質問 |
答弁 |
◎庄子春治 最初に、市長の政治政治姿勢について伺います。
安倍首相は、消費税の10%増税の先延ばしを決めて衆議院を解散しました。この解散には道理がないとの国民的な批判もありますが、市長はどのように判断していますか。
今回の増税延期の決定となった根拠は何か。とりもなおさず今年4月に強行した消費税8%への増税が、日本経済を深刻な危機に突き落としたことによるものではないですか。
消費増税と景気悪化について
増税後の4~6月期のGDPが年率-7.1%に下落したのに続き、7~9月期(速報値)で年率-1.6%、調整後で-1.9%となったのです。GDPの2期連続のマイナスは、「景気悪化は駆け込みの反動減で、夏には回復する」という政府の言い訳を、完全に打ち砕きました。 安倍首相が、増税が個人消費の打撃になったことを認め、10%増税の1年半「先送り」実施を表明せざるを得なくなったことは、自らの経済失政を認めたものではないでしょうか。
いまの景気悪化は、「増税不況」にほかならないのではないか。市長の御所見を伺います。盛岡市内の景気状況についてもお示しください。
消費税増税中止とあるべき税制への見解
もともと消費税は所得の低い人により負担の重い税金です。このことがGDPの6割を占める個人消費を冷え込ませ、景気悪化原因になったのは、今回だけではありません。1997年の3%から5%への引き上げで日本の景気はどん底に突き落とされ、以来20年以上経済成長の止まった国になった。今回の増税がまた同じ引き金となって、日本は景気後退期に入ったのではと指摘されるゆえんではないでしょうか。安倍首相は、消費税10%への増税を1年半「先送り」したうえで、景気条件盛り込まず必ず増税するというのです。こんなことをすれば、「増税不況」が繰り返されることになるのではないでしょうか。10%増税は延期ではなく中止にすべきです。市長の御所見を伺います。
しかも、この消費税は、社会保障の財源にも、財政再建にも使われてこなかった。医療・介護、年金・・あらゆる社会保障制度で国民の負担増・給付減が続いています。また、消費税創設以来26年間で、その税収は282兆円にのぼる一方、ほぼ同じ時期に法人3税は254兆円、所得税・住民税も248兆円も減ってしまいました。不況による税収の落ち込みに加え、大企業、富裕層への減税が繰り返されたからです。消費税は、その穴埋めにされてしまったのです。安倍内閣のアベノミクスではさらに法人税をさらに5兆円も減税することをうちだし、来年度から2・5兆円の減税にをとりくむことを骨太の方針で謳っているのです。まさに、大衆課税を強化し、大企業・資産家の税負担を軽減するという、税財政の「所得再配分機能」という基本から外れたものではないでしょうか。
税制改革というのであれば、弱い立場の人により重い税負担を強いながら、大企業や高額所得者、大資産家の税負担を軽減するというやり方を改め、所得に応じて負担するという累進課税の原則に基づく税制に改めることこそ必要ではないでしょうか。そうすれば、消費税に頼らない社会保障財源も生み出すことができるし、財政再建も可能になるのではないでしょうか。市長の御所見を伺います。
大企業には様々な優遇制度があり、それのおかげで、年間1兆円以上もの利益を上げているトヨタ自動車が5年間法人税を一円も支払っていなかったということを認めましたが、日本共産党はそのような優遇税制を改めれば2・4兆円、中小企業を除く法人税率の引き下げをやめ、元に戻すと1・9兆円、所得税・住民税、相続税の最高税率をもとに戻せば1・8兆円の財源を生み出すことができるのです。その他、富裕層の株取引への課税強化と新たな富裕税の創設などで1・4兆円の財源を確保することも可能だと示しています。この道こそ今後日本が進むべき道ではないでしょうか。
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◎谷藤市長 はじめに、衆議院解散を私がどのように判断いているか、についてでありますが、安倍首相は国内の低迷する経済状況等を踏まえ、消費税率の10%への引き上げを1年半先送りすることとし、衆議院を解散したものであり、世論調査の結果を見ましてもこの解散を理解できないとする国民も多くいたところでありますが、安倍首相が現在の政治課題や政局を踏まえて解散を決断したものと存じております。
