2015年3月定例会 庄子春治市議団長の代表質問

 
質問項目 (クリックするとジャンプします)
憲法観について
 集団的自衛権行使の法整備について
 憲法の明文改憲について
 戦後70年の首相談話のありかた
アベノミクスと市民生活について
 市民の声をどうとらえているか
 社会保障費削減の影響と市の対応
  介護報酬の削減
  介護保険料の値上げ
  医療・後期高齢者医療特例減免廃止
農協「改革」について
労働の規制緩和について
  ブラック企業根絶へ市も
  市役所の残業規制・職員増員
新総合計画の「戦略プロジェクト」について
連携中枢都市構想について
東日本大震災復興について
福島原発事故とエネルギー
子育て支援について
 子どもの医療費対象拡大はないのか
 就学援助3費目なぜ予算化しなかった
消防体制と防災について
  消防職員充足率
  土砂災害防止法に基づく取り組み
地場産業振興について
  これまでの総括
  全事業所を対象にした対策
教育行政について
 学校施設維持補修計画
 クスクールアシスタント
 学校図書館司書配置について

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 質問  答弁(大要)
 ≪庄子春治≫日本共産党盛岡市議団を代表して質問します。
 最初に谷藤市長の政治姿勢について伺います。
市長はあいさつで、引き続き市政を担当したいと、次期市長選への出馬を表明しましたがどのような政治姿勢で臨まれるのか、についてです。

 まず、憲法についてです。なぜ最初に憲法のことを取り上げたいか。それは戦後70周年の今年、自らの公式HPで、「戦後レジュームからの脱却のためには憲法改正が不可欠です」と宣言している安倍首相率いる政権によって、日本の平和と民主主義をめぐる歴史的岐路に立っているからです。日本国憲法は、過去の戦争の痛苦の反省から生まれ、基本的人権、国民主権を宣言し、政府はそれを犯してはならない、再び戦争をしてはならないと定めたのです。その憲法が根本から変えられたのでは市民のくらしも、地方自治も語れない・・その思いからです。
 安倍首相は2重の改憲に突き進んでいます。
まず、「解釈改憲」です。今の憲法を勝手にその解釈を変えて昨年7月に閣議決定した「集団的自衛権行使容認」の法制化~自衛隊の海外派遣手続き法制の整備を今国会で行おうとしています。自衛隊の海外派について特措法から恒久法にかえて ①「周辺事態」の枠組みを法制上も取り払い、地球上のどこにでも出かけられるようにする、②米軍以外の軍も支援対象にする ③活動地域について「後方地域」「非戦闘地域」の制約も取り払い、武器・弾薬の提供を可能にする~などが明らかになってきました。これでは「限定」どころか、戦争への歯止めがかからなくなります。しかも、安倍首相は「国連決議」をその条件にしないという意向です。アメリカが行ったベトナム戦争、イラク戦争が「国連決議」のない、国連憲章に違反した「侵略戦争」でした。これでは「集団的自衛権」ではなく「集団的侵略」です。果たしてこれが憲法9条で認められるものなのでしょうか。あまりにも乱暴な憲法解釈の変更ではありませんか。
昨年の議会でも指摘しましたが、市長は毎年、新たに自衛隊に入隊する青年にたいして激励の言葉を送っています。盛岡市民の息子や孫となる青年に、解釈改憲で「海外でアメリカ、その他の軍隊と一緒に戦う」現場に送り出すことになってしまいます。それでいいのですか。はっきりと自分の見解を述べるべきではないでしょうか、伺います。

 しかも、安倍首相は今回のISによる2人の日本人人質・殺害事件を自衛隊の活動を拡大する口実にさえしようとしています。しかし、このことについては自衛隊の準広報紙「朝雲」が、「陸上自衛隊の能力を強化し現行法を改正すれば人質救出作戦は可能であるかのような」議論は「国民に誤解を与える無責任な」ものだ。「現実味にかけている」と指摘しているのです。日本国際ボランティアセンター代表理事の谷山博史氏は「食糧などの人道支援は、誤解されないよう敵・味方に分けず中立の立場で支援することを原則にしている」「安倍首相は人道支援を対テロ戦争と結び付けてしまった。本来の人道支援を必死にやっている私たちにすれば不用意な発言だった」「私たちは人質事件が起きても治安部隊や軍隊に『突入はやめて』と働きかかる。」「安倍政権に『待て』と言いたい」と言っています。殺害された後藤健二さんのお母さんは、殺害されたことへの悲しみを述べた後に「これを憎しみの連鎖につながらないように」と言っておられるのです。
 ISの蛮行は絶対に許されないものです。同時に、この事件を自衛隊の海外派兵の口実にすることも許されないことではないでしょうか。谷藤市長の見解を求めます。

 安倍首相は明文改憲をも視野に入れようとしています。その目指す憲法の明文改憲にみられる危険は、9条改憲にとどまらず、「憲法とは国民の人権を守るために権力者を縛るもの」という近代立憲主義の否定にあります。自民党の憲法改正草案では、現憲法で公務員のみがおっている憲法遵守義務を国民の義務にし、基本的人権の上に「公益および公の秩序」をおき、「基本的人権を現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利」と定めた条文を削除しているのです。
近代立憲主義は、時に国家は暴走するという歴史的教訓から生まれたものです。日本国憲法も、国民から自由を奪い、権力の暴走によって無謀な戦争に駆り立てたという戦前の教訓から生まれたのではないでしょうか。
立憲主義そのものを否定する考えには、過去の日本の戦争を侵略戦争だとは認めない安倍首相の歴認識と一体のものではないでしょうか。
 戦後70年の今年に出すとしている首相の談話について、安倍首相は、村山内閣の「過去の侵略と植民地支配への反省とお詫び」というもっとも基本的なキーワードを「使わない」と明言しています。
これには、中国や韓国などだけでなく欧米からも大きな懸念の声が出ています。戦後70年の節目の年にあるべきは、過去の戦争を侵略戦争と認めた村山談話を引き継ぎ、その反省を具体的な行動に進めて、日本とアジアの国々との「和解と友好」に向かう年になるように努力することが必要ではないでしょうか。
憲法の立憲主義が危うくされていることについて市長の見解はどうですか。歴史認識と併せて御所見を伺います。

 ≪谷藤市長≫庄子春治議員のご質問にお答え申し上げます。

 はじめに,安倍首相が今進めようとしている解釈改憲に対する見解についてですが,私といたしましては,閣議決定した憲法解釈の変更による,いわゆる新たな安全保障法制の整備については,我が国の安全保障や自衛隊の国際貢献に関わる重要な課題でありますことから,主権者である国民の間で広く議論がなされ,国会において十分な審議を尽くすなど,国民の多くに理解される必要があるものと存じます。
 いずれにいたしましても,これまでの現行憲法の平和主義の原則を堅持していくことが重要であると存じております。

