2015年12月定例会 鈴木努議員の一般質問

 
質問項目 (クリックするとジャンプします)
社会保障に対する認識
 ▼財政制度審議会「建議」について
 ▼生活保護費診療報酬削減の影響
買い物弱者対策
高齢者対策
 ▼小矢部市の認知症対策への見解
 ▼認知症支援チーム設置について
 ▼緊急通報装置設置について 
学童保育について
 ▼施設拡充の計画
 ▼待機児童解消への対策
 ▼施設の安全対策
子どもの貧困対策について
 ▼貧困対策推進法への市の対応
 ▼踏み込んだ実態調査と支援策を
 

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 質問  答弁
≪鈴木努≫ 社会保障に対する認識についてお伺いします。

財務省の諮問機関である財政制度等審議会は、2016年度予算編成に向け社会保障の大幅削減を求めた建議をまとめ、麻生財務相に提出しました。
建議では、社会保障関係費について、15年度予算比6700億円増に抑圧していた概算要求よりさらに圧縮し、5000億円の増加に抑えるよう要請しています。

 安倍内閣が6月末に閣議決定した「骨太方針」では、「経済・財政再生計画」として、2016年度から2018年度の「集中改革期間」の社会保障関係費の伸びを1兆5000億円に抑制する「目安」を定めていました。それを先送りしないよう強く迫る中身となっています。

 中でも建議が、「重要課題の一つ」として明記し「削減」の対象としているのが、公的医療保険財政から医療機関に支払われる診療報酬です。来年度は、2年に一度行われる診療報酬改定の年にあたるためです。患者がかかる医療の範囲や質を左右する診療報酬を「削減ありき」で機械的に引き下げることは、極めて乱暴ではないでしょうか。医療技術の質を保つために必要な報酬が手当てされなければ、国民は安心して医療機関にかかることができません。かかりたい医療が保険から外されてしまえば、患者の負担はより一層深刻となります。

 また建議では、安倍首相の政権復帰後の予算編成で、2013年度から2015年度と連続で社会保障の伸びを年5000億円程度に抑えたことを示し、予算圧縮が可能であるかのように言っております。しかしながら、日本の社会保障高齢者人口の増加や医療技術の改善などにより年1兆円規模の「自然増」が必要とされています。それを無理やり半分に抑え込んだ結果、2013度年には、生活保護費の大幅な削減、2014年度は、診療報酬の実質マイナス改定が押し付けられ、今年度には介護報酬の過去最大規模の削減が行われ、特別養護老人ホームをはじめ、施設の経営に大きな打撃を与え、利用者にも深刻な影響を与えています。
 この間、行われた生活保護費の削減、診療報酬のマイナス、さらに介護報酬の削減が市民にどう影響を与えているのか、当市では、どのように把握なされているのでしょうかお伺いします。
 また市民生活をまもるために、市としても乱暴な社会保障削減の見直しを国に対し、求めるべきと思いますが、市長のお考えをお聞かせください。
≪谷藤市長≫≪市長答弁≫
鈴木努議員の御質問にお答え申し上げます。
はじめに、社会保障に対する認識についてでありますが、生活保護、診療報酬、介護報酬の見直しにつきましては、直近では、介護事業所の経営など市民生活への影響は見られたものの、各々の制度が将来に向け持続して適正に運用されるよう国において影響を調査し、実施したものと存じております。
いずれにいたしましても、社会保障に関する経費は、市民が健康で文化的な生活を送るために必要な経費であると認識しておりますので、社会保障経費の確保であると認識しておりますので、社会保障経費の確保について、必要に応じ、市長会等を通じて要望してまいりたいと存じます。

