2015年6月定例会 鈴木努議員の一般質問

 
質問項目 (クリックするとジャンプします)
学校施設の改修について
  教育員会の計画と予算化の状況
  仙北小学校、乙部中について
  計画の見直し
特別支援員の配置について
  支援員の増員
  モデル事業の今後の生かし方
学童クラブについて
  待機児童の把握について
  ひとり親家庭児童の優先入所について
  指導員の待遇改善~規模と時期
  家賃への補助

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 質問  答弁
≪鈴木努≫学校施設の改修についてお伺いします。
当市における教育行政の中で、学校施設の整備については、たびたび議会でも指摘がなされてきたところであります。今年度学校施設の耐震化についてはようやく終わる見通しとなりましたが、未だ多くの学校で大規模改修や施設整備について急がなければいけない状況となっています。
 教育委員会が策定した、学校施設の維持管理計画は5カ年の計画で、大きくは計画的な改修・修繕と法的点検等による修繕に分けられ、小学校40校、中学校23校の屋根塗装や受水槽の改修、消防用設備の更新などをする予定となっております。

 これまで平成25年と26年では、この計画に対する事業はどの程度進んだのでしょうか、計画に対する事業数に対し、どの程度事業が行われたのか、計画の事業費に対して、どの程度予算化され、執行されたのかお知らせください。また今年度の計画に対し、事業費は確保されているものでしょうか、お伺いします。
この計画では、「仙北小学校の体育館の屋根の雨漏り修繕」の計画も出されております。

 仙北小学校の体育館については、天井を見上げますといたるところ修繕した個所が見受けられますが、今年の10月から行われる耐震化工事と同時に雨漏りの対応として体育館の天井部分全体についても改修できないものでしょうか、お伺いします。

 教育委員会が策定した5カ年の維持管理計画を見ますと、計画にはないものの実際には改修が急がれる施設もあります。その一つとして、乙部中学校の屋根についてでありますが、校舎の表側から見ますと屋根は元の色がわからないほど錆がひどくなっています。学校関係者のお話では、「数年前から屋根の塗装については要望をだしている」とのことでありますが、なぜあれほど傷んでいる屋根が計画に盛り込まれなかったのか甚だ疑問に思われます。
 教育委員会では「雨漏りするまでは問題ない」という認識なのでしょうか。早期の改修が必要なのではないでしょうか、お伺いします。また、乙部中学校の屋根のように著しく錆がひどい屋根について計画に盛り込まれていないのであれば、そもそも計画自体実態に即した計画となっていないのではないかと思われますが、いかがでしょうか、計画全体の見直しについても検討するべきではないでしょうか、お伺いします。

≪千葉教育長≫  平成25年と26年の学校施設維持管理計画の、計画事業数と実施事業数についてでありますが、小中学校を合わせて、平成25年度は、計画事業数18に対し実施事業数106、26年度は、計画事業数206に対し実施事業数は77であります。
 次に、計画事業費に対する状況についてでありますが、小中学校を合わせて、25年度は、計画事業費3,925万円に対し実績額2億8,201万5千円、26年度は、計画事業費2億3,472万4千円に対し実績額1億2,546万5千円であります。
 事業数や事業費において、計画と実績とで大きな差異がありますのは、25年度は、地域の元気臨時交付金を活用するなどによりトイレ洋式化、インターホン設置、遊具修繕などを補正予算により実施したことによるものであり、26年度は、修繕を前提し実施する計画としたことから、計画事業費の方が大きくなったものであります。
 次に、27年度の計画に対する事業費の状況についてでありますが、計画事業費2億4,264万7千円に対し予算額1億3,452万5千円であります。
 次に、仙北小学校体育館の耐震化工事と同時に、天井全体の改修はできないか、についてでありますが、仙北小学校体育館の耐震補強工事においては、屋根部分は対象外であることから、天井改修を行う場合は、別途予算確保が必要であり、同時にはできないものであります。
 次に、錆がひどい屋根の早期改修の必要性についてでありますが、学校施設を長く安全に使い続けるためには、適切な維持管理と長寿命化の視点に立った保全を、計画的に行う必要があるわけですが、錆がひどい状態となった場合は、塗装などによる修繕を、急いで行うことが必要であるものと存じます。
 次に、維持管理計画全体の見直しの検討についてでありますが、現計画において、修繕項目や計画事業費が、実際の実施状況と差異があることから、計画の見直しが必要であると認識しており、改訂に向けて作業をすすめているところであります。

