2014年3月定例会 3月当初議案・請願に対する会派の討論

 
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 2014年3月26日最終日、平成26年度一般会計他当初予算案をはじめとした市長提出の当初議案、及び請願に対す日本共産党盛岡市議団の討論を神部伸也議員が行いました。
(神部伸也) 
日本共産党市議団を代表して意見を述べます。
議題となっている市長提出議案30件のうち、議案第1号から第3号まで、議案第7号、議案第8号、議案第12号から第14号まで、議案第17号から議案第20号までの12件については反対し、その他の18件については賛成します。

新年度予算案では、私たちがこの間求め続けてきた乳幼児医療費助成の対象年齢の拡大について、入院費のみですが小学校卒業まで対象年齢が拡大されました。このことは大いに評価するとともに、今後の通院費も含めた対象拡大を期待します。また、玉山区のみが対象となっていた要介護高齢者短期入所事業が盛岡市内全域に拡大されました。小規模災害見舞金の支給額が引き上げられました。市立病院の院内保育所へ運営補助も行われます。これらについても評価を致します。

しかし一方で、新年度予算案は、消費税が5%から8%へ増税されることを前提に予算組みがされています。3%の増税によって、一般会計では、前年度比で約7億7千万円増の影響、特別会計では約4億200万円増、水道事業会計では約7千万円増、下水道事業会計では約5千万円増、病院事業会計では約4千400万円増に加え、損税は約4千200万円の負担増が見込まれています。また、一般会計の歳入を見ると、地方消費税交付金が前年度比で2億7,816万2千円増加するものの、歳出を性質別で見ると、物件費5億256万3千円の増、維持補修費2,193万円増と、大部分が消費税増税の影響となっています。普通建設事業費も国体関連事業で予算規模としては対前年度比で大幅に増加していますが、当然ながら消費税増税の影響を受けています。
4月からの消費税増税によって、国民全体では8兆円にも上る大増税になります。さらに年金削減など社会保障の負担増や給付減を合わせれば10兆円にも上る文字通り史上空前の負担増となります。消費税増税が強行されるなら、国民の暮らしと中小零細企業の経営に計り知れない深刻な打撃をもたらします。さらには、景気後退を招き、経済も財政も悪化させることは、1997年の消費税率を3%から5%へ引き上げた時に既に経験済みの事実となっているではないですか。政府は、景気冷え込み対策として5兆4千億円の新たな経済対策を実施するといいますが、その中身は、復興特別法人税の1年前倒しの廃止や社会保障切り捨ての本格化、新規の大型開発で3,000億円以上の投資、1,200億円の軍事費の計上など、大企業だけが潤い、中小企業や国民には負担を押し付けるものばかりです。そして、低所得者や子育て世代には1回限りの給付金がでるだけです。消費税増税による負担増は、これからずっと続くのです。消費税増税は強行すべきではありません。
消費税法など法律によって、課税は避けられないかもしれません。しかし、料金改定などによって市民負担を抑える努力をすべきではなかったのではないか。例えば、水道事業会計においては、当年度純利益は、近年でも23年度は約5億3千万円、24年度は約7億3千万円、25年度見込みは約7億5,300万円となっています。当年度分損益勘定留保資金も平成23年度は約36億9,900万円、24年度は約45億円、25年度は52億8,300万円となる見込みで、市民に還元する体力は十分あります。水道料金とともに、その他の分野においても、市民負担の軽減を図るよう対策を求めます。以上のことから、消費税増税による使用料・手数料引き上げの関連議案には全て反対します。

第2の問題は、引き続き、職員定数削減や指定管理制度など民営化路線の推進という「行政経営」を行っていることです。新年度は、全体では定数が4名増となるものの、可燃ごみ収集運搬業務委託により6名の減、ゴミ焼却業務の委託拡大によって7名の減、公立保育所の民間委託に伴って7名の減などとなっています。必要な分野の人減らしが行われ、その部分が民間委託に置きかえられています。経費の削減というが、大きく影響を受けるのは賃金であり、非正規雇用や官製ワーキングプアを生み出す要因となっているのです。指定管理については、昨年の12月議会でも議論になりましたが、指定管理料を上限で縛ることによって、ワーキングプアづくりになっている実態も示し改善を求めましたが、当局は「見直し」を明言していました。今議会においても、本会議の代表質問では「上限を見直す」と述べる一方で、予算審査特別委員会では、「平成26年度から指定する所については、5年間はこのまま据え置く」と答弁が後退しました。最低賃金を下回っているところはないと答弁がありましたが、実態を正確に把握しているものではなく、速やかに実態調査を行うよう求めます。そして、指定管理料を上限で縛るのではなく、必要な人件費が確保されるよう見直しを求めます。さらに、職員定数の削減路線はやめるよう強く求めます。
平成26年度は、公立保育所民営化の第3期計画の策定年度となっておりますが、民営化路線はやめるよう求めます。また、ゴミの広域化について、県央ブロックの計画を取りまとめる年度にもなっています。ゴミの広域化は、これまで市が努力してきたゴミの分別化と減量の取り組み、輸送時の排気ガスなど地球温暖化に逆行するもので、断じて広域化すべきではありません。

