≪鈴木礼子≫次に子どもの貧困対策と支援施策について伺います。
子どもの貧困率が16・3%になり、子どもの6人に1人が貧困世帯にあるという現実を重く受け止めています。
川崎市で中1の男子生徒が仲間に殺されるという痛ましい事件が起きました。生徒の家庭は母子世帯で母親は夜遅くまで働き、子どもがトラブルに巻き込まれていることを分かっていても時間がなく、かかわることができなかったと痛恨の思いを手記で述べておられましたが、二度と再びこのような悲惨な事件を起こしてはならないとの思いです。
貧困と格差が広がる中で、空腹を抱える子、夜も一人ぼっちで過ごす子、虐待と連動するケースなど深刻な事態が私たちのすぐ隣でおきていると受け止めざるを得ない現実が広がっています。
特に、母子世帯の貧困率は54%にものぼり、社会構造上の問題として女性の地位の低さを痛感しています。シングルマザーの方が深夜労働やダブル・トリプルワークをしなくても済むような経済的な支援が緊急に求められているのではないでしょうか。
国は、子どもの貧困への対策強化を言いながら生活保護基準の引き下げ、それに連動して就学援助が受けられない子どもがでることも危惧されますが、当市の実態はどうですか。ましてや児童扶養手当の削減などは論外といわなければなりません。
同時に、非婚のひとり親家庭への経済的負担の軽減が急がれます。寡婦控除を非婚に適用し保育料や公営住宅家賃の軽減が図られていますが、市の対応と課題についてお知らせください。
「子どもの貧困対策大綱」では「学校を子どもの貧困対策のプラットホームに」と位置づけ総合的な貧困対策に着手するとし、スクールソーシャルワーカーの配置や学習支援、就労支援の強化を図るとしていますが、市の実態はどうですか。。
学校は、就学援助制度の周知や子どもの状況把握など教育の現場として果たす役割は大きく、貧困の実態把握の上でも市教委の対応が重要になっているのではありませんか。対応と課題についてお知らせください。あわせて、子どもの貧困問題について教育長のご所見をお聞かせください。
次に就学援助制度の未支給問題について
この間、党市議団は経済的な理由で学ぶ機会を損なうことのないよう、せめて就学援助制度の未支給となっているクラブ活動費、PTA会費、生徒会費の3費目の早期実現を求めてきましたが、残念なことに今年度も財政事情を理由に予算化はされませんでした。
伺いますが、就学援助と生活保護の教育扶助を受けている児童及び生徒数と全校児童・生徒数に占める比率についてここ10年間の推移も合わせてお知らせください。
また、3費目のそれぞれの支給金額と総額費用についてお知らせください。
県内33自治体ではすでに25自治体が支給済みで、うち3費目を完全支給しているのが15自治自、一部支給が10自治体です。未支給の8自治体は盛岡市・雫石町を除き久慈市・釜石市・大槌町・山田町・洋野町の被災自治体です。
県内自治体との比較から見ても市の対応は、「子どもの貧困」を解決するという立場からはほど遠い対応となっているではありませんか。
経済的に恵まれない家庭の子どもの中には、最初から費用のかかる部活動をあきらめているという切ない声も届いています。これからでも補正を組み4月からさかのぼってでも実施すべきではありませんか。早期支給を求めますが、いかがですか。
次に就学援助制度の活用改善について
東京都板橋区は、平成23年度から中学校の入学準備金を3月末に支給するよう変更し、入学準備金が入学に間に合わない不合理をなくする方向で対応しています。
仮認定制度をつくり正式認定がされる7月まで、4月から6月分を前もって支給する制度を実施しています。就学援助のお知らせもわかりやすく改善しています。
また、横浜市は申請が年度途中になっても経済的困難が年度当初からの場合は、4月までさかのぼって支給しています。
当市の実態と改善工夫についておしらせください。先進地の例を参考にしつつ制度の周知徹底、支給方法の改善を求めるものですが、いかがですか。 |
《千葉教育長》 次に、国の生活保護基準の引き下げに伴う本市の就学援助の実態についてでありますが、本市では、見直し前の基準を適用しておりますので、国の基準引き下げに連動して、就学援助が受けられない子どもはいないものであります。
次に、子どもの貧困の実態把握における市教委の対応と課題についてでありますが、学校では、就学援助制度の周知をチラシの配布等により実施し、学校での児童生徒の状況把握に努めており、必要に応じて、関係機関と連帯を取るなどしながら対応しております。
課題としては、問題を抱えた保護者との面談が難しい場合などがありますので、福祉の専門家であるスクールソーシャルワーカーによる、教育相談体制を整備していくこと、等が挙げられます。
次に、子どもの貧困問題についての所見についてでありますが、次代を担う子どもたちが、家庭の経済状況にかかわらず、十分な教育を受けられるよう、その実現に向け、総合的に取り組んでいかなければならないものと存じております。