 
≪鈴木努≫次に買い物弱者対策についてお伺いいします。

 経済産業省の「商業統計」では、日本国内の小売業の店舗数は、1980年代前半から減少しております。買い物が不便になることによって、その地域での暮らしにくさにつながり、そのような地域から人は流出し、過疎化、人口減少と悪循環となります。このような悪循環を断ち切るためにも買い物弱者に対する対策は必要な施策と考えます。
 今年の3月に、経済産業省は、買い物弱者に対する調査結果を取りまとめ、住民・事業者・行政などが一体となった対策の在り方について提言を行っています。今回の調査では、これまで全国に600万人と推定されていた買い物弱者数が増加傾向にあり、全国には約700万人いるということであり、すでに買い物弱者が顕在化している農村・山間部のような過疎地域に加え、今後都市部などでも増えていくことが予想されています。さらに買い物弱者の問題が健康問題や行政コストの増大といった波及的課題につながる可能性があることを指摘しております。

 この間、私のところにも近くのスーパーが閉店し、日用品や食料品の買い物に困っていると、高齢者の方等から声が寄せられておりますが、当市では、この買い物弱者についてどのように把握しておられるのでしょうか、お伺いします。
 これまで当市での買い物弱者に対する取り組みは、平成21年に加賀野四丁目、つつじヶ丘自治会、松園一丁目町内会を対象にアンケート調査、平成23年には、移動販売実証実験を前九年、厨川三丁目地内で実施し、平成26年からは、松園で買い物バスの運行が始まるなど取り組みが行われてきました。市内では、一部の地域での取り組みにとどまっておりますが、今後この買い物弱者に対する支援策をどのように広げていくのでしょうか。地域課題プログラムでも、「地域によって商店がない、あるいは、買い物に行くための交通手段がないなど、買物の利便性が著しく低下している地区があり、高齢化の進行と相まって、全市的な地域課題となりえる」という指摘もなされております。全市的な問題になることが予想されている中で、まずは買い物弱者が多いと予想される地域を改めて調査し、支援策の検討を進めていくべきでありますが、いかがでしょうか、また国の支援策についても積極的に活用しながら進めていく必要がありますが、いかがお考えでしょうか、お伺いします。
≪志賀商工観光部長≫ 買い物弱者の把握についてでありますが、平成24年度に、全市的な状況を把握するため、岩手大学の地域課題解決プログラムを活用し、市と岩手大学、盛岡商工会議所が共同で「地域での買い物に関する調査」に取り組み、店舗や人口のデータ分析のほか、全民生児童委員を対象にアンケート調査を実施したところであります。その結果、近くに小売店舗が存在しない地区や、公共交通が不便な地区や、公共交通が不便な地区などにおいて、高齢者の買い物困難の問題が顕在化しつつあることからが明らかになったほか、民生児童委員の約54%が、現在または、今後の地域の課題と認識しているとの回答があったところであり、高齢者の買い物問題は、今後も増える傾向にあると認識しております。
次に、新たな調査と支援策の検討についてでありますが、買い物弱者対策の検討についてでありますが、買い物弱者対策を推進するためには、高齢者が安心して生活できる地域コミュニティの形成に加え、行政と地域、事業者の連携を図ることが必要であると認識しております。市といたしましては、平成24年度に実施した調査を基に国の支援策の活用や全国の先進事例を参考としながら、町内会や事業者との意見交換を通じ、地域住民の要望の把握や、地域の実情に合わせた宅配、移動販売、買物代行など、様々なサービスの活用による事業の構築に向けた情報提供に努めるなど、買い物弱者対策の取組を進めてまいりたいと存じます。


 
≪鈴木努≫ 高齢者施策についてお伺いします。
 過日、私どもの会派では、メルヘンの町、富山県小矢部市の認知症地域支援体制構築事業について視察してまいりました。小矢部市は、総人口31217人、その内、高齢者人口が10178人で高齢化率は、32.6%となっています。「認知症になっても安心して暮らせるまちづくり」を目指し、様々な取り組みが行われおりましたが、特にも認知症サポーター養成については、地域の協力を得ながら、平成20年3月からの7年間で8530人と市内の人口4分の1以上のサポーター数となっており、全国の中でも進んだ取り組みが行われておりました。また市長自らが「認知症の人とその家族を地域全体で支え、市民が認知症を超えて、安心して豊かに暮らし続けることができるよう、まちづくりを推進してまいります」と認知症になっても安心して暮らせるまちづくり推進メッセージを宣言しており、認知症対策についての市長の意気込みが伝わってくる取り組みが行われておりました。これらの取り組みについては参考とするべき点もあると思いますが、小矢部市の取り組みに対する市長のご所見についてお伺いします。
 
