2014年12月定例会 鈴木礼子議員の一般質問

 
質問項目 (クリックするとジャンプします)
ごみ処理広域化問題について
  市民参画
  建設費と交付金
  公害防止協議会との協議
  コスト比較の問題点
  
  再質問・・コスト、環境負荷など
米価暴落への対策について
  農家所得と地域経済への影響
  国の責任とTPP参加撤退を
  飼料米の対策
 
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 質問  答弁
ごみ処理広域化問題について

(鈴木礼子) 
最初にごみ処理広域化問題について伺います。

市民参画について
 さる8月26日、県央ブロックごみ広域化基本構想(案)「以下基本構想(案)」が示されて以降、市内4カ所での説明会の開催とパブリックコメントにより市民からの意見聴取が行われました。パブリックコメントでは当局の不手際もあり再度期間を延期しての対応となりましたが、それぞれにおける市民の意見についてはどのような内容だったのかお示しください。

 市長は、市政運営にあたって計画の段階から市民参加をすすめる市民参画を標榜していますが、この度のごみ処理広域化問題では市民参画とはあまりにもかけ離れた対応となっているのではありませんか。
 特に市公報での市民への周知は、紙面への掲載は体裁を整えた程度であり「基本構想(案)」が具体的に示されないままの対応となっているのではありませんか。当市のごみ行政の根本が問われ、大きく変更される計画なのに市民への説明会が4カ所のみでよしとするその根拠は何か。市民参画とは程遠い対応です。市民への丁寧な説明と意見聴取が必要ではありませんか。対応についてお示しください。

建設費用と交付金について

 先の9月定例議会での私の質問に対して、中川部長は、「国の廃棄物処理施設整備費について、県のごみ処理広域化計画と整合性が図られなければ循環型社会形成推進交付金が活用できない」との答弁でした。広域化しなければ国の交付金の対象とはならず、広域化により国の交付金が活用できることが財政的に大きなメリット」と発言されましたが、本当にその答弁に間違いがありませんか。

 循環型社会形成推進交付金要綱によれば交付対象は人口5万人以上または面積400K㎡以上の地域計画対象地域を構成する市町村及び当該市町村の委託を受けて一般廃棄物の処理を行う地方公共団体となっています。また、2012年4月17日付で当時の高橋ちづ子衆院議員に寄せられた回答文書では、必要な処理能力についても小型(日処理100t以下)の廃棄物処理施設も交付対象になるとの回答です。
 この点についてはどのような認識をお持ちでしょうか。
久慈、二戸市地域8市町村で共同処理を行うとした岩手北部広域環境組合は、施設整備に伴う国の交付金の交付要件が広域化と関係ないことがわかり、二戸、久慈両市議会では北部広域環境組合の解散決議が行われたと伺っています。経過についてはどのように把握されていますか。

 県央ブロック広域化の最大のメリットとして示された「建設費の削減」については、あらためて試算・検討が必要になっているのではありませんか。市民に納得のいく説明が求められていると思いますが、いかがですか。

公害防止対策協議会での協議について

 市クリーンセンター公害防止対策協議会でも「基本構想(案)」が説明されていますが、当該地域に配布された「協議会だより」によれば ①広域化の検討にあっては直ちに1施設集約型ではなく、コスト面での差異がない3施設建替えも含めて検討すること ②検討にあたっては、生涯コストを示すLCC(ライフサイクルコスト)、環境負荷を示すLCA(ライフサイクルアセスメント)のシュミレーションを精査すること。などが記されています。
 具体的にはどのような協議内容だったのか。検討・精査はいつまでに行うのかお示しください。「精査」の如何によっては見直しが図られるのかどうかも合わせてお答えください。

「コスト比較」の問題点

 「基本構想(案)」のコスト比較では、広域化による1施設集約の場合は日量500tとして減量目標を視野入れて試算していますが、6施設の場合は減量目標がなく現状700tでの試算となっています。ランニングコストも(期間の設定)平成26年から40年、41年から55年の30年間としていますが、なぜ、このような設定なのか理解できかねます。
コスト比較ひとつとっても信用できる内容とは言いがたく「広域化が先にありき」の試算になっているのではないでしょうか。

