2015年3月定例会 髙橋和夫議員の一般質問

 
質問項目 (クリックするとジャンプします)
玉山村合併10年の検証
  玉山区への財政配分
  新市建設計画の見直し
  玉山区の継続 
交通政策について
市営住宅について
  入居者への引き渡し
市庁舎内への郵便局設置

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 質問  答弁
≪髙橋和夫≫  最初に合併の検証について質問いたします。
 平成18年1月10日に玉山村が盛岡市と合併して今年で10年目です。 
来年平成28年3月31日には、合併に伴い設置された地域自治区「玉山区」という区の制度が無くなることになります。
 玉山区民は「合併して本当に良かったのか」、「行政サービスは低下し、過疎が進んだのではないか」、「玉山区が無くなったら総合事務所はどうなるのだろう」、「役場に行っても知らない人ばかりで、役場がどんどん遠くなる」など、住民の声は不安でいっぱいです。
 私たちが実施した玉山区民を対象としたアンケートでは
① 今まで通り区政を残してほしい 73% 
② 小中学校の統廃合はしないでほしい 46% 
③ 玉山地区の定期バス路線は、市が補助金を出しても運行してほしい49% ④ 一般ごみの広域化については計画の見直しをしてほしい 46% 
⑤ 生出地区の産業廃棄物処理施設の建設をやめてほしい 82% でした。 

 振り返ってみれば、平成の大合併は「アメとムチ」の両面からの住民攻撃でした。
 アメの部分は「合併特例債」、ムチの部分は「地方交付税の抑制策」がありました。
 そして2005年(平成17年)3月31日までに合併申請をしなければ「合併特例債の特典が受けられない」という時間的制約で地方自治体を追い込んできました。 この先頭に立っていたのが県であり、当時の知事は増田寛也氏でありました。
 一方長野県は、「合併推進」と「小規模自治体の自律(自立)プランで生き残り」の両面作戦を取り、全国一小規模自治体が残りました。
全国でも多くの小規模自治体が合併をしませんでしたが、どこの小規模自治体も破綻はしていません。 当時の長野県知事は田中康夫氏でした。
こうしてみれば、指導者によって住民の暮らしは大きく変化します。

 玉山村では、合併前に住民有志が有権者50分の1⇒266人の実に11.8倍にあたる3,139名の署名を集めて合併を問う「住民投票条例」の制定を求めましたが、村長は「間接民主制を基本とする現行制度上、合併の最終的判断は議会の議決に従うのが当然。条例は制定すべきではない。」との意見書を付けて議会に提案。 条例制定に賛成する議員は2名だけで、議会は住民投票条例案を否決しました。 そして玉山区は合併への道を進むことになりました。
 当局側は「提案はしたが、決めたのは議会」ということになるでしょうが、住民の思いは「合併をするかしないかの結論を自分たちの判断で出したかった」と私は考えています。 いわゆる「住民の基本的権利」の主張であり、その意義はすこぶる重要であり玉山村の歴史に残る大きな光であります。

 さて、合併前の玉山村一般会計の年間予算はおよそ74億円。
 合併しなかったとすれば、これまで10年分で740億円の予算が組めたと思うのであります。
 そこで、玉山村が盛岡市と合併して玉山区に配分された金額は10年分でどれだけになったのでしょうか。
単純に計算できないでしょうが、一定の数字は出ると思います。
 その金額はどの程度になりますか、お知らせください。

 新市建設計画はまだ道半ばであります。特例債の活用が延期になっていることから、自治区の延長は可能と考えますが、他に事例はありませんか伺います。
まちづくり協議会組織もまだ準備中のところもあり、まだ軌道に乗ったという状況ではありません。もう少し時間をかけ、新市建設計画の見直しを先にやるべきと考えますが如何でしょうか伺います。

