2015年3月定例会 3月当初議案・請願に対する会派の討論

 
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 2015年3月25日最終日、平成27年度一般会計他当初予算案をはじめとした市長提出の当初議案に対する日本共産党盛岡市議団の討論を庄子春治議員が行いました。
 (庄子春治)日本共産党盛岡市議会議員団を代表して、討論をします。
議題となっている市長提案の33件のうち、議案第1号、第6号、第7号、第12号、第13号の予算5件と、第16号、第17号、第27号、第28号の条例4件の合計9件に反対し、他の24件は賛成します。

 最初に反対する議案に対する意見について述べます。
 議案第1号平成27年度盛岡市一般会計予算について。平成27年度一般会計予算では1113億円と史上最高額が計上されました。前回の最高額が4年前です。「史上最高」の予算が市長選の年に記録されるということは偶然でしょうか。27年度予算には、私たちも評価できるいくつかものもあります。それは、新年度からの新しい子ども子育て支援制度において、待機児童解消のため、保育定員弾力化推進事業補助金を設け待機児童解消に対応した保育所への助成を行うこと、放課後児童クラブ整備費に対する補助金を初めて計上したこと、乳幼児家庭全戸訪問事業を行うことなどです。また、地域包括支援センターの配置や人員については、玉山の圏域以外は国のガイドラインの基準を満たしていない状況となっていましたが、第6期介護保険事業計画内で、センターの分割や人員の加配が行われ、体制の強化が図られることは評価いたします。
 しかしながら、この予算に反対する理由は次の通りです。
 第一に、史上最高の予算を組みながら市民の暮らし応援という点での配慮に欠ける予算となっていることです。アベノミクスで潤ったのは一部の大企業と資産家であり、市民生活は、消費増税をはじめとした物価値上がりに収入が追い付かず、貧富の差・格差が拡大しています。安倍政権は、戦争する国づくりに向かう軍拡と、減税による大企業への大盤振る舞いをする一方、社会保障の自然増分を削減し、介護・医療・生活保護などの給付を切り下げ、国民への負担増を押し付けています。
 盛岡市の予算は、それをそのまま市民に押し付けるものとなっています。介護保険料17.7%もの値上げを抑制するための財政支援を検討すべきでした。また、子どもの医療費助成の拡充を求める県民運動の盛り上がりの中、県内各市でも中学校卒業までなど新たに対象年齢を拡大する自治体が増えています。盛岡市は逆に、この予算を約5千万円も削減しました。実績に基づいて減額したということですが、削減ではなく、通院費への拡大にこそ取り組むべきでした。
昨年の本会議において「段階的にでも取り組む」と教育長が答弁したにもかかわらず就学援助費への「クラブ活動費」「生徒会費」「PTA会費」の3費目の追加は1費目もありませんでした。国は生活保護費を削減しています。27年度では単純平均で、盛岡市の生活保護1世帯当たり年間9万円も削減されます。しかも、子育て世代に対してより削減が大きいのです。生活保護費の削減で浮く一般財源は約8千万円に対して、就学援助費の3費目追加に要する費用は、その半額で済むのです。子どもの貧困対策という面でも追加を行うべきでした。

 第二に、教育予算が少なすぎるということです。
 教室に吹雪が吹き込む学校の現状があり、雨漏り対策など学校の維持・修繕に大きな課題を抱えている市内の小中学の現状からみれば配慮が足りないということです。教育委員会が計画した27年度の、6校17棟の屋根塗装計画に対して予算化は3校4棟にとどまりました。27年度は学校耐震化の最終年度として一定の予算が計上されていますが、もともと、盛岡市の学校耐震化は、東北の他都市などと比べても最も立ち遅れていたのです。27年度のこの予算は、その付けが回ったというべきですから、それを理由に他の学校修繕費などが後回しになるなどいうことは問題です。しかも、この分野に活用すべき「公共施設整備基金」が、5億円以上も残されるのです。工夫と配慮が足りないといわざるを得ません。
 また、学校図書職員の配置は8人にとどまりました。学校図書館法が改正され学校図書館に司書を置くことが定められました。一般税源化とはいえ、国の整備計画の財政措置では、盛岡市の基準は3411万7千円。市の予算化はその20%にとどまっているのです。図書購入費も含めて、学校図書館の充実のための配慮をもっとすべきではなかったでしょうか。

