2013年6月定例会 髙橋和夫議員の一般質問

 
質問項目 (クリックするとジャンプします)
人格権を尊重した行政運営
高齢者・認知症への対策
接遇マイスターの効果
飲料水問題
林野火災への対応
交通対策について

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 質問  答弁
(髙橋和夫)戦後69年目を迎えるわけですが、戦後の日本を再建したのは正に今の高齢者であります。
そうした中で、高齢者に対する国・県・市など行政の対応はどうでしょうか。

 先ず最初に高齢者問題について質問いたします。

人格権を尊重した行政運営
5月21日、大飯原発3・4号機運転差止請求事件判決がありました。
 この判決は、大飯原発に限らず全ての面で重要なことを示していると思います。
 判決理由の「はじめに」の部分で、「個人の生命、身体、精神及び生活に関する利益は、各人の人格に本質的なものであって、その総体が人格権であるということができる。人格権は憲法上の権利であり(13条、25条)また、人の生命を基礎とするものであるがゆえに、我が国の法制下においてはこれを超える価値を他に見出すことはできない。したがって、人格権とりわけ生命を守り生活を維持するという人格権の根幹部分に対する具体的侵害の恐れがある時は、人格権そのものに基づいて侵害行為の差し止めを請求できることになる。
 人格権は各個人に由来するものであるが、その侵害形態が多数人の人格権を同時に侵害する性質を有する時、その差し止めの要請が強く働くのは理の当然である。」と述べております。

 つまり、人の命を基礎とする「人格権」は憲法上の権利で、日本の法律では「これを超える価値を他に見いだすことができない」と言うことであります。

高齢者・認知症への対策
 この立場から行政を見てみると問題点がかなりあるように見えます。
 一つの例として、5月27日、盛岡市民が京都府右京警察署に保護され、右京警察署の職員により盛岡に移送された問題です。
 先日6月6日の民放テレビで65歳以上の高齢者は3,079万人。そのうち認知症と診断される人が462万人。軽度の認知症が400万人。併せて862万人いると言われます。実に高齢者の4人に1人が程度の差はあれ認知症の傾向があるということになります。しかも2013年度の高齢者の行方不明者数が10,322人と言うことであり、如何に高齢者に対する対応が不十分なのかが分かります。
 これがすべて行政の責任とは申しませんが、行政の対応をさらに進めればこの種の件数は減少するのではないでしょうか。
 全員協議会で今後の対応について説明がありましたが、あれだけでは不十分だということを担当者はわかっている事だと思います。
 国、県に要求することも含め、もっと具体的な認知症対策、一人暮らし高齢者の対策、施設には入れない高齢者の対策など具体的に応策を構築する必要があるのではないでしょうか。具体策は検討されたでしょうか。
 生活保護費減額や高齢者医療の負担増、そして年金減額や消費税増税など高齢者を取り巻く状況はいよいよ厳しくなってきております。

窓口対応~接遇マイスターの効果は
 冒頭に申し上げましたように、人格権の尊重を常に頭に置き行政の運営に当たっていただきたいと思いますが如何でしょうか。
 私の耳にも「行政の窓口対応が悪い」と言う声が聞こえてきております。
 3月議会の市長挨拶で人材育成や窓口サービスの改善を述べられております。各部に接遇マイスターを設置するなどの改善を図るとしておりますが、その効果はどのように表れておりますかお伺いいたします。
(谷藤市長) 髙橋和夫議員のご質問にお答え申し上げます。
  はじめに、人格権を尊重した行政運営についてでありますが、高齢者施策の推進につきましては、高齢者の方が尊厳を保持し、その有する能力に応じて、自立した日常生活を営むことができるよう、常に高齢者の立場に立ち、行政運営に当たってきたところであり、今後におきましても、これらのことを念頭に、市民福祉の向上に取り組んでまいります。


(熊谷保健福祉部長) 認知症の方や、一人暮らし高齢者、施設には入れない高齢者の対策などの具体策ついてでありますが、市といたしましては、認知症の方には「地域ケア会議」や「認知症支援ネットワーク会議」などにおいて、警察や民生委員、医師会、地域包括支援センターなどの関係機関と情報を共有し、連携を図りながら支援を行っているところでありますし、また、一人暮らし高齢者につきましては、シルバーメイト事業やライフライン等の事業者の協力により、地域全体で見守りなどを行っております。
 今後、高齢化がさらに進む中、国においては、団塊の世代が75歳以上になる平成37年度を目途に、高齢者が、できる限り住み慣れた地域で、自分らしく、安全に安心して暮らし続けることができるよう、地域包括ケアシステムの構築を目指しているところであります。
  当市におきましても、高齢者が地域において安心して生活を継続するためには、地域の支え合いによる生活支援サービスの充実が重要であるものと認識しており、今年度策定することとしている、平成27年度から3箇年を計画期間とする「盛岡市高齢者保健福祉計画・第6期介護保険事業計画」に具体的な対策を総合的かつ体系的に盛り込み、高齢者対策の充実を図ってまいりたいと存じます。