≪谷藤市長≫ 髙橋和夫議員のご質問にお答え申し上げます。
 はじめに、合併後の玉山区に配分された金額についてでありますが、扶助費や介護保険費特別会計への繰出金などについては、合併後に予算を一本化しているため、玉山区に配分した金額を正確に算出することが難しいことから、普通建設事業で説明いたしますと、新市建設計画の玉山区に係るハード事業の経費は、18年度から25年度までの実績額に26年度の実績見込額及び27年度の予算額を加えると約123億6千400万円となっております。

 併せて新市建設計画事業以外の建設事業につきましては、10年間で約9億2千300万円となっており、合計いたしますと、約132億8千700万円となっております。
なお、旧玉山村の普通建設事業費につきましては、合併直前の3年平均で約7億9千100万円となっており、10年で79億1千万円程度となるものでございます。

 次に、地域自治区の延長は可能と考えるが他の事例はあるのか、についてでありますが、本市におきましては、まちづくりの一体感の醸成を図る観点から、地域自治区の期間の延長は考えていないところでありますが、青森市の浪岡地域自治区の設置期間を当初、平成27年3月までとしていたものを平成33年3月まで6年間延長しているなどの例がございます。
 次に、玉山区のまちづくり協議会組織も準備中のところもある中で、新市建設計画の見直しを先にやるべきではないのか、についてでありますが、玉山区のまちづくりに関しましては、新市建設計画におきまして、未完了事業があるなど課題があるものと存じております。
また、地域自治区の設置期間及び新市建設計画の計画期間が平成28年3月までとなっている中で、先般、玉山区地域協議会から新市建設計画の確実な実施や地域協議会の機能維持などについて提言があったところであります。
 このような中で、玉山区のまちづくりを今後も円滑に進められるようにするため、住民意見を反映させるための玉山区地域協議会に代わる組織の設置や、期間延長を含む新市建設計画の見直しについて、現在検討を進めており、平成27年度中にその手続きを行いたいと存じております。

