質問 |
答弁(大要) |
≪鈴木礼子≫子ども・子育て支援事業計画について
新年度から「子ども・子育て支援新制度」がスタートします。
今後、保育の利用調整、保育所入所事務手続きなど予定されますが、膨大な事務量が予想される中、何よりも市の保育実施責任を踏まえ、子どもの権利保障の視点から保育に格差を持ちこませず、最低でも現行保育水準を切り下げることのないよう制度の運用を図っていただきたいと願うものです。
27年~31年を計画期間とした「子ども・子育て支援事業計画(案)」(以下「支援事業計画(案)」)が示されました。「盛岡市新総合計画」では、子ども・子育て支援施策について「子どもの最善の利益を第一に、希望を持って子どもを生み育て、全ての子どもが健やかに成長できるように、子ども・子育て支援を進める」と明記し、子育て支援施策が戦略プログラムの一つに位置付けられました。
名実ともに実行されることを期待するものです。
また、「支援事業計画(案)」はその基本理念に、子どもは社会の希望であり、未来を創るかけがえのない大切な存在と位置づけ、子どもの健やかな育ちと、保護者の子育てを支えることが社会の担い手を育成するための重要な「未来への投資」であるとしました。子育て支援施策が「未来への投資」との位置づけにふさわしい内容となるのかどうか真価が試されているのではないでしょうか。
以下、具体的な内容について何点か伺います。
①待機児童解消について
「支援事業計画(案)」は、懸案の待機児童解消を掲げ、27年の4月時の待機児童ゼロと平成29年度までには年間を通してゼロをめざすとし、5年間で500人の定員増を図る計画となっていますが、具体的な内容についてお示し下さい。
待機児童解消では、27・28年度当初では解消されたとしても年度途中で生まれる子どもたちの対応や入所希望者に対してはどうされるのか。29年度まで我慢しなければならないのでしょうか。これらへの対策についてはどのような検討をされていますか。
27年度からは新たに第3次の公立保育園移管計画が示されましたが、「支援事業計画(案)」には、公立保育所の果たす役割が見えてきません。全園委託化方針がのもとではあっても、待機児童解消への緊急事態として公立保育所が受け皿として対応するくらいの計画が求められているのではないでしょうか。いかがですか。
計画期間内の500人の定員増は、認可保育所の整備3ケ所、地域型保育所3ケ所、私立幼稚園の認定こども園移行8ケ所で対応するとし、認定子ども園への移行による定員増計画が主になっています。
認定子ども園への移行は、相手次第ということもあり不確実な計画となることも否めませんが、認可保育所整備を計画の中心に据えるべきと考えますが、この点は、どのような検討をされたのでしょうか。
②保育料の軽減について
「支援事業計画(案)」は、経済的な負担軽減対策の充実をかかげ、その一つに保育料の軽減を上げています。
新年度からは保育料の仕組みが大幅に変更されますが、新年度の保育所保育料の軽減率はいくらか。同様に認定こども園に移行した私立幼稚園保育料についてもお示し下さい。
あわせて、年少扶養控除廃止に伴う保育料への影響についてはどうですか。厚労省は、年少扶養控除の廃止により保育料への負担、影響を生じさせないようにとの通知を出していますが、これらへの対応と合わせてお示し下さい。
保育料の軽減は子育て支援施策として歓迎されており、特に多子世帯への軽減を期待する声が大きくなっています。幼稚園保育料は、幼稚園年少(3才児)から小学3年生までの範囲で最年長の子どもから順に2人目半額、3人目以降は無料になっていますが、認定こども園の未満児保育料についても軽減策が適用されるのかどうあ。保育所保育料についても同様の対応を行うべきですが、いかがですか。
子育て支援施策として、多子世帯への保育料軽減の実施を求めるものですが、対応について伺います。
新制度では、短時間保育(8時間保育)と標準時間保育(11時間保育)」で保育料が決められますが、短時間認定であっても延長保育料の額によっては標準時間認定より月ごとの負担額が多くなることも予想されます。
佐世保市では、認定では短時間、標準時間の区別はするものの扱いには差をつけず、これまで通りの利用ができるようし保育料表も一本化しているとききます。
保育時間による二区分は保育の実態とも合わず、現場に混乱を招くことも予想されます。この点ではどのような検討が行われたのか。
③保育士の確保策について
保育士の確保が非常に困難になっていますが実態についてはどのように把握されていますか。待機児童解消のために年度途中の子どもの受け入れを積極的に進めれば保育士の確保が難しくなるという状況が拡がっています。
解消策が急務ですが、保育士の確保のための支援が求められています。どのような検討をされていますか。民間保育園への単独補助金の上乗せなど検討すべきではありませんか。