(谷藤市長)次に、接遇マイスターの設置などによる改善の効果についてでございますが、窓口サービス向上の取り組みといたしまして、職員接遇セルフチェック、接遇研修、電話応対研修などに加え、昨年11月から接遇マイスター制度を創設いたしました。
 各部から推薦され、接遇マイスターに認定された22人の職員は、職員の接遇研修講師を務めたほか、職場においては接遇に関する指導的な役割を担い、目に見えて市役所全体の接遇意識の向上に効果が表れてきたものと存じております。
  また、継続して行っている窓口利用者アンケートにおきましても、「職員の対応」、「窓口の利便性」、「窓口環境」のいずれも90%以上の市民の方から「良い」または「どちらかと言えば良い」との評価をいただいております。
  今後も、この状況に満足することなく、市民の皆様の声を謙虚に受け止めながら、市民満足度100%を目指してさらなる窓口サービスの向上に努めてまいりたいと存じます。
(髙橋和夫)次に、飲料水問題について質問します。
3月議会で玉山区の上水道水源の上位に位置する場所に、滝沢市が企業誘致して産業廃棄物処理施設を造る問題について質問しました。
 盛岡市水道水源保護条例第2条(4)特定事業では、水質の汚濁の原因となる物質に汚染された水を排出する恐れがある事業活動を行う業種として産業廃棄物処理業(廃棄物の処理及び清掃に関する法律第137号)第14条第1項及び第6項に規定する業を指定しています。
同第22条(水道水源保護区域に隣接する地方公共団体等への要請)では、「市長は水道水源保護区域に隣接する地方公共団体の長、岩手県知事または国に対し、水道水源の保護に関し必要な施策を講ずるよう要請することができる。」とあります。
しかし今回の事例にみられるように、玉山村時代に滝沢村が医療用廃棄物処分場ラジオメディカルセンターを誘致した時と同様に、盛岡市に対して何の予告も通告無かったのではないでしょうか。 きわめて非常識であると考えます。 
 よって、函館市が青森県の大間原発の工事に異議を申し立てたように、盛岡市も滝沢市と施設建設業者に対して工事凍結の訴えを起こすべきではないでしょうか。

 そうでもしなければ滝沢市の反省は望めないと思うし、玉山区民は上水道で多大な迷惑を受ける危険があると考えます。市はどのように対応する考えでしょうか。

 生出地区まちづくりの会では、生出1・生出2・生出3の3自治会から370世帯725名の署名を集め、産廃施設の許認可をする県に対して建設不許可を求める要望書を提出したと聞いておりますが、県の対応はどのようになっているのでしょうか。

 また、玉山村時代に滝沢市後地区に整備した玉山村刈屋簡易水道配水池がありますが、現在はどのように活用されているのかを報告いただきたい。
(谷藤市長) 次に、滝沢市への産業廃棄物処理施設の建設についてですが、これまで滝沢市から盛岡市への説明は、本年2月12日に玉山総合事務所に、2月25日に環境部及び上下水道局に事業内容等について説明がなされたところであります。
  一方、施設建設事業者からは5月15日及び6月11日に盛岡市の関係部署に、こまでの住民説明会で出された要望事項の検討結果を含め詳細な事業計画の説明を受けたところであり、市としては地域住民の不安や不満の払拭に向け、施設計画に対する意見や地域へのていねいな説明を求めたところであります。
 5月20日には半径300メートル以内の住民説明会が開催され、引き続き生出地住民や玉山区自治会連絡協議会への説明会が予定されていると伺っております。
 市といたしましては、今後とも地域住民などの事業に対する理解や不安などの状況を注視しながら適切に対応してまいりたいと考えており、御提案の工事凍結の訴えにつきましては現段階では考えていないところでありますが、県からの廃棄物処理施設設置の事前協議における当市への意見照会においても、地区住民の意見や要望を踏まえ不利益が生じないよう意見を述べてまいりたいと存じます。
 次に、生出地区まちづくりの会から、5月16日に県資源循環推進課へ提出された施設設置の反対署名についてでありますが、県に確認したところ、廃棄物処理施設の設置予定者から事前協議書がまだ提出されていないことから、現段階でのコメントできない状況であると伺っております。


