2014年6月定例会 神部伸也議員の一般質問

 
質問項目 (クリックするとジャンプします)
雇用問題について
  残業代ゼロについて
  労働者派遣法改悪について
  ブラックバイト根絶対策
  指定管理者制度と非正規雇用
  
再生可能エネルギー普及について
 福井判決について
  地球温暖化対策について

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 質問  答弁
雇用問題について

(神部伸也) まず、はじめに、安倍政権が進める労働法制の改悪の問題についてお伺いします。

残業代ゼロについて
 安倍政権は、「派遣は一時的・臨時的業務に限定する」「常用代替は禁止する」という労働者派遣法の大原則を投げ捨てる大改悪をすすめ、労働者に「生涯ハケン」を押し付けようとしています。さらには、労働基準法で定められた「1日8時間、週40時間」と定められている労働時間の上限を取り払い、残業代をゼロにし、「サービス残業」の合法化を進めようとしています。これでは、ブラック企業を根絶するどころか、国がお墨付きを与えるようなものではないでしょうか。「過労死」を促進するような暴挙は絶対に許されません。

 6月11日に政府は、「残業代ゼロ」制度について、対象者を「少なくとも年収1千万円以上」に限定するとの方針を打ち出し、「職務範囲が明確」「高度な職業能力を持つ」という条件も付けるということでした。労働基準法第32条では「使用者は、労働者に、休息時間を除き1週間について40時間を超えて労働させてはならない」「各日については、労働者に、休息時間を除き1日について8時間を超えてはならない」と定め、労働基準法第37条で、使用者が労働組合との協定などで労働時間を延長したり、休日に労働させたりした場合には、割増賃金を支払わなければならないと定めているのです。対象になる労働者を限定すると言っても、労働にかかわる大原則をいったん崩せば、いずれは対象が拡大されていくことが目に見えているのではないでしょうか。さらには、経団連の榊原会長は、「少なくとも全労働者の10%程度は適用を受けられるようにすべきだ」と求めており、また、財界の中からは、事務職や営業職などにも適用対象を広げよとの声も上がっています。いったん導入されれば対象が広げられることが必至ではないでしょうか。今月末にまとめられる「成長戦略」に、「残業代ゼロ」の制度見直しが盛り込まれるとのことですが、「過労死促進」つながるものであり、国に対してやめるよう求めるべきです。市長のご所見をお伺いします。

派遣法改悪について
 また、派遣法改悪については、「低賃金や低処遇のまま派遣労働の拡大につながりかねない」「正規雇用が減少し、非正規雇用が大幅に拡大する」など、197の議会から改悪反対の意見書が出ています。しかも、昨年の12月以降に可決されたものが193議会に上っており、派遣法改悪反対の声が急速に広がっています。都道府県では、岩手県を含む9道県議会、政令市では大阪市、浜松市、堺市などで可決されています。市長はどのように受け止めますか。市長として、派遣法改悪の中止を求めるべきと思いますが、ご所見をお伺いします。
(谷藤市長)はじめに、「残業代ゼロ」の制度見直しを国に対してやめるよう求めるべきではについてですが、現在、議論されている、いわゆる「ホワイトカラー・エグゼンプション」制度は、長時間労働を誘発するそれがあるものの、一方で勤務時間を事故の裁量で決定し、業務を計画的かつ効率的に行うことにより、長期休暇の取得が可能となることや、仕事と家庭の両立がしやすくなるといったメリットもあるものと認識しております。

 私といたしましては、政府の「産業競争力会議」において、対象となる職種、収入基準等を含め制度の在り方を検討しているところであり、その動向を注視してまいりたいと存じており、国民が納得できるよう、議論を深めていただきたいと考えております。




























 次に、労働者派遣法の改正に対する地方議会での意見書が可決されていることについての所見ですが、現在、国会で審議されているこの改正案に対しては、特定労働者派遣事業と一般労働者派遣事業の区別を廃止することや、全ての業務に共通する派遣労働者個人単位の期間限定を設けること、また、派遣労働者の均衡待遇の確保等を行おうとするものとなっています。

