2013年6月定例会 鈴木礼子議員の一般質問

 
質問項目 (クリックするとジャンプします)
「医療・介護総合法案」について
  法案への見解
  要支援の介護保険外しについて
  特養入所の制限(介護度3以上)
  介護保険料の減免について

農業行政について
 日豪EPA TPP交渉について
 「農政改革」について
 
農山村再生エネルギー発電について

子育て支援について
  人口減少と子育て支援
  女性と青年の雇用環境
  保育料軽減について

敬老バスの運行について

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 質問  答弁
1、介護の社会化に逆行する「医療・介護総合法案」について

(鈴木礼子)消費税増税が国民・市民生活に重くのしかかっている中、大規模な給付減と負担増をねらいとした「医療・介護総合法案」(以下「総合法案」)が5月15日の衆議院本会議で全野党の反対を押し切って自民・公明の強行採決により可決され、現在、参議院での審議が大詰めを迎えています。

 この法案は、多くの高齢者を介護サービスの対象者から外し入院患者の追い出しを更に強化する大改悪法案となっており、とても容認できるものではありません。
介護保険制度は、14年前に「家族介護から社会で支える介護へ」とのスローガンを掲げて導入されましたが、実際には介護度に応じてサービス内容や支給額が制限されスタート時から「保険あって介護なし」と言われてきました。その後、負担増やサービス取り上げなどが繰り返され「介護保険だけでは在宅生活が維持できない」という実態が拡がっています。

 また、低所得層を中心に利用料の負担が重くのしかかり、サービス抑制や生活苦の要因になるなど、年間10万人もの「介護離職者」や15年間で550件を超える介護心中や殺人などの悲惨な事件が起き深刻な社会問題になっています。

 誰もが安心して高齢期を暮らせる制度の拡充を望んでいるのに、「総合法案」はその願いとは逆に「介護の社会化」の理念を放棄し「介護の自己責任化」をより強化する内容になっているのではないでしょうか。あらためて、市長の「医療・介護総合法案」に対するご見解をお聞かせください。

 要支援1・2の介護保険外しについて
 具体的には、2015年4月実施予定で要支援者の訪問介護・通所介護(ディ―サービス)を削減・打ちきり、事業を市町村に丸投げをするということです。

 要介護認定で「要支援」と認定されたはずの人が「非該当」となり保険対象外の人と同じ扱いにされ、介護保険の枠外に追い出されることになります。
 要支援者は、その多くが何らかの疾病や障害をかかえ、定期的な訪問介護、通所介護サービスを必要とし利用することで在宅生活を続けているわけで、サービスの縮小・打ち切りは在宅生活を困難にし、かえって要介護度の悪化や家族の介護負担の重くのしかかるのではないでしょうか。

 この点で熊谷保健福祉部長は、3月定例会での神部議員の質問に対して「既存サービス相当のサービスが引き続き利用可能であること。訪問介護も予防給付対応で利用でき重度化への予防は対応できる」との回答です。

 要支援者1・2の方で訪問介護や通所介護サービスを受けておられる方はどのくらいでしょうか。(24年3月時の認定者は、要支援1が1250人、要支援2は1200人)
要支援者は、非該当として保険対象外の人と同じ扱いとなり地域支援事業として対応することになれば、全体として「サービスは薄く、負担は厚く」ということになりはしないでしょうか。受け皿はどうなりますか。言うところの「既存サービス相当のサービスが可能」とする具体的な対策についてお示しください。






特別養護老人ホームの入所制限について

 第二は、特別養護老人ホーム(特養ホーム)の機能の重点化と称して入所対象を原則要介護3以上に限定し、要介護1・2を事実上排除するという点です。
 当市の特養ホーム待機者は、25年3月末で全体で1279人、うち在宅での待機者は 365人にのぼっています。これら待機者のうち要介護1・2の方は255人、うち在宅での待機者は132人です。