次に、今の景気悪化は「増税不況」に他ならないのではないか、についてでありますがGDPが2期連続マイナスとなった要因といたしましては、GDPの約60%を占める個人消費や企業の生産活動の伸び悩みによるものと存じますが、そこに消費税8%増税による影響があるものと存じております。
また、市内経済の景気状況についてでありますが、11月の国の月例経済報告では、景気を回復基調とする判断が示されているものの、岩手経済研究所が10月に実施した「いわて景気ウォッチャー調査」によりますと、県内景気の現状の判断指数は、前回7月の調査二比べ6.1ポイント低下した39.9となり、景況感の分かれ目とされる50を3期連続で下回ったところであります。県内においては、消費税増税の影響のほか、円安に伴う原材料、資材価格の値上げりなどにより景気が減速しているとのことであり、盛岡市内においても同様の景気状況でると認識しております。
次に、消費税10%増税は、延期ではなく中止するべきではないか、についてでありますが、消費税10%への引き上げは、今後ますます増税が予想される社会保障等の経費に、安定的に充当する財源として、必要なものと存じておりますが、国民生活に与える影響が大きいことから、引き上げについては低所得者への配慮なども必要と存じますので晴雨hにおいて適切に判断がなされるべきものと存じます。
次に、大企業や高所得者等の税負担を軽減するというやり方を改め所得に応じた税負担が必要ではないかとのことについてですが、個人の所得課税の税率につきましては諸外国と比べて高い水準となっていることや厳しい経済情勢などから、平成11年に所得と住民税合わせた最高税率が65%から50%に引き下げられましたが、平成19年には低所得者層の税率も10%から5%へ引き下げられております。
さらに、平成26年から上場株式等の配当及び譲渡所得等の軽減税率の廃止や高額所得者を対象とした給与所得控除への上限設定などの見直しが行われておりますし、法人実効税率の引き下げの動きの中で、その財源の一部として大企業への優遇税制の見直しなどについても議論されているところでございます。
また、相続税につきましては基礎控除の大幅な引き下げと最高税率の引き上げが平成27年1月1日より行われるところでございます。
このように近年、大企業や高所得者層への課税の見直しが進められている状況もございますが、国においては、さらに公平・適正で中小企業や低所得者への配慮された税負担となるよう、国会等で議論を尽くしていただきたいと存じます。
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◎庄子春治 次に、東日本大震災被災者への支援について端的に伺います。
盛岡市長には2重の役割があります。盛岡市内におられる被災者への支援と併せて、岩手県市長会会長として、県内各市の復興対策への支援を行うということです。
まず、被災者の生活再建、とりわけ住宅再建に関してです。沿岸被災地では、昨今の建設資材単価等の上昇等で建設費が高騰しているということです。生活再建支援制度の抜本的な見直しが必要ではないでしょうか。少なくとも、最大300万円の支援金の額を500万円程度に引き上げることが緊急に求められていると思いますが、御所見を伺います。あわせて、盛岡市として住宅再建への独自加算について検討できないか、伺います。
先日、宮古から避難して暮らしている70台の女性の方からの訴えがありました。昨年の冬も大変だったが、また冬を迎えて寒さに耐えられるか心配だ。寒さの中でストーブの節約も難しい。冬のくらしが心配だ。というものです。繰り返し指摘していますが、県が実施する「福祉灯油」は盛岡には対象にならないのか。このような訴えに市はどのように答えるのでしょうか。「県が対象にしていないので盛岡ではできません、我慢をしてください」というような冷たい姿勢でいいのかが問われます。福祉灯油の必要性は、東日本大震災被災者だけではありません、アベノミクスで、格差が拡大し、物価高で生活を圧迫させられている生活弱者のかたや、障がいおお持ちの方々にとっても切実な課題です。盛岡市がぜひ温かい配慮をもって手を差し伸べていただきたい。いかがですか。
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◎柴田総務部長 被災者生活再建支援制度の抜本的な見直し及び支援金の引き上げについてでありますが、東日本大震災で被災された方々に対する生活再建支援制度の拡充につきましては、これまでも全国市長会等を通じて国に要望をしてきたところであり、岩手県におきましても、本年6月、国に対して「支援額の増額」や「支援範囲の拡大」居ついて要望を行ったと伺っております。
