2015年3月定例会 鈴木努議員の一般質問

 
質問項目 (クリックするとジャンプします)
若者支援について
 「ニート」への支援
 ひとり親家庭への支援
 若者定住への家賃補助
介護保険について
  介護報酬削減への影響
  介護保険料軽減対策
  障がい者福祉サービスと介護との関連
インフルエンザ予防接種助成について

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 質問  答弁(大要)
≪鈴木努≫若者支援についてお伺いします。当市において、家庭や学校、地域、職場、行政の連携を強化しながら青少年施策を推進するため、平成17年度に策定した「新少年健全育成計画」に基づき取り組みが進められてきました。その後平成22年に「子ども・若者支援推進法」が施行され、この法律とともに「子ども・若者ビジョン」の趣旨を踏まえ、子ども・若者の支援を総合的に進めていくために「盛岡市こども・若者育成支援計画」(案)が示されたところであります。
この計画(案)に関わり、何点か質問させていただきます。
 初めに、困難な状況ごとの取り組みに関わって、盛岡市におけるニートの人数についてでありますが、2013年10月1日現在の15歳~34歳の人口66,700人に岩手県のニートの割合2.5%から出された数値で1,668人となっています。しかし、この数字は年齢別人口に占める比率を考慮した推計値となっています。当市として実態について調査することはないのでしょうか、お伺いします。

 合わせて、ニート対策における当市の方向性と取り組みについてお知らせください。

 子どもの貧困問題への対応として、ひとり親家庭への支援に取り組むことが明記されております。ひとり親家庭のへの支援として家庭生活支援員の派遣や必要な介護および乳幼児の保育などを行う「ひとり親家庭等日常生活支援事業」、児童扶養手当の受給者が自立した生活を送るための「母子・父子自立支援プログラム策定事業」等ひとり親家庭を支援する事業の実施などにとりくまれるとのことであります。
 ひとり親世帯の状況については、平成24年で3214世帯、25年3234世帯、26年12月時点で3202世帯となっていますが、これはあくまで児童扶養手当受給資格者となっており、すべてのひとり親家庭の世帯との数値とは違います。
 児童扶養手当受給資格者以外にもひとり親世帯の状況をしっかりと掴みながらこれからの支援に取り組んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか、お伺いします。

 若者の定住促進ために若者に対する家賃補助、あるいは住宅を購入した際の補助事業などが全国でも徐々に増えてきている状況にあります。
若者の市内への定住促進のための施策として過去の議会で、若者に対する家賃補助の創設を求めたところでありますが、どのように検討がされているのでしょうか、お伺いします。
≪細川市民部長≫ ニートが社会問題となっている背景には、心身の健康上の理由、職場での人間関係に対する不安など個人の問題としての側面に加えて、早期離職者の増加など様々な原因が混在しているため、その定義や程度による判断が困難であること、また、家族が公にすることを避け、潜在化している例も多いことから実態調査は予定しておりません。
 しかしながら、若者の自立を促すための今後の支援策を検討する上では、議員ご指摘の通り、ニートに陥った原因などを分析する必要がありますことから、関係部署と連携しながら、ニートの状態にある若者やその家族、関係者に対してその状況やニーズについての聴き取りを行うなど、効果的に実態把握する方法について研究してまいりたいと存じます。
 臨床心理士によるカウンセリングの実施や、疑似通勤の場として「ワーキングルーム」を開設するほか、利用者の社会と関わる機会を与えるための「ボランティア体験」などを行っておりますし、国が社会人・職業人としての基本的な能力等の養成や職業意識の啓発などを行うため開設している「盛岡若者サポートステーション」とも連携を取りながら進めているところであります。
 今後におきましても、国や関係機関などとの連携を強化しながら、若年無業者いわゆるニートの就労につながるよう取り組んでまいりたいと存じます。