≪鈴木努≫特別支援員の配置についてお伺いします。
 発達障がいなどにより、個別に配慮が必要な生徒に対し、通常の学習活動に参加できるよう担任の補助を行うために、当市ではスクールサポート事業として支援員(スクールアシスタント)を配置しています。今年は、市内の小中学校等に54人の支援員が配置されています。現状では、各校に1名ずつの支援員の配置となっていますが、児童多い学校では支援員の増員について望む声もありますが、増員についてどのようにお考えでしょうか、学校の規模に配慮した人員配置について検討できないものでしょうか、お伺いします。

 今定例会の補正予算では、特別支援教育モデルスクール事業として、発達障がいの可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童・生徒への対応を進めるため、飯岡小学校と羽場小学校の2校をモデルスクールとして支援体制の構築をしてくとのことでありますが、この事業をもとに今後の特別支援教育にどのように生かしていくつもりでしょうか、合わせて、今後特別支援教育を充実させるために当市ではどのような取り組みをしていくのかお伺いします。
≪千葉教育長≫ 次に、支援員の増員についてでありますが、発達障がいの診断を受けている児童生徒数が、増加傾向にあることや、各小中学校からの支援員の増員要望もありますことから、必要な予算を確保するよう、努めてまいりたいと存じます。また、支援員の学校の規模に配慮した人員配置については、各校の活用状況を十分に見極めながら、検討してまいります。
 次に、特別支援教育モデルスクール事業の、活かし方についてでありますが、本事業で得られた成果等を実践報告書としてまとめ、市内幼稚園・保育所、小中学校等への配布、市障がい児教育推進協議会における報告など、広く周知するとともに、研修会を開催し、支援員の指導力向上に役立ててまいりたいと存じます。
 
 次に、今後の特別支援教育充実のための、本市の取組についてでありますが、教員が、発達障がい等の障がいを抱える児童生徒の特性について、正しく理解するための研修の充実を図るとともに、それぞれの子どもの状況に応じて、保護者や関係機関と連携をとりながら、適切に対応することができるように、特別支援教育に精通している教員や、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーを配置し、各学校の支援体制をサポートしてまいりたいと存じます。
≪鈴木努≫学童保育クラブについてお伺いします。
 「こども子育て支援新制度」により、今年の4月から就学前の保育、教育、子育て支援の制度と同時に、就学後の子どもの放課後生活を守る学童保育の制度や施策が大きく変わりました。
 国と地方自治体では、2012年8月の「子ども・子育て関連3法」の可決・成立以降、施行予定とされた今年の4月1日を迎えるまでに、国は制度の骨格や事業計画策定指針を作成し、必要とされる法律や省令の交付、財源措置の仕組みづくり、運営指針の策定や実施体制が整備されてきました。当市においても、法律や省令に基づき、必要とされる条例や規則の制定、事業計画の作成、実施要綱などの整備、財政措置、実施体制が整備されてきたところであります。
 全国では、国が定めた法律や省令、基準、運営指針、財政措置などについて市町村や都道府県の受け止め方がさまざまで、決められたことに十分に基づかない形でスタートしたところや必要な財政措置がされていないといった問題も生まれているとのことであります。
 新たに始まった子ども・子育て支援新制度のもとで、様々な課題や問題がある中で、学童保育の制度・施策が学童保育本来の役割に沿って実施がなされるようこれからの市の施策に期待をしながら、何点か質問をさせていただきます。
 全国学童保育連絡協議会が定期的に行っている実態調査をもとに、学童保育クラブが必要される量には「まだまだ足りない」こと、「条件整備が遅れている」ことを提起しています。
 2014年5月末現在で全国では、学童保育数が2万2096か所に対し、入所児童数は93万3535人となっています。この11年の間に施設は8299か所増え、利用児童は40万増えています。その他にも「住んでいる地域に学童保育がない」「学童保育があっても保育料が高くて利用できない」「学童保育の終わる時間が早く利用しづらい」など学童保育の整備が遅れていることにより、「潜在的な待機児童」も40万人以上いると推計されています。
 当市においては、昨年まで県が学童保育クラブの待機児童数の調査を行っていたことによりその人数を把握していたと思いますが、制度が新たに始まった現在の状況はどのようになっているのでしょうか。お伺いしたします。また全国では、40万人以上いると推計されている「潜在的な待機児童」について市としてもその把握に努める必要があると思いますが、いかがでしょうか、お伺いします。
 今年4月に施行された「岩手の子どもを健やかに育む条例」に基づく基本計画として、子育てにやさしい環境づくりや、子どもの健全な育成などを総合的・計画的に推進するための基本的な考え方と施策の方向を明らかにした実施計画として「岩手子どもプラン」が作られております。この計画は、次世代育成支援対策推進法第9条に基づく岩手県行動計画として位置づけられており、同法の期限が平成37年まで10年間延長されたことを踏まえ、平成27年度から平成31年までの5年間を計画期間とする前期行動計画として改定されたものです。
 この計画には、ひとり親家庭が自立して安定した生活を送ることができるよう、施策の一層の推進を図るために新たな「岩手県ひとり親家庭等自立支援促進計画」が盛り込まれています。その中の子育て支援・生活環境の整備に関して、「仕事と子育ての両立のため、ニーズに応じた保育所の優先入所等が確保されていることが必要」との課題があげられており、施策の推進方向として仕事と子育ての両立支援の充実を図るため、保育所への優先入所、放課後児童クラブの優先利用、保育ニーズに対応した保育所の整備や地域子育て支援センターや児童館、放課後児童クラブの利用促進による、子育て不安の軽減を働きかけることが明記されています。この計画の中の「ひとり親家庭の放課後児童クラブの優先利用」について、当市ではどのように取り組んでいくのかお伺いします。
 現在、ひとり親家庭に対して、独自に保育料の軽減を実施しているところもありますが、市としてもひとり親家庭に対する基準の策定や保育料の軽減についても実施していく必要があると思いますが、いかがでしょうか、お伺いします。
 先に述べた、待機児童の状況把握や学童保育クラブの優先利用については、平成27年の3月30日付で「放課後児童健全育成事業の留意事項」を出して、「情報収集」関する市町村の役割を促しています。
 この中には、待機児童の状況の把握や入所に際の情報提供、優先利用については、ひとり親家庭の他にも生活保護世帯、虐待やDVのおそれのあることに該当する場合などの社会的養護が必要な場合などの例があげられておりますが、この通知を受けて、当市では、どのように対応をしていくつもりなのかお伺いします。
 今定例会には、学童保育クラブの運営費に関わる補正予算が計上されておりますが、その詳細についてお知らせください。また運営費に関わり、施設の家賃の負担が運営に大きく影響していることから、家賃を負担している学童からは、現在の家賃加算の見直しを求める声がでておりましたが、その点については改善されるのでしょうかお伺いします。