④放課後の子どもの居場所づくり
放課後児童クラブは、新年度から「子ども・子育て支援新制度」に位置付けられ「量の確保」と「質の改善」に向けて市の実施責任のもとに進められることになりました。
「支援事業計画(案)」は、設備・運営の基準に満たない施設に対して計画期間内(27~31年)に改善を図るとしていますが、具体的な取り組みについてお示しください。
また、平成26年度の待機児童40人について31年度にはゼロに。計画期間の5年間の必要量を1、976人から2、521人に、545人の増を目指すとしています。
待機児童問題は、既に本宮地区で保育園卒園予定の児童が児童クラブの入所ができず困っているとの切実な声も寄せられており深刻な事態です。待機児童40人を5年がかりで解消するような計画は計画とは言いがたく、特にも児童の人口急増地域での対応は急を要しています。これらへの対策をお示し下さい。
また、必要量についても、単純計算で年間109人、施設数では3ケ所の増ということになりますが、既存クラブの移転や分割と未設置学区への対応などを述べているだけで、具体的にどうするのか真剣味が伝わってきません。
整備計画について、具体的に明記する必要がありますが、いかがですか。市の実施責任が問われていますが、いま現在、困っている方に対しては緊急に対策をとるべきですが、この点ではどのような検討をされていますか。
指導員の待遇改善が緊急課題となっていますが、何よりも国の補助単価が非常勤職員の賃金(一人当たりで130万円~140万円)で試算されていることが問題です。
新制度では、厚労省が指導員の常勤職員の配置や、加配職員の配置、小規模クラブへの職員の複数配置などのメニューを予定していると聴きます。その際、市負担分(3分の1)を予算化することが条件となりますが、これらへの対応はどのように検討されているのか。
次に児童館・児童センターの改善について伺います。
この間の私の質問に答えて、児童センター児童クラブ室の改善では、児童が安全に利用できるよう実態を調査し改善策を検討するとしていましたが、その後の取り組みについてお知らせください。解決策についてどのように検討されていますか。
また、就学前児童の利用希望で最も多いのが児童館・児童センターの利用です。地域によっては100人を超す児童が利用している施設もありますが、設備的にも厚生員の配置も限界に近く危険な状態なっているのではありませんか。改善策についてお示し下さい。
また、児童センターにおいても障がいのある児童の受け入れが増えています。実態はどうでしょうか。現状でも児童厚生員の配置基準が実態に合わず人手不足が常態化し、子どもの安全確保に責任が持てない状況も拡がっています。
障がいのある児童を受け入れている施設に対して職員配置を厚くするなどの支援を求めますが、いかがですか。同様に児童厚生員の待遇改善と確保策について合わせてお示しください。
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≪谷藤市長≫始めに、「盛岡市子ども・子育て支援事業計画」における待機児童解消の具体的な方策についてでありますが、平成25年の調査により、潜在的なニーズを含めた保育需要を把握したところであり、この計画においては、その需要を踏まえ、確保策として、私立幼稚園の認定こども園移行への働きかけや、認可保育所の新設・改修に係る財政支援、地域型保育事業野導入、保育士確保に係る人材育成・環境改善などを掲げたところであります。
計画も推進に当たりましては、私立幼稚園・私立保育所をはじめとする多くの関係機関の皆様のご意見とご協力が必要でありますことから、今後におきましても、十分な意見交換を含めた密接な連携を図りながら、待機児童の解消にむけ、全力を傾注して参ります。
≪熊谷保健福祉部長≫年度途中の入所希望者における待機児童対策についてでありますが、策定中の「盛岡市子ども・子育て支援事業計画」で示している、保育を必要とする子どもに係る「量の見込み」と「その「確保方策」においては、平成27年度、28年度では「量の見込み」が「その確保数」を上回るものとなっておりますが、関係機関のご協力をいただきながら、入所円滑化による定員弾力化の活用や、認定子ども園化の促進などを検討し、年度途中の入諸希望者を、より多く受け入れることができるように取り組んでまいります。
次に、待機児童解消における公立保育所の対応についてでありますが、公立保育所におきましても、私立保育所と同様に、入所円滑化による定員弾力化に取り組んでいるところであり、現行の施設と職員配置で対応が可能な保育所については、さらなる定員弾力化により、より多くの児童の受け入れを進めて参りたいと存じます。