 熊谷保健福祉部長はやむを得ない事情の人は(知的障がい・精神障がいなど)入所が可能と答えられましたが、少なくとも急を要する在宅での待機者132人は今回の見直しでは入所をあきらめなければならないということになります。今後、市はこれらの方たちにどのような対応をされるのか(措置)、伺います。

 見直しの第三は、利用者の負担増です。制度発足以来1割負担だった介護保険に初めて2割負担の導入が明記されました。2015年8月実施予定で一定以上の所得者の利用料を2割負担にし、同様に「補足給付」の見直しで低所得者を施設から締め出しかねない内容となっています。
 負担増の対象者は、単身・年金収入のみで280万円以上 (所得160万円以上) の層で、高齢者全体の2割を占めるとされており、どうみても「一部の高所得者」とは言い難い人たちではないでしょうか。医療の窓口負担増や年金削減とあいまって、必要なサービスの利用抑制につながることは必至です。
 また、「補足給付」は、2005年に導入された施設入所の際の食費・居住費の全額自己負担制度により低所得者を施設から排除しないよう救済措置としてつくられたものです。
 高齢者の貧困化が深刻になる中で「補足給付」は拡充こそすれ制度の後退はとんでもないことです。当市の措置状況と見直しによる影響についてお知らせください。
要介護認定で「要支援」と認定された人たちは介護サービスが必要とされ、それを受ける権利があると行政が認めた方たちです。その方たちに「介護保険からの卒業」を強要することは重大な権利の侵害になるのではありませんか。

 地方議会からの意義申し立て意見書が210に及び「介護の社会化に逆行し制度の理念を否定するも同然」「理念を壊しかねない制度の変更」という痛烈な批判と法案の撤回を求めています。市長としても国に対して「撤回」を求めるべきではありませんか。ご所見をお聞かせ下さい。
 
介護保険料の減免について
過日、私のところに60代後半の女性の方から介護保険料が高すぎて払い切れないとの相談が寄せられました。伺いますと年金収入が、年額572、328円とアパート家賃収入340,733円の合計913、061円に対して、介護保険料が第5段階の年額72、400円ということです。34万円の家賃収入があるために課税世帯となり、生活実態から見て高い保険料が設定されています。このようなケースが他にもあるのではありませんか。保険料の減免が求められておりますが、検討できないのでしょうか。
介護保険制度は、制度開始時から指摘され改善が叫ばれて久しい「給付費が増えれば保険料に跳ね返る仕組み」のため、当市でも保険料の基準額は第1期の3、031円から5期の5、345円と1・5倍強の大幅な増額となっています。
 介護保険給付の増がそのまま保険料に跳ね返るしくみの改善や国の補助金の増額を求めることは当然ですが、市としても収入が少なく生活が恒常的に困窮している方の保険料を減免する制度が求められているのではないでしょうか。対応について伺います。
(谷藤市長) 鈴木礼子議員のご質問にお答えします。
 はじめに、「医療・介護総合法案」に対する私の見解についてでありますが、この法案は、地域において効率的で質の高い医療提供体制を構築するとともに、地域包括ケアシステムを構築することを通じ、必要な医療及び介護の総合的な確保を推進することを目的としているもので、いわゆる「団塊の世代」が後期高齢者となる平成37年を展望した時、持続可能な社会保障制度の確立を図る上で、重要な法案であるものと認識しております。
継ぎ、国対して法案の撤回を求めるべきではないかについてでありますが、今回の「医療・介護総合法案」による介護保険法改正案では、サービスの提供体制に置きました、在宅医療、介護の連携や認知症施策の推進などが図られるとされております。また、特別養護老人ホームの新規入所者を原則として要介護3以上とすることなどにより重点化・効率化が図られることとされております。
 また、費用負担におきましては、低所得者の保険料の軽減を拡充するとともに、保険料の上昇をできる限り抑えるため、所得や試算のある方の利用者負担を見直すこことされております。
 私といたしましては、法改正により、費用負担の面などにおいて市民生活にある程度の影響が生じますが、現下の課題である認知症施策の推進が図られるなど、高齢化が急速に進む中、高齢者が住みなれた地域で生活を継続するために必要な対応が可能となるものであることや、介護保険制度の持続可能性を確保するものとなっていること、法案化の過程において全国市長会の要望についても配慮されていることなどを総合的に勘案し、おおむね理解できる内容と存じております。