 さて、当市の認知症サポーター養成については、今年の11月時点で延べ358回の養成講座が行われ、これまで1万人を超えるサポーター数となっており、認知症の啓発活動が進んでいます。このような中で、今後は、具体的な認知症対策を実施していく時期にきております。
国が示している「認知症施策推進総合戦略」(新オレンジプラン)では、大きく7つの柱を打ち出しており、第6期介護保険事業計画では、具体的にその計画について盛り込まれております。その中で、「認知症初期集中支援チーム」を設置する予定としていますが、このチームは、認知症の方への早期からの家庭訪問を行い、アセスメントや家族の支援などを行うもので昨年度一部の自治体でモデル事業として実施されており、2018年度までにすべての市町村で設置することとしています。早期から認知症の方やそのご家族の方を医療サービスや介護サービスにつなげていくというこの役割は大変重要なことであると思いますが、当市ではいつぐらいからこのチームを設置する予定でしょうか、またそのチームにはどのような方を採用していくつもりでしょうか、具体的計画についてお知らせください。

 次に緊急通報装置の設置についてお伺いします。65歳以上の高齢者で、急変をきたす恐れのある疾患もしくは、発作性又は慢性疾患があり、日常生活を営む上で常時注意を要する方を対象に緊急通報装置の設置が行われております。ここ数年の状況を見てみますと、平成22年度には、694人の設置だったものが平成26年には521人と減少しておりますが、独居高齢者の数が増えている中で設置件数が減少しているのは、どういう理由なのかお知らせ願います。また緊急通報装置については、現在の要件を緩和し、設置対象を広げてほしいとの要望もありますが、そのようなことは検討できないものでしょうか、お伺いします。
≪谷藤市長≫ 次に、富山県小矢部(おやべ)市における認知症の取組に対する所見についてでありますが、小谷部(おやべ)市は、国の認知症地域支援体制構築等推進事業のモデル地域として、認知症ケアや介護保険サービス事業者等の状況を熟知している方を認知症コーディネーターに委嘱し、認知症に関する事業に企画段階から参画していただいているとともに、認知症サポーター養成講座や認知症高齢者徘徊見守り模擬訓練の実施、地域包括支援センターによる認知症カフェの開催など、市全体で認知症の方とその家族を支えることができるよう「認知症になっても安心して暮らせるまちづくり」に積極的に取り組んでいると伺っているところであります。
小矢部(おやべ)市の取組は、本市の認知症対策に共通する部分も多く、認知症コーディネーターに配置など、大いに参考となるものもありますことから、今後におきましては、小矢部(おやべ)市を含めた先進的な事例を調査研究しながら、認知症の方やその家族を地域全体で支えていく体制づくりに取り組み、認知症対策の充実を図ってまいりたいと存じます。

