2013年6月定例会 鈴木努議員の一般質問

 
質問項目 (クリックするとジャンプします)
女性センター別館の今後について
 耐震化・代替施設の確保
 保育園園舎の対応は
子ども子育て支援新制度について
  待機児童解消
  発達支援児巡回指導員増員について
学童クラブについて
  待機児童解消
  施設整備、指導員の待遇改善
  保育料軽減
  

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 質問  答弁
(鈴木努)最初に女性センター別館の今後についてお伺いします。女性センター別館の利用団体は、定期利用で48団体、不定期利用の団体が2団体、合計50の団体が利用しており、その利用団体の会員数は、594名となっています。年間の利用人数は、平成22年度で、21346人、23年度で21500人、24年度で21855人となっており、多くの方が利用している施設となっています。

 この女性センター別館を含む肴町分庁舎旧館は、築40年以上が経過しており、平成22年には、耐震診断が実施され、南北方向に揺れた場合の最小Is値が0.373となっており、大規模な地震が発生した場合に、倒壊または、崩壊する危険性があります。市では当初耐震補強工事を実施する予定としておりましたが、具体的な計画については未だ示されていない状況にあります。

 現在の施設は、市内の中心部に位置しており、交通の利便性も高く利用者からも現在の場所での存続を希望する声が上がっていますが、耐震補強についてどのような計画で進めていくのかお知らせください。

 また今年の3月に利用団体に対し女性センター別館の今後の対応について説明がなされたところでありますが、現在の別館の使用が26年度いっぱいとのことで、その後の活動場所について代替施設など早期に確保する必要があると思いますが、どのようにお考えでしょうかお伺いします。

保育園園舎の対応は

 合わせて、女性センター別館がある肴町分庁舎旧館には、保育園もあるわけですが、施設の改修、あるいは移転についてどのような計画をお持ちかお伺いします。
(細川市民部長)女性センター別館の耐震補強についてですが、女性センター別 館及び塗料保育園が入っております肴町分庁舎旧館は、建築後40年以上を経過した建物で、平成22年に耐震診断を実施し、翌年、第三者機関による判定を行いましたところ、南北方向の最小Is値は0.373となり、耐震診断基準のIs値0.6を大幅に下回っていることが判明しました。

 これを受けて、庁内関係課で協議を重ねてまいりました結果、肴町分庁舎旧館の使用を継続するには、耐震補強工事とは別に大規模な改修が必要であるという結論に達しましたことから、昨年度末に女性センター別館利用団体説明会を開催し、耐震診断結果を併せて、来年3月以降は当分の間使用できなくなること、「公共施設保有の最適化と長寿命化のための基本方針」を踏まえると、大規模改修や建て替えは極めて難しい旨のご説明を申し上げました。
 なお、今後は来年度に策定を予定しております「公共施設保有の最適化と長寿命化の計画」において、具体的な方向性を明らかにすることとし、その内容については利用団体をはじめ、市民の皆様にご説明していまいりたいと考えています。

 次に、女性センター別館利用団体の活動場所の代替施設などの早期確保についてでありますが、女性センター別館利用団体は、現在、文化、スポーツなど合わせて50団体あり、代替施設につきましては、公民館、老人福祉センター、児童センター、地区活動センター、サンライフ盛岡などが想定されますが、施設の利用方法、使用料の有無、減免基準等につきまして、8月までに女性センター別館利用団体説明会でお伝えする予定としております。
また、必要があれば、個別にも相談に応じてまいりたいと存じます。

(熊谷保健福祉部長)肴町分庁舎旧館の保育園園舎の改修・移転に関する計画についてでありますが、先の耐震診断結果を受け、これまでに保護者説明会や緊急避難に必要とされる備品の備付などの対策を実施してきたところであります。
現在、肴町分庁舎新館への移転、現有地におけるプレハブ仮園舎の建設、新園舎の建設など複数の計画案について、「園児の安全」を第一に、具体的な事業費の試算や移転可能時期などを比較検討しているところであり、早急に方向性を定めたいと存じております。

(鈴木努)次に子ども子育て支援新制度についてお伺いします。
 来年4月の本格実施に向けて、現在、盛岡市子ども子育て会議等で制度や事業の内容、基準等の検討作業が進められております。

 先に開かれた市議会全員協議会で示された「子ども・子育て支援新制度」における施設・事業等の基準案は、省令で示された国の基準案を基本としながら市の現行の基準や既存施設の運営状況、盛岡市子ども・子育て会議の意見を踏まえて独自の基準設定がなされております。

