2013年9月定例会 鈴木礼子議員の一般質問(大要)

 
質問項目 (クリックするとジャンプします)
市長の政治姿勢について
 TPPについて
保育の新システムについてて
 新システムへの見解
 子ども・子育て会議メンバーに保護者等を
 保育時間・保育料は現行不意順の維持を
 「地域型保育」・・条例で保育義務明記を
 認可外保育への支援
 
 営利企業参入への規制・監視を
 待機児童解消へ公立も
 保育士の待遇改善を
 学童保育の充実を
子育て支援策の充実を
 子どもの医療費助成拡大を
 就学援助の対象にクラブ活動費などを

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市長の政治姿勢について・・TPPへの見解は

 (鈴木礼子)市長の政治姿勢について
 TPP問題は、重大な局面を迎えているが、参院選後の安倍内閣は、各国との閣僚会議で年内妥結に努力することを確認(共同声明)。この交渉内容が国民に明かされず、秘密交渉をいいことに自国の成果を狙う米国に同調して、年内妥結を主導するかのような姿勢さえ見せている。

 TPPの秘密主義の下では、政府がいくら「国益を守る」と力説しても、何の保障にもならず、むしろ「国益を守る」保障がないから国民に明らかにできないとしか聞こえない。

 市長は、市内農産物の3分の1が失われるだけではなく、農村の維持自体にも地域経済にも甚大な影響を及ぼすTPP交渉から即時撤退を強く要請するなど行動を起こすべきでは。

 安倍内閣は、TPP交渉参加と前後して外国産と競争できる「強い農業」「攻めの農業」をめざすとし、「農業所得倍増戦略」と称し所得倍増や農地集約、輸出拡大等の目標を並べたが、成長戦略の柱にTPP交渉参加を位置付けている限りいくら所得倍増を唱えても机上のプランに過ぎず農家。農業関係者がいち早く見破っている。

 安倍内閣の円安誘導策のもとで、飼料穀物や燃油などの輸入資材が高騰し農業経営が深刻さを増している中で、TPP参加になれば農産物価格が暴落し、農地の8割を集約するとされる「担い手」が真っ先に経営破たんするのは必至。安倍内閣がめざす「攻めの農業」についての市長の見解は。

 農産物の輸入自由化路線をきっぱり転換し、輸出のためではなく国民の食料生産を最優先し、実効ある輸入規制や価格保障などの食料主権を確立し、各国の農業が共存できる貿易ルールをめざすことだが、市長の所見は。 

(谷藤市長)市長:東北市長会を通じて6月に関係諸国に対して穀然たる対応の堅持を要望。今後、交渉にあたっては国民への積極的な情報提供と慎重対応を求めていく。「攻めの農業」は、高齢化、担い手不足、耕作放棄地の増大など課題解決にとって必要なこと。実態に即した内容になることを期待する。 
保育行政について

公的責任を限定・縮小する「新システム」

(鈴木礼子)
「新システム」は、消費税増税を内容とする「社会保障・税の一体改革」の一環として、12年8月に民主・自民・公明の3党合意により強行成立された。その最大のねらいは、現在の保育制度である施設補助方式、市町村の責任による入所・利用の仕組みを介護保険法や障がい者総合支援法と同様に利用者補助方式、直接契約方式に変えることにある。
 「新システム」は、その財源を消費税増税とリンクさせ、約1兆円とも言われる予算のうち7千億円を消費税増税分から捻出する方針だ。待機児童対策など子育て支援が急がれる中で、子育て世帯にも重くのしかかる消費税増税がなければ予算が確保できないという矛盾に満ちたもの。
 多くの保育関係者等の運動で、保育所の利用児童に対する市町村の保育実施義務が復活され、児童福祉法24条1項として残されたことは大きな成果だが、保育所利用が「教育・保育施設」と「地域型保育事業」にと複雑な施設・サービス体系に分類された。
 「教育・保育施設」は、市町村が保育を必要とする子どもに対して現行制度と同様に保育所において保育を実施する義務を負うが、「地域型保育事業」は、直接契約が導入され市町村の責任が極めてあいまいになり現行保育所より低い水準が想定されているなど多くの問題をかかえている。
 「新システム」は、市町村が保育を必要とする子どもに責任を持ち、保育所での保育を基本にすすめるという元の児童福祉法の見地から大きく後退し、保育に対する公的責任を限定・縮小し、子どもの平等という原則からも大きく外れた。市長の認識は。

