2014年3月定例会神部伸也議員の一般質問

 
質問項目 (クリックするとジャンプします)
介護保険について
 法改悪案の問題について
  通所・訪問介護、施設入所、利用料値上げ
 保険料の軽減を
 次期計画策定について  
国民健康保険について
  国保税~負担は公平か
  都道府移行について
  国保税の軽減を

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 質 問  答 弁
介護保険について

国の「医療・介護改悪法案」について

(神部伸也)安倍内閣は、2月12日に「医療・介護総合推進法案」を閣議決定し、国会に提出しました。その内容は、地域での医療と介護の「総合的な確保を推進する」と謳うものの、患者・利用者には大幅なサービス利用制限と負担増を強いるもので、まさに「医療・介護改悪法案」というべきものです。患者追い出しにつながる病院機能再編などの医療法改定と、利用制限・負担増の介護保険法の改定など、本来なら別々の法案として審議すべきものをひとまとめにした異例の法案です。それぞれ重大な改定にもかかわらず、十分に審議されずに強行されるのではないかと危惧をしています。そして、介護保険法“改悪”は、2000年の制度発足以来2度に亘って行われてきましたが、今回の改定はそれにも勝る大改悪が目白押しとなっています。それだけに、十分に時間をかけて審議をしなければならないのに、極めて乱暴なやり方と言わざるを得ません。市長のご所見をお伺いします
(谷藤市長)はじめに、「医療・介護総合推進法案」は、十分に時間をかけた審議が必要ではないかについてでありますが、「医療・介護総合推進法案」は、地域において効率的で質の高い医療提供体制を構築するとともに、地域包括ケアシステムを構築することを通じ、必要な医療及び介護の確保の推進を目的としており、このことは、いわゆる「団塊の世代」が後期高齢者となる平成37年を展望した時、持続可能な社会保障制度の確立を図るために、急務の課題に取り組む重要な法案であるものと認識しているところであります。
この法案は、国民にとりまして影響の大きい制度改正でありますことから、国会での十分な審議が行われるべきものと存じております。

訪問・通所介護について

 (神部伸也)第1の問題は、要支援1・2の高齢者が利用する訪問介護や通所介護を、国の基準とする介護保険サービスの対象から切り離し、市町村ごとの事業に移すことです。2017年4月までに、全ての市町村が代わりの事業を実施しなければならないとされています。これでは、自治体の財政状況によって左右され、どこでもサービスを平等に受けられる国民の権利を奪うことになり、居住地域で格差が広がり、介護保険への不信をますます広げることになるのではないですか。市長のご所見をお伺いします。
 サービス内容をはじめ、人員、運営、単価などの統一基準がなくなるとのことですが、市ではどのような事業構想を考えていますか、具体的なものがあればお示し下さい。少なくとも、現在の介護保険サービスの水準を下回らないようにすべきと考えますが、いかがでしょうか。国は費用削減のために、専門職によるサービスをボランティアに肩代わりさせようとしています。しんぶん赤旗で、北海道社会福祉協議会事務局長の藤田浩行さんは、介護職の専門性についてこう述べています。「あるベテランのヘルパーさんが30分、利用者のおじいさんと話せば、どこの出身でどんな味が好みか分かると言っていた。利用者の望む味付けの料理をつくりながら会話し、状態や欲しているものをつかむ。それが訪問介護の専門性です。ところが今回の改定ではそれが切り捨てられてしまう」。市は、介護職の専門性についてどのように認識していますか。ボランティアによるサービスの肩代わりについてどのように考えているのか、お伺いします。

 全日本民主医療機関連合会の調べでは、訪問・通所介護を使う要支援者のうち、制度見直しで「日常生活ができなくなり介護度が上がる」事例が60.8%、「外出などの機会が減り閉じこもり気味になる」事例が66.4%に上るなど、深刻な影響が出ると指摘しています。さらに、訪問介護を利用する要支援者の81.4%、通所介護を利用する要支援者の87.7%が何らかの認知症を抱えているとのことです。第5期計画で、認知症対策の強化を行っているところですが、訪問・通所介護が介護保険サービスから外されれば、初期の認知症の方への支援が大幅に切り下げられ、重度化を招くことになりはしませんか。法改悪によって、要介護とならないよう支援を行う取り組みの意味がなくなるのではないでしょうか。当市として、どのような影響があると受け止めていますか。お伺いします。
(谷藤市長)(谷藤市長)次に、「要支援者」向けの訪問介護・通所介護を市町村事業とすることについてでありますが、今回の改正は、要支援者に対する介護予防給付のうち訪問介護や通所介護を、地域支援事業の中の介護予防・日常生活支援総合事業に移行しようとするものであります。
移行するサービスの財源構成は介護保険制度内でのサービスの提供であることから変更がなく、事業費の上限も移行分を賄えるように見直しするものとされていることから、自治体の財政状況による影響は限定的なものと考えております。
市といたしましては、介護給付から地域支援事業への移行が円滑に進むよう、既存介護サービス事業者に加え、新たな担い手となるNPO、民間企業、住民ボランティア等の確保に取り組むとともに、市民の皆様が不安を持たれないよう、制度改正の周知に努めてまいりたいと存じます。