 広域化により効率化を図るということですが、もっぱら人員・経費の削減のみが強調されごみ処理の本質的な効率化となるあるごみ減量・資源化の推進が後継に追いやられているのではありませんか。

 ごみ処理を担当する事務組合とごみ減量・資源化に取り組む自治体とが分離することが、ごみ処理全体の効率的な展開を阻むことになりはしませんか。
市長の見解を求めます。
(谷藤市長)はじめに、ごみ処理広域化に係る見解についてですが、盛岡広域振興局管内3市5町で構成する県央ブロックでは、ブロック内における循環型社会形成の推進をめざすため、3Rの推進、環境負荷の軽減、災害対策の強化、効率的な廃棄物処理システムを基本方針として「県央ブロックごみ・し尿処理広域化基本構想」を策定しようとするものであります。
この基本構想の策定に当たりましては、ごみ焼却施設について、既存6施設の建て替えや1施設に集約した場合などを想定し、施設数や規模、収集運搬方法などの違いによる、県央ブロック内の環境への影響、施設建設費、運営費などを比較検討し、効率性、環境負荷、経済性などの観点から、その方向性を見出そうとしているものであります。
 基本構想(案)では、3Rの推進も基本方針に掲げ、ごみ減量や資源化に取り組んでいくこととしております。
 また、新組合と構成市長が連携し、ブロック内でごみ処理全体に係る施策の推進を一体的に取り組むことにより、効率的なごみ処理を図って参りたいと存じます。
 いずれにいたしても、ごみ処理の広域化につきましては、今後とも、市民の意向の把握に努め、市民の理解を得ながら本市及び県央ブロック全体の循環型社会の形成を目指してまいりたいと存じております。