 認定こども園や事業所内保育において、乳児室の面積を国の基準は1人当たり1.65㎡としているものを現在の市の児童福祉施設の設備及び運営の基準を定める条例と同じ、3.3㎡とすることや家庭的保育事業職員数も乳幼児1人につき家庭的保育者1人、乳幼児2~5人につき家庭的保育者1人に加え家庭的保育者補助1人と国よりも手厚い体制となるなど、全国的に新制度移行により現行の保育の基準の後退が懸念されている中で、市の基準案は、質の高い保育にするための独自の設定が盛り込まれており、評価できるものであります。

 来年度の本格実施に向けて、全国でも優れた基準として、9月の条例案の提案まで更なる検討を望むものであります。
待機児童の解消の問題
 さて、今回、子育て支援制度について基準案が示されたわけでありますが、保育の質の確保と同時に当市でも深刻となっている待機児童の解消の問題について、新制度移行によりどの程度解消されるものでしょうか、待機児童ゼロを目指すための具体的な取り組みついてお伺いいたします。

発達支援巡回指導員の配置について
 過日、教育福祉常任委員会で保育園が抱えている課題について、当市の私立保育園の園長会の方々から御説明をいただきました。その中で、障がい児の受け入れについての説明がなされました。
 年々、発達支援児が増えてきている中で、市内の46ある私立保育園を発達支援児巡回指導員1名が巡回指導しているとのことでありましたが、市内にある市立保育園をわずか一人で指導していくのは厳しいものと考えますが、指導員の養成や増員について早めに対応してく必要がありますが、いかがお考えでしょうか、お伺いします。

学童保育について
 学童保育についてお伺いします。子ども・子育て支援新制度によって、就学前の子どもたちの保育・教育に関わる国の制度が大きく変わることとなりますが、同時に学童保育の国の制度も大きく変わり、市町村も初めて学童保育の基準を条例で制定することになりました。
 学童保育は、共働き・ひとり親家庭等の小学生の放課後の生活を継続的に保障すること、そのことを通じて親の働く権利と家族の生活を守るという目的・役割を持つ事業・施設であり、児童福祉法に位置づけられている児童福祉事業です。
 児童福祉法では、共働き・ひとり親家庭などの小学生に「適切な遊び及び生活の場を与えて、その健全な育成を図る事業」であり、「健全な遊びを与えて、その健康を増進し、又は情操をゆたかにすることを目的とする施設」という児童館とは異なり、学童保育は毎日の生活を保障する施設です。
 実際に、2012年の全国の学童保育の調査でも学童保育で子どもたちが過ごしている時間は、年間1681時間にも及び小学校にいる時間1221時間より460時間も長い状況になっており多くの時間を学童で過ごしていることになります。
 このように多くの時間を過ごす学童保育だからこそ、学童に通い安全に、安心して生活を送ることで保護者は安心して働くことが出来ます。指導員の方との信頼関係や子供同士の豊かな関係の中で、学童保育は子どもたちにとって「安全で安心して生活できる居場所」となっています。
 学童保育は、保育園と同じようになくてはならない施設となっています。しかしながら施設や職員など、安心して学童保育が利用できるために必要な条件整備が全国的にみても大変遅れている状況にあります。

 学童の待機児童対策
 第一には、施設数の問題があります。2013年5月現在で、学童保育の数が全国では、21635か所となっており、約80万人の子どもたちが入所しています。この10年間で、施設数は7838か所増えており、利用児童数も約35万人増えている状況にあります。このような中で、学童保育が必要なのに利用できる施設がなく、利用したくても利用できない「潜在的な待機児童」の数が40万人以上いるといわれています。さらに今度の新制度では、学童保育の対象が6年生まで拡充されることにより、潜在的待機者はさらに増えることが予想されます。当市においては、現在35か所の学童保育クラブが運営されておりますが、この待機児童についてどのように把握されているのでしょうかお伺いします。








施設・運営基準確保への支援強化について
 今回示された、当市における放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準では、施設面積で1人当たり、1.65㎡、一施設当たり概ね40人以下で、基準を満たしていない学童保育クラブについては、経過措置を設けることとしております。面積については、トイレ、調理室を除いた専用室としての広さではありますが、それでも狭く感じるわけであります。この施設面積については広げていく必要があると思いますが、いかがでしょうかお伺いします。また現在当市には35施設の学童保育クラブがあり、40人を超える施設が18施設となっております。経過措置があるにしてもいずれ、分割をしながら基準を満たしていく必要があります。