(熊谷保健福祉部長) 要支援1・2の方で訪問介護や通所サービスを利用している方の人数についてでありますが、平成26年4月における利用者数は、訪問介護サービスは552人、通所サービスは918人となっております。

 次に、要支援者へのサービスを地域支援事業として対応する場合に「サービスは薄く、負担は厚く」ならないか、についてでありますが、訪問介護等のサービスにつきましては、介護事業所による従来と同じサービスもあれば、住民が担い手として積極的に参加する組織まで、多様な主体による多様なサービスの提供が可能になるものであり、事業行後におきましても、ケアマネジメントに基づき、専門職によるサービスを必要とする場合には専門職が、それ以外の場合にはボランティア等がサービスを提供することになりますから、サービスの低下は生じないものと考えておりますし、そのような運用となるよう対応して参ります。
 また、負担につきましては、国では、地域支援事業に移行するサービスの利用料は、要介護者の利用負担割合を下回らないしくみとすることが必要としており、国の介護要望・日常生活支援総合事業に関する指針が示されておらず、不透明な部分もありますが、市といたしましては、負担増とならないよう対応したいと考えております。
 次に、受けービスを皿についてでありますが、介護事業所以外にも、NPO、民間企業、住民ボランティアなど、多様な事業受胎による多様なサービスを充実していく必要がありますことから、NPOなどの新たな担い手の確保にとりくんでまいりたいと存じます。
 次に、「既存サービス相当のサービスが可能」とする具体的な対策についてでありますが、地域支援事業に移行後も、要支援者の状態像を踏まえ、ケアマネジメントに基づくサービスを提供することにより、既存サービス相当のサービスの利用が可能となるものでと存じております。


 次に、特別養護老人ホームの待機者のうち、要介護1・2で在宅の方への対応についてでありますが、やむを得ない事情により、特別養護老人ホーム以外での生活が著しく困難であると認められる場合は、特別養護老人ホームの入所が可能とされています。ご本人の状況により入所できなかった場合におきましても、他の高齢者施設への入所や、在宅で生活する場合の訪問サービスや通所サービスなどの利用について、きめ細やかな相談に応じるとともに、情報の提供に努めてまいりたいと存じます。
 次に、補足給付の措置状況と見直しによる影響についてでありますが、平成26年4月における補足給付の利用者数は、特別養護老人h-無で808人、介護老人保健施設で532人、介護療養医療型施設で96人、短期入所サービスで440人の合計1,876人となっております。
 また、見直しによる影響については、現時点では、補足給付の利用者の預貯金等の情報を把握できないことから、お示しすることができかねますので、ご了承願います。

































 次に、生活実態から見て高い保険料が設定されている事例とその場合の減免についてでありますが、年金収入が少ないにもかかわらず、少額の家賃収入があるために市民税が課税となり、第5段階の保険料が設定されている事例は把握については、一人ずつ確定申告書等の内容を確認する必要がありますことから、把握が難しいのでご了承願います。
 また、減免については、市町村が単独で低所得者に対して保険料の減免を行う場合において、減免要件を住民税非課税とすることを国が例示しいており、市といたしましても、市民税非課税であることを要件としているところであり、要件を緩和することは、困難であると考えております。
 次に、収入が少なく生活が困窮している方の保険料を減免する制度についてでありますが、第5期介護保険事業において、所得の低い方の負担軽減を図るため、保険料段階について、市の判断により特例第3段階や第4段階を設け、軽減を図ってきたところであります。現在、国が示している介護保険制度改正案では、所得が低い高齢者の保険料軽減の拡充も掲げておりますことから、市としても、これらのことを踏まえ、第6期計画の策定の中で、対応してまいりたいと存じます。
2 農業行政について

