質問 |
答弁 |
≪髙橋和夫≫日本共産党盛岡市議団の髙橋和夫です。5点について質問します。
第1点は、既存不適格建築物について質問します。
年々高齢化が進み、これに伴って高齢者の事故死が多くなってきております。
交通事故をはじめ火災による焼死事故など、毎日のように発生しており、高齢者は死と隣り合わせに暮らしていると言っても過言ではありません。
既存不適格建築物は、皆さんご案内の様に、建築時には適法に建てられた建築物であって、その後、法令の改正や都市計画変更等によって現行法に対して不適格な部分が生じた建物を言います。
建築基準法は、原則として着工時の法律に適合することを要求しているため、着工後の法令の改正など、新たな規制ができた際に生じるものであります。
これは、そのまま使用していても直ちに違法というわけではなく、増築や建て替えなど等を行う際に、法令に適合するように建築しなければならないという原則があります。
既存不適格建築物で著しく危険又は有害なものについては、建築基準法第10条に基づく命令を行うことができる規定がありますが、実際に命令が出されるケースはほとんどないと言われています。
公共的要素の高い旅館やホテル、デパート、病院、地下街などの特定防火対象物については現在の基準に適合するよう義務付ける「遡及適用」の規定が設けられています。
これから冬季に入り、室内等で暖房設備等の利用が多くなることから、一般家庭を訪問しての任意査察、既存不適格建物の点検指導ができるように条例制定すべきではないでしょうか。
すでにガス会社による「ガス漏れ点検」、電力会社による「漏電調査」などが実施され、効果を上げていると理解しております。
これはあくまで高齢者の火災による焼死事故防止上からの提案であります。
これを行うには、消防職員の増員など予算等の配慮が必要になってきますが、人命尊重の立場からすれば早急な対応が必要と考えます。
当局の誠意あるご回答を期待します。 |
≪谷藤市長≫ 高橋和夫議員の御質問にお答え申し上げます。
初めに、既存不適格建築物の点検指導ができるように条例制定すべきではないかについて、でありますが市は、地震、火災、がけ崩れ等の各種災害による人命及び建築物の被害を防止し、安心して生活できる空間を確保するため、春と秋の建築物防災週間にあわせ、広報活動や防災査察等を通して、市民に対し建築物に関する防災の普及に努めているところであり、防災査察につきましては、不特定多数の方々が利用するホテル・デパート・病院などの建築物を重点的に行っているところであります。
議員ご指摘の一般家庭における既存不適格建築物の点検指導につきましては、条例の制定にかかわらず実施できるものでありますが、具体的な取組につきましては、市域全域の一般家庭の現状調査が必要となるものでありますことから、市といたしましてはパンフレットの配布や広報誌等を活用した広報活動の展開による啓発に努めてまいりたいと存じます。
≪消防防災監答弁≫ 高齢者の火災による焼死事故防止のための消防職員の増員等についてでありますが、一般家庭からの火災の発生や焼死事故を防止するため、盛岡消防本部では、春と秋の火災予防週間などに合わせて、地元消防団のご協力のもとに、事前に訪問先の了解を得たうえで、一般家庭の防火指導を行っております。
ご提案の、すべての一般家庭を対象とした訪問指導は、火災予防上の効果が大きいものと存じますが、このことにつきましては、現在の方法を継続しながら、日頃の町内会の消防訓練や研修など、あらゆる機会を通じて消防団や婦人防火クラブとも連携を図りながら啓発に努めるとともに、消防職員の増員につきましては、市街地の進展や人口の増加、財政状況も勘案しながら、計画的な増員に努めてまいりたいと存じます。 |
≪髙橋和夫≫ 第2点は、盛岡市立病院の医師確保について質問します。
盛岡市立病院は黒字経営を目指して日夜努力している事に先ず敬意を表します。
しかし決算時になりますと、医師不足が病院の経営に大きな影響を与えているように思います。
市には医師を育てるための奨学金制度があったと思いますがその活用はどのような状態なのでしょうか。
一人のお医者さんを育てるのには少なくとも10年という時間が必要と考えますが、先を読んだ対策が必要に思います。これまでの努力の中身やこれからの対策について質問いたします。
これに関連して看護師の確保の問題もあります。
医師及び看護師の成り手があるのかどうかについてもお知らせください。
|