 第三に、ごみ処理広域化を進めるための負担金が計上されています。3市5町のゴミを盛岡市の1か所で処理するという「基本構想」を1月22日の広域協議会で決定しました。その最大の根拠となったコスト比較については、今議会の本会議での質問、予算委員会での質疑にまともに答えられないものでした。本来、議会での質問に答えられない議案は出すべきではありません。ごみ処理広域化の基本構想には、そのほか「ごみ減量・資源化を住民とともにどう進めるか」という検討が不十分であり、また、昨年8月に基本構想案を発表して住民説明会もたった4か所、パブリックコメントに寄せられた意見のほとんどが反対・あるいは説明不足などの声だったことへのまともな回答もないまま、まさに住民合意がない、拙速な決定という問題もあります。この構想は撤回して検討しなおすべきです。

 第四に、競馬組合からの融資返済の問題です。盛岡市の66億円をはじめ、構成3団体からの岩手競馬組合への330億円融資に対する競馬組合からの返済について、年間1億円以上の最終利益が出た場合、一定の基準で返済するというのが、融資の際の返済ルールでした。競馬組合が平成26年度の最終補正予算で、6億円以上の利益が出そうになったなか、基金に積み増しするなどして「最終利益2千2百万円」との決算見込みを示し、返済はないという処理をしたことは、事実上このルールの変更であり、市民には納得できるものではありません。競馬組合への融資の原資は市民の税金であり、県からの借金です。その借金は毎年2億円以上返済しているのです。構成団体の一員であり、貸し手でもある盛岡市の責任も問われるものです。

 次に議案第6号介平成27年度盛岡市介護保険費特別会計予算及び、第27号介護保険条例の一部を改正する条例については、介護保険料で月額基準額で6174円となり、17.7%の大幅な値上げとなります。年金の連続引き下げや消費税の増税、物価の上昇が高齢者の生活を直撃し、保険料の大幅な引き上げに市民の方からも悲鳴の声が上がっています。一般会計からの繰り入れや基金を取り崩し低所得者に対する軽減措置を拡大させるなど市民の暮らしを守るための努力をするべきでした。保険料の大幅値上げに反対する立場でこの2つの議案に反対します。
介護職員の人材不足により、当市で1事業所が閉鎖、6事業所が休止という深刻な状況が生まれています。職員の待遇改善を国に求めるとともに、市としても介護職員の待遇改善のために独自の施策を実施するよう求めます。

 次に、議案第7号平成27年度盛岡市後期高齢者医療費特別会計予算については、本来被扶養者として保険料の負担がない人にまで75才になれば負担を求めるという高齢者を年齢で差別するこの制度は直ちに廃止すべきです。また、短期保険証の発行は直ちにやめるべきです。以上のことから本議案に反対します。

 議案第12号、平成27年度盛岡市水道事業会計予算、及び第13号平成27年度盛岡市下水道事業予算については、料金に対して消費税8%への増税を行っていることから反対します。特にも水道事業会計においては、大幅な経常利益を計上し、キャシュフローで100億円を超える資金を持っている中、その利益を市民に還元すべきです。料金への配慮のほか、過疎地における安定した生活水を確保するための事業に対する支援も検討するよう求めます。

 議案第16号、職員定数条例の一部を改正する条例については、国体関連や新しいプロジェクトなどに増員する一方、学校職員の削減が進められているなど、全体としてこの間減らしすぎてきた体制の再編という点で不十分です。また保育園の全園民営化方針は見直すべきでありこの議案に反対します。職員体制については、市職員の時間外勤務が、三六協定で結ぶ時間外の上限に対する大臣告示の「月45時間以内」を超える状況が蔓延している状況を解消する立場で、抜本的に見直すべきです。

 議案第17号地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部改正に伴う関係条例の整備に関する条例、及び第27号盛岡市教育長の職務に専念する義務の特例に関する条例については、これまでの教育委員会制度を根本から変えることであり反対します。
 現憲法の下でスタートした戦後教育の根本は「住民統制」「地方分権」「一般行政からの独立」でした。とりわけ、戦前、教育が国策、侵略戦争遂行のために使われてきたという痛苦の反省から、一般行政からの独立、政治からの独立をその中心として確立してきたのです。今回の法律による制度改定は、その原則を根本から覆すものです。教育委員会制度は残ったものの、教育委員長をなくし、教育委員の互選で選出する教育長を首長の任命にかえ、その教育長の権限を大きくすることは、教育の政治からの独立を脅かすものに繋がります。
 その弊害の実例は、大阪府教育長の辞任劇に端的にあらわされました。維新の会の知事が教育委員に送り込み大阪府教育長となった方が3月12日辞職しました。認定こども園の学級編成に関して異論を唱える教育委員へのパワハラ、中学校統一テスト導入などに関しての府教委職員へのパワハラ疑惑が府民の厳しい批判をうけ、41市町村教育長からの厳しい対応を求める意見などによって辞職したのです。制度は以前の制度の中でのことではありますが、「維新の会」の競争主義的な「教育改革」を押し付けるまさに政治の教育への介入が何をもたらすかの実例です。
問題は、どのような首長が、どのような教育長を選任するかで左右されるべきものではなく、教育の政治からの独立という仕組み自体を壊すことに問題があるのです。盛岡市においては、自分の政治的見解を押し付けようなどと考えない首長が、そのようなことには従わないと信念を持った教育長を選任し、教育行政にあたることを期待するものですが、制度の改悪そのものに反対し、この2つの議案に反対するものです。