 以上の理由から、議案第1号から第3号、第8号、第12号から14号、第17号から20号に反対します。

 尚、待機児童解消の問題については、平成25年4月時点で50人でしたが、26年4月時点においても待機児童が生まれる見通しとなっており、待機児童解消に向けた努力を引き続き求めます。私立保育所の建設については、法人の負担が大きくなっており負担軽減などの更なる支援を求めます。
 新年度から、学校給食実施計画の策定が行われます。小学校給食の自校方式存続を中心に据えながら検討するとともに、中学校給食のランチボックスも見直し、自校方式給食など検討すること。
 就学援助について、平成22年度から「PTA会費」「クラブ活動費」「生徒会費」が国から措置されていますが、新年度において予算措置されなかったことは問題です。早急に組み入れるよう求めます。合わせて、国は、26年度から措置費の基準単価を増額しており、当市としてもそれを反映した単価にするよう求めます。
読書活動推進員については、緊急雇用創出事業が終了し市単独事業として継続することは評価しますが、8人で2校ずつでは足りません。ボランティアで対応するとのことでしたが、読書活動推進員そのものの増員を求めます。
公共事業の契約については、事業の平準化が求められています。4月、5月にも事業が実施できるよう対策を求めます。
福祉医療資金貸付制度は、医療費の窓口一部負担が困難な方を救う制度となっています。もっと市民に周知徹底を行うよう求めます。
公共施設への太陽光パネルやチップボイラー等の設置など自然エネルギーの普及促進を求めます。太陽光パネルの公共施設への設置については、基準に合致するものから設置するとしていますが、リフォームを行って設置基準に合致させるなどもっと積極的に対応するよう求めます。
小規模介護施設へのスプリンクラー設置が義務化されました。市としても支援を行うよう求めます。
学童保育クラブについては、年度早々に実態調査を行い、指導員待遇の改善を図るよう求めます。
まちなかおでかけパスについては、26年度に「もりおか町家物語館」が開館することから、利用範囲の拡大を求めます。
滝沢市が玉山区生出地区付近に建設しようとしている産業廃棄物処理施設は、玉山区民全体の水道水源地上部に位置していることから、滝沢市に対して事業差し止めを求めていただきたい。合わせて、釘の平地区に申請が出されている産廃施設については、十分に調査をされるよう求めます。

次に、議案第7号「後期高齢者医療費特別会計」については、後期高齢者医療制度が発足してから初めて保険料が値上げされます。年齢で差別する世界に例のない制度となっているだけでなく、年金は減らされ消費税が増税となるもとでさらに保険料の引き上げは、高齢者に重い負担を強いるものとなっています。以上の理由から反対するとともに、短期保険証の発行については、盛岡市国保と同様に、機械的に発行するのではなく、生活実態を踏まえた上で丁寧な対応を行うよう改善を求めます。

次に、請願については、すべて賛成の立場から意見を述べます。
請願第1号「暖房費助成に関する請願」については、今冬の灯油価格は、福祉灯油が実施された平成19年、20年の価格を上回り過去最高となっています。暮らしを守る自治体の役割として、東日本大震災や昨年の豪雨・台風災害の被災者、生活困窮世帯への福祉灯油を実施するべきです。
 
請願第9号「所得税法56条廃止の意見書を国にあげることに関する請願」については、
所得税法第56条が、実際に働いている人間の正当な給与・対価を、税法上否定するものとなっています。これが、特に個人事業者の後継者育成の足かせにもなっています。さらに、これまで青色申告であれば特例的に家族従業員の給与が経費として認められてきましたが、今般の法律改正によって、白色申告でも青色申告と同様の条件が課せられ、特例的に区別する意味がなくなっています。ひとりの人間として尊重される制度に改めるためにも所得税法56条は廃止すべきです。

 請願第11号「子ども・子育て支援新制度をすべての幼い子どもの育ちを支える制度とするための意見書提出を求める請願」については、平成27年度から子ども・子育て支援新制度が本格実施されますが、補助金については給付が原則となり、保護者が保育を利用する利用料補助に代わります。このことにより、公費が委託費として支出されている現行制度とは異なり、使途制限が取り除かれ、営利企業の参入を進める制度となります。
 また小規模保育については、資格要件や保育士の配置基準が現行制度と大きく違い、子供たちの保育に格差が生じる中身となっています。安心して保育を受けられるためにも制度の見直しを求めるべきです。

 請願第13号「政府が米の需給と価格に責任を持つ米政策の確立を求める請願」については、政府は、コメの需要と供給、価格を安定させる上で、一定の役割を果たしているコメの生産調整を5年後に全廃し、生産量も価格も市場任せにする大転換を打ち出しました。農家や生産組合を無視し、一方的に拙速に決定したもので、断じて認められません。コメの直接支払交付金廃止による影響額は1,836経営体、3億8,400千万円もの甚大なもので、大規模農家や集落営農が大きな打撃を受けます。政府の「農業改革」は、コメの生産コストの4割削減と更なる大規模化、企業の参入など、多くの農家経営や地域を切り捨てる経済効率・国際競争に対応することを条件にしているもので、容認できるものではありません。
 議員各位の賛同を賜りますようお願い申し上げて、意見を終わります。