次に、就学援助と生活保護の教育扶助を受けている児童生徒数の推移でありますが、平成17年度は、資料を、持ち合わせておりませんので、平成18年度以降9年分について、児童生徒数、就学援助認定者の人数及びその割合をお知らせいたします。
まず、小学校ですが、
18年度は、全児童数15,958人、
就学援助認定者1,106人、割合6.93%、教育扶助認定者171人、割合1.07%
19年度は、全児童数15,741人、
就学援助1,159人、7.36%、教育扶助184人、1.17%
20年度は、全児童数15,642人、
就学援助1,289人、8.24%、教育扶助192人、1.23%
21年度は、全児童数、15,607人
就学援助1,319人、8.45%、教育扶助196人、1.26%
22年度は、全児童数、15,477人
就学援助1,366人、8.83%、教育扶助234人、1.51%
23年度は、全児童数、15,395人
就学援助1,418人、9.21%、教育扶助254人、1.65%
24年度は、全児童数、15,168人
就学援助1,425人、9.39%、教育扶助274人、1.81%
25年度は、全児童数、15,127人
就学援助1,382人、9.14%、教育扶助254人、1.68%
26年度は、全児童数、14,905人
就学援助1,312人、8.80%、教育扶助248人、1.66%
続きまして、中学校ですが、
18年度は、全生徒数8,412人、
就学援助認定者657人、割合7.81%、教育扶助認定者109人、割合1.30%
19年度は、全生徒数8,280人、
就学援助681人、8.22%、教育扶助109人、1.32%
20年度は、全生徒数8,037人、
就学援助722人、8.98%、教育扶助114人、1.42%
21年度は、全生徒数7,874人
就学援助787人、9.99%、教育扶助132人、1.68%
22年度は、全生徒数7,663人
就学援助856人、11.17%、教育扶助143人、1.87%
23年度は、全生徒数7,759人
就学援助868人、11.19%、教育扶助161人、2.08%
24年度は、全生徒数7,731人
就学援助841人、10.96%、教育扶助170人、2.20%
25年度は、全生徒数7,695人
就学援助781人、10.15%、教育扶助167人、2.17%
26年度は、全生徒数7,648人
就学援助797人、10.42%、教育扶助141人、1.84%
となっております。
次に、3費目のそれぞれの支給金額と総額費用についてありますが、国の、平成27年度、要保護児童生徒援助費補助金の予算単価は、クラブ活動費が小学校2,710円、中学校29,600円、生徒会費が小学校4,570円、中学校5,450円、PTA会費が小学校3,380円、中学校4,190円となっております。なお、本市における今年度の就学援助認定見込数は、小学校1,265人、中学校803人であり、仮に、3費目をこの単価で全部支給したとすると、
小学校1,348万4,900円、中学校3,150万9,720円
合計で4,499万4,620円となる見込みであります。
次に、補正を組み、4月からさかのぼって実施することの検討についてでありますが、就学援助にあたっては、補正を組んで、年度途中での新たな費目の追加や支給は、考えておらないところでありますが、28年度からの段階的導入に向けて、鋭意取り組んでまいりたいと存じます。
次に、就学援助制度の活用改善についてでありますが、就学援助の周知方法については、広報もりおかによりお知らせするほか、新入生には、入学説明会の際に、在校生については、前年度の3学期に、学校を通して全家庭にチラシを配布して、周知に遺漏が無いように取り組んでおります。
また、就学援助の認定にあたっては、失業等により年度途中に、家計に急変があった場合には、前年度の収入によらず、家庭の状況により柔軟に対応しているところであります。
今後につきましては、他都市の事例を参考にしながら、支給方法等について調査・研究してまいりたいと存じます。
以上、ご質問にお答えいたしました。
《熊谷保健福祉部長》 非婚のひとり親家庭への経済的負担の軽減についての市の対応についてでありますが、「盛岡市子ども・子育て支援事業計画」に載せておりますとおり、みなし寡婦控除制度を、保育料につきましては、9月の保育料の切り替え時から導入することとし、現在準備を進めているところであります。また、市営アパートの住宅使用料につきましても、次年度からの導入に向け取り組んでいるところであります。
次に、課題についてでありますが、みなし寡婦控除制度の適用にあたっては、本人の申し出によるものであることや新たな制度であることから、制度の周知を図ることが挙げられます。 |