2014年12月定例会 会派の討論

 
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 2014年12月議会最終日、市長提案の各議案及び請願に対するに対する日本共産党盛岡市議団の討論を鈴木努議員が行いました。
 日本共産党盛岡市議団を代表し、全議案に賛成の立場から意見を述べます。

 議案第102号 平成26年度盛岡市一般会計補正予算については、今議会に提案された各会計補正予算には、各種の不適切処理事案が含まれています。
 まず、市税、介護保険料及び後期高齢者保険料の還付加算金支払い不足の処理として、一般会計と、国保、介護保険、後期高齢者医療保険の各特別会計の合計で 3,400件分14,012,000円が、所得税の源泉徴収漏れの処理として、一般会計で8291件15,868,449円と水道事業会計で3件86,220円、合わせて8,294件15,954,669円が計上されています。
片や市民に対する支払い不足でミス、片や源泉徴収ミスによって該当する市民の皆さんに対して多大な迷惑をかけることになったことに加え、所得税の源泉徴収漏れに関しては、延滞税と不納付加算税が合計で1,155,400円の市民の税金が投入されることになりました。
 このことについては、真摯に反省し、再発防止となお一層の事務改善に努められるよう、強く求めます。
なお、今議会中に下水道事業において、市側の事務ミスが主な原因となって、平成24年3月1日から入居開始の市営夏間木第一団地の入居者に対して下水道料金が付加されておらず、21世帯に対して過去にさかのぼって合計1,346,535円の支払いを求めるという問題も明らかになりました。住民側には基本的に責めはない問題にもかかわらず、最高で19万6千円も請求するということには納得がいきません。この問題は引き続き議論させていただきますが、少なくとも、責任の所在を明確にしてしかるべき対応をするよう求めます。

 9月定例会に続き、今回も「マイナンバー制度導入」に係る補正予算124万6千円が組まれています。前回、マイナンバー制度の危険な仕組みを指摘し補正予算に反対しましたが、今回は、このことだけをもって補正予算に反対するという立場はとりません。しかし、来年10月からスタートするマイナンバー制度の最大の狙いは、低所得者層に対し、税金や保険料の納入状況に応じて社会保障の利用に制限をかけることにあり、プライバシー侵害にもつながるもので、引き続き、マイナンバー制度は廃止すべきだということを求めるものです。

 来年の4月から、生活困窮者自立支援法がスタートします。生活保護に至らない生活困窮者にしっかりとした支援をすることと合わせて、現在の生活保護制度が後退しないようにしなければなりません。学習支援事業については、同生活困窮者自立支援法の任意事業となり国庫補助が全額補助から2分の1に減らされますが、盛岡市は現在の学習支援相談員3名の配置は維持する旨の答弁でした。新年度においても現体制は維持するよう改めて求めるとともに、今後においては、人員体制や支援内容などさらに充実させるよう求めます。

 議案第119号 盛岡市地域包括支援センターの職員等に係る基準を定める条例については、第6期介護保険事業計画では、1つの日常生活圏域の高齢者人口が、概ね12000人以上の場合に日常生活圏域を分割し、地域包括支援センターを増設。また職員体制についても圏域内の高齢者人口に応じて職員を加配するなど体制強化が図られます。職員の配置については、現在の21人から平成29年には、46人へと倍以上の増員予定となっています。職員の確保がきちんと出来るよう、委託費を増額し、職員の待遇改善を図るなど対策をとるよう求めます。
 このような体制強化が図られることは評価できますが、一方で第6期計画の第一号被保険者の介護保険料の基準月額は6,489円と、第5期の5,245円から1,244円(23.7%)の大幅な値上げを見込んでいます。消費税の増税や物価高など暮らしが大変になっている中で、この値上げ案を聞いた市民の方から悲鳴が上がっています。本会議でも提案したように一般会計からの繰り入れを行うなど、保険料については再考するよう求めます。

