TPP交渉からの撤退を
(鈴木礼子)昨年「和食」がユネスコの無形文化遺産に登録されたが、「和食」の基本は地産地消であり輸入農産物では「和食」の文化は成り立たない。和食の文化を育んできた日本の食糧が壊滅的な事態を招きかねないTPP交渉がいよいよ瀬戸際に立たされている。
22日から25日までシンガポールで開催されたTPP交渉の閣僚会合が「合意に至らなかったとの報道だが、甘利TPP担当相は、「5項目中の品目が一つ残らず微動だにしないということでは交渉にならない」などと述べ「守るべきは守る」と言いながら5項目の中から一部品目を関税撤廃・削減の対象にする譲歩案を検討している。
衆参両院の農林水産委員会決議を踏まえるならば米国政府の言いなりに譲歩を重ねるTPP交渉を続けることは許されない。国会決議を遵守するならば、即刻、交渉から撤退すべきではないのか。
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(谷藤市長)選挙で公約した約束は決して違えることはない。農産物5項目については国民に決意を示したもの。国益を損なうことがないように慎重な対応を引き続き国に求める。 |
「攻めの農業」について
(鈴木礼子)鈴木:今年は、国際連合が定めた「国際家族農業年」だが、攻めの農業を掲げる政府の「農業改革」は、大規模化、法人化が中心で「国際家族農業年」に逆行する方向ではないのか。
農業改革の目玉は43年間続けてきた「減反廃止」ということだが、減反政策はアメリカの食糧戦略を背景にした自民党農政による失政であったことは逃れられない事実だ。今日、減反は4割の水田にコメの作付ができない状態にしながら、一方では消費量の1割近くの外米を毎年輸入する異常な実態となっている。
この度の「減反廃止」は、TPPで関税の撤廃を受け入れることになれば、これまでのような「生産調整による価格維持」が機能できなくなるとの狙いで、TPP参加を契機に政府がコメの需給と生産への責任を全面的に放棄するということではないのか |
(谷藤市長):需要が減少している主食用偏重ではなく、大豆、麦、飼料用米など需要のある作物の生産を振興し、自らの経営判断で作物を選択することで行政による生産目標数量の配分に頼らず、需要に対応した主食用米生産が行われるよう環境整備をすすめること。
コメの需給と生産の責任を国が全面的に放棄することではない。6次産業化の推進、日本型直接支払の創設など「農産漁村の多面的機能の発揮」を柱とする政策でその具体的な施策でありTPP参加の有無にかかわらず今後の農業の姿を示すものと認識している。
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(鈴木礼子)「農業改革」の一連の方針は、政府がコメの生産コストを60㎏当り9、600円に大幅な引き下げを目標にしており米価の大暴落は避けられない。コメの生産費は今年60㎏当り16、001円ということでこれでは農業をやる農家がいなくなってしまう。消費者も安心・安全の国産米が食べられなくなるという事態になりかねない。これが5年後という期限を切って設定されている。
①直接支払交付金が交付されている農家戸数と支払い総額はいくらか。「米価変動補てん交付金」はどうか。②生産調整廃止で農家経営と地域経済への影響は ③米価の下落と合わせて打撃が最も深刻なのは大規模農家や集落営農組織でこれらへの影響どうか ④「減反廃止」の代わりに「簡単に増やせない飼料米をあたかも日本農業の救世主」のように持ち上げているが、飼料米は飼料製造工場や畜産経営との連携がなければ実用化は難しく生産は伸び悩んでいるのが実態だ。
飼料米は、10アール当たり8万円から10万5千円に引き上げるというが面積から収量による支払いに代わるため最高単価での交付金は難しい。当市の飼料米の作付の実態と課題は何か。また、実用化の見通しはどうか。 |
(小原農林部長) ①25年度のコメの直接支払交付金は1836経営体で3億8千485万円。米価変動補てん交付金は22年度2162経営体で3億9千100万円。23年度以降は標準販売価格を下回らなかったため0円 ②25年度では換算すると1億9千200万円の減額、26年から29年まで半額となる。5年後の30年には3億8千485万円の減額になる。ただし、交付金廃止による振替拡充策として多面的機能支払の創設、水田フル活用実現のための有効活用策の充実、コストダウン、農地集積の拡充が実施されることから農協、関係機関との連携をはかり事業実施に努める ③新しい農業政策が実行されるもとで地域の中心的な経営体として創意工夫に富んだ農業経営が可能な環境が整備される ④旧市内15ha、玉山区160ha、数量払いへの対応として反収を上げること。実用化への見通しは畜産農家との連携、農協をとおして飼料会社等への供給をはかる。 |