次に、定員増は認可保育所の整備を中心とするべきではないかについてですが、待機児童の大半を占めるのは3才未満児でありますことから、その定員増を図ることが待機児童解消へ向け、有効であると認識しております。
市内の私立幼稚園におきましては、施設に余裕が生じている園があり、これらの園を3才児未満児の受け入れ施設として活用できれば、待機児童の解消に効果があるものと考えておりますことから、私立幼稚園の認定子ども園移行への働きかけを第一とし、併せて認可保育所の整備や地域型保育事業の導入を進め、計画期間内での待機児童の解消をめざしてまいりたいと存じます。
次に、平成27年度の保育所保育料の軽減率についてでありますが、国の保育料徴収金基準額案に対する市保育料の軽減率につきましては、平成26年度と同様に33・2%を継続することとしております。
また、認定子ども園へ移行した私立幼稚園の保育料につきましては、市内の各私立幼稚園で現在、設定している保育料を上回らないよう上限額を定めた結果、軽減率25%となるものであります。
次に、年少扶養控除廃止に伴う保育料への影響についてでありますが、国から示されている保育料徴収金基準額においては、子どもが3人以上の場合には、負担が増える可能性がありますことから、市におきましては、既に入所している児童については卒園するまで、廃止前の年少扶養控除等を反映させて計算した額をもって保育料とする経過措置を講ずることとしております。
次に、認定子ども園と保育所における多子世帯の保育料軽減範囲の適用についてでありますが、認定子ども園と保育所では、幼稚園とは別の軽減策が適用されております。
現在、国において3歳児から5歳児までの教育・保育費用の無償化が検討されているところであり、その動向を注視してまいりたいと存じます。
次に、 多子世帯への保育料の軽減についてでありますが、子育て世帯の経済的負担を軽減することは、少子化対策の一助でもありますことから、第3子以降の保育所保育料の無償化などについて、実施している先進事例を調査しながら、有効な施策の実施に向け、研究してまいりたいと存じます。
次に、保育時間2区分による保育現場の影響についてでありますが、保育短時間の保育時間設定に当たっては、保護者の就労の実態を基に、より多くの保護者が保育時間の設定時間の範囲内に子どもを預けることができるよう、職員の配置状況も踏まえ、配慮るものとしています。
また、保育料の設定に当たっては、保育短時間の利用者が延長保育を利用する場合でも、保育標準時間を上回らないよう保育料を設定するとともに、保育現場において混乱をきたさないよう、施設や保護者に対し十分な説明をして参りたいと存じます。
次に、保育士の確保が困難となっている実態についてでありますが、保育士養成機関の関係者からは、新卒者は、雇用形態が不安定であることや、給与水準の関係から、地元で就職せずに首都圏へ職場を求める例が多いこと。また、私立保育所の関係者からは、有資格者で現在就労していない方、希望する就労時間とミスマッチがあることなどの話を伺っており、市内の保育所において保育士の確保に苦慮している状況にあると認識しております。
次に、保育士の確保のための支援についてでありますが、「職員の処遇改善を目的とする勤務条件改善費」と「保育士の休憩・休息時間確保のための保育補助員費」に係る市単独補助の実施や、保育士求人情報・就職支援に関する岩手県保育士・保育所支援は、センターとの情報共有につとめてきたところであります。
平成27年度におきまして、認定子ども園における「保育士資格取得支援事業」を新たに実施するとともに、盛岡市私立保育所育成協議会等の関係機関との意見交換を通じ、保育士確保に向けてどのような方策が有効か検討してまいります。
次に、基準を満たしていない放課後児童クラブへの支援についてでありますが、平成27年度におきましても、各クラブの実態調査を継続実施し、運営主体からの要望を踏まえ、基準を満たすことができるような支援策の検討を進めてまいります。
具体的な取組といたしましては、国が策定した「放課後子ども総合プラン」に基づく学校施設の活用について、市教育委員会と連携しながら検討してまいりますとともに、国の補助制度の活用による民間施設整備に対する支援を講じて参りたいと存じます。
次に、児童数が急増する地区への対応についてでありますが、学童クラブの利用希望児童が増えている本宮地区では、27年4月に、新たな40人定員のクラブの開設が予定されております。
今後におきましても、利用児童数の増加が見込まれる地区につきましても、各運営団体との協議の上、クラブの分割や施設の拡張、新設等により、受け入れ枠の拡大を図るなどの対応をして参ります。
次に、学童クラブの整備量を具体的に明記することについてでありますが、現在、学童クラブが未設置の小学校区であっても児童センターが代替的な役割を担っている場合や、複数の小学校区を対象とした学童クラブがあることから、今後、各クラブの利用希望者の調査を実施し、その結果を踏まえ、整備料を検討してまいりたいと存じます。