 次に,IS(アイエス)による日本人人質・殺害事件を自衛隊の海外派兵の口実にすることに対する見解についてですが,国際テロ対策については,これまでも政府の関連する機関が連携し,国際社会と協力しながら対処してきたところでありますが,今回の事件を踏まえ,今後においても,国内外の国民の安全を確保するため,国の責任において適切に対処されるべきものと存じます。
その中で,自衛隊が国際テロ対策にあたることについても,十分な国民的議論を経て判断されるべきものと存じております。

 次に,安倍首相の進めようとしている憲法改正で,立憲主義が危うくされていることに対する見解についてですが,立憲主義は,憲法を制定し,それに従って統治するという政治のあり方のことであり,現行憲法の柱である国民主権,基本的人権の尊重,平和主義の3原則は,普遍のものであると存じます。
 その憲法の改正については,主権者である国民の幅広い意見も集約しながら,広く徹底した議論が必要であると存じております。

 また,歴史認識についてですが,政府は,我が国がかつて多くの国々,とりわけアジア諸国の人々に対し,多大の損害と苦痛を与えたという,これまでの歴代内閣の立場を引き継ぐものとしており,私といたしましても,我が国がこれらの立場を継承し,悲惨な戦争の教訓を風化させず,二度と戦火を交えることなく,世界の平和と繁栄に貢献していかなければならないものと存じております。



≪庄子春治≫次の問題は、安倍政権が進めるアベノミクスでもたらされた市民生活に思いをし、市民のくらしをどう守るのか、そのためのどのように臨む決意なのかについてです。
アベノミクス、「この道しかない」どころか、この道を行けば破滅だ・・というのが市民の多くの声ではないでしょうか。

 アベノミクスでもたらされたものは、格差の広がりです。「異次元の金融緩和」で作られた円安・株高で儲かったのは一部の大企業や資産家で、働く人の実質賃金は18か月も連続下がり、4月からの消費税の8%への増税が個人消費を落ち込ませ、2014年のGDP成長率はゼロに、日本経済の成長を止めたのです。
私たちが今取り組んでる市民アンケートには、市民の悲鳴がたくさん寄せられています。消費税の8%増税で「生活が苦しくなった」という人は、中間集計ですが75.9%で、10%への増税について、反対が77.6%です。そして、64%の方が「年金が減少し」暮らしに困っていると答えているのです。
生の声も紹介しましょう。

 「大企業優先の政策だ。ハイブリッド車、燃料電池車・・など富裕層への補助。車を購入できないで長く乗っていると税金が高くなる。家が古くなり、建て替えもリフォームもできないものには何の援助も、補助もない」70歳の男性の声です。28歳の青年からは「給料が上がっていないのに消費税の増税や軽自動車税の増税などで本当に困っています。食品やガソリン代の値上げも日々あるのでとても家計が苦しい。小さい子どももいるので今後が心配だ」という声です。さらに80才の助成からは「年金は年間百万円です。その中から57700円の介護保険料と高齢者保険を天引きされて、・・これ以上の年金を下げられたら、増税されたら自殺するだけです」
谷藤市長は、アベノミクスでもたらされている今の市民生活の現状についてどのような思いですかか。市民のこの悲鳴ともいうべき声が届いていますか?御所見を伺います。

 安倍内閣の政治はさらに追い打ちかけるものです。特にも「社会保障費」の自然増分の削減は重大です。問題は、その時市長としてどういう態度をとるかではないでしょうか。国のやることは仕方がないからとそのまま市民に押し付けるのか、それとも市民のくらしを守るための防波堤の役割を果たすのか・・問われています。
いくつか伺います。

 国は、介護報酬の2・27%削減を打ち出しました。これが何をもたらすか。盛岡市内の介護事業所から聞き取りをしましたが、共通して言われたことは「人手不足に拍車がかかる」ということでした。政府は、介護労働者への「人件費改善」を盛り込んでいますが、それを超えてマイナスになれば、人手不足解消どころかさらに深刻になるという懸念です。既に人手不足で事業の一部を縮小する事業所が出ているということですが、市長はご存知ですか。また、私たちにアンケートに24歳の男性の方から「私の友人が介護疲れで自殺した。このような事例がもっと増えてくるぞ」という情報が寄せられましたが、その実態を把握しているでしょうか。介護報酬削減には反対し、介護の現場の実態をリアルにつかんで必要な支援をしていただきたいがいかがですか。

 第6期の介護保険料について、17.7%もの値上げ案は、先の、紹介した声から見てもとても耐えられるものではありません。その軽減のために市長はどのような努力をしたのでしょうか。介護保険は「自治事務」です。国会の論戦では「自治事務である以上、自治体の一般会計からの繰り入れによって保険料を軽減することを国が止めることはない」・・これが当時の大臣の答弁です。実際に、北海道長沼町など独自に保険料の軽減の努力をしています。盛岡市も一般会計からの繰り入れを行い保険料の値上げを抑える努力をすべきです。御所見を伺います。

 医療の改悪では、入院給食費の値上げ、後期高齢者医療保険料軽減の特例措置の廃止が打ち出されています。それぞれ、その影響はどうでしょうか。
後期高齢者医療保険料軽減の特例措置廃止は、多くの高齢者に多大な負担増となるのではありませんか、この保険制度自体が、高齢者を年齢で差別する制度です。これまでの被扶養者にまで新たに保険料を負担させるとんでもない制度だとの批判の中で持ち込まれた特例措置です。この廃止などとんでもないことです。市長は岩手県の後期高齢者広域連合の代表です。はっきりとこの廃止をすべきでないと、国に言っていただきたいがいかがでしょうか。

 ≪谷藤市長≫次に,アベノミクスによってもたらされている今の市民生活の現状に対する私の所見についてでありますが,国内の経済指標が好転していることや大企業の業績が好調である一方で,労働者の賃金が上がらないことや,中小企業の多い地方においては,その効果が表れていないこと,消費税増税による負担の増加などから,年金生活者や厳しい生活をされている方々の切ない思いに接する機会もありますことから,本市においては,日本経済の好転を実感できない方々も多いと存じております。