(鈴木礼子)市長は先の議会で農家が混乱しないよう、国や県などに具体的な情報提供と農業者の展望が開けるような生産活動の支援策を講じるよう求めるとしたが、 具体的な支援策と何か。
「農業改革」の一連の流れはTPP参加を前提とし、構造改革=低コスト化を図ることが強調され、TPP妥結後に向けて競争力を強化するねらいだ。コメ政策、経営所得対策、直接支払制度、農地、農協、農業委員会など相互に関連する政策の総見直しをすすめ戦後農政の総決算を進めようとするものだ。
市長は、「攻めの農業」は、高齢化、担い手不足、耕作放棄地の増大など課題解決にとって必要なことと述べたが、今でもその考えに変わりはないのか。農家の方たちは「TPPの前に攻めの農業で攻められる」とのつらい心境であり、厳しい現実が突きつけられている。市長のご所見は。
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(谷藤市長)需要が減少している主食用偏重ではなく、大豆、麦、飼料用米など需要のある作物の生産を振興し、自らの経営判断で作物を選択することにより行政による生産目標数量の配分に頼らず、需要に対応した主食用米生産が行われるよう環境整備をすすめることと理解している。
コメの需給と生産の責任を国が全面的に放棄することではない。6次産業化の推進、日本型直接支払の創設など「農山漁村の多面的機能の発揮」を柱とし、その具体化でありTPP参加の有無にかかわらず今後の農業の姿を示すものと認識している。
(小原農林)農地集積や山地交付基金の活用など地域の特性、実情を反映したものとなるよう要望する。
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エネルギーの地産地消について
(鈴木礼子)鈴木:3・11東日本大震災大津波からまもなく3年目を迎えようとしているが、福島第一原発は汚染水問題などが深刻化し収束の目途さえ立っていない。未だに14万人の方々が避難しているというのに、政府は「エネルギー基本計画」を原子力閣僚会議で決定。原子力発電を「重要なベースロード電源」と位置づけ、2014年中に再稼働させる動きを強めている。
今冬は、1基の原発も動いておらず電力不足も起こっていません。再稼働の条件はないはずであり、廃炉にすすむのが最も現実的な方向ではないのか。
国民の多くは原発をなくし、省エネと再生可能エネルギー中心にその転換を求めている。再生可能エネルギーで世界最高水準をめざす「成長戦略」こそ地域経済を元気にして、雇用を生み出し持続的成長につながるもの。
政府に対して「エネルギー基本計画」の撤回と原発ゼロの実現に向けて尽力するよう求めるが、市長の所見はどうか。 |
(谷藤市長)国民的な議論のほか、内外の経済動向など見極めながら総合的に判断すべきもの。市は、再生可能エネルギーの率先導入や普及促進、省エネの取り組みを積極的に進めることでエネルギー自立型の都市をめざす。 |
(鈴木礼子)エネルギーの地産地消について2014年度の事業内容と将来的な方針・計画について。固定価格買取制度で効果を上げている太陽光設置件数と市内消費電力のうち再生エネルギー発電量が占める割合についてはどうか。
(鈴木礼子)エネルギー対策が地域の雇用を生み、地域経済に大きく貢献することは先進事例を見ても明らかだ。新年度からは国の住宅用太陽光発電設置補助金が廃止されるが、市にとって再生可能エネルギーの地産地消をどのような形で導入・活用するのか。 |
(中川環境部長)平成26年度の再生可能エネルギー事業計画は、①住宅用太陽光発電システム設置補助金制度300件2400万円の予算を確保 ②西部公民館へのペレットストーブの設置 ③山岸地区活動センター他3施設と小中学校2項に太陽光発電と蓄電池の設置 ④生出地域エコタウン事業では風力、太陽光発電によるハイブリット照明灯の設置 ⑤中央卸売市場にリース方式によるメガソーラー発電事業を行う。
再生エネルギー発電量の占める割合について、平成24年度実績は太陽パネル設置世帯数2750世帯で0・88%。メガソーラーを含めると1・18%になる。
(中川環境部長)再生可能エネルギーの地産地消の導入・活用は、生出地区を地域循環型社会の総合的なモデルとして全国に発信できるように取り組む。