また、基準をみたしていないクラブの整備につきましては、各運営主体の負担も伴いますことから、具体的な実施時期等は、運営主体との今後の競技によることになりますが、計画期間内の整備を目標として取り進めたいと存じます。
次に、学童クラブの職員配置に係る市負担分の予算化についてでありますが、平成27年度の放課後児童健全育成事業の国庫補助基準額の案が示されたところであり、今後、国から示されたる事業実施要綱を確認した上で、予算化を検討して参ります。
次に、児童センター児童クラブ室の改善についてでありますが、平成27年1月から2月にかけて全施設の調査を実施し、指定管理者からの聞取りや黙示による現況確認を行ったところであり、現在、児童の人数と体格差に配慮した活動場所の設定や、遊戯室・図書室・集会室等の併用など、児童が安全に利用できるために必要な方法について、検討しているところであります。
次に、利用者が多い児童館・児童センターの施設及び児童厚生員の配置についてでありますが、施設につきましては、利用する学年ごとに部屋を分けるなど、安全に配慮した対応や多人数における遊びのルールの指導などについて、指定管理者へ依頼しているところであります。
また、児童厚生員の配置につきましては、利用者が多い施設へ臨時職員を加配するほか、副館長などの他の職員が協力して見守る体制を採っており、今後も児童の安全確保に努めて参ります。
次に、障がいのある児童の受け入れ状況についてでありますが、児童館・児童センター利用登録児童のうち、障がいのある児童の割合は、平成24年度が登録児童4558人中26人で0・6%、25年度が4386人中55人で1・3%、26年度が4177人中47人で1・1%となっております。
次に、障がいのある児童を受け入れている施設への職員の配置についてでありますが、26年度の生涯児童登録施設は12館あり、見守り対応を必要とする児童のために、このうち3館に臨時職員を加配しております。
また、指定管理者において、26年度から「発達障がい児支援専門員」を新たに配置し、各施設を巡回し、発達障がい児童に対応する児童厚生員への助言や指導を行っているところであり、今後におきましても、指定管理者と協議の上、適正な職員の配置など努めて参ります。
また、児童厚生員の待遇改善と確保策につきましては、聴き取りにより現状の把握に努めているところであり、指定管理者と協議しながら、必要な対応策を検討してまいりたいと存じます。 |
ごみ処理広域化問題について
≪鈴木礼子≫ごみ処理広域化問題での質問は、昨年8月突然の計画案が示されて以降3回目の質問になります。この間、党市議団は、市長に対して4点にわたって問題点を指摘し再検討を行うよう申し入れてきました。
申し入れは、①パブリックコメントの意見のほとんどが広域化に反対、もしくは見直しを求めており住民合意は得られていないこと ②焼却施設建設地域にのみ過度な環境負荷を押し付ける内容であること ③減量・資源化に逆行すること ④コスト比較は、前提となる基礎数値が統一されておらず正しい比較とはいえない。国の交付金活用の可能性を最初から排除して、1施設集約型がコスト比較で最も有利としているとしていると指摘し、抜本的な見直しを求めました。
市議団の申し入れについてはどのような検討がなされたのでしょうか。
1月22日、3市5町の首長出席のもと開催された広域化推進協議会で基本構想「案」が了承されましたが、最大の焦点は建設費用への交付金の有無でした。
「広域化計画が県の計画と整合性がなければ交付金の採択はない」とした県環境生活部資源循環推進課長の発言が、広域化計画承認の最大の根拠となりました。
交付金問題については、12月議会でも取り上げていますが、再度、党の国会議員をとおして厚労省に真意を確かめた結果、交付金要綱の条件をクリアすれば可能であるとの回答を得ております。あらためて県計画との整合性がなければ採択にならないとしたその根拠をお示しください。
岩手県ごみ処理広域化計画は、県内を6ブロックに分け、各ブロックに1カ所の処理施設を建設するとして平成11年に策定されました。広域化の最大の目的はダイオキシン類の削減にありましたが、すでに目標は達成されたにもかかわらず、今度は効率化や環境負荷の低減、サーマルリサイクルの推進を理由に何が何でも広域化を押し付けようとしています。
しかし、二戸・久慈市を中心とした北部ブロック、奥州市・一関市を中心とした県南ブロックは、県計画と異なる結論を出しているのではありませんか。どのように状況を把握されていますか。伺います。
広域化計画が市民に知らされたのは昨年9月の市広報によるパブコメを募集する小さな囲み記事と、クリーンセンターなど処理施設がある周辺地域4カ所のみで、いわば市民不在の中で急ぎに急いで進められてきました。