 議案第122号盛岡市総合計画の基本構想については、基本構想(案)に示された、将来人口の推計や、財政見通しなどの「盛岡市の主要な将来見通し」、「若者や女性が住みたくなるまち」や「高齢者がいきいきとくらすまち」「人にやさしい安全・安心なまち」をはじめとした「まちづくりを考えるうえで重視する視点」、それらを踏まえた、「目指す将来像」「基本目標」とそれを「達成するための施策」、「まちづくりの目標」など、その内容は了とするものです。
大切なことは、それをどのように実施計画に具体化するかです。そのうえでいくつか意見を述べます。まず、人口減少社会が言われていますが、これは決して自然現象ではないということです。農林業の衰退によって農山村で人々が生きていく基盤を失い、労働の規制緩和によって特に若者と女性の2人に1人が非正規雇用という貧困化が結婚や子どもを産み育てる社会的な基盤を奪い、そして急激な自治体合併が過疎化を加速させてきた・・・これまでの政策の転換が求められています。国全体の課題ではありますが、盛岡市においてもそうした視点に立って施策展開を図ることが必要です。
 また、地方公共団体には住民の命とくらしを守ることが何よりも第一の役割があります。いま盛岡で暮らしている人が本当にいきいき暮らせる街にすること。子ども、高齢者、障がいをお持ちの方々への福祉施策の充実とともに、施策の柱に掲げた「生活困窮者への支援」の具体化で、盛岡におけるセーフティネットの充実を図ること、福祉と防災のまちづくりを大きく進めることを求めます。
 また、産業振興・都市基盤整備などについても、この間の取り組みへのしっかりとした総括の上に立って具体化をしていただくよう求めるものです。産業ではまず、中小企業憲章や、小規模企業振興基本法なども踏まえて地元に、今根を張って頑張っている事業所に対する支援をどう強めるのかという視点で進めるよう求めます。また、盛岡が持つ再生可能エネルギーの可能性を地域資源と位置付けて、その普及を産業振興の柱に結び付けるよう提案するものです。
その他、今後の実施計画の具体化や予算化の過程でしっかりと議論を展開させていただきたいと思います。

 その他の意見として、ごみ処理広域化問題について、県央ブロックごみ処理広域化基本構想(案)は、1施設集約型が経済効率では最も有利と試算していますが、1施設集約型と3施設建替えのLCC(ライフサイクルコスト)を平成70年までとした場合、1施設集約型と3施設建替えでは大きな差がないことが実証され、3施設建替えの試算には循環型社会形成推進交付金が入っていないことも明らかとなりました。
来月開催予定の県央ブロック広域化推進協議会では、1施設集約型が経済効率の面では必ずしも有利とはならないことをあらためて試算を揃え再検討し、盛岡市民にのみ負担が大きい1施設集約型は見直すことを強く求めます。

 請願について意見を述べます。消費税10%への引き上げ中止を求める請願については、今年の4月に消費税が8%へ増税され、日本経済は深刻な危機に陥りました。現在の景気悪化は、まさに「増税不況」にほかなりません。また消費税の増税が被災地の復興の大きな足かせとなっています。10%への増税は「増税不況」を繰り返すだけであり、先送りではなく中止をしていくべきです。
 消費税創設以来26年間で、その税収は282兆円にものぼりますが、ほぼ同じ時期に法人3税は254兆円、所得税・住民税も248兆円も減ってしまいました。不況による税収の落ち込みに加え、大企業、富裕層への減税が繰り返されたからです。消費税は、その穴埋めに消えてしまったのです。「社会保障の財源といえば消費税」「財政健全化といえば消費税」という消費税頼みのやり方では、この失敗を繰り返すだけです。
 税制を見直し、大企業や大資産家に対する応分の負担を求めれば、消費税に頼らなくとも社会保障の充実や財政再建は可能です。よって本請願は採択するべきです。

 米価安定対策等に関する請願については、今年の米価は、25年産米と比べて、「ひとめぼれ」「あきたこまち」など主要4品種平均で15haの大規模稲作農家で約266万円。30haの集落営農組織では、約534万円もの減収になり、政府が鳴り物入りで進めてきた大規模農家ほど影響額が甚大です。
 ナラシ対策などの補てんがあるものの農家全体から見れば圧倒的多数の農家が大変な減収を強いられ再生産が賄えない事態となっています。
 米価暴落が農家の死活問題になっている最大の原因は、安倍内閣がすすめる「米価は市場で決まる」とした農政改革による減反の廃止など米の需給管理を放棄した政府の姿勢にあります。
米価を市場まかせにするのではなく価格と需給に国が責任を持つこと。経営所得安定対策の半減の見直しを止めることなど強く求めて本請願に賛成します。
放射能汚染牧草やホダ木等の焼却処理に関する請願については、排ガス中の放射性セシウムの検出について、環境省基準をクリアーしているものの更なる安全を確保するためにも請願者が自らの責任で測定を希望していることを認めるべきであり、本請願に賛成します。

 岩手県の医療費助成制度について現物給付の導入を求める請願については、県内で子どもの医療費の現物給付化を求める運動が大きく広がり、県においては、現物給付化の導入について県内統一して実施したいという意向が示されました。
 市長会としても現物給付化の実現に向けて統一した意見を出すよう努力していただくこととともに、小学校の通院費についても拡充が図られるよう求め、本請願に賛成します。