2014年3月定例会 庄子春治市議団長の代表質問

 
質問項目 (クリックするとジャンプします)
憲法観について
 靖国参拝 、NHK幹部の発言
 集団的自衛権と立憲主義について
アベノミクスと市民生活について
 消費税増税中止を
 労働者派遣法改悪について
 構造改革路線の転換を
福祉灯油実施を
市の行政経営指針見直しを
官製ワーキングプア作らない対策
 実態調査
 公契約条例
自然災害対策
 8・9豪雨 9・16台風災害からの教訓
 消防力の充足率
農地・農業災害復旧への補助
東日本大震災復興支援について
 社会保障改悪と市の福祉施策
子育て支援について
 待機児童対策
 小学生医療費給付事業
障がい者・介護保険
安全な暮らし
 通学路の安全対策
 天満宮前市道のロードヒィーティング 

教育委員会制度見直しについて
盛岡市の教育ビジョンと教育基本法
少人数学級その他について
 少人数学級
 特別支援教育
 教員の時間外軽減
 学校の耐震化

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 質問  答弁(大要)
 ≪庄子春治≫ 日本共産党盛岡市議会議員団を代表して、今議会冒頭に行われた市長あいさつおよび教育委員長あいさつについて質問します。

安倍首相の靖国参拝、集団的自衛権、立憲主義
 
 最初に市長の政治姿勢について伺います。いま、日本国憲法がうたった戦後日本の国づくりの基本「恒久平和」「主権在民」「基本的人権」が最大の危機に直面しています。
 安倍政権の目指す、その国がどのようなものであるか、いよいよ露骨にその姿が明らかになってきているのではないでしょうか。それは、日本を再び戦争をする国に戻し、その国策にすべてを従わせる・・・というものではないでしょうか。

 安倍首相の靖国神社参拝は、靖国神社が戦争遂行の精神的支柱であった歴史に加え今日でもA級戦犯を神として祭り、過去の日本の戦争を「正義の戦争」だったと主張していることを踏まえれば、安倍首相が過去の日本の戦争責任を認めていないことを内外に示した行動となるのです。
 
 戦争をする国にするためには、国のすべての力をつぎ込んで勝たなければならない。そのためには、国民に知られては都合の悪い情報は秘密にしなければならない。
昨年12月に、国民多数の反対を押し切って強行した「秘密保護法」は、戦前の軍機保護法の現代版です。 
 大本営発表しか国民に知らせない、戦前の情報統制をほうふつとさせるのが、公共放送であるNHKを政権の意を伝える「国営放送・国策放送局」に作り替えようとする、安倍首相のお友達経営委員会の人事です。籾井会長の、「従軍慰安婦は戦争をするどこの国にもあった」などというおよそ歴史的事実を知らない暴言と「政府が右ということを左ということはできない」などという放送法を露骨に蹂躙する発言や、右翼の言論機関へのテロを容認し、天皇を現人神と公言する人物や、自分の支援する都知事候補の応援演説で、「南京虐殺はなかった」対立候補を「人間のクズ」などと公言してはばからない人物を経営委員に送り込んだのです。

 これらの動きに対しては、国内はもちろん中国や韓国といった日本の侵略による直接の被害国だけでなく、同盟国のアメリカからも「失望」を買う、世界中から戦後の世界秩序への挑戦だとして批判が広がっているのです
極めつけは、集団的自衛権容認を巡る安倍首相の国会答弁です。
 2月5日、参議院予算委員会で安倍首相は「集団的自衛権の行使が認められるという判断も政府が適切な形で新しい解釈を明らかにすることによって可能であり、憲法改正が必要だという指摘は必ずしも当たらない」と答えたのです。そして「責任者は私だ」「選挙で審判を受ける」などと発言したのです。集団的自衛権とは、日本が攻撃されていないにもかかわらず、密接な関係を持つ他国が攻撃された場合に日本が参戦する権利のことで、日本の「防衛」とは無関係です。歴代政府は集団的自衛権について権利は持つものの、「憲法上許されない」との立場を示してきました。首相が国会で、この権利の行使が解釈変更で「可能」との認識を示したのは初めてであり、従来の憲法解釈を踏み越える答弁です。解釈変更で海外での武力行使を認めることになれば、戦争や武力行使の放棄をうたった憲法9条は空文化してしまいます。
 さすがにこの発言には、与党自民党内からも批判が広がっているという報道です。古賀誠元自民党幹事長はテレビ番組で「立憲国としてとても考えられない」と発言しています。自ら「改憲論者であり、集団的自衛権の行使も認めるべきだと考えている」という小林節慶応大学教授は、「憲法9条の下で認められるはずはありません。それを首相の責任で解お禁するなどという発想は首相の権限を越えており、法の支配、立憲主義を無視する暴挙だ」「権力者側からのクーデターに等しい」と厳しく批判しているのです。
 国の成り立ちを根本から変えようとするこのよう動きに対しては国政上の問題として片づけるわけにはいきません。また、日本国憲法99条には公務員の憲法擁護義務が課せられています。市長が現憲法をどうとらえているのか、その評価も含めて御所見を伺います。
 首相の靖国参拝が世界から孤立し、国益を損ねている現状についてどのようなご見解でしょうか。NHKの会長、経営委委員の一連の発言についてはどうでしょう。
集団的自衛権と、立憲主義についての市長の御所見を伺います。

 ≪谷藤市長≫ 庄子春治議員のご質問にお答え申し上げます。

 はじめに,現憲法についての評価も含めた私の所見として,特にも「恒久平和」についてですが,これまで我が国が戦後の国際社会の中で平和国家としての信頼や実績を築いてきたのは,現憲法の平和主義の原則を堅持してきたことによるものと存じております。

 次に,安倍首相の靖国参拝に関する私の見解についてでありますが,個人としての思想・信条は,最大限尊重されるべきであると考えておりますが,国の最高責任者の靖国参拝が外交問題となっておりますことは,好ましい状況とは言えないものと考えております。
 したがいまして,戦没者の慰霊に関わる問題は,基本的に我が国,国民の問題でありますが,諸外国との外交という見地から申しますと,靖国参拝についても,諸外国への配慮や首相としての政治姿勢に国民からの不満も見られますことから,何らかの形で,現状を打開することが必要ではないかと存じております。
 次に,日本放送協会の籾井(もみい)会長や複数の経営委員の一連の発言に対する私の見解についてでありますが,日本放送協会は,公正中立を掲げる公共放送を担う事業者であり,その執行部のトップである会長や執行部を監督する経営委員は,その発言には,公共的な責任を負うものであり,一定の節度を持つべきものであると存じております。

 次に,集団的自衛権についての私の所見ですが,我が国は過去の悲惨な戦争の教訓を風化させず,二度と戦火を交えることなく世界の平和に貢献していかなければならないものと存じておりますので,引き続き,平和主義の原則を堅持していくことが重要であると存じております。
次に,立憲主義についての私の所見ですが,立憲主義は,「憲法を制定し,それにしたがって統治するという政治の在り方」のことであり,その憲法の条文の解釈については,司法判断や長い間の解釈の積み上げにより尊重されているもので,その解釈の変更については,主権者である国民の幅広い意見も集約しながら,広く徹底した論議が必要であると存じております。
アベノミクスと市民生活について 

