質問 |
答弁 |
≪鈴木努≫ 国民健康保険についてお伺いします。
今年の5月に安倍政権は、市町村国保の「都道府県化」、入院食費の負担増、保険外診療の拡大、「医療費適正化計画」の強化などを盛り込んだ医療保険制度の改定法案を可決させました。これにより2018年を目途に国保制度の大改変が実施される予定となっています。
今回の法改定により、2018年度から都道府県が国保の「保険者」となります。しかし市町村が国保の運営から撤退するのではなく都道府県と市町村が両方、国保の保険者となり、制度を共同で運営するというのが「改革」の趣旨です。改定法が実施されても、保険証の発行、保険税の決定・賦課・徴収、医療の給付、保健事業等は引き続き市町村が行うこととなります。
保険者が都道府県となっても都道府県から新たな財源が国保へ支出されるわけではなく、国保の財政は引き続き、住民から徴収する保険税や都道府県からの公費等によって運営され、現行制度と基本的には変わりないとされています。
この国保の「都道府県化」は2012年法改定により、「第一段階の改革」が今年度から始まり、市町村国保拠出金を都道府県の国保連合会にプールして「月30万円超の高額医療費」に対して、費用を交付する仕組みだった「財政共同安定化事業」をすべての医療費に対応する仕組みに拡充するという改変となります。
これにより、国保は、基本的実務は市町村が担うという枠組みを維持しながら、給付は都道府県単位で行う制度となりました。今回の法改定はこの「第一段階の改革」を土台として、市町村が拠出したお金の管理の役割を国保連合会から都道府県に移しかえるものとなっています。
基本的実務は大きく変わることはありませんが、最大の改変となるのが、都道府県が「国保財政の元締め」「市町村の監督役」として強力な権限を持つということになることです。
新制度のもとでは、国保財政は、十道府県が国保事業に必要な費用を各市町村に「納付金」として割り当て市町村が住民に保険税の賦課・徴収し、集めた保険税を都道府県に納付し、都道府県が給付に必要な財源を市町村に交付するという流れとなれます。この中で市町村は、「納付金」の100%完納が義務付けられることになります。 例えば、滞納が増えて保険税の収納が予定を下回った場合も納付猶予や減額が認められないことになり,こうした仕組みが収納率向上への強い圧力となります。
このような動きが、保険税の市民の支払い能力を超えた徴収へつながることが懸念されるところでありますが、その点における配慮について当市ではどのようにお考えでしょうか、お伺いします。
この間、政府が目指す国保の「都道府県化」案の中身が明らかになる中で、それまで「広域化」を推進してきた首町や当局を含め、多くの自治体関係者から「これでは市町村の苦しみは変わらない」等の声が出されてきました。特にも全国知事会は、加入者の貧困化と高すぎる国保料(税)という「国保の構造問題」を温存したままに「都道府県化」を推進する国の方針に異議を唱え、わずかばかりの公費投入では根本的な問題は解決しないからと国に対し、「1兆円の国庫負担増」を要求しました。このような中で政府は、政府は、国保に対して、「毎年3400億円」の公費投入を行う方針を打ち出しました。この公費については、今年度1700億円、そして国保が「都道府県化」される2018年にはさらに1700億円追加するものとなっており、定率国庫負担の引き上げではなく、使途を限定しながら追加的に公費を投入するものでその使い道については、個別の検討が必要となります。
厚生労働省が示す公費投入メニューを見れば、低所得者の多い自治体への財政投入、子どもの被保険者の多い自治体への支援等現状の改善や負担軽減につながる中身が含まれております。
当市においては、どの程度の公費投入が行われるのか、また市民負担軽減のためにどのようにその財源を活用するのか、お知らせください。
ただし、この公費の投入については、あくまで負担軽減のための施策の拡充として活用をしていただきたいと思いますし、これまで市が行ってきた保険税値上げ抑制のための一般会計からの繰入も同時に行っていただきながら、施策の後退がないよう努めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか、お伺いします。