≪市立病院事務局長≫ 医師確保のための奨学金についてでありますが、医師の育成には、長い期間と多くの費用が必要であり、市立病院もしくは市が、単独で奨学金を運用することは困難でありますことから、独自の奨学金制度は有しておりません。
次に、医師育成の努力と今後の対策でありますが、医師の育成については、全県的な課題であることから県内の公立病院に従事しようとする医学生に対し、修学援助するため、岩手県国民健康保険団体連合会が合同で実施する奨学金制度に、岩手県と各市町村が費用を拠出し、医師の不足している地域に配慮しながら配置を進める事業に参加しております。
市では、平成16年よりこの事業に参加しており、平成26年度実績では年間16,905,286円拠出しております。しかしながら、医師の不足している市町村が優先されること、医師の不足している市町村が優先されること、医師と診療科のマッチング等の理由により、現在のところ当院への配置実績はありません。
また、医師の確保については、基本的に当院は岩手医科大学付属病院との連携病院であることから医師の派遣元である岩手医科大学に対して機会があるごとに要請しておりますし、近年は、医師紹介業者を活用するなどの取組みも行っているところであります。これらの取組みによりまして、平成25年度は2人、平成26年度は1人の常勤医師を確保できたところであります。
今後も、当院に必要な診療科の医師は配置されるよう、岩手医科大学や岩手県国民健康保険団体連合会に要請するとともに、医師紹介業者の活用など積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
次に、医師及び看護師のなり手があるのかどうかについてでありますが、全国的には、医師不足が注目されておりますが、現実的には、医師の偏在、ことに病院の医師の偏在が問題とされております。平成26年の構成労働省の医療施設(静態・動態)調査・病院報告によれば、人口10万人当たり病院常勤換算医師数では、全国平均は165.3人で最も多い高知県が234.8人、最も少ない埼玉県で114.8人、岩手県は152.4人であります。
県内では、特に外科系、内科系、産婦人科といった診療科の医師不足が顕著であり、当院でも、医師の確保は思うように進んでいない状況であります。
また、看護師につきましては、当院が県都にあること、県内の異動がないことなどの理由から、新規採用枠以上の応募者がある状況ではありますが、定数の中で、毎年1割程度になる産前産後休暇や育児休業、休職者の代替の臨時看護師が、思うように確保できない状況でありますことから、医師、看護師とも不足しているものと認識しております。
今後、医師につきましては、全国的に医学部の定員を増加し始めた平成20年度に入学した学生の初期研修が来年3月に終了しますので、その効果を期待しているところでございます。
また、看護師につきましては、市内に複数の看護師養成機関の設立が計画されているという報道がありましたので、その動きを注視してまいりたいと存じております。 |
≪髙橋和夫≫第3点は、介護施設の休・廃止の現状と対策について質問します。
安倍自公政権になってから、私たち国民の暮らしはますます厳しいものとなってきているように感じます。
特にも、高齢者に関わる問題ではその典型的な現れ方をしています。
昔、「貧乏人は麦を食え!」、という総理大臣もいましたし、お年寄りにお金をかけることは「枯れ木に水をやるようなもの」と言った大臣もありました。
しかし安倍自公政権は、人の命も奪いかねない政策を次々実行してきています。
例えば戦争法もその一つで、憲法改正もせず、姑息な手段で安保関連法を通過させ、若者を戦場に駆り立てようとし、一方では高齢者に対して次々と制度改悪を進め、高齢者を病院から追い出すために病院のベット数を減らし、介護施設に入りたくとも全国で待機者が52万人が在宅介護を余儀なくされているのが現状ではないでしょうか。
家族はやむを得ず介護退職し、親の面倒を見ながらパートなどで生活費を稼いでいますが、それも時間の問題で、両方が疲れて倒れてしまい命を落としているのは一人や二人という次元の問題ではなく、全国いたるところで起きている事例ではないでしょうか。
国をはじめ行政の本来の仕事は、住民の命と健康、そして暮らしを守ることではないでしょうか。
いつの間にか行政は「営利企業」の様になり、税など滞納すればペナルティ。
「命が第一」ではなく、「金が第一」になっているのではないでしょうか。
