょうか。
 24年度から28年度までを計画期間とした市の一般廃棄物処理基本計画(以下「基本計画」)は、水と緑の都(まち)もりおかを未来につなぐため、市民・事業者・市が一体となって目標の達成を目指すとして、22年度実績を起点に、家庭ごみ(資源を除く)は排出量の20%削減、事業系ごみは30%の削減でごみの総排出量の18%、20,990tを減らす画期的な内容で市民の期待も大きいものでした。
 実施計画の見直しは、28年度までの基本計画目標値にはどう頑張っても届かないので28年度の実施目標を下げたというのが最大の理由のようですが、計画年間を1年残すぎりぎりのところで実施計画を見直すということは対応がお粗末すぎるのではありませんか。
 







 22年度を起点に比較すると排出量は微減ではありますが減少しており、その努力は認めますが、計画の初年度から排出実績は横ばい状態で、本来であれば各年度ごとの見直しや対策が必要だったのではないでしょうか。
26年度の排出量は、家庭ごみ(資源ごみ含む)が72,565tで28年度目標65、737tに対して6、828tの増となっています。一人一日あたりの排出量は26年度663㌘で、28年度目標619㌘に対して44グラムの増です。事業ごみは28年度の排出目標30、359tに対して26年度は43、085tで、12、726tの増となっています。
27年度の排出量の見込みはどうですか。

 















 目標を達成できない理由として、東日本大震災復興による経済活動の活発化、人口減とした推計が実際には人口が増えたこと。26年4月からの消費税増税による駆け込み需要があったことなどを上げています。

 予測人口より推定人口が増えたことについては、総量の見直しが必要だとしても、一人一日当たりの排出量で見ると24年度から26年度までほぼ横ばい状態で、大きく増えたということではありません。また、経済活動の活発化と消費税増税による駆け込み需要があったということですが、26年度には落ち着いており、これらを理由にするのは無理があるのではないでしょうか。

 ごみ減量は、言うまでもなく燃やす量を減らすことになり環境負荷の軽減と焼却施設の延命となり、資源化は持続可能な社会の実現であり、結果的にはごみ処理経費の削減で財政負担の軽減につながります。
 仮に、減量目標20、990tが削減されたとしら、財政効果はいくらになりますか。(1t当たりの処理原価で試算)お知らせください。

 焼却場を次々に休廃止したことで知られる350万都市横浜市は、10年間で30%減らす「G30プラン」を打ち出し、分別収集を5分別7品目から10分別15品目に増やし、事業系ごみは焼却場への搬入を禁止し分別を守らない場合は過料を徴収するなどして、5年間で家庭ごみ32%、事業系ごみ39%の減量に成功しました。
これにより2つの焼却炉を廃止し1100億円の改修費の節約と運営費も分別拡大経費を除いても年間6億円が削減されたと聞いています。また、焼却炉が廃止された付近では子どものぜんそく罹患率が激減したとのことです(「月間廃棄物15年1月号)。

 当時の市長は「これまでと同じやり方をしていたらごみが増えるだけで、処理にかかる税金も増える。ごみが減ったら焼却場も減らせる。その分費用が節約できる」と言い23年からは「ヨコハマ3R夢(スリム)プラン」を策定。リサイクル重視からリデュース(発生抑制)重視の政策を打ち出し、温暖化対策としてごみ処理に伴う二酸化炭素の排出量を50%以上削減する目標を掲げて焼却量の大幅な削減を目指しているといいます。横浜市の取り組みには多くの学ぶべき点があるのではないでしょうか。
 
 「基本計画」の目標そのものが実態とかけ離れていたのか、当市の取り組みには何が欠けているのか真摯に問い直すべきではないですか。ご所見をお聞かせください。

次に具体的な課題で何点か伺います。
① 事業系ごみの削減について
一般廃棄物の約4割を占める事業系ごみに思い切った対策が求められています。
横浜市では、事業者に資源化促進を訴える一方、持ち込んだ事業系ごみをベルトコンベアーにひろげさせ、資源ごみが入っていたらそのまま持ち帰させる措置を取って削減に成功しているとのことです。資源化を怠っている事業系ごみの増加は市民にとっては多大なランニングコストを負担し続けることになります。
 実態に合った指導と大幅に減量化が図られる対策を検討すべきではないのか。

② 紙製容器包装の回収方法の見直しを
22年8月から分別収集を開始した紙製容器包装の回収量は23年の162tから
26年度では96tまで落ちています。拠点回収では協力を得られないということではないのか。回収方法の見直しを検討すべきですが、いかがか。

