質問 |
答弁 |
≪神部伸也≫子育て支援について
今年3月に策定された「盛岡市子ども・子育て支援事業計画」によると、市に対して充実を望む子育て支援策(複数回答可)は、就学前児童の保護者で最も多いのは、「子連れでもでかけやすく楽しめる場所を増やしてほしい」70.1%で、次いで、「保育所や幼稚園にかかる費用を軽減してほしい」63.7%、が群を抜いて多くなっており、それに続いて「子どもが安心して医療機関を受診できる体制を整備してほしい」36.2%が3番目に高い項目となっています。就学児童の保護者では、「子どもが安心して医療機関を受診できる体制を整備してほしい」が一番多く51.9%、次いで、「子連れでも出かけやすく楽しめる場所を増やしてほしい」41.4%、「企業に対しての職場の改善を働きかけてほしい」36.4%、「保育所や幼稚園にかかる費用を軽減してほしい」36.2%、上位となっています。いずれも切実な要望であり、こうした市民の願いにこたえる子育て支援の前進を切に願うものです。子育て支援の取り組みは多岐に渡りますが、私は、経済的支援を中心にお伺いいたします。
まず、こどもの医療費無料化の取り組みについてです。
子どもの医療費無料化の取り組みは、2014年4月現在で、すべての都道府県で実施され、通院費について中学校卒業までが930自治体、それ以上が204自治体にのぼり、全自治体の65%に上っています。
山形県では、全35市町村で所得制限なしで中学3年まで子どもの医療費無料化の実現へ大きく前進する運びとなっているそうです。35市町村のうち、外来入院などで一部負担金がある米沢市を除き、34自治体が中学3年生まで通院、入院とも窓口負担もなくなる完全無料化となるとのことです。山形県は、2012年度に所得制限撤廃、13年度に入院費助成を中学3年生まで拡大。14年度から対象を就学前から通院の助成対象を小学3年生までに拡大したことが、市町村の子どもの医療費助成制度拡大の後押しとなっています。
岩手県では、20年ぶりに償還払いから窓口無料の現物給付化への転換が実現されます。そして、対象年齢については、10年ぶりに県として入院費のみ小学校卒業まで拡充される運びとなりました。そこには、言うまでもなく、県民の粘り強い運動があり、県議会を動かし、県政を動かしたのです。昨年12月議会の一般質問でも紹介しましたが、「子どもの医療費助成制度拡充を求める岩手の会」が取り組んでいる署名は、昨年12月1日時点でわずか2カ月余の取り組みで3万654筆にのぼりましたが、その後も引き続きの運動によって、現在は、6万9,280筆にまで広がっているとのことであります。
現在の、岩手県内の各自治体の取り組み状況は、今や中学校卒業まで医療費無料が大勢となっています。高校卒業まで無料が、今年8月から実施予定の2自治体を加えて10自治体に広がり、中学校卒業までが、宮古市、久慈市、遠野市、一関市、陸前高田市をはじめ13自治体となっています。岩手県内33自治体のうち23自治体、約7割にのぼります。こうした中で、もっとも取り組みが遅れているのが盛岡市です。私たち共産党市議団は、対象年齢の拡大を繰り返し求めてきましたが、昨年度、やっと入院費のみ小学校卒業まで拡大されましたが、通院費は就学前までのままです。これと同様なのが矢巾町でした。ところが、矢巾町は、6月議会に、医療費助成を小学校3年生まで拡大するための補正予算を計上し提案しました。新聞によると、高橋昌造矢巾町長は、「結果を分析しながら、更なる拡充を検討する」と一般質問に答えており、また、住民課長も、「今後の対象拡大に向けて給付状況を把握したい」とし、来年度以降の段階的な拡大も検討する方針との報道でした。こうした全国や県内の動きを市はどのように捉えていますか。他の自治体と比べ、盛岡市の取り組みについてはどのように認識・評価していますか。岩手県の対象拡大に伴って、盛岡市では今後どこまで拡大していくお考えですか。お伺いします。
岩手県の試算では、小学校卒業まで拡大した場合の県費負担を約3億9千万円、中学校卒業まで拡大した場合は約6億円としています。盛岡市での負担はどのくらいと試算しているのか、お示し願います。
県内で大勢となっている中学校卒業まで通院含め無料化の実施を求めるものですが、いかがでしょうか。市長のご所見をお伺いします。 |
≪谷藤市長≫神部伸也議員のご質問にお答え申し上げます。
はじめに、子どもの医療費無料化の全国や県内の動きをどう捉えているかについてでありますが、議員ご指摘のとおり、全国や県内の動きを見ますと、小学校以上までに対象を拡大している自治体が増えているものと認識しております。
他の自治体と比べた本市の取り組みの認識・評価と子ども医療費助成対象拡大の考えについてでありますが、これまで、本来、国の責任において全国一律に行うべき施策であること、持続可能な自治体経営の観点から継続的に財源確保をする必要があることなどから、小学生の入院費の無料化以降も、前向きに検討を重ねてまいったところでございます。
そのような中で私は、多くの市民、特にも子育て世代の皆様が強くの望んでおられる子ども医療費の無料化は、子育て施策全体の中でも特に優先度の高い施策であると判断し、解決すべき課題はありますものの、来年度から小学生医療費助成を通院まで拡充する方向で準備を進めてまいりたいと考えております。
また、中学生までのさらなる対象拡大につきましても、引き続き、財源確保の努力をしながら、できるだけ早期の実現を目指してまいりたいと存じます。