さて、県の調査によれば、平成27年4月から9月における介護保険事業所の休・廃止は46事業所ということであります。このうち、人材不足を理由とするものが半数の23事業所です。
そこで質問です。
①盛岡市内の介護事業所の休・廃止事業所は何件ですか。
②そしてそこに入所等していた高齢者は何名ですか。
③その方々の行き先はどのようになりましたか。
④そこで働いていた介護職員等はどうなりましたか。
⑤介護職員不足での休廃止が指摘されていますが、行政の対策としてどのようなことを実施しようとしていますか。 |
≪谷藤市長≫ 次に、介護職員の不足に対する対策についてでありますが、将来にわたり安定した介護サービスの提供を確保するために、介護職員不足の解消は重要な問題と捉えております。
新人介護職員の早期離職防止及び定着促進を図る必要があることから、11月に、新人介護職員の指導者を養成するため、介護サービス事業所の管理者や中堅職員等を対象に、新人職員を支える組織体制の理解醸成及びその手段となる技術の習得を内容としたお研修会を開催したところであります。
参加者のアンケートでは、今後に役立つとの回答が多数寄せられているところであり、研修会の効果を検証した上で、今後の介護従事者確保対策について県と協議を進めていくほか、市と介護サービス事業者との意見交換の場を設けるなど、介護従事者の確保と育成に力を入れてまいりたいと存じます。
また、全国市長会より、「介護従事者の確保・育成・定着と処遇改善の一層の推進を図るため、財源措置の拡充と併せ、必要な対策を講じる」よう、国に対して提言したところであり、今後においても引き続き要望してまいりたいと存じます。
≪熊谷保健福祉部長答弁≫
市内の介護事業所の休・廃止の件数についてでありますが、平成27年4月から9月までに休止届のあった事業所は5箇所であり、このほかに休止期間の延長の届出があった事業所が1箇所となっております。
また、廃止届のあった事業所は6箇所であり、このうち、2箇所は事業内容の見直しによるものであったため、事業所としては継続しております。
これらのうち、人材不足を理由とするものは、休止事業所6箇所のうち5箇所、
廃止事業所4箇所のうち1箇所となっております。
次に、休・廃止した事業所に入所等していた高齢者についてでありますが、入所していた高齢者は、おりませんでしたが、通所介護などの居宅サービスを利用していた高齢者は、事業所への聞き取りの結果によれば80名となっております。
また、高齢者の行き先についてでありますが、全員が新たな事業所に引き継ぎされているところであり、必要なサービスが確保されているものと存じております。
市といたしましては、事業所から休・廃止後に引き継ぐ事業所を確保することについて指導しているところであります。
次に、働いていた介護職員等についてでありますが、大半の職員が、休・廃止した事業所の運営法人が経営する系列の事業所で勤務する状況となっております。
|
≪髙橋和夫≫第4点は、農道・農業用水路の整備について質問します。
日本の農業は「猫の目農政」と言われ、政策がころころ変わり、その度に農家は大変迷惑を強いられてきました。
今年10月には、『TPP交渉参加にかんする国会決議は、農産物の重要5品目(コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物)を聖域とし、数年かけた関税撤廃も認めない』としていましたが、安倍内閣は極めて重大な譲歩を行いました。 これは国会決議にも自民党の公約にも反するものです。
しかし日本人の胃袋は日本人が作った食料で賄うのが基本です。
基幹産業である農業をおろそかにしてはなりません。
今年4月16日、通常国会で「都市農業振興基本法」が全会一致で成立しました。
いま農業再生で今やらなければならないのは、農道、農業用水路の整備です。
過去にコメ100万トン増産運動があり、玉山村に人造湖「岩洞ダム」を作り、滝沢市など広範囲に農業用水を供給してきました。
しかし水路は経年劣化で、水漏れなどかなり傷んできました。また、田んぼ脇の水路が崩れたりして早期の対策が必要です。
一方、農道はトラクターなど大型機械の導入により、狭い農道では作業効率が上がらないのが実態です。農道・農業用水路整備には多額の経費がかかることは明らかであり、長期計画、短期計画が必要と考えます。
この問題を解決するためにどのような対策を考えているのか伺います。 |