(熊谷保健福祉部長答)「要支援者」向けの訪問介護・通所介護を市町村事業とすることに際しての事業構想についてでありますが、市としては、今後、国が公表する介護予防・日常生活支援総合事業に関する指針に基づきながら、具体化してまいりたいと考えておりますが、多様なサービスの内容に応じて、人員配置などの基準やサービスの単価を設定し、専門職が必要なサービスを行う場合には、専門職の人件費が賄えるような単価設定をすることも必要であるものと捉えております。
次に、介護職の専門性についてでありますが、専門的なサービスを必要とする要支援者にはその提供が欠かせず、その担い手としての介護職の重要性は引き続き高いものと存じます。介護職とボランティアとでは、提供するサービスの内容が異なるものであり、それぞれの特性を生かしながら、介護予防・日常生活支援総合事業の充実に関わっていただきたいと考えております。
次に、要介護とならないよう支援を行う取り組みについてでありますが、今回の改正では、移行する訪問介護や通所介護にあたっては、既存サービス相当のサービスを引き続き利用することが可能であり、訪問看護などのサービスも引き続き予防給付による利用が可能となっていることから、重度化を予防する取り組みに影響はないものと存じておりますが、今後示される国の指針を踏まえながら、適切に対応してまいりたいと存じます。

特養ホームの入所について

 (神部伸也)第2の問題点は、特別養護老人ホームの入所は、原則として「要介護3」以上に限定し、要介護1・2の人は入れなくなることです。全国の特養ホームの入所待機者は42万人で、うち要介護1・2の人は13万2千人で31.2%にのぼります。当市では、平成25年12月末時点の要介護1認定者は2,789人、要介護2は2,832人、合計で5,621人となっていますが、この中で、特養ホームに入所している人数はどうなっていますか。また、入所待機者は、平成24年度末で1,279人となっていますが、要介護1・2の方は何人にのぼりますか(区分認定ごとに、できれば要介護3以上についてもお願いします)、お示し願います。
9月議会で鈴木努議員が示したように、軽度で特養ホームに入所している方は、介護する人がいない、在宅で介護するのが困難な状況だから入所しているのです。経過措置が設けられているとのことですが、いずれ、経過措置が過ぎれば要介護1・2の方は施設から追い出されるのではと危惧をしています。ご所見をお伺いします。
 また、特養ホームになかなか入所できない問題は、特養ホームの施設整備が足りないというのがそもそもの問題だと思います。市は第5期介護保険事業計画において、24年度は30床、25年度60床、26年度90床を整備して「入所待機者の解消につなげていきたい」としています。入所待機者はどのようになっていますか。本当に解消につながる整備になるのでしょうか。お伺いします。
(熊谷保健福祉部長)(保健福祉部長)次に、要介護認定者の中で特別養護老人ホームに入所している人数についてでありますが、平成25年12月のサービス受給者数で見ますと、要介護1の方は29人、要介護2の方は55人となっております。
次に、入所待機者の要介護度ごとの人数についてでありますが、平成25年3月末の待機者数は、要介護1の方は84人、要介護2の方は171人、要介護3の方は312人、要介護4の方は340人、要介護5の方は372人となっております。
次に、経過措置が過ぎれば要介護1,2の方は施設から出なければならないかということについてでありますが、既入所者について、要介護1や2の方でも継続入所できる経過措置が規定されており、この経過措置を適用する期限は設けられていないところです。
次に、入所待機者の解消につながる特別養護老人ホームの施設整備についてでありますが、25年3月末の待機者のうち、在宅又は入院中で早期に対応が必要な入所申込者は218人となっており、25年度及び26年度に整備する予定の特別養護老人ホームは2施設、150床であることから、一定程度の入所待機者の解消が図られるものと考えているところです。しかし、不足も見られますことから、27年度以降の施設整備につきまして、26年度に実施する第6期介護保険事業計画の策定の中で検討することとしており、入所待機者の推移を注視しながら、施設整備による介護給付費への影響を勘案し、保険料とのバランスに配慮して、整備量を決定してまいりたいと存じております。
利用料の負担増について