県内の国保加入使者の状況については、平成25年で年金生活者、自営業、そして農林水産業者が多数を占める状況にあり、その加入者の所得については、200万円未満が8割を超える状況となっています。
3月議会で神部伸也議員が指摘をしたように今や国保問題は、貧困問題となっています。
その解決のために国保税を引き下げ、納付しやすい環境づくりを当市としても推し進めていく必要があります。とりわけ高すぎる国保税の引き下げについては、国保会計における基金の一部を活用し、軽減を図ることも可能ではないでしょうか。平成26年度末の基金の状況をみますと5億2330万8千円であり、さらに今年度も積み増しの予定と伺っています。この基金の一部を活用して国保税の引き下げについても今後検討していくべきと思いますが、いかがでしょうか、市長の御所見をお伺いします。
|
≪谷藤市長≫ 鈴木議員の質問にお答え申し上げます。
はじめに国民健康保険の保健者が市町村から県の移行することにより、市民の支払い能力を超えた徴収につながることへの懸念についてですが、移行後は、県が市町村の納付金の額を決定する際、市町村ごとの標準保険料を算定し、公表することとなっております。
詳細につきましては、現在行われている国と地方の協議、そして来年度から本格的に始まる県と市町村の協議で決定されることとなりますが、現在公表されている内容によれば、国で各保険者の規模ごとに、標準収納率を示しており、県が算定する標準保険料もこの標準収納率が適用されるものと考えております。
また、広域化後も被保険者への最終的な賦課決定権は市町村にありますことから、支払能力を超えた徴収にはつながらないものと存じております。
なお、本市の標準収納率につきましては、国が示す標準的な算定方式に当てはめますと90%となります。
次に、国保事業財政調整基金を活用して国保税の引き下げを検討すべきではないかについてでありますが、基金は、基本的には一時的な医療費の増加等により保険給付等に要する経費に不足を生じた場合の財源に充てるために設置しているものであり、今後もこの趣旨を踏まえまして有効に活用してまいりたいと考えております
《細川市民部長》
本市において、国民健康保険に対する公費投入がどの程度行われるかについてですが、今年度行われる財政支援の拡充分の概算額は、2億8千万円程度になるものと見込んでおりますが、それに伴い、国庫負担金等減額される補助金もありますことから、全体としては、1億8千万円程度の増収を見込んでいるところでございます。
また、平成30年度に投入される国庫につきましては、まだ詳細が決まっておりませんが、1,700億円という国費投入規模から判断すると、今年度増収分並みの財源は期待できるものと存じております。
次に、この財源の活用方法ですが、被保険者一人当たりの医療給付金の増加、東日本大震災による特別調整交付金の削減、さらには所得及び被保険者数の減少に伴う当初課税調定額の減少分などを補てんする形で活用してまいりたいと考えております。
次に、保険税抑制のための施策が後退しないかについてでありますが、法定外繰入金につきましては、平成22年度に行いました税率引き上げの際の激変緩和措置として行ってきたものであり、引き続き医療費の抑制や収納率の向上に努めながら、法定外繰入の解消を含めた国保財政の健全化に努めてまいりたいと存じます。
|
≪鈴木努≫
空き家対策についてお伺いします。今年の5月26日に「空き家対策特別措置法」(以下特措法)が全面施行されました。高齢化や人口減の影響で空き家は増加を続け、全国の14%にあたる820万戸に上っています。管理が十分になされないままに老朽化した住宅は、ごみの放置や不審者の立ち入りによる治安悪化など社会問題にもなっています。特措法では、このような住宅を「特定空き家」に指定し、所有者に解体や修繕など勧告できるようにし、命令に応じない時には自治体が所有者に代わって取り壊し、費用を所有者に請求できることも可能となりました。「特措法」と当市の条例の具体策と空き家の利活用について何点か質問いたします。
当市においては、空き家等の対策について盛岡市空き家等の適正管理に関する条例が今年の4月から施行され、現在、各町内会、自治会に対して実態調査のお願いし回答をいただいているところでありますが、現状ではどの程度実態調査が進んでいるのでしょうか。