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空き家バンク制度について
(鈴木礼子)松園ニュータウンがモデル地区として指定された「空き家バンク制度」について、空き家の登録が情報提供30件中、登録件数2件。利用希望者の問い合せ件数17件中登録件数3世帯とのこと。空き家の情報は、30件中15件が持ち主不明等の理由で登録できなかったとのことだが、2年間の「空き家バンク制度」の取り組みの効果と課題は何か。 |
(藤島都市整備部長)利用促進を図る方策が課題だ。 |
(鈴木礼子)市民からは、市のHPは必要な情報までたどりつけない。「空き家バンク制度」を紹介したチラシにもHPのアドレスがない。空き家バンクに登録することのメリットがよく見えない、飛びつきたくなるようなメリットを考えるべき。また、不動産業者からは相続手続きをしているケースが多く、持ち主までたどりつけない。市納税課で調べられないのかなどの意見が寄せられた。
松園団地は入居開始から47年目を迎え、早い時期に入居した町内では高齢化率が47%にもなり、世代交代も進みその過程で空き家が増えている。空き家の放置は、環境的にも安全上も問題で対策が急がれている。
空き家バンク事業の基礎となった県立大学との共同による研究報告は、空き家の活用について賃貸住宅、住環境に配慮した上でのグループホーム、小規模ディサービスセンターなどへの転用、高齢者の徒歩圏に適した交流の場の活用。改修が必要な住宅への支援制度(若者が定住できるような家賃補助、リフォームへの補助)を上げている。
空き家バンク事業が空き家の斡旋だけでなく具体的な活用策について検討すべきであり、空き家の情報と活用は「車の両輪」との立場から活用について市の積極的な対策を求める。 |
(藤島都市整備部長)現在のバンク制度の活用を図りながら他都市の事例、国の制度を考慮して検討する。 |
空き家条例への対応は
(鈴木礼子)昨年8月の市議会全員協議会で説明した「盛岡市空き家等の適正管理に関する条例(案)」は、空き家の所有者の管理責任を明確にし、市が強制力を持って措置できる内容が盛り込まれており期待しているが、今後の対応は。 |
(藤島都市整備部長)現在開会中の通常国会で「空き家対策の推進に関する特別措置法案」が提出見込みだが、法案提出されないことも想定し対応したい。
「バンク」の今後については、市域への拡大と制度の利用促進を図る。
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生活交通の確保について
買い物バス運行
(鈴木礼子)鈴木:人口減少、高齢化の進展や地方の過疎化など交通を取り巻く情勢は大きく変化している。高齢化の進行で運転免許の返納も進み買い物や通院など日常生活に支障をきたすところも出ている。当市の実態と対応策はどうか。
松園ニュータウンで行った買い物バス運行実験(1月18日~2月18日までの1ケ月間)の効果、課題は何か。今後、実験結果が活かされ「住み続けられるまちづくり」の一環としての対応を求めるが、いかがか。 「まちなか・おでかけパス事業」の拡充
(鈴木礼子)市民からも大いに歓迎されている「まちなか・おでかけパス事業」が、より広範な方が使えるような改善と利用路線の拡充と改善は。
JR山田線の活性化について
(鈴木礼子)鈴木:JR山田線増便社会実験についてその利用状況は。JR山田線の活性化では、桜台団地周辺を含む地域の生活交通の確保対策も含めて検討してはどうか。
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(藤島都市整備部長)買い物バス運行実験は好結果だった。松園1・2丁目ルートは1便あたり平均20人、東1丁目ルートは1便当たり13人乗車利用した。利用者からは便利になって助かった、継続してほしいとの声が寄せられた。本格運行につなげられるのかどうかが課題だ。今後、関係機関と連携し意見交換を行う予定。
(藤田建設部長)年間8690枚の利用状況。1万枚を目標にしている。目標達成時に中心市街地の活性化も踏まえ見直しを検討する。
(藤田建設部長)利用者が、上りで263名から362名に99名増に、下りは187名から309名の122名の増になり帰宅利用者が多い。
桜台周辺の生活交通確保は、モビリティーマネジメントの結果を踏まえつつ、先ず、社会実験のバス・鉄道の増便が継続できるように働きかけていく。 |