(中川環境部長)説明会とパブリックコメントにおける市民の意見についてですが、住民説明会におきましては、「広域化は、施設のない市町のごみ減量への意識が薄れ、減量・資源化を進める今の取り組みに逆行する。」「一般廃棄物の処理は自区内処理が原則である」「現在のクリーンセンターの場所に建設することには反対」等の意見をいただきました。
 また、パブリックコメントにおきましては、住民説明会と同様の意見のほか、「広域化は焼却施設が建設される地域のみ負担が増えることになる」「ごみ減量・リサイクルに関する取組については具体的な内容がない。」「メリットばかりを強調して、デメリットに対して検討が十分にされていない」「現在の施設で十分だから広域化による大型ごみ焼却施設は不要である」などの意見が寄せられております。
 次に、市民への説明会が4カ所のみで良しとする根拠についてですが、県央ブロックごみ・し尿処理広域化推進協議会では、ブロック内の住民の意見を聴くため、各構成市長において、パブリックコメントを実施することとしたものですが、本市におきましては、既存施設の今後の稼働に係わる構想でありますことから、既存焼却施設等の周辺住民を対象として説明会を開催したものでございます。
 次に、市民への丁寧な説明と意見聴取の対応についてですが、4カ所の説明会のほか、きれいなまち推進懇談会の機会にも、県央ブロックごみ・し尿処理広域化基本構想(案)についてご説明をさせていただき、意見をお伺いして参りました。
 本構想(案)は、今後のブロック内のごみ処理の方向性を示すものでありますが、今後、構想の内容を具体化するため、施設整備の計画などを策定することとしており、作業を進める際には、適宜、市民への情報提供や説明を行い、作業の透明性を確保するとともに意向の把握に努め、ご理解を得ながら進めて参りたいと考えております。
 次に、循環型社会形成推進交付金の交付対象についてですが、環境省の交付金制度の交付要綱においては、議員ご指摘のとおり、公布対象5万人以上または面積400平方キロメートル以上の循環型社会形成推進地域計画または一般廃棄物処理計画対象地域を構成する市町村等が交付対象と定められ、公布対象となるごみ焼却施設の必要な処理能力については、具体的な定めはありませんが、平成9年5月の国の「ごみ処理の広域化計画について」の通知及び平成11年3月の県の「岩手県ごみ処理広域化計画」では「処理施設は最低1日100t以上、可能な限り1日300t以上の規模」とされております。
 また、新ごみ焼却施設の整備に係る地域計画の作成にあたっても、県のごみ処理広域化計画との整合性をとるよう、平成24年11月に環境省から各都道府県に通知が出されており、言わtwkwンはこの通知を受け、地域計画を環境省に送付するにあたり、地域計画と広域化計画との整合性を確保することを基本とするので、地域計画の策定にあたり留意するよう、各市町村や一部事務組合に同年同月に通知しております。
 このことから、県央ブロックの新ごみ焼却施設の整備に係る地域計画は、岩手県ごみ処理広域化計画との整合性が図られる場合に、公布金を活用することができるものと認識いたしております。
 次に、岩手県北広域環境組合における解散決議の経過について、どのように把握しているかについてですが、岩手北部広域環境組合では、ごみ焼却施設を集約するごみ処理広域化について、平成24年度に国の担当に照会したところ、ごみ焼却施設を一本化しなくとも公布対象となるとの回答があったことから、今後県北ブロックのごみ処理は、久慈地域と二戸地域それぞれのごみ焼却施設で対応することに方針を変更したと伺っております。
 その後、岩手県北広域環境組合は、平成25年4月26日の組合議会で解散を決定しましたが、各構成市町村の議会に諮ったところ、同年12月6日の九戸村議会で否決されたため、現在も広域化組合の組織は残っており、26年11月1日付けで組合管理者が二戸市長から九戸村長に変更になっております。
 次に、建設費の試算、検討についてですが、広域化に伴う施設の集約化により、建設及び運営等のコストが削減されるメリットがありますが、コスト試算、比較につきましては、クリーンセンター公害防止対策協議会から別のケースも試算し検討するようご意見をいただいておりますことから、比較ケースを追加し、パブリックコメント等で出された意見と同様に考え方を公表する予定であります。
 次に、対策協議会での協議内容とその検討・精査についてですが、本構想(案)では、ブロック内における既存のごみ焼却施設の稼働を40年度まで延命化し、新ごみ焼却施設の稼働を41年度とした場合、施設の更新に向けた様々なケースを比較しました。これに対し、対策協議会からは、施設建設費や運営・維持管理費等の生涯費用を示すライフサイクルコストにけるランニングコストの期間を、ごみ焼却施設の実稼働年数となる30年間で設定し、試算した場合、既存の建て替えと、1施設に集約し3箇所に中継施設を設置した場合との差がほとんど見られないことから、直ちに1施設に集約化するのではなく、3施設建替えを含めて検討を行うこと。
 また、ケースごとの比較を行う際には、ごみ焼却施設の炉の種類など、比較する条件を全て同じ状態にした上で、ライフサイクルコストや環境負荷を示すライフサイクルアセスメントの試算を行うことについての意見をいただきました。
 これらの意見対応につきましては、パブリックコメント及び地域住民説明会で出された意見と同様に、意見に対する考え方を公表し、これらの意見を踏まえ、平成27年1月開催予定の県央ブロックごみ・し尿処理広域化推進協議会で構想を策定することとしております。


ごみ処理広域化問題についての再質問  (大要を一問一答方式で紹介します)

市民参画について

(鈴木礼子) パブリックコメントの意見は何人何件でしたか。
(中川環境部長) 56人から62件の意見が寄せられました。

(鈴木礼子)広報による市民への周知は不足だ。市民全体への説明会が必要であり、市民参画とは決定前に意見を聴くことではないのか。準備設置を遅らせても市民への周知必要だが。
(中川環境部長)部長:その都度説明する。基本構想(案)についても市民の理解を得るということであれば市民全体への説明必要だと思う。来月21日に推進協議会を開催予定だが、策定したものも市民全体に内容を説明する。