(1)日豪EPA交渉大筋合意による市畜産農業への影響とTPP交渉への対応につい


(鈴木礼子) 4月7日、農産物輸出大国のオーストラリアとの経済連携協定(日豪EPA)交渉で牛肉の関税を段階的に半減する大筋合意しましたが、特に影響が心配されるのが牛肉です。
現状で38・5%の関税を、冷凍については18年かけて19・5%まで(1年目に8%さげ)、冷蔵については15年かけて23・5%(1年目に6%下げ)に下げるというもので、低価格帯の国産ホルスタイン牛肉はもとより国産和牛も消費の減退が心配されます。
市長のEPA交渉合意に対しての所見と当市における畜産・酪農家への影響及び対策についてお知らせください。
また、国に対しては、生産者が意欲を持って経営が持続できるよう、国の責任で振興施策の充実強化が図られるよう緊急要請を行うべきではありませんか。
日豪EPAは、2006年にTPPと同様に「重要品目は除外」とする国会決議を上げていたにもかかわらず、政府は「国会決議を守るギリギリの線を確保した」と開き直っていますが、これらの経緯からTPP交渉も「国会決議をないがしろにし、強行しかねないのでは」との懸念が拡がっています。
4月24日の日米首脳会議でのTPPにむけた日米間の協議が「大筋合意」には至らなかったものの、会談後の日米共同声明には「前進あるもののTPPの妥結にはまだなされるべき作業が残されている」と明記され、引き続きTPP交渉を推進することには変わりがありませんでした。
今回の交渉の焦点は、日本に対しては安全基準の緩和やアメリカ車の輸入目標設定、牛肉・豚肉・乳製品の関税引き下げが要求されたことです。これに対して日本の姿勢は、「関税を4分の1以下の1キログラム100前後まで引き下げる譲歩案を検討中」と日本経済新聞が報道しているように、すでに重要5品目を守るとした国会決議に違反することは明らかで容認できるものではありません。
重大な譲歩を繰り返す政府に対して「公約・国会決議を守れ」との運動が全国的に大きく展開されています。重大な局面を迎えている中で農業、食の安全、暮らしを守るために市長としても交渉からの撤退を強く求めるべきと思いますが、いかがですか。ご所見をお聞かせ下さい。
(谷藤市長)次に、「日豪EPA交渉合意」についてですが、本年4月7日の日豪EPA交渉の大筋合意は、オーストラリア産の牛肉の関税率を段階的に引き下げることで合意したということで、畜産農家や関係団体は大きな衝撃を受けたところであり、牛肉市場や消費にどのような影響を及ぼすのか懸念しているとことであります。

 国は、この合意を受け「今後、国内市場や畜産農家などへの影響を見がら、生産力強化などの畜産振興策を打ち出す」としておりますことから、市といたしましては、国の振興策を有効に活用するとともに、畜産農家への影響の緩和策について、国に、求めてまいりたいと存じます。
 
 次に、「TPP交渉からの撤退を強く求めるべき」についてですが、本年4月の日米首脳会談の共同声明によりますと、TPP交渉妥結に作業が残されていることを確認したほか、重要な課題の道筋を特定したと報道されております。なお、今後も実務者協議が開かれると報道されておりますことから、その動向に注視して参りたいと存じます。
 市といたしましては、これまでと同様に岩手県市長会等を通じまして、TPP参加にあたっては、著しい影響を受けかねない農林水産業や、東日本震災から復旧・復興に取り組んでいる被災地など、地方への影響を踏まえ、国民に対する積極的な情報提供と明確な説明を行うとともに、国益を損なうことがないよう慎重な対応を引き続き国にもとめてまいりたいと存じます。