以上のほか、今議会で論点となった以下の点で改めて意見を述べます

 東日本大震災から4年経過しましたが、復興道半ばの中、復興及び被災者の生活と生業の再建への支援の継続が求められています。国が復興予算への地方負担を言い出したことは問題です。国に対して国財政負担削減をしないよう求めるとともに、被災者生活支援金の増額、医療費・介護保険利用料免除制度の復活、被災者への支援のための人員確保の継続などをもとめるよう求めます。

 地震・豪雨災害など災害多発という中、盛岡市の防災対策の一層の充実を求めます。土砂災害危険区域へのハザードマップの作製は、そのスピードを速めてください。また、消防職員の配置基準を達成へ計画的に取り組むよう求めます。水防団に対する水防装備の充実をするよう求めます。

 今年は戦後70周年、被ばく70周年です。憲法事業及び、非核平和宣言自治体としての取り組み充実を求めます。

 子育て支援については、待機児童解消に一層取り組むとともに、市民のもっとも大きい願いである「子育てに係る負担軽減」にさらに進むよう求めます。とりわけ年少扶養控除廃止により多子世帯への保育料が負担増とならないよう対策を図るよう求めます。子育て支援の中でも放課後児童対策は、遅れた分野になっています。本宮小学校・向中野小学校区など児童急増地域の放課後児童対策として、市福祉事業団との協議を行い、本宮児童センターの時間延長を行うこと。児童館・児童センターは既に100人を超える児童が利用している施設もあり、老朽・狭隘・人手不足など安心・安全が確保できない状態であり、緊急事態として改善策を早急に図ること。

 米価下落で苦しむ農家に対する市の支援を求めます。地域農業を破壊するTPP参加、「農協改革」に反対するよう求めます。

 中小企業対策については、市内の全事業所を視野に入れた対策が必要です。小規模企業振興基本法にもとづいた市の計画を検討するとともに、全事業所の実態調査と、中小企業振興条例の制定を求めます。市内経済活性化で効果が証明済みの「住宅リフォーム」事業音復活を強く求めます。

 自然エネルギー導入事業では、太陽光パネル設置補助の継続などは評価します。県の補助事業を取り入れた、公共施設への設置は、確実に事業実施できるよう求めます。木質バイオマスエネルギーの導入に関する市のプロジェクトチームについては、「ペレットストーブの公共施設への設置」という検討項目にとどまらず、市内の森林資源のエネルギー活用とそのことを通じての林業及びその他の産業振興を図るための研究・検討への発展を図るよう求めます。「仮称 盛岡市再生エネルギー利活用基本条例」を制定するよう求めます。

 空き家対策条例が4月から施行されます。条例の効果が目に見えるような運用を求めます。空き家対策については、「管理」に加えて「活用」に対して積極的な施策を検討するよう求めます。

 資材単価の上昇に加え、設計労務単価がこの2月から引き上げとなりました。公共工事の発注にあたっては、そのことも十分踏まえる中で、入札不調・不落を極力回避して工事発注ができるよう取り組むよう求めます。公共工事における労務単価上昇に見合うよう現場で働く労働者の賃金が支払われるよう公契約条例の制定を強く求めます。

 市立病院において、新たに包括ケア病棟を設置するということですが、これまで以上に地域医療全体に対する貢献と市民の期待に応える病院事業の推進に大いに期待します。建設以来15年経過して、減価償却費の計上が少なくなったという条件を生かしつつ、経営の改善にも努力されるよう期待します。

 中央卸売市場については、市場活性化ビジョンに基づく取り組みをさらに進め市場取引の活性化と市場経営の健全化にさらに進むよう求めます。とりわけ、市場未使用施設の活用策にさらに工夫と努力をするよう期待します。

 玉山村合併から10周年となります。玉山区住民の声を反映させるよう地域自治区としての玉山区の機能を存続させるよう求めます。

 最後に、議題となっている請願については採択されるよう訴え、会派の討論とします。