 学童保育クラブの施設について、これまで当市では、学童を運営する際の家賃補助や学校の余裕教室を活用するなどの取り組みがなされています。これまでの取り組みについては評価するものですが、新たに施設を建設する、あるいは施設を探していくうえでの市の支援は弱かったように思いますが、分割を進めていくためには新たな施設を建設する際など支援を強めていく必要がありますが、どのようにお考えでしょうか、お伺いします。特に盛南地域では、人口が急激に増え余裕教室もなく、空き家もなかなか見つからない状況あり、これまでの市の対応では、なかなか分割が難しい地域もあります。このような地域における支援策についてどのようにお考えでしょうか、お伺いします。

指導員の労働環境・待遇改善について
 
 第二には、直接的に子どもたちの安全な生活を保障する仕事である学童保育指導員の労働環境、待遇の問題があります。子ども・子育て支援新制度の仕組みでは、学童保育の指導員の処遇改善を図ることが盛り込まれています。これまで学童保育の予算は、運営費と施設整備秘儀があり、運営費は主に指導員の人件費として計上されていました。これは、一日6時間勤務の非常勤配置を前提として国からの補助金は指導員一人当たり、150万程度となっています。しかし、新しい制度では、フルタイム勤務の常勤配置をする場合は国からの補助金も大幅に引き上げることが検討されています。具体的には、国の新制度の中では、450万円に引き上げることが検討されています。ただし、この補助金については、国が3分の1、都道府県負担分が3分の1、そして市町村負担分が3分の1となっており、市が負担分をだし、国に補助金の申請を行っていく必要があります。申請がなければ補助がもらえなくなってしまうわけでありますが、国の財政措置が受けられるよう市としても対応していく必要がありますが、いかがでしょうか、お伺いします。

保育事業緊急確保事業の活用を

 指導員の待遇改善に関連し、内閣府が、厚生労働省の学童保育予算とは別に、子ども・子育て支援新制度の先行的な実施として「保育事業緊急確保事業」を予算計上しました。国費ベースで総額1043億円となっています。その内、「放課後児童クラブの充実」として、国費ベースで51億4800万円が計上され、一施設あたりの補助単価は156万円となっています。

 「子ども・子育て支援新制度」の「附則」は、「学童保育指導員の待遇の改善を図る所要の措置を講ずること」となっており、開所時間を延長することによって常勤の指導員が必要になってくることから、18時30分以降も開設している学童保育に、指導員の処遇改善のための補助金を出すもので、指導員の賃金増などの処遇改善のためだけに使うものとなっています。

 当市においては、18時30分以降児童を預かる学童施設が35施設中34の施設となっており、ほぼすべての施設がこの「保育緊急確保事業」の対象となりますが、当市においてもこの事業の活用をしてくべきでありますが、いかがお考えでしょうか、お伺いします。

 施設や指導員の待遇の問題など課題が山積しているわけでありますが、その背景には、これまで国の学童保育クラブが児童福祉法に位置づけられ、法制化されたものの国の制度に大きな問題点があったからであります。具体的には、公的責任があいまいで、市町村には学童保育の「利用促進」への努力義務だけしかなかったこと。児童福祉施設でなく児童福祉事業という位置づけのため法的最低基準が決められてこなかったこと。予算措置があいまいで学童保育に対する補助金があいまいでその補助金も大変少ない。など貧しい条件整備のもと運営を強いられてきた経緯があります。

 新制度では、市の学童保育の実施責任を強化し、基準についても明確化されるわけでありますが、現在市が行っている学童保育クラブの実態調査を基に事業計画については量的、そして質的な面で拡充が図られるよう取り組んでいただきたいわけでありますが、具体的にどのように取り組まれるのか、お知らせ願います。