 (神部伸也)第3の問題点は、利用料の負担増で、現行の1割負担から2割負担へと引き上げられることです。介護保険の利用者負担は制度開始以来1割でした。合計所得が単身で160万円(年金収入のみで280万円、夫婦では359万円以上が基準となり、65歳以上の5人に1人が2割負担の対象になると言われています。この影響について、当市での影響をどのように捉えていますか。また、特養ホーム入所者は、居住費・食費の補助(補足給付)が縮小されます。補足給付は、2005年に居住費が保険から外された際に、低所得者の負担軽減のために設けられたもので、全国で103万人が利用しています。これを一定以上の預貯金(単身1千万円、夫婦2千万円)があれば、補助対象外になります。年30万~80万円も負担が増えかねません。厚労省は、特養ホームを退所しても国民年金(年79万円)と預貯金1,000万円があれば「10年間生活できる」と説明していますが、これでは“10年以上は生きるな“といわんばかりの姿勢ではないでしょうか。このことに対するご所見とともに、当市への影響についてもお知らせ下さい

(熊谷保健福祉部長)(保健福祉部長)次に、利用料の1割負担から2割負担への引き上げの影響についてでありますが、自己負担割合を2割に引き上げる所得水準にある第1号被保険者は、当市におきましても、20%程度であると捉えておりますが、実際に影響を受ける利用者は、在宅サービス利用で約16%、施設サービス利用で約8%と推計しているところです。
次に、「厚生労働省が国民年金と預貯金1,000万円で10年間生活できると説明した」、とのことに対する所見についてでありますが、ご質問にある説明は、平成25年9月25日に開催された第49回社会保障審議会介護保険部会での説明と思われます。当日の議事録によれば、補足給付の見直しで預貯金1,000万円という基準を説明した際、特別養護老人ホームの入居期間の実態として9割以上の方が10年以内に退所していることから、10年をスパンにとったとき、預貯金500万円程度があれば年金額が低い方でも補足給付を受けながら居住することができるという趣旨で説明したものと理解しております。
また、補足給付の見直しによる当市への影響につきましては、市において預貯金等の情報が無いことから、お示しすることができませんので、ご了解願います。
「医療・介護改悪法案」は撤回を!

 (神部伸也)以上、主に3点について今度の介護保険法改悪の問題点を指摘してきましたが、その他にもまだまだあります。この間の国の介護保険制度改革の議論は、「いかに制度を存続させるか」が中心となっています。しかし、サービスの切り捨てと負担増を進めた結果、「保険あって介護なし」と言われるような危機的状況を生んだのです。保険料が値上がりし続けるのは、高齢化の進展もありますが、それ以上に必要なお金を削ってきたことの方が問題ではないでしょうか。「介護難民」をさらに生むような今回の法改悪は絶対に許されません。改悪は撤回し、必要な人が必要なサービスを受けられる制度、国の財源負担も増やすなど、拡充に向けて抜本的な見直しを行うよう国に求めるべきですが、いかがでしょうか。
(熊谷保健福祉部長)(保健福祉部長)次に、介護保険制度を抜本的に見直すよう国に求めるべきではないか、についてでありますが、「医療・介護総合推進法案」は、いわゆる「団塊の世代」が後期高齢者となる平成37年を展望した時、地域包括ケアシステムの構築などの急務の課題に取り組む上で必要な法案であるものと認識しており、市といたしましても、高齢者の多様なニーズに対応するため、多様なサービスの担い手を確保することは重要であると捉えております。
また、地域の実情に応じて安定的に事業実施できるよう適切な支援と十分な財政措置を講じるよう、全国市長会を通じて国に要請したところであります。
介護保険料の軽減について