③ 生ごみの処理ついて
堆肥化、飼料化、バイオマス発電などのエネルギー利用などありますが、従来のやり方では思い切ったごみ減量には結び付かないことは明白です。
可燃ごみの約5割を占める生ごみの処理はごみ減量の最大の課題となっていますが、今後の対応についてどのような検討をされているのか伺います。
また、ごみ減量について広域化で進んでいる施策に合わせると答弁していますが、具体的にはどのようなことを検討されていますか。

 この項の最後に、ごみの焼却処理は基準をクリアしているとしても周辺の環境や住民には少なくない影響を及ぼしていることも事実です。市民との信頼関係、協力関係を築きつつごみ問題の解決に当たっていただくことを強く求めるものです。
≪伊藤環境部長≫ 平成28年度盛岡市一般廃棄物実施計画の具体的な内容についてでありますが、同実施計画においては、これまでに引続き、盛岡市一般廃棄物処理基本計画の目標達成を基本としておりますが、同基本計画の最終年度に当たり、基本計画目標の策定は実態に則した計画とすることも求められますことから、28年度の実施計画においては、25年度以降のごみ総排出量等の傾向を踏まえ、22年度比較で、ごみ総排出量を5パーセント、量にして5千746トン削減し、11万1千340トンとする「実施目標」を新たに設けたところであります。
この実施目標の達成のための重点施策といたしましては、家庭ごみについては、古紙や容器包装廃棄物等の小売店での店頭回収利用を推進する等の「市民のライフスタイルに合わせた資源回収方法の周知」を図ること、また、事業系ごみについては、事業系可燃ごみの2割程度を占める古紙について資源化を進めるため「資源回収業者を活用した古紙の資源化の推進」を図ることの2点につて取り組み、ごみの減量化を進めてまいりたいと考えております。このほかの施策についても成果がより大きくなるよう、取組を一層強化していくこととしております。
また、平成27年度第3回盛岡市廃棄物対策審議会でだされた意見についてでありますが、委員からは、「市民に理解してもらうためにどう伝えて、どう行動してもらうか具体的な体系を示したほうがよい」、「ごみ減量の必要性について理解してもらうために、市民一人あたりが負担しているごみ処理の経費を示すことをしてもよいのではないか」などのご意見をいただきました。

 次に、排出実績が計画の初年度から横ばい状態であり、年度ごとの見直しや対策が必要だったのではないかについてでありますが、平成24年度から28年度までを計画期間とする現在の基本計画は、22年度までのごみの減少傾向を踏まえるとともに、全国トップレベルの数値を目指すこととした将来予測により策定したものであります。
しかし、東日本大震災後の人口の増加や、経済活動の活性化、景気動向が高水準で推移する等の社会情勢の変化により、22年度まで減少傾向にあったごみ排出量が25年度まで増加傾向に転じるなど、基本計画の将来予測とは差異が生じております。
 市では、毎年度策定している実施計画において当該年度ごとの数値目標を設定するとともに、具体の対策として、市民及び事業者のごみ減量に対する主体的な取組を推進するため、違反ごみ撲滅キャンペーンを含む盛岡市エコライフ推進キャンペーンの取組、エコライフイベントの開催、資源集団回収活動の支援やごみ減量資源再利用市民のつどいにおける優良事例の表彰等多くの周知・啓発に関する施策を進めており、今後も引き続き取り組んでまいりたいと存じます。
 次に、平成27年度の家庭ごみ総排出量及び一人1日当りの排出量、事業系ごみ排出量についてでありますが、家庭ごみ一人1日あたりの総排出量は652グラム、事業系ごみは4万2千545トンを見込んでおり、基本計画の目標値には達しておりませんが、現在は減少傾向にあります。

 次に、目標を達成できない理由を、人口の増減、経済活動の活性化と消費税による駆け込み需要とするには無理があるのではないかについてでありますが、ごみ排出量の予測に当たっての基本計画の将来予測人口は、推計人口を基に算出しているところであり、平成24年度以降の推計人口の推移は、25年度まで増加傾向にあり、その後減少傾向を示しておりますが、いずれの年度においても基本計画における将来予測人口を上回っている状況にあります。