 学童保育クラブ指導員の待遇改善についてお伺いします。子ども・子育て支援法の附則では、「政府は、質の高い教育・その他の子ども・子育て支援の提供を推進するため、幼稚園教諭、保育士及び放課後児童健全育成事業に従事する者等の処遇の改善に資するための施策の在り方並びに保育士の資格を有するものであって現に保育に関する業務に従事していない者の就業の促進その他の教育・保育その他の子ども・子育て支援に係る人材確保のための方策について検討を加え、必要があると認めた時は、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする」とされ、法律の附則に指導員の処遇改善について明記されたところであります。
 2014年度の政府予算から、子ども・子育て支援新制度の先行実施が行われ、学童保育については、「放課後児童クラブ開所時間延長支援事業」という補助金の中で、クラブ1カ所につき指導員の待遇改善に使われる156万円を加算するとして総額では、154億円が予算化されました。しかしながらこの予算については、年度途中で示されたことや実施要綱がわかりづらく、使い勝手が悪いことから全国でも申請自治体が2割にとどまり、当市においても実施されなかったところであります。
この補助金については、2015年度の政府予算で、「放課後児童支援員等処遇改善等事業」と名称が変更され、「常勤」の指導員について定義づけされたところです。

 2012年の全国学童保育連絡協議会の調査によれば、7割弱の指導員が年収150万円以下となっており、当市でも指導員の募集をしてもなかなか応募者が集まらない状況が生まれているとのことでありますが、今回の国の事業により指導員の処遇改善が期待されるところでありますが、当市ではどの程度の改善が見込まれるのか、その見通しについてお知らせ願います。また北上市では、6月議会で、処遇改善の予算を含め、運営費の増額が予定されているところでありますが、当市では、いつごろ実施される予定であるのか、お伺いします。

