2016年3月定例会 追加議案(3月補正予算他)に対する会派の討論

 
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 2016年3月議会 追加議案(3月補正予算、職員給与等条例改正案 他)に対する日本共産党盛岡市議団の討論を神部伸也議員が行いました。
 補正予算等に対する会派意見
 2016年3月14日       
日本共産党盛岡市議団 神部伸也

日本共産党盛岡市議団を代表して意見を述べます。
 まず、議案第24号「盛岡市職員給与支給条例等の一部を改正する条例」について反対の意見を述べます。
今回の主な改定内容は、平成27年度の職員給与を平均月額で823円引き上げ、平成28年度以降については平均月額で2,800円の引き下げを行おうというものです。若年層の給与を厚くしてそれ以外の方については引き下げるという内容で、企業職を除く職員給与全体で平成28年度の改定で8,886万円もの削減となるものです。3年間の経過措置があるとはいえ、給与そのものを引き下げるのは問題です。
「アベノミクス」によって大企業は史上空前の儲けを上げ、平成25年度、26年度で史上最高を2年連続で更新し、27年度も史上最高を更新する見込みとなっています。しかし、その儲けは、ほとんど労働者にまわっておらず内部留保として溜め込まれ、名目賃金では3年前とほぼ同額ですが、物価上昇に追いつかず、実質賃金でマイナスとなっているのが実態です。そこへ、消費税10%増税がさらに追い打ちをかけようとしています。この間、何度も指摘してきましたが、公務員給与の引き下げは、民間給与の引き下げにつながるもので、労働者の賃金低下のスパイラルを生み出しています。これでは、「地方創生」どころか地方をさらに衰退させることになるのではないでしょうか。民間給与の引き下げにもつながる公務員給与の引き下げはやめるべきです。職員給与の引き下げと合わせて、市議会議員の期末手当の引き上げをすることも問題があります。
 以上の理由により、議案第24号に反対します。

その他の議案については、以下の意見を付して賛成します。
 一般会計補正予算については、まず、緊急雇用創出事業費返還金442万8千円が計上されています。この返還金は、盛岡コールセンターに交付した緊急雇用創出事業の補助金のうち、本来業務ではない出張先での業務に係る人件費201万円及び福利厚生に係るリース料 241万6千円ですが、その他に、会計検査院指摘の「過大リース料」1億3,684万5千円も本来は「不適正」支出に組み込まれなければならなかったものです。合わせて1億4,127万円、全事業費の38.5%が事実上不適正に支出されたのです。盛岡市の事業で実に1億4千万円もの国民の税金である震災復興財源が食い物にされました。この事実を真摯に受け止め、盛岡コールセンターを引き継いだキムランドからの債権回収を確実に行うとともに、この企業を誘致した市の責任も明確にして、その反省の上に今後の事業に生かすよう求めます。

 一般廃棄物処理基本計画について、平成24年度から28年度までを計画期間としたごみ減量目標は、この4年間の減量実績が目標と大きくかい離し、最終年度の実施計画を大幅に修正する結果となりました。全国トップレベルの数値を目指すとした計画が、その内容にふさわしい施策の展開だったのか、市民も期待したごみ減量計画が目標達成に至らなかった要因については真摯に受け止め、引き続き目標達成に向けて生ごみ及び事業所ごみ減量への積極的な取り組みを強く求めます。

 TPPが大筋合意されたとはいえ、まだ批准もされていないのにTPP批准を先取りした経営体育成支援事業が予算化されました。意欲のある農業者に農業用機械等の導入を支援する内容ですが、対象が極めて限定されており農業者の経営安定への不安を払拭するものではありません。TPP批准の阻止を強く求めるものです。

 老人福祉施設整備助成事業、約2億5,200万円の減額補正となっています。施設数全体で15施設の整備計画が4施設にとどまったという内容です。その要因は、介護報酬が引き下がったことや人材不足の影響であるとの答弁でしたが、これは、介護保険第6期計画を大幅にゆるがすような減です。こうした実態から、安倍政権の「介護離職ゼロ」は実態とかけ離れたスローガンであることが浮き彫りになりました。介護報酬の引き下げをやめるよう国に求めるとともに、平成28年度からの取り組みについては万全を期すよう要望します。

 国保会計について。まず、一般会計では、国保基盤安定負担金の増額が計上されています。国・県・市あわせて3億4,253万1千円、さらに、その他の一般財源5,407万9千円を合わせて3億9,261万円が増額補正されます。一方で、財源振替で法定外繰入2億円の減額があり、差し引きで1億9,261万円の一般会計繰入増となります。また、これとは別に、国保会計に特別調整交付金4億9,409万5千円が追加され、普通交付金で1億7,352万4千円が減額され、差し引きで3億2,057万1千円が増額となっています。これら合わせて5億円余の財源を活用すれば、被保険者の負担軽減ができます。有効活用し、国民健康保険税の軽減を図るよう求めます。

 保育所運営負担金について、大都市特例の廃止により、県負担金で8億5,485万5千円増額されました。従来、中核市の負担分が2分の1から3分の1に減額された結果生じたものです。これらの財源については、多子世帯保育料の軽減や放課後児童クラブ保育料の軽減、施設運営補助など子育て支援施策の拡充に充てるべきです。

 地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金事業で、不用額7,722万5,384円が計上されています。そのうち、(被災者支援型)盛岡地域振興商品券発行事業については約79%に当たる75万958円が、(生活支援型)盛岡地域振興商品券発行事業では、約25%に当たる5,584万3,798円が不用額となっています。多くの方が給付を受けられなかった原因はどこにあるのか、申請方法などに問題はなかったのか検証し、今後行われる年金生活者等支援臨時給付金については対象者の方がもれなく給付が受けられるように対策を講じるよう求めます。

 病院会計補正予算については、収益的収入・収益的支出ともに減額補正されるものの、27年度決算では、20年ぶりの収支均衡の達成が見込まれていることは、おおいに評価するものです。事業管理者をはじめ経営改善へ努力をされてきた関係者の皆様に敬意を表します。とりわけ、職員が働きやすい職場環境づくりにおいて、職場保育所の役割は大きいものがあります。女性の医師確保や女性が多い看護師を確保する上でも大きな役割を果たしています。引き続き、拡充を図るなど一層の努力をお願いします。

 尚、補正予算審議の過程で、架空請求詐欺事件の相談件数が平成27年12月までで730件に上り、その中で、市職員を語る還付金詐欺は243件と前年の82件の3倍となっている極めて深刻な実態が明らかになりました。このような還付金について市職員が関わることはないというメッセージを市自身がもっと積極的にアピールをしていただくよう求めます。以上。