 (神部伸也)高すぎる介護保険料は、市民生活を圧迫しています。一般会計からの繰り入れを実施すべきです。市は、一般財源を投入し介護保険料の軽減を図ることについては、①介護給付費や地域支援事業に係る費用の財源割合は介護保険法等で決められている、②保険料とすべき財源に一般財源を繰り入れして保険料を一律に減免することは、国が指導している保険料減免の三原則により不適当とされている、ことを理由に、保険料を軽減するために法定割合を超えての一般財源の繰り入れに背を向けています。介護保険の市町村の負担分12.5%は、介護保険法によって義務づけられたものですが、介護保険法令上では、法定分を超える一般財源からの繰り入れを禁じる規定や、制裁措置は一切ないと聞いています。第2に、厚生労働省の「指導」は、「保険料減免」に伴う一般財源投入について述べているのであって、介護保険事業計画に基づく介護保険料設定に際しての一般財源投入についてのものではないということです。第3に、厚労省が、一般財源投入の「問題点」として上げているものは、「国民の理解が得られにくい」「いったん一般財源を投入するとやめられなくなる」など、およそ理由にならない理由です。これまで、国自信が、法定分の負担以外に『介護従事者処遇改善特例交付金』や『介護職員処遇改善交付金』を一般財源から投入し、さらに、社会保障・税一体改革の一環として低所得者の介護保険料軽減のために1,300億円の財源を投入しようとしており、国の言い分は根拠がありません。
 国民健康保険税においては、「収入見込み」の中には、「その他国民健康保険事業に要する費用のための収入」の規定があり、当市も含め全国で「法定外繰り入れ」を行って、住民負担軽減策が図られています。同様に、介護保険においても「その他介護保険事業に要する費用のための収入」が規定されており、国保と同様に活用する法令上の余地があるのではないでしょうか。ご所見をお伺いします。
 全国的に第2号被保険者(40~64歳)が支払う介護保険料が、4月から一人当たり月額5,273円となる見込みで、2000年度の介護保険制度発足時の2,075円の約2.5倍に達し、初めての5千円超となり深刻な問題です。当市の保険料基準月額も当初の3,031円から現在は5,245円と市民生活を圧迫しています。こうした実態をどのように受け止めていますか。ご所見をお伺いします。
 最後は「市財政が厳しい折・・・」ということになろうかとは思いますが、しかし、市民生活は、消費税の増税や年金の削減、医療改悪などもあいまってますます厳しくなります。国に対して国庫負担の増額を求めることは当然ですが、市としても保険料軽減を実施するよう強く求めます。いかがでしょうか。
(熊谷保健福祉部長)(保健福祉部長)次に、一般会計からの繰り入れを行うための法令上の余地についてでありますが、介護保険法施行令に規定する「その他介護保険事業に要する費用のための収入」については、法定分以外の一般会計からの繰り入れを考えているものではないとの説明を国から確認しているところです。また、国の通知では、保険給付の費用のうち、市町村の一般財源が12.5%を負担するものと定められており、これを超えることは適切ではないとされております。このようなことから、負担割合を超えた一般会計からの繰り入れは考えていないところであります。
次に、介護保険料の引き上げの実態の受け止めについてでありますが、介護保険制度の発足以来、保険給付費の増加に伴い、被保険者の方々には保険料の増額を負担いただいているところです。今後、支払が困難となる方が増加することも危惧されることから、国の負担割合を引き上げることについて、全国市長会を通じて国に要望してきたところであり、引き続き、全国市長会を通じて要望してまいりたいと存じます。
次に、市としての保険料軽減の実施についてでありますが、第5期介護保険事業計画において、岩手県の介護保険財政安定化基金の交付や市の介護給付費準備基金の取り崩しにより、保険料の引き上げの抑制を図ったところであります。また、所得の低い方の負担の軽減を図るため、保険料段階について、特例第3段階や特例第4段階を設けているところであります。現在、国が示している介護保険制度改正案では、所得が低い高齢者の保険料軽減の拡充も掲げられておりますことから、市としても、これらのことを踏まえ、第6期計画の策定の中で、軽減策を検討してまいりたいと存じます。

