2014年3月定例会 鈴木努議員の一般質問

 
質問項目 (クリックするとジャンプします)
中高生のネット依存対策について
市立病院について
 消費税の影響
 医師確保と診療体制
 未利用敷地活用について
子ども子育て支援新制度について
  保育の平等性確保を
  市が定める保育の必要性の認定基準
  小規模保育について
  保育料について
  学童保育について

「議会報告」トップへ      市議団トップへ
ネット依存対策について

 昨年厚生労働省の研究班が発表した、全国の中高生を対象に実施したインターネット使用実態調査によると「病的な使用」と判定され、ネット依存が強く疑われる生徒が8.1%に上り、研究班は、ネット依存の生徒が全国で51万8千人と推計しています。

 鈴木努市議は、自分で依存傾向に気付くためにも一日のネット利用時間などの行動記録をつけるこが必要ではないかと求め、また全国で増えている「ネット専門外来」のように、医療機関との連携強化を求めました。

 千葉教育長は、「ネットの利用状況を記録することにより、自分のねっと利用の実態を把握し、保護者も子供の利用状況を確認できることからネット依存防止につながる一つの方法である」と回答し、医療機関との連携については、「今まで不登校やいじめ問題に対し、医師会の協力を得ながら対策事業を推進してきたが、今後も医師会との定期的な情報交換を行いながら、ネット依存防止に努めていく」と答えました。
市立病院について

消費税増税の影響

 来年度の診療報酬について政府は、0.1%引き上げることにしましたが、消費税増税に伴う医療機関の仕入れコストへの補てん分を除く「実質」の改定率は1.26%のマイナスとなります。

鈴木努市議は、今回の改定が、盛岡市立病院第2次経営改善計画に照らしどのように影響が出るのか質問しました。

佐藤市立病院事務局長は、「主な影響として、医療機関の機能分化・強化の連携については、現在の亜急性期病床が廃止され、新たに急性期後の受け入れを行う地域包括ケア病棟が新設されることになりました。当院の場合、亜急性期病床の廃止に伴う影響額は、約5300万円を見込んでおり、地域包括ケア病棟導入の是非を検討しなければならない」と回答しました。
 消費増税の対応については、仕入れにかかる対応として、初診料や再診料、入院基本料の上乗せが行われ、当院では1600万円の補てんが見込まれるが、消費税を診療報酬に転嫁できないため医療機関の実質的な負担となる損失、いわゆる村税が4200万円増加しますので差引約2600万円の負担増が見込まれる。そのほか本体部分や薬価部分の個別の改定項目があり、様々な影響がでる」と答えました。

医師確保と診療体制について

 鈴木努市議は、病院経営の要であると同時に地域に信頼される医療体制を築いていくためには、何よりも医師の確保が必要だが、医師確保の見通しと医師定着のための取り組み、そして、来年度以降の診療科の見通しについて質問しました。

 佐藤市立病院事務局長は、「平成25年度は、呼吸器内科、消火器内科、眼科、糖尿病・代謝内科でそれぞれ1名の常勤医師を確保した。平成26年度は腎臓内科医師一名の内諾を得ており、そのほか数名の医師との交渉を行っている」と答え、医師定着の取り組みについては、「平成22年度から医師事務作業補助員である医療クラークの配置による事務的業務の軽減、臨時医師の雇用による常勤医師の宿直業務日数の軽減、乳幼児を持つ女性医師に関しては、宿日直の免除や院内保育園での育児などを行っている。なお院内保育園については、本年4月から委託内容を見直し、保育料の軽減、保育の充実を図ることにしている」と答えました。
 診療科の見通しについては、「腎臓内科の診療を開始する予定だが、耳鼻咽喉科において岩手医科大学の医局の事情により、今年度一杯で常勤医師の派遣がなくなり、4月以降は週2回の非常勤医師による診療になる」と答えました。
病院未利用敷地の活用について

 鈴木努市議は、病院敷地内の未利用地の活用について、民間法人向けに高齢者住宅や介護連携施設を誘致する計画となっているが、医療介護の連携が必要となるが、介護施設が併設することにより、市立病院における役割はどのようになるのか、また介護関連施設の建設にあたっては、地元法人を優先できないものか質問しました。

 市立病院事務局長は、「当院はこれまでも介護との連携に力を入れてまいりましたので、今後併設される施設はもとより、他の施設とも連携の強化していく。併設される施設との具体的連携については、今回の診療報酬の改定でも在宅医療の充実が重点課題となっていますので、在宅医療を行う患者の後方受け入れを担当する在宅療養後方病院の指定を検討するなど、可能な範囲で地域包括ケアシステム構築に貢献していく」と答えました。
介護関連施設の建設にあたっては「地元法人への配慮については、地元の法人であることが望ましいとは思うが、施設の内容、事業の具体性、当院との連携方策などで優れた計画を策定した法人を選考していく」と答えました。
子ども子育て支援新制度について

保育の平等性を踏まえた基準設定を

 2012年8月に社会保障と税の一体改革関連法として、消費税増税法や社会保障制度改革推進法などともに、子ども・子育て関連法が成立しました。これに伴い2015年4月から子ども・子育て支援新制度が本格実施されます。新たな制度では、保育行政は様変わりし、新制度が担うものとして、子ども・子育て支援事業の2つの給付事業に大別されます。また補助金と違い保護者が保育を利用する場合の利用料補助に変わります。

 現行制度は、市が実施責任を負う保育について、民間事業者に行わせた場合、公費が委託費として支出され、それは保育事業以外に使用できないという使途制限がかけられていましたが、新制度は、この使途制限を取り除くための仕組みで、営利企業の参入がしやすくなっており、利用する施設や事業者によって保育に格差が生まれてしまいます。