 この改正案に対し、安定的な雇用が脅かされることが危惧されることや、いわゆる「ブラック企業」への実効性のある対策を講ずることなどを旨とする意見書が岩手県議会をはじめ、複数の地方議会において可決されているところであり、雇用の安定に向け、それぞれの議会におきまして判断されたことと存じております。

 次に、労働者派遣法改正についての所見についてですが、労働者が希望する雇用形態のもと、安心して働くことができる労働環境を整えていくことが大切であると存じており、国会の場において議論を深めていただきたいと考えております。
(神部伸也) 次に、「ブラック企業」続き問題となっている「ブラックバイト」についてお伺いします。
 
 この間、若者を使い捨てる「ブラック企業」が大きな社会問題となってきましたが、今度は、学生アルバイトに「ブラックバイト」が深刻な問題となっているとのことです。学生アルバイトなどに、正社員並みの過度な責任やノルマを課して、違法・脱法な働き方を強いる悪質なバイトが広がり、マスコミでも取り上げられています。バイトと学業が両立できず、留年や大学中退に追い込まれる深刻なケースまであり、ブラックバイトは、学生生活と大学教育の障害となっているとのことです。

 ブラックバイトが広がった要因の一つは、非正規雇用が拡大し、かつては正社員が行っていた仕事を非正規労働者に肩代わりさせる働きが進んだことです。大手チェーン店などでは、一つの店舗に正社員が一人か、あるいは正社員が複数の店舗を掛け持ちしている例が珍しくなく、そうしたところでは、学生バイトが「バイトリーダー」や「時間帯責任者」などの役職名をつけられて、シフト管理・調整、新人育成など正社員並みの仕事と責任を負わされている事例が報告されています。もう一つは、多くの学生がバイトからの収入を途絶えさせることができない状態にあるということです。親からの仕送りに頼ることもできず、奨学金に頼ることもできず、多くの学生が、学生生活を維持するためには、バイト先に不満があっても辞められないのが実情です。

 盛岡市には、岩手大学や医大をはじめ、専門学校など多数の教育機関があります。また、近隣自治体の大学や短大に通う生徒も多くおります。こうした「ブラックバイト」の問題は、決してどこかの問題ではないと思います。
「ブラックバイト」に対するご所見と、盛岡市の実態についてどのようにとらえているのかお伺いします。もし、実態を把握されていないのであれば、県や大学等と連携して実態把握・調査を行い、対策を講じるべきと考えますがいかがでしょうか。

 ブラックバイトは、学生の社会経験の未熟さや労働法・雇用のルールへの知識の乏しさにつけこんだ違法・脱法行為です。日本共産党は、6月2日に政策提言「ブラックバイトから学生生活を守ろう」を発表しました。学生バイトにもすべての労働法が適用されること、大学としてもブラックバイトから学生を守る取り組みを進めること、根本的な高学費、貧弱な奨学金制度、ブラックな働かせ方の横行などの問題を解決することを呼びかけています。
北海道議会では、日本共産党の道議がこの間ブラック企業問題で質問して、今年の5月には北海道として初めて、アルバイトで働く学生向けのリーフレットを作成し、ホームページに掲載し、大学や専修学校に配布したとのことでした。盛岡市としても県などと連携して取り組むべきと思いますがご所見をお伺いします。また、学生の相談窓口が必要と考えますがいかがでしょうか。ブラックバイトは、地域経済と地域社会にかかわる問題です。商工団体等にも働きかけて、「ブラックバイト」根絶の取り組みを進めるべきと思いますが、ご所見をお伺いします。
(村井商工観光部長)ブラックバイトの所見についてですが、いわゆるブラックバイトは、学生の意向に関係なく、一方的なシフトを組んだり、低賃金で正社員並みの仕事を任されるなど、学生の本分である学業に支障が生ずるようなアルバイトのことで、アルバイトと学業を両立できない事態が生じているのであれば、社会的問題になるのではないかと存じております。