計画は発表されてわずか5ケ月足らずで計画が承認されるという、いわば市民無視の異常な事態といってもいいでしょう。
この間、市民から144件のパブリックコメントが寄せられましたが、そのほとんどが反対、もししく危惧の念を示し意見を述べているのにもかかわらず、聞き置く程度の対応だったのではありませんか。
市民の真剣な声には一切耳を貸さず、何が何でも1施設集約型の広域化しか見えないかたくなな姿勢と言わざるを得ません。いかがですか。
市クリーンセンター公害防止対策協議会が、広域化の検討にあたって1施設集約化ではなく、コスト面の差異がない3施設建替えも含めて検討することとし、ライフサイクルコスト(LCC)の再精査を求めていました。あらためてその結果について伺います。
当局の試算結果は、基礎数値を日量500tで統一し、平成26年から55年までの30年間のライフサイクルコスト(LCC)では、3施設の中継施設を整備する1施設集約型が1260億1千5百万円。3施設分散型では1386億2千9百万円で、1施設集約型の方が確かに126億1千4百万のコスト安となる内容です。
しかし、この2つのケースの最大の差は施設整備費です。3施設分散型は320億円、1施設集約型は170億円の施設整備費を計上していますが、なぜ施設整備費にこんなにも大きな差が出るのか。
実は、1施設集約型の設備整備費には交付金80億円が入ることを前提にして170億円を計上し、3施設分散型は対象外としているからです。
また、施設規模は500tに統一していますが、1t当たりの建設費単価が1施設集約型は5、000万円、3施設分散型は6、400万円となっています。
根拠として、1施設集約型が国のエネルギー回収型廃棄物処理施設として環境省公表の単価を採用し、3施設分散型は既存施設の建設時の平均単価を採用しているということですが、間違いありませんか。
市クリーンセンター公害防止対策協議会が示した同一基準による再精査ということであれば、この点の配慮が必要ではなかったのか。いかがですか。
確かに再精査したライフサイクルコスト(LCC)は、1施設集約型がコスト安にはなりますが、交付金の有無、最大の差がでている施設整備の単価如何によっては3施設分散型がコスト安になるのではありませんか。
同時に重要なことは燃料高騰などの不安定要素を抱える収集運搬経費です。中継施設を含む1施設集約型が453億円、3施設分散型では401億円(端数を切り捨て)です。コスト比較では3施設分散型が52億円のコスト安となります。
市内へは、中継施設から1日あたり2t車で270台、10t車で13台の搬入車両が予定されるなど環境への負荷も甚大で、広大な地域から市内1カ所に運び込むことが経済効率上も環境負荷の点からも無謀な計画と言わざるを得ません。いかがですか。
経済効率を最大の理由にした1施設所集約が、真にコスト安になりえるのかどうか真剣な検討が必要なのではありませんか。
党議団が指摘したように、国の交付金活用の可能性を当初から排除し1施設集約型が先にありきの対応だったとしたら許されないことです。
市民に納得のいく説明を求めるものです。 |
≪谷藤市長≫次に、県央ブロックゴミ・し尿処理広域化基本構想(案)に対する、日本共産党市議団からの検討の申し入れについてですが、この申し入れにつきましては、県央ブロックゴミ・し尿処理広域化推進協議会の全構成市町へお伝えし、協議会としての考え方について、検討・協議させていただいております。
ブロック内の住民の皆様には、適宜、情報提供や説明を行い、移行を把握し、理解を得ながら進めることとし、施設建設地域の環境負荷や負担野軽減を図るための方策を講じるとともに、施設を受け入れる地域の負担を軽減するため、各市町において、これまで以上にごみ減量・リサイクルに取り組むこととしたものであります。
また、ライフサイクルコストの比較については、盛岡市クリーンセンター公害防止対策協議会からの意見を踏まえ、基礎となる数値や設定条件を統一した新たな試算を追加したところであり、交付金の活用については、岩手県ごみ処理広域化計画との整合性を図ることにより活用できるものとして、広域化の方向性を検討したところでございます。
いずれにしましても、協議会としましては、基本構想に対して寄せられました意見を踏まえ検討・協議を行い、県央ブロックの3市5町が一体となって循環型の形成をめざしてまいりたいと存じます。
≪中川環境部長≫県広域化経計画との整合性がなければ交付金の対象とならない根拠についてですが、循環型社会形成推進交付金要綱には、交付要件として県広域化計画と循環型社会形成推進地域計画との整合性について明記されておりませんが、平成24年11月の環境省からの都道府県への通知では、交付金の申請の際に提出する地域計画の作成にあたっては、県ごみ処理広域化計画との整合性をとるよう市町村や一部事務組合等を指導することとされております。岩手県はこの通知を受け、地域計画を環境省に送付するにあたり、地域計画と県ごみ処理広域化計画との整合性を確保する事を基本とするので、地域計画の策定にあたり留意するよう、各市町村や一部事務組合に同年同月に通知しております。