次期事業計画策定に向けて

 (神部伸也)2011年の介護保険法改正では、「地域包括ケア」の実現をめざすために、市町村の介護保険事業計画に、①日常生活圏域ニーズ調査を実施し、地域の課題・ニーズを正確に把握、②計画の内容として認知症支援策、在宅医療、住まいの整備、生活支援を位置づけることを求めていました。当市は、「第5期介護保険事業計画」策定に向けて、『日常生活圏域ニーズ調査』を65歳以上の市民1,400人を対象に実施しました。「地域包括ケア」の確立をめざす上で、どの圏域に、どのようなニーズをもった高齢者が、どの程度生活しているのか、をきちんと把握することが必要と考えます。サンプル調査で傾向を捉えるというだけでなく、地域ニーズをくまなく把握し、高齢者人口のピークを迎えるといわれている2025年を見据えた介護保険事業計画にしていくためにも、すべての地域で、全高齢者を対象に悉皆調査を積極的に行い、高齢者全員の姿を手のひらに乗せて計画を策定していくべきと考えます。26年度は、第6期介護保険事業計画策定の年度になりますが、ぜひ「悉皆調査」を実施するよう求めますがいかがでしょうか。また、圏域ごとに「計画作成部会」を作るなど、地域関係者・住民参加で計画を練り上げていくべきと思いますが、いかがでしょうか。第6期計画策定に向けての取り組みとして、現段階でどのようなことを考えているのか概要も合わせてお知らせ下さい。
(熊谷保健福祉部長)(保健福祉部長)次に、日常生活圏域ニーズ調査を「悉皆調査」として実施することについてでありますが、ニーズ調査は、第6期介護保険事業計画策定の基礎資料とするため、高齢者のニーズや生活実態について、圏域ごとの傾向を把握することが目的であることから、抽出調査として実施したいと考えており、具体的には、第5期介護保険事業計画策定時と同様に、65歳以上の市民1,400人を対象にしたいと考えているところであります。
また、第6期介護保険事業計画は、市全域を対象とした一つの計画として策定することから、圏域ごとの「計画策定部会」の設置は予定しておらないところですが、計画策定にあたっては、圏域ごとに説明会を開催し、地域の皆様のご意見をお聴きするとともに、パブリックコメントを実施してまいります。
このほか、第6期介護保険事業計画策定に向けての取り組みとしましては、日常生活圏域の見直しや、地域包括支援センターの人員配置等の体制整備などについて検討してまいりたいと考えております

国民健康保険について

国保税の負担は「公平」か?

 (神部伸也)平均所得に占める国保料(税)割合は、近年では1991年度の5.64%を底に増加傾向となっており、2011年度にはついに10.11%と1割を超えました。さらに、2011年度を所得別に見ると、軽減世帯、いわゆる低所得の世帯では、2割軽減の世帯で13.4%、5割軽減の世帯で13.4%、7割軽減の世帯では34.3%に上ります。ここには、介護納付金分が入っていないので40歳以上の世帯ではさらに重くなります。
(厚生労働省保健局発表「国民健康保険実態調査 平成23年度」2013年3月22日公表;調査結果の概要 表10-1)
 軽減を受けていない世帯でも国保税だけで所得の1割に上る負担は大変重いものになっていますが、低所得ではさらに重い負担となっており、特に所得水準が33万円以下の7割軽減世帯では国保税だけで3分の1をも徴収されるという恐るべき事態となっています。これが、本当に「公平な負担」と言えるのでしょうか。市はどのように受け止めますか。当市の実態(2割・5割・7割軽減の世帯数も合わせて)と合わせてお示し願います。
 また、昨年の12月24日に「平成26年度税制改正大綱」が閣議決定され、低所得者に係る保険税軽減の拡充が図られる見通しとなっています。5割軽減は、前年所得の「33万円+24.5万×(被保険者数-世帯主)」から「-世帯主」が外されて対象が拡大、同じく2割軽減は「33万円+35万円×被保険者数」の「35万円」を「45万円」に拡大となります。これによって、対象者はどのように変化しますか。それから、単純な質問ですが、なぜ7割軽減の拡大はされなかったのですか。お知らせ下さい。
(細川市民部長)国保税の公平な負担についてですが、地方税法では、市の国保税について、全体で応益分と応能分がそれぞれ100分の50ずつとするよう定められております。
 議員ご指摘のとおり、厚生労働省の資料では7割軽減世帯の平均所得に対する国保税の割合は、3割を超えておりますが、これは応益の負担が義務付けられ、所得がなくても保険税の負担が生じていることなどが原因となっており、被保険者には重い負担となっているものと理解しておりますものの、本市の場合、40歳以上の1人世帯を例にいたしますと、7割軽減後の課税額は2万1,500円、1月当りの負担は1,800円ほどとなりますことから、生活保護水準以上の世帯であれば、何とかご負担いただける水準と存じているところでございます。
なお、本市における軽減世帯の実態ですが、平成25年12月現在の軽減世帯数は、7割軽減が1万3,151世帯で軽減額は約6億8,900万円、5割軽減が2,263世帯で軽減額は約1億1,700万円、2割軽減が5,769世帯で軽減額は約9,900万円となっております。
次に、平成26年度の税制改正大綱で閣議決定された保険税軽減の拡充に伴う本市への影響でございますが、2割軽減から5割軽減に移行する世帯が3,227世帯、2割軽減につきましては、これまで軽減措置を受けていなかった2,293世帯が対象となり、軽減額は合計で約1億2千万円増加するものと試算しております。
また、7割軽減が拡大されなかったことについてですが、国では「低所得者の保険料に対する財政支援の強化」のうち、「保険基盤安定制度の拡充」で軽減対象世帯の拡充対策とし実施することになっており、7割軽減の拡大がなかったことには触れておりませんが、今回の保険税軽減拡充の対象が、主に中間層としていることから、7割軽減の拡大がなかったものと推測しております。
国保の都道府県移行について