 平成22年の国勢調査によりますと、市内のひとり親世帯は3392世帯となっております。
 このうち、児童扶養手当の受給申請をされた方につきましては、子ども未来課窓口において必要な支援の相談を受けているところでありますが、それ以外の方につきましては、把握できかねているところであります。
 ひとり親世帯が抱える悩みや必要な支援は、経済面に限らず、多様なものがあると推察しておりますことから、今後におきましても、「広報もりおか」や「市公式ホームページ」により、相談体制の周知を一層図りながら、その世帯のニーズに的確に対応した支援に努めてまいりたいと存じます。



≪東藤市長公室長≫他都市の事例としては、新婚世帯を対象とした家賃助成、中山間地域への移住を対象とした住宅改修補助、定住のための住宅購入者への固定資産税相当額の補助、若者の住宅取得に対する補助など、その年の実情を踏まえた制度となっており、他都市の制度の仕組みや内容に注目しているところであります。
 本市におきましては、若者の首都圏への流出、空き家の増加、地域の担い手不足という状況がありますが、家賃補助が若者の首都圏流出に歯止めをかけられるのか、空き家の解消にどの程度効果が期待できるのか、などについて、その効果を見極めることに課題があるものと存じておりますことから、さらに他都市の取組事例や本市の実情を踏まえ、研究してまいりたいと存じます。

≪鈴木努≫ 介護保険についてお伺いします。厚生労働省は、2月6日に、介護保険制度で介護サービス提供事業者に支払う公費である介護報酬の4月からの改定額を決定しました。特別養護老人ホームやデイサービスなどへの報酬を大幅に引き下げるものとなっています。
 今回の介護報酬引き下げは全体で2.27%となっていますが、介護職員の待遇改善加算や認知症・中度障がい者対応を加えたうえでの介護報酬削減であり、実質4.48%と過去最高の引き下げです。
 今後については、すでに特別養護老人ホームや小規模デイサービスの基本報酬の引き下げが提案されています。これが実施されますと多くの事業所の経営を直撃し、介護職員の労働条件や介護サービスの後退を招くことは必至であります。
 全国老人福祉施設協議会は、「現在でも赤字施設3割近くに及ぶ特別養護老人ホームなどでは、やむなくボーナスカットや非正規雇用への切り替え、賃金水準の引き下げもあり得る危機的状況に陥る恐れがある」と懸念しています。
 厚生労働省は、「処遇改善加算」によって常勤換算で140万人に月1万2000円程度の賃上げをすると見込んでいるとしていますが、介護で働く事務職員や理学療法士等約70万人は対象外となっています。しかも加算を得られるのは、職務に応じた賃金体系や研修の実施、子育て支援等労働環境が整っている事業所だけです。
 現状の対応では、介護職員が2025年に約30万人不足するといわれている中で、今回の介護報酬の引き下げが人員確保に逆行することになります。深刻となっている介護職員の確保のためにも介護報酬の底上げこそ必要と考えますがいかがでしょうか。また介護サービスの低下を招く報酬引き下げを撤回するよう国に働きかけるべきと思いますが、いかがでしょうか、お伺いします。

 先日ある介護事業所を訪問し、事業所の現状をお伺いしてきました。介護職員の人材確保について、「職員の絶対数がすくない」「職員の確保が出来ず職員の奪い合いが起きている」とのことであり、職員の確保について深刻な事態が生まれているとのことであります。
このような中で、職員を確保できず市内の事業所でも事業の閉鎖、あるいは縮小するところも出てきているとお聞きしますが、実態については、市でも把握しているものでしょうか、お伺いします。
 また、人手が足りず事業を続けていくことができないとなれば、今後の市の介護保険事業計画にも大きな影響が出てくることが懸念されます。市としても職員の確保のための独自の対策をとっていく必要があると思いますが、いかがでしょうか、お伺いします。

