2014年12月定例会 鈴木努議員の一般質問

 
質問項目 (クリックするとジャンプします)
病児保育の充実について
  定員枠の拡大と施設増設
  子どもと親へのケア
 
障がい者福祉について
  公共交通運割引を全障がい者に
第6期介護保険事業計画について
  新総合事業と介護受ける権利
  介護保険料の軽減対策
  認知症への対応
  施設整備、特養の多床室 

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 質問  答弁
(鈴木努)病児保育についてお伺いします。
働きながら子育てをしている親にとって子どもが体調を崩した時にどうしたらよいのかという不安があります。病気やけがのために保育園や幼稚園、学校に通園、通学できない子どもを預ける施設として市内では、3か所の病児保育施設があります。
 この保育施設3カ所の利用者数は、平成21年度で、1993人、平成22年、1994人、平成23年2039人、平成24年2067人となっています。利用者数は概ね2000人前後で推移しておりますが、施設によっては、流行性疾患による利用者数の変動があるものの利用人数が増加傾向にあり、キャンセル待ちや利用をお断りする数も増えてきている状況にあるとのことです。定員枠が限られているために利用したくても利用できない状況が生まれていますが、定員枠の拡大について検討する必要があると思いますが、いかがでしょうか、お伺いします。

 また市内にはわずか3か所しか施設がないために「子どもが病気の時に遠くまで子どもを連れて行かなくてはいけない」との声がありますが、施設の増設について当市ではどのようにお考えでしょうか、お伺いします。
 
 利用希望者数の増加の背景には、家族構成の変化や雇用形態の変化により「夫婦共働きで預ける家族がいない」「子どもの具合が悪くても仕事が休めない」など社会的な問題が原因となっています。中には「仕事を休むと会社をクビになってしまう」と涙ながらに保育士に訴える人がいるなど深刻な状況が生まれています。
 子どもの体調がすぐれない時でも、仕事を休めずにどこかに預けるしかない親の不安は大きいものでありますが、当市ではこのような状況についてどのように把握されているのでしょうか。また子どもはもとより親のケアについても対応が求められていると思いますが、いかがでしょうかお伺いします。
(熊谷保健福祉部長) 病児保育施設の定員枠拡大や施設の増設についてでありますが、季節や病気の流行などにより申込者が定員を上回り、利用を断る場合もありますが、平成25年度における1施設当たりの1日平均利用者数は2.78人であり、年間を通してみた場合、1施設における最大利用可能人数の6人に対し、稼働率が46%となっております。
 一方、昨年12月に実施した「子ども・子育てにかかるニーズ調査」において「自宅近くに病児保育施設がほしい」という声も寄せられております。
 これらのことから、病児保育の定員枠拡大等については、地域的なバランスと利用のしやすさを考慮しながら、策定中の「盛岡市子ども・子育て支援事業計画」に位置付けてまいりたいと存じます。
 次に、体調がすぐれない子どもを預ける親の不安についてでありますが、ニーズ調査において、仕事を休めない理由として「子どもの漢語を理由に休暇をとれない」と回答した人が、複数回答で55%にも及んでいることや、仕事を休まず対応した場合にも38%の人が「できれば仕事を休んで子どもを看たい」と回答していることから、本来、病気の子どもを自分で看たいと思っているものの、仕事を休めずにやむを得ず子どもを預けている状況にあるものと認識しております。
 また、親へのケアに係る対応についてでありますが、子どもが病気の時に休むことができる環境づくりなどの「ワーク・ライフ・バランスの実現」に向けた関係機関への働きかけを強めるとともに、病院に併設され、専属の看護師を配置している病児保育のより一層の周知に努めるほか、子育て不安の解消に寄与できるよう、相談体制の強化などに取り組んでまいりたいと存じます。