経済効率(コスト削減)について

(鈴木礼子)基本構想(案)は1か所集中型が最も有利としたが ライフサイクルコスト(LCC)での1施設集中型と3施設建替えの比較ではどうか。また、3施設建替えの試算では交付金が入っているのか。
(中川環境部長)クリーンセンター公害対策協議会での意見は、LCCを平成70年まで試算した場合、1施設集約と3施設建替えでは大きな差がないという試算結果だ。交付金は、1施設集約には入っているが3施設建替えの場合は入っていない。

(鈴木礼子)交付金は、北部ブロックの例もあり1本化しなくともよいとのお墨付きがある。3施設建替えにした場合、交付金が入るとすればかなり安くできるのではないのか。ライフサイクルコスト(LCC)はどうか。
(中川環境部長)3施設建替えでも交付金の活用ができるとすれば1施設集約より財政的にはメリットある。交付金の活用は国・県の通知は整合性を図ることが前提だ。3施設建替えでも活用できると仮定すればそうなる。コスト、環境への負荷などの試算は基本構想(案)の当初は1施設集約のパターンしか出していない。

(鈴木礼子)1施設集約より3施設建替えの方がコスト削減ということが実証されたが、基本構想(案)自体が、信憑性が薄いのではないのか。交付金は努力次第だ。最初からだめということではすすまない。各市町の首長は、広域化が経済効率、コスト削減を最も心配し重視している。3施設建替えの方が安くできるもの。1施設集約の場合は、用地確保と造成費、道路整備費、輸送経費も試算には入っていない。膨大な費用をかけて盛岡まで運ぶことは全く無駄ではないのか。市長はどう考えるか。
(中川環境部長)クリーンセンター対策協議会の意見などLCC試算ではスパンを長くするなどの意見をいただいているので、試算について検討してみる。

(鈴木礼子)3施設建替えか1施設集約かは私自信の意見は控えるが、3施設建替えにした方がコスト削減になることを認めるべきだ。
(中川環境部長)総合的に経済性、環境負荷の面など検討したい。基本構想(案)は総合的に試算した。ブロック全体として循環型社会推進のために対応する。

環境への負荷について

(鈴木礼子)環境への負荷は、ブロック全体とすれば少なくて済むと言うが市民にとってはどうか。市民にとっては迷惑だ。クリーンセンターの場合、この15年間で窒素化合物、硫黄酸化化合物、塩化水素などの排出量が2千トン、ダイオキシン0・1グラムに及ぶ有害物が降り注いでいる。ゼロではない。重く受け止めるべきだ。
日本一厳しい公害防止協定があっても現実的には影響ある。このような施設を1カ所に集中させていいのか。
(中川環境部長)ブロック全体は低減する。市内への負荷は増える。
公害防止協定では基準維新以下になっている。基準以下に厳しく設置している。有害物質の排出について今後極力下げる。新施設は最新の技術で対応する。

コスト試算示して協議を
(鈴木礼子)1月開催の推進協議会では、必ずしも1施設集約がコスト面では有利とはならないことについて具体的に示して協議してほしい。
(中川環境部長)推進協議会では試算した中身で協議したい。
(鈴木礼子)市長に伺う。1施設集約が有利とする条件がないことが証明された。これらの試算を揃えて各首長さんたちと協議してほしい。市にだけ負担をかけることはおかしい。
(谷藤市長)パブリックコメントなど様々な意見ある。協議会では比較しながらどのようなかたちがいいのか協議したい。 
米価暴落への対策について

(鈴木礼子)

 12月2日付けの岩手日報論壇に、花巻市の熊谷茂さんが「米作りは美しき日本文化」と題する一文を寄せています。
 「春に種をまき、夏に汗水を流しながら苦労を重ね、子どもを育てるように手塩にかけて管理し育て、作物の成長を楽しみにして、ようやく実りの秋になり収穫する喜びは格別なもの」と自然と格闘する農家の醍醐味を述べながら、その喜びが今年の米価の暴落で豊穣を祝う祝賀の行事もため息と愚痴ばかりで不透明な先行きに途方に暮れるばかりと落胆しています。