そして、いつぐらいまでにその調査が完了するのかお知らせ願います。また、空き家、空地に関する相談については、平成25年で77件、26年で125件、27年度9月時点で136件と条例制定後相談件数も多くなっており、市民の関心も高まっているように思われますが、これらの相談にはこれまでどのような対応がなされてきたのかお伺いします。
次に除却費用の助成についてです。全国的にみても空き家を除却する際にネックとなるのがその費用です。当市では、解体除却費用負担軽減し空き家対策を充実させるための施策としての助成制度についてはどのようにお考えでしょうか、お伺いします。
次に税制上の問題についてです。空き家の解体が進まない大きな要因は更地になると固定資産税が最大6倍に跳ね上がるところにあります。固定資産税が高い地域についてはなおさら解体が進まない状況が生まれると思いますが、どのような対応をお考えでしょうか。
東京都の荒川区では、不燃化住宅へ建て替えを行う場合には、除去・整備費を助成し、さらに建物の固定資産税・都市計画税を5年間全額免除するという手厚い支援策を行っているところもありますが、このような自治体の取り組みを参考としながら進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
また解体後の土地活用については、東京都の足立区で場所によって解体後駐車場として整備することを推奨し、負担の増える固定資産税の補てんになるようお知らせするなど、解体後の活用について情報を周知している自治体もありますが、解体後の活用における相談窓口等の設置については、いかがお考えでしょうか、お伺いします。
これまで党市議団では、空き家を利活用し、高齢者が集い交流が出来る居場所づくりや若い人たちの住まいの確保など真剣に検討するよう求めてまいりました。空き家等の対策計画については、11月に第2回空き家等対策推進協議会で計画案がまとめられ、来年2月の策定予定となっていますが、私どもの提言についてはどのように反映されているのでしょうか、お伺いします。
|
≪谷藤市長≫
次に、これまでの、空き家等の利活用に関するご提言が「盛岡市空き家等対策計画」にどのように反映されているのかについてでありますが、平成27年7月に開催した盛岡市空き家等対策推進協議会にご提示した骨子案では、有効活用策といたしましては、住宅としての活用の推進と公共的施設等としての活用の推進を謳っており、住宅以外では、具体的に市域の公民館・集会所、地域交流サロン、子育て支援施設などの地域の施設等としての活用例があげられております。
このことについては、情報を共有しながら、市の施策方針や地域等からの活用要望等を踏まえて検討を行うこととしております。また、市外からの転入者が盛岡市空き家等バンクに登録された空き家を活用して移住を行う場合に対しましては、定住促進を推し進めるための具体的な支援施策の検討も行うこととしております。
今後におきましては、盛岡市空き家等対策推進協議会でご議論いただき、パブリックコメントを実施した上で「盛岡市空き家等対策計画」を今年度内に策定してまいります。
《細川市民部長》 次に、各町内会、自治会に対してお願いしている実態調査は、どの程度進んでいるのかについてでありますが、現時点で9割近くの町内会・自治会から回答をいただき、現在、その集約作業を行っているところでございますが、まだ回答をいただいていない町内会・自治会もございますことから、再度ご連絡を差し上げながら回答率の向上を図って参りたいと存じます
また、調査の完了時期につきましては、実態調査の集約後、職員による現地確認を行いまして、今年度末までに台帳の作成を完了したいと考えております。
次に、条例制定後の市民からの相談への対応についてでありますが、相談を受け付けた後、通報者立会いによる現地確認を行い、空き家等が周辺に悪影響を及ぼしていると認められた場合は、所有者の方などを調査し、文書により現状をお伝えし、適正な管理を行うようお願いしております。
また、倒壊の危険性が高いと判断された建物につきましては、応急措置を行うとともに、今後の対応について、所有者に対する指導・助言を行った例もございます。
次に、解体除去費用負担を軽減して、空き家の解体を進め、空き家対策を充実させるための助成制度についてでありますが、特措法に定められている「市町村が行う空き家等対策計画に基づく対策の適切かつ円滑な実施に要する費用に対する補助や地方交付税制度の拡充等」について、具体的な内容が明らかにされておらないことから、今後、情報収集に努めながら、助成制度の内容を検討してまいりたいと存じます。