≪熊谷保健福祉部長≫ 認知症初期集中支援チームの設置予定につてでありますが、認知症初期集中支援チームは、保健師等の専門職が認知症を疑われる方や、認知症の方とその家族を訪問し、本人や家族の支援など、初期の支援を包括的・集中的に行い、自立生活のサポートを行うものであり、今後の認知症施策の充実には欠かせないものであると存じており、盛岡市の高齢者保健福祉計画・第6期介護保険事業計画に基づき、平成28年度に設置する予定としております。
また、認知症初期集中支援チームの人員体制につきましては、平成27年1月に国が示した認知症施策総合戦略、いわゆる「新オレンジプラン」において、認知症専門医の指導の下、複数の専門職で構成することとされており、市におきましては、認知症サポート医を中心とし、保健師や看護師で構成する予定としております。
認知症サポート医につきましては、現在、選任について盛岡医師会と協議しておりますし、保健師と看護師につきましては、市において任用する予定としております。
次に、緊急通報装置の設置件数が減少している理由についてでありますが、民間の事業者でも同様の事業を実施しているほか、携帯電話が増加していることなどが要因ではないかと存じております。
また、緊急通報装置の要件の緩和につきましては、民間事業者において同様の事業を実施しており、選択肢が複数あるほか、高齢社会が進行する中で、限られた財源で、多様な事業を実施する必要がありますことから、当該事業につきましては、現行通りとしたいと考えておりますが、今後、生活支援サービスの検討を進める中で、他都市の動向などを踏まえながら、研究してまいりたいと存じます。
 ≪鈴木努≫ 学童保育についてお伺いします。放課後の子どもの健全な育成を図る学童保育クラブは、今年度から新たな制度に移行した中で、施設の増設や支援員の処遇改善などに取り組まれてきたところであります。このような中で、待機児童の多い地域として河南地区や盛南地区、都南地区などさらなる施設の増設が求められている地域があります。これらの地域については今後どのように施設を増やし待機児童の解消を図っていくのか、お伺いします。また現在当市全体では待機児童の数はどうなっているのでしょうか、お伺いします。

 児童の受け入れについては、年度当初の受け入れ以外に、年度途中でも受け入れをするクラブや年度当初の受け入れ以後年度途中での受け入れを全く行っていないクラブなど、それぞれのクラブによって対応がバラバラとなっているように伺っておりますが、この点については、対応を統一させるなど市としても改善を図るべきと思いますが、いかがでしょうかお伺いします。

 年度当初以外に受け入れを行っていないクラブでは、年度途中の申し込みについては、待機児童としての扱いとはしておらず、このような児童については、潜在的な待機者として市の把握している待機児童としてカウントがなされないわけでありますが、このような潜在的待機者の把握と解消について当市でも取り組んでいくべきと思いますが、いかがでしょうか、お伺いします。
 