 そして、かつて「米」は国の管理のもとに厳しく守られてきたのに、今では米作農家は赤字経営で困り果て、美しい農村の風景は耕作放棄地など社会的な要因で荒廃。限界集落となり崩れゆく郷土に思いをはせると悲しくなる。米はわが国の財産で文化であったはずなのにと「農業者の見えない」農政に異議を申し立てています。
 多くの農業者が今年の米価暴落で、実りの秋を喜べず米作りが続けられないとの深刻な実態が広まっていますが、市長はこれらの事態をどのように受け止めておられますか。

 今年の農協の概算金は、ひとめぼれで前年を2、800円下回る8400円に下落。その他の銘柄でも8、000円から7、000円台の価格も続出し、米の生産費16、356円(60㎏あたり全参入、2007~2011年平均)の半値の米価というかつてない事態となっています。

 米価下落は長年続いており、農家手取りベースで4、000円前後の赤字状態がこの数年の傾向でもあります。それに追い打ちをかけたのが2014年産米から経営所安定対策(戸別保障)が10aあたり15、000円から7、500円に半減されたことです。消費税増税や燃料、肥料、農薬の高騰で、ただでさえ稲作農家の経営はひっ迫しているのに、そのもとでの米価大暴落ですから深刻です。

 岩手県は、9月に米価下落に伴う経営体調査を行っていますが、それによると買掛金・未払い金の支払いができないとの回答が57%。資材費・人件費の手当ができないが46%にも及んでいます。

農家所得と地域経済への影響

 市内の稲作農家所得と地域経済への影響についてどのように把握されていますか。規模を拡大してきたいわゆる「担い手」の経営への影響はどうでしょうか。15ヘクタール規模の大規模農家、30haの集落営農組織の減収はどのように推計されていますか。2013年産米との比較では減収額がいくらになりますか。

 これまでは価格下落の9割分を国が補てんする「米価変動補てん交付金」がありましたが、今年からはこれも廃止されました。国は、ナラシ制度をセーフティネットの目玉にしています。しかし、ナラシ加入者は市内稲作農家の何%でしょうか。未加入者には特例ナラシ(ナラシ円滑化対策)があると言いますが補てんされたとしても「すずめの涙」程度ではありませんか。当市の実態についてお示しください。

 ナラシ対策、ナラシ円滑化対策での補てんがあるものの農家全体から見れば圧倒的多数の農家が大変な減収を強いられ再生産が賄えない事態ではないでしょうか。
生産費を割り込む米価では将来の見通しがたたないとの事態に対して市としてどのような対策、支援策を検討していますか。お知らせください。

国が需給・価格安定の責任を・TPP撤退を

 2014年産米の米価暴落が農家の死活問題になっている最大の原因は、今年6月末の在庫が2年前に比べて75万トンも増えることを政府はすでに知っていながら何の手も打たず過剰米を放置してきたこと。安倍内閣がすすめる「「米価は市場で決まる」とした農政改革による減反の廃止がなど米の需給管理を放棄した政府の姿勢にあるのではありませんか。地方再生、農業所得倍増を掲げながら米価暴落は無視する無責任な姿勢と言わざるを得ません。

 米価を市場まかせにするのではなく、米の需給と価格の安定は農家と地域経済を安定させるためには不可欠であり、このことを基本にしなければ同じことが繰り返されます。
 国に対しては、過剰米を市場から隔離し価格と需給に国が責任を持つこと。経営所得安定対策の半減(及び廃止)の見直しは止めるよう強く要請すべきではありませんか。ましてや日本の農業をアメリカに売り渡すようなTPP交渉からの撤退を求めるべきです。
市長の見解を求めます。