≪谷藤市長≫次に、農道・農業用水路の計画的な整備についてでありますが、ご指摘のとおり、農業生産性の維持・向上のためには、老朽化した農道や水路の補修、用排水路の整備、農業用車両の円滑かつ安全な移動を確保できる農道の整備が不可欠であり、また、それら農業基盤整備事を円滑に行うためには、短期的或いは長期的な見通しを持った整備計画により取り組んでいくことが必要と考えております。
市といたしましては、農業基盤整備事業につきましては、市総合計画の主要事業に位置付け、農業者や農業団体の皆さまからのご意見やご要望を伺うとともに、国や県との調整を図りながら、鋭意農業基盤の整備を進めてきているところであります。
厳しい財政状況が続いておりますが、市といたしましては、引き続き、国、県をはじめ、農業者や農業団体の皆さまとともに、計画の確実な進捗が図られるよう、事業の推進に取り組んでまいりたいと存じます。
|
≪髙橋和夫≫最後に、教育の無償化について質問します。
来年の大学受験に向けて母子家庭の方から学費の相談がありました。
私も過去にこの問題にぶつかり、収入の面から「髙橋家の義務教育は高卒業まで」と子どもに宣言しました。
今考えれば子供には酷なことを言ったと反省しております。
さてそこで、学費は本来「誰が払うべきもの」でしょうか。
「教育」が、パソコンや自動車などと同じ商品であれば、その代価は教育を受ける者(こどもであれば保護者)が支払うことになります。
しかし「教育」は商品なのでしょうか。
「教育」は人間の成長発達に欠かせないものであり、人間らしくそして社会の中で生きていくために必要なものです。
そうであれば、お金があれば教育が受けられ、お金が無ければ教育が受けられないというのはおかしいのではないでしょうか。
教育は基本的人権として全ての人に補償されるべきものではないでしょうか。
教育は商品ではなく「人権」だと私は考えます。
国際人権規約には、① 義務教育は無償にする。② 中等教育(技術的、専門的な教育を含む)と高等教育(大学)は段階的に無償にする。とあります。
日本の法律も、憲法26条で「国民の教育権」を謳い、教育基本法4条で「教育の機会均等」を謳っている事から教育を権利として位置付けています。
ところが政府は1979年に国際人権規約を批准した際に、高校と大学の教育の段階的な無償化の部分を『保留』しました。
そのころから学費の値上げが繰り返えされ、今日では世界一高い学費になっています。
12月1日、衆院文部科学委員会で、財務省が国立大学運営費交付金の削減を求めている問題で、財務省が求める自己収入増2437億円を全て授業料で賄えば授業料は93万円となり40万円の増加になることが明らかになりました。
いま大学生や専門学校生が、奨学金などを借りて卒業した段階で300万円から多い人で1000万円もの借金を負うと言われています。
これでは若者に希望も未来も見えてきません。
この事について教育長はどのような所信をお持ちでしょうか。ご教授いただきたく存じます。
以上で私の壇上からの質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。 |
≪千葉教育長≫ ご質問にお答えいたします。
国立大学運営費交付金削減についてでありますが、国では、昭和54年に、「経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約」を批准した際に、中等教育と大学などの高等教育の適用に当たり、これらの規定にいう「特に、無償教育の漸進的な導入」の部分を留保しました。
その後、高校授業科の実質無償化が実現されたほか、奨学金や大学の授業料減免措置など、学生を経済的に支援する施策が拡大されてきたことから、平成24年9月に、同留保が撤回されたところであります。
今回、平成27年10月の、「財政制度等審議会」財政制度分科会において、国立大学運営費交付金削減とともに、授業料等の自己収入の増加を求める提案がされたことは、家庭の負担が増加することとなり、経済状況による教育格差の拡大につながるおそれがあると存じます。
現在、この提案について、文部科学省が財務省と協議を行っていると聞いておりますが、教育の機会均等は国の基であり、意欲と能力のある学生等が、経済的な理由で進学等を断念することのないよう、安心して学ぶことのできる環境を整備することは、極めて重要であり、これ以上、家庭の負担が増えるような施策は、すべきでないと存じます。
以上、ご質問にお答えしました。
|