東日本大震災により、居住していた住宅が著しい被害を受けた方々の生活を早期に再建する観点からも支援制度の拡充が求められているものと存じますので引き続き、全国市長会等を通じて、国に要望してまいりたいと存じます。
次に、東日本大震災により、市内に避難されている方々に対する「福祉灯油」の実施につきましては、市内の生活困窮者や社会的弱者の方々に対する福祉灯油の実施など、市全体としての取り組みを考慮しながら対応してまいりたいと存じます。
◎藤田建設部長 市としての住宅再建への独自加算についてですが、岩手県の調査によると沿岸部の司祭市町村において、本年10月末現在の災害復興公営住宅の整備状況が、169の計画のうち、完成が35地区にとどまるなど、本格的な復興はこれからの状況と存じます。
このような中、県と市が実施している被災者住宅再建新事業等に対する市独自の加算は沿岸部の被災市町村における人口流出に対する影響が考えられるほか、これまで補助金を受けた方との公平性の観点などから、難しいものと考えておりますので、ご理解を賜りたいと存じます。
◎熊谷保健福祉部長
福祉灯油の実施についてでありますが、ここ数年間の灯油価格は高値水準で推移しておりますことは認識しておりますが、国及び支援がない中で、市が独自に実施することは難しいものと存じます。
市といたしましては、「灯油価格の安定」と当面の「低所得の世帯に灯油購入費の一部助成に係る財源確保のための恒久的な措置を創設すること」について、岩手県市長会や全国雪寒年対策協議会を通じ、本年6月、国に対して要望をしたところであります。
今後とも、灯油価格、国や県の動向には、十分注視するとともに、必要に応じて岩手県市長会を通じて、国や県に対して要望してまいりたいと存じます。 |
◎庄子春治 次に、盛岡市が平成24年度に実施した緊急雇用創出事業で実施した、(株)盛岡コールセンターへの委託事業について伺います。この問題では、東北を中止に全国で同様の事業受託したDIOジャパンが事業破たんし、賃金の未払い問題を引き起こしたほか、受託事業の内容にも様々な不正・問題点が指摘される中で、国からは調査の上不適切な委託料については返還が求められるという事態になっていることについて、市議会是認協議会での説明はありましたが、あらためてこの場で質問します。
まず、今回のこの問題の経過と、何が問題だったのかについて、市はどのように把握しているのか、整理して伺います。
整理すれば ①3億7千万円以上の委託費を国民の税金から支出し「緊急雇用」事業として受託し、コールセンター事業のノウハウを研修してその後の雇用につなげるという事業そのものの効果がどうなったのか、ということ。②事業内容そのものが適正であったかに強い疑念があり、不適切な経理によって不当な委託料を受け取っていたのではないかということ ③多額の「リース」料が実際には財産取得に使われていたこと などです。
これらも含めて、市の見解を伺います。
緊急雇用で研修した方からは「研修期間は実際には3か月くらいで、他に講師で派遣された。」という方の声もある。盛岡コールセンターでは、女性社長の個人的な支出も出されていたという情報もありますが、市では把握していますでしょうか。
事実上、委託事業が終わったとたん(間もなく)に事業破たんでドロン。「言ってみれば被災地の雇用対策」という名目で、多額の国民の税金を食い物にした・・・このDIOジャパンがこの事業に参有する前にコールセンター事業の実績はたった2事業所だけ。それが岩手県内に7社、東北に数十社という事業を受託したが、果たしてその能力があったのかということも疑念です。
どのような経過で、このようないい加減な会社を引っ張ってきたのか。引っ張ってきた方の責任は明確にする必要があると思いますがいかがですか。このような会社に緊急雇用事業を委託した市の責任はどうでしょう。
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◎村井商工観光部長 株式会社盛岡コールセンターに係る問題の経過と問題点についてでありますが、本年6月に株式会社DIOジャパンの関連子会社が、相次いで事業所の撤退や雇止め、賃金の未払い、高額でのリース契約があった等の報道がなされ、また、岩手県を通じ厚生労働省からの調査依頼もあったことから、本市も含めまして、DIOジャパン関連コールセンターに対する調査が始まったものであります。これまでに、市では盛岡コールセンターの関連帳簿等の一部を入手し、調査を行ってまいりましたほか、元従業員に対するアンケート調査の実施や、県内関連7市町による「DIOジャパン関連コールセンター立地市町連絡会」を設立し、関係市町との情報共有を図りながら、この問題に関する調査を継続しているところでございます。