(鈴木努)次に障がい者施策についてお伺いします。
 障がい者の方が公共交通を利用する際に割引などの運賃の軽減が行われています。JRの場合ですと対象となるのが第1種・第2種身体障がい者手帳及び療育手帳A・Bが交付されている方。IGRの場合は第1種・第2種身体障がい者手帳及び療育手帳A・B、そして精神障がい者保健福祉手帳1,2,3級の方。岩手県交通、岩手県北バス、JRバス東北では、第1種・第2種身体障がい者手帳及び療育手帳A・Bの方、タクシーでは各障がい手帳の交付を受けている方となっています。
 「障がい者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障がい者総合支援法)第1条では、それぞれの障がいについて同列に挙げていることから本来であればこのような運賃割引における軽減措置もすべての障がいについて対象となるべきと思いますがいかがでしょうか。民間の事業者の場合は企業判断の範囲ではありますが当市としても事業者に対し対象範囲の拡大を求めていくべきと思いますがいかがでしょうか、お伺いします。また本年6月施行の改正道路交通法により精神障がい者で一定の病気を持っている人の自動車運転免許の取得や更新に制限がかかりました。
 自動車が運転できなくなることによって、移動は公共交通に頼ることになるわけですが、全国的にみても精神障がい者に対する公共交通の割引制度や補助制度は他の障がいに比べても実施割合が低い状況にあります。
 当市としても福祉的な観点でバスなどの公共交通を利用する精神障がい者への補助制度を実施していく必要があると思いますが、いかがでしょうか、お伺いします。
(熊谷保健福祉部長)すべての障がい者を公共交通の運賃割引の対象とするべきではないかについてでありますが、運賃の割引については、各運送事業者の判断によるものであります。
 市域が営業範囲に入っている鉄道、バス、タクシーの公共交通機関の運送事業者においては、身体障がい者及び知的障がい者については、全ての運送事業者が運賃割引を行っておりますが、一方、精神障がい者については、その対応が異なっている状況にあります。
 国では、バス事業者に示している一般乗合旅客自動車運送事業標準運送約款を平成24年に改正し、精神障がい者についても、運賃の割引の対象としたところであり、市におきましては、この改正の趣旨に沿う対応が各運送事業者においてなされることが望ましいものと存じております。
 また、運送事業者に対する対象範囲の拡大の求めについてでありますが、精神障がい者の運賃の割引については、平成18年から県を中心として岩手県バス協会に対し、継続要請をしており、11月には、市において岩手県バス協会から実情を伺ったところであり、鉄道事業者に対しましてもお話を伺ってまいりたいと存じます。
 次に、公共交通機関を利用する精神障がい者への補助制度の実施についてでありますが、現在、精神障がい者については、福祉作業所へ通所する場合の交通費の助成を行っているところでありますが、他市の助成制度の状況を調査するとともに、関係団体からの聴き取りを行うなど精神障がい者の公共交通機関の利用の実態の把握に努めてまいりたいと存します。
(鈴木努)次に第6期介護保険事業計画についてお伺いします。

新総合事業と介護サービス需給の権利確保について

 「医療・介護総合法」は、要支援者の訪問介護・通所介護を保険給付から外し、市町村が実施している地域支援事業に移す、としています。具体的には地域支援事業の「介護予防事業」に、要支援者の訪問・通所介護の代替サービスを加え「新しい介護予防・日常生活支援総合事業」(以下新総合事業)に改編します。
 現行の「介護予防事業」は、元気な高齢者に介護予防の啓発などを行う「一次予防事業」と要支援・要介護になるおそれが高い高齢者をみつけ、通いの場の提供などによる「二次予防事業」に分かれています。
 「新総合事業」への移行に伴い、これらは、全高齢者を対象に介護予防の啓発などを行う「一般介護予防事業」と要支援者および旧二次予防事業対象者にさまざまなサービスを提供する「介護予防・生活支援サービス事業」に再編されます。
 7月全国介護保険担当課長会議で、市町村が「新総合事業」を実施する際の指針となる「ガイドライン」の案を示しました。この「ガイドライン案」は「新総合事業」への転換によって介護給付費の抑制を図るよう市町村に要求し、効率的な事業実施に努めるよう3つのやり方を示しています。
 1つに、「低廉なサービスの利用普及」です。「新総合事業」の「介護予防・生活支援サービス事業」には、既存の介護事業所による「専門的サービス」とボランティアなどによる「多様なサービス」が用意されることになっていますが、新規利用者は基本的に「多様なサービス」を割り振り、いったん「専門的サービス」を割り振った人も一定期間後には「多様なサービス」に転換していくよう指示しています。
 2つ目に、「認定に至らない高齢者の増加」すなわち、要介護認定を受けさせないことです。新制度では、高齢者が市町村や地域包括支援センターに介護サービスを申請し、窓口の担当者が要支援担当と判断した場合は、「基本チェックリスト」という質問項目に答えさせただけで、「新総合事業」のサービスを割り振ることが可能となります。
 3つ目に「自立の促進」です。「新総合事業」の適用となった人は、「かがめるようになる」、「1人で買い物に行けるようになる」などの「目標」「課題」を持たされ、行政側から「目標達成」、「状態改善」とみなされると単価の低いサービスへの転換や、サービスの「終了」、「卒業」を行政側から求められることになります。
 厚生労働省の「予防モデル事業」の参加自治体や2012年施行され、市町村の任意事業である「介護予防・日常生活支援総合事業」の実施自治体など、今回の改定の内容を先行実施している自治体では、介護の必要を訴えてきた高齢者を、市町村の職員が要介護認定を受けないよう「説得」して追いかえしたり、要介護認定抜きで地域支援事業を割り振るなどの事態がすでに起こっています。
 新制度では、高齢者個々の利用者のサービスをどうするのか、直接判断をするのは市となるわけでありますが、高齢者や家族の暮らしの権利をどう守っていくのかが大きく問われてきます。「新総合事業」がスタートしても、要介護認定を受けるのは被保険者の権利であり、行政側が圧力をかけて、本人の同意も抜きにサービスを打ち切るようなことは許されないわけでありますが、当市でもこの点についてはサービス需給の権利がしっかりと守られるよう対応していくことが必要ですがいかがでしょうか、お伺いします。
 要支援者サービスの「新総合事業」の移行については、市町村の条例で実施を遅らせ、2017年3月までは現行の仕組みのまま継続することが可能となっています。先に述べたように今回の改定内容を先行実施している自治体ではサービスの切り捨てなどの問題が起きている中で、当市でも実施の見送りをすることはできないものでしょうか、お伺いいします。

