2013年9月定例会 髙橋和夫和夫議員の一般質問(大要)

 
質問項目 (クリックするとジャンプします)
市長の政治姿勢~集団的自衛権について
過疎対策について
小児科・産科医対策について
区界高原少年の家について

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市長の政治姿勢について・・・集団的自衛権

(髙橋和夫)
最初に、いま問題になっている集団的自衛権について市長の見解を伺います。
 戦後、60数年経過する中で、国民は自民党政治から新しい政治への転換を求め民主党政権が誕生しました。
 しかしこの民主党政権は、国民の期待に応えられず、昨年の衆議院選挙、そして今年7月の参議院選挙で自民党は憲法改正が可能な議席を獲得する結果となりました。
 自民党は、憲法96条を改正することにより憲法改正をやりやすくする方法を取ろうとしましたが、一般知識人をはじめ自民党内部からも反対する意見があり、方向転換せざるを得ない状況になりました。
 そこで打たれた次の手は法制局長官を更迭し、憲法解釈を変えようとする動きです。
その動きは集団的自衛権に具体的に表れました。戦争する国への方向転換です。
しかし、歴代の法制局長官は、集団的自衛権は憲法9条違反としています。
皆さんご案内のように、個別的自衛権は自国が攻撃されたときに反撃する権利であります。
 しかし、集団的自衛権は、自国が攻撃されていなくても、自国と密接な関係にある国が攻撃された時に反撃するものであり、質的に全く違うものです。
 7月24日、第59回戦没者追悼式が開催され、市長は追悼の言葉の中で「私たちはこれからも、悲惨な戦争を風化させることなく、平和の尊さを次の世代に継承していかなければなりません」とのべ、また市議会議長も追悼の言葉の中で「二度と悲惨な歴史を繰り返さないために、全力を尽くす決意を、新たな気持ちで誓う」と述べています。
 今の政権党自民党がこの様な方向に進もうとしている時、市民を代表する市長はこの集団的自衛権の問題に対しどのような見解をお持ちでしょうか。
 アメリカが化学兵器を使用したとして国連を無視してシリアを攻撃する動きがあります。自民党の安倍総理や石破幹事長は、アメリカが行動を起こせばこれを支持する考えのようであります。誠に危険な動きであります。

(谷藤市長)高橋和夫議員のご質問にお答え申し上げます。
 はじめに集団的自衛権の問題に対する私の見解についてですが、我が国は、過去の悲惨な戦争の教訓を風化させず、二度と戦火を交えることなく、世界の平和に貢献していかなければならないものと存じておりますので、これまで、我が国が戦後の国際社会の中で築いてきた平和国家としての信頼や実績を踏まえ、平和主義の原則を堅持していくことが重要であると存じております。
盛岡市の過疎対策

(髙橋和夫)次に盛岡市の過疎対策について質問します。
 この問題については平成19年6月議会で質問しております。この質問をもう一度おさらいすると、厚生労働省が2035年(平成47年)に、岩手県の将来推計人口は2005年(平成17年)比で24.9%減の104万人、高齢化率は37.5%となり、少子高齢化の急激な進展が見込まれ、中山間部では集落機能の低下や消滅も懸念される。
この事により、高齢化率50%以上で集落機能の維持が困難となる限界集落が各地に出るとのことでした。
 私が質問してから6年時間が経過しました。盛岡市の状況はどのように変化していますか。
 当時の市長答弁は、農業は食糧を生産する最も基本的で重要な産業であり、将来にわたって持続的に発展していかなければならないものと存じておりますので、今後も全力を傾けて農林業の振興を図ってまいりたいと存じます。と答えております。
当時の農林部長は、農業所得が無いと過疎化は防げない。価格補償での所得確保でなく、営農を通じて新しい作物を入れるなど実験もやってきている。との回答でありました。
しかし具体策は何も無しに近いものでした。
 その後、2011年3月には東日本大震災で東京電力の福島原発が放射能物質をまき散らし、この盛岡市、とりわけ  玉山区の農業にも大きな影響を与えてきています。これに対峙しないで如何して農業を守り発展できるのか。