 また、26年4月の消費税増税前の、家電、家具等の駆け込み需要により、不燃ごみ、粗大ごみの排出量が一時的に増加いたしました。現在はその影響は少なくなってきているものと存じますが、県内の景気動向は、基本計画の基準年度の比べ高い水準で推移しており、家庭の消費活動、事業所の経済活動は、ごみの排出量に相当の影響があったものと存じております。
次に、減量目標20,990トンが削減された場合の財政効果についてでありますが、平成26年度における1トン当たりの処理原価は、37,236円で、これに、削減量20,990トンを乗じますと、約7億8千万円となります。しかしながら、処理原価には、原価償却費や人件費の一部など、ごみ排出量の増減に関わらず、固定費的にかかる経費が含まれておりますことから、単純にごみ排出量の減少に比例した経費の削減にはつながらないものと存じます。

 次に、「基本計画」の目標そのものが実態とかけ離れていたのか、当市の取組には何がかけているか真摯に問い直すべきではないかについてでありますが、平成28年度までの基本計画の目標は、策定後の社会情勢の変化を反映させることができなかったことや、重要な火炎ごみの減量施策としておりました生ごみの水切りについて、モデル事業の成果を全市の取組として十分に波及できなかったこと、事業系の可燃ごみに含まれている古紙類の資源化への誘導が十分でないことなどもあり、目標達成は厳しい状況と存じております。少しでも目標に近づくため、28年度の一般廃棄物処理実施計画に基づき、施策を推進してまいりたいと存じます。

 また、28年度に次期基本計画の改定を予定しておりますことから、その作業の中で、これまでの取組について振り返りを行うとともに、他の自治体の事例についても参考としながら、廃棄物対策審議会における審議や、各地域における市民との懇談を通して、ごみ減量や資源化の今後の一層の推進を図ってまいりたいと存じます。


 次に、事業系ごみについて、実態に合った指導と大幅に減量化が図られる対策を検討すべきではないかについてでありますが、現在、クリーンセンターとリサイクルセンターにおいて、それぞれ月に1回、搬入物の調査を実施しております。受入基準に基づき、廃棄物の適正処理について指導を行うとともに、古紙やビン・缶・ペットボトルなどについては資源として処理されるよう分別の徹底を指導しております。また、減量化にむけては、平成28年度一般廃棄物処理実施計画において、事業系可燃ごみの2割程度を占めている古紙の資源化を進めるため、資源回収業者を活用した資源化を進めるため、資源回収業者を活用した資源化の推進を図ることとしております。

 次に、紙製容器包装の回収方法の見直しについてでありますが、集積場所からの収集を行っている盛岡・紫波地区環境施設組合管内における紙製容器包装の収集量は、拠点回収を行っている盛岡地域と同様に平成23年度をピークに毎年度減少を続けており、日本容器包装リサイクル協会による全国自治体からの引取量についても同様の傾向となっております。
また、盛岡地域においては、紙製容器包装として分別をお願いしているのは、古紙として通となって常のルールで資源化できない特殊加工されたものに限っており、可燃ごみに含まれる当該紙製容器包装の組成率は、サンプル調査によりますと、平成24年度以降1%台前半程度となっております。現在は、紙として再生可能なものは、できる限り古紙として出していただくよう行政収集、資源集団回収により資源化を図っているところであり、今後も同様の分別と収集方法により取り組んでまいりたいと存じます。

 次に、生ごみ処理の対応及び検討についてでありますが、現在は、盛岡地域の生ごみを受入可能な施設がなく、新設に当たっては、建設費等をはじめ様々な課題がありますことから、一部地域における大型生ごみ処理機の活用、小学校でのダンボールコンポストによる体験学習会等を通じ、生ごみを分別し、循環活用することについて周知啓発を行うことにより、生ごみの資源化に向け、意識の醸成に取り組んでおります。また、生ごみを減量するためには、各家庭における取組が重要なことから、「計画的な食材購入」、「食べ残しを減らす」などの食品ロスの削減や水切り等、生ごみの発生抑制に向けて周知啓発を行うとともに、資源化の推進にも引き続き取り組み、今後も可燃ごみの減量に努めてまいります。
また、ごみ処理広域化における生ごみ処理の検討についてでありますが、県央ブロックごみ・し尿処理広域化推進協議会においては、今後「ごみ処理基本計画」を策定する中で、分別や資源化を含めた生ごみ処理のあり方について検討することとしております。