 次に,人手不足で事業を縮小した事業所についてでありますが,平成26年度では,2月までに廃止した事業所が1箇所,休止した事業所が6箇所となっており,いくつかの介護事業所の関係者からは,職員不足により利用者の受け入れ困難な状態になっていると伺っており,職員確保に向け対策が必要であるものと認識しております。
 次に,介護現場の実態把握についてでありますが,平成26年6月に実施した「盛岡市高齢者保健福祉に関する意向調査」によりますと,「介護に対して負担を感じている」と回答した方が,回答者2,199人のうち17.0パーセント,「心労の負担が大きい」と回答した方が11.1パーセントとなっており,介護が介護者の負担となっているものと認識しており,市では,在宅で家族を介護している方を対象に,家族介護者リフレッシュ事業を実施し,介護者同士の交流の場や,日頃の介護生活からリフレッシュするための機会を提供しているところであります。
次に,介護報酬削減に反対し,必要な支援をするべきではないかについてでありますが,今回の介護報酬の引下げについて,介護事業所の関係者から伺ったところ,サービスの種類によって差があるものの,収益に少なからぬ影響が生じるとのことであります。
 今後,介護報酬の引下げに伴う影響について,具体的な調査を実施し,その調査結果を踏まえ,必要に応じて,全国市長会等を通じて国に事業所運営の改善等について要望してまいりたいと存じます。

 次に,保険料の軽減のための取組についてでありますが,介護給付費準備基金を3千万円取り崩すほか,保険料段階及び料率については,所得の低い方の負担の軽減を図るため,第5期において市が独自に実施した料率の軽減措置を継続するとともに,所得の高い方には支払能力に応じた負担をお願いするため,市独自の段階を設定しようとするものであります。
次に,一般会計からの繰入れによる保険料の抑制についてでありますが,国の通知により,保険給付の費用のうち,市町村の一般財源が一定割合を負担するものと定められており,これを超えることは適当ではないとされておりますことから,負担割合を超えた一般会計からの繰入れは考えていないところであります。

 次に,後期高齢者医療保険料軽減の特例措置廃止に伴う影響についてですが,現在,一定の所得に達しない被保険者に対しては,本則では7割軽減になる者に対し特例措置で,9割又は8.5割に軽減率を引き上げております。
また本則では,所得割の軽減措置の規定はございませんが,所得割についても5割軽減措置を設定しているほか,他の健康保険の扶養に入っていた被保険者が,後期高齢者医療に移行してきた場合についても,本則では5割軽減となっているところを,9割軽減に上積みしております。
仮に,この特例措置を全部廃止した場合,本市では約1万9千人に影響を及ぼすことになり,その影響額は,約1億6千万円程度になるものと予測しております。
次に,国への要望についてですが,これまでも現行制度における軽減措置を恒久的なものにするよう全国後期高齢者医療広域連合協議会を通じ,強く要望してきたところでございますが,今後も新たな保険料軽減措置の実施などにつきまして,全国後期高齢者医療広域連合協議会及び市長会を通じ国に働きかけてまいりたいと存じます。


≪庄子春治≫安倍政権は、経済成長のために「『岩盤規制』をドリルでこじ開ける」などと言って「医療改革」と併せて「農協改革」「労働改革」を挙げています。

 この「改革」が岩手や盛岡にもたらすものは何か。市長はどのようにとらえているでしょうか。安倍政権が行おうとしている「農協改革」に道理があると市長はお考えですか?「改革」の柱の一つは 農協が行っている営農・販売事業、共済、信用事業の「総合事業」の解体です。総合事業があってこそ、一事業の赤字を補てんすることもできるのです。それがなくなれば、経営破たんする地域農協も出てくるのではありませんか。地域農協の監査を全国農協中央会から外すということですが、JA全中が行っているのは業務監査と会計監査であり、指摘だけでなく改善と農業振興の両立を協議している、その監査を公認会計士の監査にすれば、財務諸表や会計処理が適正かが中心となって農業の状態がわからないまま、不採算部門事業の切り捨てにつながるのではありませんか。

 安倍首相は「農家所得を増やすための改革」などと言っています。しかし、2014年産米の暴落をもたらし、農家所得を減らしてきたのは、農協ではなく安倍内閣の農政ではありませんか?これでどうして農家所得が増えるのでしょうか。市長の御所見を伺います。
安倍政権による「農協改革」の狙いは 農業、農協の金融・共催を大企業とアメリカに売り渡すことであり、TPP推進のためにJA全中が邪魔な存在として解体することにあるのではないですか。市長の御所見を伺います。
  ≪谷藤市長≫ 次に,農協改革についてですが,政府の農協改革案は,地域農協が自由な経済活動を行うことにより,農業者の所得向上に向けた活動を積極的に行えるようにすること,また,高齢化・過疎化が進む農村社会において,必要なサービスが提供できるよう地域農協に自立した経営を促すこと等をその目的としたものと存じております。
農協の役割は,協同組織により農業生産力の増進や農業者の所得向上を図り,地域農業の発展につなげていくことと存じておりますことから,今後,この改革案が成案化されていく中においては,地域の実情にも十分配慮し,農業者等現場の意見を広く聞き,議論を尽くした上で,地域の農業,農村の振興につながるものとなることが肝要であると考えております。
この改革案が農業者の所得向上につながるかなど,さまざまな意見もありますが,いずれにいたしましても,農業者や地域農協が将来に明るい展望を持って農業経営を継続することができるよう,引き続きこの改革案の動向を注視してまいりたいと存じます。

≪庄子春治≫労働規制の緩和も大問題です。政府が狙う派遣労働の規制緩和、一定の労働者には時間外労働を払わなくてもよいとする労働法制の改悪案を今国会に出そうとしています。派遣労働の規制緩和は、非正規雇用をさらに拡大することに繋がります。残業代ゼロに道を開くことになれば、さらに長時間労働・過労死が増える懸念があるのではないですか。

 私たちに寄せられたアンケートに「知人は6年勤めていた会社を辞めた。その会社は、年間の休日はたった30日、残業代はゼロ、というより残業という概念そのものが存在しない。インフルエンザでも2日しか休めなかった。このままでは殺されると思いやめた」との告発、ある自動車販売会社に勤める方については、「帰宅が21時であったら大喜びするだろうに、連日23時ころまでの勤務で、家族の会話もなく、夫の健康が心配だ」という訴えも届きました。ブラック企業~それは東京の問題ではありません。盛岡で働く人たちの置かれている現状でもあるのではないでしょうか。市長はこの現状につきどのようなご認識でしょうか。労働規制は「岩盤どころか」「軟弱規制」です。規制緩和ではなく、きちんとしたルールをこそ定めるべきではないでしょうか。市長の御所見を伺います。
 