≪庄子春治≫
次に、アベノミクスの経済政策と市民生活について伺います。アベノミクスのこの一年間、国民生活に何をもたらしたでしょうか。2月8日朝日新聞の世論調査結果では、アベノミクスで景気が良くなったと思うかの質問に「はい」と答えた方は11%にとどまり、「いいえ」と答えた方は68%に上っています。その理由には「収入が増えない」「周りに景気の良い人は見当たらない」が上位を占めているのです。
 先日ある老人クラブの会合で参加者から「物価が下がったから年金減らす」というが「物価が下がったという感じはない。なぜ年金が下げられるのか・・・」という声が寄せられました。収入が増えるどころか年金支給額は下げられています。労働者の賃金はどうか。厚生労働省が2月18日発表した2013年12月の毎月勤労統計調査(確報)によると、基本給と残業代を合わせた「きまって支給する給与」は前年同月比0.2%減となり、前年同月を下回るのは2012年6月以来19カ月連続です。GDPの伸びも減速という報道です。
 なぜこうなるのか、結局「アベノミクス」でいう成長戦略は、「世界一企業活動がしやすい国にする」ということで、国民の所得を増やす政策がない。大企業には、至れりの減税です。復興法人税の前倒し廃止、さらに法人実効税率のさらなる引き下げを公言しているのです。一方、安倍政権が国会に提出しようとしている労働者派遣法の改悪案は、企業が派遣労働者を受け入れることができる3年の上限を事実上撤廃するなど、非正規雇用をいっそう拡大し、正規雇用も不安定にするものです。不安定雇用の拡大は、労働者の賃金水準を一層引き下げることになるのは自明のことです。これをあえて行おうとしている。

 この政策は、大企業栄えればそのおこぼれが回ってくるというすでに破たんした「トリクルダウン」の理論によるものであり、小泉構造改革路線の焼き直しそのものです。
 これでは、貧困と格差を拡大し、健全な経済成長をも奪うことになるのは明らかではないでしょうか。こうしたもとでの消費税増税は、その使われ方が社会保障のためでも財政再建のためでもなく、大企業減税の穴埋めにされることは明らかです。そして、それは、国民の生活を破壊するだけでなく、景気を一層冷え込ませることになることは明らかです。消費税増税は中止すべきです。御所見を伺います。

 また、派遣期間の制限を取り払い、永久に派遣で使い続けられるようにする労働者派遣法改悪は許されざるものです。市長の御所見を伺います。

 「構造改革路線」は、庶民の収入を奪い、大企業や大金持ちに吸い上げる結果を生み出しているのです。アベノミクスでも、労働者の賃金は下がり続けているのに、内部留保は増え続け、270兆円を超える水準にまで増やしているのです。この路線からの脱却が求められています。このことについて市長の御所見を伺います。
 ≪谷藤市長≫次に,消費税増税に関する私の所見についてでありますが,政府においては,急速な高齢化と働く世代の減少により,社会保障制度が危機的状況にある中で,消費税増税分を全額社会保障関係費に充てるとしておりますが,政府の新年度予算案においても,保育所への補助や難病対策など,社会保障の充実が図られており,市民にとりましては,安定した社会保障を受けることにつながるものと存じております。
 一方で,消費税増税により,市民の負担が増加することから,低所得者の生活への影響がより大きいものと存じておりますし,増税後の消費の落ち込みや,景気の下振れなどにより,産業活動にも影響がありますことから,雇用などへの影響もあるものと存じておりますが,政府の経済対策が効果を発揮し,市民生活への影響が最小限となるよう期待するところであります。

 次に,労働者派遣法の改正についてでございますが,労働政策審議会が,このほど厚生労働大臣に対し制度改正についての建議を行ったところであり,派遣労働者や派遣元・派遣先企業に分かりやすい制度とすること。派遣労働者のキャリアアップや直接雇用の推進を図り,雇用の安定と処遇改善を進めること。さらに,労働者派遣事業の健全な育成を図るため,優良事業者を育成することなどの基本的な考え方をもとに,具体的な措置を講ずる必要があるとして10項目をあげています。
厚生労働省では,この建議を踏まえ今国会への法案提出に向け,法案要綱を作成し,労働政策審議会に諮問する予定とのことであり,今後,法案についての審議が国会において行われることとなりますので,その動向に注視してまいりたいと存じます。
いずれにいたしましても,労働者が希望する雇用形態のもと,安心して働くことができる労働環境を整えていくことが大切であると存じておるところでございます。

 次に,国の構造改革路線からの脱却が求められていることに対する所見についてでありますが,
議員ご指摘の国の経済政策に対し,様々な観点から議論されていることは承知しているところであります。
 国においては,長期にわたる経済低迷の状態から脱却し,我が国経済を持続的発展の軌道に乗せるべく「日本再興戦略」を策定し,経済社会情勢の変化に応じた産業競争力を強化する取組等を行うほか,政労使会議を通じた賃上げに向けた環境整備を図るとともに,経済の成長力の底上げと好循環の実現を図るため,5兆 5,000億円の経済対策を実施することとなりました。私といたしましては,国の一体的な取組の政策効果により,家計や企業のマインドが改善し,消費等の内需を中心として景気回復の動きが広がっておりますことから,今後におきましても,さらなる設備投資や雇用の拡大,賃金の引き上げなどにつながっていくことを期待しているところでございます
民営化推進の市行政経営指針見直しを

≪庄子春治≫
この立場から、盛岡市行政経営指針についても検討しなおしていただきたいのです。市行政のアウトソーシングが、住民サービスに影響を与え官制ワーキングプアを増やしている現実に目をつむってはならないと思います。このことは、昨年12月議会の指定管理者制度に関する議論でも明らかになっています。いかがでしょうか。
市長はあいさつで、安定した雇用のために、「関係団体に対し、雇用の支持確保・正規雇用の拡大などを要請する」と述べられましたが、「先ず隗より始めよ」の言葉通り、市が率先すべきではないですか。市の正規職員と非正規職員の実態を示してください。そして、市職員の定員を削減して非正規規雇用に置き換えているのではないですか。ぜひ見直していただきたいのですがいかがでしょうか。
  ≪谷藤市長≫ 次に,盛岡市自治体経営の指針を検討しなおすことについてでありますが,民間委託,指定管理者制度等につきましては,これまで二次にわたる盛岡市自治体経営の指針及び実施計画において,多様な主体が参画するまちづくりの観点から推進しているものであり,今後におきましても,施設で働く職員の労働環境も踏まえた適切な指定管理料の上限額設定に努めるなど,必要な見直しを加えながら,取組んでまいりたいと存じます。
 次に,市の正規職員及び非正規職員の実態についてですが,平成25年4月1日現在,市の職員定数は, 2,238人,また,市全体で非常勤職員は 354人,臨時職員は 301人となっており,主に保育士や保健師などの資格を有する職や相談員などの知識,経験を生かすことのできる業務などに配置されております。
次に,職員定数を削減し,非正規職員に置き換えているのではないかについてですが,非常勤職員につきましては,各課業務における専門的知識や資格を有する職員の必要から,相談員などを新規に増員したことが,また,臨時職員につきましては,「緊急雇用創出事業」による雇用拡大の取組の影響が大きいもので,正職員の定数調整による振替等の影響は少ないものと認識しているところでございます。
市役所は,地域において雇用の拡大に一定の役割を担っているものと認識しており,今後におきましても,計画的な職員採用に努めるとともに,必要に応じた様々な任用形態の職を確保することで,雇用機会の提供に努めてまいります。
官製ワーキングプアを作らない対策