次に、空き家の解体を進めるための固定資産税の負担が大きい地域への対応についてでありますが、特措法におきましては、「空き家等に関する対策の適切かつ円滑な実施に資するための必要な税制上の措置等を講ずる」こととしており、特定空き家に該当する場合には、税制上の優遇措置を受けられず、議員ご指摘のとおり、特に固定資産税の負担が大きい地域の影響は大きいものと存じております。
一方で土地の評価が高く税負担の大きい地域は、撤去後の土地の利活用の可能性が高い地域ということもできますことから、利活用に向けたインセンティブが働くような制度について、検討を進めてまいりたいと存じております
次に、不燃化住宅への建替えの場合における助成や税の免除支援策についてでありますが、荒川区の助成制度や東京都の固定資産税などの免除制度は、防災を目的とした「不燃化特区」に係る期間限定の制度とお聞きしておりますが、いずれにいたしましても、空き家対策計画を策定していく中で、先進事例を参考にしながら、効果的かつ効率的な助成制度について検討してまいりたいと存じます。
次に、解体後の活用についての相談窓口の設置についてでありますが、今後、空き家対策を進めていく中で、所有者に対して、適時・適切な情報を提供することは重要な施策であると存じますし、適正管理や有効利用についての相談が増えていくことも予想されます。
市といたしましては、当面、専門的な窓口を設置することは考えておりませんが、関係部局が連携して適切な指導・助言、あるいは専門的な機関・団体を紹介する仕組みづくりなど、きめ細かい対応に努めてまいりたいと存じております。 |
≪鈴木努≫ 学校施設についてお伺いします。
学校施設の維持管理計画については、先の6月議会の中で、私の母校である乙部中学校の屋根の話を交え実態に即した計画となるよう見直しを求めたところであります。その時の教育部長の答弁では、「現計画において修繕項目や計画事業費が実際の実施状況と差異があることから、計画の見直しが必要であると認識しており、改定に向けて作業を進めている」とのことでありましたが、この計画の見直しについてはいつぐらいまでに改定作業が行われ、計画として実行されていくのか、今後の見通しについてお知らせください。
またこの計画についてはもう一つの問題として、計画に対するきちんとした予算措置がされていないということが、修繕を遅らせる大きな要因となっています。計画の見直しの際には、計画事業が滞りなく実施されるような予算措置をするよう努力をしていただきと思いますが、いかがでしょうか、とりわけ今年で学校施設の耐震化が概ね完了することから力を入れていただきたいと思います。
学校施設の維持管理に関連して質問いたします。
先日大宮中学校を訪問した際、校舎の状況について見させていただきました。訪問した前日に雨が降っていた影響で柔剣道場の屋根の雨漏りが発生しておりましたが、対応はどのようになされたのでしょうか、お伺いします。
大宮中学校は、周りが農地のために風が強い日には、校庭の砂が舞い上がり、近隣住民の住宅にその砂が降ってくるとのことで、近隣住民に迷惑が掛からないよう対策をとっていただきたいのですが、いかがでしょうか、お伺いします。
|
≪鷹嘴教育部長≫ 学校施設の維持管理計画の改訂作業についてでありますが現在、学校施設ごとに更新、修繕が必要な箇所を改めて把握した上で、緊急性、優先度を勘案し、実施時期を平準化するよう見直しを行っているところであり、計画期間を平成28年度から36年度までとし、今年度中に取りまとめることとしております。
次に、予算措置への努力についてでありますが、学校施設は、子どもたちの生活の場であるとともに、災害時には地域の方々の避難場所となりますことから、安全確保の観点からも、計画的に予算措置されるよう努めてまいります。
次に、大宮中学校柔剣道場の雨漏りへの対応、についてでありますが、各学校から校舎等の雨漏りの修繕依頼があったときは、速やかに対応しており、当該施設についても、雨漏りの状況を確認しながら修繕の方法について検討してまいります
次に、大宮中学校校庭の砂の対策、についてでありますが、現時点では状況を詳細には把握しておりませんので、今後、学校及び周囲の状況、実態を確認しながら、適切な管理となるよう努めてまいりたいと存じます。
|