(伊藤農林部長)ERA交渉合意により、当市における畜産・酪農家への影響及び対策についてですが、平成26年2月現在の、当市の牛の飼養農家数及び頭数は、旧盛岡市で81戸、538頭、玉山区で277戸、4101頭が飼育されており、うち、肥育農家は、旧盛岡市で2戸38頭、玉山区で8戸276頭となっております。
畜産農家への影響額につきましては、現時点では、具体的な試算はおこなっておりませんが、輸入が増えることにより、いわて牛など価格や需給にも影響することが懸念されるところであります。
こうした影響への対策ですが、国では、現行制度の「肉用牛肥育経営安定特別対策事業」肉用講師生産補給制度」などの活用の他、畜産農家や意欲を持って経営を維持できるよう、「影響緩和策について来年度予算に向けて検証を進める」としておりますことから、当市といたしましては、その動向について中止して参りたいと存じます。
次に、国に対する緊急要請につきましては、これまでも、TPP交渉に関し、生産者が意欲を持って経営が持続できるよう、また、国の責任において振興施策の充実強化が図られるよう要請してきたところであり、EPA交渉についても、同様に、岩手県市長会等を通じて要請してまいりたいと存じます。
(2)「農政改革」の問題点と影響について

(鈴木礼子)今月14日、政府の規制改革会議の農業ワーキンググループがまとめた意見書では①農業委員会制度の実質解体にまで踏み込んだ農業委員会の公選制の廃止 ②株式会社の農地所有自由化への道 ③農業協同組合の事実上の解体という3点の改革案を打ち出しました。
これらは、農業関係者の声より政府の産業競争力会議などで示され財界代表の意向を受け極めて性急に行われたもので、農業委員の公選制を廃止し市町村長の選任(任命)にすること。同時に全国・都道府県の組織の廃止。農業委員会がもつ建議業務や農地の売買・貸借の許認可を奪うなど農業委員会制度が重大な岐路に立たされています。
市は、7月6日投票で農業委員の選挙を予定していますが、農業委員会はご存知のように公職選挙法に準じて農業者から選ばれた委員と選任委員をもって構成された「農家の代表機関」「農民の議会」とも呼ばれている組織で、教育委員会や選挙管理委員会と同様に地方自治法に基づく行政委員会であることです。
農水省が監修した「農業委員会の解説」は「農民の真の声を政治・経済・社会に反映させ、農業の立場に立ってその利益を主張し、養護し、これ伸長させることは、単に、農業および農民のためだけではなく、広くわが国発展のために極めて重要・・農業委員会はこの使命達成のため設けられた」と述べているように、農業委員会の役割は、今日こそますます必要になっているのではありませんか。いかがですか。
私も、議会選出の農業委員として5年目になりますが、農業委員は、TPP問題などで地域農業の先行きが見えない中、困難を抱えながらも遊休地の解消や担い手の確保などに懸命に取り組み、地域農業と農地を守ることに意欲を持って任務にあたっています。
それが、農業の担い手の多様化、農地利用の複雑化などを理由に,今日の状況に合わなくなったとして抜本的な検討に乗り出すというのですから、到底、容認できるものではありません。
農業者、関係者を無視した一方的な対応に、全国農業会議所は「農村現場で一生懸命活動する農業委員の役割をなんら評価せず、解体だけを意図するもの。農業・農村の現場から著しくかい離した内容」と厳しく指摘する声明を発表しています。
農業委員会制度の廃止を許さず、農業委員会の性格を維持し、日常の運営でも「農民の代表」としての性格を強めることこそが重要になっているのではありませんか。
加えて、農協のあり方についても、信用・共済事業と経済事業の分離など、日本の財界が一貫して迫ってきた課題もこの際とばかりに推し進めようとしています。いずれも、農民による共同や自治を否定し、農地、農業・農村に「もうけ」を優先する企業倫理を持ち込むようなやり方は農村の崩壊につながりかねない危機的な対応です。これらについてご所見をお聞かせ下さい。
 