≪庄子春治≫「官制ワーキングプア」を作らないという点では、民営化路線の見直しとともに、市の委託・指定管理制度での問題に正面から向き合っていただきたい。昨年も指摘しましたが、ある委託事業で働く人の賃金実態は、時給で最低賃金すれすれです。一か月フルに仕事をしても、生活保護基準を下回る事態もあるのではないですか。
 市長は、本市発注の仕事で働く人が、官製ワーキングプアであり、最低生活費以下の人が多数いることについて、どのようにお考えですか、見解をお示しください。
それぞれの業務に従事している労働者の賃金の実態がどうなっているのか。市は把握すべきです。市はこれまでこの問題に対しては後ろ向きな答弁でした。実態を明らかにすることが怖いのですか?。私の知る範囲では青森市でも、札幌市でも、新潟市でもその調査を行っています。実態を正確に把握し、それに真摯に向き合って対応すべきです。御所見を伺います。

 公契約条例によって、公共工事に従事する労働者の賃金水準を適正に確保する対策についてはぜひ直ちに検討していただきたい。市は、条例制定に至らないなかでの対策を行うという立場でしたが、その実績と効果はどうなっていますか、伺います。

≪谷藤市長≫ 次に,本市発注の仕事で働く人が,官製ワーキングプアであり,最低生活費以下の人が多数いるとのことへの私の見解についてでありますが,指定管理者制度においては,審査項目に「適正な労働条件の確保」に関する項目を加え,審査の段階で法令に基づく労働条件となっているか確認しておりますし,業務委託においては,警備と清掃について,委託業者の労働条件の法令遵守の状況について調査・確認を行ってから契約しておりますが,労働環境の向上については,雇用の確保と併せて市として取り組んでいる施策であることから,市発注の工事請負や業務委託契約,指定管理者による公の施設の管理運営などにおきましても適切に確保されるべきものと存じております。
 
 次に,市が発注する建設工事に従事している労働者の賃金の実態把握についてでありますが,発注者と受注者という対等の関係において,受注者の労使間で決定される賃金額を発注者の立場で調査することは難しいものと存じておりますし,昨年4月と本年2月の2回にわたって大幅に引き上げられた公共工事の設計労務単価は,国が実態調査を行って決定しているものであり,実勢価格が反映されているものと存じておりますが,市発注工事の受注者等に対して昨年実施した社会保険加入状況や最低賃金を下回る支給事例の有無等のアンケート調査についても,引き続き,実施してまいりたいと存じます。また,指定管理者制度導入施設で働く職員の給料や労働時間等については,市として定期的に把握しておりますし,清掃,警備の委託契約に際しては,受注額の積算内訳の提出を求め,人件費において最低賃金額を下回ることのないことを確認しております。

 次に,公契約条例による公共工事に従事する労働者の賃金水準確保対策の検討についてでありますが,労働者の賃金水準の確保は,労働,賃金政策にかかわる全国的な問題であり,基本的に国が法律で整備すべきものと存じております。なお,市では引き続き条例制定の課題について研究を進めてまいります。
次に,公契約条例に至らないなかでの労働者の賃金を適正に確保する対策についてでありますが,工事発注に当たり,最低制限価格制度を導入して,労働者の賃金へのしわ寄せにつながるダンピング受注に歯止めをかけるとともに,受注者に対して労働者に対する労働条件通知書発行の徹底や下請け契約における代金支払の適正化などを文書で要請しており,一定の効果があるものと存じております。
福祉灯油について
≪庄子春治≫
アベノミクスのマイナス効果が、石油製品の高騰、とりわけ灯油代の高騰という形で市民生活を直撃しています。たくさんの市民から、悲鳴の声が寄せられています。灯油代は2月3日現在 全国平均1,879円と過去最高を更新しています。この実態を市長はどのように受け止めていらっしゃいますか。市長のところには市民からの声は届いていませんか? 東日本大震災被災者のかた、所得の低い方々に対して、ぜひ福祉灯油を実施していただきたい。市長の市民に対する温かい心遣いを期待するものですがいかがでしょうか。
 ≪谷藤市長≫ 次に,現在の灯油価格の実態についてどう受け止めているかについてでありますが,ここ数年来の値動きをみますと,高値水準で推移しており,当市のような寒冷地においては,家計に与える影響が生じているものと認識いたしており,いくつかの団体や個人から灯油代の助成について,要望が寄せられております。
 所得の低い方々や東日本大震災で被災された方々に対しての,福祉灯油の実施についてでありますが,国や県の支援がない中で,市が独自に実施することは難しいものでありますので,寒冷地に対する助成について,国や県に対して,岩手県市長会を通じ,要望してまいりたいと存じます
自然災害対策について

≪庄子春治≫次に、市長があいさつで、平成26年度の重点施策にあげられた、「自然災害対策の推進」及び東日本大震災復興支援の取り組みについて伺います。
市長は、昨年の災害の経験を踏まえて・・と述べましたが、昨年の8月9日の豪雨災害、及び9月16日の台風災害から何を学んでどう改善しようとしているのか伺います。私は昨年の議会において特に9月16日の台風災害の際に、玉山区の住民の皆さんに対する避難勧告の遅れに、象徴的に合わられた市の本部機能の問題点を指摘しました。適切な情報収集体制が取れておらず、したがって適切な判断ができなかったことを指摘しました。
 また、市民への情報提供体制や、市民への危険度を知らせるうえで他市の「逃げ時マップ」を例示してより市民に身近に危険度が理解されるハザードマップの見直しなどを提案しましたが、これらについてどのように検討されているでしょうか、伺います。

 災害対策では「自助」「共助」「公助」の連携の必要性が叫ばれますが、自助・共助が、公助の役割を低める言い訳に使われてはならないと思います。その点で、消防力の強化については、国基準に対する消防車両や消防職員の充足率は需要です。現状と、新年度の計画、今後の見通しについてお聞かせください。