問題の整理についてですが、
緊急雇用創出事業に係るものとして、人材育成のために新規雇用した従業員が研修以外の業務に従事したことが疑われること、
委託期間中における収入金額が過少に報告されていた疑いがあること、
研修で使用する機器等のリース料が高額であったことに加え、無償または廉価で譲渡されたことと捉えており、本来の事業目的に合致しない部分があったことが問題と認識いたしております。
なお、本市の盛岡コールセンターにおきましては、本年8月に閉鎖され、従業員が解雇されたことは、市といたしましても、誠に遺憾なことと存じております。また、DIOジャパンが設立した各地の子会社においては、緊急雇用創出事業を活用して人材を育成し雇用を継続する計画が破たんし、賃金未払いや雇止めが生じたことなど、DIOジャパンの一連の問題は、事業主、雇用主としての責任の放棄であると考えております。
次に、実際の研修が短期間で終了し、講師として他に派遣されていたのではないかについてでありますが、元従業員に対するアンケート結果から、講師派遣が疑われる回答があるほか、長期出張中に従事した業務が、OJTなのか、実務なのか、不明な点もございますことから、これらを含め、国、岩手県、関係市町と協議しているところでございます。
また、DIOジャパン社長の個人的な支出があったかについてですが、平成24年度の委託事業の対象費用に含まれていないことを完了検査において確認しておりますし、先に提出された盛岡コールセンターの帳簿類においても、ご指摘のような支出は把握できませんでした。
次に、誘致した経過とその責任についてですが、本市では、従来より、雇用の創出を図る上でコールセンター事業が有効であることから、誘致を行ってきたところでございます。
DIOジャパンから岩手県に対し、東日本大震災で被災した東北地方においてコールセンターを開設し、2千人の雇用を創出したいとの話があったことから、平成23年11月に岩手県から県内市町村に対し、空き事務所等の照会があり、その際に本市の情報を提供したところです。
DIOジャパンでは、これらの情報から市中央卸売市場の空き事務所に興味を示し、平成24年1月には現地を視察したうえで市中央卸売市場への立地を決めたものと存じており、岩手県と本市が一緒になって誘致した結果であると存じております。
次に、緊急雇用創出事業を委託した本市の責任についてですが、今回の事態を受けまして、市といたしましては、国、県及び関係市町と連携し、研修等の状況や、収入、リース契約等について調査を進めているところであり、一刻も早く実態を解明することが最優先の責務であると考えておりますし、今後このようなことが起こらないよう取り組んでまいりたいと存じております。
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◎庄子春治 次に、教育委員会制度の改革について伺います。
今年の6月、教育委員会制度に関する法律(地方教育行政の組織と運営に関する法律=地方教育行政法)が改正され、半世紀ぶりに教育委員会制度が大きく変わります。教育委員会制度の変更について、当初安倍政権は教育委員会制度そのものの廃止を企図しましたが、教育委員会廃止によって教育行政が政治直結となるとの問題点から、保守層も含めて広範な反対の声が上がり、結局、教育委員会制度の廃止は見送られ、を残し、の廃止は見送られ制度を残したうえで首長の関与を強化する法改正になったものです。
この制度改正への盛岡市の対応について伺います。
教育委員会の本来の役割発揮を
一つは、教育委員会制度が制度的に残されたことから、この際にそもそも教育委員会制度がなぜできたのか、という発足の原点に立ち返りつつ、委員会の本来の役割をこれまで以上に発揮する立場での改革が必要ではないでしょうか。
法改正の国会審議で、文部科学省は、教育委員会発足の「三つの根本方針」は「改正案においても変わらない」と答弁しています。それは、①中央集権ではなく地方分権~つまり、国が教育内容の細部まで規定し監督するのではなく教育は地方自治だということ ②民意の反映、つまり住民の教育に対する意思が反映することが肝心であること ③一般行政~首長からの独立、つまり教育委員会が首長の下に属しているものではないこと、です。