飼料米への取り組み

 飼料の自給率を高める飼料用米の水田活用は重要な課題です。この間、県が飼料米の需要調査を行っていますが、26、000tの需要に対し今年はわずか2、000ha、10、900tにとどまっているとのことです。「主食用米並みの所得確保が可能」といって国は誘導していますがなぜ進まないのでしょうか。当市の取り組みの現状と課題についてお示しください。
(谷藤市長) 今年の米価暴落という事態に対する認識についてですが、全農県本部は決定した26年産米の概算金が大幅に下落したことについて、大きな衝撃を受けるとともに、このことが稲作を中心として設計をたてている農家の経営や地域経済にも多大な影響を与えるものと危惧しているところであります。
 国では、農業者の経営の安定を図るため、農産物の需要を喚起するとともに、非主食用米への転換や農地の有効活用を図るとしており、これら国の新たな需給調整の仕組みが十分機能することが不可欠と考え、岩手県市長会を通じて米価下落時の「価格保証制度」創設等の新たな対策を講じるよう国に対して要望したところであります。
 今後におきましても、県及び関係農協とも連携しながら農家の支援に努めて参ります。
 次に、過剰米の市場からの隔離や経営所得安定対策についての国への要請についてですが、岩手県市長会を通じて、政府主導による過剰米の緊急隔離を実施するとともに、稲作経営の安定を図るための総合的・継続的な需給対策を講じることなどについて、去る、11月12日に国に対して要望活動を行ったところであります。
 なお、国では、20万トン規模の米を一時的に、出荷せず倉庫保管することで市場隔離と同様の効果が期待できることから、そうした対策を講じるよう調整していると伺っております。
 また、TPP交渉からの撤退についてですが、市といたしましては、これまでと同様に岩手県市長会等を通じまして、TPP参加にあたっては、著しい影響を受けかねない農林水産業などへの影響を踏まえ、国民に対する積極的な情報提供と明確な説明を行うとともに、国益を損なうことがないよう慎重な対応を国に求めてまいりたいと存じます。

(伊藤農林部長) 
市区農家所得と地域経済への影響についてですが、まず「担い手」の経営への影響は、ナラシ対策を考慮しないという条件で25年産米との比較により試算しますと、減収額は、15haの大規模稲作農家では、「ひとめぼれ」「あきたこまち」など主要4品種平均で、約266万円、30ヘクタールの集落営農組織では、約534万円と見込んでおります。
 また、地域経済に与える影響につきましては、主要4品目の総額で約8億2、400万円の減収と試算しており、概算金に係る追加払いやナラシ対策などにより、その影響額のうち相当額が補てんされることになりますものの、地域経済への影響は否めないものと存じております。
 次に・市内農家のナラシ加入者等についてですが、当市における稲作農家数3、142戸のうちナラシ対策への加入者数は、1、200戸で約38・2%となっており、また、ナラシ移行のための円滑化対策の対象農家数、1、777戸で約56%となっております。
 次に、本市としてどのような対策、支援策を検討しているのかについてですが、市としては経済的な支援を実施する予定はありませんが、経営所得安定対策における交付金を年内に交付できるよう、事務を執り進めているところであります。なお、県では、JAいわてグループとの協調による無利子融資を行うと伺っており、また、JA新いわてでは、概算金へ一律60㎏当り400円の上乗せを、JAいわて中央では、来年度の水稲の再生産に必要な農業資材の購入費の一部を助成するとお聞きしております。
 次に、飼料用米の水田活用における本四の取り組みの現状と課題についてですが、平成26年度の作付面積206ha、収量は1、182tと推計しております。また、27年度の作付面積は、26年度より110ha増の316ha、収量は630t増の1、812tと見込んでおります。
 26年度の取り組みについては、経営所得安定対策制度の見直しが25年暮れに示されたことにより、作付調整が間に合わなかったこと、多収性品種の種子の確保が困難であったこと等により、作付面積が少ない状況でありました。27年度の作付にあたっては種子の確保も可能と伺っており、また、国では、受け入れ体制の整備も進んでおりますことから、今後、主食用米以外によ収入確保も重要と考えておりますので、市としてもJAとの連携により飼料用米の作付面積の拡大を推進しながら、稲作農家の所得高じぉゆにつとめてまいりたいと存じます。