このことから、県央ブロックにおきましては、岩手県ごみ処理広域化計画との整合性が図られる場合に、交付金を活用することができるものと認識しております。
次に、県北ブロックと県南ブロックの広域化の状況についてですが、県北ブロックの「ごみ処理広域化」に向けて設立された岩手北部広域環境組合が、平成24年4月に国の担当に照会したところ、ごみ焼却施設を1本しなくとも公布対象となるとの回答があったことから、県北ブロックのごみ処理は、久慈地域と二戸地域それぞれのごみ焼却施設で対応することに方針を変更したと伺っております。
また、県南ブロックの「ごみ処理広域化」に向けて設立された、「県南地区ごみ処理広域化基本構想」を策定したと伺っております。
基本構想では、県南地区の広域的なごみを処理推進することを策定の趣旨としており、ごみ焼却施設は、放射能物質の汚染により、ごみ処理や施設建設への影響が懸念されることから、県ごみ処理広域化計画の主旨をふまえるものの、当面はの対応として2施設体制とすると伺っております。
次に、パブリックコメントに寄せられた反対や危惧の念を示す意見にたいする考え方についてでありますが、主な理由は、「施設が遠くなることで、ごみ減量やリサイクルに対する住民の関心が低くなること」「施設が建設される地いいにのみ負荷が集中する事」「ゴミの処理は、発生した市町村内で処理するのが基本」等の意見が寄せられておりますことから、今後、協議会として対応していかなければならない課題と捉えており、3Rの推進、環境負荷の軽減、災害対策の強化、効率的な廃棄物処理システムによる循環型社会の形成に向けて3市5町が一体となって取り組んでまいりたいと考えております。
また、今後は、施設建設地候補の選定や、基本構想を具体的にするための計画作成などを行うことになりますが、適宜、住民への情報提供や説明を行い、作業の透明性を確保するとともに、意向の把握に努め、理解を得ながら進めてまいりたいと考えております。
次に、盛岡市クリーンセンター公害防止対策協議会からの意見を踏まえた再精査の結果についてでありますが、公害防止協議会からは施設規模の統一、維持補修費や運営費の条件の統一、試算の期間は、施設稼働年数を30年間とし、比較の期間を45年間とすることとの意見をいただいており、ライフサイクルコストの試算における建設費単価につきましては、6施設の建て替え、3施設集約、1施設集約など、いずれのケースも環境省が公表している循環型社会形成推進地域計画の全国辞令における施設規模に応じた1t当たりの建設単価を使用しております。
尚、全国事例を見ますと、1t当たりの建設単価は、施設規模が小さくなるほど高くなり、規模が大きくなるほど安くなる傾向が見受けられます。
また、同一基準による再精査についてですが、建設費は当初から全国事例における施設規模に応じ1t当たりの単価で試算しております。
再精査では、盛岡市クリーンセンター公害防止対策協議会からの意見を踏まえ、全てのケースにおいて、施設規模の合計を500tに統一したほか、維持補修費や運営費におきましても、条件を統一して試算し、基本構想の巻末資料として追加しております。
また、単価如何によっては3施設分散型がコスト安になるのではないかについてですが、ただいま答弁いたしましたとおり、建設単価の設定や条件を統一して再計算し、ライフサイクルコストについて比較したところ、1施設に集約することが最も有利な試算結果となっているものです。
なお、交付金につきましては、県広域化計画との整合性が図られるケースの場合に活用できるものとして、試算したところでございます。
また、広大な地域から市内1カ所に運びこむことについてですが、1施設集約の場合は、収集運搬距離が長くなるため、係る経費は、他のケースと比較しましても費用が嵩む傾向となりますが、施設の建設費や、運営維持管理費を含めたライフサイクルコスト全体で比較すると、1施設集約が最も有利な試算結果となりますほか、環境負荷を示すライフサイクルアセスメントにおきましても、ライフサイクルコスと同様に1施設集約がもっとも有利な試算結果となっております。
なお、設建設地周辺の環境負荷の軽減につきましては、中継施設の整備によりごみ焼却施設への搬入台数の削減を図ることなどを検討することとしております。
次に、広域化による1施設集約が、真にコスト安になりえるのかについてですが、基本構想の策定にあたり、6施設の建て替え、3施設集約、1施設集約など複数のケースを想定し、ライフサイクルコスト、ライフサイクルアセスメントを算出し、比較検討いたしております。