 私がこのことを問うのは、市長も事業主の一人としてその責任があるからです。盛岡市は、この間職員定数を大幅に減らしてきました。そして非正規職員に事実上置き換えてきたのではありませんか。職員全体に占める非正規職員の比率はどう推移していますか。「官制ワーキングプア」という言葉さえ生まれているこの現状に歯止めをかけるべきではありませんか。時間外労働はどうでしょう。労基法に基づく大臣告示では、「三六協定」の延長時間の限度を45時間と定めています。盛岡市の実態を見ますと、公営企業の職員を除き、昨年の1月から12月までで、総選挙準備があった11月を除いても最高時間外は月100時間を超えています。そして45時間を超えているのは8月の52人が少ないほうであとは80人から200人超。過労死ラインといわれる月80時間以上も8.・9月が少なかったものの、二けたから多い月で60人を超えているのです。この実態を改善する必要があるのではないですか。市長の御所見を伺います。

≪谷藤市長≫ 次に,労働規制緩和は,長時間労働・過労死が増える危険があるのではないかについてですが,労働基準法の改正案は,国の労働政策審議会において労使の代表者を交え検討され,コンサルタントや研究開発業務などの高度な専門業務に従事する労働者について,その労働時間規制の対象外とする制度の創設とともに,働きすぎ防止のため,長時間労働の抑制や健康に配慮した休日の確保などに関する制度が審議されたところでございます。今後,国政の場で議論される予定となっておりますことから,その内容を注視してまいりたいと存じます。
 次に,盛岡で働く人の現状認識についてですが,岩手労働局では,労働時間管理や割増賃金の支払等の問題が懸念される企業に対して,監督指導を行っており,市町村別や具体的な企業名は公表されておりませんが,平成25年度におきましては,県内で39社,対象となった従業員数は2,163人となっております。
 また,市の雇用相談窓口において,平成26年4月以降,市民から長時間労働に関する相談が1件あり,岩手労働局につないだところでありますことから,市内においても,長時間労働の課題を抱える企業があるものと存じております。
いずれにいたしましても,労働基準法に違反することは,あってはならないものであり,問題があると思われる相談があった場合は,必要に応じて岩手労働局に情報を提供するなど労働環境の向上に努めてまいりたいと存じます。
 次に,労働規制は,緩和ではなく,ルールを定めるべきではないかについてでありますが,労働規制に関しましては,労働者・使用者双方の意見を広く聞き,国政の場で議論を尽くして決定されるべきものと存じておりますが,私としましては,労働者,雇用者の双方が納得できる制度となることを望んでおります。

 次に,職員定数を大幅に減らし,非正規職員に事実上置き換えてきたのではないかについてですが,市における非正規職員の任用は,各課の業務における専門的知識や資格を必要とする非常勤職員の配置,職員の事務等の補助や産休,育休等の代替職員としての臨時職員の配置によるものでありますことから,市においては,職員の定数調整における振替等の影響は少ないものと考えているところであります。

 次に,市職員全体に占める非正規職員の比率の推移についてですが,平成22年度は19.8%,平成23年度は20.7%,平成24年度は21.9%,平成25年度は22.6%,平成26年度は22.5%となっております。
次に,「官製ワーキングプア」という言葉さえ生まれているこの現状に歯止めをかけるべきではないかについてですが,当市におきましては,臨時職員及び非常勤職員の賃金,報酬は,職種や職務に応じて,常勤の一般職員の給与に準じて算定しておりますし,休暇等,その他の待遇においても改善してきているところであります。

 次に,市職員の時間外労働の実態を改善する必要があるのではないかについてですが,職員の健康障がい防止対策の観点から,毎年度「時間外勤務の縮減に関する指針」を定め,全庁を挙げて,改善に努めているところであり,今後におきましても,事務事業の効率化や職員配置の見直しを行いながら,時間外勤務の縮減に努めてまいりたいと存じます。
≪庄子春治≫次に、新年度予算と、新しい総合計画について、いくつか具体的に伺います。
 最初に、「戦略的プロジェクト」についてです。
 新しい総合計画では、各分野の29の施策を位置づけながら、重点的、施策横断的に取り組む必要のある課題への対応として新たに「戦略的プロジェクト」という概念をもちだしました。
 これは、これまで、予算配分を「施策別枠配分」方式によって行い、「重点課題」などを取り扱ってきた方式と何がどう変わるのでしょうか。予算編成への影響や、その推進の体制はどのようにされるのか伺います。
これまでの方式は、「重点」課題が一部の施策に偏る傾向があったほか、「枠配分」によって財政当局が各部に対して大きな権力を持って、担当課では緊急の課題にさえ手が出せない・・そういう弊害があったのではないかというのが私の率直な評価です。光が当たらない部署はいつまでたっても光が当たらにまま・・ということにならないか、いかがですか。

 ≪谷藤市長≫ 次に,戦略プロジェクトの概念は,これまで重点課題などを取り扱ってきた予算の施策別予算配分方式と何がどう変わるのか,についてでありますが,これまでの施策別予算配分方式は,施策優先度評価結果を踏まえ,総合計画に掲げる基本目標の実現に向けての関連性などについて総合的な検討を行い,施策単位で予算を重点配分してきたところでありますが,少子高齢・人口減少への対応など,施策の枠を超えた施策横断的な取組が必要な課題が顕在化してきていることなどから,27年度においては,新たに戦略プロジェクトを総合計画の実施計画に位置づけ,当該プロジェクトへの貢献度が高い事業に,事業単位で予算を重点配分することとしたところであります。
また,推進体制につきましては,プロジェクトを統括する部局を中心に効果的な連携を図りながら取組を推進することとしております。
なお,予算編成への影響については,ないものと存じております。
 次に,光が当たらない部署はいつまでも当たらないのではないか,についてでありますが,予算編成に当たりましては,これまでも,限られた財源をどの施策,どの事務事業に振り向ければ,市民福祉の向上につながるかという立場で,所要額を配分してきたところであり,今後におきましても,そのような考え方で対応して参りたいと存じます。
≪庄子春治≫次に連携中枢都市構想について伺います。
昨年4月に総務省が募集した「新たな広域連携モデル構築事業」の趣旨には、急激な人口減少・少子高齢化社会において、市町村が単独で公共施設をそろえるといった「フルセットの行政」から脱却し、市町村間の広域連携を推進することで市町村が基礎自治体としてその役割を持続可能な形で果たしていけるようにする・・ことがうたわれています。盛岡市はこの募集に応募してモデル事業を展開中です。
私は昨年の9月議会で、このことの問題点として、「人口減少~消滅自治体」を声高に叫びながら、「地方都市に人口ダムを」「選択と集中を徹底して最も有効な対象に投資と施策を集中すべきだ」などとを主張する、増田寛也氏などの主張について、あらたな「集中と選択」によって周辺の自治体における住民サービス切り捨てにもつながる危険があることを指摘して、市の対応を聞き、市長は「広域連携を進めるに当たって質問にあるような問題が生じないように取り組む」と答えました。これまでの取り組みの成果と平成27年度で取りまとめたいとしている連携協定について、どのような中身で、どのように進めようとしているのか伺います。
「広域連携」はともすれば、圏域内での「一極集中」を生み出し、周辺部のいっそうの人口減少や過疎化を生じさせている、という事例は全国各地に生まれています。盛岡市がモデル事業として進めている広域連携事業によって、盛岡圏内における「一極集中」や、新たな過疎化を産まないための対策はどうか、伺います。