この3つの根本にたってこれまでの教育委員会のあり方を振り返りつつ、改革に取り組む必要があるのではないでしょうか。教育長の御所見を伺います。
具体的には、①教育行政の最高意思決定者である教育委員会の皆さんには、現場に出向き、子ども、保護者、学校現場の悩みや要望を直接聞き、肌でつかんで委員会議に臨むことができるようにすることです。このことについてはこれまでどのように取り組んでいるでしょうか。大事なことは、おぜん立てされた、形式的なものにならないようにすることが必要です。いかがですか、お考えお伺います。
②教育委員会の委員が、その役割をしっかり果たせるような処遇の改善です。現在盛岡市では、教育委員の方の机やパソコンなどは準備されているのでしょうか。教育委員の方々が最高意思決定機関の委員として活動するための待遇改善や支援の強化についてどのようにお考えでしょうか。
③政治的介入から教育の自由と自主性を守るために毅然と対応する姿勢を確立することです。一部の自治体で、議員などの圧力に屈して学校図書館から「はだしのゲン」を撤去するなどという事態が発生しています。また、全国学力テストの結果公表が迫られるなど教育への政治的介入のニュースにも触れます。こうした政治的介入には毅然として対応するという立場を改めて明確にすることです。
④教育行政を憲法と子どもの権利条約に基づいて行う、そのための努力を行言うということです。
教育委員会制度が、発足際の原則からはなれ、国の教育意思を地方に徹底する上意下達の組織という性格を強めてきたのではないか、2011年に発生した大津市のいじめ自殺事件の事実隠ぺいなどにみるような、官僚的な体質があるのではないか・・など現在の教育委員会に対する国民的な批判があることも事実ですから、改めて原点に立ち返った改革を求めるものです。いかがでしょうか。
新教育長へのチェック機能
次に、今回の法改正で加わった新しい要素への対応について伺います。
新教育長についてです。教育委員長がなくなり教育長にその権限が吸収されました。また、教育委員会から教育長の任免権限が奪われました。こうしたもとで、教育委員会の教育長のチェック機能をどう強化するかは重要な問題です。この件については、「地方教育行政の組織と運営に関する法律の一部を改正する法律について」という文科省初等中等教育局長名の通知でも、具体的に指摘し、規則等で定めることなどを指摘しています。どのように対応されますか。
市長が策定する「大綱」について
②教育に関する「大綱」を首長が決定する仕組みができたことについてです。教育行政は法律上の権限からみて、教科書の採択や学校の教育課程の編成、学習指導、生徒指導、教職員等の人事、生徒児童の就学、入学、転学等、教育委員会が専決する部分、教育財産の取得処分、予算の執行など首長が専決する部分、予算が伴う少人数学級の推進学校統廃合などで新たな予算編成を必要とするものなど、双方の権限が重なっている部分があります。これらを含む「大綱」の策定にあたって、策定権限は首長(市長)にありますが、最高意思決定機関である教育委員会の十分な協議の下に策定されるべきです。この件については、先に示した「通知」でも首長の権限に一定の歯止めをかけることについてどのようなことが示されているでしょうか。
私の知る範囲では、通知には ①たとえ首長が教育委員会と調整のついていない事項を勝手に大綱に書いても教育委員会はその部分の尊重義務は負わず、教育委員会の判断で大綱と別の執行をおこなえること ②法律では教育長、教育委員会に大綱を用いることを求めているが、首長が勝手に書き込んだ大綱については、その限りではないこと ③全国学力テストの学校ごとの結果公表は市町村教育委の権限であり、そのことを勝手に記載することはなじまないこと・・・・などが示されているはずですが、どうでしょう。
市長は、このことも踏まえて対応する必要があると思いますがいかがでしょうか。義務付けられた「大綱」が、住民合意を大切にして民主的に決められるように求めるものですが、どのように対応されるるおつもりか伺います。
総合教育会議について