介護保険料軽減対策を
 保険料についてお伺いします。当市における現在の介護保険料の月額基準額は5245円となっていますが、次期計画ではその基準額が6489円。1244円、23,7%の大幅な値上げの予定となっています。低所得者には公費を投入し新たな軽減措置を実施することやこれまで当市が行ってきた軽減措置について引き続き実施されることとなりますが、年金の引き下げや物価高など生活が大変になっている中での保険料の大幅な値上げは高齢者の生活に大きな影響が出るのではないでしょうか。

 今回公費を投入し低所得者の軽減措置を実施するとしていますが、これまで保険料減免について公費の投入を拒んできた国が自らのルールを否定して公費を投入に踏み出そうとしているのですから市がさらに一般会計からの繰り入れを行い、保険料の値上げをおさえるべきではないでしょうか。とりわけ次期計画では介護度によってこれまで利用できたサービスが利用できなくなるなど利用抑制が行われようとしている中で、サービスは削減され保険料は大幅に上がるとなると市民の方も納得できるものではないと思いますが、いかがでしょうか。市長のお考えをお伺いします。














認知症対策の充実
 第5期介護保険事業計画に続いて次期計画についても認知症対策の充実が重点事項となっています。
 認知症高齢者の行方不明を未然に防止する取り組みが進んでいる中で全国から注目されている取り組みとして福岡県の大牟田市の取り組みがあります。大牟田市は「安心して徘徊できるまちづくり」を目指し徘徊を積極的に受け止めています。行方不明者が出た場合に、同市の「ほっと安心ネットワーク」が発動し、その情報が介護従事者や民生委員、JR、郵便局、JAなど4500人の市民にメールが流れまちぐるみで行方不明者を探す仕組みとなっています。そしてこの取組を進めていくために大きな役割を果たしているのが年1回の「徘徊模擬訓練」です。徘徊役がゼッケンをつけて市内を歩き住民が声をかけて通報する訓練内容となっています。
 当市の認知症対策でも認知症徘徊模擬訓練を実施していく計画となっていますが、この訓練はどのような範囲で行おうとしているのか。多くの市民にも参加していただきながら進めていく必要があると思いますがいかがでしょうか。また大牟田市の例も参考となると思いますが、いかがでしょうか、お伺いします。

入所施設計画、特養の多床室について
 入所系施設の整備についてお伺いします。第6期介護保険事業計画では、入所系施設について緊急に対応が必要な待機者の解消をはかるという考えから、平成26年3月末現在の緊急待機者の数328人という数に対し、特養や介護療養型施設等332人分の施設を整備する計画となっています。
 現在、資材の高騰や労務単価の上昇などの工事費の増加による公共施設整備の遅れなどが生じておりますが、第6期の事業計画について特別養護老人ホームを初め、老人福祉施設整備についてもその影響が懸念されますが、当市では何か対策は取られるものでしょうか、施設整備を進めるために対策をとるべきと考えますが、いかがでしょうかお伺いします。
 特別養護老人ホームの整備について9月議会では、多床室整備について市長は、「多床室には利用者負担の軽減が図られるほか、建設費用が低減されるなどのメリットがあるものと存じており、市といたしましては今後入所希望者が増えていくことが見込まれる中、利用者のニーズなどを踏まえながら特別養護老人ホームの整備の方向性を決定していく」と答弁なされましたが、第6期での整備について多床室整備が見込まれる予定であるのか、見通しについてお知らせください。

