2016年3月定例会 当初予算等議案に対する会派の討論

 
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 2016年3月議会 当初予算などの議案に対する最終本会議での日本共産党盛岡市議団の討論を、鈴木努議員が行いました。
 日本共産党盛岡市議団を代表し、意見を述べます。

 今議会に提案された議案第3号、議案第9号、議案第22号には反対し、その他の議案には意見を付して賛成します。

 初めに、反対する議案について意見を述べます。議案第3号平成28年度盛岡市一般会計予算については、総額で1111億8800万円で7年連続で1000億円を超え、過去最高であった27年度とほぼ同額の予算となっています。この中で私ども日本共産党盛岡市議団が求めていた、小学生医療費給付事業やインフルエンザ予防接種補助の拡充、さらにこれまで就学援助の対象費目に加えられながら当市が実施していなかった「クラブ活動費」「生徒会費」「PTA会費」の3費目のうち中学生を対象として「生徒会費」「PTA会費」が援助費目として加えられること。また「戦略プロジェクト」として子ども未来基金の創設や子育て支援地域包括支援センター事業が新たに実施されるなど子育てしやすい環境整備のために予算が計上されたことは評価するものです。

 その一方で、地域住民の声を無視し、県央ブロックごみ・し尿処理広域化推進事業が粛々と進められようとしています。県央ブロックごみ処理広域化計画について、環境部長が広域化によりごみ減量・資源化につながると述べた県沿岸南部の資源化率は、分別の徹底より焼却処理を優先させ大量のスラグを生成した結果であることが明らかになりました。
また、施設整備候補地検討にあたって松園・上米内地域町内との「覚書」が全く無視され、考慮項目にも入っていないことは重大な約束違反です。循環型社会形成とは逆行し、住民との約束を反故にする広域化計画は撤回するべきです。

 保育所の待機児童対策が社会問題になっており、当市においても緊急課題です。待機児童解消の上で施設整備とともに、他産業と比較して大きく下回っている待遇改善が喫緊の課題となっている中、28年度予算では、民間保育施設の定員弾力化に対応して新人保育士確保や賃金アップの費用として市が支出している保育所弾力化推進事業費補助金が半額に減額されました。定員の120%前後の子どもを受け入れ、保育環境の悪化や保育士の確保など厳しい中で努力している民間保育園の努力に水を差すものであり、保育士の待遇改善にも逆行するものです。盛岡市が進める公立保育園の全園民営化は、安上がりの保育を目標としたものであり、全体として保育士の待遇引き下げを進めるものとなっています。当市でも年度途中の10月時の待機児童は198人に上っていますが、公立保育園は全園民営化方針の中で対策が極めて消極的になっていると言いわざるを得ません。公立保育園こそ未満児保育の定数拡充を図るなど対策を強化すべきであり、全園民営化の方針は撤回・見直しすべきです。

 次に議案第9号平成28年度盛岡市後期高齢者医療費特別会計予算については、75歳以上の高齢者を年齢で差別するというこの制度自体に反対の立場から本議案には反対します。

 次に議案第22号職員定数条例の一部を改正する条例については、今回の改正では、職員定数の総枠は変わらないものの、学校用務員や収集センターの可燃ごみの委託職員の削減を行うものとなっています。
これまで当市議団でも指摘をしてまいりましたが、この間職員適正配置のもと職員の削減や正規職員から非正規職員への置き換えが進み、結果として職員のみなさんには過度の負担をかけることになっているのではないでしょうか。真に職員が心身ともに元気に仕事に取り組めるよう職員体制についても見直しを行っていくべきです。

その他、今議会で論点となったことについて意見を述べます。

 昨年の9月19日に安倍自公政権が強硬成立させた安全保障関連法(戦争法)が施行されようとしていますが、自衛隊が戦後初めて海外で事実上の戦闘行動に巻き込まれる危険が迫っています。今年も盛岡市出身者25名が自衛隊へ入隊予定ですが、海外で戦闘行動に参加させないためにも、この法律の施行をやめさせ、法律そのものの廃止へ自治体としても声を上げるべきです。
 
 東日本大震災から5年が経過しました。市内には、約1300人の方々が避難しており、当市が平成27年9月に実施したアンケート調査では、住宅再建への目途がなかなか立たないことや高齢化などにより、健康や経済面での不安が大きくなっています。このような被災者への支援を引き続き行うとともに住宅再建について市独自の支援を検討するよう求めます。
 