 次に、盛岡市の実態についてですが、岩手大学、岩手県立大学では、学生へのアルバイトの紹介は、大学生協が行っており、それぞれの生協にお聞きしましたところ、アルバイトでの賃金未払いや労働条件等のトラブルなどが生じた場合は、学生が大学生協へ申し出ることになっており、これまでにブラックバイトと思われることに起因する相談は受けていないとのことでございます。
また、岩手労働局においても、盛岡市内はもとより、岩手県内でブラックバイトに関する相談は受けていないとのことでございました。

 次に、アルバイトで働く学生に対し、県などと連携して取り組むべきとのことについてですが、それぞれの大学生協では、学生に対し、アルバイトの留意点を周知しており、授業に差し支える時間帯の業務や危険を伴う職種に従事してはならないことなどを指導しているとのことであり、また、求人する企業に対しましても、同様に業種等の制限を行っていると伺っており市といたしましても、大学関係者との会議等におきまして、ブラックバイトについての注意を学生に促すようお願いしてまいりたいと存じます。

次に、学生相談窓口についてですが、大学におきましては、アルバイトを紹介している大学生協をはじめ、学生支援課等で相談窓口が開設されておりますほか、「ジョブカフェいわて」1階にございます「新卒応援ハローワーク」におきましても、相談窓口を開設しておりますので、市にブラックバイトと思われる相談があった場合、こうした窓口を紹介してまいりたいと存じます。

 次に、ブラックバイトの根絶のための取組についてですが、岩手県内において相談等の事案がこれまで無い状況にありますが、労働局とも連携のうえ、首都圏等などでの状況を商工会議所等へお伝えしてまいりたいと存じます。
 (神部伸也)現在、盛岡市で行っている指定管理者制度、そして保育園全園民営化による退職者不補充など、青年の雇用の場を狭めていると思います。指定管理では、過日、河南公民館で行われた議会報告会でも指摘がありましたが、盛岡劇場の職員の雇用期間が6か月、長くて1年。5回まで更新で一番長くても5年。お芝居がわかるようになるまで7,8年もかかるのに、半年・1年でさようならでは情熱をかけて仕事をするという意識が薄れてくるのではないかと。私は、細切れ雇用は止めるべきだとの指摘だと受け止めました。また、保育士さんの半数が非正規と言われています。特にひどいのが臨時です。1年間働いたら1か月期間を開けなければならないとのことで、収入も不安定になります。こうした、盛岡市が不安定雇用を生み出す要因をつくっていることについては、是正が必要と考えますが、今後どのように考えているのかお伺いいたします。

(東藤市長公室長)指定管理者制度が不安定雇用を生み出す要因となっているとの御指摘についてでありますが、指定管理者制度につきましては、「多様な主体が参画するまちづくり」の一環として、その活用を推進しているところであり、制度の導入に当たりましては、公の施設の管理運営において、サービスの安定性、継続性が確保できるか、費用対効果が期待できるか等の観点から導入の可否を判断しているものであります。
また、制度の運用に当たりましては、公募による場合、原則として市内に事務所又は事業所を有することを要件とする等の見直しにより、地域の雇用の創出や、地域住民との協働の推進につながっているものと考えており、今後におきましても、適正な人員配置や労働条件の確保に努めるよう指定管理者に対して求めてまいりたいと存じます。

(柴田総務部長)臨時職員など、市が不安定雇用の要因を作っており、是正が必要ではないかについてでありますが、臨時職員の任用は、事務等の補助や定型的な業務で必要な場合や、業務の繁忙期、職員が育児休業及び病気休暇等で一時的に欠員が生じた場合など、地方公務員法の規定により正規の試験によらずに、期間を限定して行っているものであります。
特に、保育士におきましては、延長保育などへの対応として、職員で不足する勤務時間等を補完する形で臨時職員を任用するなど、多様な保育サービスの充実に努めているところでございます。
また、臨時職員の任用期間につきましては、地方公務員法の規定により、合わせて1年を超えない期間で更新できるものですが、再度の更新はできないとされているところでございます。
なお、市では、臨時職員の任用について、職を求める多くの市民の方々の要望に応え、広く雇用の場を提供するため、1年の任用期間を満了した後は、一定期間を経過した後でないと再度の任用はできない取扱いとしておりますが、資格や経験を必要とするなど、確保が難しい職や特別な事情がある場合は、その期間を短縮するなど、業務に支障のないよう柔軟に対応しているところであります。
また、市では臨時職員の賃金を、職種や職務に応じて、常勤の一般職員の給料表を基準にすることや、休暇制度の充実を図るなど、安心して働ける職場環境作りに努めているところであります。
今後におきましても、必要に応じて様々な任用形態の職も確保することで、地域における雇用の場の確保に一定の役割を果たすとともに、適切な行政サービスの提供に努めてまいりたいと存じます。
再生可能エネルギーの普及促進について
 