 ≪谷藤市長≫ 次に,昨年の8月9日の豪雨災害及び9月16日の台風災害から何を学んで改善しようとしているかについてですが,市の災害対応における情報収集体制の見直しや市民への周知方法の徹底などの教訓を踏まえ,災害時における情報収集の充実を図るため,消防団と連携した河川のパトロール体制の強化や災害現場からの情報伝達方法を構築したほか,災害対策本部体制の見直しを行うとともに,各部署との情報連絡体制の整備に取り組んでいるところであります。
また,これまでの大雨・洪水災害対応において,近隣の自治体の状況については,県を通じた間接的な情報を把握しておりましたが,今後は直接的に相互に下流域への情報提供をするなどの協力体制を確認したところであります。
次に,市民に身近に危険度が理解されるハザードマップの見直しについてですが,現在,防災マップの作成に取り組んでおりますが,内容の見直しについては,昨年の8月から10月にかけて発生した大雨・洪水,台風被害の教訓を踏まえ,避難勧告等の重要性について市民の意識の醸成を図るため,避難行動要領などの説明を加えるほか,各地域の危険情報を住民が予め認識し,一人ひとりが災害に適切に対応できるような内容としております。
 次に,国基準に対する消防車両や消防職員の充足率の現状と新年度の計画,今後の見通しについてですが,消防車両については93%で,前年度の91%から2ポイント上昇しているところであります。
 消防職員については,67%で,前年度から4名増員を図っておりますが,充足率では前年度と同じとなっております。
 来年度は,水槽付消防ポンプ自動車を更新するほか,救急自動車を高規格救急自動車に更新配備し,救急業務の高度化を図ることとしております。
 また,消防職員については,3名を増員し,警防体制の強化を図ることとしております。
 今後におきましても,車両の更新のほか,2台の救急自動車の高規格化や消防職員の増員について,計画的に進めてまいりたいと存じます。
農地・農業災害復旧事業への助成

≪庄子春治≫災害に見舞われたとき、それに手を差し伸べるのは行政の重要な役割です。8・9豪雨の際、つなぎ地区への支援や、被災者支援法に準じた全壊家屋その他に対する支援をしてきたこと、農機具などの再建委対する国の補助制度への上乗せなどは、大いに評価できるものです。私たちは、さらに、農地・農業施設災害復旧について、国庫補助事業に対する上乗せ補助、市単補助事業については63%としている補助率をさらに引き上げることによって、耕作放棄などを生まない対策をと求めてまいりましたが、どのように対応されるのか。国庫補助率は最終的にどうなったかも含めて、どのように対応されるのか伺います。
 ≪谷藤市長≫ 次に,8月,9月の農地・農業施設災害復旧についてですが,国庫補助事業につきましては,農地が97%,農業用施設が99.3%と,高い補助率が見込まれておりますことから,上乗せ補助は考えておりませんが,本災害に係る市単補助事業につきましては,国庫補助対象の農家負担とのバランスを考慮し,補助率をかさ上げすることとして,今議会での予算補正を予定しているところでございます。
東日本大震災復興支援

≪庄子春治≫東日本大震災から、もうすぐ3年です。被災地では高台移転事業やかさ上げ等の区画整理事業、災害公営住宅の建設など復興事業のつち音が響くようになりましたが、被災者の生活に大きな変化がなく、住宅再建の見通しも立っていないのが現状ではないでしょうか。市長は、復興推進にあたっての今日における課題はどこにあるとお考えでしょうか。

 盛岡市に避難している方に対する支援について伺います。現在の避難しておられる方の実態はどうでしょう。何世帯、何人がおられますか。その方々に対してもりおか復興支援センターが、きめ細かな支援を行っていることについては敬意を表し、一層の支援をお願いしたいと思います。
 支援センターの支援の中で何が明らかになっているでしょうか。心身の健康状態はどうでしょうか。経済的な状態はどうでしょうか。そして今後の支援の課題は何か、お聞かせください。どこに住みたいか、被災者のみなさんの希望はどうでしょう。それぞれの希望や思いに対して支援が必要ではないでしょうか。対応を伺います。

 被災自治体への職員派遣については、どのように対応されるのか伺います。
 ≪谷藤市長≫ 次に,復興推進に当たっての今日における課題についてですが,復興の加速化を最重要課題として取り組むこととしており,不自由な生活を強いられている被災者の方々や被災地が復興の歩みをさらに実感できる着実な取組が必要であると存じております。
次に,盛岡市に避難している世帯及び人数についてですが,2月1日現在, 696世帯, 1,438人の方々が本市において避難生活を送っております。
 次に,もりおか復興支援センターの支援の中で明らかになってきていることについてですが,健康面では,支援センターが支援を行っている約 670世帯のうち半数程度の世帯の方々の健康状態は良好ですが,残りの半数の方は持病などにより普段から通院されていたり,中には入院し,又は介護を受けておられる方もいるなど,避難生活が長期化していることによる健康への影響が懸念されております。また,経済面では,生活再建に向けて歩み出している方がいる一方,将来の見通しが立っておらず,不安を抱えている方も多くおられるものと認識しております。これらのことを踏まえまして,避難されている方々の生活再建に向けて,お一人おひとりに寄り添い,きめ細やかな支援に取り組んでまいりたいと存じております。
次に,避難されている方々のこれからの住まいの御希望とこれに対する支援についてですが,本市が昨年8月から9月にかけて実施したアンケート調査では,本市への居住を希望する方の割合(約38%)が,震災前に居住していた市町村への帰還を希望する方の割合(約25%)を上回る回答が寄せられております。市といたしましては,引き続き,避難されている方々の声をていねいにお聴きしながら,御希望を考慮した柔軟な対応に努めてまいりたいと存じます。
 次に,被災自治体への職員派遣についてですが,平成26年度におきましても,被災市町村の行政機能回復のため,引き続き,宮古市,陸前高田市,大槌町など8市町村に,県内市町村最多の18人の職員を派遣することとしたところでございます。
今後も,県都として沿岸市町村の復興状況に応じた最大限の対応をしてまいります。
社会保障改悪と市の福祉施策

≪庄子春治≫次に、社会保障制度改革と市の各分野の福祉施策について伺います。
 国は、社会保障の各分野に「自立・自助」の原則を持ち込み、各種福祉制度に新自由主義的な構造改革を持ち込んでいます。それを進めるための法改正を行い、「分権」の名で、各自治体にその基準や計画を条例などで定めるということが進められています。

子ども・子育て支援新制度創設によって、従来の保育事業が「自治体の義務」から外される部分が生まれ、保育者の資格要件や、施設基準、そして保育料まで規制緩和をする制度に改編されました。その中で「盛岡市子ども子育て支援事業計画」の策定に取り組まれています。一昨年成立した「障害者総合支援法」は、「自立支援法」への強い批判の中で事実上名前を変えて、障害を自己責任とし、家族収入を含めて応益負担を課す仕組みをそのままです。本人の必要性を考慮せず、利用抑制の手段となっている障害程度区分認定制度についても廃止は先送りされました。自立支援医療、報酬支払い体系については検討事項にすらあげられていません。障害者の尊厳を傷つけた法の根幹部分は温存されているのです。そういう中で、市が新たな障碍者福祉計画を策定中です。
国は、介護保険制度の第改悪を行おうとしています。要支援の方を自治体に制度から排除して自治体の施策に丸投げする。介護度1~3の方を特別養護老人ホームから締め出す。そのような改悪で、平成27年度からの第6期介護保険計画が策定されるのです。