 (伊藤農林部長)次に、農業委員会の役割についてですが、農業委員会は、「農業委員会等に関する法律」により、市町村長から独立した行政委員会として市町村に設置され、これまで、農業、農村の発展と農業者の経営確立、さらに社会・経済の発展に貢献されてきたものと存じております。
また、区には、本年4月から、全国共通の課題であります「従事者の高齢化」や「担い手不足」「耕作放棄地の増加」等の解決のために、担い手への農地利用の集積・集約の加速化と、農業・農村の有する多面的機能の維持・発揮を推進するとした「農地中間管理事業」や「日本型直接支払制度」などの新たな農業政策を打ち出しました。
このたな農業政策に取り組むに当たり、農業者の代表帰還として、地域に密着し、農地の利用調整や農地集積などの活動を展開し、地域農業の振興や持続的発展に寄与するという農業委員会の役割は、今後も需要であるものと存じております。
次に、農協のあり方についてですが、農業協同組合は、農業協同組合法に定められているとおり、農業生産力の増進と農業者の経済的・社会的地位の向上を図ることを目的としており、今日の農業・農村の発展に大いに貢献してきたものと存じております。
農協の在り方をめぐる議論を進めるにあたっては、農業の生産増大や地域活性化、農業者の所得向上を第一義的に考え、農業者に混乱と、不安を招かないよう、また、現場の意見も十分に反映されたものとなるよう、引き続き国等の動向を注視してまいりたいと存じます。
 3 農山村の再生エネルギー発電について

(鈴木礼子)昨年、「農山漁村再生可能エネルギー法」が制定され、農山村への地産地消のエネルギーづくりの取り組みが期待されています。
固定価格買取制度のスタートにより、メーカーや商社、不動産会社など技術力、資本力、土地を持つ企業によるメガソーラー発電、メガ風力発電の建設が相次いでいますが、同時にエネルギー資源や土地の豊富な農村に熱い視線が送られていることも確かです。
「農山漁村再生可能エネルギー法」により、農業者や地域が主体となった地域資源を活かす取り組みとそれによって生じる利益が地元に還元できるシステムの構築となるのかどうか問われていますが、これへの対応と今後の取り組みについてお知らせ下さい。
 
(伊藤農林部長)次に、「農山漁村再生可能エネルギー法」への対応と今後の取り組みについてですが、この法律は、農産漁村において農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生エネルギー電気の発電を促進するための措置を講ずることにより、農産漁村の多様化に資するための制度として、本年5月16日に施行されたとこであります。
 同法では、農山漁村に存在する土地、水やバイオマス等の資源を活用し、農林業との調和を図りながら、再生可能エネルギー発電に利用することにより、売電収益の地域への還元や再生エネルギー電気の地域利用等を通じ、農産漁村の所得高上等による地域活性化に結びつけることを目的としております。
 このような取組は、農山村の活性化や所得向上に向けて有効な施策の一つと考えられ、市としましても、エネルギーの地産地消という観点から、この制度を活用した農山村地域における再生可能エネルギー発電導入の可能性を探って参りたいと存じております。

 4 子育て支援につい

(1)人口減少社会と少子化対策

(鈴木礼子)過日、非常にショッキングな新聞報道に眼を疑いました。有識者でつくる日本創生会議の人口減少問題検討分科会が、将来推計人口を基に現在のペースで人口流出が続くと、子どもを産む中心世代である20代から30代の女性人口が2040年には半減する自治体が出現し、仮に出生率が増えても人口の維持、自治体機能の維持が困難になるというのです。
 
 いわゆる限界集落の自治体版ということでしょうか、日本創生会議は、これらの自治体を「消滅可能性都市」と定義し、全国896自治体中49・6%の自治体が該当し、本県15町村を含む523自治体が30年後には人口1万人を切り消滅の可能性がより高いと分析しているのです。
日本創生会議は、将来人口の予測が地域の危機的な状況にあることを若年女性の減少という視点でよりリアルにすることで、国、地方が対応を考える機会になればとし、少子化対策はもっと早く手を打つべきだったとも述べています。




(2)青年・女性の雇用環境改善
 これらの人口予測から、安心して子どもを生み育てられる環境づくりはもとより若い人たちが地元での生活を継続できる雇用の確保や雇用条件の改善など雇用問題としての側面がかなり大きいのではないのかと受け止めました。
 先頃、岩手県立病院が行った看護師採用募集に対して、初めて応募者数が採用者数に満たない事態だったとの報道でしたが、都会の魅力もさることながら、若い人が安心して地元で就職できる雇用環境と待遇改善など急務となっているのではないでしょうか。