(神部伸也) 時事通信の5月の世論調査では、国内の原発について「徐々に減らし、将来的にはなくすべきだ」との回答が49.3%と国民のほぼ半数の声となりました。「なるべく早くなくすべきだ」24.7%、「直ちになくすべきだ」10.3%と合わせると、「原発ゼロ」を求める声は84.3%に上り、大勢となっています。政府は、4月に、原発を「重要なベースロード電源」と位置付けたエネルギー基本計画を策定しましたが、「重要な電源として活用を続けるべきだ」との回答は12.7%にすぎませんでした。このことについて、どのように受け止めるか、ご所見をお伺いします。

福井地裁判決について

 政府が国民の願いに反して原発再稼働を進めようとしている下で、5月21日に福井地裁は、関西電力大飯原発3,4号機の再稼働差し止めを命じるという画期的な判決を下しました。2011年の福島原発事故後、原発の運転差し止めを命じた判決は初めてです。そして、この判決には4つの意義があります。一つは、人格権が最優先だということです。判決では、「人格権は憲法上の権利であり、わが国の法制下ではこれを超える価値を他に見出すことはできない。生命を守り生活を維持するという人格件の根幹部分に対する具体的侵害のおそれがあるときは、人格権そのものに基づいて侵害行為の差し止めを請求できる」と断じています。第二は、原発が本質的に危険だということです。判決文は「原発技術の危険性の本質およびそのもたらす被害の大きさは、福島原発事故を通じて十分に明らかになった。原発では、いったん発生した事故は時の経過に従って拡大していくという性質を持つ。このことは、運転停止によって被害拡大の要因の多くが除去される(他の技術と)異なる原発に内在する本質的な危険だ」と述べています。第三は、安全神話を断罪していることです。「この地震大国日本で、基準地震動を超える地震が大飯原発に到達しないというのは、根拠のない楽観的見通しにしかすぎない。その上、基準地震動に満たない地震によっても冷却機能喪失による重大な事故が生じ得るというのであれば、そこでの危険という領域をはるかに超える現実的で切迫した危険と評価できる。このような施設のあり方は、原発が有する本質的な危険性についてあまりにも楽観的と言わざるを得ない」と指摘しています。第四は、コスト優先を拒否していることです。「被告は原発の稼働が電力供給の安定性、コストの低減につながると主張するが、当裁判所は、極めて多数の人の生存そのものに関わる権利と電気代の高い低いの問題とを並べて論じるような議論に加わったり、その議論の当否を判断すること自体、法的には許されないと考えている。このコストの問題に関連して国富の流出や喪失の議論があるが、たとえ原発の運転停止によって多額の貿易赤字が出るとしても、これを国富の流出や喪失というべきではなく、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失であると当裁判所は考えている」と述べています。

 この判決は、福島原発事故後の3年間を見据え、全国各地の世論と運動を反映したものだと思います。福井地裁判決に対するご所見をお伺いします。私は、「豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻すことができなくなることが国富の喪失である」という部分にとても感動しました。わずかでも危険性があるのであれば除去する、それは住民の生命と財産を守るという市長の使命につながるのではないですか。改めて、エネルギー基本計画の撤回を国に求めるとともに、「原発ゼロ」社会に向けて尽力下さいますようお願いするものですが、ご所見をお伺いいたします。