 第6期介護保険事業計画の保険料は、政府の資料によると全国平均月額基準額で5500円程度とされ、第5期の保険料の平均額4972円を上回るものとなっています。
 当市おいては、第6期介護保険事業計画の保険料については、11月に全員協議会で示された月額基準額と比べ315円の軽減となりますが、それでも第5期と比較して929円17.7%の大幅な値上げとなります。
 さらに国は1300億円を投じて所得第1段階から第3段階までの1000万人を対象に低所得者の軽減を実施するとしておきながら、今回そのほとんどを見送り、第1段階だけを軽減の対象とその割合についても低く抑えられています。
 市民生活にとって耐えられない負担増となるわけでありますが、住民の暮らしを守るうえで保険料の値上げ抑制のための取り組みが必要です。
 過去の我が党の国会質疑の中でも、厚生労働省は自治体が行っている保険料の減免に対し、①保険料の全額減免、②収入のみに着目した一律の減免、③保険料減免に対する一般会計からの繰り入れを不適切とする3原則についてはあくまで「助言」に過ぎず、「自治体がそれに従うべき義務はない」としていることから、一般会計からの繰り入れを行い保険料の値上げの抑制をしていくことは十分に可能と考えますがいかがでしょうか、先の議会でもお聞きしましたが、改めてお伺いいたします。

 昨年6月に成立した「医療・介護総合法」により、要支援1・2の利用者の訪問介護や通所介護がこれまで全国一律サービスだったものをサービスから切りはなし、市町村による総合事業に移行することになります。厚生労働省の調査では、27年度中に移行を予定しているのは全国で114自治体に留まっており、割合からするとわずか7%の実施となる見通しとのことであります。続く28年には277、そして最終期限である29年度に1069の自治体が先送りする方針としています。多くの自治体では、担い手の確保が難しく、初年度の実施に踏み切れない状況となっています。
 当市においては、この総合事業の移行について、来年度モデル地区を選定し、29年度の実施に向けた準備を進めていくとのことでことでありますが、そのモデル地区はどのように選定する予定となっているのでしょうか、また29年度実施に向けてのどのように進めていくのか、具体的スケジュールについてお知らせください。

 障がい者総合支援法の「介護保険優先原則」に基づき障がい者福祉施策を利用する障がい者が65歳になると介護保険制度を優先的に使わなければならず必要なサービス支給量が減らされます。この問題について厚生労働省が都道府県や指定都市などに対して、介護保険移行の際は、一人一人の意向を把握したうえで適切に運用するように2月18日付で事務連絡を出しています。
 この事務連絡では、65歳になった障がい者が介護保険サービスの支給量・内容では十分なサービスが受けられない場合は、介護給付費を支給するなど適切な運用を求めています。また障がい者要介護認定を受けた結果、「サービス量が減少することも考えられる」と指摘し、「必要としていたサービス量が、介護保険利用開始前と後で大きく変化することは一般的に考えにくい」として個々の実態に即した適切な運用を要請しています。
 介護保険優先原則をめぐっては、全国では脳性まひで手足に重度障害のある方が支給量が減らされた上、利用料が無料から1割負担に増え提訴に踏み切る等の事態も起きております。
 当市においては、今回の事務連絡に基づき、個々の意向を尊重した柔軟な対応をしていく必要があると思いますが、いかがでしょうかお伺いします。

 2月3日に成立した国の「2014年度補正予算」に盛り込まれている「地域住民生活等緊急支援のための交付金」について、わが党の国会議員が参議院の予算委員会で「補正予算の地域住民生活等緊急支援のための交付金を介護拡充、介護用品の購入、入浴回数の増加、ホームヘルプの時間延長、病院や施設の付き添い・送迎などの追加サービスを購入することに使えるように」と質問しました。それに対し、政府は、交付金を「介護関連用品の購入、低所得者に対しては介護サービスの購入支援に活用することは可能」と答弁しています。
 要支援者の介護サービスが保険給付の対象から外されようとしている中で、この交付金を活用した介護サービスの充実について検討するべきと思いますが、いかがでしょうかお伺いします。

≪谷藤市長≫ 介護報酬の引き下げについて、いくつかの介護事業所の関係者からお話を伺ったところ、サービスの種類によって差があるものの、収益にすくなからぬ影響が生じるとのことであります。今後、介護報酬の引き下げに伴う影響について、具体的調査を実施し、その調査結果を踏まえ、必要に応じて、全国市長会などを通じて国に事業所運営の改善等について要望してまいりたいと存じます。



