≪鈴木礼子≫ 再生可能エネルギーの利活用について

 私は、昨年11月、東京電力福島原発事故の被災地を訪ねる機会を得ました。被災地に近づくほどに震災当時のままの倒壊した家屋、あちこちに除染で集めた土壌やガレキが詰った黒い袋(1トン詰め)が野積みにされ、周囲の錦秋の景色とは対照的な光景に驚きました。 
 広野町、避難指示解除準備区域の楢葉町、居住制限区域の富岡町と通り過ぎるたびに放射能検知器が鳴りだし、4年を経ても盛岡周辺の約10~20倍の0・5シーベルト強までになり原発事故の恐ろしさを実感しました。
増え続ける事故関連死、止まらない自死、仮設での孤独死や一生涯にわたる健康被害を発するリスクなど被害は止まっておらず、「故郷の喪失」という新たな深刻な事態の中で消滅していく地域の課題に心が痛みました。
全町が帰還困難区域となっている浪江町の町長さんが「私たちは日本国憲法に守られた国民なのでしょうか」といった言葉の重みをあらためてかみしめる機会にもなりました。

  間もなく東日本大震災大津波から5年目を迎えますが、原発事故の事実を忘れ去ったかのように、政府は原発再稼働を決め、すでに九州電力川内原発に続き関西電力高浜原発が再稼働されていますが、あらためて大きな怒りを覚えるものです。
 原発の再稼働は許されるものではありません。再生可能エネルギーの利用拡大を急ぎ原発に頼らない体制を強める方向こそ、世界に類を見ない原発事故を起こした国としての立ち位置ではないかと考えますが、市長の見解をお聞かせください。

 この間、党市議団は、原発事故を契機にエネルギー政策を大きく転換し、再生可能エネルギーの推進とエネルギーの「地産地消」を進め、利益が地方に還元され、地域経済の活性化につながることを目的とした「再生可能エネルギー基本条例」を提案しました。
「条例」は議会で多数を得ることはできませんでしたが、今日、再生可能エネルギーの推進及び「地産地消」は、全国共通の課題として普及拡大が図られているのではないでしょうか。

 市長挨拶は、太陽光、風力、木質バイオマスなど再生可能エネルギーの普及や省エネ機器の導入を促進するとしましたが、新年度の事業内容についてお知らせください。

 私は、26年6月議会で「農山漁村再生可能エネルギー法」が制定されたことを受け、て、市の農山村へのエネルギーの地産地消の取り組みについて質問しました。
 固定価格買取制度のスタートで、メーカーや商社、不動産会社など技術力、資本力、土地を持つ企業によるメガソーラー発電、メガ風力発電の建設が相次ぎ、エネルギー資源や土地の豊富な農山村に熱い視線が送られている中で「農山漁村再生可能エネルギー法」は、優良農地の保全と農業振興に寄与することを重視した内容と認識しています。

 2月19日、風力発電と農業の活性化と題して開催された盛岡市農政フォーラム2016において姫神ウインドパーク事業計画が紹介されました。この事業は、計画地が市営の牧野で農用地域内ということで「農山漁村再生可能エネルギー法」による整備計画との説明でもありましたが、あらためて事業内容と環境影響評価の結果についてお示しください。

 また、具体化にあたっては、協議会の設置と「基本計画」の策定が義務づけられていますが、協議会のメンバーおよび基本計画、協議内容等についてお知らせください。
当日、東北農政局経営・事業支援部食品企業課課長補佐の今川氏が「農山漁村再生可能エネルギー法」の基調報告を行いましたが、今川氏は、農山漁村での再生可能エネルギーの導入は高いポテンシャルがあるが地域外の事業者によるものが大半で、必ずしも農山漁村の活性化につながっているものではないとの問題提起でした。
 姫神ウインドパーク事業計画が、「農山漁村再生可能エネルギー法」が指摘するところの立地周辺農村部の活性化や経済効果が図られるとした根拠は何か。どのような検討が行われたのかお知らせください。
 事業計画では農林漁業及び地域への貢献策として ①売電収益の5%を還元する ②農林業振興基金または地球温暖化対策基金への出資ほか農林漁業の健全な発展に資する取り組み ③基金化された資金は、市域の農林漁業の改善促進や再生可能エネルギー利用の普及促進など地球温暖化対策に資する取り組みに活用するということですが、収益の5%の還元とは金額的にいくらを想定しているのか。2つの基金への出資の割合はどのよう検討されていますか。
 「法」の主旨からいっても、農家の所得向上、農業振興策に寄与する対応に限定すべきではと考えますが、いかがですか。
≪谷藤市長≫次に、再生可能エネルギーの利用拡大と原発に頼らない体制についてでありますが、国の「エネルギー基本計画」において、原発につきましては安全性の確保を大前提に、エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源と位置付けており、また、再生可能エネルギーにつきましては、温室効果ガスの排出にない有望かつ多様な国産エネルギー源とし、導入を最大限加速するとされております。