(谷藤市長)次に、本市の高齢化の状況の変化についてですが、市の統計によりますと、平成24年度の推計人口は、29万9,220人で、6年前の18年度末に比べ105人、率にして0.04%の増加となっております。
 また、24年度の高齢化率は22.5%で、18年度末に比べ3.1ポイントの増加となっております。
 盛岡市まちづくり研究所の「平成20年度の研究報告書」によりますと、平成47年の人口は24万8,185人まで減少し、高齢化率は35.8%まで増加すると推計されており、少子高齢化が急速に進むものと見込まれているところであります。
 次に、このような状況の中で、過疎化が懸念される中山間地域の農業振興についてですが、根田茂・砂子沢地区においては「アロニア」、薮川地区においては「行者にんにく」などの生産振興や6次産業化に取り組んでおり、薮川地区におきましては、今年度、農産物加工・産直・レストランの各機能を備えた施設の整備を進めているところでございます。
 そのほか、中山間地域等直接支払事業による農地の多面的機能の維持、耕作放棄地の防止などにつとめているところでございます。
 次に、福島原子力発電所の事故による放射性物質の影響等への対応についてですが、放射性物質検査の実施と、その結果の迅速な公表などにより、安心・安全な農林水産物の周知に努めるとともに、牧草地等の除染事業に取り組んできたところでございますし、産直等が行う東京電力に対する賠償請求についても支援を行っているところでございます。
 いずれにいたしましても、今後とも、国の制度を取り入れながら、農地の維持・保全に努めるとともに、今年度作成予定の「地域農業マスタープラン」に、農地集積や特産品を中心とした6次産業化などを位置づけ、農林業の振興に引き続き取り組んでまいりたいと存じます。
小児科医・産科医対策

(髙橋和夫)次に小児科医、産科医対策について質問します。
 この夏、私の友人の娘さんが東京から盛岡市へ出産のため帰郷し、無事赤ちゃんを産んで帰られました。 少子高齢化時代の中で大変喜ばしいことであります。
さて、昨年11月20日のことですが、盛岡市医師会から産科医・小児科医が高齢化などの理由により減少していること。
例えば産科医は平成元年以来新規開業が無いこと。市内の出産は年間約2000件あり、その約半分を開業医が担っていること。
 小児科医は市内に13軒あり、この5年間で3分の2まで減少したとのことです。
 この事から、専門医として周産期医療や小児医療の対応に苦慮している事が想定されます。
 子供は病院が休みの土・日、祝日や夜に病気になることが多く、誰もが経験していることです。これまではともすれば患者の立場からの対応が求められてきましたが、最近は医師を始め医療従事者の対応が更に重要になってきているように思います。
盛岡市は県都であり、中核市として広く県民からも全ての面で期待されている町でもあります。
 日赤盛岡病院や県立中央病院は盛岡駅から遠くなり、今度は岩手医科大学病院も遠くなってしまうようである。岩手医科大学は、全ての診療が無くなるのか心配する人も多い。

 市は、市立病院の強化を図る必要があるのではないだろうか?
盛岡医師会の提言を機会に、この1年間、どのような取り組みと対策を取ってきたのか伺います。
 高齢者が多くなるにつれ、医療費の増大も見込まれます。 聞くところによれば、社会保障審議会では福祉・医療・介護・年金など抑え込む方向のようです。
これでは人の命地球よりも重いということわざがありましたが、最近は紙切れ1枚のように軽くされてきているのではないでしょうか?