 特に、青年・女性の雇用環境は極めて劣悪な状態に置かれており、人口問題の側面からも市の積極的・具体的な対策が求められていると思いますが、いかがですか。
日本創生会議が示した分析についての市長のご所見と今後の人口減少・流出について市の対応策についてお示し下さい。

 国・地方を上げて人口減少時代を予測し少子化対策に向けた取組みが行われております。市は、子育て支援施策を最重点施策として位置付けていますが、この間、指摘してきたように市民の評価はあまりかんばしくありません。ご承知のように子育て支援で市民要望が最も多いのは経済的な支援です。今年度から小学生医療助成事業が入院費のみですが小学校卒業まで拡充した努力は評価しますが、人口減少を見すえ、子育てしやすい環境づくりという立場からいっても早急に通院も含めた制度に拡充すべきではありませんか、いかがですか。









(3)保育料軽減について
 女性の社会参加の増加や昨今の経済状況などを反映して共働き世帯が常態化している中で、子育て世帯にとって保育料の軽減策が切実な要望となっています。当市の保育料軽減率33・27%は、全県14市中、下から3番目で県内ではまだまだ努力の余地が残されている対応です。ちなみに軽減率の高い順位から八幡平市の58・0%。大船渡市56・4%、遠野市52・3%、二戸市51・9%、陸前高田市50%と続いています。(数値は24年度分)
保育料の軽減は、子育て支援施策の重要な柱として先進地の例を参考にしつつ拡充すべきではありませんか。また、来年4月実施の子ども子育て支援新制度では認可の私立保育所の保育料は現行通りの対応となりますが、直接契約となる認定こども園や小規模保育所では保育料の上乗せ徴収も可能となっています。
 子どもに格差を持ち込まないとの立場から全ての保育所保育料が、現行保育所と同様の対応にすべきと考えますが、対応についてお知らせください。
(谷藤市長)次に、日本創生会議の人口分析に対する私お所見についてでありますが、公表された内容を見ますと、2040年の人口推計において、全国の市区町村のうち、約半数の896市町村が、20歳から39歳の女性が5割以上減少し、将来消滅する可能性を指摘しており、衝撃的な内容となっております。
また、本市の場合においても、43・5%減少するとの結果が示されております。
私といたしましては、日本創生会議の指摘は、将来、そのようにならないための警鐘であり、各自治体においては、人口減少や人口構成の変化に対応するための施策と、人口減少を最小限にとどめるための施策を見通しをもって進めていくことが求められているものと受け止めております。


(東堂市長公室長)今後の人口減少、流出についての市の対応策についてでありますが、人口減少、人口流出については、本市の若者が職を求め首都圏等へ転出していることや、出生率低下の要因として、子育て負担に感じていること、未婚化、晩婚化などが背景としてあるものと存じております。
市といたしましても、人口減少の観点を踏まえ、子育て支援や教育環境の充実、若者の雇用の場の創出、若者や女性が住みたいと思えるまちづくりなど、各施策を総合的に進める必要があるものと存じております。


(村井商工観光部長)青年・女性の雇用環境に対する市の対策についてですが、これまでも岩手労働局、県などと連携して県内商工団体、経営者団体等に対しまして、雇用の維持や安定的な雇用の確保、新規学卒者の採用枠の確保、職場における女性の活躍推進等について要請を行ってきているところであります。また、地場企業支援、新事業創出、企業誘致など様々な産業振興施策を展開することにより、雇用の創出を図るとともに、求職者に対しましては、きめ細かな就業支援に取り組んできたところでございます。
 今後におきましては、一定の労務管理の体制が整備されていることなどの条件を満たした企業を「若者応援企業」として、また、子育てしやすい雇用環境の整備に関する行動計画を策定した企業を「子育てサポート企業」として各労働局が認定する制度がございますので、こうした制度の認定を受けた企業を「もりおか就職面接会」などでPRするとともに、盛岡商工会議所等を通じ、市内企業に周知を図って参りたいと存じます。
いずれにいたしましても、雇用の場の創出と雇用環境の改善にむけ、今後とも、岩手労働局や盛岡公共職業安定所、県など関係機関と緊密に連携を図り、若者、女性が地元で活躍できるよう、とりくんでまいりたいと存じます。