学童保育料軽減について

 共働きの家庭等において、子どもが保育園から小学校へ上がる際、子どもの放課後の預け先が見つからず、女性が仕事を辞めざるを得なくなるまたは経済的理由により学童保育に子どもを預けることをあきらめてしまう、いわゆる「小1の壁」という言葉がありますが、当市においても、ひとり親家庭や生活保護を受給している方など子どもが保育所に通っていた時には、保育料の軽減制度があり、保育園にも通うことが出来たが、保育料が高いために学童への入所を断念しなくてはならない事態が起きているとお聞きしますが、このような実態について市では把握されているのでしょうか。また現状の学童保育の運営から見ても、独自に保育料を軽減するようなことは困難であると思いますが、学童保育クラブの保育料も保育所の保育料のように軽減制度を設けるなど対策をとっていく必要があると思いますが、いかがでしょうか、お伺いします。
(谷藤市長)待機児童の解消についてですが、市内の私立幼稚園においては、施設に余裕が生じている園がありますことから、これらを待機児童の多くを占めている3歳未満児を受け入れる施設として活用すれば、待機児童の解消に効果があるものと考えております。
現在、私立幼稚園へ「認定こども園」への移行について、積極的な働きかけを行っており、一部の幼稚園におきましてはご理解いただき、具体化に向けて検討していただいているところであります。
また、現在使用されておらず、地域型保育事業に利活用できる建物の状況の調査など、様々な可能性を模索しており、認定こども園への移行と合わせ、待機児童の解消に向けて取り組んでいるところであります。
 今後もこれまで行ってきた「認可保育所の定員拡大」や「入所円滑化による定員の弾力化」にも引き続き取り組み、来年4月の「待機児童解消」を目指したいと考えております。


















(熊谷保健福祉部長)発達支援児巡回指導員についてでありますが、現在、私立保育所の巡回指導員は2人で、うち1人は公立保育所と兼務しており、私立保育所全園を巡回することが難しい状況であると、私立保育所関係者から伺っております。
 巡回指導による発達障害児への早期発見や支援児の特性に応じた保育・支援への助言は、障がいの改善に効果が大きいことから、盛岡市保育所育成協議会から、指導員の確保について要望もあり、市としてどのような協力ができるか、同協議会と協議してまいりたいと存じます。


(谷藤市長)学童クラブの分割等に対する支援についてですが、条例で定めようとしている基準を満たさないクラブに対し、経過措置を設ける予定としておりますが、放課後児童クラブの質の向上を図る観点から、基準に合致するよう市の支援が必要であると認識しております。
このようなことからも、人口が急増している地域のクラブを含め、登録児童数が多いクラブから支援を含めたご要望などをお聞きするとともに、クラブの実態を把握し、どのような支援をすることが有効か考えてまいります。
また、施設建設に係る国の補助が社会福祉法人に限られていることから、必要に応じて対象を拡大するよう、全国市長会を通じて国に要望することも検討してまいりたいと存じます。
次に、「保育緊急確保事業」の活用についてでありますが、当該事業は、放課後児童クラブの充実につながるものであると考えておりますし、盛岡市社会福祉審議会において、「学童保育指導員の待遇改善が早急に必要である」とのご意見をいただいたことからも、活用について検討してまいりたいと存じます。


 












(熊谷保健福祉部長)学童保育クラブの待機児童についてでありますが、クラブに登録できなかった児童は平成26年5月1日現在、40人となっており、昨年より12人増えております。
 待機児童が多いクラブの主な地区は、河南地区や盛南地区、都南地区となっておりますし、ここ5年間でクラブ数が増えているにも関わらず、登録できない児童数も増えている状況であります。
 次に、学童保育クラブの施設面積についてでありますが、既存のクラブにおいては、基準を下回る施設もありますことから、全てのクラブがこの基準を満たすための支援策を講じることが第一と考えており、現段階で面積基準の引き上げは考えておりません。
 次に学童保育指導員の処遇改善の補助金についてでありますが、平成22年10月に開催された子ども・子育て新システムに係る基本制度ワーキングチームにおいて、指導員の常勤化による補助金300万円の引き上げについて議論された経緯がありますが、国が確認したところ、現段階では、そのような検討は行われていないとのことでありました。

 次に支援事業計画における学童保育クラブの量的・質的拡充の取り組みについてでありますが、クラブの実態を把握するとともに、ご要望等を伺いながら必要な支援策を検討することとしております。
 特にも、新たに定めようとする基準を満たしていないクラブへの支援策を優先的に検討し、児童が安全・快適に過ごすことができる環境づくりや健全な施設運営が図れるよう、支援事業計画に支援策を盛り込みたいと考えております。
 次に、学童保育の保育料が高いため入所を断念している実態についてでありますが、各クラブへの実態調査の際に、そのような事例があるかについても確認してまいります。








































 次に学童クラブの保育料を軽減することについてでありますが、市は事業委託する際に国の基準額に市単独の補助金を加算しているほか、学校の余裕教室の活用や私有財産の無償貸し付けなどを行うことにより、保護者の方々の負担軽減をはかっております。 
 現状においては、ひとり親家庭や低所得者世帯等に対する軽減制度は設けておりませんが、各クラブの実態をお聴きし、市としてどのような対応策を講じることができるか、他都市の状況も調査しながら検討してまいります。