 鈴木努市議は、新制度移行にあたって、格差が生じないよう、「保育の平等性の原理を踏まえた基準を設定するべき」と求めました。

 谷藤市長は、「新制度では、新しい幼保連携型認定こども園、小規模保育事業などが創設されることになり、現在国において制度設計が行われている。今後基準が示されるものと存じている。保育士の配置や施設の基準などは、国から示される基準や現在の当市の基準、保育の質の確保の観点、盛岡市こども・子育て会議での意見などを総合的に勘案し設定してく」と答えました。

ニーズ調査の結果とその活用について

 鈴木努議員は、市は、昨年12月に、家庭の現状とニーズを把握するため、小学校就学前、小学校就学児童の保護者からニーズ調査を行ったがその結果の特徴と、新制度にむけ結果をどのように生かしていくのか、と質問しました。

 谷藤市長は、「平日の幼稚園、保育所などの利用について、現在利用している時間よりも遅い時間までの利用を希望している保護者が多いこと、子育てに対する気持ちについては楽しいと感じることの方が多いと回答した保護者が67%であること。父親の育児休業については育児休業を取っていないとの回答が88%あるなど興味深いデータが得られた」答えました。
ニーズ調査をどのように生かしていくのかについては「調査結果を有効に活用して、教育・保育及び地域子ども・子育て支援事業の子育て支援事業の量の見込みを適確に推計し、提供体制の確保方策及びその実施時期などを事業計画に位置づけていく」と答えました。

市が条例として定める保育の必要性の認定基準について

 保育の必要性の認定に当たり、国は以下の3点により認定基準を策定することにしています。1つ目に「事由」として保護者の労働時間又は疾病その他の内閣府で定める事由、2つ目に「区分」として長時間認定又は短時間認定の区分、3つ目に「優先利用」としてひとり親家庭や虐待のおそれのあるケースの子ども等、これら3つの点から必要性の認定を行い保育園の利用調整を行います。

 鈴木努市議は、保育の必要性の要件については、現行の保育に欠ける要件を基本とし、そのほかに市町村の判断により保育を必要と認めたものとしているが、市町村の判断については、障害を持つこどもや育児休暇取得中の子どもの保育を保障し、適用の幅を広げるよう求めました。また新制度では優先順については点数化されることになるが、制度が変わった途端に保育が受けられなくなるような事態が起こり得るが、そのようなことが起きないよう慎重に取り組んでいくべきと質問しました。

 保健福祉部長は、「新制度においては、育児休業開始前に既に保育所に入所していた子供については、次年度に小学校入学を控えるなど、子どもの発達上、環境の変化に留意する必要がある場合などについては、継続入所を可能としているが、当市では、現在でも育児休業開始前にすでに入所していた子供については、育児休業の対象児童が1歳に達するまで、継続して入所できることにしている。保護者や子どもが障がいを持つ場合においても、入所選考時に優先した取扱いとしており、これらについては、新制度移行後においても継続していく」と答えました。
 また、制度変更により、保育が受けられなくならないカについては、「現に入所している子どもについては、保育に欠ける事由に変更がない限り、退所となることはないものであり、新制度移行後においても、同様の取り扱いにしていく」と答えました。

小規模保育について

 小規模保育については新制度で、保育園の分園をA型、認可外施設からの移行をB型、家庭的保育を行うC型の3つの基準を定めていますが、それぞれ保育士の資格要件や配置基準が大きく違います。
 鈴木努市議は、「安全にこどもが保育を受けられるようそれぞれ現行の認可基準を維持し、格差が生じないよう保育士の資格を持った人を配置し、面積基準についても現行基準を維持するべき」と求めました。

 熊谷保健福祉部長は、「現行の認可基準を基本とし、こども・子育て会議のご意見等を参考にしながら設定していく」と答えました。

保育料について

 市が行った子育てに関するニーズ調査では、市に対し、どのような子育ての充実を望んでいるかの問いに対し、「保育所や幼稚園にかかる費用を軽減してほしい」と回答している方が、63.7%と高くなっています。

鈴木努市議は、保育料の軽減が求められていることを指摘し、「現行の保育単価は、定員が少なくなるにしたがって高く設定されている。しかし、新制度で始まる小規模保育については保育単価が低く設定されており、その分保育料が引き上げられることが予想される。保育料の設定については、応能負担を原則としながら保護者の負担が大きくならないよう基準を設けるべき」と求めました。

熊谷保健福祉部長は、「保育料の基準設定については、現在国において、公定価格と利用者負担について、検討されているところであり、全体像が不透明な状況でありますので、基準の設定については検討できる段階にはないが、現在実施している保育料の軽減策などにつきましては、維持・継続に努める」と答えました。

学童クラブの利用料について

 学童クラブの利用料については、実施施設により利用料が違うなど格差が生じています。
鈴木努市議は、「新制度移行にあたっては、この利用料については各施設の状況を踏まえ市でも一定の基準を設けるべき」と質問しました。

熊谷保健福祉部長は「放課後児童クラブは、市から委託料と保護者からの利用料により運営されており、児童の利用登録人数や諸経費の詳細などが異なることから、差異が生じている。市としては、保護者の負担軽減につなげるため、家賃補助などの委託料に対する市単独加算を実施しておりますが、利用料の具体的な金額の設定については、各クラブの運営状況に基づき、それぞれの判断で設定されるものと存じている」と答えました。

学童クラブ指導員の待遇改善について

 鈴木努市議は、学童不クラブの指導員の待遇改善について、非常勤の職員などは、月13万円くらいの給与で働いており、苦労している」と指摘し、待遇改善について市でも取り組むよう求めました。
 熊谷保健福祉部長は、「待遇改善については、学童クラブの指導員の状況を調べるために各施設の実態調査を行っていく」と答えました。