(細川市民部長)小学生医療費給付事業を通院まで拡充すべきではないかについてですが、今年度創設いたしました入院を対象とした小学生医療費給付事業につきましては、小学校等の協力をいただきながら制度の周知を図って参りました結果、お陰様で順調に手続きが行われている状況にあります。
通院まで対象を拡大することにつきましては、継続的に多額の経費を要することから現段階では大変難しいものと考えているところでございますが、みんなで支える子育て支援施策を推進する観点も踏まえ、この新たな制度を十分に活用いただきながら、引き続き検討して参りたいと存じます。


(熊谷保健福祉部長) 次に、保育料の軽減率の拡充についてでありますが、市の軽減率につきましては、平成24年度決算では県内14市中11番目でありますが、中核市で比較すると平成23年度決算見込み時点で42市中15番目となっております。
 市は、これまでも、逐次、軽減率の拡充を図ってきたところでありますが、子育て支援施策を推進する上で、現行軽減率の維持を基本としながら、限られた予算をどのように配分することが有効かの観点から、検討して参りたいと存じます。
 次に、全ての保育所保育料を現行保育所と同様にするべきとのことについてでありますが、新制度において認定こども園などで上乗せ徴収を行う場合には、市町村の同意が不要になる代わり、保護者への事前説明と同意を得ることが必要となります。
 このようなことから、市としたしましては、保護者に対し核施設の情報提供をするとともに、入所施設の希望を聞いた上で、利用調整を行うなどし、保護者が望まない負担を強いられることがないよう、対応して参りたいと存じます。
5 敬老バスの運行について
 (鈴木礼子)先頃開催された盛岡市議会報告会で、市の敬老バス運行が年2回利用できたのに突然1回に減られたが、理由を説明してほしいとの質問が寄せられました。また、松園地区の老人クラブの方からは「総会でクラブの年間計画を決めたあとに、敬老バスの利用回数が1回しか利用できない旨の連絡が入った。会員が楽しみにしているのにさりとて多額の自己負担というわけにも行かず苦慮している。市は高齢者の社会参加を促進するというが文書1枚での通知のみで対応があまりにも不親切」という主旨の訴えです。
 今年度当初予算の事務・事業の予算説明書には敬老バス運行事業として敬老バス3台の委託費950万4千円が計上されていますが、予算審査でも運行回数を減らす件については一切の説明もなかったと記憶しています。
 敬老バスの運行を減らす計画が、いつどのような理由で決められ各老人クラブに通知されたのか。通知文書には消費税の増額や燃油の高騰が理由とされているようですが、予算が不足するからと即事業の縮小ではあまりにも対応がお粗末ではないでしょうか。
市民参画を言いながら、その実、市民の顔が見えない市政の在り方が問われているのではありませんか。即刻もとにもどすよう今後の対応についてお示しください。  
(熊谷保健福祉部長)敬老バスの利用回数の減についてでありますが、市といたしましては、例年並みの運行回数を確保すべく、予算の制約がある中で努力を致しましたが、燃料費の高騰などの理由により、結果として例年並みの運行回数を確保できなかったところであります。
 入札の結果を受けて、やむを得ず、老人クラブの利用回数を年2回までから年1回とし、平成26年4月28日に各老人クラブの会長に通知したところであります。
 その後、市や盛岡市老人クラブ連合会に、多くの老人クラブから「年2回の利用」の要望が寄せられ、市において、検討を行い、利用回数を年2回までとすることとし、6月10日に利用回数を1回としたものを2回とする旨の通知を、老人クラブ会長に送付したところであります。
 系統バス運行事業は、老人クラブからのニーズが高く、各クラブの活性化などにも、つながるものでありますことから、老人クラブの期待に応えられるよう努めてまいりたいと存じます。