検討の結果、1施設集約の方向性につきましては、他のケースと比較すると、収集運搬は高くなりますが、施設建設費や運営維持管理費は低くなり、全体としてコストの削減が見込まれる試算結果となり、コストのほかに環境負荷の軽減や災害対策の強化などを踏まえ、基本構想を策定したものでございます。 |
空き家対策について
≪鈴木礼子≫過日、松園地域で「盛岡市空き家等バンク制度実施状況の報告と今後の取り組みについて」の意見交換会が開催されました。
意見交換会は今回で3回目の開催となりましが、参加者からは、空き家バンクに登録することのメリットが必要。空き家には前居住者の家財道具などがそのまま残されているケースもあり、撤去費用への一部助成があれば対応策もあるのではないか。リフォームよりもリノベーション(徹底的な改造)への関心が高くなっており思い切った対策が必要。窓口の一本化を求める意見など出され、今後の取り組みへの参考となる示唆に富んだ内容でもありました。
松園ニュータウンが、空き家バンク制度のモデル地区として指定されてから2年余が経過し、今年度でその社会実験期間が終了しますが、2年余におよぶ社会実験の結果が成約ゼロというのでは社会実験が何だったのか問われており、空き家対策が斡旋のみでは有効活用が図られないということを突きつけられたのではないでしょうか
成約ゼロということについてどのように総括されているのか。この間の取り組み状況と効果及び課題についてお示しください。
平成25年の住宅・土地統計調査結果によると、当市の空き家戸数が20、900戸で平成20年と比較して1、420戸増加し、空き家率は0・5ポイント増加し、14・4%に達しています。
今後、増加が予測される空き家は、その有効活用と新たに発生する空き家の抑制を図ることが急務となっていますが、市長は、これらの実態をどのように受け止めておられますか。市長挨拶では、良好な住環境を保全するため、空き家等の実態調査や適切な管理指導、利活用等を推進すると述べられましたが、具体的にはどのようなことが検討されているのでしょうか。
この間、当市としても周辺の生活環境に悪影響を及ぼす「特定空き家」を適正に管理するための「盛岡市空き家等の適正管理に関する条例」を制定し、27年4月1日から施行されます。また、国は、27年2月26日施行となる特別措置法で、空き家の所有者の情報把握のため固定資産税の内部情報の公開や各自治体に空き家対策の計画策定を義務付けるなど空き家対策をめぐる状況も大きく前進しています。
党市議団は、昨年10月に松江市の空き家対策を視察して参りました。
松江市は、空き家バンク制度と平成23年10月に「空き家管理条例」を制定し、危険家屋に対しては所有者に是正を促し、空き家の利活用では各種補助金制度を実施するなど空き家対策に積極的に取り組んでいます。
特に「空き家を生かした魅力あるまちづくり」と「空き家の利活用を進めまちなかへの居住促進を図る」施策を一体化させて実施していることです。
市内全域対象に ①空き家を賃貸住宅への改修費用として戸建賃貸住宅改修支援事業(家財の処理費用含む改修工事費の10%以内(限度額40万円) ②中古住宅の購入では中古住宅取得支援事業(固定資産税相当額を上限5万円とし5年間補助) ③建替えのための除去工事費への支援事業(除去工事の3分の2、上限70万円)を行い、更にまちなかへの居住の場合は上乗せをしています。
平成26年度の実績は、取得支援227件1033万円、改修支援2件56万7千円、建て替え支援4件310万円で合計額1400万円となり、これらの財源は国土交通省社会整備総合交付金(2分1)を充てているということです。
私は、昨年の3月議会で、空き家の情報と活用は「車の両輪」であり、空き家バンク事業が空き家の斡旋だけでなく具体的な活用策があってこそ効果が大きいと市の積極的な対策を求めましたが、松江市の取り組みはまさにその通りで胸に落ちました。
市は、空き家バンク制度を市街化区域全体に拡大して制度を継続するということですが、現状維持では効果は望むべくもありません。どのような対応を検討されていますか。
幸いにも、松園地区では若い人たちの中古住宅の購入希望が多いと聞いています。子育て世帯を重視した住宅支援施策としても若い人たちへの定住を促す立場からも中古住宅取得への支援施策が必要ではないでしょうか。
また、高齢者が身近なところで集い交流できる居場所づくりを求める声も多く、空き家活用の一環として財政支援についても真剣に検討していただきたいと思います。
松園地区は空き家を生かした魅力あるまちづくりが可能となる条件が十分にあります。引き続き重点地区として具体的な対策を講じていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