 脱原発・原発ゼロからの再生可能エネルギーの取り組みは重要となっていますが、地球温暖化の観点からも本当に急がれる取り組みとなっています。4月1日の岩手日報の記事で、「温暖化で紛争の恐れ 『食糧安保』深刻に」という見出しで掲載されていました。3月31日に、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が横浜市で新報告書を発表したとのことですが、その報告書によれば、20世紀末と比べて気温が2度上がると、熱帯や温帯地域で穀物の生産が減ると予測される。3度以上では、南極やグリーンランドの氷床融解による海面上昇の危険性が高まる。グリーンランドの氷床が解けた場合、千年かけて7メートルの海面上昇を招くとされる。4度以上では、世界的な食料安全保障に大きな影響を与える可能性があるとのことです。いまの温暖化が進行すれば、生態系など自然界に異変が生じるだけでなく、これまであまり認識されてこなかった紛争リスクの増加など、人間社会の安全保障面にまで悪影響が及ぶことが強調されました。IPCCが昨年発表した別の報告書では、今のペースで温室効果ガス排出量が増えると今世紀末の平均気温が最大5・4度(20世紀末比4・8度)上がると予測しています。

地球温暖化対策実行計画の到達

 IPCCのパチャウリ議長は「気候変動の影響は世界各地で表れており、誰一人として影響を受けない人はいない。今後、影響によって何が起きるかは、社会がどれだけ備え、温室効果ガスの排出を削減できるかにかかっている」と述べたそうです。私は、大変重く受け止めなければならないと改めて感じました。日本は今でも食料自給率が低いのに、今後TPPでどうなるか分かりませんが、いずれお金を出せば他国から食料が買えるというのは、ますます困難になるのではないかと危惧をしています。市の認識をお伺いします。また、現在、盛岡市は、地球温暖化対策実行計画を策定し推進しているところですが、改めて目標と現在の到達点についてお知らせいただきたいと思います。また、再生可能エネルギーの設置導入状況についてお知らせください。

 さて、過日、NPO法人自然エネルギーを広める岩手の会主催のシンポジウムに参加してきました。昨年度まで県立大学に立っていた茅野恒秀信州大准教授のお話になるほどと思いました。再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度によって、私たち一般住民は電気料金に上乗せされて支払いをしています。メガソーラー事業などで収益を上げる企業の、この収益の原資は私たち市民が支払ったお金です。一方で、県内でメガソーラーに取り組む企業のうち、出力ベースでは62%は県外企業が占める現状とのことでした。茅野准教授は、「再生可能エネルギーの資源は本来的に地域社会の存する資源」と述べ、便益が全て地域に分配されるものと指摘しています。市内のメガソーラーの実態はどうですか。参考として、市民出資を募って太陽光発電を行い、配当として地域内のみで使える商品券を出資者に還元するような取り組みを紹介しました。市としても、何か後押しして、再生可能エネルギーの普及としては一番取り組みやすい太陽光発電の普及促進策を図るべきと考えますが、検討してみてはいかがでしょうか。

 また、4月に盛岡市中央卸売市場へのメガソーラーの設置が完了し開所式が行われました。年間の予想売電料は5300万円。経費を除くと利益は年間約945万円、20年で約1億9千万円を見込んでいるとのことでした。今後に期待をしたいと思います。
北上市では、さらに大規模なメガソーラー発電所が開所しました。20年間で約20億円の売電を見込むとのことで、北上市は売電益や国庫補助を活用して、市内各地で多彩な再生可能エネルギーの活用をすすめると報じられています。ぜひ、負けない取り組みをしていただきたいと思いますが、ご所見をお伺いいたします。
 
(谷藤市長)関西電力大飯原発3・4号機運転差し止めを命じた福井地方裁判所の判決に対する所見ですが、地震大国日本では想定以上の地震が到来する危険があり、想定以下であっても原発の安全性が保てないこと等が指摘され、人格権そのものに基づき司法判断として運転差し止めの判決がでたものと存じております。
関西電力は判決の翌日に控訴したと報道されておりますことから、その動向については、今後とも注視してまいりたいと存じます。

 次に、エネルギー基本計画の撤回を国に求めること及び「原発ゼロ」社会を進めることについてですが、国が平成26年4月11日に公表した「エネルギー基本計画」では、「原子力発電は優れた安定供給性と効率性を有しており、運転コストが低廉で変動も少なく温室効果ガスの排出もないことから、安全性の確保を大前提に、エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要な『ベースロード電源』と位置付け、いかなる事情よりも安全性をすべてに優先させ、世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた場合には、原子力発電所の再稼働を進める」としております。