≪熊谷保健福祉部長≫平成26年度では、2月までに廃止した事業所が1か所、休止した事業所が6か所となっており、介護事業所の関係者からは、職員不足によりショートステイ等、サービスの種類によって利用者の受け入れ困難な状態になっているとお話を伺っております。
 職員確保のための独自の対策をとっていく必要があるのではないかについてでありますが、第6期介護保険事業計画では、新たな取り組みとして、「介護人材の確保と育成に関する支援」を掲げているところであり、平成27年度には、地域における医療及び介護の総合的な確保をするために必要な事業を支援するための基金が県に設けられますことから、県と役割分担しながら、基金を活用した介護人材への参入促進や労働環境の改善など、人材確保に向けて取り組んでまいりたいと存じます。


≪谷藤市長≫
国の通知により、保険料給付の費用のうち、市町村の一般財源が一定割合を負担するものと定められており、これを超えることは健全な介護保険財政の運営や財政規律の保持の観点から適当ではないかとされておりますことから、負担割合を超えた一般会計からの繰り入れは考えていないところであります。
























(熊谷保健福祉部長)モデル地区につきましては、地区福祉推進会単位で2~3か所を想定しており、平成27年度の早い時期に、それぞれの地区において、認知症対策、介護予防、生活支援サービスの3つのテーマについて取り組むことを基本に公募により選定したいと考えております。
 スケジュールといたしましては、27年度中に、地域における社会資源の発掘や課題を抽出するとともに、地域の状況の違いを把握し、28年度に、成果や課題について分析・検討の上、事業の制度設計を行い、29年度からの事業実施につなげてまいりたいと存じます。
 



≪谷藤市長答弁≫障がい福祉サービスと介護保険制度の適用についてでありますが、障がい福祉サービスの利用者は、65歳到達時に、介護保険優先の原則に基づき、介護保険制度に移行することとなりますが、介護保険サービスの支給量・内容では、十分なサービスが受けられない場合には、一人一人個々の実態を把握し、介護保険サービスと障がい福祉サービスが受けられるよう適切に対応してまいりたいと存じます。
















≪熊谷保健福祉部長≫この交付金につきましては、地域における消費喚起やこれに直接効果を有する生活支援を推進するために、国の緊急経済対策として、交付されるものでありますことから、継続性が求められる介護サービスに臨時的に活用するよりも、介護用品等の購入も可能となる低所得者世帯向けの商品券の発行が有効であると判断したところであります。
≪鈴木努≫ 予防接種事業についてお伺いします。インフルエンザにより休業措置をとった学校などの状況を見ますと2014年9月以降、2月26日現在で81件となっており、昨年同期と比較して41件の増となっており、倍の件数となっています。インフルエンザの流行により学校行事や授業の進捗にも大きな影響が出るわけでありますが、接種率を上げ、学校運営や児童・生徒への影響を抑えていく必要があります。市として、接種率の向上のために児童・生徒へのインフルエンザの予防接種について子育てをする家庭の経済的負担を軽減して行く必要があると思いますが、いかがでしょうか。

 インフルエンザの予防接種の助成については、先の項で述べた国の2014年補正予算の中の「地域住民生活等緊急支援のための交付金」も活用もできると思いますが、いかがでしょうか、お伺いします。
≪熊谷保健福祉部長≫インフルエンザの予防接種の助成につきましては、平成15年度から、3歳以上6歳未満の幼児に対し、1回につき1000円の補助を行い、22年度からは、その対象を0歳から小学校就学前の6歳児までの乳幼児に拡大したところであります。
 現在国において定期接種の対象ワクチンの追加が検討されているところでありますことから、インフルエンザ予防接種の児童・生徒への助成の拡大につきましては、他団体の状況も考慮しながら、限られた予算の中で、その優先順位を考えてまいりたいと存じます。


 26年度のインフルエンザ予防接種の接種時期が終了していることや、この交付金が、原則予防接種の対象とならないこと、継続的に交付されるものでないことなどの理由から活用を見送ったものであります。