最後に、空き家対策の計画策定についてどのような検討がなされているのかお知らせください。
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≪谷藤市長≫ 空き家の実態についてでありますが、平成25年9月30日現在の世帯数は13万1,018世帯であり、同年10月1日1日現在における住宅・土地統計調査における総住宅戸数は14万5,070戸となっており、世帯数より住宅戸数が約1万4、000戸、上回っていることから、住宅ストックは量的には充足していると存じております。
今後は、更に人口減少社会が進展し、空き家の増加も考えられますことから、市といたしましては、所有者に対し空き家バンクへの登録をお願いし、空き家の再利用の推進と老朽化した特定空き家の更新などを促してまいりたいと存じます。
次に、空き家バンク制度の総括についてですが、地域への3回の説明会や2回のチラシ回覧、ホームページの活用、不動産取引業界との連携などにより、この制度の利用促進に取り組んでいるところであり、成果につきましては、ご指摘のとおり成約に至った例はございませんが、平成27年度1月末現在の状況として、空き家登録についての調査件数は89件であり、登録件数は3件となっております。利用希望者につきましては、問い合わせが36件あり、5件の登録となっております。
松園地区にける社会実験対象地域の空き家については、開始前の116戸が、平成26年9月時点では74戸に減少しているところであり、約36%が流動化しているところであり、空き家バンク制度に対する関心が高まったことによるのではないかと推察しております。
課題といたしましては、空き家登録物件の増加対策や対象地域の設定などがあると存じており、今後は、市としての支援制度等も含め、利活用について研究を進めてまいりたいと存じます。
次に、空き家等の実態調査、適切な管理指導、利活用の推進について、具体的どのようなことを検討しているかについてですが、特定空き家の発生の抑制と空き家等の利活用は、一体的に進めるべきと存じております。そのためには、空き家等の実態をできるだけ正確に把握することが不可欠と考えており、空き家等の実態調査につきましては、地域の情報に精通する町内会・自治会にご協力いただきながら、27年度の早い時期を予定しております。
適切な管理指導につきましては、実態調査で得られた空き家等の情報をデータベース化し、これに基づき現地で空き家等の状態を確認して、特定空き家等に該当すると思われるものについては、条例に基づき立ち入り調査をした上で、管理指導を行ってまいりたいと存じます。
また、利活用の推進につきましては、空き家バンク制度を継続し、空き家の発掘、利用登録をすすめるとともに、高齢者サロンや集会所としての活用のほか、民間による空き家の再利用を推進するための支援制度を研究するなど、取り組んでまいりたいと存じます。
次に、空き家対策の計画策定についてですが、空き家等対策の推進に関する特別措置法によれば、空き家等の調査に関する事項、適正な管理の促進に関する事項、空き家及美その跡地の利用の促進に関する事項並びに住民からの相談への対応に関する事項などを定めることとされており、本市の空き家等対策計画もこれに沿って策定して参ります。
また、空き家対策の計画策定についてですが、空き家等対策の推進に関する特別措置法によれば、空き家等の調査に関する事項、適正な管理の促進に関する事項、空き家及びその跡地の利用の促進に関する事項などを定めることとされており、本市の空き家等対策計画もこれに沿って策定して参ります。
また、計画の策定にあたっては、空き家等対策推進協議会から専門的な視点でのご意見をいただき、空き家等対策を総合的かつ計画的に実施してまいりたいと存じます。
≪藤島都市整備部長≫今後の空き家バンク制度の対応についてですが、市内の松園以外の地区に関する空き家の登録や利用希望の問い合わせがあることから、平成27年4月より対象範囲を市街化区域に拡大するとともに、広報紙やホームページを活用し、空き家バンク制度の更なる周知に努めて参ります。
また、国の交付金制度を活用した、空き家の改修などの補助事業について、関係機関と協議を行い、平成28年度からの実施に向け研究を進めて参りたいと存じます。
次に松園地区に対する取組についてですが、これまでも地域の皆様方のご協力をいただき、社会実験として空き家バンク制度に取り組んでおりますことから、地域協働による「松園地区地域づくり計画」の「自然・環境分野」の活動計画に空地・空き家の活用が位置付けられていることも踏まえながら、引き続き地域のご協力をいただき、取り組みを進めて参ります。
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