次に、本市の小学生医療費給付事業を通院まで拡充した場合の負担についてですが、本市の実態に近い数値ということで、県内都市で小学生医療費を実施している9市の平成25年度の給付額の平均の比率、入院が約8%、通院が約92%にあてはめますと、本市の通院費は約1億3千800万円と試算されます。
さらに、中学生まで拡大した場合には、入院、通院合わせまして約7千万円ほどと見込まれるものでございます。
なお、本市全体の年齢別の数値は把握しておりませんので、厳密な試算ではないことをご理解願います。
また、小学校卒業までの医療費及び中学校卒業までの医療費の市負担の試算につきましては、県から算定基準が示されていないことから、お答えできかねますのでご了承願います。
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≪神部伸也≫次に、インフルエンザ予防接種補助についてお伺いします。
インフルエンザにより休業措置をとった市内の学校は、昨年の9月以降今年の6月3日現在まで、小学校から高校までのべ96校にのぼり、今月上旬も中学校で学級閉鎖となるなどインフルエンザによる影響が続いています。休業措置は授業の遅れになりますが、とりわけ受験シーズンには、学校側も神経をとがらせて大変苦労なさっているとお聞きしています。そういう意味では、予防接種をしっかり受けることが重要となってきます。
インフルエンザ予防接種は、市内でもバラつきがありますが平均して3,000円程度となっており、2回接種が必要なので、子どもが2人だと1万2千円、3人だと1万8千円と負担がかなり重くなります。現在、盛岡市では0歳児から就学前までの乳幼児に対して1回につき1,000円補助を行っていますが、対象の拡大が求められます。
県内のインフルエンザ補助状況は、全住民を対象にしているのが3自治体、19歳未満としているのが遠野市の1自治体、高校3年生までが3自治体、中学校3年生までが16自治体で、医療費助成と同様に中学校3年生まで補助対象にしている自治体が約7割に上っています。補助金額では、全額補助が3自治体、3,000円が2自治体、2,000円が15自治体、1,500円(2回目1,000円の場合も含む)が7自治体で、ここまでで27自治体。1,000円以下は7自治体です。こうした状況を見ても、やはり盛岡市の支援水準は県内でも遅れたものとなっています。先の3月議会で、鈴木努議員が質問しましたが、「他団体の状況も考慮しながら・・」ということでしたので、対象年齢も補助金額についても拡大の方向で検討するべきであります。ご所見をお伺いします。
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≪熊谷保健福祉部長≫ インフルエンザ予防接種助成の拡大についてでありますが、インフルエンザ予防接種の助成につきましては、平成15年度から、3歳以上6歳未満の幼児に対し、1回につき1,000円の補助を行い、22年度からは、その対象を0歳から小学校就学前の6歳児までの乳幼児に拡大したところであります。
市といたしましても、インフルエンザ予防接種助成の拡充につきましては、子ども・子育てに支援に資するものであると存じておりますが、現在、国において定期接種の対象ワクチンの追加が検討されているところでもありますので、国の動向を注視しながら、他団体の状況を考慮し、限られた予算の中で、その優先順位を考えてまいりたいと存じます。
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≪神部伸也≫次に、保育料の軽減についてお伺いします。
今年度、平成27年度の国の保育所保育料徴収金基準額に対する保育料の軽減率は、昨年度(平成26年度)と同様の33.2%とのことです。
比較可能なデータで、平成25年度決算で比較させていただきますが、この時の盛岡市の保育料軽減率は32.7%です。岩手県内13市の中で、下から4番目の水準です。最も進んでいるのが八幡平市で59.1%。これを含めて50%台が5自治体に上ります。40%台が4自治体です。盛岡市の上が花巻市で34.4%です。多子世帯無料制度については、第3子無料が、八幡平市、陸前高田市、一関市、二戸市、奥州市、滝沢市の6自治体、第2子以降無料が釜石市で実施されています。ここでも盛岡市の取り組みは遅れたものとなっています。保育料軽減率を抜本的に引き上げるとともに、第3子無料にふみ出し、子育てを応援すべきです。今後の見通しについてお知らせ下さい。
3月議会で鈴木礼子議員が取り上げた「年少扶養控除廃止に伴う保育料」問題についてです。私自身の頭の整理のために、あらためてこの問題の内容を述べたいと思います。
保育料は前年の所得税額によって決まります。この間、2010年の年少扶養控除廃止に伴う所得税額が保育料に連動しないよう、控除相当額を税額から差し引く「再計算」が行われてきました。しかし、新制度への移行に伴って、厚生労働省が「再計算はおこなわない」としたことから3人以上の子どもをもつ世帯の保育料値上げが懸念されていました。
鈴木礼子議員の質問には、「既に入所している児童については卒園するまで、廃止前の年少扶養控除等を反映させて計算した額をもって保育料とする経過措置を講ずる」と答えていますが、現在の状況についてお知らせ下さい。