 全国では平成の合併を選択せず「小さくても輝く自治体」としてその役割をいかんなく発揮し、人口減少にも歯止めをかけている自治体も生まれています。そこにある教訓は、財源と権限を持った自治体が存在し、住民自治が機能を発揮しているということです。
 今年は盛岡市が玉山村と合併して10周年を迎える年です。玉山区に置かれている自治区について、その機能を残すことが必要ではないでしょうか。御所見を伺います。

 ≪谷藤市長≫ 次に,連携中枢都市構想の取組成果と連携協約の内容等についてでありますが,取組成果につきましては,盛岡広域圏の経済活動の活性化に向け,今後取り組むべき方向性や具体的方策を示す「盛岡広域圏経済戦略(案)」を取りまとめたところであります。
この経済戦略(案)は,平成26年度に行った盛岡広域圏社会経済動態調査の結果を踏まえながら,各分野の有識者で構成する盛岡広域圏経済戦略策定懇話会において検討を重ねるとともに,盛岡広域7市町からの意見をお聴きし,取りまとめたところであります。
平成27年度には,連携中枢都市宣言を行い,連携市町との連携協約の締結,連携中枢都市圏ビジョンの策定を行いたいと考えております。
次に,連携協約の内容についてでありますが,協約の目的,基本方針,「圏域全体の経済成長のけん引」「高次の都市機能の集積」「圏域全体の生活関連機能サービスの向上」の政策分野における役割分担,費用分担,連絡会議の設置などの項目を想定しているところであります。
また,どのように進めるのか,についてでありますが,連携協約を締結するためには,連携協約に基づく具体的な取組を示す「都市圏ビジョン」の内容について,各市町との細部の協議や,各市町の議会においても御理解をいただく必要があり,丁寧に説明を重ねながら,平成27年度中の締結に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
次に,盛岡圏内における「一極集中」や新たな過疎化を産まないための対策についてでありますが,盛岡広域圏の連携は,それぞれが有する資源を最大限に生かす手段として有益なものと存じており,一例として,本市が有する産業支援施設を他の市町の住民が活用することで,人材育成や創業支援のサービスを享受できようになることや,農産品や製造品などの販路拡大についても,本市が主導的な役割を担うことにより,他市町の住民の利益につながるものと存じております。

 このように,各市町の独自のまちづくりに加え,本市が一定の役割を担うことで,連携する市町においても受けるサービスが拡大することなどにより,それぞれ持続可能な住み続けられる地域となることが可能となるのではないかと存じております。

 次に,玉山区について,自治区としての機能を残すことが必要と思うことへの所見についてでありますが,平成28年3月をもって地域自治区である玉山区の設置期間が満了することになりますが,本市の一体感の醸成等の観点から,地域自治区の延長は考えていないところであります。
しかしながら,先般,玉山区地域協議会から提出された玉山地域まちづくり提言書において,玉山地域のまちづくり全般に住民意見を反映させることができるように,地域協議会の機能維持を強く求められております。
また,玉山区におきましては,新市建設計画の未完了事業もありますことから,今後,住民意見を反映できる仕組について検討を進めてまいりたいと存じます。
≪庄子春治≫次に、東日本大震災復興支援について伺います。市長は、東日本大震災復興の取り組みの到達と課題をどのようにとらえているでしょうか。今年は阪神・淡路大震災から20年の年でもあります。この間の教訓にてらしても、すべての被災者の生活と生業(なりわい)を再建するまで必要な公的支援を行うことを、復興の基本原則にすえることが求められています。私は、1月に宮古市を訪問し、今年の10月頃から入居が始まる高台移転の田老地区乙部団地の造成工事の状況、産業復興の状況などを伺ってきましたが、被災地ではいまだピーク時の7割以上の方が仮設住宅で暮らしています。宮古市商工会議所会頭のお話では、被災事業所の事業再開は8割を超えたが、売り上げが戻ったのは半分以下だ。失った販路拡大へ引き続き支援がほしい・・などの声を伺ってきました。本当に復興は道半ば、いや2~3合目という状況だと実感してきました。
政府は東日本大震災の「集中復興期間」を2015年度までとしていますが、期限を切らず、必要な財源を確保して住宅再建や被災者支援に地方の判断で使えるようにすべきではないでしょうか。生活再建支援金の住自治については300万円から500万円への引き上げが必要です。
また、被災者の医療費・介護利用料の免除措置は岩手県が継続しているものの、国による復活が必要ではないでしょうか。谷藤市長は、これらにどのような見解をもちでしょうか。市長会の会長として、その先頭に立って国に意見を言うべきです。いかがですか。
また、盛岡市で避難生活をしておられる被災者の皆さんへの支援、、被災地への職員派遣について、どのように取り組まれるのか伺います。

 ≪谷藤市長≫ 次に,東日本大震災復興の取組の到達と課題をどう捉えているかについてですが,発災から4年を迎えようとしており,この間,被災地では,地域住民の方々や,市町村,県,国などが一体となり,復旧・復興に向けて懸命に取り組まれてきたところであり,復興は着実に進んでいるものと存じております。
しかしながら,多くの方々が,いまだに仮設住宅などで不自由な避難生活を送られておりますことから,一日も早く安心して暮らすことのできる住居を確保していただくことが,大きな課題であると存じております。
次に,集中復興期間の期限を切らず,復興に必要な財源を確保して地方の判断で使えるようにすべきではないかについてですが,国の集中復興期間は5年とされておりますが,その後の国の予算計画が示されていない状況の中,被災された方々や被災地が必要とする支援は,ますます多様化しております。
こうした支援ニーズを的確に捉え,被災者生活再建支援制度の拡充を含めた効果的な支援を行うためには,国による継続的な復興予算の確保と,自由度の高い財政措置が必要でありますことから,これまでも全国市長会等を通じて,国に対し要望を行ってきたところであり,引き続き,あらゆる機会を捉え,必要な要望を行ってまいりたいと存じます。