私は、これらの計画策定にあたっては、住民の福祉充実を最大の使命とする自治体として①従来の制度、サービス水準の後退をさせないと同時に、②市民の声・要望に沿って、それにこたえる内容にしていただきたいと思うのです。まず、このような基本的考えについて市長の御見解を伺います。
  ≪谷藤市長≫次に,福祉分野の計画の策定にあたっての私の見解についてでありますが,地方自治法に掲げられております住民の福祉の増進を図ることを基本に,地方の自主性及び自立性が十分発揮されるよう考慮するとともに,社会保障制度の持続可能性を高める観点を取り入れながら,福祉サービスの利用者や関係団体,地域の方々など,広く市民の意見を伺いながら,計画を策定してまいりたいと存じます。
 子育て支援について

≪庄子春治≫子育て支援についてです。あいさつで市長は「安心して子供を産み育てることができる環境づくりを推進する」と述べられました。まず、保育所の待機児童についてです。昨年4月1日現在で50人だった「待機児童」は今年の1月1日現在で310人となり、空き待ち児童含めて670人とのことですが、現状はどうですか。その解消に向けた対策について伺います。対策として「幼稚園での長時間預かり保育の実施」「保育入所定員拡大」「入所円滑化」に取り組むとのことですが、それぞれでどの程度待機児童を解消する計画でしょうか。公立保育園での未満児受け入れの拡大を図る計画はありますか。今、市の保育行政にとって、この待機児童対策をに責任をもって取り組むことです。その点で、「民営化路線」については、中断して見直しをする必要があると思いますが、いかがでしょうか。

 市が策定する「子ども・子育て支援事業計画」の策定にあたっては、支援を受ける子どもとその保護者にとって、差別を生むことがあってはなりません。保育士の配置基準や、施設基準、保育料の徴収などで、受ける施設によって差が生じないための対策が必要です。どのようにお考えでしょうか。

 子どもの医療費助成について、小学生の入院費まで拡大することは、一歩前進です。通院費までの拡大と、現物給付化については、どのような見通しをお持ちでしょうか。
 ≪谷藤市長≫次に,当市の待機児童数の実態についてでありますが,待機児童数は,平成25年4月1日現在,50人となっており,「待機児童外」を加えた「空待ち児童数」は 403人となっております。同様に,26年1月1日現在,待機児童数は 310人となっており,「空待ち児童数」は 670人となっております。
 次に,待機児童の解消計画についてでありますが,「幼稚園での長時間預り保育の実施」により40人,「保育所定員拡大」により 191人を見込んでおります。
また,「入所円滑化による定員の弾力化」については,各保育所につきまして,例年並にご協力をお願いしたいと存じております。
 次に,公立保育所での未満児の受け入れについてでありますが,公立保育所も私立保育所と同様に,入所円滑化による定員の弾力化に取組んできているところであり,現在の施設で対応が可能な保育所については,更なる弾力化を検討し,未満児を受け入れてまいりたいと存じます。
 次に,「民営化路線」について,中断して見直しする必要についてでありますが,公立保育所については,私立保育所を運営している社会福祉法人等のご協力をいただきながら,民営化を進めているところであり,国の助成制度等を活用した施設の整備や,定員拡大を図っているところでありますことから,全園民営化の方針を見直すことは予定しておりませんので,ご理解願います。
 次に,保育士等の配置基準についてでありますが,新制度におきましては,新しい幼保連携型認定子ども園,小規模保育事業,保育短時間区分などが創設されることとなり,現在,国において制度設計がされているところであり,今後,基準等が示されるものと存じております。
保育士の配置基準や施設基準などは,国から示される基準や現在の当市の基準,保育の質の確保の観点,盛岡市子ども・子育て会議での意見などを総合的に勘案し改定してまいりたいと存じます。

 次に,小学生医療費給付事業を,通院まで拡大する見通しについてですが,乳幼児医療費給付事業の対象年齢の拡大につきましては,継続的に多額の財政負担を要しますことから,これまで時間をかけて検討を進めてまいりました。
その結果,みんなで支える子育て支援施策を推進する観点も踏まえ,子育て世代の負担の軽減を図ることを目的に,対象年齢を小学校6年生まで拡大し,経済的負担の大きい入院費を対象とした医療費の助成制度を創設することとしたものでございます。
ご質問のありました対象拡大の見通しにつきましては,厳しい財政状況が続く本市におきましては,現段階では大変難しいものと考えているところでございますが,ご質問の趣旨を十分に受け止めながら,給付内容の拡大につきまして,引き続き検討してまいりたいと存じます。
次に,医療費助成の給付方法を償還払いから現物給付に変更することの見通しについてですが,現物給付を行うことにより国民健康保険療養費等国庫負担金が減額されること,現物給付を行うためには,県医師会等関係団体や国保連と連携した現行のシステムの改修に多額の経費を要する等がありますことから,市独自で現物給付を行うことは困難であると考えております。
また, 県では,現物給付を行うとすれば,全ての市町村が同時に,全ての医療費補助事業を実施する方針と伺っておりますことから,これまで県に対しまして,現物給付に向けた議論を行うよう働きかけを行ってまいりましたが,昨年6月に県が県内市町村を対象に行った調査では,大多数の市町村が,国民健康保険療養費等国庫負担金が減額されることなどを理由に,実施は困難又は実施する考えがないとの回答であったと伺っており,医療費助成の支払方法を償還払いから現物給付に変更することは難しいものと考えております。
 なお,現物給付に伴う国庫負担金減額措置の撤廃につきましては,引き続き,全国市長会を通じ,国に対しまして,要望してまいりたいと存じます。
障がい者福祉・介護保険について

≪庄子春治≫障がい者福祉計画については、自立支援協議会に障がい各分野の方の参加をいただきその声が反映されるように取り組まれたことは評価します。協議の状況と明らかになっている課題、それに対する対策をお聞かせください。特にも、発達障がいについては、早期発見と生涯にわたってのサポート体制を構築していただきたいのですが、いかがでしょうか。

 介護保険計画についてです。現在実施している第5期介護保険計画の事業実施を見ますと、計画に対して給付費が大きく上回っている分野に「要支援」に対する給付意があるようですが、その実態はどうですか。他と比較してどうでしょうか。国の制度改正によって、要支援が介護保険から外されるということになれば、市の実態から言って大きな影響を受けると思いますが、御所見を伺います。

 
≪谷藤市長≫次に,盛岡市自立支援協議会における協議の状況と課題や対策についてでありますが,昨年の5月に盛岡市自立支援協議会を設置し,これまで3回,協議会を開催したところであります。
 協議会におきましては,障がい者自身と親等が高齢化していること,通所施設や相談支援専門員が不足していること,発達障がい児・者への支援体制が不充分であること等の問題が課題として挙げられたところであります。
これら課題の中から,早急に対応が必要なものとして,高齢化対策と発達障がい児・者への支援対策に関してプロジェクトチームを設置し,それぞれの実態の把握と課題の解決に向け,協議を行なっているところであります。
 次に,発達障がい児・者へのサポート体制の構築をどうするかについてでありますが,発達障がい児・者への支援は,大きな課題であると認識しておりますことから,盛岡市自立支援協議会プロジェクトチームの協議結果を踏まえ,早期発見と,乳幼児期から成人までの切れ目ない支援体制の構築を図ってまいりたいと考えております。