(谷藤市長):「新システム」は、質の高い幼児期の学校教育・保育の総合的な提供保育の量的拡大・確保など子育て支援の充実をめざすとし、社会全体で子ども・子育てを支援する新しい支え合いのしくみを構築するもの。

「子ども・子育て会議」メンバーに保護者・保育士を
(鈴木礼子) 市子ども・子育て会議での取りまとめが、2015年4月施行までに間に合うのか。「新システム」について保護者・関係者への周知徹底と公募員2名の市民への周知については。メンバーには公私立保育園の保育士や保護者会の代表、学童保育の保護者や指導員、社会的養護の関係者、障がい児を持つ保護者などを加えるべきでは。

(熊谷保健福祉部長)保護者や子育て関係者、地域の方の意見幅広く聞き、パブリックコメントを実施する。周知徹底は保育所・幼稚園を通してリーフレット配布を、これから保育所を利用する保護者には乳幼児健診時を利用して情報提供する。幼稚園、保育所関係者には説明会を開催する。市ホームページ、広報紙への掲載など周知徹底する。公募委員の募集は市ホームページ、広報で周知する。

保育必要量、保育料は・・現行水準を維持すべき
(鈴木礼子)保育所の利用には保育の必要性と保育の必要量(保育時間)の認定を受けることになるが、保育の必要量の認定は、保護者の就労保障とともに、子どもの権利保障の視点から対応すべきだ。子どもの状況を基本におき保育時間は最低8時間が確保されること。
 保育所への委託費も区分別になり、短時間区分の子どもが多い保育所では保育所運営が不安定になることも予想される。 保護者も保育必要量を超えて保育を希望する場合は全額自己負担になるなど今より負担増になるのではないのか。

(熊谷保健福祉部長)子ども・子育て会議で多様な視点から検討されるべきことで、現時点で公定価格、短時間区分の詳細が明らかになっていないので判断できない。

(鈴木礼子)現行の市単独補助や保育料軽減策を維持・継続し、現行水準を後退することのないよう一層の改善が図られるのか。

(熊谷保健福祉部長)新システムの趣旨を踏まえながら継続・維持に努める。

地域型保育事業・・・市条例で実施義務明記を
(鈴木礼子)鈴木: 国は、地域型保育事業も保育所と同様に市町村の責任があると説明しているが、そうであるならば、市の条例で保育実施義務を明文化し、市の責任で入所の決定を行うべきだが。

(熊谷保健福祉部長)域型保育事業への市の責任については、児童福祉法24条2項により「必要な保育を確保する措置を講じなければならない」とされている。

≪再質問≫
(鈴木礼子)保育実施義務が施設によって格差があってはならない。地域型保育事業については、公的な保育実施義務を条例で明記すべきだ。

(熊谷保健福祉部長)基準については市の条例化で進める。


(鈴木礼子)地域型保育事業は、保育士の配置は国基準で、それ以外の基準は市が条例で定めて許認可を行うことになるが、「内閣府の子ども・子育て会議」では、小規模保育所の保育士の配置について資格者が1/2でよいとする内容だ。市の条例化にあっては可能な限り現行認可保育所の基準を下回らない内容にすべきでは。

(熊谷保健福祉部長)国の子ども・子育て会議で正式な方針が示されていない。国の基準と市の実情、子ども・子育て会議の意見等を総合的に判断し条例を整備する。

認可外保育への支援はどうなる
(鈴木礼子)認可外保育施設が小規模保育事業として改善される見通しがあるのかどうか。これら施設の許認可では、基準に沿わないからと切り捨てるのではなく引き上げるための支援や財政的な補助が必要だが。

(熊谷保健福祉部長)認可基準の条例制定後に制度の詳細について周知する。認可外保育施設から小規模保育事業への移行は、事業者の意向や相談を踏まえ可能な支援策を検討する。