次に,被災者の医療費・介護利用料の免除措置についてですが,議員ご指摘のとおり被災者支援は,国の責任において全額財政支援措置を講じるべきとの立場から,県市長会の会長として平成26年11月に国へ要望を行いましたほか,全国市長会を通じ,要望も行ってまいりました。今後につきましても,引き続き関係機関を通じ,国へ強く働きかけてまいりたいと存じます。

次に,本市で避難生活をしている方々への支援についてですが,平成27年度も,もりおか復興支援センターにおける生活再建相談などの事業を継続することとしており,お一人おひとりの声を丁寧にお聞きしながら,きめ細やかな支援に努めてまいりたいと存じます。
また,被災地への職員派遣の取組についてですが,平成27年度におきましても,沿岸被災市町村からの要請に基づき,行政機能回復の支援及び復旧・復興事業の推進のため,引き続き,宮古市,陸前高田市,大槌町など8市町村に18人の職員を派遣することとしたところであります。
今後も,県都として沿岸市町村の復興状況に応じた最大限の対応をしてまいりたいと存じます。
≪庄子春治≫福島原発事故の甚大な被害について、その損害賠償や除染を次々に打ち切ろうとしていること、そして、収束などといえない現状にもかかわらず再稼働に走る安倍政権の暴走は許せないものです。盛岡市の損害賠償請求についてどのようになっていますか。福島原発の事故処理の現状と再稼働への動きについて市長の御所見を伺います。


 ≪谷藤市長≫次に,当市に係る東京電力原子力発電所事故による損害賠償請求についてでありますが,平成24年1月の第一次から26年6月の第六次まで,測定機器の購入など被害総額として1億2,625万2,420円の損害賠償を請求しておりますが,東京電力からは,県・市町村等の判断に基づく検査等は賠償対象としないという方針が示されたことから,原子力損害賠償紛争解決センター,いわゆる「原発ADR」に対し第四次までの9,660万2,746円の損害について,26年1月23日にあっせんの申立てを行っております。
現時点では東京電力から,賠償金として26年10月7日に278万5,433円の支払いを受けておりますが,残りの賠償金については「原発ADR」において現在審理中であり,県では先行して26年10月に和解案が提示されていることから,今後,当市においても和解案が示されるものと存じております。
次に,東京電力福島原子力発電所の事故処理の現状についてでありますが,震災により事故が発生してから4年が経とうとしておりますが,今だ多くの住民が避難生活を余儀なくされていることや,除染及び賠償等に係る経費が膨大になる見通しであること,汚染物質の最終処分方法も決まっておらず,その後も発電所内の汚染水流出事故が発生するなどの現状を見るにつけ,あらためて甚大な被害が生じたことを実感しており,収束に向け1日も早く事故処理されるべきものと存じております。
 平成26年4月11日に国が公表した「エネルギー基本計画」では,「原子力発電は優れた安定供給性と効率性を有しており,運転コストが低廉で変動も少なく温室効果ガスの排出もないことから,安全性の確保を大前提に,エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要な『ベースロード電源』と位置付け,いかなる事情よりも安全性をすべてに優先させ,世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた場合には,原子力発電所の再稼動を進める」としております。原発の再稼動については,経済・産業界から要望する声がある一方,原発をなくすべきという意見も多くあることは承知しており,地球環境の保全及び国民の安全・安心の確保を前提に,効率的・安定的な電力供給を図るために,慎重に判断されるべきものと存じております。 
≪庄子春治≫次に 子育て支援に関連して2点伺います。

 子どもの医療費助成についてです。昨年から取り組まれている「子どもの医療費拡充を求める」署名は、3万名を超える署名が集まり、県議会が全会一致で請願を採択しましたが、その後も5万人を超え6万人に近づく勢いで集まっているということです。岩手県は平成27年度予算に、子どもの医療費助成対象を小学生の入院費まで拡大し、支給方法を償還払いから現物給付に切り替えるための予算を計上しました。対象拡大は今年の8月から、現物給付は来年度から、という方向です。大いに喜ばしいがこの県民運動は対象年齢を中学校卒業までという願いです。それから見れば一歩前進ということでしょうか。
 こうした中で、県内市段階では、一関市、宮古市などでは平成27年度から対象を中学生にまで拡大する予算化をしました。盛岡ではどうでしょう。26年度と比較して、27年度の小学生医療費給付事業の予算はどうなりましたか。26年度昨年の6000万円に対して、1200万円と、実に2割に減ってしまったのはどういうことでしょう。月100万円程度だった実績に基づいて計上したということでしょう。ならば、なぜその余裕の出た予算を活用して、例えば2~3年生まででも通院費を対象にする、などの積極的な姿勢を見せることができなかったのでしょうか。お答えください。

 もう一つ、就学援助についてです。就学援助の費目に、国の基準で「生徒会費」「クラブ活動費」「PTA会費」が加わったのにもかかわらず、盛岡市は無視したままです。このことについて昨年本会議で千葉教育長は「大事なことだ」「直ちに全部とはいかないまでも段階的に導入得るよう努力する」という答弁でした。平成27年度予算には計上されていないのではないですか。教育委員会では予算要望をしたのですか。財政部はなぜこれを拒否したのですか。まだ、取り入れている自治体がまだ少ない・・これが理由ですか。

 市長は世界一とか、日本一、東北一・・などが好きなようです。昨年は「太鼓で世界一」、今度は「マイスで東北一」ですか? 
 それもいいでしょう、しかし、こういう分野で他に先駆けて取り組む意欲はないのか、岩手県内自治体と比較しても最も遅れたところにある子どもの医療費助成制度をそのままにして何が「東北一」かと言いたい。

 この二つの課題で早急な改善を求めますが、いかがですか。伺います。
  ≪谷藤市長≫次に,子ども医療費助成事業で余裕の出た予算を活用して,積極的な姿勢を見せることができなかったかについてですが,平成27年度におきましては,子育て支援施策全体の中で「子どものための教育・保育給付事業」など新規事業に重点化を図ることとしており,小学生医療費の拡大につきましては,引き続き,子育て支援施策全体の中で総合的に検討してまいりたいと存じます。
なお,子ども医療費無料化事業につきましては,本来,国の責任において制度化するべきと認識しておりますことから,今後も全国市長会を通じて,国に対する要望を行ってまいりたいと存じます。