≪谷藤市長≫ 鈴木努議員のご質問にお答え申し上げます。
 はじめに、ひとり親家庭の放課後児童クラブの優先利用についてでありますが、母子及び父子並びに寡婦福祉法において、放課後児童健全育成事業を行う場合は、母子家庭の福祉が増進されるよう特別の配慮をしなければならないとされており、子育て環境が確保され、安心して働くことができることは、ひとり親家庭の経済的自立につながるものと存じておりますことから、市といたしましても、放課後児童クラブの事業主体に協力要請してまいります。
 次に、「放課後児童健全育成事業の留意事項」の通知を受けての市の対応についてでありますが、早い段階で各クラブの申し込み状況を把握し、利用を希望する保護者に対し、情報提供することは、「小1の壁」を打破し、待機児童を未然に防ぐ有効な仕組みと存じますので、その体制を早急に構築してまいりたいと存じます。
 また、社会的養護が必要な家庭に対して、放課後児童クラブを優先利用させることは、子どもが放課後を安全・安心に過ごすことができ、心身ともに健やかに成長する一助になると存じており、クラブの事業主体に協力要請してまいります。

 次に、支援員の処遇改善がどの程度見込まれるのかについてでありますが、国では、放課後児童クラブ1か所につき家庭・学校等との連絡及び情報交換等に主担当として、非常勤職員を配置した場合は、賃金改善経費として最大153万9千円を、また、地域との連帯・協力等も併せて主担当として常勤職員を配置した場合は、賃金改善経費として最大283万1千円を、いずれか補助するとされたところであります。
 市といたしましては、放課後児童クラブは、放課後や週末等に児童が安心して活動できる場所としての役割を担っておりますことから、この補助金を活用し、児童支援員の処遇改善を図り、人材確保につなげてまいりたいと存じます。
 次に、処遇改善をいつごろ実施するかについてでありますが、国から示された要綱等に不透明な点があったことから、現在、照会中であり、内容が確認でき次第、放課後児童クラブ関係者への説明会を開催し、早急に実施してまいりたいと存じます。



≪熊谷保健福祉部長≫学童保育クラブの待機児童数の調査の現在の状況についてでありますが、国の調査は、毎年5月に実施しておりましたが、子ども・子育て支援新制度の開始に伴い、新たに項目の追加等を検討中として、7月以降に実施するとの連絡を受けているところでございます。
 次に、「潜在的な待機児童」の市としての把握の必要性についてでありますが、昨年、市で実施したニーズ調査において、放課後の過ごし方で、放課後児童クラブを利用している就学児童が7.7パーセントに対して、就学前児童のうち小学校に入学した後に、放課後児童クラブを利用したいと希望している児童が26.8パーセントとなっております。
 「盛岡市子ども・子育て支援計画」では、平成31年度までに待機児童をゼロとするとしておりますので、「潜在的な待機児童」の把握に努め、放課後児童クラブの整備を推進してまいりたいと存じます。

 次に、ひとり親家庭の保育料に対する市独自の基準の策定や軽減についてでありますが、昨年実施した各クラブの実態調査において、2つのクラブより母子家庭等の保育料軽減の補助要望を受けたところです。また、東北の中核市及び県庁所在地に対して調査したところ、ひとり親に対する保育料の減免分を一部補てんしているのは1市ということで、これらの調査結果を踏まえ、どのような支援が放課後児童クラブに有効なのか、さらに検討してまいりたいと存じます。

 次に、補正予算の詳細についてでありますが、第一に学童クラブの運営費の基本額が、児童数の一定の人数区分による単価設定から児童数に応じた基準額に変わっております。
 第二に開設加算の単価が増額になっております。
 第三に、障がい児加算が、単価の増額に加えて、該当クラブ数が8クラブから13クラブに増えております。
 第四に、新規といたしまして、授業終了後に学校から学童クラブへバス等で送迎を行う経費を補助する「放課後児童クラブ送迎支援事業」では3クラブに、19人以下の小規模クラブにおける2人目以降の支援員の人件費を補助する「小規模放課後児童クラブ支援事業」では1クラブに補助を行おうとするものであります。
 また、市単独分としては、国の運営費基準額が45人を超えると逓減されることから、その人数以上のクラブに対し、45人規模の運営費を維持する分として補てんする額を増額しようとするものであります。
 次に、家賃加算の見直しについてでありますが、学童クラブの調査をした際に、家賃加算を行っている13クラブのうち、家賃加算の増額を要望しているクラブが6クラブありましたが、他のクラブからは家賃のかからない学校の余裕教室を使いたい旨の要望もあったことから、支援の手法について有効性など検討してまいりたいと存じます。