 次に学童保育クラブの安全対策についてお伺いします。子ども子育て支援新制度移行に伴い、学童保育クラブを運営していく上で義務付けられたことの一つに避難訓練があります。ある学童保育クラブでは、新制度移行前には、支援員の数や児童数の数が少なかったことから、実施出来ずにいたものが、今年度支援員の処遇改善による支援員の増員、児童の数も増えたことにより、実施することができるようになったとのことで、消防署の協力を得て訓練を実施したとのことであります。しかしながら、実施したことは良かったものの、建物の基準が福祉施設の基準を満たしていないとの指摘を受け、建築指導課からも基準に合うように改善計画書の提出を求められたとのことであります。市内の学童保育クラブは、父母会が運営するところや法人が運営するところ等、その建物については、様々ありますが、福祉施設として安全上の問題があるとすれば、その基準を満たすために市としても支援をしていく必要があると思いますが、いかがでしょうか。とりわけ指導員や児童の命にも関わる問題であり、対策が急がれますが、いかがでしょうか、お伺いします。また避難訓練については新制度移行のもとで義務化されたとのことでありますが、市内の各施設の実施状況はどのようになっているのでしょうか、お伺いします。
 ≪熊谷保健福祉部長≫ 放課後児童クラブの待機児童の多い地域について、今後どのように施設を増やし、待機児童の解消を図るのかについてでありますが、児童急増地域である盛南地区におきましては、民間事業者による放課後児童クラブが、平成28年4月の開設予定でありますことから、盛南地区の各クラブと調整を図りながら、待機児童の解消を目指してまいります。
今後におきましては、市内の各クラブから入所希望の現状に着いてお聞きし、施設等を増やす必要がある場合は、新規クラブの開設を関係団体に働き掛けたり、既存のクラブの定員拡大ができないなど、待機児童の解消に向けて検討してまいりたいと存じます。
また、27年度の市全体の放課後児童クラブの待機児童数につきましては、27年5月1日時点で8クラブで47人となっております。
次に、児童の受け入れに対する放課後児童クラブの対応についてでありますが、年度途中で受け入れを行っていないクラブ二お聞きしたところ、定員に達しているため、受け入れができないというところでありました。市といたしましては、クラブの定員の上訴く状況をまとめ、各クラブと情報を共有し、入所を希望する保護者に情報提供してまいりたいと存じます。
次に、潜在的待機児童の把握と解消についてでありますが、「盛岡市子ども・子育て支援計画」では、計画最終年度の31年度までに放課後児童クラブの「待機児童をゼロ」にするとしており、そのためには、潜在的待機児童の把握は重要と存じますので、年度当初だけではなく、年度途中の申込状況についても把握し、放課後児童クラブにおける必要な量を確保してまいりたいと存じます。
次に、福祉施設の安全基準を満たす支援と対策についてでありますが、「盛岡市放課後児童健全育成事業の設備及び運営の基準を定める条例」第6条の規定において、非常災害対策として、消火用具や非常口等必要な設備を設け、具体的な計画を立て、定期的に訓練を行うように努めなければならないとしております。クラブが運営する建物は、自己所有であったり、民家を借りたものであったり、様々でありますが、早急に確認を行い、消防署の指導を踏まえ、施設整備が必要な場合は、クラブと整備方法について検討してまいりたいと存じます。
次に、避難訓練の実施状況についてでありますが、35クラブ中19クラブが実施済みであり、16クラブは今後実施する予定でありますことから、早急に実施するよう働き掛けてまいります。
 ≪鈴木努≫次に、こどもの貧困問題についてお伺いします。

 厚生労働省の「国民生活基礎調査」では、平成24年の「子どもの貧困率」は16.3%と1985年の10.9%から5.4%増加し、17歳以下のこどもの6人に1人、約300万人が貧困状態にあるとされています。また、OECD(経済協力開発機構)が昨年公表したデータによると加盟する34か国中日本は9番目に悪く、ひとり親世帯の貧困率ついては、54.1%と2人に1人を超えている状況にあり最悪の水準となっています。

 この子どもの貧困を見るときに、社会全体の貧困や格差などがどのように推移しているのか確認していくことが必要です。現在非正規雇用など不安定雇用が広がり、そのことにより賃金格差の拡大、年金、医療、生活保護基準の切り下げなど社会保障全体が大きく後退している中で貧困世帯が増えている状況にあります。
このような中で、「子どもの貧困対策の推進に関する法律」が一昨年制定されました。この法律は、貧困率削減の数値目標を明記しないなど不十分な点があるものの、政府の責任で子どもたちに教育・生活・経済的支援などの施策をつくることを求めるなど、子どもの貧困対策の充実にむけた一定の前進があります。
 しかし昨年8月に、閣議決定された貧困に関する大綱の内容は、経済的支援策が不十分で、貧困率改善の数値目標もなく、従来の延長線でしかなく、本気度にかけるとの指摘もあります。

 当市では、この法律の内容についてどのように認識しているのでしょうか、大綱により地方自治体は改善のための施策づくりに取り組むことも謳われておりますが、どのようにとらえているのか、お伺いします。

 次に当市での子どもの貧困の把握、実態調査についてでありますが、子どもの貧困度合いを数値で表す指標には、生活保護世帯の子どもの高校進学率、就職率、ひとり親世帯の子どもの進学率、就学援助制度の周知状況など、25の指標で評価検証されております。
 本市の場合はどのような形で把握しているものなのかお伺いします。