 次に,就学援助の追加3費目についてですが,このことについては,教育委員会から平成27年度予算の要望がありましたが,市全体の予算編成において,緊急度や優先度を精査する中で,予算化には至らなかったものであります。
 追加3費目の予算化については,今後,市の財政全体を見ながら,総合的に判断してまいりたいと存じます。

 ≪庄子春治≫次に、消防体制と防災について伺います。まず、これも東北でも最も低くなっている消防職員の配置基準に基づく配置状況はどうなっていますか。26年度末の状況、今後の総合計画の中での目標について伺います。

 土砂災害防止法に基づく指定及びその対策についてはどうでしょう。同じく新しい総合計画ではどのように位置づけているのでしょうか。

 ≪谷藤市長≫次に,消防職員の配置基準に基づく平成26年度末の配置状況についてですが,平成26年度は3名増員し,充足率では平成25年度と同様の67%となっております。
 また,今後の総合計画での目標については,平成28年度に開所する山岸出張所に水槽付消防ポンプ自動車を配備することに伴い,必要な職員の増員を計画的に行うこととしており,平成27年度及び28年度は3名ずつ増員することとしております。
また,平成27年度は仙北出張所の救急自動車を高規格救急自動車に更新配備することとしております。
 今後におきましても, 消防職員の増員に努めるほか,車両の更新や救急自動車の高規格化について計画的に進め,消防力の充実強化に努めてまいりたいと存じます。

 次に,土砂災害防止法に基づく警戒区域の指定等についてですが,県においては,土砂災害危険箇所596箇所のうち,現在,221箇所の指定を行っており,急傾斜地崩壊対策事業については,桜山地区など9箇所が整備済みとなっているほか,平成26年度から土砂災害危険箇所の再確認や見直しに着手していると伺っております。
新しい総合計画における土砂災害防止対策につきましては,「人がいきいきと暮らすまちづくり」の基本目標において,自然災害による被害・影響を軽減する取組みを強化し,「安全・安心な暮らしの確保」を目指す施策として位置付け,実施計画において,急傾斜地崩壊対策事業として,県が施行する防災工事に要する経費負担を主要事業としているところでございます。
これを受け,県に対して急傾斜地崩壊対策事業が促進されるよう引き続き要望するとともに,市といたしましては,地権者交渉への協力を行うなど,連携を図りながら市民の安全確保に取り組んでまいりたいと存じます。
≪庄子春治≫地場産業の振興について伺います。

 まず、これまでの総合計画期間における総括が必要です。総合計画の成果指標では、観光を除いて、農業生産、工業出荷、卸売・小売りなどの成果指標は軒並みマイナスではないですか。この間の成果と課題具体的な数字でお示しください。

 昨年6月に成立した「小規模企業振興基本法」が成立しました。小規模企業(従業員20人以下、商業・サービス業は5人以下)が地域経済と雇用確保に大きな役割を果たしていることに着目し、小規模企業を支援する施策を国・地方自治体・支援機関等が連携して実施することを定めた新法です。

 そのポイントが、「成長発展」のみならず、技術やノウハウの向上、安定的な雇用の維持等を含む事業の持続的発展の重要性を位置づけていることであり、個人事業主や家族経営などの零細業者、従業員5人以下の小企業者について「地域経済の主役」と位置付けており、当時の経済産業大臣は「我が国経済の重要な担い手である一方、環境変化に脆弱な面もあるため、政府としても特別の配慮がいる。そう判断した」と小企業者への支援強化の必要性を明らかにしたのです。

 小企業者の全体に目を向け、その事業の継続自体を大事にする、この新たな基本法について、市長はどのように受け止め、どう対応するつもりでしょうか。

 私は、この間の市が取り組んできた、産学官連携・あらたな起業への支援、ブランド認証事業など、成果を上げている分野もある反面、その対策が一部に偏っているのではないかと思うのです。新しい基本法を積極的に受け止め、市内全事業所を視野に入れた対策を行うことが必要ではないでしょうか。そのために、市として中小企業振興条例を作って、系統的な支援を行うこと、事業所の悉皆調査を行い、事業所のニーズを的確につかんで市の施策に生かす、ことが求められているのではないでしょうか。お考えを伺います

≪谷藤市長≫次に,地場産業振興の成果と課題についてでありますが,「活力ある農林業の振興」では,県内最大の消費地である地域特性をいかした都市型農業を展開してきたところですが,農業従事者の減少や農畜産物の価格低迷などにより,農業純生産額は,平成21年度の54億2千万円に対し,平成25年度は51億9千万円と減少しております。課題といたしましては,進行する高齢化や後継者不足,耕作放棄地の増加など地域における「人と農地の問題」への対応が必要であると存じております。

 「まちに活力を与える工業の振興」では,産学官連携の強化や工場集団化の推進,産業支援センター等のインキュベーション施設における起業家の発掘・育成,信用保証料補給など中小企業の経営力の強化に取り組み,きめ細かな起業家支援や中小企業の支援を行ったところでありますが,国内市場の縮小や日本たばこ産業株式会社盛岡工場の撤退などにより,製造品出荷額等は平成22年度の2,091億円に対し,平成25年度は1,017億1千万円と減少しております。課題といたしましては,後継者不足などの地場企業の経営課題,地域資源をいかした販路拡大などへの対応が必要であると存じております。

 「多様で活発な商業・サービス業の振興」では,商店街のイベントなどを支援する事業や,国の助成制度の活用などで,まちの賑わいの創出に取り組んできたものの,経済情勢の悪化に伴う全国的な消費の落ち込みや通信販売などの拡大により,卸・小売の年間販売額が平成21年度の1兆3,140億円に対し平成25年度は1兆724億円と減少しております。課題といたしましては,多様化する消費者ニーズ,魅力ある店舗や商店街の形成などへの対応が必要であると存じております。