(神部伸也)さて、このように深刻な負担増となっているのは、歴代政府が「社会保障の向上に寄与する」という国保法第1条の理念を軽んじ、政府の負担を減らしてきたことにあります。必要な財源をまわさず、住民に転嫁するというやり方でいいのか?国保に限らずですが、本当に怒りを感じます。そして、制度的に崩壊しかけている国民健康保険を「立て直す」として、国は都道府県単位の「広域化」を打ち出しています。2017年末までに移行させるとお聞きしておりますが、今後のスケジュールや県との協議など、あるいは国の議論など、現在どのように進められているのかお伺いします。
(谷藤市長)国民健康保険の保険者を都道府県に移行するためのスケジュールについてですが、国では社会保障制度改革国民会議からの報告を受け、制度改革のスケジュールを決めるプログラム法案が昨年の12月可決したところでございます。
その法案では議員ご指摘のとおり、平成29年度までに社会保障制度改革を行うことになっておりますが、広域化につきましては、今年の1月31日に1回目の「国保制度の基盤強化に関する国と地方の協議」の政務レベル協議が開催され、国からは厚生労働大臣、地方からは知事会、市長会、町村会のそれぞれの代表が出席いたしました。
その中で、今後事務レベルのワーキンググループで詳細を詰めることといたしまして、既に2月4日に第1回の事務レベルワーキンググループ会議を開催し、本年7月には中間の取りまとめをすると伺っております。
国保税引き下げを

(神部伸也)4月から消費税が増税されようとしており、物価高騰・燃油高騰なども大きく影響し、市民生活は大変です。保険税の引き下げを検討すべき時だと思いますが、いかがでしょうか。
 この間、盛岡市は保険税のこれ以上の“増加”を抑えるために、「法定外繰入」を行ってきました。その時々の財政状況を見て判断がなされているものと思います。この法定外繰入は全国市町村では総額約3,900億円に上りますが、現在の皆保健体制を維持するためにやむを得ず行っているものと認識しています。動向をどのように捉えていますか。お知らせ下さい。当市での努力は評価するものですが、私はもう一歩踏み込んで、例えば、前段申し上げた「所得に対する負担割合」を「10%以下にする(維持する)」などといった基準を定めて、繰入額について検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。
(細川市民部長) 保険税の引き下げについてですが、昨年度の繰越金をもとに平成25年度に約4億8千万円を積み増すこととしておりますが、この額は、仮に現行どおりの法定外繰入を継続したといたしましても、広域化が予定されている平成29年度までには基金が底をつく見通しとなっておりますことから、保険税の引き下げは難しいものと考えております。
次に、法定外繰入の動向をどのように捉えているかについてでございますが、平成24年度の全国市町村国保の実態は、法定外繰入は前年度よりも25億円増の3,534億円に上っており、赤字補てんのためやむを得ず法定外の繰り入れを行っているものと理解しております。
次に、法定外繰入に負担割合の基準を設けることについてですが、本市の法定外繰入の実施は、平成22年度の保険税改定の際に、改定率を軽減するためにやむを得ず導入したものであり、現在のところ、法定外繰入に係る新たな仕組みの創設については、考えておりませんのでご理解賜りたいと存じます。
なお、国と地方との協議の場におきまして、地方側からの国保の構造問題解決の要請に、田村厚労相は「国保に対する財政支援を考えていかないといけない。」と応じておりますことから、今後の改革に期待し、協議の行方を注意深く見守ってまいりたいと存じておりますし、厳しい国保財政の健全化を図るため、引き続き特定健診の受診率向上やジェネリック医薬品の利用促進による医療費の抑制及び収納率の向上に努めてまいりたいと存じます。