 また実態調査については、東京の足立区の場合、今年度から子どもの貧困対策に取り組む専門の部署を設けて子どもの貧困の早期発見に努めています。一つに子どもが生まれる前から貧困につながる要因をみつけるために、妊婦が母子手帳を受け取る際に提出する「妊娠届出書」で情報を集めています。アンケートの項目にパートナーとの関係や生活費などで困っていないか記入する欄を設け、パートナーとの関係が悪いと回答した人に対しては、ひとり親世帯になるリスクがあると考え、そのリスク解決のための必要な支援をするとのことであります。さらに区立小学校全69校の1年生を対象に、健康や生活に関する調査を今年の7月に始めています。調査は、保護者にアンケート用紙を配り、所得や学歴、勤務形態を回答してもらい、子どもについては虫歯の有無、生活習慣、朝食を食べているかなど無記名での回答となっています。個人情報の取り扱いなど細心の注意を払うことは必要でありますが、足立区のような踏み込んだ調査を行うことによって子どもの貧困の早期発見につながり、早期の支援策を講じることができると考えますが、いかがでしょうか。このような取り組みを当市でも進めていく必要があると思いますが、いかがでしょうか、お伺いします。また、子どもの貧困対策を進めていくうえで体制についても足立区のように専門の部署を設け対策を講じていく必要があると思いますが、いかがでしょうか、お伺いします。

 
 ≪谷藤市長≫ 次に、「子どもの貧困対策の推進に関する法律」についての認識でありますが、「子どもの将来がその生まれ育った環境により左右されることのないよう、貧困の状況にある子どもが健やかに育成される環境の整備と教育の機会等を図る」目的のために制定されたものであり、我が国の将来を担う子どもに視点を置いた切れ目のない施策を実施するうえで、極めて重要な法律であると認識しております。
また、この法律の意義を踏まえて策定された「子どもの貧困対策に関する大綱」では、すべての子どもたちが夢と希望をもって成長していける社会の実現を目指し、子どもの貧困対策を総合的に推進することとしていることから、市といたしましても、「子ども・子育て支援事業計画」にその内容を反映させたところでありますし、生活保護及び生活困窮世帯の中学生を対象に、平成27年6月から子どもの学習支援の取組を始めたところであります。
今後におきましても、国が示している「ひとり親家庭・多子世帯等自立応援プロジェクト」の内容を踏まえながら、効果的な施策に取り組んでまいりたいと存じます。

≪熊谷保健福祉部長≫ 次に、子どもの貧困をどのような形で把握をしているかについてでありますが、「子どもの貧困対策に関する大綱」に掲げる25の指標のうち、生活保護世帯の子どもの高等学校進学率など5つの指標につきましては、平成24年度から開始した就学支援プログラム(現:就学相談支援事業)において、家庭訪問・来所時面談などにより把握しております。

 また、スクールソーシャルワーカーの配置人数など3つの指標と就学援助制度に関する周知状況の2つの指標につきましては、教育委員会から確認しております。
他の15の指標につきましては、独自の調査が必要になるなどから、数値を抑えることが困難でありますが、今後、把握に努めてまいりたいと存じます。
次に、足立区が行った健康や生活に関する調査について、どう考えるかでありますが、市におきましては、妊娠届出書の提出時に記入してもらう生活状況等のアンケートをもとに、保健師が面談し、状況に応じて関係機関と連携を図りながら、支援を行っておりますし、今般、岩手県立大学との共同研究が採択され、27年11月から28年10月までを期間とする「ひとり親世帯の子どもの生活実態に関する研究」をスタートさせたところであり、児童扶養手当受給世帯を対象に子どもの生活習慣や学習環境などのアンケート調査を実施するなど、市の子どもの貧困状況を分析・調査し、結果を踏まえ、効果的な施策を講じてまいりたいと存じます。

 次に、子どもの貧困対策を進めていくうえでの体制についてでありますが、少子化対策を含め、子ども・子育て支援をさらに推進するために、現在の子ども未来課の体制を見直すことつぃて検討を進めており、その中で、子どもの貧困対策に係る体制を強化してまいりたいと存じます。
再質問