(上下水道部長)玉山村時代に滝沢市後地区に整備した、玉山村刈屋簡易水道配水地の活用についてでありますが、現在は、当市の上水道刈屋浄水場の配水地として、引き続き活用しており、生出地区西側の265世帯、740人に対しまして、水道水を供給しているところでございます。
(髙橋和夫) 三番目の質問は林野火災についてであります。
 4月27日発生した玉山区の林野火災では、市当局の迅速な対応により最小限に食い止められたと考えております。災害対策本部をはじめ消防団、岩手県、隊員を派遣いただいた自衛隊、東北各県からの防災ヘリの出動など御尽力いただいた皆様に玉山区民の一人として感謝するものであります。
 今回の林野火災は被害面積78.35ヘクタール、損害額 1 億5千万円余で、被害の状況は社有林 1 社、私有林45人となっております。
 将来のための植林も必要になってくると考えますが、所有者に状況によっては被害木の搬出や処理が困難な山林所有者もあると思います。
また、植林などに対する助成はあるようですが、個人負担も出てくることから植林に対する対策が他にないものかお伺いいたします。 
 また、今後の対策について、山林の荒廃を防ぐ立場から、山林所有者が共同管理する方法などあるものか伺います。
(伊藤農林部長) 林野火災問題についてですが、今般の被害規模における林野火災への助成制度としては、国・県の補助制度である「環境林整備事業」が該当になります。
 この事業は、被害木の除去、苗木を植えるための整地、人工造林及び造林後の下刈りなどが補助の対象であり、補助率は68%となるものであります。
 復旧にかかる経費につきましては、この補助事業を活用するほか、被害木の利用も含め、森林所有者の負担を軽減できるよう事業メニューを検討し、今後策定する復旧計画に反映してまいりたいと考えております。
 次に、山林の荒廃を防ぐ立場からの今後の対策についてですが、複数の所有者に係る森林を一体的に経営・管理を行う施策として「森林経営計画」を策定する方法があります。
 この「森林経営計画」は、森林組合等が所有者から森林経営の委託を受け、30ha以上の森林区域について一体的に経営を行うものであり、これを策定することにより、策定しない場合に比べ、国・県の補助における対象メニューが増えるとともに、補助率もより高率になるというメリットがあるものです。
 「森林経営計画」の策定には、森林区域の確保や計画的な管理などの条件がありますことから、森林組合等とも連携し、関係する所有者の方々のご意向も踏まえながら、対応してまいりたいと考えております。
(髙橋和夫)最後に交通対策について質問します。
中央公論6月号に元岩手県知事の増田寛也氏と日本創成会議・人口減少問題検討分科会共同執筆の「緊急特集 消滅する市町村523」と題する記事がありました。 この調査によりますと、2010年を基準として2040年に20歳から39歳の女性人口が5割以上減少すると想定される岩手県内の自治体は27市町村。 20歳から39歳までの女性人口が2010年比で5割以上の自治体は盛岡市・滝沢市・紫波町・花巻市・北上市・金ヶ崎町の僅か6自治体だけになると言うことであります。
盛岡市も地域的に見れば限界集落も想定されることから、高齢者に対する対策、それこそ最初に申し上げました山村に暮らす地域住民の「人格権」をどう保障するのか、その対策を急がなければならないと考えます。
その一つに交通対策があります。 3月議会でも質問しましたが、県交通が好摩駅からバスセンターまで運行している路線について、松園営業所での乗り換えなしで運行することや、松園営業所前バス停改修など様々要望があります。

現在は東日本大震災の支援の一環としてバス運行に国の助成があると聞きました
が、それもあと1年余とか聞きます。 国の助成が無くなれば県交通のバス運行は厳しいことになるわけですが、今の段階から地域住民と話し合いをもって次の対策を準備しておかなければならないと思います。
タクシー活用も一つの方法ですが、現状はどうでしょうか。
市民は山間地にも暮らしております。市は過疎地の住民の足をどのような方法で守るのか、今後の対策についてどのような考えを持っているのかについて伺います。
  
(藤田建設部長) 路線バスに対する国の助成が無くなった場合の対策についてですが、玉山区玉山を通る好摩直通線につきましては、従前の補助基準を下回る利用状況でございますが、現在は、東日本大震災による被災地特例により国の助成がなされており、この特例期間につきましては、本年5月20日付けの国からの通知により27年9月まで再延長することになったものでございます。
 被災地特例の再度の延長につきましては、機会をとらえながら関係機関へ働きかけてまいるとともに、利用促進の視点も含め、地域の方々との話し合いを行いながら、直通運行などの地元要望も踏まえ、バス事業者と相談してまいりたいと存じます。
 次に、タクシーの活用についてでございますが、タクシーを活用した乗合のデマンド交通につきましては、他都市の事例によりますと、運営経費等に課題があると考えており、現状での導入は、難しいと存じておりますが、国において策定中の「交通政策基本計画」に基づく補助制度等を中止してまいりたいと存じております。
 次に過疎地の住民の足の確保につきましては、既存のバス路線の維持存続を基本とし、現在、実施している患者輸送バスやスクールバスの活用、また、国の新たな補助制度等も含めて総合的に検討し、地域の特性に応じた交通弱者対策に取り組んでまいりたいと存じます。 以上でございます。