(谷藤市長)次に、市立病院の強化についてでありますが、医師不足の中でも、小児科医、産婦人科の医師は、極めて不足している状況にあり、その確保は、私立病院においても困難な状況であります。
 しかし、平成20年度から全国の医科大学の入学定員を順次増やしたことによる医師の増加が数年後に見込まれることや、岩手医科大学の矢巾町への移転など医療をめぐる情勢の変化がございますので、こうした状況を見極めながら、必要な医師を確保して私立病院の強化を図って参りたいと存じております。

(熊谷保健福祉部長)盛岡市医師会の提言に対する取り組みと対策についてでありますが、産科及び小児科の医師確保については、岩手県及び県内市町村と連携して、「岩手県国民健康保険団体連合会市町村医師養成事業」を実施しております。
 この事業は、県内公立病院に従事しようとする学生に対して、修学資金を貸与するものであり、市としても、応分の経費を負担しておりますが、特にも、産婦人科又は小児科に従事した場合には、返還免除のための義務履行期間を1年減じることとしており、産科と小児科の医師確保には力を入れているところでございます。
 また、全国市長会を通じて、国に対し「地域医療保険に関する提言」を行っているところであり、この提言において医師確保の要請を行っております。
予防接種や乳幼児健診等の委託料については、「医科診療報酬」及び「県の乳幼児医療機関委託健康診査参考単価」を参考にして単価を算定し、盛岡市医師会と協議の上、決定しているところであります。
 いずれにいたしましても、今後とも、必要な予算を確保するなどして、産科医や小児科医の確保及び乳幼児の健康増進を図って参りたいと存じます。
区界高原少年の家について

 (髙橋和夫)最後に区界高原少年自然の家について質問します。
 区界高原少年自然の家は1975年(昭和50年)に建設され、すでに38年経過しております。市内中心部から一定の距離があることからなかなか現地に行くことがありません。
 そこで質問ですが、これまで給湯用としてまきボイラー、暖房用としてペレットボイラーなど整備されてきました。
 しかし建設されてから38年経過している事もあり施設の老朽化、耐震対策など心配されるところです。施設の老朽化そして耐震対策は万全でしょうか。
 これまで多くの利用者があったと思いますが、利用状況はどのように推移しておりますか。
 また将来の施設整備の計画はどのようになっておりますか。
 区界高原は、少年自然の家設置と永い年月の中で多面的な整備がされてきたと
思いますが、玉山区の藪川地区は岩洞湖の湖水、外山森林公園、家族旅行村、そして天峰山を通り秀峰姫神山へと様々なコースを楽しむこともできます。
 湖水活用の一つとしてボートの経験もできるのではないでしょうか。
 山を下れば啄木生誕の地「常光寺」、更に下って渋民に抜ければ石川啄木が育った「寶徳寺」、そして啄木記念館、啄木歌碑と文化の香り高い環境があります。
藪川地区の活用も一つの方法と考えますがご所見を伺います。

(鷹箸教育部長) 区界高原少年自然の家の老朽化についてでありますが、昭和50年7月1日のオープンから38年が経過しており、老朽化は進んでおりますが、活動場所の整備や修繕を行ってきており、最近では、平成20年度には「給湯設備修繕に伴う薪ボイラーの設置」、21年度には「トイレの簡易水洗化とペレットボイラーの導入」、22年度には「非常用放送設備修繕」、23年度には「かぶと広場休憩所修繕」、24年度には「真空ポンプや給水管の修繕」などを行い、教育エリアとしての環境の充実を図るため、自然保護や安全整備、利便性の向上に努めてまいりました。
 また、耐震対策につきましては、本年度中に耐震診断を行うこととして、現在、診断に係る契約事務を進めているところであり、耐震診断の結果等を踏まえ、今後の施設整備や改修を検討してまいります。
 次に、利用状況の推移についてでありますが、ここ5年間では、平成20年度が20,370人、21年度が20,073人、22年度が18,267人、23年度が18,826人、24年度が19,573人となっております。
 次に、将来の施設整備計画についてでありますが、少年自然の家は、子どもたちが野外活動を通じて自然に親しむことや、感性や想像力を高めるほか、集団生活を通じて、規律、友愛、協同、奉仕の心を養うという重要な役割を果たしております。今後のあり方につきましては、耐震診断の結果等を踏まえて検討してまいりたいと存じます。
次に、薮川地区の活用への所見についてでありますが、将来、施設整備について検討を行う際には、魅力ある資源を有する薮川地区もその対象となるものと存じております。