 次に,第5期介護保険事業計画の事業実施における要支援者に対する給付費の実態についてでありますが,平成24年度につきまして,要支援者が利用する介護予防サービス費の計画値と実績値を比較いたしますと,計画値は5億 4,277万円としておりましたところ,実績値は5億 9,240万円であり, 9.1%の増となっております。
 また,第1号被保険者1人当たりの介護予防サービス費を見ますと,25年8月利用分では,盛岡市は 893円となっておりますが,岩手県では 1,091円,全国では 1,246円となっているところです。
 次に,国の制度改正による要支援の影響についてでありますが,現在,国が示している介護保険制度改正案では,要支援者に対する介護給付のうち,訪問介護及び通所介護については,地域支援事業に移行するものとされております。
 これにより,既存の介護事業所によるサービスに加え,NPO,民間企業,住民ボランティア等による地域の実情に応じた多様なサービスの提供が可能となり,様々なニーズに対するサービスの充実や,住民主体のサービス利用の拡充や重度化予防の推進による費用の効率化が図られるものとされております。移行するサービスの財源につきましては,介護保険制度内でのサービスの提供であり,財源構成も変わらないものとなっております。
 市といたしましては,介護給付から地域支援事業への移行が円滑に進むよう,NPO,民間企業,住民ボランティア等の多様な主体による事業の受け皿づくりに取り組んでまいりたいと考えております。
安全な暮らしについて

≪庄子春治≫
次に、「安全暮らし」について、市長は「通学路を主体とした歩道整備に問い組む」とされましたが、新年度の整備予定はどうでしょう。市は、教育委員会と関係部局で、市内小学校の通学路の安全点検を行い、各学校ごとの課題と対策方針がしめされました。その対策については、とりわけ事故発生件数も多い学区の緊急対策とともに、中長期的な計画をたてて取り組むべきだと考えます。いかがですか。この項は、教育委員長あいさつにもありましたので教育委員会の見解も伺います。今年度の事故発生件数はどうですか。多いところはどこですか、それへの対応についても合わせてお答えください。

 道路の凍結対策は、冬の盛岡市の道路交通安全にとって大きな課題です。今年度調査設計を行っている、天満宮前の市道の整備の進捗はどうですか。計画通り事業実施ができるでしょうか、伺います。また、その後の対策が必要な個所は何か所ぐらいあるのか、伺います。
 
 ≪谷藤市長≫次に,歩道整備につきましては,平成26年度は,33路線の事業を予定しており,新規路線としましては,山岸小学校交差点からJR山田線までの市道本町通一丁目名乗沢2号線ほか2路線,継続路線では市道東中野門線ほか29路線を整備することとしております。
 通学路の安全対策につきましては,通学路の緊急合同点検で危険箇所として指摘された30箇所の整備を重点的に実施することとしており,現時点では,整備済が2箇所,事業実施中が24箇所,26年度事業着手予定が3箇所であり,残る1箇所についても早期に事業を実施することとしております。
 また,今後の合同点検の中で新たに危険箇所とされる箇所につきましても優先性等を考慮しながら,計画的な整備に取組んでまいります。

≪星野教育委員長≫ 通学路の安全対策についての見解でありますが,昨年度実施した通学路の緊急合同点検で明らかになった危険箇所については,緊急対策メニューを作成し,児童の安全確保に努めているところであります。
 また,安全確保のための中長期的な計画についてでありますが,定期的な合同点検の実施や,安全対策の効果的な取組を行うことが重要でありますことから,教育委員会といたしましては,今後とも,関係各課と連携しながら,この取組を継続してまいりたいと存じております。
 次に,今年度の市立小中学校の交通事故発生件数でありますが,2月26日現在で小学校33件,中学校12件となっており,これは,昨年同時期に比べ小学校で6件,中学校で7件少ない発生件数となっております。事故の主な原因は「飛び出し」によるもので,24件発生しております。
次に,交通事故の発生場所についてでありますが,これまで発生した事故45件は,全て異なる場所で発生しておりますが,学校別にみると,一番多い小学校は1校で5件,中学校は1校で2件発生しております。
 交通事故防止への対応についてでありますが,飛び出しや自転車事故の発生が多いことから,各学校に対し,具体的な事故発生時の状況を示しながら,交通安全指導の徹底を図るよう指導しております。


≪谷藤市長≫次に,天満宮前の市道本町通一丁目新庄町2号線の凍結対策の進捗についてですが,現在,詳細設計を実施中で,年度内完了の予定としております。
一方,工事につきましては,詳細設計の結果,受電施設を設置するための用地買収が必要となりましたことから,平成26年度は用地買収を行い,完成については平成28年度を目標としておりますが,段階的な供用など,早期に効果が発現できるように工夫してまいりたいと存じます。

 また,車道部における凍結対策が必要な箇所につきましては,地域要望が3箇所寄せられている状況でございますが,今後,他の箇所も含めて,道路勾配が急でカーブであるなどの道路状況のほか,バスの運行状況や交通量等も踏まえながら,対策が必要な箇所についてあらためて見直しを行い,ロードヒーティング以外の対策方法も含め,検討してまいりたいと存じます。
産業振興について

≪庄子春治≫
次に、活力ある産業の振興いついて伺います。私たちは先日、東京墨田区の中小企業振興条例に基づく商工業振興策、地域ブランド戦略について視察してまいりました。墨田区で取り組んでいる3M運動と、その中の「小さな博物館」を私たちが紹介し盛岡市でも実施しております。その後の区の施策を学びたいとの思いからです。大変良かったのは、区が取り組んでいる後継者育成の「フロンティア隅田塾」とともに「地域ブランド戦略」でした。フロンティア隅田塾は、第1期から10期まで10年間続いている全国でもまれな取り組みだとのことです。「ものづくりは人づくり」の立場で、会社作りのノウハウなどを学ぶ講座を行うとともに、必ず懇親会を行って「ノミニケーション・・コミュニケーション」を深め、そ卒業生も自由に参加できる。そのような中から後継者が育っているということでした。

 また、地域ブランの戦略では、スカイツリー開業を前にして、「土産品」を作るのではなく、「本物」をブランドに磨き上げるというコンセプトで取り組んでいるとのことです。
しっかりした技術を土台に、新しい製品を作り上げるため、職人とデザイナーなどのコラボレーション事業に取り組み、次々に新しい製品を生み出している。中にはフランスのセレクトショップからオファーがかかった製品もでた。ということでした。ブランド認証の審査会は2重の仕組みで厳しく審査するということです。
盛岡市においても、大いに参考にすべき考え方だと感じてきました。このような取り組みについて市長はどう受け止めますか。市としても大いに参考にしていただきたいと思いますが御所見を伺います。