総合教育会議についてです。「通知」では、「総合教育会議は地方公共団体の長と教育委員会という対等な執行機関同士の協議・調整の場であり、地方自治法上の付属機関にはあたらない」とし、いくつか具体的に示しています。すなわち、①双方どちらかが特に協議・調整が必要と判断した事項が扱われるべきで、教育委員会所管の重要事項すべてを協議。調整すべきものではないこと ②教科書採択、個別の教職員人事、とくに政治的中立性も要請が高い事項については協議議題とすべきではないこと ③調整のための協議題にするかどうかは、政策判断として新たな予算措置が必要な場合であって、経常費を支出している理由でなんでも協議題にできるわけではないこと ④双方が合意した事項のみ尊重義務がかかるが、合意しなければ尊重義務はかからないこと・・など、議題とするべき項目や運営ルールについて示しています。どのように対応するのか、伺います。 |
◎千葉教育長 教育委員のこれまでの取り組み状況についてですが、教育委員はい、教育委員会における学校訪問や、学校公開研究会の視察、創立記念などの周年行事、教育振興運動の地区別集会や全体発表会等への参加を通して、学校現場や地域の状況の把握に努めております。また、教育委員は、各種研修会に出席するとともに、現職の大学教員やPTA役員等を務め、広く教育現場と関わっております。
教育委員会会議とは別に、教育を巡る今日的課題等について、情報交換をする機会を設けております。
今後も、より一層、教育委員会議が、現場に寄り添い、充実したものとなるよう、努めて参りたいと存じます。
次に、教育委員の待遇改善や支援の強化についてですが、現在、教育委員に机やパソコンは配備はしておりませんが、必要な情報につきましては、メールやFAX、電話、直接資料を届ける等の方法により提供しております。また、教育委員には条例に定める報酬や必要な旅費等を支給しております。
次に、政治的介入への対応についてですが、教育行政の推進にあたっては、これまでと同様に、政治的中立性を確保しながら、適正に対応してまいります。
次に、教育行政を憲法と子どもの権利条約に基づいて行うことについてですが、教育委員会といたしましては、今後も、これまでと同様に、憲法や関係法令、子どもの権利条約の理念に基づき、教育行政を推進してまいりたいと存じます。
次に、教育委員会の教育長のチェック機能をどう強化するか、についてですが、これまでも、教育委員会会議において、「教育長報告」として、委任された事務の執行状況等について報告を行っており、会議も公開しておりますが、新制度においては、新たに、委員の側からの教育委員会会議の招集の請求や教育長に委任された事務等の執行状況の報告の規定が定められたことから、今後、教育委員会会議規則を改正するなど、適切に対応してまいりたいと存じます。
◎谷藤市長 教育委員会制度改革における大綱の策定についてですが、改正法においては、大綱は「教育基本法に規定する基本的な方針を参酌し、その地域の実情に応じ、当該地方公共団体の教育、学術及び文化の振興に関する総合的な施策の大綱を定めるもの」とされていおり、その策定にあたっては「総合教育会議において協議するもの」とされております。また、「地方公共団体の長に対し、教育委員会の職務権限である事項を管理し、執行する権限を与えるものと解釈してはならない」とされております。
また、文部科学省の通知では、「大綱は、養育行政における地域住民の意向をより一層反映させるも等の観点から、地方公共団体の長が策定するものとしているが、教育行政に混乱を生じさせることがないようにするため、総合教育会議において、地方公共団体の長と教育委員会が、十分に協議・調整を尽くすことが肝要である」としています。
大綱の策定にあたっては、このような教育委員会制度改革の趣旨と本通知を踏まえ、教育委員会を十分に協議・調整を尽くしながら、適切に対応してまいりたいと存じます。
◎千葉教育長次に、総合教育会議の議題と運営についてですが、その議題とすべき項目は「教育行政の大綱の策定」「教育の条件の整備など重点的に講ずべき施策」「児童・生徒の生命・身体の保護等緊急の場合に講ずべき措置」となっておりますので、会議においては、市長と教育委員が十分に意思疎通を図りながら、これらの項目について、協議・調整を尽くしてまいりたいと存じます。
また、会議の運営については、「地方公共団体の長による招集手続き」「議事録の作成および公表に係る実施方法」等について、運営要領を定めるなど、適切に対応してまいりたいと存じます。
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