「営利化」・企業参入への規制と監視を
(鈴木礼子)「新システム」は、待機児童解消の目玉として小規模保育や保育ママ事業等の活用と保育の「営利化」「産業化」にいっそう拍車をかけようとしているが、保育所への営利企業参入で保育の質が保たれるのか、また、公費の流出や撤退の危険性から公費の有効活用がなされるのかなど様々な問題が指摘されているが、企業参入については今より厳しい規制と監視が必要であり慎重な対応が求められるが。

(熊谷保健福祉部長)企業など多様な事業者の活用は、待機児解消を図る上で有効な手段であり、基準にあえば設置し主体を問わず認可する。企業が設置を申請する際は認可基準の適合と経済的基礎、社会的信望、社会福祉事業の知識経験などの要件を満たし安定的、良好な保育サービスが提供されることを確認し認可する。

待機児童解消へ公立保育所の責任を
(鈴木礼子)公立保育所が待機児解消では積極的な役割を果たすべきでは

(熊谷保健福祉部長)入所円滑化による定員の弾力化に取り組んでいる。

保育士の処遇改善について
(鈴木礼子)認可保育所の保育士の待遇は、公立保育園との給与比較でも一般労働者との比較でもその格差は歴然とし改善が急がれる。これを機に一時的な改善にとどめない対応を求める。市内認可園の中には園長を除く保育士全員が非正規雇用の施設や大学、短大卒、高卒それぞれの初任給が千円違いで賞与もない施設があるとの情報がある。この度の処遇改善支給が一過性の対応ではなくこれらの改善の一助となる対策を求める。

(熊谷保健福祉部長)厚労省担当者の話では、安心子ども基金より事業を継続し27年度以降も新制度移行により継続したいとの意向で、新制度により恒久的な処遇改善策が講じられる見通しだ。市として定期的に実態を把握する。
学童保育について
(鈴木礼子)新システムは学童保育については制度が大きく前進した。学童保育は、地域子ども・子育て支援事業に位置づけられ、「地域子ども・子育て支援事業計画」のなかに学童保育の整備計画も含めることが義務付けられた。
児童福祉法の改定により対象年齢が6年生まで引き上げられ、指導員の「資格」「配置基準」は国が決めた基準に従い、それ以外の基準は市が条例で定めることになったことは大きな意義がある。
 ①保護者の負担能力を超える高い保育料がネックになって利用を必要とする子どもが利用できない深刻な実態
 ②学童期の子ども達の「適切な遊びや生活の場」にふさわしい施設・設備かどうか
 ③学童保育指導員の養成、資格、研修、身分や労働条件等の制度化が遅れて劣悪な状態にある
 市独自の運営基準策定では、これらの課題を改善する内容にすべきだが。

(熊谷保健福祉部長)国は、放課後児童クラブの基準について専門委員会で、「従うべき基」として職員の配置、施設設備、開所日数と時間の基準は「参酌すべき基準」ということで検討している。これらの内容を踏まえクラブの意見を聞きながら条例を整備する。
放課後児童対策が共働き家庭の増加や地域で子どもたちの安心・安全に過ごすことができる居場所の確保となるよう充実に努める。

子育て支援施策の拡充について
(鈴木礼子)「少子化」なのに待機児問題が深刻化する要因の一つに経済的背景に加えて国民の意識の変化もある。待機児解消策としては保育所の増設と同時に子育て世帯への経済的支援、家庭への社会的支援、そして労働環境の整備改善も緊急の課題になっている。 

子どもの医療費助成対象拡大を
 経済的な支援策の一環として全県的にも乳幼児医療費無料制度の対象年齢が大きく拡充、前進している。小学校卒業(以上も含む)まで拡充した県内自治体は(25年度実施分を含め)33市町村中27市町村に上っており、13市では、今年から釜石市、大船渡市、花巻市が新たに実施し11市に上り、現状維持は盛岡市と二戸市のみだ。県都の名に恥じないように対象年齢の拡充を急ぐべきではないか。
(細川市民部長)市として、厳しい財政事情だが鋭意検討している。今しばらく時間をいただきたい。

就学援助・・クラブ活動費なども対象に
(鈴木礼子)就学援助制度ついても、実施を見送ってきたクラブ活動費、生徒会費、PTA会費の3費目についても早急に実施すべきだがどうか。
(鷹嘴教育部長)重要性を十分認識している。段階的に導入することなども検討し予算化に向けて努力する。