 4月からの消費税増税は、景気の腰折れが懸念されます。増税そのものをやめるべきです。その証拠に、国は「景気対策」に5兆円も出すというのです。私は、景気対策というのなら、すでに盛岡でも実績のる、そして全国で試され済みの「住宅リフォーム」助成制度こそ復活させるべきだと思います。いかがでしょうか。
≪谷藤市長≫ 次に,墨田区の産業振興への取組についての所見についてでありますが,「フロンティアすみだ塾」は,年齢や業種を超えた仲間と切磋琢磨する中で,経営者としての資質向上を図る有意義な取組であり,「地域ブランド戦略」は,墨田が持つものづくりの伝統に加え,新しいデザインとのコラボレーションなど新しい風を吹き込む取組であると存じております。
当市におきましては,盛岡商工会議所が経営者・後継者を対象とした「経営革新塾」を開催しておりますほか,公益財団法人盛岡地域地場産業振興センターが平成15年から平成19年まで地場伝統工芸のジバ・デザインプレナー塾を実施し,その塾の卒業生が継続して,展示会開催等の取組を行っているところでありますが,議員ご指摘の先進的な取組も参考としながら,当市の産業振興施策の充実につとめてまいりたいと存じております。

 次に,個人住宅改良支援商品券発行事業の復活についてでありますが, 個人住宅改良支援商品券発行事業は,リーマンショック以降,長引く地域経済の低迷や住宅関連産業の需要が落ち込んでいたことから,住宅関連産業の需要を喚起するとともに,プレミアムつき商品券の発行により地域循環型経済を促進し,地域経済の活性化を目的として平成23年度,24年度に実施したものであります。
 平成26年度につきましては,「県内経済は回復しており,個人消費は底堅く推移し,公共投資は大幅に増加し,住宅投資は高水準を維持し,雇用,所得環境は,改善している。」との日本銀行盛岡事務所の金融経済概況や,住宅関連産業の景況を踏まえるとともに,リフォームした際には,国による住宅リフォームの減税制度や長期優良化リフォーム推進事業が活用できることなどから,総合的に判断し,実施しないこととしたものであり,今後とも地域経済の動向を注視しながら適切に判断してまいります。
入札不調・不落への対策 

≪庄子春治≫
市長への質問の最後に、市発注事業の契約について伺います。市発注工事の入札で、入札不調・不落が大きな問題になっています。今年度のこれまでの状況についてお聞かせください。その中で、昨年の災害復旧工事発注の状況はどうでしょうか、学校耐震化についてはどうでしょうか。今年度の事業発注をあきらめざるえ終えない事業はいかほどになるでしょうか。工事契約ができない実態は深刻です。市はこの現状に対してどのような対策を打とうとしているのか、伺います。私どもは、昨年12月議会の討論において、いくつかの提案をさせていただきましたが、それに対する見解も含めて伺います。
 ≪谷藤市長≫次に,市発注事業の今年度の不調・不落の状況ですが,1月末現在の不調等の件数は,契約検査課が所管する 130万円以上の工事において,入札等実施件数 483件に対し,応札者が無いなどによる不調が 119件,応札者はあったが予定価格内に入らないなどで落札に至らなかった不落が79件で合わせて 198件あり,発生率は約41パーセントとなっており,昨年同時期の発生率約19パーセントと比べ,倍以上の発生率となっております。
 このうち,昨年発生した災害に係る復旧工事については,1月末現在で11件の発注に対し,落札・契約に至っていないものは,農地復旧工事が3件,河川復旧工事が6件の9件ございます。
 また,学校耐震化工事につきましては,7件の発注に対し,落札・契約に至っていないものが3件ございますが,いずれも予算を繰越し,早期発注に努めてまいります。
次に,今年度の発注をあきらめざるを得ない工事件数は,今から年度末まで実施する入札等の状況にもよりますが,上下水道局発注分を含め,41件ほど見込まれ,これらは,来年度早期に落札・契約できるよう努めたいと存じます。

 不調・不落対策といたしましては,小規模工事の集約化,入札参加の地域要件や発注条件の緩和,最新の労務単価や資材単価による設計積算などのほか,ご提案いただきました一定の要件を満たす工事の現場代理人の兼務や工期に余裕期間を設定することなども実施してまいりたいと存じます。
教育委員会制度改革について

≪庄子春治≫
続いて、教育委員長あいさつについて伺います。
教育委員長も触れられましたが、昨年12月に中央教育審議会が答申した教育委員会制度の改革案が出されました。「改革」案は、首長に教育行政全体についての「大綱的な方針」など、教育行政の中心的内容を与えるとしています。これでは教育委員会は、首長の下請け機関となり、首長がその気になればどこまでも政治介入できるということになってしまいます。
 教育長について、首長が直接任命・罷免することとして教育長を首長の直属の部下にしようというのです。そして「改革」案は、文部科学大臣の教育委員会に対する「是正要求」などの権限を強化しています。
この改革案は、憲法にそくして教育の自主性を守るためにつくられた教育委員会制度の根幹を改変し、国・首長、政治権力による教育支配を歯止めなしに拡大しようという、きわめて危険な内容といわざるを得ないと思いますが、教育委員長の御所見を伺います。
なぜ、いまこの改革案なのか。安倍政権は「教育再生」を最重要課題にしています。「教育再生」では、教科書検定基準の見直しや、採択制度の改悪が進められ、沖縄県の竹富町が採択した教科書について、沖縄県の教育委員会の、竹富町教育委員会の採択を尊重するという決定にもかかわらず、侵略戦争美化の教科書にするよう是正要求を突き付けようとしている文科省の動きに明らかなように、政権が進める国策のために、教育をその道具にしようというところに最大の危険性があるのではないでしょうか。

 教育委員長は盛岡市教育ビジョンのめざす市民像について「多くの先人を育んできた美しいふるさと盛岡を愛し、豊かな心と健やかな体を持ち、自ら学び、共に生きる未来を創る人」と紹介しましたが、私は委員長のこの言葉を聞いて、ここには、戦後の日本国憲法のもと、国民主権の原則に基づく民主国家の担い手は、国民自身にある。教育の目的は、人格の形成にあり、将来の日本はその完成した人格をもつ国民の選択にゆだねる・・とした教育基本法の持つ教育観に通じるものがあるのだと、改めてこの教育ビジョンについて認識を深めました。それは、戦前の「教育勅語」の教育観とは180度違うものです。天皇のために死ぬことを最高の規範として国民を教育し、教育が戦争遂行の最大の目的になった戦前の教育制度の反省の上に打ち立てられたものではないでしょうか。教育委員長の御所見を伺います。
≪星野教育委員長≫次に,教育委員会制度改革案に対する所見についてでありますが,中央教育審議会の答申が昨年12月にあり,現在は,与党内で意見の調整が行われているところでありますが,現在の教育委員会制度が設置された歴史的背景を鑑み,教育委員会制度においては,政治的中立性や継続性・安定性の確保が重要であると存じております。
次に,なぜ,いまこの改革案なのか,についてでありますが,大津市で発生した事件を契機に,制度の見直しの議論が本格化したものと存じております。また,その時々の政権が国策のために,教育をその道具としようとすることは,あってはならないものと存じます。

 次に,盛岡市教育ビジョンに掲げる市民像についての所見でありますが,現在の教育ビジョンは,教育基本法の理念を踏まえて,平成17年に策定され,市が目指すべき市民像として,時代を超えた普遍的なものとなっており,その実現に向けて教育施策を推進しているところであります。
少人数学級、特別支援教育、学校の耐震化など