 原発の再稼働につきましては、経済・産業界から要望する声がある一方、原発をなくすべきという意見も多くあることは承知しており、地球環境の保全及び国民の安全・安心の確保と、産業活動の発展を前提に、効率的、安定的な電力供給の確保を図るために、国民的議論を尽くし、必要な措置を講ずべきものと存じております。市といたしましては「環境基本計画」や「地球温暖化対策実行計画」に基づき、再生可能エネルギーの普及を進め、地球環境の保全に貢献するとともに、市の豊かな環境を、将来の世代に引き継ぐよう努めてまいりたいと存じます。

 次に、平成28年度における再生可能エネルギー及び省エネ機器導入についてでありますが、27年度まで地球温暖化対策実行計画推進基金を活用して実施してきた住宅用太陽光発電システム及び蓄電池に対する補助金交付を継続するとともに、同システムと併設することで、より省エネ効果を高めるホームエネルギーマネジメントシステムを補助対象に加えることを予定しております。

 風力発電につきましては、現在、玉山区の山谷川目牧野周辺に民間事業者による設置が進められておりますことから、市としても、可能な支援を行ってまいりたいと存じます。
 
 木質バイオマスにつきましては、その利用促進に向け、庁内の関係部署職員によるワーキンググループから提言のあった内容も参考にしながら、地球温暖化対策や林業振興の観点から、市域における木質燃料の利用量の増加及び資源、エネルギーの地産地消の推進を基本に、木質バイオマスの利用促進の実現に向けた具体的な取組について検討してまいりたいと存じます。


















≪伊藤環境部長≫
 次に、姫神ウィンドパーク事業計画の事業内容及び環境影響評価の結果についてでありますが、事業内容としては、設備整備者であるエコ・パワー株式会社が、玉山区の山谷川目牧野を含む民間所有地に、出力2,000キロワットの風力発電機を9基整備し、発電した電気を固定価格買取制度に基づき20年間売電する計画となっております。設備整備者の試算によりますと、年間想定発電量は標準家庭の約1万900世帯分に相当する約4,600万キロワット、二酸化炭素排出量の削効果は年間約2万5,000トンと見込んでおります。
また、この事業計画の環境影響評価の結果についてでありますが、平成27年9月、設備整備者が環境影響評価法に基づき、発電設備周辺の環境調査結果や、環境への影響を回避又は低減する保全措置、環境監視や事後調査を実施することなどをまとめた、環境影響評価書を作成し電気事業を所管する経済産業省に提出いたしました。その結果、この評価書の内容で確定する旨の通知を設備整備者が受けたことを確認しております。
次に、盛岡市農林漁村再生可能エネルギー法協議会における協議会のメンバー及び基本計画、協議内容等についてでありますが、メンバーは農林漁村再エネ法及び国の基本方針に基づき、学識経験者、地域の自治会長、牧野利用者、設備整備者及び市の関係部長の合計9名で組織し、基本計画に記載する事項の内容について協議を行いました。基本計画案には、農林漁村再エネ法を活用した農山漁業の健全な発展に資する取組、発電設備の撤去及び原状回復に関する事項等を記載しております。
次に、姫神ウィンドパーク事業計画による地域活性化の根拠についてでありますが、農山漁村再エネ法の活用により、農地法上の特例措置として第1種農地の発電事業用地への転用が許可され、再生可能エネルギーの普及拡大が図られるとともに、発電事業で生みだされた売電収益の一部を地域内の農林業振興などに活用することが可能となり、これを原資に新たな経済循環を生むことで、経済効果が見込まれるものと存じております。
次に、収益の5%還元の想定金額と2つの基金への出資割合についてでありますが、発電による総収入から、必要となる経費を差し引いた、売電収益の約5%に当たる年額1,100万円を、発電事業の実施予定である平成31年度から20年間にわたり、毎年度、市の農林業振興基金及び地球温暖化対策実行計画推進基金に拠出いただく予定である旨、設備整備者から提案があったものであります。2つの基金への出資の割合については、今後、検討してまいりますが、農山漁村再エネ法の趣旨を踏まえ、この取組における「農山漁村再エネ法の活性化」を最も重視すべきものと存じております。なお、設備整備者は同法に基づく取組とは別に、発電設備周辺地区に対する地域貢献策を別途実施する予定であると伺っております。
次に、農家の所得向上、農業振興策に寄与する対応に限定すべきではないか、についてでありますが、農山漁村再エネ法においては「エネルギー供給源の多様化」も目的として掲げられていることから、この事業から得られる経済価値を再生可能エネルギー普及促進へ継続的に活用することで、地球温暖化防止対策に資する取組の推進につなげてまいりたいと考えております。