 次に,小規模企業振興基本法をどのように受け止めているかについてでありますが,国では小規模企業振興基本法に基づく基本計画において,「需要を見据えた経営の促進」など4つの目標のもと,10項目の重点施策に取り組むこととしております。
市といたしましても,地域の需要に応え,雇用を担う小規模企業の振興が地域経済の活性化と市民生活の向上を図るために重要であると存じており,商工課に設置している経営相談窓口で経営や金融に係る相談に応じるほか,必要に応じて専門家派遣などに取り組んでいるところであります。
今後におきましても,県内の小規模企業などのワンストップ相談窓口である「よろず支援拠点」や盛岡商工会議所などと連携しながら,小規模企業の振興を図ってまいりたいと存じます。
 次に,中小企業振興条例の制定や事業所のニーズを施策にいかすべきではないかについてでありますが,市では,職員による製造業等への企業訪問のほか,各商店街団体等との懇談会や勉強会への参加などにより,事業所のニーズ把握に努め,課題解決に向けた支援に取り組んでおります。
 また,中小企業振興条例については,これまで岩手県中小企業家同友会をはじめ,盛岡商工会議所などと意見交換を行ってきたところであり,平成26年度は岩手県中小企業家同友会が主催する懇談会,勉強会に継続的に参加し,意見交換を行ったところでございます。その中では,地域づくりには,中小企業の活性化が不可欠であるとの意見や,条例に関する会員相互の認識を深める必要性,他の団体との意見交換による市内事業所の共通認識づくりが重要であるとの課題が出されております。
市といたしましては,地域経済の活性化には,地場の中小企業の成長が欠かせないものと認識しておりますことから,条例制定につきましては,盛岡商工会議所や関係機関との意見交換を継続し,さらなる議論を重ねてまいりたいと存じます。
≪庄子春治≫教育行政について伺います。

 私は、盛岡市の教育行政で様々な課題がある中で最大の問題の一つが「教育予算が少ない」ということにあるのでないかと思っています。
 先ほども触れましたが、就学援助。教育委員会は実行したいのに財政当局がこれを拒否する。「枠配分だから」というのであれば、それは配分枠が実情からみて少なすぎるという結果ではありませんか。
同様なことは、学校施設の整備にも表れているのではありませんか。学校の耐震化は、東北の各県庁所在都市に遅れてようやく27年度で終わる見通しのとなりました。
 同時に、指摘されていることは学校の屋根の赤錆雨漏りが増えている現状で、その改修は、議会でも何度も指摘されてきたところです。それがなぜ遅々として進まないのか。教育委員会が計画を立てても、予算がつかないために遅くなっているのではないですか。
教育委員会は、平成25年度に、平成30年度までの計画を策定しました。その計画に対して、26年度と、27年度の予算では計画施設数に対して実績はどうですか。
5カ年計画の中には、実際に修繕を要望され、議会でも指摘されている学校が入っていないのではないですか。たとえば乙部中学校は、計画に入っていますか?「優先度」を考えて計画に入れたところと入れないところがあったということでしょう。そのような控えめな計画でさえ、財政にはねられる。これが実態ではないですか。
私は、この改善を強く求めるものです。子どもたちが学ぶ学校施設については、他の公共施設と違って待っておられないのではないか。優先して取り組むべきではありませんか。伺います。
太田東小学校に先日お邪魔してきました。それは、2月13日の吹雪の日、太田東小学校の教室に吹雪が吹き込んでいたということをお聞きしたからです。教室を案内いただくと、鉄サッシの隙間に新聞紙を詰めて目張りをした状況でした。こういう実態を教育委員会はご存じだったのでしょうか。早急な改善が必要だと思いますが、どのように取り組まれますか、伺います。
≪星野教育委員長≫ 
ご質問にお答えいたします。

 初めに,学校施設の屋根塗装の計画に対する実績についてですが,平成26年度は,3校5棟の計画に対して,3校4棟が完了し,27年度は,6校17棟の計画に対し,2校4棟の実施を予定しております。
次に,学校施設の修繕を優先して取り組むべきではないか,についてですが,学校施設は,将来を担う児童・生徒が豊かな人間性を育むための教育の場であるとともに,災害時には地域の収容避難場所としての機能も併せ持つことから,優先して整備すべきものと認識しております。
次に,太田東小学校の鉄サッシの実態把握と改善への取組についてですが,以前から窓枠の改修について学校要望を受けておりましたが,窓枠を鉄サッシからアルミサッシに改修するためには,多額の費用を要しますことから,大規模改造工事の時に合わせて改修する予定としていたものであります。
今回,改めて状況を確認しましたので,今後,大規模改造工事までの間の,暫定的な対応策について検討を行い,改善を図ってまいりたいと存じます。
≪庄子春治≫教育委員長はあいさつで、特別支援教育の充実のためスクールアシスタント等による支援体制の整備を図る、各学校の読書活動の充実を図るため学校司書を配置する・などと述べられましたが、平成27年度で、それぞれ何校に何人配置されますか。伺います。 ≪星野教育委員長≫次に,平成27年度のスクールアシスタントと,学校司書の人員配置についてですが,スクールアシスタントは,52校に52人,適応指導教室に2人の,計54人を,学校司書は,16校に8人を,配置してまいります。
≪庄子春治≫学校図書館については、昨年学校図書館法が改正され、学校図書館に「学校司書を置くように努めなければならない」との規定が盛り込まれました。
また、2012年度から2016年度までの学校図書館整備5カ年計画」に基づいて3つの地方財政措置が盛り込まれました。①学校図書館標準の達成を目指す図書購入費 ②新聞を活用した学習を行う環境を整備するための費用とともに ③全国の公立小中学校に学校図書館担当職員の配置に要する経費1年度あたり150億円です。これは、1週間あたり30時間の職員をおおむね2校に一名程度配置することが可能な規模ということです。少なくともこの財政措置を生かして、2校に一名の配置はできるのではないですか。この財政措置に基づいて計算すれば盛岡市に対する措置は額としていくらになるのか、それぞれの費目ごとにお示ししてください。平成26年度、27年度の予算で、それらについて盛岡市の予算計上はどうだったか。合わせて伺います。

 重ねて申し上げますが、教育予算について市のあり方を見直して、いただきたい。再度伺い、私の質問とします。
 ≪星野教育委員長≫次に,「学校図書館整備5ヵ年計画」に基づく,平成26年度の盛岡市に対する地方交付税についてですが,学校図書購入費として,5,167万2,000円,新聞を活用した学習を行うための経費として,409万6,000円,学校図書館担当職員の配置に要する経費として,3,411万7,000円が,基準財政需要額に算入されております。
仮に,この額を,学校司書の配置にあてれば,2校に1名の配置は可能となります。
次に,地方交付税算入額に対する,予算計上額についてですが,平成26年度につきましては,学校図書購入費と,新聞を活用した学習を行うための経費として,2,932万円,学校図書館担当職員配置に要する経費として,760万6,000円,平成27年度につきましては,学校図書購入費と,新聞を活用した学習を行うための経費として,2,780万5,000円,学校図書館担当職員配置に要する経費として,760万6,000円を予算計上しております。

次に,市における教育予算のあり方についてですが,将来を担う子どもの教育に係る予算は,十分に確保される必要があると存じておりますが,市が抱える課題は多く,厳しい財政状況にあることは承知しておりますので,予算編成全体の中で総合的に判断されるべきものと存じております。