≪庄子春治≫
教育行政の具体的なことについていくつか伺います。
 まず、小中学校の少人数学級の推進についてです。新年度はどこまで進む見込みでしょうか。私たちは、先日奈良市を視察してまいりました。奈良市では、市の単独事業で30人学級を実施しているというお話をお聞きしました。ぜひ盛岡市においても県制度とともに独自の努力によって少人数学級を進めていただきたいがいかがでしょうか。

 特別支援教育について伺います。各障がいをもった子供たちをどこで学ばせるか。当事者の子供にとっても、またその保護者にとっても大きな課題です。できるだけ、普通学級でともに学ばせたい、と思うのは当然ではないでしょうか。障がいの程度にもよるとは思います。今般、当初は支援学校への入学を進められた子供さんについて、保護者の熱心な思いと、教育委員会、学校の配慮で、学区の小学校への入学が決まった、と喜びとともに、それを支えるためのサポートを学校とともに行う強い決意を話す親御さんのお話をお聞きしまして、教育委員会と受け入れる小学校に心から敬意を表したいと思うわけです。この努力をさらに広げていただきたいのです。そのための課題はどこにあるのかお聞かせください。支援の必要な子供たちに、必要な指導の体制があれば成長できることは既に試され済です。教員の加配配置などに努力をしていただきたいがいかがですか、伺います。

 教員の時間外勤務の実態について、昨年12月議会で指摘させていただきましたが、新年度はどのような改善策が取られるのか、伺います。

 学校給食について伺います。先にも触れた奈良市では、中学校の完全給食実施に踏み出しました。全22校中、すでにセンター方式などで実施している6校を除く16校について「自校方式」で実施するとのことです。その中には、デリバリー方式の弁当提供を行っていた11校も含まれています。そのための給食調理場の整備に取り掛かり、平成24年度(モデル校)2校整備しすでに稼働。25年度4校を整備、さらに26年度第3次として6校、第4次計画5校の整備を予定しているということです。
奈良市では、デリバリー弁当方式を「完全給食」とは呼ばないということでした。そして検討委員会の協議に真摯に取り組み、弁当方式から完全給食に、しかも予算比較もしながら、自校方式での実施に踏み出したのです。その背景には、選択性弁当は、献立によって好き嫌いがあり、注文が減ったり増えたりのなか、喫食率が極端に低いことがありました。「食育」を進める完全給食に、と決断したということです。そこには、食育に対する姿勢や、市民要望に対する姿勢、そして「教育としての給食」に対する考え方が基礎にあると感じてきました。盛岡でも、選択制弁当方式の喫食率は3割台と低迷しています。方針の転換を行い「完全給食」に踏み出すべきではないでしょうか。ご見解を伺います。

 最後に学校耐震化については、平成27年度までに完了という方針が示されてきましたが、進捗はどうでしょうか、25年度までの到達見込みと、26年度、27年度の計画について伺います。

 
≪星野教育委員長≫次に,少人数学級の推進について,新年度はどこまで進む見込みかについてでありますが,現在,市教育委員会では,県教育委員会の方針に基づき,小学校1年生から3年生及び中学校1年生において,1学級35人の少人数学級を実施しております。
県教育委員会では,来年度小学校4年生においても,35人学級を実施するとの方針を示しておりますので,市教育委員会といたしましても,この方針に基づき実施してまいりたいと存じます。
次に,盛岡市における少人数学級の独自の推進についてでありますが,市教育委員会といたしましては,今年度,少人数指導加配4名を小学校4校に配置して,きめ細かな指導に努めておりますが,少人数学級の拡大には,大きな財源が必要となりますことから,市独自の実施は難しいものととらえております。
少人数学級の拡大につきましては,今後とも国,県に要望してまいりたいと存じます。

 次に,障がいのある子どもの就学についての課題でありますが,小中学校は特別支援学校とは異なり,様々な障がいに応じた設備がないこと,看護師など専門的な資格を有する者が配置されていないこと,様々な障がいのある子どもに応じた,きめ細かな指導が難しいことなどがあげられます。
次に,教員の加配配置についてでありますが,市教育委員会では,特別な支援を必要とする子どもたちの学校生活を支援することを目的として,今年度,スクールアシスタント53名を小・中学校に配置しておりますが,今後とも同様の配置を進めるよう努力してまいりたいと存じます。

 次に,教員の時間外勤務の削減に係る,新年度の改善策についてでありますが,時間外勤務削減のための更なる対策が必要であると考え,本年1月に市内小中学校の校長,副校長,教務主任,部活動担当顧問などを対象とした時間外勤務削減対策会議を開催し,さまざまな意見を頂戴したところであります。この後,2月に開催した市内校長園長会議において,この対策会議の内容をもとに,各校長に対して,時間外勤務の削減について,校内で話し合う機会を新年度の体制に位置づけること,中学校部活動に小学校体育館の活用を進めること等,時間外勤務削減のための指導を行ったところであります。このほか,これまでと同様に,市教育委員会として,事務手続きの簡素化や,提出文書等の簡略化を進めていくほか,学校に対しては,教職員への声がけや健康観察,定時退校日や部活動休止日の設定などの指導を行ってまいります。
今後は,これらのことが確実に実施されるよう,各学校の取り組み状況を把握し,必要に応じて指導してまいりたいと存じます。

 次に,中学校の選択制弁当方式の方針の転換を行い,完全給食に踏み出すべきではないか,についてでありますが,選択制給食の実施は,生徒や保護者を対象としたアンケート結果等による意見を尊重して決定したものであり,現在の利用状況にも,各家庭等の都合,生徒の食物アレルギーの状態,生徒や保護者の考え方などが反映されているものと捉えております。また,弁当かランチボックスかの選択は,生徒の食に関する選択能力を養うこと等にも繋がっているものと考えております。
給食時間においては,弁当を持参した生徒もランチボックスを選択した生徒も,お互いの選択を尊重しながら,和やかな雰囲気の中で食事をしており,選択制弁当方式は円滑に実施されておりますことから,引き続き未実施の学校に順次拡大をしてまいりたいと存じます。
なお,将来的には,生徒数の減少等の社会的情勢や調理施設の供給能力を見極めながら,改めて中学校給食の方式等について検討してまいりたいと存じます。

 次に,学校の耐震化についてでありますが,学校施設の耐震化につきましては,盛岡市立小中学校耐震化計画に基づいて取り組んでいるところであり,耐震化率は,平成25年4月1日現在75.9%であります。今年度末には81.7%になる計画でしたが,入札不調の影響などにより79.2%になる見込みであります。
また,平成26年度は,小学校9校20棟,中学校4校12棟の耐震補強工事を,27年度は,小学校15校26棟,中学校4校11棟の耐震補強工事を実施する予定であり,耐震化率は,26年度末には88.6%,27年度までに100%になる見込みであります。
今後も,入札不調等が生じることが懸念されますが,平成27年度末に耐震化が完了するよう努めてまいりたいと存じます。
以上,御質問にお答えしました。