 子育て支援について、放課後児童クラブの設置については、市が条例で定めた設置基準の「経過措置」について期限を明確にし、少なくとも5年間で着実に施設整備が進められるよう具体的計画を示すべきです。その際に市が施設整備に責任を持つという立場から公設民営による整備についても検討するよう求めます。
また児童センターの運営に関しても事実上は放課後児童クラブと同等の事業を行っていることから、放課後児童クラブの基準を児童センターに適用し、児童が安心して生活できる場の確保や厚生員の配置についても見直しを行っていくよう求めます。
 学校司書配置計画は、平成28年度では1名増にとどまりました。9人の配置で18校を担当する計画ですが、平成28年1月現在で小学校37校、中学校10校が要望していることから見れば、大きく乖離しています。市教育委員会は、「学校司書の全校配置は、児童生徒の読書活動の充実のため必要」と認めており、今後、全校配置に向けて一層努力されるよう求めます。

 学校施設修繕については、小中学校の耐震補強事業が終了し、今後は、維持補修の強化が図られると期待しましたが、例えば、屋根補修工事では、平成28年度の計画では2校にとどまっています。予算の範囲内にとどまるのではなく、必要な個所については、財政措置をした上で、早急に対応されるよう要望します。
就学援助制度については、平成28年度から実施される「PTA会費」「生徒会費」については、小学生にも拡大するとともに、「クラブ活動費」を追加するよう、なお一層努力されるよう求めます。
 玉山地域の未給水地域における対策として飲用井戸等整備補助事業が実施されます。同じく未給水地域となっている上大ケ生地域でもこのような事業を地元の合意を得ながら早期に実施できるよう求めます。
 
 「おもてなし」を重点プロジェクトとしながら、緊急雇用事業が終了したことをもって盛岡駅北口の観光案内所を閉鎖することは問題です。再検討を求めます。
運営会社によって平成28年9月を持って閉鎖するとされた、盛岡バスセンターについては、公共交通の確保という点からも、また第2次中心市街地活性化事業の中心的事業となっていることから、盛岡バスセンターの再整備事業については、中央資本の動向に影響されない、文字通り地元資本による整備に向けて盛岡市が主導的役割を果たし、早急に方針を明確にするよう求めます。

 平成28年度盛岡市国民健康保険費特別会計予算については、低所得者世帯に対する一部負担金助成制度の利用回数制限の緩和など利用しやすい制度への改善が行われることが検討されていることは評価いたします。さらに助成対象を金沢市のように生活保護基準以上に見直しを行うなど制度のさらなる改善を求めます。
 平成27年度末の国民健康保険の財政調整基金の見込みは、約8億1200万円となっています。この基金を活用し高すぎる国保税引き下げが可能ではないでしょうか。また国からの低所得者に対する財政支援として全国では約1700億円、その内当市には約3億400万円が交付され、医療費の負担に使われておりますが、この交付金の本来の趣旨は低所得者への負担軽減となっていることから低所得者への保険税の負担軽減のために活用するよう求めるものです。

 平成28年度盛岡市介護保険費特別会計予算については、介護報酬の引き下げによる影響について当市が介護事業所へ実施したアンケートの中では、「収入減少」が82%、「職員削減」が6%に及んでいます。このままでは、安倍政権がスローガンとして掲げている「介護離職ゼロ」どころか職員の確保もますます難しくなるのではないでしょうか。さらに今議会で介護報酬の引き下げが市の計画する施設整備にも大きな影響を与えていることも明らかとなりました。平成27年度中に整備する予定だった小規模多機能施設や認知症グループホームの整備など15か所の整備計画が4か所にとどまっています。これらの問題を解決するために国に対しては、介護報酬の引き上げをするよう強く求めていただきたい。また平成29年度に本格実施予定の総合事業については、介護事業者から「地域の担い手が見つからず事業所へ事業が丸投げされるのではないか」「事業単価が低く設定されれば事業所としても引き受けるのは困難」など制度移行に対して危惧する声が聞こえております。専門職が行う事業単価については適正な単価設定を行うと同時に、要支援から移行する方々のサービスの後退がないよう制度の移行に当たっては十分な検討をするよう求めます。

「最低賃金の改善と中小企業支援の拡充を求める意見」の採択を求める請願については、労働基準法第一条で、「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を満たすべきものでなければならない」としています。しかし現在労働者の4人に1人が懸命に働いてもワーキングプアに陥っており、さらに賃金の地域間格差が生まれ、地方の地域経済を疲弊させる要因ともなっています。このよう状況を打開していくうえで最低賃金の引き上げと当市の経済の中心を担う中小企業の支援を拡充させて行く必要が有りますので今請願は賛成すべきです。
 以上です。