 また、再生可能エネルギーについては、温室効果ガスの排出のない有望かつ多様な国産エネルギー源とし、3年程度、導入を最大限加速することとし、その後も積極的に推進するとしております。
 
 原発の再稼働については経済・産業界から要望する声がある一方、原発をなくすべきという意見も多くあることは承知しており、地球環境の保全及び国民の安全・安心の確保と、産業活動の発展を前提に、効率的・安定的な電力供給の確保を図るために、国民的議論を尽くし、必要な措置を講じるべきものと存じております。

 当市といたしましては、省エネルギーの促進や再生可能エネルギーの普及拡大に努め、低炭素社会を実現し、地球環境の保全に貢献してまいりたいと存じます。


(中川環境部長)はじめに国内の原発についての世論調査結果に対する所見についてですが、大手新聞社などの世論調査結果も、時事通信社と同様の結果でありますことから、東日本大震災に伴う東京電力福島原発事故が影響し、原発再稼働に対する反対や、原発をやめるといった意見が多くなっているものと考えております。



























 次に、地球温暖化の影響についての認識ですが、一般的に気候変動、海面上昇をはじめ様々な影響があるものと認識しております。市としましては、地球温暖化対策実行計画で取り組んでおります省エネルギー、再生可能エネルギー設備導入を促進することで、温室効果ガスの削減を図るほか、食糧問題をはじめ、自然生態系の保全、健全な水循環の確保などの対応が必要になるものと存じます。















 次に、地球温暖化対策実行計画の目標と現在の到達点についてですが、平成32年度における温室効果ガス排出量を平成2年度比で7%削減を目標としておりますが、平成22年度は16%の増加となっております。

 次に、再生可能エネルギーの設置導入状況ですが、メガソーラー発電については、平成25年4月に発電開始した最大出力1.8メガワットのソーラーガーデン姫神、平成26年4月に発電開始した最大出力1.6メガワットの中央卸売市場がありますほか、民間企業が設置した2施設が盛岡市内にはございます。

 公共施設へのソーラー発電設備設置については、平成25年度までに小中学校を中心とした15施設に導入しております。また、東北電力株式会社盛岡営業所によりますと、盛岡市内の住宅用太陽光発電設置件数は、平成26年5月末現在で3,532件でございます。なお、当市の住宅用太陽光発電システム設置費補助件数は、平成23年度は19件、平成24年度は242件、平成25年度は372件となっております。

 また、木質バイオマスの利用としては、ペレットストーブを平成25年度までに、保育所を中心に25台導入しておりますほか、薪焚き急騰ボイラー、ペレット暖房ボイラーを区界高原少年自然の家に、チップボイラーをユートランド姫神に、薪ストーブを外山森林公園、薮川地区農村交流センターにそれぞれ1台導入しております。
小水力発電につきましては、米内浄水場に10Wの小型の発電機を2基導入しております。

 次に、再生可能エネルギーの普及促進に対する取組みについてですが、住宅用太陽光発電システム設置費補助事業、生出地域エコタウン事業、エコアス広場などでの環境学習講座の開催、エコライフイベントや市内全域で開催するごみ減量資源再利用懇談会での周知啓発などを実施しておりますが、さらに、普及促進に努めてまいります。
 
 また、平成26年5月1日に「農林漁業の健全な発展と調和のとれた再生可能エネルギー電気の発電の促進に関する法律」が施行されたことに伴い、農地における再生可能エネルギーの促進を検討するため、関係部署とワーキンググループを設置したところでございます。

 次に、北上市の取組みについての所見でありますが、北上市では非常時の避難所の電源確保を行い、災害に強い街を構築することを目的に、メガソーラーの整備、庁舎等への蓄電池、電気自動車、急速充電器を設置するほか、電源の最適制御システムを導入する「スマートコミュニティ事業」に取り組んでいるものと承知しておりますが、北上市のほかにも様々な先進的な事例がございますので、情報収集に努め、研究してまいりたいと存じます。