≪髙橋和夫≫次に交通政策について質問します。
これまで市当局から、交通対策についてバスの試験運行やさまざま地域の声も聞いていただいたところであります。
12月議会の一般質問でもこの問題で質問をし、市長から「交通弱者の増加に対する移動手段の確保に、より一層取り組んでまいりたい。」との回答を頂いております。
しかし、具体策が見えてまいりません。県交通の活用だけにとどまらず、もっと別な対策もあろうと思います。
この問題は、玉山区や上米内地区の方々が買い物や病院への通院を始め、高校生の通学にもかかわる問題であります。 
適正な時間帯に通学・通勤のバスが無いと、地域はますます過疎化します。
私が何度も質問し、当局の担当者が地域に入って関係者のお話を何度も聞いて充分に理解しているはずなのですが、それでできないということは一体どういうことなのでしょうか。
先にも述べましたが、今月、私たちは玉山区民を対象にアンケート調査を実施いたしました。その中でバスの運行に関しては49%が「市が補助金を出してでもバスは運行すべき」という結果が出ました。 
当局の現在の取り組み状況についてお知らせいただきたく質問いたします。
≪谷藤市長≫次に、交通政策についてですが、課題となっております松園営業所と好摩駅を結ぶ好摩直通線につきましては、路線維持のため、平成27年9月までの被災地特例制度の延長を、県を通じて国に要望するとともに、沿線の門前寺、玉山、庄ヶ畑地区の方々との懇談の中で、様々なご意見をいただいているところでございます。今後につきましては、平成26年度内に改めて懇談会を開催するとともに、地域の方々のご要望が現在の路線の継続を前提としたものであったことから、仮に被災地特例が廃止された場合でも現在の路線を維持していただけるよう、今後ともバス事業者に対し、様々な運行形態について具体的な提案をしながら、協議を重ねてまいりたいと存じます。
また、バス事業者の活用にとどまらない別な対策につきましては、先行している他都市における、運営の財政面での課題や運営主体の確保の課題などの解決策等も参考にしながら、国において平成27年2月に閣議決定された「交通政策基本計画」を受けた各種施設の動向等も見極めつつ、地域の方々ともしっかりと相談しながら、日常生活等に必要不可欠な交通手段の確保に取り組んでまいりたいと存じます。
≪髙橋和夫≫次に住宅問題について質問します。
市では、市営住宅の入居者の募集をしています。
今回も募集があり、新たな入居者が決まったようです。
そこで気になるのは、抽選で入居が決まってから説明会があるようですが、「鍵渡し」が、入居日と近いことです。
今回の場合、「鍵渡し」が2月27日、そして入居が3月1日。僅か2日しかありません。
このため、私が相談された例では、時間的に間に合わないため「今までの民間アパートを3月も借りることにした」という報告がありました。
いわゆる民間アパートと市営アパートの2か所分を払う結果となっています。
いくらかでも安いアパートに入ろうと市民が願っている時、アパート代の二重払いは大変です。
市営住宅に入居いただく場合、既に空室になっているわけですから、鍵渡しをもう少し早めに見直すことはできないものでしょうか。
こういう問題は一般質問で質問する内容ではないと思いますが、あえてこの問題について取り上げたのは、市の行政が多くの分野で指定管理や民間委託をする中で、本来、「市が行うべき業務を民間に任せることにより、本来の業務を担当する職員が市民の現状を理解できなくなってきている」ところに問題があるのではないかと思うからであります。
これは職員が悪いと言う問題ではなく、この様な仕組みを導入したところに問題があります。市の行政が、中途半端な株式会社化をして、市民に対するサービスが後退しているように思えてなりません。
この様な問題について、どの様に考えどう解決してゆくのか、あえて質問いたします。
≪藤田建設部長≫ 市営住宅の鍵の引き渡しについてですが、市営住宅の家賃は、市営住宅条例等に基づき、入居可能日から部屋を使用することを前提に家賃を徴収することとし、便益と負担の適正化に配慮いたしております。このため、入居可能日は、あらかじめ募集案内の時点で明確にし、応募者の方々に、しっかりお知らせしておくとともに、鍵につきましては入居可能日の早朝から引っ越し等が可能となるように、入居可能日の前日にお渡しているものでございます。これは、指定管理者制度の導入前においても同様の取扱いとなっております。
なお、今回の市営住宅への入居に当たっては、入居可能日の前日である2月28日が休日となることから、27日に鍵をお渡ししたものでございます。
次に、市営住宅の指定管理者制度の導入後の市民サービスにつきましては、指定管理者が毎月行う業務処理報告等により、導入前に市で行っていた事務と同水準にあることを確認しており、また、指定管理者においては、年間を通じて24時間体制で電話を受け付するほか、緊急時には即時に対応を行えるようにするなど、入居者に対するサービスの向上確保が図られているものと存じております。

≪髙橋和夫≫最後に、国体開催を目の前に控え、県都であり、中核市であり、そしてMAIS(マイス)誘致事業からILC誘致まで積極的に行動しようとしている市役所に、「郵便局」が無いのは如何考えてもおかしい。
 国内で、県都であり、中核市である都市で郵便局をもたない都市がどれだけあるか伺います。 どう考えてもおかしい。
 市役所では一日何通の手紙を発送しておりますか。
また、市役所には一日何人の市民が来庁しますか。
市役所に来ればほとんどの用事が足りる仕組みはできないものでしょうか。
 それこそ市民サービスにもなるのではないでしょうか。
一考あるべきと考えますがご回答をお願いいたします。

 
≪柴田総務部長≫県都であり、中核市である都市の市役所への郵便局の設置状況についてですが、該当する20市で調査したところ、郵便局を設置している都市は4市で、郵便局を設置していない都市が16市となっております。
次に、市の郵便発送件数についてですが、本庁舎におきましては、平成25年度で、約239万通となっており、1日平均では9千8百通となっております。
次に、市役所の来庁者数についてですが、本庁舎におきましては、平成25年度における概算では、約38万1千人で、一日平均で約1,500人となっております。
次に、市役所に来ればほとんどの用事が足りる仕組みはできないかについてですが、庁舎が手狭でありますことから、郵便局等の設置は考えておりませんが、新庁舎建設の際には、市民の利便性が向上するように配慮してまいりたいと存じます。