3月9日に内閣府が改定した『自治体向けFAQ=よくある質問=【第7版】』の中では、「市町村の判断で新規利用者も年少扶養控除を加味して利用者負担額を設定することを妨げるものではありません」と追加されているとのことです。経過措置で既に入所している児童についてのみ対象とするのではなく、新規利用者についても年少扶養控除を加味して「再計算」をして多子世帯の負担額を軽減すべきです。そして、やってもいいけど金は出さないという状況のようですので、国に対しても予算措置をしっかりと行うよう求めて頂きたい。いかがでしょうか。 |
≪熊谷保健福祉部長≫次に、保育料軽減率に引き上げについてでありますが、市の保育料軽減率は、平成25年度決算について、全国の中核市で比較いたしますと、40市のうち12番目という状況でありますが、少子化対策を推進するうえで、限られた予算をどの分野へ配分することが有効かの観点から、保育料軽減率を検討してまいりたいと存じます。
また、第3子以降の保育所保育料の無償化につきましては、先ほど市長が答弁いたしましたとおり、全国市長会を通じて、要望してまいりたいと存じます。
次に、保育料の経過措置の現在の状況についてでありますが、新制度への移行前から入所している児童につきましては、負担増とならないよう、廃止前の年少扶養控除等を反映させて再計算した額をもって保育料とする経過措置を継続しているところであります。
また、新たに入所した児童については、再計算しておりませんが、該当する児童が第3子以降であることから、第3子以降の保育所保育料の補償化を国に要望することで、多子世帯の経済的負担軽減につながるものと存じます。
≪谷藤市長≫ 次に、国に対して多子世帯の保育料軽減の予算措置を求めていくべきではないかについてでありますが、閣議決定された「少子化社会対策大綱」において、多子世帯への一層の配慮を行い、3人以上子どもが持てる環境を整備することとされており、幼稚園、保育園等の第3子以降の保育料無償化の対象拡大に向けて国で検討することとしていることから、多子世帯への配慮について、国に対し予算措置を講じるよう、全国市長会を通じて要望してまいりたいと存じます。
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≪神部伸也≫ 次に、病児・病後児保育の拡大の見通しについてお伺いします。
これについては、盛岡市子ども・子育て支援事業計画で位置付けられました。病児・病後児保育は、年間をならしてみると「提供体制を確保している」となりますが、計画でも述べられている通り、感染症の流行時期には、定員6人・市内3施設では、すぐに満杯となり、親としては大変苦労します。同様に、地域的バランスも問題で、朝のラッシュ時で、私の自宅から近いところでも車で約10分、他の2施設へは30分以上かかる時もあります。計画では、地域的バランスにも配慮すると位置付けられていますので、早く検討していただき、施設を拡大していただきたいと思いますが、今後の見通しについて、スケジュールなどが決まっていれば合わせてお知らせ下さい。
また、病後児対応型については、例えば、保育所に部屋を確保して対応ができないものでしょうか。私は、公立保育所全園民営化には反対ですが、せめて民営化される施設については、検討できないものでしょうか。お伺いします。
前段申し上げた通り、病児・病後児保育施設は、季節によって利用者の変動が激しいので安定した経営が大変難しく、地方ほど経営が厳しいと言われています。全国病児保育協議会の調査では、全国の7割が赤字経営だということです。共働きが多くなっている状況のもとで、病児・病後児保育施設はますます必要な施設です。支援策を強化しないと今の水準すら確保できなくなる恐れがあります。現場との協議を行いながら、最大限の支援を求めますが、国の支援なども含めてどのようになっているのでしょうか。お伺いして、この場からの私の質問を終わらせていただきます。
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≪熊谷保健福祉部長≫ 次に、病児・病後児保育の施設の拡大と今後の見通しについてですが、現在は市内3施設で実施しており、年間の受け入れ可能人数も充足しておりますが、感染症の流行時期などのことを考慮すると、施設の定員枠拡大は必要であると認識しております。
今後におきましては、病児・病後児保育事業の開設に興味を持つ事業所等もあることから、それらの動きも踏まえて、関係機関に働き掛けてまいりたいと存じます。
次に、病後児保育事業を、民営化する保育所で実施できないかについてでありますが、これまで民営化された保育所のうち2つの保育所で、「体調不良型病児保育」の特別保育を実施しておりますが、病後児保育につきましては、感染症対策等の面で十分な安全配慮が必要となることから、他団体の状況や保護者ニーズの把握に努めてまいりたいと存じます。
次に、病児・病後児保育施設に対する支援策についてでありますが、市は、平成26年11月に病児・病後児保育施設の場所、開設時間などを記載したチラシを作成し、各保育所の園児の保護者全員に配布し、周知と利用の促進を図ったところであります。
また、委託料につきましては、国において、平成27年度から病児保育事業に新たな加算を設ける予定となっておりますので、詳細が示されました後に、早急に対応してまいりたいと存じます。
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