(熊谷保健福祉部長) 介護保険のサービス需給についてでありますが、介護予防・日常生活支援支援総合事業への移行後のサービスの利用については、国のガイドライン案によれば、地域包括支援センターや市町村の相談窓口では、明らかに要介護認定が必要な場合や、本人が予防給付・介護給付によるサービスを希望している場合には、直接、要介護認定の申請をしていただくこととされております。また、このような場合にや明らかに介護予防・生活支援サービス事業の対象外と判断できる場合を除いては、基本チェックリストの結果により、本人の状態に応じて要介護認定の申請をしていただくこととされております。
 このようなことからその認定結果に応じたサービスが受けられるものと存じております。
 いずれにいたしましても、本人の状態や希望に応じて、要介護認定の申請者が必要なサービスの利用ができるよう、引き続き取り組んでまいりたいと存じます。

 次に、要支援者サービスの新総合事業への移行を見送ることができないか、についてでありますが、新しい介護予防・日常生活支援総合事業につきましては、「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律」に基づき、平成29年までに、地域支援事業に位置付けて実施することとされております。
 事業の実施にあたりましては、円滑な移行に資するため、平成27年度に、地域包括ケアシステムの構築に向けたモデル事業を実施したいと考えており、その結果を踏まえながら、他都市の事例なども参考にし、十分な準備を行ったうえで、29年までに実施してまいりたいと存じます。











































(谷藤市長) 国においては、今後さらなる高齢化に伴い、介護費用の増加と保険料負担水準の上昇がさけられない中で、制度を持続可能なものとするためには、低所得者も保険料を負担し続けることを可能にする必要があることから、公費を投入して低所得者の保険料を軽減する仕組みを法律により制度化したところです。

 しかし、制度化された仕組み以外の公費投入については、国の通知により保険料給付の費用負担のうち、市町村の一般財源が一定割合を負担するものと定められており、これを超えることは適当でないとされておりますことから、負担割合を超えた一般会計からの繰り入れは考えていないところであります。

 また、サービスの削減と保険料が上がることについてでありますが、要支援者へのサービスが地域支援事業に移行した場合でも、既存サービス相当のサービスの利用が可能となるものであり、要介護1、2の方の特別養護老人ホームの入所についても、特別養護老人ホーム以外での生活が著しく困難であると認められる場合には、入所が可能とされておりますことから、サービスの低下の招かないよう、対応してまいりたいと考えております。

 保険料につきましては、保険料の上昇を抑えるべく、市独自の軽減措置については、引き続き実施してまいりたいとかんがえておりますが、要介護認定率が高齢化の進展に伴い上昇しており、給付費が増大することが見込まれることから、市民の皆様には、ご負担をおかけすることとなりますが、御理解いただきたいと存じます。

 次に第6期での老人福祉施設の整備を進めるための対策についてでありますが、施設整備を円滑に進めていく必要がありますことから、公募による事業者選定の後に、整備について事業者から相談があった場合には、適切に対応してまいりたいと存じます。

(熊谷保健福祉部長)次に認知症徘徊模擬訓練をどのような範囲で行うか、についてでありますが、認知症徘徊模擬訓練につきましては、ご協力いただける地区福祉推進会において、試験的に実施し、課題などを把握する上、その結果を踏まえながら、段階的に取り組み範囲を拡大してまいりたいと考えておりますし、対象範囲を拡大する中で、より多くの市民の皆様の参加をいただくよう、工夫してまいりたいと存じます。
 また、大牟田市の徘徊模擬訓練では、他職種協働、世代間交流、地域協働のまちづくりを推進する中で認知症への市民の理解を広げることや、地域コミュニティの再構築を目指しており、地域住民をはじめとして小中学生や高校生の訓練への参加も多く、支え手同士の交流の機会となっていると伺っておりますことから、当市におきましても、大牟田市や他都市の事例なども参考にしながら、認知症高齢者を地域で支え合う社会の実現を目指してまいりたいと存じます。





 (谷藤市長)次に、特別養護老人ホームにおける多床室の整備についてでありますが、多床室は、個室ユニット型と比較して建設費用が低減されるものでありますし、先に実施した特別養護老人ホームの関係者との意見交換におきまして、入所希望者において多床室のニーズが一定程度あることを聴き取りしたことから、第6期におきましては、多床室の整備についても考えてまいりたいと存じます。